3月5日、実に18年ぶりとなるソロアルバム『I SING』をリリースしたISSAさん。もちろん新曲もあれば、1stソロアルバム『EXTENSION』収録曲のRemastered ver.もあり、またカバー曲も2曲含んでバラエティーに富んだ内容となっています。このアルバムの収録曲について話していただいた他、ソロ活動の意味、そしてこれからなどについて伺いました!
「楽曲に自分が寄っていって、一緒に完成させるイメージ。だから声も変わるんです」
──今回、ソロアルバムは18年ぶりになりますが、どうしてこのタイミングになったんでしょうか?
ISSA タイミングについてはあまり深くは考えてなかったんですけど、フタを開けたら、一昨年がソロをやり始めて20周年だったということもあって、そこからソロライブを始めて、その延長線上という感じですね。曲も集まってきたし、その時がちょうど45歳だったので、50歳までの間にソロの歌い手として確立させるために、ここから何ができるかということを考えながらやっている中で、という感じですね。
──なるほど、そういう感じでアルバムとしての機が熟したと。
ISSA そうですね。いろんなものが重なってタイミングがよく、こうなりました。
──ソロとしては、ものすごく久しぶりなことが多いと思うんですが、逆に18年前のソロのことを思い出すことはありましたか?
ISSA 当時はちょうど、4人それぞれで何かをやろうという時期だったんですよ。その時期に自分が一番最初に進んでいたので、一番目に1枚アルバムを出させてもらってっていうところから始まったので、実際ライブとかを大がかりにやったわけじゃないんですよね。リリースした時にお披露目で、ちょっとしたライブハウスで少しやったぐらいの感じで、あとは歌番組とかちょこちょこっとしか出させてもらったぐらいで。やっぱりメインはDA PUMPという中でのソロだったので、そこまでガッツリやれるという状況でもなくて。だからその後に時間が空いたのも特に理由はなくて、何となくDA PUMPメインでやってたから、というのが一番ですかね。
──そこから近年になってソロのライブも展開されていて、やっぱりグループでやるのとは感覚も全然違いますよね?
ISSA そうですね。歌うという部分では変わりはないんですけど、パフォーマンスという部分ではスタイルの違いというか、やっぱりDA PUMPのスタイルというものがあって、自分のソロにはソロのスタイルがある、みたいな感じの分かれ方ですかね。
──DA PUMPとなるとダンスパフォーマンスが欠かせないし、ソロだと歌が強調されることになって。そして、それが込められたのがこのアルバムの『I SING』というタイトルですか。
ISSA はい。ここから50歳までの道のりの中で、自分として何に一番重きを置いて進んでいくかと考えた時に、いろんなものをそぎ落としたら、踊りは限界があるだろうし、体のこともあるのでシンプルに考えたら、やっぱり歌が残っていくものですからね。自分の中でもそう思っていることを、シンプルにタイトルにしました。
──今回のアルバムにはソロでの既発曲も収録されています。「アルバム」としての制作期間というのはどれぐらいだったんですか?
ISSA 今回は「アルバムを作ろう」となってからは、そんなにかかってないですね。もともとある曲をリアレンジしたりとか、あとは一昨年ぐらいに作っていた曲とかもあって。またDA PUMPで曲を作る過程でストックしていたものの中で、自分だけで歌っている曲が何曲かあったんですよ。それも自分の魂を込めて作っているものではあるので、今回のソロアルバムでやろうかとなったりして。
──では収録曲について、1曲ずつお聞きできればと思います。1曲目は「Sweet surrender(Remastered ver.)」。1stソロアルバムに入っていた曲ですよね。アルバムの1曲目って、作品の印象や方向性を示す役割が大きいと思うんですが。
ISSA 「いろんな曲をやれなきゃいけない」っていうテーマが自分の中にはあるんですけど、その中でも一番得意というか……いい意味での色気みたいなものがふんだんに出せる感じというのは、自分が歌う上での代名詞的なところに置いてもいいのかなというのがあって、この曲を選びました。この曲は昨年のビルボードライブでのソロライブ序盤でやらさせてもらっていて、自分が歌う上では物語の主人公になりきるということがまず明確にあるんですけど、そういう点でも、昔歌っていた時よりも今の方が深く理解できている部分だったり、大人になって年数を重ねてきた分だけ、やっぱりそういうものが出ているというのもあるかもしれないですね。
──確かに、歌詞もサウンドもすごくアダルトなムードですよね。そこから始まって、次は「Another Life」。一昨年の暮れにリリースされていた楽曲です。
ISSA 一昨年からソロをやるにあたって、せっかく久しぶりにやるので、新しい曲があった方がいいかなというところから制作した曲です。
──1曲目の「Sweet surrender」とは、声色が微妙に違いますよね?
