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大森靖子

【ナナ週連続インタビュー第3弾!】孤高の生き様を曲に入れなければ【「瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん)」(相坂優歌)】

2021.06.04
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音楽
インタビュー
大森靖子さんデビューナナ周年記念ナナ週連続インタビュー企画第3弾! 今回のテーマは、相坂優歌さんに提供した「瞬間最大me」。声優からの依頼を受けての楽曲提供に、どういう作業を経て、どう応えたのか? 今回は大森さんの「楽曲提供」についての考え方も、さらに掘り下げられています。


スタッフが熱弁!? 制作依頼時の仰天エピソードとは?



──ナナ週連続インタビュー、今週は相坂優歌さんに提供した「瞬間最大me」についてです。以前から、自分でも気に入っている曲だと公言していますね。 

大森 めちゃくちゃ気に入ってます。まず、声優さんやアニソンシンガーさんに曲を書いたことがなかったから、楽しくて。
 
──自身の曲がアニメ主題歌になることはこれまでも何度かあったと思いますが、それともまた違うわけですか。
 
大森 やっぱりアニソン直系の歌い方とか、仕組みとか、いろいろありますからね。そこを分解して考えるのもけっこう好き。
 
──大森さんの歌には「漫画」や「映画」といったフレーズもよく登場しますが、「アニメ」はそれらと少し違いますか。
 
大森 違いますね。違う……というか、アニメってけっこう見てはいるんですけど、「見てる」となかなか言いにくいカルチャーじゃないですか。
 
──それはサブカル特有の「私ごときでは語れない」みたいな謙虚さで?
 
大森 完全にそれ(笑)。そんなに見てない人が「ハルヒ(「涼宮ハルヒの憂鬱」)が~」とか言ってると、「私のほうがハルヒ見てるのにな」みたいなこともけっこうあるんですけど。ただ、アニメって、ホント好きな人はやばいぐらい好きじゃないですか。私は自分が19~20歳の頃、アニメ発のオタクカルチャーがニコ生とかそういったものの派生文化として一気に流行りだしたノリをいちおう体験してるんです。当時、引きこもってたので。あのときって「リア充(笑)」とか「スイーツ(笑)」とか、逆におしゃれなものを嘲笑する空気じゃないですけど、ちょっと価値観が逆転しましたよね。
 
──アニメカルチャーがどんどんメインストリームになっていった時期ですよね。
 
大森 そう、そんなターンで。今はまた違うターンだと思いますけど、あのときは「3次元より2次元のほうが世界が広いってこともあるんだ」とか、そんなことを思ったりもしました。
 
──それゆえアニソンへの思い入れもあるわけですね。声優である相坂さんからの依頼は気合いも入ったんじゃないですか。

大森 入りましたね。つくる前に相坂さんと話して、ヒヤリングする機会をもらったんです。「どうして私(大森)に頼んでくれたんですか?」って聞いたら、たしか相坂さんのスタッフさんがすごくおもしろかった記憶が……。
 
──大森さんがゲスト出演した相坂さんのラジオ番組で、そのエピソードを聞きました。たしかスタッフさんが相坂さんの想いを熱く代弁するんですよね。
 
大森 そう、「相坂はこういうことを考えてて、こうでこうなってこうだからこうなんですよ!」みたいな。そしたら、スタッフさんの熱弁が終わったタイミングで隣りの相坂さんが、「……違います(キッパリ)」って(笑)。

──ハシゴを外されて(笑)。相坂さんはすごく大森さんのファンで、ファーストアルバムでどうしても大森さんに曲を書いてほしかったと話していましたね。そうやって大森さんに熱い気持ちをぶつけてくる方は、けっこういるんじゃないですか。
 
大森 でも、相坂さんのように完全なる実力を身につけた状態で、「歌う権利を獲得しました。曲をつくってください」と言ってくださるケースはなかなかないですよ。曲づくりの参考に、彼女の秘密の日記というか、ブログも送ってくれたんです。人のブログを読むの大好きなので、めっちゃ嬉しくて。しかも、それが彼女の部屋を覗いてるみたいないいブログなんですよ。


大森靖子流・「楽曲提供」の極意!



