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【FAKYダンスシングル三部作インタビュー Vol.2(後編)】ANTIDOTE(=解毒剤)をテーマにFAKYのリアルに迫る

2019.11.06
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三部作第二弾となるシングル「ANTIDOTE」を10月18日にリリースしたFAKY。前編は「ANTIDOTE」に込めた思いやレコーディングエピソードなどを中心に語ってもらった。
【FAKYダンスシングル三部作インタビュー Vol.2(前編)】「ANTIDOTE」Awichとのレコーディング秘話
https://avexnet.jp/column/detail.php?id=1000323

後編は、曲に「みんな強いふり」という歌詞が出てくるということから5人の内面にフォーカスし、人生でのつまづきや挫折、抜け出せない呪縛や葛藤を打ち明けてもらい、それを解毒する各自のANTIDOTE(=解毒剤)も赤裸々に語ってもらった。「フェイクなふりして、とことんリアル」な5人の生き様がそれぞれの言葉から感じ取ってもらえるはずだ。

——インタビュー後編は、ANTIDOTE=解毒剤がテーマになります。今回の曲には「答えのない迷路」というフレーズが出てきますが、5人それぞれ、これまでの人生で経験した挫折や抱えている葛藤、そして苦しさや辛さを乗り越えるための私なりのANTIDOTEを教えてください。



Mikako 結論から言うと、私はまだANTIDOTEは見つかってないです。その理由は、常に自分と闘っているから。ファンの方とかにSNSで「Mikakoちゃんは、自分と人を比べちゃうことはありますか?」っていう相談をよく受けるんですけど、「いや、気にしなくていいんじゃない?」って思うんです。なぜなら、絶対その人にはその人にしか出せないものがあると思っているから。自分もFAKYの中にいて、特別なものを持ってるとは思ってなくて。「自分はこれがすごいから!」っていうのは特にないんです。でも、ステージに立っていたら逆に自信しかない。その自信をつくっているのは常に自分を律しているから。食事制限とか運動とか、そういうことを”こうありたい”という自分のために意識しているだけなんです。

——FAKYの中で特別なものを持っていない、と話しましたが、それを引け目には感じたことはないですか? そのことで悩むとか。

Mikako もちろんあります。でも、「なんでこの人はできてるのに、私はできないんだろう?」と思ったことはなくて。「自分はできてない。ヤバイ。やろう」みたいな。だから常にチャレンジし続けてるっていう感じなんです。

Lil’ Fang すごいっす。さすが(笑)。

Mikako 常に向上心を持って生きたいから、自分の中で正解も作ってないし、答えもない。でも、嘘偽りなく生きていきたいんです。たとえば、Lilはこうだから、私もこうしようとか、そういうのは自分に嘘をついてると思うから。私は常に自分の弱い部分を強くしてきたんです。自分の強みを見つけろっていう人がよくいるけど、そんなの見つかるわけがないと思ってるから。逆に自分のコンプレックスは強みというか、自分にコンプレックスがあるっていうことは、あとはそれを伸ばせばいいだけだと思うんです。

——自分の弱点が個性になる。コンプレックスを抱えているということ自体が、MikakoさんにとってのANITODOTEなんでしょうね。

Mikako そうかも。弱いところがあるから、強くなろうと思う。それが日頃のモチベーションになってるんです。凹むこともあるし、今も壁ばっかりだけど、絶対それは乗り越えられると思ってるから。それで新しい自分に出会えるし、それが楽しいんです。

——Takiさんがこれまでの人生で経験したつまづきは?



Taki 私は、みんなが私をどんなふうに見ているのか、何を言っているのかを気にしてしまう人間なんです。良いことでも悪いことでも、人から言われた言葉をすごく覚えていて。それが自分を成長させる起爆剤にもなっているんですけど、何が正しいのかわからなくなることもあるんです。努力していても、いつも何か違うと思ってしまう。いつも自分が間違っていると思ってしまう。それが私を苦しめている呪縛というか、いつも不安に駆られるんです。

——その呪縛から解放されるためにはどのようなANTIDOTEが必要だと思っていますか?