ISSA そうですね。いろんな曲を揃えたいというのもあるし、自分というものを通していろんな物語が見えれば、聴いてもらう人により楽しんでもらえるかなというところから、それぞれの楽曲や内容に合わせて歌い方を変えているというか。もともとのやり方なんですけど、その曲、歌が持っているものに自分が寄っていって、一緒になって完成させるっていうイメージなんですよ。それがたぶん、自然にそういう色の分かれ方になってるんだと思いますね。
──ただ、18年前に歌っている「Sweet surrender」よりも、むしろ声が若く聞こえるんですが……。
ISSA それも、この「Another Life」という曲がそうさせるんだと思います。自分で「こうしよう」と意識したというよりも、この曲を歌っていく過程でそうなったというか。
「カバーでは、今まで知られていなかった自分の一面が出せたかなと思います」
──3曲目は「Secrets」。サビの歌い上げが印象的な楽曲ですね。
ISSA これはもともと全部英詞だったものを、日本語に作り直したものですね。やっぱり聴く人は日本の方が多いというのもあるし、全編英語というのも時にはいいかもしれないですけど。この曲もソロの方がイメージが湧くというか、やるならソロかなという感じで収録しました。
──4曲目は「この胸のときめきを」のカバーです。これは去年のソロライブでも披露されていて、今回のアルバムにも収録されているわけですが、ISSAさんにとってこの曲を歌うのは、「チャレンジ」だったんでしょうか?
ISSA チャレンジはチャレンジでしたね。やっぱりエルヴィス・プレスリーさんと、日本では尾崎紀世彦さんという、偉大な先輩方が歌われてきた曲なので、もちろんチャレンジではありました。でもプレッシャーに感じることはそこまではなかったので、自分なりに表現したらどうなるかなということを楽しむしかないっていうのが、自分の中にありました。毎回、いろんな曲でもそうなんですけど、いかに自分が楽しめるか、いかに自分の中に落とし込んで、表現する楽しさを自分で感じられるかというのがあるので、今回もそれを純粋にこういうアレンジにしてもらって。ディレクターと「ここはこうした方がいいね」という話をした上でアレンジした曲が上がってきて、そこに自分が乗っかっていくっていうことで、また今まで知られていなかった自分の一面が出せた曲になったと思います。
──もともとは古い曲で、しかも有名な作品ですよね。それをカバーして今、2025年に出すという時に、今の時代性みたいなものを意識した部分というのはあったんですか?
ISSA 時代性は特に意識してないですね。
──というのも、受け取られ方によっては「ああ、古い曲ね」となると思うんですが、それはそれでいいと?