──その内容は歌詞にも多少反映されているんですか。

大森 されてます。もともと音楽が好きで声優さんになった人なんですよね。もちろんアニメも大好きなんですけど。だから、音楽にかける思いも強くて、周りの声優さんともちょっとノリが違っていて、孤高感みたいなものがあるんです。それがかっこよくて。私みたいな人間が「孤高」とか言っても、案外普通じゃないですか(笑)。でも、相坂さんみたいな、一見ふんわりとした、きれいでおしとやかな感じで、でも心の内で孤高を抱えているっていうのが素敵だなと。
 
──それを聞くと、まさにオーダーに100パーセント応えた歌だなと。声優とかアニメといった相坂さんをとりまく世界と、そこを生きる彼女の生き様が見事に昇華されている。

大森 私が「フォークシンガー上がり」っていうもあると思います(笑)。生き様を曲に入れなければ、みたいな。声優ってホント大変だと思うんですよ。いろんなキャラクターを自分に取り入れるじゃないですか。それが一つ一つカルマになるというか、それらを裏切らない生き方をしていかなきゃいけない職業なわけで。
 
──俳優ともまた違いますよね。
 
大森 重ねるのが人でもなく、作品ですからね。いろんな作品を背負って生きていかなきゃならない。だから、たまに声優さんで生身の部分がポロッとあふれ出てしまって、必要以上に炎上してしまったりするケースもあるじゃないですか。でも、私はそういう瞬間って、「やっぱり人間だなー!」と思って大好きなんですよね。
 
──楽曲提供をするときは、相手のファンの人たちの反応も気になるほうですか。
 
大森 気にします。「瞬間最大me」は、いろいろコメントなんかを読むとファンの方たちにも評判が悪くないというか、「曲がいい」ってめっちゃ褒めてくださることが多くて、嬉しかったです。私、曲をつくる前にも、いちおう相手の名前でめっちゃサーチするんですよ。
 
──ファン層のリサーチをするわけですね。
 
大森 その人のめっちゃファンみたいな人のブログを読み漁ったりとか、どんな曲が好まれているんだろうとか。あと、ファンが嫌がることとかもあるじゃないですか。そういったことを一通り調べておくんです。
 
──先ほどの相坂さんのラジオでは、歌詞の「からだがあるからいたい」っていう一節で、「いたい」の表記を大森さんが漢字で「痛い」としていて、相坂さんのほうから平仮名で「いたい」に変えてほしいと言ったエピソードも語られてました。
 
大森 あ? ……そうでしたっけ? 覚えてない(笑)。
 
──相坂さんが「私から平仮名にしてほしいってこだわっちゃって、大森先生に本当に申し訳なかったです」って言うんですけど、大森さんは「全然どっちでも大丈夫ですよ~!」って(笑)。
 
大森 あ~、言いそう(笑)。だいたい曲の1番って、リズムとか言葉のノリとか連想ゲームみたいにつくることが多いんです。「いたい」「痛い」「遺体」「会いたい」みたいな。だからそれを受けて、2番のAメロの歌詞のほうがよくできてたりすることもけっこうある(笑)。
 


神聖かまってちゃん・の子とのコラボは……




──曲のほうには、アニソンならではのポイントがあったりしますか?
 
