8月3日、6thアルバム『ノクターナル』をリリースした東京女子流。7年ぶりのアルバム・リリースということで、バラエティーに富んでいて聴き応えのある作品が出来上がりました。「夜、誰かを想う時。」をテーマにしたという本作の収録曲について、13曲全曲分、メンバーの皆さんにガッチリと語っていただきました!
メンバーにとっても初!の「アルバム全曲解説」、スタート!
──お久しぶりのアルバム『ノクターナル』がリリースということで。「7年ぶり6枚目」と聞くと、ちょっと間が空いた甲子園出場校みたいですが(笑)。
中江友梨 そのたとえ、すごくいいですね! すごくカッコいいことになっちゃってますけど、大丈夫ですか?
──え、そんなにいいですかね? ありがとうございます(汗)。それはともかく、7年って普通に考えたらけっこう長いですよね。
中江 7年前は10代だったので、20代になってからは初のアルバムということになります。
──ですね。この間もずっとコンスタントに活動はされてきたので、あくまでアルバムとしてまとまるのが久しぶりという感じですが、このタイミングでというのはいかがですか?
山邊未夢 今となってはこのタイミングでよかったなと思っていて。やっぱり私たちも20代になって大人の魅力も出て、以前だったら大人の妖艶な魅力ってまだ出せなかったんじゃないかと思うんですね。今メンバーは24~26歳なんですけど、この年になったからこそ出せる大人な雰囲気があるかなと。前作との違いもすごく出てると思います。私としては、この7年の成長もファンの皆さんに見ていただけるという意味では、いいタイミングで出させていただいたなと思います。
新井ひとみ 私は、ベストな状態の『ノクターナル』が出来上がったなとすごく感じていて。1曲1曲、思い出もすごく深いものになりましたし、特にこのアルバムの前に配信リリースさせていただいた「Dear mama」という曲は、私たちがお母さんに向けて手紙を書いて、それを歌詞にしてもらって歌っているものなんですが、この「お母さんに向けた思い」というのも、12年間活動してきたからこそ生まれた感情だと思うんですね。この曲に限らず、このアルバムに収録されている楽曲は、私たちがより深く感情移入しているものがギュッと詰まっているので、今がベストな状態の『ノクターナル』が完成したという形です。
中江 10周年とか11周年を迎えた頃はコロナ禍になり、ファンの皆さんにも会えなかったりして、もどかしい気持ちの中でも、私たちは私たちの活動で、曲をお届けしたりという形で発信させていただいていたんですね。そしてこの12周年というタイミングで7年越しのアルバムを出させていただいて、『ノクターナル』というタイトルは「夜行性」とか「夜咲き」という意味で、「夜に思いを馳せる」というテーマのアルバムになってます。この7年の中で私たちがおぼえた感情だったりとか、身につけてきたそれぞれの個性を出せる歌い方や歌声というのを考えると、ちゃんと意味があった期間だったなというのをすごく感じています。で、4人でのアルバムというのはこれが初めてになるので、それがすごくうれしいですし、ひとみが言ってくれた通り母に対してだったり、ファンの皆さんに対しての感謝でいっぱいの気持ちを込めた曲もありますし、この7年間、そして12年間で私たちが学んできた感情や気持ち、そういったものの集大成というか、成長して大人になった女子流をこのタイミングで詰め込んでリリースさせていただくことはとてもうれしいです。今だからこそ女子流を知ってほしいなとも思いますし、もともと知ってくれてる方には、「今の女子流を聞いてみよう」と思ってもらえるような1枚になってます。
庄司 デビュー当時は10代ということもあって、ちょっと背伸びをしてる曲も多くて、そのミスマッチ感が好きって言ってくれる方も多かったし、それが一つの魅力だったのかなとも思うんですけど、この12年間で私たちも年を重ねたり、いろんな経験をしていく中で、やっぱり当時のまま、背伸びしたままでというわけにもいかなくなってきたんですね。その中で自分たちがどう変化していかないといけないのかとか、歌やダンス、ライブでどう表現していかないといけないのかというところで、けっこうみんなで試行錯誤して探しながら歩いてきた12年間だったなと思っていて。そういう意味ではこの4人でたどり着いた一つの形が、この『ノクターナル』なのかなという思いもあります。曲の世界観だったり、歌詞の歌い方とか表現の仕方だったり、そういうところも含めて大人になった私たちを堪能していただけるアルバムになったんじゃないかと思います。
──皆さんこれだけ濃い内容を、ありがとうございます!それだけのアルバムなので、できれば全曲について語っていただければと思うんですが、いかがでしょうか?
