3月3日、わーすたの7枚目のシングル『春花火』がリリースされます。本作の表題曲は、わーすたのシングル曲としては初のバラードであり、また初めての“桜ソング”となっています。
多くの人々が誰かとの別れや新たなる世界への旅立ちを経験するであろうこの季節に、その背中をそっと押す楽曲をリリースするメンバーの胸中やいかに? 三品瑠香さん、小玉梨々華さん、松田美里さん、廣川奈々聖さん、坂元葉月さんの5人に話を聞きました。
また今回の特集は特別編。目前に迫ったホワイトデーに向けて、avex portalが用意したスイーツの数々のアリナシを判定してもらいました。
ちょっと大人になったわーすただからこそ歌える「春花火」
――ボーカリストのみなさんにとって「春花火」のようなバラードナンバーをシングルの表題曲として歌うときって、これまでのアッパーな表題曲を歌うときとは心持ちが違うものですか?
廣川奈々聖(以下、廣川) 私たちのことをなんとなく知っているという方にとってわーすたってネコ耳を付けていたり、ネコやイヌについての曲を歌っている子たち、という印象があるのかなと思っていて。だからこそ「春花火」のような曲をリリースすることで、その方たちのイメージを変えることができるのかな、って、ものすごくポジティブな気持ちでレコーディングしました。
松田美里(以下、松田) うん。確かに今までのシングル曲とはテイストが違うから聴いてくださる方の反応がすごく気になって、不安を抱えたり、緊張したりしていた時期もあったんですけど、レコーディングのとき、私より先に歌入れをしたメンバーの声を聴いたり、実際に自分がレコーディングをしたり、それから振り付けをいただいてMVを撮ってっていう作業を重ねていくうちに「わーすたにはこんな曲もあるんだよ」っていうことをたくさんの人に知ってもらえることの喜びのほうが大きくなっていった気がします。
――音源を聴けば誰でもわかることではあるんだけれども、確かに胸を張って世に送り出せる自信作ですもんね。
三品瑠香(以下、三品) 最新シングルの表題曲やアーティスト写真って、そのときの私たちのイメージを形作るものだからこそ、いつも大事に作らなきゃな、とは思っているんですけど、今回はスローバラード……しかも旅立つ誰かを応援する曲だから、いつもとはちょっと覚悟が違ったかな、って思っています。
小玉梨々華(以下、小玉) 確かに結成6周年を迎えた今……ちょっと大人になったわーすただからこそ歌える歌だと思うし、3月という時期にリリースできることに意味がある歌だけに挑戦ではありました。
坂元葉月(以下、坂元) 悲しい別れやうれしい出会いが待っていて、不安とか緊張とか喜びとかいろんな感情が渦巻く季節である今、この曲をリリースできたのもいいなと思っているし、そういう曲だからこそ、たくさんの人に聴いてほしいですね。
――今、小玉さんが「6周年だから歌えた」とおっしゃっていましたけど、もしもこの曲をデビュー当時にもらっていたら……。
小玉 無理です!(笑)
三品 あの頃のわーすたには説得力がない!(笑)
松田 「春花火」を聴くことで逆に「ああ、6年前の私たちってまだ未熟だったんだなあ」って思うこともありますから(笑)。
――では、新たなる旅立ちを祝福する「春花火」の歌詞の世界と、今のわーすたのありようって実はリンクしている?