ISSA それで全然いいですよ。「あなたが歌ったらこうなるのね」で全然いいです。これもさっき言ったみたいに自分の、今までみんなが知らなかったような部分、こういう一面もあるんだなと受け取ってもらえればいいのかなと思いますけどね。
──そして、そこから一転して「PLAY,THIS,SATISFY(Remastered ver.)」。これも1stソロアルバムの曲ですが、「この胸のときめきを」から本当にガラリとムードが変わりますね。
ISSA 1stソロアルバムを出した時に、この曲をTVの歌番組とかでやらせてもらっていて、楽曲的には、その頃のDA PUMPとはガラッと違った印象にできたというのが一番大きいですよね。TVではバンドを従えてのパフォーマンスをやってたりしたのではい、見る人にも当時は新鮮さがあったと思いますし。またm.c.A·T師匠の楽曲なので、そこはやっぱり一筋縄ではいかない曲になっているというか。ロックとデジタル融合みたいなところは、今聞いても古く感じないですし。
──ISSAさんの歌い方もすごくロックですよね。
ISSA そうですね。チャンネルがいっぱいあると思ってもらえればいいんじゃないですか。自分の中でも「この曲にはこのチャンネルではめていく」っていう感じですかね。
──しかし、普段はそこまで出していない「ロック」のチャンネルに合わせても、いきなりガン!とハマるところがすごいです。
ISSA 何ですかねえ、不思議ですよね。でもそれってたぶん、DA PUMPとして披露したことはなくても、自分の中にちっちゃいときから入ってる音楽ではありますからね。むしろ「ああ、だからか」って思ってもらえれば。地元の沖縄が音楽の街というのもあるし、ロックの街ということもあるし、特に意識しなくてもアメリカの文化が混ざっていたところで育ったからというのはあるかもしれないですね。
──そして、そこからまた一転して「The Christmas Song」へ。シャ乱Qのはたけさんとの共作ですね。
ISSA これも20年前ぐらいですかね。はたけさんのスタジオでTUBEの前田亘輝さんと、あと俳優の山崎裕太とかみんなで、その当時から集まったりしている中で、「何かクリスマスの会ができたらいいんじゃない」みたいな話になって。みんな友達呼んで、みたいな。そしたら前田さんから「じゃあそのテーマになるような曲を作ろうよ」という流れで、その時からあった曲だったんです。
──そうなんですね。
ISSA サビのフレーズとかは一緒なんですけど、歌詞とかは違ってて。それがずっと残っていて、いつかこれを具現化したいなというのはどこかにあって。でもDA PUMPではないなという感じだったので、「じゃあ自分のソロでやろう」と。毎年、ソロライブをやらせていただいている時期が12月なので時期的にもピッタリだなと思って、はたけさんに相談したら「おお、いいよ!」ということで。その後、前田さんと裕太にも相談して「ちょっと自分、作りますわ」って、そこから作らせてもらいました。アレンジは昔のソロから携わってくれているDaisuke“D.I”Imaiさんにお願いして、歌詞を書いて作ったという感じですね。
──仲間内でそういうノリで作れるというのもいいですね。
ISSA そうですね。やっぱいろんなジャンルの先輩方がいる中で、はたけさんもその1人すし、前田さんもそうですし、遊びながら作れる感じですよね。自分たちが楽しんでいるっていうのが一番だし、それがあるから、音楽を楽しめる自分がいるから続けられてるのかなっていうのはありますね。
「ここからはそんなに待たせることはなく、ソロもチョイチョイやっていきますよ」
──次がまたカバーで、「LOVE ME TONIGHT」ですね。
ISSA 今回カバーした2曲に関しては、ウチの事務所のボスが「お前の声で聴いてみたい」っていうのがあって始まってるんです。一昨年、ソロライブでカバーをやるという時にボスが何曲か候補を出して、その中から決めたんですけど、「LOVE ME TONIGHT」に関してはトラックを先に作ってあったので、それをまずライブアレンジでやってみて、どういう反応になるかなと思ってたんですよ。そしたらみんな盛り上がってくれたので、今回のアルバムにも入れて。完全にジャンルとしてはロックのものを自分側に落とし込んできてるようなアレンジにもなってますし。DA PUMPの感じとはまた違うけど、俺がやったらこういう風に面白くなるなみたいなところで言うと、まだまだ大先輩たちのいろんな曲があるし、そういうカバーの仕方もアリなんだなと思いましたね。
──今回のカバーを聴かせていただいてから、トム・ジョーンズのオリジナルも聴いたんですが、アレンジとか“ガワ”はすごく変わってるんですけど、ボーカルのエモさの度合いというか、そこは変わらないんだなという気がしました。
