トータルプロデュースの澤野弘之、ボーカルのHarukaze、アートワークのClassic 6(クラシックシックス)からなる、チームプロジェクト型アーティスト、NAQT VANE(ナクトべイン)。2022年にデビューを果たし、これまではシングル、EPをリリースしてきましたが、2024年のスタートとともに1stフルアルバム『Dispersion』(ディスパージョン)をリリース。NAQT VANEと『Dispersion』について、プロジェクトの成り立ちから収録曲について、そして今後の展望まで、いろいろとお聞きしました!
「ユニット」とも違う「チームプロジェクト」という形とは?
──このコーナーには初登場ということで、そもそもお2人がどうやって出会われたかというところから伺いたいんですが。
澤野 僕自身がSawanoHiroyuki[nZk](サワノヒロユキヌジーク)というボーカルプロジェクトで、楽曲によってゲストボーカルを入れ替えて、というのはやっているんですけど、個人的には1人のボーカリストをフィーチャーしてプロデュースするような形のプロジェクトをやりたいなと思ってたんですね。エイベックスのスタッフの方と相談して「やりましょう」という形になって、そこからボーカルを探し始めて見つけたのがHarukazeだったんです。そこで「一緒にやってこう」という感じでスタートしました。
──なるほど。
澤野 もう一つ、アートの部分でClassic 6というクリエイティヴ集団に入ってもらうことで、「ユニット」はまた違った「チームプロジェクト」という形、ボーカルもいたりいろんなアートを作る人がいたりとか、今後いろいろ広げていけるようなプロジェクトになったらいいねというところで始動した感じですね。
──Harukazeさんはアメリカから帰ってこられたところだったそうですが。
Harukaze はい。帰国してからレーベルでA&Rとして働いてまして、アーティストを担当したりとか新人発掘をしたりしていたんですけど、自分が新人発掘される側になりまして(笑)。
──急に逆の立場に(笑)。
Harukaze けっこういきなり、ある日突然みたいな感じなんですけど、メールが届いて。もともと歌も好きだったので、高校生ぐらいのときからインスタグラムにカバー動画を載せてたんですね。それをたぶん、プロジェクトを始める、ボーカリストを探すってなったときに、候補の1人としてその動画を見てくださって、連絡が来て。
──珍しいパターンですよね(笑)。
Harukaze そうですね(笑)。タレントからマネージャーになったりというパターンはたまにあるんですけど、逆はなかなかないよって、会社を辞めるときにも言われました(笑)。
──澤野さんは、候補としてHarukazeさんの歌と接した時、どういったところに魅力を感じられたんですか?
澤野 今までも、一緒にやりたいと思う基準が「歌声」だったので、彼女の「声」に惹かれたのと、NAQT VANEの楽曲としては英詞を多用したアプローチをしていこうと思っていたので、英詞に対してカッコよく表現できる人がいいなと思っていて。Harukazeが洋楽のカバーとかを上げていたのも聞いて、カッコよく表現していたので、そこが選んだ基準の一つではありましたね。
──実際にプロジェクトを始めるにあたっては、どういうコンセプトだったんですか?
澤野 サウンドの部分だと、僕自身、海外の音楽から影響を受けていて、それを自分なりに解釈して、サウンドとして出していくというところを追求していくプロジェクトとして始めました。コンセプトという部分では、「挑戦者に追い風を吹かせるチームプロジェクト」というのを最初に掲げていて。
Harukaze プロジェクトが始まる時にスタッフさん含むチームでお話していく中で出てきたコンセプトですね。澤野さんも1人のボーカリストとプロジェクトをやるというのは初めてだし、私も歌手として初チャレンジというところもあるし、Classic 6も今までミュージックビデオなどで音楽には関わってきたんですけど、デビューから音楽プロジェクトに参加するってことが初めてだったので、「みんな挑戦者だよね」という話になって。挑戦者として、聴いてくださる方たちの挑戦も鼓舞できるようなプロジェクトになればいいねという話になりました。
──そうして、2022年からスタートしたと。動き出してからここまでの活動というのは、いかがでしたか?