三品 新しい表現をできたという意味でもそうですし、それぞれわーすたとしてデビューするために上京してきたりもしているので。お別れや出会いはたくさん経験してきている今だからちゃんと伝えられるのかな、とは思っています。
廣川 それにデビューの頃からずっと応援してくれているファンの中には「もうすぐ大学卒業なんだよね」っていう子もいたりして。私はもう学校には通っていないので、卒業を経験することはないからこそ、逆に旅立つ誰かを見守る側に立ったんだなあ、っていう感動とも違う、ちょっと不思議な感覚もあります。
――そのわーすたの歴史もなぞった1曲ながら、作詞はヒグチアイさん。歌詞を提供してもらうのは……。
一同 初めてです。
廣川 なのに、ちゃんと今の年齢の私たちじゃないと歌えない……昔のわーすただったら「背伸びしすぎじゃない?」って思われていただろうな、という、等身大の女の子ならではの言葉で別れや旅立ちが描かれていたので、歌詞を読んだ瞬間、ヒグチさんがすごく大切に書いてくださったことが伝わってきました。
松田 あっ、私はちょっと等身大じゃない感じが面白かった。桜ソングってちょっと大人の人が歌うイメージがあるじゃないですか。
――代表的なところだと森山直太朗さんやケツメイシさんがそうですよね。みなさんよりもちょっとお兄さん・お姉さん世代の人たちが過去の出会いや別れを懐かしんだり、誰かの転機を祝福したりする曲が多い。
松田 そういう曲を私たちが歌うのが面白かったし、でもヒグチさんの歌詞はかわいくて儚げで、ちゃんとアイドルらしいのがスゴいんですよね。
――一方、作曲は草野華余子さんで、編曲は岸田勇気さんです。
三品 だから作曲と編曲の方のお名前を聞いたときから「間違いないな」と思ってました(笑)。
――今一番売れているアニソン(LiSA「紅蓮華」)の作曲家と、わーすた楽曲制作陣の主要人物のひとりのタッグですもんね。
小玉 華余子さんのメロディや岸田さんのアレンジに乗ると、ヒグチさんの歌詞が本当にスッと心の中に入ってきて。自分の春の思い出や過去が蘇るから、聴いていてもそうだし、ライブで歌っていても、いつも「いい曲だなあ」って思ってます。
――ただ、華余子さんのメロディも岸田さんのアレンジもド王道。それだけに歌うみなさんもフェイクやギミックに逃げることはできない。本当にいい言葉といいメロディといいアレンジを、本当にいい声で歌わなくてはならなかったと思うんですけど……。
三品 確かにそうなんですけど、私自身は歌いやすかったですね。楽器のレコーディングにもお邪魔していて。そこで生で弦カル(弦楽カルテット)が弾いている姿を見たりもしていたので、歌録りの日には曲の世界をより鮮明にイメージできたし「めっちゃがんばろう」とも思えてましたから。歌モノである以上、歌だけでも曲にはならないし、楽器だけでも曲にはならない。声もひとつの楽器としてほかの楽器とキレイに交わらせたいな、って。
松田 私も普段、バンドさんの曲を聴くことが多いので「春花火」みたいに人が実際に弾いている楽器の音が鳴っている曲のほうが実は曲の世界についてのイメージが湧きやすいし、「音楽している!」って感覚にもなりやすいですね。
廣川 個人的には打ち込み主体の曲のほうが歌いやすいかな、とは正直思うんですけど、生楽器をバックにしているからこそ乗せられる感情ってあるよな、という気もしているし、ちゃんと乗せられたな、という自信はあります。
アイドルだからこそ、誰かの支えになれる。それが一番のモチベーション
――さっき廣川さんと松田さんがおっしゃっていたとおり、この曲は若い人の旅立ちを見送る歌でありながら、それを歌うのは同じ若い人であるところのみなさんである。
三品 いい意味でややこしいですよね(笑)。
――はい(笑)。ところがこれも前にお話していたとおり、誰かの背中を押す歌でありながら、ちゃんとアイドルポップとしても成立している。すごく雑な質問で恐縮なんですけど、なんでこの2つが両立できるんでしょう?