大森 音の動き方で、けっこうありますね。アニソンの歌い手さんって、独特な技術があるんですよ。小さな声だけど叫んでいるように聴かせるとか、キーがすごく広いので、音符がすごく動いて高いところに飛んで戻る、とか。相坂さんはそういった技術もすごく持っている方なので、そこを使うようにしようっていうのはありました。高い音域に感情を乗せるとか。だいたい中音域に感情を乗せるんです。そのほうがライブで歌いやすかったりするので。でも、アニソンカルチャーの歌い手さんだと、高いところでも歌えるし、そのほうが映えたりするんですね。あとは、リズムとピッチをパキパキに合わせるのも得意だと思ったので、展開を速くしました。速いなかにも、質量とエネルギーとみたいなものをギュッと詰め込む。それが「今しかなさ」に繋がるっていうことを考えましたね。結果、すごくいい感じに歌いこなしてくださいましたよね。皆さんも歌ってみると音ハメが楽しいと思いますよ。
 
──実際、今回ご自身で歌ってみていかがでしたか。
 
大森 もちろん、すごく楽しかったですよ。あと、の子くん(神聖かまってちゃん)が喜んでくれたのもよかった(笑)。

 
──の子さんとは「非国民的ヒーロー」以来のコラボですね。
 
大森 編曲の大久保(薫)さんも、あのときから「靖子ちゃんと声が一番合ってるのは、の子くんのような気がする!」と言ってくれてて、今回も「絶対なんかの曲で、の子くんを呼ぼうよ!」って。たしかに私もかまってちゃんとの対バンでコラボすることがよくあって、めちゃくちゃ声の相性がいいなとは思ってたんです。ユニゾンの耳なじみがいいんですよね。あと、コロナ禍もあってあまり会えていなかったので、久しぶりに会いたかった(笑)。仕事なら会う機会がつくれるじゃないですか。で、それなら「瞬間最大me」しかないなと。「瞬間最大オレ」なので、の子くんは(笑)。
 
──ぴったりだ(笑)。間のかけあいも最高ですね。
 
大森 何パターンか即興で録ってて。2人でM-1出られるんじゃないかってぐらいおもしろかった。の子くん、基本的に家出ないじゃないですか。「そんなオレがわざわざ家を出てきたんだぞ!」って、それがどれだけすごいことかっていうのをどんどん重ねていくっていう(笑)。
 
──そこもぜひ注目して聴いていただきたいですね。
 
大森 あと、「非国民的ヒーロー」が5年前ぐらいですけど、の子くん、あのときより歌が上手になってますよね。「歌うまくなってない?」って言ったら、「歌ってうまくなるんだね! 知らないうちに」だって(笑)。でも、よく考えたら、かまってちゃんってずっとツアーを重ねてて、新作をつくって、実はすごくミュージシャンらしい活動を続けているバンドなんですよ。ライブでいいMCをして、かっこいい曲をやるっていう。こんなこと私が言うのも偉そうですけど、そこは先輩なので許してほしいんですが(笑)。



 
撮影 長谷英史


「瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん)」
2021.6.2 デジタルリリース




 

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キャンペーン期間:2021年5月21日(金)~ 2021年7月7日(水)
応募締め切り 2021年7月7日(水)23:59


<7(ナナ)週連続配信情報>
5月19日(水) 「Rude」(新曲)
5月26日(水) 「うんめー」(ゆるめるモ!)
6月2日(水)  「瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん)」(相坂優歌)
6月11日(金) 「夢幻クライマックス」(℃-ute)
6月16日(水) 「EIGAをみてよ」(道重さゆみ)
6月23日(水) 「°*。:° (*'∀`*) °:。* ぴかりんFUTURE °*。:° (*'∀`*) °:。*」(椎名ひかり)
6月30日(水) 「GIRL ZONE」(雨ノ森 川海)
 
<アルバムリリース情報>
タイトル:PERSONA #1(読み:ペルソナシャープワン)
発売日:2021年7月7日(水)
 
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九龍ジョー
WRITTEN BY九龍ジョー
ライター、編集者。大森靖子の著作『超歌手』『かけがえのないマグマ 大森靖 子激白』(最果タヒと共著)をはじめ、編集を手がけた書籍・雑誌・メディアなど多数。最近はYouTubeチャンネルの監修も。著書に『伝統芸能の革命児たち』、『メモリースティック』ほか。
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