澤野 そうですね、プロジェクト自体は2021年ぐらいから動き出して、ちゃんとデビューという形になったのが2022年ですね。一番最初に「Break Free」というシングルを出してから、ありがたいことに作品とかに僕らの楽曲を使っていただける機会をいただけたり、最近だと映画主題歌のオファーをいただいて「NIGHTINGALE」という曲を制作したりして、作品との関わり方という部分でいろいろ広がりを出せてきたことはすごくうれしく思っています。そして昨年はライブもできて、NAQT VANEの曲を聴いてくれる方たちと空間を共有できたという部分もすごく新鮮に感じたので、それをより広げていきたいなという気持ちにも繋がって。この1年を通してやってきたことを、もっと広げていかなきゃいけないという気持ちにさせられる1年でしたね。
Harukaze 私はスタッフからアーティストに転身というところで、けっこう人生がガラッと変わったので、そこから1年、本当に初めてのことばかりで。ラジオ収録などは、スタッフとしてアーティストについて行っていた現場ではあったんですけど、自分が主となってNAQT VANEとして出るのは本当に挑戦だったし、経験を積んだ1年だったなと思います。その中で最初はもう切羽詰まってパンパンになってたんですけど、だんだん場数を踏んだりすることによって、NAQT VANEを聴いてくださっている“VANEs”(ベインズ:NAQT VANEリスナーの呼称)の方たちに、より私たちのメッセージを伝えるにはどうしたらいいのかを自分の中で考えるようになりました。なので、自分で言うのも何なんですけど、この1年でちょっと成長したなと思える部分はありますね。本当に、生き方というか、生活そのものが変わりました。
──その中で、Harukazeさんからは澤野さんのクリエイティブやプロデュースについて、どう感じていますか?
Harukaze 最初にお話をいただいて澤野さんの楽曲を聴き始めた時に、「誰も持っていないサウンドだな、すごくカッコいいな」とまず思いました。ここまでNAQT VANEで出してきた曲たちも、デモを聴いた時に、「この曲は◯◯っぽいな」と思ったことがないんですね。もちろん「澤野さんっぽいな」とは思うんですけど、「この曲に似てるな」とかは思ったことがないというか、「聞いたことない、こんなサウンド!」というのが毎回の正直な反応なので、毎回驚かされるというか。しかも「こういうジャンルができるんだ!」というのもあって。今回のアルバム『Dispersion』もけっこういろんなジャンルに富んでいる点もすごく魅力的だと思います。
──「NAQT VANE」という名前は、始める時から頭にあったんですか?
澤野 いや、本格始動するぐらいの時になって、どういう名前にするかとみんなで話し合って決めました。作詞家にも入ってもらった上で、みんなで「この言葉いいね」とか言い合いながら決まっていきましたね。
Harukaze 「NAQT」がドイツ語で「裸」、「VANE」が英語で「翼」というのを組み合わせた造語ですね。もともと「NAQT」という案が出て、そこに繋げてサウンディングもよくてカッコいい言葉って何だろうねというのをみんなで模索して出てきたのが、「VANE」で。本当にみんなのアイデアを一つにまとめた感じでしたね。
『Dispersion』はNAQT VANEとしてのスタート地点、名刺のようなアルバム
──今回、1stフルアルバム『Dispersion』がリリースとなりましたが、アルバムとしての方向性やコンセプトというのはどんなふうに考えられたんでしょうか。
澤野 僕自身は、アルバムをこういうコンセプトで、サウンドをこう振って……という風には考えていなくて。というか、その時にNAQT VANEとして表現したい曲をとにかく作っていって、それをひとまとめにしたい、みたいな感じで。だからいろんなカラーのものが、一見、もしかしたら共通していないように感じる部分があっても、全部が一つに集まると、これがNAQT VANEだなってちゃんと分かるような、そういう名刺代わりのアルバムになればいいかなと思っていましたね。だから音楽的なコンセプトという部分はそんなに考えずに、今表現したいものを素直にやったという、そしてここをスタートとして、今後どうやってこのNAQT VANEの活動を広げていけるかというものに繋がってくるのかなと思っています。
──そういう形でスタートして、アルバムという一つの形にまとまった時には、どう感じられましたか?
