2023年2月に東京・大阪で計10公演が行われるオフ・ブロードウェイミュージカル『Ordinary Days』。ニューヨークに住む男女4人がふとしたきっかけで出会い、関わっていくというストーリーですが、その中で「アーティストを目指しつつ、道行く人に格言を書いたフライヤーを配っている青年」ウォーレンを演じるのが、GENICの小池竜暉さん。ミュージカル初挑戦となる彼に、舞台の見どころや意気込みを伺いました!
夢に向かって進む姿が、過去の自分に重ねられるウォーレン
──確認なんですが、これまで演技のお仕事というのは……
小池 初めてですね。ミュージカルだけじゃなくて、演じるということが初めてです。
──その初めてがミュージカルになって、最初はどういう気持ちでしたか?
小池 僕自身、以前から演じるということには興味があったので、今回はミュージカルという形で、自分がすごく好きな歌というものを最大限に引き出しながら演技をさせていただけるということで、すごく自分に合っていると思うんですね。最初にいただける演技のお仕事としては、すごくうれしかったです。
──これまでミュージカルというものについてはどういう認識ですか?
小池 普通の舞台も見てきたんですが、ミュージカルというのは音楽に落とし込んだ演技、音楽で伝える物語がその良さだと思ってて、後ろで鳴ってる音楽とかも合わせて、歌だからこそ伝わるものがあるので、また別物だなというのはすごく思っていました。有名な作品とかアニメが原作のミュージカルなどを、これから改めて見ていきたいなと思ってます。
──この取材の時点では、年明けに稽古が始まるまでちょうど1ヶ月という時期です。今はどういう段階なんですか?
小池 アメリカで上演されていた台本の翻訳をいただいて読んでいるところです。そこから音楽に合わせて、日本語の歌詞になっていくので、今の段階では言葉を入れすぎないようにしています。そっちに慣れすぎると、自分がうまく表現できないような気もするし、やっぱり自分の中に落とし込んだウォーレンというものを演じたいなと思っているので、よくも悪くも入れすぎないという感じです。
──歌詞の形になるとまた違うでしょうからね。物語全体についてはどういう印象ですか?
小池 普段過ごしている日常の中で思うことと重なる部分がすごく多くて、日々のちっちゃなこと、普段は気づけないようなところが散りばめられているなと。知らない人だと思っていても、人間関係ってどこでつながるか分からないし、そういう日々の奇跡を拾い上げていくような、あったかい物語だなと思いました。すごく小さなところに希望が感じられて、自分を見つめ直せるような作品になるんじゃないかなと思います。
──その中で小池さんが今回演じるウォーレンについては?
小池 自分に似てる部分もあるなとは思います。ウォーレンは夢追い人でアーティストを目指していて、僕は現状アーティストとして高みを目指しているというところで。志とかは昔の僕とウォーレンとでは違うんですけど、「もしかしたらこういう自分もあったりするのかな」と思ったりもするので、いろいろ重ねながらウォーレンの役をやっていきたいなと思います。読んでいて、ウォーレンはいろいろ「若いな」と思うところもあるので、楽しみながらやれるんじゃないかと思います。
──ウォーレンは、目指すものはあるけど、まだ方向が定まっていないという感じだと思います。そういう時期もありましたか?
小池 不安定な時期はあったと思いますね。僕は今GENICの一員としてやらせてもらってますけど、以前にやっていたグループの時は、まだ若かったこともあり本当にただ漠然と渦に巻き込まれて、自分の意志も今ほどないまま、グループの中でやっていたという感じだったんです。そういう意味では、そのときの自分と重なるものがあるのかなと思うので、この物語の先のウォーレンも見てみたい気がします。
──今のGENICでの小池さんは、曲も書いているし、グループの中心にいますよね。今のその姿を見ていると、道が定まっていなかった頃が想像つかない気がします。
小池 でも、その時期があったからこそ、今の自分があるという気がすごくしますね。ただ漠然と夢を追っているのか追っていないのか……という時期があったからこそ、今は明確に目標を目指してやっていけてるのかなと。
──この作品のウォーレンも、この先に何かを見つけていくんだろうなという感じですよね。
小池 そうですね。人との出会いを通して視野が広がっていく、そういう物語にもなってくると思うので、そういう意味ではこの先、描かれない部分を想像してみたら面白いんじゃないかと思います。
──小池さん自身にとって大きかったのは、GENIC、そしてその前のa-genicの時期ですか?