山邊 お!確かに全曲語るというのは、これまでやってないですね。
中江 推し曲について話したりはあるんですけど、全曲はないですね。
庄司 ぜひ語りたいです!
──ありがとうございます!では1曲目「Intro」から行きます。「Intro」で始まるアルバムは8年ぶりになるんですよね。
庄司 そうですね。私たちは1stアルバムから4枚目まで、全部「Intro」と「Outro」があって、その「Outro」から次の「Intro」につながるっていう流れでリリースしていて、その最後が4枚目の「Killing Me Softly」だったんです。だから8年ぶりの「Intro」ありということで、私たち自身もすごくテンションが上がって、「おお~、久しぶりだね~!」なんていってて。しかも今回、アルバムを締めくくっている「ワ.ガ.マ.マ. – MURO’s KG Remix album ver.」のリミックスを担当してくださったMURO’s KGさんが「Intro」も作ってくださっているということがとっても衝撃でした。「ワ.ガ.マ.マ.」についても、例えば宇多丸さんがラジオで取り上げてくださったりというようなきっかけを作ってくれた1曲でもあったので、そこに関わってくださったMURO’s KGさんがまた「Intro」を作ってくださることが感激で。しかもこのアルバムのスタートするにはピッタリな世界観の、とってもグルービーな感じになっているので、まず1回はアルバム全曲をこのままの流れで聴いてみていただければうれしいなと思ってます。
──確かにグルービーでムーディーなんだけど、「ここから何かが始まる」という雰囲気に満ちた曲ですよね。
新井 次の「Viva La 恋心」に向けても大事な役割になってるし、アルバムタイトルの「ノクターナル」という言葉にはいろんな意味があるんですけど、その一つが「星時計」なんですね。私のイメージなんですけど、この「Intro」でたくさんの星がバーッと集められてきて、それが「Viva La 恋心」になっていく、みたいな。そういうイメージを持たせてくれるような「Intro」になってるなって、個人的にすごく思いました。
レコーディングで一番苦労した曲とは一体……?
──2曲目がその「Viva La 恋心」ですね。
中江 この曲こそ、寂しい夜をちょっと思わせるような曲だなって思います。歌詞がすごく印象的で、私はすごく掴まれる個所がたくさんあって。「最低な想いをしたの 抱きしめて」とか、東京の夜の女性の気持ちが露わになってるなって。でもそういう臆病なところもあるけど、「Viva」って「最高!」って意味じゃないですか。悩んだり傷つけられたり……でも好き!恋心って最高!みたいな気持ちを、こんなにいろんなものにたとえながら表現していただいているというのが、すごくオシャレだしカッコいいなと思って。冒頭の「寂しさとは長い付き合い」というところも、私は夜が寂しいと感じたことはなかったんですよ。1人でいる空間が寂しいなと思ったりというのは、大人になってからおぼえた感情だったので、この曲を聴いた時も自分の中にすぐ落とし込めて、「確かに、今まではこんな感じにならなかったな」とすごく思いました。
で、間奏のところで一気にダンサブルなパートになって、ダンスはところどころにキュートでセクシーで女性らしい動きも混ざっているんですね。この曲の振り付けはDA PUMPのKENZOさんにしていただいたんですけど、この曲の世界観だったり、今までの女子流のイメージも大事にしてくださって作ってくださったので、今、ステージで何回か披露したんですけど、この先も毎回違う「Viva La 恋心」が見られるんじゃないかと思ってます。夜に「1人で寂しいなー」っていう時にこの曲を聴いて、「恋心最高!」って気持ちになってほしい1曲です。
──続いて3曲目は「ストロベリーフロート」ですね。昨年の夏にリリースされたシングルでした。
新井 恋人との混ざり合わない恋心を描いた曲ですね。ストロベリーだけに「ときめき!」みたいな感じの女の子が恋人とうまくいかないということで、後に収録されている「ガールズトーク」とかとはまた違う感じでちょっと初々しい感じもありつつ、「でもこういう恋もあるよね」っていう感じもあって。主人公を応援したくなるんだけど、その主人公は意を決して前に進もうとしてて、次のストーリーに進んでいく感じです。