澤野 素直に、これが自分が表現したかった音楽だなというのを、アルバムを通して改めてどの曲にも思ったというか。だからこそ、これを広げていかなきゃいけないし、それを共感してもらってライブとかでも表現していきたいなと思いましたね。
──では本当に、「NAQT VANEとはこういうものです」というのを示す作品集というか。
澤野 そうですね。ここが着地点ではなく、あくまでも、これでやっとスタートに立ったという感じのアルバムになったと思ってますね。
──アルバム・タイトルの「Dispersion」は、いろんな意味合いがある言葉ですよね。「音の広がり」という意味も出てきたんですが。
Harukaze これもブレインストーミングで出てきた言葉で、意味合いや響きも含めて「これいいね」となったものなんです。宝石の光の効果の一つで、虹色のスペクトラムのうちのいろんな色の光が、屈折率の違いによって光り輝くんです。ダイヤモンドはこの”Dispersion”のバランスがよく、強く光り輝くんですけど、それと同じように『Dispersion』というアルバムを手に取って聴いてくださる方たちの生きざまというか、みんなそれぞれ違う生き方をしているから、集まった時にすごく大きな輝きとなるという意味も込めて。「NOWVERSE」で歌っている多様性みたいなものもあるし、今までもリリースしてきた曲の中でも「Break Free」や「VANE」、「Beautiful Mess」などもそうですけど、それぞれの頑張り方でいいんだよみたいなメッセージにも通ずるところがあるかなと思って、すごく素敵だなと思ってこのタイトルにしました。
──一般的にはあまり使う機会のない言葉なんですよね?
Harukaze そうですね。だから私も今まで知らなくて、調べたら本当にいろんな意味があるんだなと。でもそれも新しい言葉に触れる機会になるというか、その人の受け取り方でいいなと思っています。
──収録曲の1曲目が「Dispersion」ですが、これはイントロダクションですね。そこから「NOWVERSE」「Loopers」まではちょっと中東感を感じられる曲調だなと思ったんですが。
澤野 3曲目の「Loopers」は、ちょっと民族的な雰囲気を入れたいなと思って作ったところはあったんですが、他の2曲はそこまでそういう意図はなかったですね。ただ、そもそもイントロダクション以降の3曲は、NAQT VANEがFM NORTH WAVEでレギュラーラジオ番組(NAQT VANE’s Good Vibes Only)をやっていて、そこのジングルとして作ったインストが元になってるんです。
──ああ、そうなんですね。
澤野 その時は30秒とか1分の短いもので。これを作った時に、アルバムの制作が決まったら歌ものとして広げていきたいなと思っていたので、それを今回形にしました。
──2曲目の「NOWVERSE」から「Loopers」、「Vanilla Days」までは新曲が続きますね。
澤野 サウンドの表現では、「NOWVERSE」とかはかなりリズムの立ったものを作りたいなと思っていたので、ライブになった時にお客さんが一体になって盛り上がれるような、リズム感を感じるような音を作っていきました。次の「Loopers」は民族的なリズムの中で、Harukazeの歌声がエキゾチックに聞こえるようなサウンドになればと思って作っていきましたね。最後の「Vanilla Days」は、もともとラジオジングルではバラードの曲に聞こえるような感じで作っていたんですけど、今回はアップテンポに広がっていくもので構成していった感じでした。
──確かに、バラードっぽいけどスケール感というか広がりがあるなという印象ですよね。歌詞に関しては?
Harukaze 「NOWVERSE」は多様性を歌っていて、”他人(ひと)と違うベクトルは感度良好”と歌詞にもある通り、人と違うことを肯定する、「Dispersion」に込めた意味と同じメッセージがあったりします。「Loopers」と、後に出てくる10曲目の「Ditty」の2曲はリズムがすごく立っている曲だったので、そこに気をつけて歌ったというか、「Ditty」という曲名にしたのも、意味というよりは、音で楽しんでもらいたいみたいなところがあったので、そこは自分の中でもイメージ的に、ストーリーテラーというよりも、音を自分でどう表現するか?という部分に集中してレコーディングしました。「Vanilla Days」は前の2曲に比べるとちょっとスローではあるんですけど……「Vanilla Days」って「つまらない日々」というか「のぺっとした日々」みたいな意味があるんですね。バニラってよくある味じゃないですか。だからよく、「This is so vanilla」とか言うんですよ。
──「ありふれた」みたいな意味合いですね。
Harukaze そうですね。そういう日々を抜け出していくような曲なんです。それを考えながら、少しずつ自分の気持ちも上がっていくように歌ったのが、表現として気をつけたところですね。
──頭から4曲、新曲で固めたというのは、意図があったんですか?