廣川 なんでなんだろう?(笑) みんな、サビみたいなキメるところはちゃんと大人っぽくキメるんだけど、AメロやBメロではそれぞれ自分のパートで個性を思いきり発揮するように心がけてるからかなあ。全員、自分なりの解釈で1行ずつ大切に心を込めて歌っているから、こういう大人っぽい歌詞であっても、ちゃんとわーすたらしい感じ、アイドルらしい感じになれるんだと思います。
三品 特に今回はバラードだから歌詞重視だなと思っていて。とにかく言葉をひとつひとつ丁寧に置いていくようにしてましたし。ただ、歌うのは難しかった……。
一同 あはははは(笑)。
三品 1コーラス目のAメロの最初の〈晴れ渡る〉の「は」がとにかく難しかったんですよ。
――空気を抜いて発音する音だからインパクトに欠ける。初っぱなで心を鷲掴みにしようとするとなると腐心する、と。
三品 そうなんです。しかも音も低めだからホントに息多めになっちゃって。
廣川 たまにそれぞれの苦手な母音について話すもんね(笑)。「私、あそこ苦戦した」とか。
坂元 だからこそ、そこによりこだわるし、クリアしてやるってやる気になるよね。
――そういう自分のストロングポイントやウィークポイントと曲の相性って、デモや楽譜を受け取った段階から見極められるものなんですか?
小玉 私はイメージが違っちゃうことがけっこうあります(笑)。「春花火」もデモをもらったときから「難しそうだな」と思っていたんですけど、実際にレコーディングしたら想像以上に難しくて……。
一同 あるある(笑)。
小玉 いっつも「歌うのって難しいな」ってレコーディングスタジオで頭を抱えてます(笑)。
松田 私も「春花火」もそうだし、ほかにもここ何作か、苦手な低音パートを任されることが続いていて。それでちょくちょく苦戦しているんですけど、だからこそもっとがんばってこだわって歌いたいっていう気持ちになります。高い音も低い音も私の歌いたいイメージどおりに歌えるようになりたいな、って。
小玉 うん。難しい曲をいただけるからこそ、がんばろうと思えるのかもしれない。
――確かにデビュー当時からイージーな曲を歌っていたグループではないんだけど、キャリアを重ねるごとに作家陣・ディレクター陣のみなさんに対する要求水準って上がってますよね。
廣川 甘やかしてくれない人たちなんです(笑)。
坂元 でも、甘やかしてくれないから発見できることもあって。「春花火」であれば私はサビのハモリや、落ちサビで1オクターブ下のコーラスを担当しているんですけど、それもスタッフの方から「できるかどうか、一度やってもらってみていい?」って言われてやったら採用してもらえたパートなんです。デビューの頃は本当に歌うことに必死すぎて、主メロを歌うだけでも死にそうになっていたから(笑)、コーラスを任せてもらえたのはすごくうれしくて。今まで以上に「私は自分たちの歌、わーすたの歌を歌っているんだな」って実感できました。
――あと、繰り返しになっちゃうんですけど、みなさんは「春花火」を通じて、同世代の人たちや、なんとなれば年長の人たちの別れや出会いにエールを贈っている。
一同 はい。
――それってある意味、誰かの人生を人生の1ページを引き受けることだと思うんです。ちょっと意地の悪い質問になっちゃうんですけど、ぶっちゃけた話、それって重たくないですか?