ダンスも、4人で集まって踊る振り付けだったり、ストロベリーフロートを飲んでいるような振りもあったりして、かわいらしい雰囲気になってます。楽曲的にも明るくて、キラキラした感じを想像しちゃうんですけど、それとは裏腹に歌詞は失恋の歌になっています。恋が叶わないんですよね……。
──4曲目は「この雨が上がっても」です。
山邊 アルバム用に新しくレコーディングした新曲です。この曲はホントに難しくて。技術面で難しい曲はいっぱいあるんですけど、この曲は技術面だけじゃなくて歌う時のテンションがすごく難しかったんです。ちょっとカッコいい曲だったらこういうテンションで歌おうとか、この曲は元気いっぱいでとか、バラードやミディアムだったら優しく歌う、とかあるじゃないですか。でもこの曲は、「雨が上がっても問題は解決しない、でも何かいい気分」という感じで、自分を肯定してくれる曲になっているので、ちょっと悩んでいる感じも入れつつ、でも肯定感を出すっていう、そのバランスがとても難しかったんですよ。
──歌詞で歌っている感情がちょっと複雑なだけに。
山邊 はい。今回、アルバムの中で一番苦戦したのがこの曲でしたね。「Viva La 恋心」、「ストロベリーフロート」と来て、この曲があることで、アルバムの中で一回落ち着くポイントになってるなという感じで、いい場所に置いてもらったなと思います。ちょっと自信をなくしたりとか、「どうしようかなあ」と思った時に聴いてほしい曲になってます。
新井 歌詞の感じがすごくオシャレだなあと思うんですよね。「この雨が上がっても 私の空はまだアンブレラ」というようなたとえが「わぁ~、オシャレ!」みたいな。
──バックはバンドサウンドですけど、疾走感の方向に行くのではないというところが、新鮮でした。
山邊 こういう曲を普段聴いたりはするんですけど、実際に歌うのは、女子流では初めてなんじゃないかなというぐらいだったので、最初はちょっと戸惑いがありましたね。「難しい~!」ってみんなで話してました。
新井 いっぱい時間をかけて練習して、レコーディングしました。
──次は「コーナーカット・メモリーズ」ですね。
庄司 この曲はディスコを舞台に繰り広げられるストーリーなんですけど、歌詞的にも80’sというか、懐かしいと感じていただけるようなワードがたくさん入っていて、その言葉遊びがすごく秀逸だなあと思います。歌詞を見ていただくだけでもワクワクするような感じなんですけど、私たちもデビュー当時はこういうファンクな曲とかもけっこうやっていたので、そういう意味ではちょっとデビュー当初を思い起こしてもらえるような、でも当時とは違う“今”感があるディスコファンクな感じがいいなと思います。私自身もイントロから入って曲が始まった時に、ワッとテンションが上がるというか、エンジンがかかるみたいなところもありますね。
またそこにマッチしてるのがこの曲のMVで、このアルバムの中では「Viva La 恋心」とこの「コーナーカット・メモリーズ」のMVを制作しているんですけど、「Viva La 恋心」は大人な、しっとりとしたシーン多めなんですけど、こちらはとにかくポップな作りになっていて。それこそクラブで撮影させていただいていて、本当に音楽に酔いしれて「もう一回、楽しかったあの頃に戻ろうよ」みたいな気持ちで臨んだ撮影だったので、この2曲のMVは今回のアルバムの二面性をうまく表した作りになってるのかなと思います。
ダンスも、間奏にアクロバットが入ってたりとか、サビの部分はレコード屋さんでレコードを探す、いわゆる「digる」という動きを元にした「digダンス」がちょっとキャッチーな感じで入っていたりするので、これからライブで化けていく1曲になりそうですごく楽しみです。レコーディングもワクワクしてたけど、皆さんの元に届いてからがまた新たなスタートというか、ここからさらに変化していくのが楽しみな曲だなと思います。
──6曲目は「夢の中に連れてって」ですね。