小池 前のグループが終わってから、a-genicのオーディションが始まるまで約1年の期間があったんですね。そこが僕にとって一番大きかったポイントです。ただ何もなく、このままグループにいれば上に行けるんじゃないかという浅はかな気持ちでいた時期が急に終わって、1人になって何ができるんだろうという時に、自分の実力を上げなきゃということに改めて気づいて曲作りを始めたりした時期なので、そこが分岐点になったのかなと思います。
──その期間にちゃんとそういうことができたというのはすごいですね。少なくとも、ウォーレンのように闇雲にフライヤーを配る日々を送っていたわけではないと(笑)。
小池 そうですね(笑)。今思うと、あの期間があって本当によかったなと思います。
──ただ基本的に、ウォーレンに対して共感できる部分はすごくあると。
小池 はい。そういう部分も持ちつつ、これから先も楽しみだなと。
演技の仕事もGENICの活動も……2023年はさらなる飛躍の1年に!
──ところで「歌」という点で、グループで歌うのと、ミュージカルの舞台で歌うのとではいろいろ違いますよね?
小池 ミュージカルの歌の練習もこれからなんですけど、たぶん違うんじゃないかと思います。ウォーレンとして、どういう歌声に落とし込んでいこうかということをこれから考えたいと思うんですが、いろいろとミュージカル作品を見ている中で、意外と飾らないで歌えばいいのかなと思ったりはしています。意外と自分を出してやってみてもいいのかなという気持ちもあるんですが、そこは稽古をやっていきながら掴んでいきたい部分ですね。プライベートでオペラのレッスンも少しかじっていて、分厚い声も少し出せるようになってきたので、そのあたりも混ぜながら、試しながらやっていきたいです。
──オペラもですか!
小池 この1年ぐらいですかね。ボイストレーニングの中に混ぜてやっています。けっこう喉が開いてお腹で出せるようになってきたので、歌声を立て直す時とかに使ってたんですけど、今回はわりとそこで学んだものが使えるんじゃないかと思って、ワクワクしてます。
──では、もともと持っていたけど、GENICでは見せていなかった部分も今回出せる?
小池 そうですね。だからGENICのファンの方も楽しみにしてほしいです。
──ミュージカルというと「歌い上げる」みたいなイメージが強いですが、それだけでもなさそうですね。
小池 タイトルが『Ordinary Days』というだけあって、「ほら見ろ!」という感じでもなくて、わりと日常の中に音楽を乗せて、それをゆっくりと伝えていくというか、楽しみながら聴いていただくという感覚の方が今回は近いかなと思います。
──共演の方たちとはもう会われたんですか?
小池 まだちゃんとお話しさせていただいてはなくて。それも楽しみなんですけどね。
──では、ダブルキャストでウォーレンを演じる中本大賀さんとも?
小池 まだちゃんとはお会いしてないです。逆に、顔を合わせることもそんなにないのかなとも思っていて。僕らは完全に同じパートをやることになるので、会う機会があるのかはまだちょっと分からなくて。
──そうなんですね。でもダブルキャストで同じ役を演じる人がいるという感覚ってどうですか?
小池 見る側として考えると、僕も面白いなと思います。同じウォーレン役ですけど2通りあるというか、たぶんけっこう別物になると思いますね。ダブルキャストのミュージカルを両方見させてもらったこともあるんですけど、やっぱりお互いで違いますし、語気の強め方とかニュアンスとかも変わってくるので、中本さんがどう演じられるのか、彼のウォーレンがどういうものになるのかというのも含めて、楽しみですね。
──物語の中で好きな場面は?
小池 やっぱり最初の、フライヤーを配っている場面が印象的すぎますよね。夢追い人としての下積み感もあり、でもまだ漠然としていて、本人ですらこれでいいのかが分かっていないというか。ただガムシャラに闇雲に、「これでいいのか」と自問自答するヒマもないぐらいに、正しいと思って道行く人々にフライヤーを配っているというところが印象的ですね。
──あそこはウォーレンがどういう人物かをパッと印象づけるシーンですからね。
小池 あとは人々と出会っていくシーンですね。こういう作品の醍醐味ですけど、それぞれ別軸で人生が進んでいく中で、それが交わる瞬間は、すごく心が温まるというか、いい場面だと思います。
──アーティストと違って、集中的に10公演を行うわけですが、今の段階で本番に向けて楽しみなことというと?
小池 やっぱり、どういう反応をいただけるのかなというところが、率直に楽しみですね。まだやっていない段階なので、どうなるかは分からないですけど、自分が演じたウォーレンとか、作品全体が皆さんにどう受け取られるのかというのは本当に楽しみです。今までは歌って踊って曲を作って、ということだけをやってきたので、それ以外のことでお客様にどう受け取っていただけるのかはワクワクします。
──逆に、あえて不安なところを挙げるとすれば?