Taki 私が私を愛していないから、不安になるんだと思うんです。自分と闘うことはいちばん辛い闘いだけど、辛いときは自分の部屋で枕を顔に当てて思いきり泣いて発散したり、海とか教会とか静かな場所に行ったりします。最近、家の近くに静かな公園も見つけたし。そうやって1人になれる空間でゆっくりと呼吸をして、心を静めさせて、自分を愛してあげること。それが私にとってのANTIDOTEです。

——続いてはAkinaさん、お願いします。



Akina 私はお父さんの仕事の都合で、小さい頃から沖縄、アリゾナ、カリフォルニア、東京といろんなところを転々としてきたんです。周りの環境に馴染む能力を求められるぶん、友だちを作ることはわりと得意だったんですけど、仲良くなってもすぐに引っ越しちゃうし、心を通わせるような深いコミュニケーションはなかなかとれなくて、みんなと完全につながることができなかったんです。

——Akinaさんはいつもニコニコしていますが、周りから嫌われないようにと考えて、笑顔を絶やさないようになったところもあるんでしょうか。

Akina そういうところはあると思います。こう言えば好きになってくれるんじゃないかとか、こうすれば嫌われないとか、そういうことを学んでいったんじゃないかなって。そのうちまた離れてしまうならって、相手に自分のことを理解してもらおうともしなかったし、今でも普段の生活で初対面の人と話すときにどこか自信が持てず、不安になることがよくあります。人が私をどんなふうに見ているかすごく気になっちゃって、どこか人が望む自分を演じてしまう自分もいる。本当はもっと素直に自分の感情を表せた方がいいんだろうけど。

——そんな不安を払拭するAkinaさんにとってのANTIDOTEは?

Akina ライブですね。ステージに立つとその不安が一切なくんなるんです。みんなが見たい私じゃなくて、私が見せたい私でいられるから。自分がどう表現したいかだけを表現できる場所だから。ステージは私が私でいられる場所。一番自信を持てる場所なんです。ライブで歌っていると、毎日の不安やストレスがすべて洗い流されているように感じるし、一切の曇りがなくなるんです。

——次は、Hinaさんが人生で経験したつまづきを教えてください。



Hina 私はそもそも、芸能の仕事がしたいことを 周囲に言うのにメチャクチャ時間がかかったんです。京都の田舎の出身だから、そういう華やかな仕事をしたいんだと言っても、真に受けてくれる人がひとりもいなかったんです。同級生からは「ひな、何言ってるの?」とも言われたし、親も「無理に決まってる」っていう環境だったから。結局、親に初めて本心を打ち明けたのは高校3年生。今後の進路を決めるときだったんです。

——結局、進路はどうしたんですか?

Hina 一般の専門学校に進学して、学校に行きながらオーディションを受けて、合格したら芸能の道に進もうと考えました。でも、専門学校に行くにもお金がかかるし、芸能の仕事を見つけるための手段として専門学校に行っていいのか?っていう葛藤があって。そこで初めて親に、本気で芸能界に進みたいから専門学校はやめて、バイトして生活するから、オーディションを受けさせて欲しいって打ち明けたんです。

——オーディションは結構受けたんですか?

Hina メッチャいろんなオーディションを受けました。でも受けてはダメの繰り返しで。

——挫折を味わいながらも、Def Willのメンバーとしてデビューの切符を掴みましたが、結成から2年程で解散してしまいました。せっかく夢に向かって進み出したのに……という悔しさもあったでしょうね。

Hina
 ありましたね。「私はこういう楽曲を歌いたい」とか「こういうのを踊りたい」っていう自分の意思よりも、周りに追いつくのに必死で。追いつこう、追いつこうとしている段階で、夢を掴む前に終わっちゃったっていう感じかもしれない。

——そんなHinaさんにとってのANTIDOTEはなんですか?