松田 素直にうれしいですね。誰かの支えになることってアイドルだからできることだし、私たちがアイドル活動をする上での一番のモチベーションになっていますから。それに誰かのためになにかができるってこの上ない幸せだと思うので。「わーすたのおかげで一歩踏み出せたよ」って言ってもらえるなら、どこまでもその人を応援したいですね。
難しかったからこその達成感があった「Congrats!」
――そしてカップリング曲は一転……
坂元 明るい曲が待っている(笑)。
――タイトルからして「Congrats!」(=おめでとう)ですからね(笑)。そして作曲・編曲は岸田さんで、作詞は園田健太郎さんです。
廣川 園田さんには去年の11月にリリースした『What’s “standard”!?』というミニアルバムの「ハロー to the world」という曲の作詞をしていただいて以来ですね。
――だから今回の『春花火』って今のわーすたチームの方向性を全部乗せしたシングルなのかな? という気がするんです。初めましてのヒグチさんや、去年から作家陣に加わった華余子さんや園田さんを迎えているから。
廣川 楽曲のプロデュースにかんしては岸田さんに先頭に立って指揮をとってもらっているし、岸田さんがヒグチさんとコネクトしてくださったりもしているので、岸田さんはそういうモードなのかもなあ、という気はします。ただ、確かにバンドサウンドをベースにした『What’s “standard”!?』でわーすたのことを知ってくれた方がたくさんいたので、そういう方々を引き続き楽しませたいという気持ちは私たちの中にもあって。それを裏切らないサウンドになったかな、とは思っています。
――ジャイヴというか、跳ねるリズムのロックンロールだし、まさに『What’s “standard”!?』の先にある楽曲です。ただ、この曲もこの曲でカッコいいんだけど、歌うの大変だろうなあ、っていう気がするんですけど……。
三品 大変でしたっ!(笑) 園田さんにいただいた前作の歌詞もそうだったんですけど、符割が本当に難しくて……。
――「Congrats!」のBメロの符割と言葉のハメ方なんか、本当にすごいですもんね。あえてあり得ないところで単語やフレーズをぶった切ることで、言葉の意味を消失させて、聴感上の気持ちのよさだけを際立たせている。だから歌う人はどういうお気持ちだったろう? と気になったんです(笑)。
廣川 最初にデモをいただいたときは「これ合ってる?」ってなりました(笑)。
三品 だからとにかく聴いて覚えるしかないんだけど、聴けば聴くほど間違いなくなっていくんですよ。この符割しかないって(笑)。そのBメロの〈Hey! 調子以上の大志を抱いてよ〉のところとか、本当に調子に乗って歌えるので、めちゃくちゃ楽しいんですよね。
廣川 あと、曲もアイドルっぽくないですし。
――アレンジはワイルドというか、ちょっと泥くさくすらありますよね。
廣川 それをわーすたが歌うとどうなるんだろう? って想像がつかなかったし、このリズムと音符の中にこれだけの言葉数を詰め込んだらどうなるかわからなかったし、実際難しかったんですけど、だからこそ歌えたときは本当に気持ちよくて。もうライブでも披露しているんですけど、この曲を歌うと会場に一体感が出るので、新しいテイストの曲をもらえてうれしかったですね。
松田 あっ、私、楽しく歌えちゃったかも。
一同 あはははは(笑)。
松田 難しいのは確かに難しいんですけど、アップテンポの曲は歌いやすいタイプなので、わりとノリでイケちゃったんですよね。「おめでとう」っていう感じが歌声に乗ったらいいな、と思ってレコーディングしていたら、スタッフさんに「楽しそうだね」「でもちょっとテンションを上げ過ぎちゃうと、ほかのメンバーと足並みが揃わなくなるから、ちょっと抑えめにしてみようか」って言われました(笑)。
小玉 でも「おめでとう」の気持ちは本当に大事だな、と思っていて。たとえば誰かの誕生日ってほかの人にしてみたら、ただの普通の日じゃないですか。
――そうですね。
小玉 でもアイドルをやっていると、自分の誕生日を本当にたくさんの人に祝っていただけて。毎年誕生日のたびに「みんなにとってはなんでもない日なのにありがたいな」と思っていたから、いつかほかの誰かの誕生日やおめでたい日も祝福したかったです。だからこういう曲をいただけたのはすごくうれしかったです。ひとりひとりに「おめでとう」を言える機会はないけど、この曲を通じて私がこれまでに味わってきたうれしさや祝福される気持ちを少しでも返せたらいいな、って。