澤野 曲ができた時に、これがNAQT VANEのサウンドとして、みんなにまず届けたい曲だなと思ったので、そこを素直に並べてみました。
──5曲目が「Odd One Out」。EP「NAQT」に収録されていた曲ですよね。
澤野 EPを出す時に、シングル曲以外の新曲として制作した曲ですね。後半はシンセのサウンドがより厚くなっていくんですが、前半はベースのラインが楽曲を構成する上での重要な要素で、そこに畳みかけるような歌のメロディーが入ることによって、勢いが出ればと思って作りましたね。
「デビュー曲『Break Free』は自分がBreak Freeできた楽曲」(Harukaze)
──6曲目が、先ほども出た「NIGHTINGALE」。映画『唄う六人の女』の主題歌ということで、予告だけ拝見した限りでは、けっこう激しい作品ですよね。
澤野 そうですね、予告だけ見ると確かに。
Harukaze 刃物とかも出てきますし、ミステリアスな雰囲気なので「ちょっと怖いんじゃないか」みたいなイメージを持たれると思うんですけど、実際に映画を見ていただくと、そこまで激しくはないんですよ。激しいシーンはあるんですけど、映画を通して石橋義正監督が伝えたいメッセージには「自然との共存共栄」があるので、ホラーのような怖さはないです。映画の中でミステリアスかつスリリングに描かれているところはたくさんあるけど、私自身が歌うときにはまずそのメッセージを軸に、「自然の声に耳を傾ける」というところを伝えたいなと思って歌いました。
──なるほど、予告編で見たイメージと、曲の印象はだいぶ離れているなと思ったんです。またこの曲のMVが、映画のスピンオフというか、アナザー・ストーリーみたいな感じになってますよね。
Harukaze 今回のMVもClassic 6がディレクションをしているんですが、企画の段階から石橋監督にもいろいろとご相談をしながら、アドバイザーとして参加していただいていたんです。
澤野 映像の世界観がすごく幻想的でいいなと思いました。映画に出ていた役者の方に出演してもらうことによって、より映画との親和性の取れたMVができましたよね。それはNAQT VANEのこれまでのMVの中でも初の試みになったので、すごく新鮮に思っています。
──7曲目が「puzzle」。これも新曲ですね。
澤野 この曲のデジタルな要素とかはNAQT VANEとして押し出していきたい部分のサウンドで……自分的にも、納得のいく曲として作れました。とにかくパフォーマンスしてるときにカッコよく見えたらいいなと。
──今はライブもやられている中で、楽曲を制作する時には、ライブのことはどれぐらい意識されているんですか?
澤野 もちろんある程度は意識するんですけど、曲を作る時はその時に刺激を受けた海外のサウンドから影響を受けて「こういうのを作りたい」と制作しているので、作り終わった時とかに「お客さんはどういうふうに反応してくれるかな」と思ったりすることが多いですね。あとライブをやってみて、「今度はこういう曲を作ったら、お客さんと近くに感じられるパフォーマンスができるかな」というのを考えて取りかかることもあったりはします。
──で、次はデビューシングルの「Break Free」。今回、これまでのシングルは全部入っていますよね。
澤野 はい、最初からシングルは全曲入れようという話をしていました。そもそもEP『NAQT』を出した時に、もうシングルが全て入っている形になっていたので、EPを聴いてくれた人たちがこのアルバムを手に取った時にも、またちょっと違う感覚でシングルの曲も聴けるような並びになってたらというのは意識しました。
──「Break Free」はNAQT VANEのスタートになった曲でもあります。Harukazeさんは今この曲を聴くと、どういう印象がありますか?