中江 この曲は、個人的に曲調もダンスの振り付けもすごく好きな1曲ですね。東京みたいにめまぐるしいところにいると、皆さん、普段のお仕事だったり勉強だったり、恋とかもそうですけど、いろんなことで悩みに悩んで生きていると思うんですよね。この「夢の中に連れてって」という曲は、人が絶対に抱えてるであろうしがらみから解き放たれて、この曲を聴いてる時だけは音楽を楽しんで一緒に踊ろうよ!という気持ちを込めた曲になってます。私も歌ってる時は気持ちを解放して歌ってますし、ダンスの振り付けもサビのところとかみんなで勢いがあるものになってるので、ライブで歌うとふわーっと夢見心地な気持ちにもなるし、間奏で一気に「みんなでこの時間を楽しもうよ!」って感じになって、空気を一気に持っていける楽曲なんですね。だからセットリストの中に入れるとギュッと締まるので、最近の曲の中ではキーポイントになってる曲ですね。
──なるほど。次は「Hello Goodbye」です。
新井 この曲は、ステージではお花を持ってパフォーマンスしているんです。女子流の楽曲では鳴子を使ったものがあったり、ひまわりをつけて踊る楽曲とかもあるんですけど、これは「とっておきの花束をあなたに贈ります」ということで、花を使ってるんです。歌詞はラブソングみたいになってるんですけど、女子流は10周年を迎えた時に、この曲をファンの皆さんに向けて作って、歌わせていただいてるんですね。お花って、もらうことはあっても自分が買うということはこれまであんまりなくて。まして「花束を渡す」というと、ホントになかったんですよね。でも、母の日にお母さんにお花を贈ってみたりとかもあって、そういう感情が分かってきたからこそ歌える暖かみがあったりもしますね。お花を渡す時ってちょっと緊張したりもするんですけど、歌詞の最後に「この花束を! あげたい理由(わけ)は 私のわがまま」というフレーズがあって。上げる理由を「わがまま」にしちゃうところが、ちょっとかわいらしさもあって、素敵だなって思います。
新境地!? 4人が挑んだ「へなちょこラップ」とは?
──次の8曲目は、先ほども話に出た「Dear mama」ですが。
山邊 この春にリリースさせていただいた楽曲で、私たちが自分たちのママに向けて書いた手紙を歌詞にしていただいた曲です。今まで女子流は、歌詞の対象を明確にするということがあんまりなかったんですね。主人公はいたりするんですけど、その歌を届ける相手は聴く人によってお任せしますっていうことが多くて。でもこの曲は「ママ!」って明確に決まっているので、私たちも歌う時に自分たちのお母さんを想像すると、東京女子流のメンバーとしているというより、1人の女性に戻った感じでこの曲を伝えられるなというのも、見てる人はまた楽しいんじゃないかなと思います。また歌詞を見たら、他のメンバーに対して「ああ、こんなこと考えてるんだ」というのも感じられて、ファンの人にもそういうのがより伝わるんじゃないかなと思うので、歌詞を見ながら曲を聴いたら、「山邊以外の3人はこういう思いで上京してきたんだな」とか、「反抗期もあったのね」という感じで楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。
──では9曲目、「ガールズトーク」です。
庄司 この曲は女子流では珍しく年上目線というか、年下の男の子にアプローチをかける内容で、アルバムの中でもけっこう毒っ気のある、女の子のドロッとした部分がいい味として出てる曲だなと思います。自分たちと重ねてみると、ここまで強気に出られることってあんまりないなと思うんですけど、だからライブで歌う時は、逆に違う人物になれて普段とは違う視点から歌えるので、この曲をやるとちょっとスッキリするんです(笑)。
──そうだったんですか(笑)。
庄司 他の曲とは違う楽しさがあるなと思ってて、それが歌ってる声だったり、ラップっぽい個所にも現れてますね。そのラップのところも、ガッツリとリズムに乗せて歌うというよりは、もっとリアルに女子会でガールズトークしてる中で愚痴を言ってるような感覚で、リアリティーのある口調とトーンで言っているので、イヤホンで聴いたらゾッとするポイントでもあるのかなと思ってます(笑)。それがこの曲の面白さでもあるなという感じで、特にイントロのガヤの部分は4人でレコーディングブースに入ってガールズトークをした声が入ってるんですね。しゃべってる時は「これ大丈夫かな? ちゃんとその雰囲気が作り出せてるのかな?」と心配してたんですけど、曲になってみたら「怖っ!」みたいな(笑)。