ISSA ああ、それはうれしいかもしれないですね。リスペクトを込めつつ、自分のフィルターを通して歌っているので、そこを感じ取ってもらえるのはうれしいです。意識しているわけではないですけど、やっぱりその曲が持っているもともとの色というものは根強くあるし、それを聴いて、踏まえてのアレンジでもあったりするので。
──そして最後、8曲目が「PROMISE」。アルバムのリード曲ということでもありますが、ストレートな楽曲ですね。
ISSA これも、あたためていた曲の中で、いい曲だなと思っていたので、ソロでやりたいなと。もしDA PUMPのアルバムの中に入れていたとしても、これは完全に1人でやろうと思っていましたので。それで今回、リード曲にさせていただいて、歌番組なんかでもチョコチョコ歌わせてもらっています。色も分かりやすいですよね。普段、DA PUMPの色を見ている人からしたら、「静と動」というか。それがうまく伝わる選び方をしているのかもしれないですけどね。
──これについては本当に「1人で歌う曲」という感じですからね。
ISSA DA PUMPだと仲間感だったりとか、恋愛にしても1対1というよりは、何かそこに仲間がいたり……っていうのがイメージ的にあるんですよね。自分がソロで歌うと「1対1」というイメージで、聴く人も自分に当てはめやすいというのもあるでしょうし、自分は代弁者として、時にはこれぐらい、1人に寄り添った歌を表現してみてもいいのかなっていうのは思いましたね。
──この曲のMVは、曲と同様にストレートに表現されていると思うんですが……ちょっと寒そうだなと思いました(笑)。
ISSA いや、寒いというより風がすごすぎて(笑)。それほど寒くはなかったんですけど、もう砂ボコリがエグかったですね。海風がすごくて、しょっちゅう水を飲んで砂を「ペッ!」って吐き出しながらやってました(笑)。あとは別荘チックなスタジオもすごく素敵な場所で、オーナーの方がサーフィンもやっているようなところだったので、そのままその空間と曲が表現する世界観を作れたかなと思います。
──これで全曲について伺いましたが、やっぱり特に感じたのが、先ほどもちょっと出た「声」の部分で。声帯の筋肉って一番老化するのが遅いから、声はあんまり変わらないともいいますが……ただ18年って、やっぱり長い年月じゃないですか。その中で自分の声の変化って、何か感じる部分というのはありますか?
ISSA でも、それでもずっと続けていて、声帯も筋肉だから、使わないと衰えるというのがたぶんリアルにあると思うんですけど、実は声帯の一番いい状態が保てる時期というのは、男性だと40歳から50歳らしいんですよ。だったら今やらない手はないなと思ったというのもあるんですよね。今のうちにふんだんにいろんな曲と出会って、自分のものに変えていくことができれば、それ以降もそれを続けていくことで保てる部分も出てくると思いますし。だから声の変化は、自分ではもしかしたら分かってないのかもしれないですよね。「キーが下がらないよね!」ってよく言われるので、「そうなのかな?」っていうのはありますけど、やっぱり曲の表情によって、高すぎても、低すぎてもというのもあるし、その中でちょうどいいバランスのキーを自分の得意な部分と照らし合わせながら、新しい楽曲もどんどん作っていければなとは思いますね。
──冒頭に、「50歳までにソロを確立させて」というお話がありましたが。そのあたりまではソロとしての活動は続けられるということなんですか?
ISSA やります、やります。それ以降もやるんですけど、いつ死ぬかわかんないので、とりあえず50歳を目標にということなんです。50歳ってやっぱり人生の岐路というか、そういうのがあるじゃないですか。だって、もう半分以上生きてるわけですから。そう考えたら「オイオイ、お前、何やってんだよ。もう残り少ねえぞ、あと3分の1しかねえぞ」って考えたら、ちょっと急がないとなっていう(笑)。
──だからアルバムとしては、18年待ってた人って絶対いると思うんですよ。
ISSA いますかね?
──絶対いますよ!
ISSA そうか、いるからライブに来てくれるんでしょうね。ありがたいことに。
──だから、次は18年待てないじゃないですか。
ISSA 死んでますからね!
──いやいや、長生きはしていただきたいんですが(笑)。
ISSA いやあ、厳しいなあ(笑)。まあでも、ここからはそんなに待たせることはなく、ソロもチョイチョイやっていくと思うので、期待してもらえれば。
──ライブとかも含めて。
ISSA 期待しすぎないでいてほしいですね。期待されると、ちょっと天邪鬼な部分もあるので。ほどよく、俺に任せてもらえれば(笑)。ソロの部分はもう、僕に任せてもらえれば。DA PUMPはね、もっとやらなきゃいけないことがいっぱいあるので。
──ではお任せします(笑)。ありがとうございました!
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。