Harukaze デビュー当時は、自分がNAQT VANEとしてデビューして、どうやっていくかみたいなことでいっぱいいっぱいだったんですけど、今考えると自分自身が”Break Free”した曲だなと思っています。今まで違う世界……同じ世界ですけど違う役割をしていたというのもあるし、シンガーとして一歩踏み出すにあたって、自分の中での葛藤みたいなものもあったんですよね。その中でデビュー曲がこの「Break Free」だったことによって、それを歌ってデビューできて、自分の中でのしがらみから解放されたみたいな部分もありますし、イベントではアコースティック・バージョンとかで歌ったりもしているんですけど、これからも自分の中で「Break Free」のあり方みたいなものは自由自在に変えていけるんじゃないかなって思っています。
澤野 やっぱりデビュー曲って、「ここがターニング・ポイントになるんだ」という気持ちで取りかかっているところもあるので、そこに中途半端なものは出せないし、そのプロジェクトなりアーティストなりの想いややりたいことがこもりますよね。「Break Free」に関してもそう思ってますし、たぶんずっと大事になるだろうし。もちろん今後サウンドはマイナーチェンジしていくと思うんですけど、「NAQT VANEでやりたいことはこれなんだ」という想いは、この楽曲に入ってると思いますね。今思うと、自分の[nZk]というプロジェクトも、スタートする時の1曲目は、確かに重要になってるなとも思いますし。
──9曲目の「CHRONIC」は23年2月に出た4枚目のシングルでした。
澤野 これもドラマのオープニングテーマになった曲なんですが、曲自体はドラマが決まる前から作っていて。この曲はHarukazeがライブでノりながら歌って、お客さんもそれに引っ張られてダンサブルな感覚で聴いてもらえるような曲にしたいなと思って作ってましたね。
──そのステージのノリをイメージしてというか。
澤野 そうですね、例えばフェスに出た時にこの曲でお客さんを煽ったりして、お客さんもこの楽曲のリズムを取りたくなるみたいな曲になったらいいなというのは、どこか意識してたと思います。
──次が先ほど出た「Ditty」で、その後は「TOUCH」「VANE」とシングル曲が続きます。
澤野 「TOUCH」を作り始めた時は、NAQT VANEの、少し幻想的で、でもちょっとマイナーでエモーショナルな部分を見せる曲になったらいいなと……後ろに映像を背負ってるというか、映像の世界観と一緒になれるような曲になればと思って作ってました。「VANE」は後半に少しシンガロングも入れたりして、ライブで映えるような曲になったらいいなと思って作った部分もありましたね。
2024年はNAQT VANEをもっと広げられるような活動を!
──もうかなり終盤に差しかかってきて、13曲目は「Reminiscing」ですね。
澤野 この時は、暗い曲を作りたいなと思っていて、洋楽の影響とかもあったりするんすけど、こういう曲をHarukazeが表現するのも面白いかなと思って。ライブで言えば、ちょっとお客さんが一回止まっちゃう空気感にするみたいな。そういう場面転換にも使えるような曲になればいいかなと思って作りましたね。
──先ほどから澤野さんの言葉に出てくる「洋楽」というのは、大体どのあたりなんですか?
澤野 僕はそんなにすごくマニアックな音楽を聞くわけじゃなくて、Apple Musicとかビルボードとかのトップチャートにいるような有名なアーティスト、エド・シーランとかテイラー・スウィフトとか。あとバンドがEDMなどを取り入れてポップに作っているようなサウンドが好きで聞いてますね。
──その時その時に刺激を受けたものという感じですか。
澤野 そうですね。でもやっぱり、刺激も自分が好きなものから受けるので……例えばアメリカだと、ヒップホップが主流だったりするじゃないですか。僕はもっとメロディーがあるものの方が好きだったりするので、必ずしもメチャクチャ再生数が伸びてる曲じゃなくても、エンターテインメントを感じる曲が好きで聞いたりしてますね。
──14曲目が、新曲の「Rust」です。
澤野 スタッフとの打ち合わせの中で、「TOUCH」みたいに少しエモい……ちょっと暗さもあるけれども、どこかメロディアスに感じるみたいなサウンドの新曲も欲しいとなって。「TOUCH」とはちょっと離れちゃったかもしれないですけど、「哀愁」とかをNAQT VANEなりに出したサウンドの曲になればと思って作っていきました。
Harukaze 一応、歌詞的にも「TOUCH」のアンサーソングみたいな部分もあるんですよ。「TOUCH」が女性だったら、こちらは男性目線みたいな感じで歌っていて。暗い感じの恋愛でもありつつ。
──15曲目が「Beautiful Mess」。昨年8月にリリースされたシングルですね。
澤野 これも「VANE」とちょっと重なっちゃうんですけど、後半にコーラスを入れたりとかして、ライブをやった時にお客さんと一体になれるような前向きなサウンドにしたいと思って作った曲ですね。
──ライブ活動が増えてきて、そういうことをより意識するようになったみたいなところはありますか?
