大森靖子さんデビューナナ周年記念ナナ週連続インタビュー企画も、早くも後半戦の第4弾! 今回は℃-uteに提供した「夢幻クライマックス」についてのお話です。オリジナル制作時のエピソードはもちろん、「謎解き要素を説明するべきか問題」や今回のレコーディングにまつわる裏話も披露していただいています!
「作家としてきちんと評価されるようになったのはこの曲から」
──ナナ週連続インタビュー、今週の配信曲は℃-uteに提供した「夢幻クライマックス」です。YouTubeの概要欄に載っている大森さん自身のライナーノーツによると、楽曲の完成後に解散の発表があったため、歌詞を書き替えたそうですね。
大森 もとを辿れば、鈴木愛理さんがいた℃-uteさんとは別ユニットのBuono!さんで曲を募集していて、そこに向けて書いていた曲があったんです。そしたらディレクターさんが「これ、℃-uteにも合いそうだよね」と言ってくださって。鈴木さんの声を念頭において書いてたので、自然といえば自然なんですけど。ただ、℃-uteさんが卒業を発表したタイミングだったので、それに合わせた曲にしたい、と。それでメロディーは全残しのまま、歌詞だけぜんぶ書き換えたんですよね。
──メンバー全員の名前を、過去卒業した人も含めて盛り込んだ歌詞が見事でした。
大森 あれ、YouTubeのライナーノーツで説明していましたけど、最初、私としては、隠しコマンド的にファンの方に見つけてもらったほうが盛り上がると思ったんです。
──謎解きっぽくなりますもんね。
大森 でも、ディレクターさん的にはそこも説明した私のライナーノーツを載せたい、と。結果的にそれで正解でした。ちゃんと盛り上がったし、若い人たちやネットにいる人たちに対しては、意外とぜんぶ説明しちゃったほうがいいんだなって。それは今、ZOCとかをやってても思いますね。
──最近はそうみたいですね。NHKの「ザ・プロフェッショナル」で庵野秀明監督も「謎に包まれたものを喜ぶ人が少なくなってきた」と言ってました。
大森 説明しておかないと、よからぬほうに解釈を持っていかれちゃったりすることもありますからね。実際、そういうケースがあまりにも多かったので、「したくないけど、説明しなきゃいけないんだな」って思います。なので、「提供曲については、説明しなきゃいけないものについては説明する。ただし、大森靖子のソロ名義の曲では絶対にしない!」っていうことに決めました(笑)。棲み分け大事!
──結果的に、「夢幻クライマックス」はオファーに対し、完璧に応える曲でしたね。
大森 ホントこの曲からなんですよ、作家としてきちんと評価されるようになったのって。
──手応えありましたか。
大森 曲がいいってすごく言ってもらえました。ある人のイメージを歌詞で導くとか、状況を描くとか、時代背景をちゃんと詰め込むとか、その人のクセを利用してメロディーをつくるとか、それって普通の作曲家とはちょっと違う作業なんですよね。私はその作業について自分で天才だと思っていて。ただ、これが評価されることなんてないんだろうなと思ってたので、そこを褒めてもらえたのがめちゃくちゃ嬉しかったですね。
何とあの名器での演奏も! 「すげえ!これがあの●●●●か!」
──評価ポイントは、どこだったと思いますか?
大森 すべての文脈がマッチしたんだと思います。アイドルって、成長過程を応援したいっていうカルチャーでもありますよね。特にハロプロは、若い頃から大人になっていくさままでを見守って、応援していくっていうケースが多い。でも、℃-uteさんは無敵感というか、圧倒的に強すぎるっていうグループでした。例えば、同じ人を好きになって、相手がこの女だったらマジでいやだな、っていうのが全員! みたいな(笑)。女子から見てもそうだし、男の人から見ても「完璧だろ!」って思うような5人ですよね。でも、強すぎるのって、本来は曲を書くのが難しいんです。
──フックになるウイークポイントが見当たらないと。
大森 そう! 弱さのほうがセクシーにつながるし、人間的な魅力を出しやすいんです。でも、解散という「終わり」が決まってるのなら、強くて完璧であればあるほど、儚くなる。風俗嬢の人がお弁当屋さんをやる『ちひろさん』(安田弘之)って漫画に、「強くなりすぎた」っていう場面が出てくるんですよ。私、それがめちゃくちゃ好きで。「強くなりすぎる」ってこんなに色気があるし、優しいことだし、諦めることなんだとか気づかされたんですよね。それ以来、女性が「強くなりすぎた」っていう瞬間に憧れてて、ずっと描いてみたいなと。それが、タイミング的にピタッとはまったのが、この曲だったんです。だから、圧倒的にかっこよくて、圧倒的に踊れて、音もかっこよくバキバキで、「強いです!」っていう曲にすればいいと思いました。
──「同じ地球踏んでいられるわ」っていうフレーズも、力強くていいですね。
大森 そこはつんく♂さんスピリットを入れておきました(笑)。このときって、たしかもう道重(さゆみ)さんが活動休止中だった記憶があるんですけど、「でも、地球にはいるし」と思ってたんですよね。しかも、10年ぐらい生きてきた証しとしてのデータも残してくれてるんだから、さみしいなんて言っちゃダメだなと。だから、これから℃-uteさんの卒業を体験することになるオタクの人たちにも伝えたかったんでしょうね、「大丈夫! 彼女たちは同じ地球にいるから!」って(笑)。
──ピアノやストリングスも非常に印象的ですが、ショパンやベートーヴェンのサンプリングは、編曲の大久保薫さんのアイデアでしょうか。
大森 大久保さんと、あとハロプロのディレクターさんがこうしたらおもしろいんじゃないかとアレンジしてくださった感じです。もともとの歌詞が、ピアノ教室の話だったんですよ。自分よりもピアノの弾ける同性に憧れてて、でもその人が今の小さなピアノ教室から移ることになって、それが寂しいというかその人になりたいあまり制服を盗んでピアノを弾く、っていう。
──それもすごくよさそうですね。
大森 でも、最初に言ったような経緯でぜんぶ書き換えになってしまったので、ディレクターさんがクラシック要素を残してくださったのかもしれない。
──今回の大森さんバージョンでも、バイオリンが鳴きまくりですね。
大森 バイオリニストの石川綾子さんが、なんとストラディバリウスで弾いてくださったんです。
──そんな名器で!