坂元 だからって明るすぎないのも新鮮だし、今のわーすたらいしな、とも思いました。タイトルを聞いたときは「クラッカー、パンパーン!」みたいなすごいハッピーソングが届くんだと思っていたんですけど、この曲ってAメロ、Bメロはすごくテンションが高いんですけど、サビはちょっと落ち着いていて。それがただ明るいだけじゃない感じがして、すごく心地いいんです。今は難しいかもしれないけど、いつかみんなでカラオケに行って全員でクラップしながら大合唱みたいな楽しみ方をしてもらいたいし、私たちのライブでもみんなで手を叩きながら楽しんでもらいたいな、と思っています。
――ただ、今のご時世、そのライブもなかなか開催しにくい状況にありますよね。
松田 できることならツアーに行きたいんですけどね。SNSをやっていると待ってくれている人が全国、それから海外にもいることが目に入ってくるので。
小玉 これまで全国はもちろん、海外でも定期的にライブをさせてもらっていたので1年以上、それができていないのはすごく寂しいですね。
三品 ライブができないのは本当に苦しいから、ライブをしたいな、っていうのが今の一番の夢かもしれない。
坂元 有観客ライブとなると、会場に入れる方の人数にも制限があって満員のお客さんの前ではできないし、だから私たちもオンラインライブをしたりもしているんですけど、もういっそのこと誰も来られないような場所で配信ライブをやってみたらいいのかもしれないですね。すごいただの思い付きなんですけど(笑)。
――いっそのこと山奥あたりとかで?
坂元 そういう場所でもいいですし、あとはテレビの撮影スタジオみたいなところでリアルタイムでCGを混ぜてみたり。
廣川 ファンの方もいい意味で諦めてくれるよね(笑)。ライブハウスでオンラインライブをやると「行きたかった」っておっしゃってくれるファンの方もたくさんいて、私たちもその人たちに観てもらいたいっていう気持ちになるんだけど……。
――現場がよくわからない山奥や、テレビ・映画のスタジオなら「どこに行けばいいんだかよくわからないし、配信で楽しむか」といい意味で割り切ってくれる、と(笑)。
廣川 そうですそうです(笑)。あと、わーすたはもともと「ワールドスタンダード」の略語……海外にも発信していこうっていうコンセプトのグループということもあって、今もInstagramでメンバーそれぞれ外国語でメッセージを発信したりしているんですけど、そうやってネットを活用するのであれば、これからは海外の言葉で歌を届けてみても面白いのかもしれないですね。
メンバーがジャッジ! ホワイトデーのプレゼント、これはアリ? ナシ?
――で、すみません。ここからはちょっとアドバイスをいただいきたいんですけど……。
松田 アドバイス?
――来たるホワイトデーにはどんなものをプレゼントすると喜んでもらえるのか、ジャッジしてもらえればな、と。なにかにそっくりなデザインのスイーツを3種類用意したので、ホワイトデーギフトはどこまでふざけていいものか、ご判断ください。まずはリップグロス型のアメなんですけど……。
廣川 私、これ一度もらったことある! めちゃくちゃうれしかったから、今も覚えてます。
坂元 へっ!? これ食べ物なの?
廣川 シンプルにコスメだと思ってた?
坂元 うん。かわいいグロスだなって(笑)。
松田 パッケージがホントにコスメみたいだもんね。
三品 で、これ、どうやって食べるの?
廣川 このチューブから直接吸ってもいいし、アメっていっても硬いアメじゃないからヨーグルトにかけてもいいし。私、トーストにかけて食べてたよ。
三品 それいい! 直接吸うのはちょっと……と思ってたけど。
小玉 あと、なんかこれ、太らなそうだよね?
松田 確かにカロリーなさそう。
――いや、どんなにおしゃれなデザインであっても、アメだし、カロリーはありますって(笑)。
坂元 でも「甘い物を食べちゃった」って罪悪感は湧かなそう。
廣川 そういう意味でもこれを贈る人はセンスあるな、と思います(笑)。
――続いてご用意したのは、ラーメンと握り寿司を模したケーキです。
一同 これいいっ!