澤野 Harukazeはけっこういろんなところでパフォーマンスしてくれてるんですけど、僕自身はNAQT VANEとしてHarukazeと一緒にステージに立ったのは昨年5月のグリーティング・イベントが最初だったので、やっぱりお客さんたちと一緒にこのNAQT VANEの輪をもっと広げていきたいなという気持ちにはなりましたね。
Harukaze 「Beautiful Mess」はお客さんと一緒に作り上げていける曲だなと思ってます。
澤野 この曲はASICSの「ススメ、自分。- すべての人にエールを – 篇」のテーマソングなんですが、ASICSの方がそういう部分に共感してくれて、あの曲を選んでくれたのかなと思ってます。
Harukaze 駆け出したくなるような曲ということで。
──最後の16曲目が「Unveil」です。
澤野 これはもう単純に、イントロダクションとアウトロダクションを作るという流れになっていたので、自分はピアノがメインの楽器でもあり、そこでちょっと表現できるようなものを最後に入れて。イントロダクションのメロディーとかもなぞって入れてはいるので、最終的にこの曲が終わったらアルバムが終わりってことじゃなくて、また最初に戻ってループしてもらいたいなという気持ちで弾きました。
──そういう仕掛けなんですね。
澤野 僕はさっき、アルバムのコンセプトを考えてないって言ったじゃないですか。でもイントロダクションとアウトロダクションの2つがあると、物語の始まりと終わりというのが明確に見えて、全曲通してストーリーに感じてもらえるところもあると思っていますね。
──というわけで全曲についてお聞きしましたが、このアルバムをリリースした後の活動予定というのは?
澤野 さっきも言っていたライブとかをいろんな形で広げていきたいですし、もちろんやるからには大きい会場でやれるようなプロジェクトにしていきたいので、お客さんにもより興味を持ってもらうためにも、自分たちが日々NAQT VANEの音楽に取り組んでいかなきゃいけないなとは思っています。その会場というのも日本に限らずというか、Harukazeは英語などいろんな表現力を持っているので、海外の人たちにも僕らの音楽が届くような形で活動していけたらいいなと思いますね。とにかく着実に前進しているというのを示していきながら活動していきたいなと思っています。
Harukaze ここ1年ちょっとは駆け足で来たんですけど、ここからやっとちゃんと自分の足元を見ながら、もっとスピードを上げていけると思っていて。NAQT VANEのこの『Dispersion』をきっかけに、もっともっとたくさんの人にNAQT VANEを知ってもらいたいですし、「NAQT VANEの音楽っていいよね」というだけじゃなくて、プロジェクトに参加しているClassic 6のことも含めてもっと知ってほしいので、そこもうまくライブとかで出せたらいいなとも思います。また、これから出していくであろう楽曲でもまた新たなNAQT VANEが見せられるように、まずは『Dispersion』をたくさんの人に届けるところから始めなきゃなと思っているので、2024年はまた新たな挑戦の年になるかなと思っています。
──そういう意味では、ライブで見れる機会も増えそうな感じなんですか?
Harukaze 5月11日(土)に『Dispersion』の発売を記念したスペシャルイベントを行うんですが、そのほかも絶賛計画中です!
澤野 ツアーとかも、もちろん目標としてありますけどね。
──2024年はNAQT VANEとしてどうしたいですか?
澤野 2023年以上に活動の幅を広げていけるような楽曲の届け方をしていかなきゃいけないなと思っているので、作品に関われるタイミングがあればそれをちゃんと全力で向き合って作り、そうじゃないところにおいてもいろんな仕掛けをして、「何なんだこのプロジェクトは」というものを作っていかなきゃいけないなと思ってますね。昨年以上の発展をさせなきゃいけないなと思っています。
NAQT VANE Special Event – Dispersion –
2024年5月11日(土)
<東京>shibuya duo MUSIC EXCHANGE
開場17:30 / 開演18:00
※アルバム封入シリアル先行実施中!
【先行受付期間】
2024年1月9日(火)12 :00~1月21日(日)23:59
※お申し込みの際にNAQT VANE 1st ALBUM「Dispersion」に封入されているシリアル番号が必要となります。
※詳細はオフィシャルサイトをご確認ください。
▼アルバム「Dispersion」のご予約・ご購入▼
https://naqtvane.lnk.to/Dispersion
【Dispersion – 全国インストアイベント】
2024年1月8日(月祝)
1部:14:00~ 2部:18:00~
会場:タワーレコード梅田NU茶屋町店
2024年1月13日(土)
1部:14:00~ 2部:18:00~
会場:タワーレコード池袋店
2024年1月14日(日)
1部:14:00~ 2部:18:00~
会場:タワーレコード錦糸町店
2024年1月18日(木)
18:30~
会場:タワーレコード札幌パルコ店
2024年1月26日(金)
18:30~
会場:ヴィレッジヴァンガード名古屋パルコ店
2024年1月31日(水)
18:30~
会場:タワーレコードアミュプラザ博多店
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【NAQT VANE】映画『あの人が消えた』主題歌の全英語詞版「FALLOUT (English Ver.)」を本日配信スタート!
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。