大森 途中で知って、私もビックリしました(笑)。「すげえ! これが本物のストラディバリウスか!」って。しかも、初めてレコーディングに使用するっていうタイミングだったみたいで。
──それを聞くと、よりありがたみが増しますね(笑)。サポートの方たちへは、いつもどんなふうに要望を伝えるんですか。
大森 むちゃくちゃイメージを伝えますね。この曲ではないですけど、「男にひどいことをされてズッタズタになって、どうにも行き場がなくて、コンビニの明かりだけが私の希望、っていう気持ちでお願いします!」って言ったら、泣きながら弾いてくれたこともありました(笑)。
──今回、改めて自身で歌ってみて、いかがでした?
大森 ℃-uteさんのバージョンよりもキーを高くしてたんですよね。TK(小室哲哉)さんの、簡単には出そうにないキーを無理やり歌わせるのがセクシーっていう、私はあれ教に帰依しているので(笑)。この曲で言うと「(魂だけ)側においてね~」のところとか、あの苦しそうな感じをどう演出するかっていうのは、自分で歌ってみても楽しかったです。
──東京ゲゲゲイのMIKEYさんのラップもハマってますね。
大森 そうなんですよ。私、東京ゲゲゲイを知ったときから、いつかこの方達に会うことになるんだろうなって勝手に思っていたんです。そしたら今回、大久保さんから、参加してもらおうよってMIKEYさんの名前が出て、「やっぱり!」って(笑)。ぜひこの曲でラップしてもらいたいですってお願いしました。
──リリックはどのようにできあがったのでしょうか。
大森 大久保さんがMIKEYさんの声にあいそうなバースをすぐにつくってくれたので、私がその場でリリックとメロディラインを書いて、仮歌を入れました。それをMIKEYさんに送ったら、その日中に宅録デモを戻してくださったんです。もう、それが超かっこよくて。レコーディングには立ち会えなかったので、実はまだ直接お礼が言えてないんですけど、まずは音楽の運命線上で出会えたのが嬉しい。なによりMIKEYさんに歌ってもらうことで、私の対象外にされがちな乙女心がキラキラしたので感謝しています。
「夢幻クライマックス feat. MIKEY(東京ゲゲゲイ)」
2021.6.11 デジタルリリース
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キャンペーン期間:2021年5月21日(金)~ 2021年7月7日(水)
応募締め切り 2021年7月7日(水)23:59
<7(ナナ)週連続配信情報>
5月19日(水) 「Rude」(新曲)
5月26日(水) 「うんめー」(ゆるめるモ!)
6月2日(水) 「瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん)」(相坂優歌)
6月11日(金) 「夢幻クライマックス feat. MIKEY(東京ゲゲゲイ)」(℃-ute)
https://seikooomori.lnk.to/Dreamlike_Climax
6月16日(水) 「EIGAをみてよ」(道重さゆみ)
6月23日(水) 「°*。:° (*’∀`*) °:。* ぴかりんFUTURE °*。:° (*’∀`*) °:。*」(椎名ひかり)
6月30日(水) 「GIRL ZONE」(雨ノ森 川海)
<アルバムリリース情報>
タイトル:PERSONA #1(読み:ペルソナシャープワン)
発売日:2021年7月7日(水)
▼アルバムの詳細はこちら!
https://oomoriseiko.info/news/detail.php?id=1090837
▼ご予約はこちら!
https://seiko.lnk.to/PERSONA
【大森靖子オフィシャルサイト】
http://oomoriseiko.info/
【大森靖子Twitter】
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【大森靖子スタッフ Twitter】
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【大森靖子Facebook】
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【大森靖子YouTube】
https://www.youtube.com/user/oomoriseiko
【大森靖子TikTok】
https://vt.tiktok.com/Uv6TuT/
【大森靖子オフィシャルファンクラブ「実験現場」ご入会随時受付中】
https://seiko-gkn.com/
【大森靖子】「復活♡大森靖子カウントダウンライブ2024-2025」開催決定!
【大森靖子】ニューアルバム「THIS IS JAPANESE GIRL」収録楽曲より「ミス・フォーチュン ラブ」のミュージックビデオを公開!
【大森靖子】ニューアルバム「THIS IS JAPANESE GIRL」収録楽曲より「さみしいおさんぽ」のミュージックビデオを公開!
【大森靖子】「THIS IS JAPANESE GIRL」弾語りイベントのライブ映像を公開!
【大森靖子】9/18発売ニューアルバム「THIS IS JAPANESE GIRL」収録楽曲より「だれでも絶滅少女」のミュージックビデオを公開!
“大森靖子生誕祭2024”より「VOID」のライブ映像を公開!
ライター
九龍ジョー
ライター、編集者。大森靖子の著作『超歌手』『かけがえのないマグマ 大森靖 子激白』(最果タヒと共著)をはじめ、編集を手がけた書籍・雑誌・メディアなど多数。最近はYouTubeチャンネルの監修も。著書に『伝統芸能の革命児たち』、『メモリースティック』ほか。