新井 「え、こんなことしゃべったっけ?」って思ったよね(笑)。
庄司 ね!(笑) ホントにリアルな、隣で女子たちが話してるのを盗み聞きしちゃったみたいな、ゾワッとする感覚が味わってもらえるような、他にない魅力のある曲だと思います。音源としてはそういう楽しみ方ができるし、ライブではまたその日その日の感情に乗せて、メンバーのラップパートとかを楽しんでもらえたらうれしい1曲ですね。
──次は10曲目、「フライデーナイト」です。
中江 これは本当にタイトル通り、金曜の夜に聴きたくなる1曲が出来上がったなって思います。女子流の楽曲の中にも、クラブとかで盛り上がりそうなアゲ曲はあるんですけど、その中でもこの曲は一つ大人になった感じがする内容なんですね。ホントにクラブに集まってパーティーしよう!みたいな。ここまで大胆でストレートなアゲ曲は今までなかったと思うぐらいで、一人ずつのラップパートがあったりしますし、レコーディングの時も普段とは違うはっちゃけ方をしてて、すごく楽しかったんです。ここまで楽しかったというのもあんまりないなと思って。楽しんでる感じで歌いつつ、でもラップのところは普段とは違う感じの声で弾けてて、テンションが上がる曲なので、それこそフェスとか、金曜夜のイベントとかにもピッタリだし、ライブを盛り上げる上でも強い曲になると思うんですよね。これからライブでできるのが楽しみな1曲です。
新井 誘惑がある感じがすごくそそられるというか、「いいじゃんいいじゃん 遊び明かしてもいいじゃん 金曜日じゃん」っていうとことか、「あー、まだ仕事あるけど……」「まだ学校の宿題残ってるけど……」からの「金曜日だし!」みたいな(笑)。
中江 金曜の夜に聴いてもらうと、「今週も頑張った!」って思えて、さらにいい気持ちで週末に向かってもらえるんじゃないかなと思います。自分の気持ちをハイにしたり盛り上げたりするのにピッタリの1曲だと思います。
新井 みんなが乾杯してる様子が目に浮かぶよね。「カンパーイ! パリーン!」みたいな。
山邊 割れちゃったよ!(笑)
新井 あ、パリーン!じゃなくてキラーン!だった(笑)。
──いただいた資料には、この曲について「『ガールズトーク』に引き続き、へなちょこラップがくせになる」と書いてあって衝撃を受けたんですが(笑)。
山邊 カッコよくいきたいんですけど、どうしてもへなちょこになっちゃうんですよね(笑)。ラップだと速いから、口がついていかなくてドンドン置いていかれるんですよ。だからラップやる人ってすごいなと思って。女子流だと友梨がラップをやるんですけど、私はずっと機会がなくて、「ガールズトーク」の時に初めてやって「こんなに難しいの!?」って衝撃を受けた記憶があります。
庄司 大人になると、はっちゃけられる場所って少なくなると思うんですよ。そういう中で見せられるへなちょこ感ってあると思うんですけど、それがいい意味で声に乗って表現できてるんじゃないかなと思います。
未公開曲も3曲! ボリュームたっぷりの「Disc2」にも注目!
──もう終盤ですね。11曲目は「僕は嘘つき」です。
新井 この曲は「ストロベリーフロート」の続きが描かれていて、「ストロベリー~」が女性目線なのに対して、「僕は嘘つき」は男性目線になってるんですね。同年齢だと女性の方が男性より精神年齢が上だって言いますよね。だから「男性って、女性のこととか気づきにくいんだ~」というのがあって、理解してあげたいとも思いつつ、「何でだよ!」っていう思いもあったりして。彼女が何か言いたそうにしてるのも感じてるし、視線にも気づいてるんだけど、遊ぶのが楽しいし……っていう感じで仲間とバカ騒ぎして、しかもそれを「続けてた」っていう……。
中江 お怒りですか?(笑)
──そういう口調になってきてますね(笑)。
新井 でも最後の方は反省して未練がある感じで「嫌だよ 行かないでよ 抱きしめたい もう一度だけ」ってなってて、不思議ですよね……(横の山邊に)先輩はどうですか?