小池 やっぱり未知の世界なので、これからの稽古も通して自分の知らないことがいっぱい出てくると思うんですよね。そういう部分に関しては、ワクワクももちろんありつつ、「どうなるんだろう?」という不安もあります。
──演技という面では、GENICの中では増子敦貴さんがいろいろと活動されていますよね。
小池 そうですね。先日も彼がやっているミュージカルを見に行かせていただいて、彼からはすごく刺激をもらってます。その作品もダブルキャストで、もうひと方の分も見させていただいて、すごくいろいろ吸収させていただきました。
──ご自分の出演が決まるまでは、増子さんの活動をどう見ていたんですか?
小池 僕も歌って踊ってというのはやっていますけど、それにプラスしてそういった活動を同時進行しているというのは、本当に尊敬の念を感じさせられます。それぞれをやっているひとは多いですけど、それを同時進行できているというのは本当にすごいなと。GENICのリハが終わった後に彼だけ舞台の稽古やドラマ撮影に行ったりという日も多いので、いつ寝てるんだろうと思います。舞台やTVで演じている部分と、GENICとして歌って踊っている部分で、脳を切り替えていかないといけないと思うんですよね。それを何年もやっていて、多少は慣れてきてもいると思うんですけど、単純にすごいなと思いますね。
──小池さんご自身も、これを機に今後も演技や舞台の仕事をやっていきたいですよね?
小池 はい。これからやらせていただくためにも、ここで名を轟かせていきたいと思います。
──すごい意気込みですね(笑)。
小池 ちょっと強気に出ようと思って(笑)。
──いいことだと思います(笑)。この方面での夢はありますか?
小池 まあ、まだ実際にやってもいないので、稽古や本番で自分の演技がどうなのかにもよりますけど、演じること自体はけっこう好きだと思うんですよね。今回終えてみて、自分が「好きだな」「もっとやってみたいな」と思ったら、どんどんアピールして、ミュージカルだけじゃなく舞台や映像にも出させてもらえるように、演技という面でも力を入れてやってみたいと思います。
──今回はどういう部分に注目してほしいですか?
小池 カップル2組の物語なので、それがどういうことになっていくのか、というところを一番見てほしいですね。僕個人という点では、ガムシャラ感、無邪気に頑張っている感じというのがウォーレンの個性でもあるので、そこをどう表現できているかを見てもらいたいです。
──2022年の残りは稽古の準備で過ぎていきそうですが、改めて今年、2022年は小池さんにとってどういう年で、さらに2023年はどうしていきたいですか?
小池 GENICとしても2回のツアーを回らせていただきましたし、ファンの方々……僕らは「GENImin」と呼ばせていただいてるんですけど、その方々といい温度感を作れてきた1年だったかなと思います。来年はそれをさらに爆発させて、もっといろいろなところにGENICをお届けできる環境を作っていきたいですね。この「Ordinary Days」もしっかりとやって、またその1~2週間後には4thツアーが始まるので、そのリハとかも並行して行っていくと思うんですけど、この新たにいただいた個人活動にもちゃんと力を入れつつ、4thツアーは16ヵ所を回らせていただくので、いろんなところにGENICの魅力をお届けできるように頑張っていきたいです。そしてまた夏はさらに幅を広げて、GENICとして大成していけるように頑張ります。
──2023年も楽しみですね。ありがとうございました!
オフ・ブロードウェイミュージカル『Ordinary Days』
【公演時期】
2023年2月8日(水) ~ 12日(日) ※ 全8公演/東京・俳優座劇場
2023年2月18日(土) ※全2公演/大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【チケット料金】
全席指定 11,000円(税込)
※2月8日(水)18:30プレビュー公演は500円引
※ご購入後の返金・クレーム及びお席の振替は一切お受けできません。予めご了承ください。
【一般発売日】
2023年12月25日(日)10:00~
【演出】 田中麻衣子
【作詞・作曲】 Adam Gwon
【訳詞】 藤倉 梓
【音楽監督・ピアノ演奏】 落合崇史
【出演】
相葉裕樹
夢咲ねね
斎藤瑠希(Wキャスト)・浜崎香帆(Wキャスト)
小池竜暉(GENIC)(Wキャスト)・中本大賀(円神)(Wキャスト)
公式HP:https://ordinarydays.jp/
公式Twitter:@ordinarydays_jp
【小池竜暉(GENIC)Twitter】
https://twitter.com/ryuki_genic
【小池竜暉(GENIC)Instagram】
https://instagram.com/ryuki_genic/
【GENIC OFFICIAL WEBSITE】
https://avex.jp/genic/
【GENIC OFFICIAL Twitter】
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【GENIC OFFICIAL Instagram】
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【GENIC OFFICIAL TikTok】
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【GENIC from a-genic PROJECT YouTubeチャンネル】
https://www.youtube.com/channel/UCvCtSa1pWNTC0GnnkhbJw-w
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。