Hina 落ち込んだときや悩んだときは、基本、一人で家にいます。ずっと暗いまま、音楽を流してお香を焚いて、じっとしてるっていう。Def Willが解散になるかどうかっていうときは、今まででいちばん落ち込みました。そのときは実家に帰ったんです。Def Willが決まったから上京してきたし、Def Willがすべてだったから。それがなくなっちゃうかもしれないと思うと、ここにいられないと思って。

——どれくらい実家にいたんですか?

Hina 2、3週間くらいかな。そのときは地元の海を見つめながら悟りを開きました(笑)。

Lil’ Fang FAKYやばいな。みんな暗い(笑)。ひとりは夜中の公園にいるし、ひとりはお香を焚くし(笑)。

——そんなLil’ FangさんのANTIDOTEは?



Lil’ Fang 私は、人生半分以上が迷路なんですけど。学生時代は協調性というもの自体が分からなくて。女子あるあるの、「一緒にトイレ行こうよ」っていう会話の意味が本当にわからなかったんです。「なんで一緒に行かなきゃいけないの?」って思って、それを実際に聞いちゃうタイプだったから。今振り返れば嫌な奴ですけど、そういうことを隠せないタイプだったんで必然的に周りに人がいなくなり、中学校の頃はいじめられて不登校になり、もう学校なんて行きたくないと思って、高校進学も迷ったんです。

——結果、高校には?

Lil’ Fang 迷っていたときに父親に「行きたくないなら行かなくていいけど」って言われて、ある提案をされたんです。それで、「これはダメだ」と思ったんです。自分でつくったわけでもない逃げ道に行くのは違うし、後々、今の自分をかっこいいと思えない。そう思ったんで必死に勉強して高校に行ったんです。

——迷路脱出ですね。

Lil’ Fang でも、高校に行くことがゴールになっちゃってたから、そのあとハジけちゃって(笑)。そのときに親に何か1個見つけろ、何でもいいから夢中になれることを1個やれって言われて。たまたまカラオケが上手くて周りから誉められたこともあったから、歌でも習ってみようと思ってレッスンに通い始めたんです。でも人生をどこか軽視してるような子だったので、真面目に取り組むわけもなく、またガタガタと生活が崩れて。そんな自分が嫌になって。そんなときにちょうどソロでライブに出演したんです。300人くらいの会場だったんですけど、そのときに歌詞を全部忘れて歌えないという大失敗をおかしてしまい、それまでの人生で一番の恐怖を味わいました。
でも、その出来事があったきっかけで、迷路でひたすら彷徨っていたそれまでの自分を振り返って、一番怖かったことに立ち向かっていくことで、自分自身が変われるんじゃないかって、そう思ったんですね。そしたら、段々と人生が楽しくなっていって、変われたんです。だから、きれい事かもしれないですけど、私にとっては歌が解毒剤=ANTIDOTEですね。本当にそう思います。

——調子に乗って失敗することで学ぶタイプなんですね。

Lil’ Fang そうなんです。だから人生、迷路だらけなんです。1回、痛い目に遭わないとわからないタイプ。そういう意味では周りに恵まれているなと思います。特にMikakoには何回か「そっち行っちゃダメだ!「戻って来い!」って首輪を引っ張られてますから(笑)。

——飼い犬みたいですね(笑)。

Lil’ Fang まさに犬と飼い主の関係です。Mikakoはドッグランに1回は離してくれるんです。で、ワーッと私がかけずり回って、リードの伸びるギリまで行くとクッと引っ張られる。で、「すんませーん」って帰ってくるっていう(笑)。とっても、ありがたいですし、良い関係です。

 
撮影 長谷英史

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猪又 孝
WRITTEN BY猪又 孝
1970年、新潟生まれ。音楽ライターとして国産のR&B/HIP-HOP/歌モノを中心に執筆。24時間HIPHOP専門ラジオ局「WREP」に放送作家/ディレクターとして参加中。共著に15人の著名ラッパーが歌詞の書き方を語る「ラップのことば」「同2」(SPACE SHOWER BOOKs)。
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