山邊 急に振るね!(笑) 今ひとみが言ってくれたように、男の人って終わった恋愛に対して未練があるってよく言うじゃないですか。あ、やっぱり相当未練って残るものなんだな、ってこの曲を通して学べました。歌詞から人の気持ちとかを学ぶことが多いんですけど、普段なら分からない異性の気持ちが知れたので、私は面白い曲だなと思いました。最後まで、ずーっと未練あるよね。女性は切り替えが早いので。
──今の山邊さんの話を聞いている表情を見てても、この曲の主人公が目の前にいたら、新井さんはものすごく彼に説教しそうですね(笑)。
庄司 確かに!(笑)
新井 言っちゃいそうです!(笑)「何で?」って問いただしそう(笑)。
中江 すごく想像つく(笑)。
──次に行きますか(笑)。12曲目、「days ~キミだけがいない街~」ですね。
山邊 この曲は私、すっごく大好きで、最初に聴いた時から「あっ、好きっ!」ってなったぐらいでした。ミディアム調で、人の心にスッと寄り添ってくれるような曲だと思うんですよね。イヤホンしてボーッと聴いてるだけでも、歌詞が自然と体の中に入ってくるような感じがして。それって、曲がすごい力を持ってるってことじゃないですか。それはすごいことで、ホントに好きですし、最初は切なさとか苦しい思いもあるんですけど、ラスサビでは曲の雰囲気も明るくなって、最後は寄り添ったまま「また頑張ろう」とか幸せな気持ちにしてくれて終わるんですよね。だから、ちょっと人のことが恋しくなった時とか、誰か大切な人を思いながら聴いてほしいと思います。レコーディングの時に、作曲の宮野弦士さんがいらしてくださったんですけど、私はこの曲が好きすぎて「メッチャ好きです!」って訴えてしまうぐらいでした(笑)。
──ではラストです。「ワ.ガ.マ.マ. – MURO’s KG Remix album ver.」ですね。
庄司 この曲はもともと、「Hello, Goodbye」をリリースした時のカップリング曲で、オリジナルはChocoholicさんが作ってくださったんですけど、そのリリース直後に、その2曲をリミックスして配信したことがあったんです。その時に編曲してくれたのがMUROさんなんですね。歌詞自体はこのアルバム全体のテーマになっている「夜、誰かを想う時。」にピッタリな感じで、夜になると誰かに会いたくなったり、愛に触れたくなったりというのをストレートに歌っている1曲で、この曲でアルバムを締めるというのがすごく意味があるなと私は思っていて。その切なさ、寂しさというのは原曲の方が伝わりやすいんですけど、このリミックスはまたディスコっぽい感じでミラーボールが似合う感じにアレンジしていただいているので、心地よく聴けるんです。それこそ夜に部屋を暗くして、物思いにふけりながら聴いていただくといいと思います。あと、原曲は2021年にリリースされたので、「2021 is for us」って歌ってたんですけど、今回のアルバムに入れることになってから「2022 is for us」って歌い直してるんですね。そこがアルバムバージョンになってるし、これからの1年を女子流が取っていくぞ!って気持ちを込めてバージョンアップした1曲になっているので、最後を締めくくる1曲、最後までじっくり聴いていただけたらと思います。
──13曲、ガッツリ語っていただいてありがとうございました! ところで、《AL+DVD盤》 《AL+Blu-ray盤》には「Disc2」がついていて、これがまたボリュームたっぷりでビックリしたんですが。
山邊 この「Disc2」には2018年以降の曲が収録されていて、その時代に公開していなかった未収録曲も3曲入っています。だからファンの人たちはこの「Disc2」もゲットしていただくと、このアルバムで初めて聴く曲が合計8曲になるんです。この時代の東京女子流っぽさもありながら、今の私たちが歌うカッコよさだったりも残ってたりするので、昔の女子流と今の女子流がミックスされた感じが面白いんじゃないかなと思います。それと幅広い曲が収録されていて、おとぎ話のような曲調だったり、アゲアゲの曲もあったり、ダークで毒しかないというような曲もあったり、ファンの皆さんへの感謝を歌った曲もあって、「Disc2」だけでも今までの女子流のよさがギュッと詰め込まれているので、こちらも飛ばさずに、ぜひこの流れで全曲聴いていただけたらと思います。
庄司 「Disc1」には2020年から2022年の曲が収録されていて、「Disc2」が2018年から2020年ということで、20代になってからの私たち、大人になった女子流の教科書みたいな感じでになってます。だから初めて女子流の曲を聴くという方でも、一気に分かっちゃうよ!という中身になってるので、ぜひよろしくお願いします!
──リリイベだったりフェスだったりの予定もあり、8月13日には渋谷でワンマンもあって、夏も大忙しですね。ライブの注目ポイントは?
庄司 私たちは毎月、渋谷で定期ライブを行っているんですけど、この夏はアルバムのリリースもあるということで、8月の定期ライブでは「アルバム全曲ライブ PART1」をやろうと思っているんです。そこでは、まだ温め続けている新曲たちを全曲歌いたいと思っています。「PART1」というところにも実は意味があるんですけど、この夏に私たちのアルバムに出会ってくださった方にはぜひ、ワンマンライブに来ていただきたいです。私たちもこの夏、気を抜かずに頑張りたいと思っています。
──気を抜くヒマはないですね。ありがとうございました!
『ノクターナル』
2022.08.03 ON SALE
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。