――あれっ? ここらへんから「大人が悪ふざけしてるよ」って思われると思っていたんですけど……。
坂元 めっちゃ好きです。
小玉 食べたい。
松田 うん。ただ、わーすたには昔から「わーすたは食べられるものはなんでも大好き説」というものがありまして……。
――どんなデザインであれ、ケーキが嫌いなわけないじゃないか、と(笑)。
松田 残念ながらその傾向が……(笑)。
三品 でも、さっきのグロス型のアメと違って、贈る人と贈られる人の距離感はちょっと考えてほしい気はしますね。
小玉 友だちからもらったら「面白い人だな」ってなるけど……。
廣川 あんまり付き合いの深くない人からもらったらビックリすると思うし、逆にこっちが気合いを入れて作った本命チョコのお返しがこれだったら「あれっ? どういうこと?」ってなりそう(笑)。
――けっして安いものではないし、美味しいからこそ、同じケーキを贈るにしてもなぜラーメン型を選んだのか? 送り主のコンセプトを図りかねそうですね(笑)。
松田 逆にこれだから喜ぶ人もいると思いますし。
坂元 うん。私、ほぼ初対面みたいな人にこれを渡されたら、めちゃめちゃ仲良くなれる気がする(笑)。
三品 なので義理ならアリなんじゃないですかね?
廣川 それかこのケーキでビックリさせたあと、「実はもうひとつ渡したいものがあって……」って感じで本気度の高いチョコとかが出てきたら、どっちも美味しいし、点数上がりそうですよね。
――そして最後にご用意したのが、リアルなワニ型のチョコレートです。
小玉 ……すごいな。
坂元 これはちょっとイヤだなあ(笑)。
松田 私、これ好き(笑)。
三品 私もワニならイケるかな。
松田 これが幼虫型とかだったら怒ると思う(笑)。
――ギフトアイテムを検索していると、実際ありますよ。食用に飼育されたバッタやサソリをチョコレートコーティングしたスイーツ。
小玉 チョコの中に虫がいるってことですか?
――はい。虫の形はしていないけど、チョコのかたまりの中に虫はいるみたいです。
坂元 それなら、大丈夫かな。
三品 うん。
松田 えっ!? バッタだよ? これは形はワニの形のチョコだけど、それはチョコの中にバッタがいるんだよ!?
三品 でも「食べられないですか?」って聞かれたら、バッタくらい食べられるよ。
――出た。「わーすたは食べられるものはなんでも大好き説」(笑)。
松田 いや、これは違います! バッタは無理!
小玉 私も見た目だけリアルなほうがいい。
――廣川さんは?
廣川 バッタはもちろんダメだし、実はこれもちょっと……。動物の表皮みたいなブツブツ系がダメなんです。だからこれも贈る相手によるんじゃないですか? 私は苦手だけどは虫類が好きな子になら……。
三品 私、トカゲ好きだよ。
廣川 そういう子に贈れば「私の趣味をちゃんと知ってくれてたんだ」って喜んでもらえると思いますし。
坂元 あと私もそうなんですけど、ちょっと怖い物みたさみたいな興味のある子もいると思う。ネットなんかでこういうチョコがあることは知ってたんだけど、ちょっと手を出しにくかったところに、これをプレゼントしてもらえたら「一度見てみたかったし、食べてみたかったんだよね」ってちょっとテンションが上がりますね。
廣川 次の年まで「去年、ワニくれたよね」って話のタネにはなるよね。
三品 だからホワイトデーのプレゼントは相手との関係性を見極めることが大事なんだと思います(笑)。
new single『春花火』
2021.03.03 RELEASE
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ライター
成松哲
1974年、大分県生まれ。フリーライターから音楽ナタリー編集部を経て、再びフリーライター。著書に『バンド臨終図巻』(共著。河出書房新社/文春文庫)など。