新しい年の訪れとともにリリースされたKis-My-Ft2の両A面ニューシングル「HEARTBREAKER/C’monova」。この2曲について、内容やサウンド、そこに込められたメンバーの思い、プロモーション展開などについてまとめました。新年はキスマイとともにGO!
タイアップなしの両A面シングルで多様性を展開
Kis-My-Ft2にとって2023年は、大きな変化を経験した1年となった。グループの体制が変わる。それはファンにとっても彼ら自身にとっても不安を伴うものだったが、彼らはその不安を素直に口にしながら、たくましく新たな一歩を踏み出す準備を進めていった。それが形となったのが1月3日にリリースされた両A面シングル「HEARTBREAKER/C’monova」だ。シングルのリリース自体は現在開催中の全国ツアー「Kis-My-Ft2 -For dear life-」の初日である10月5日に発表しながらも、発売は新年一発目としたところにもキスマイの新章を始めるんだという意志を感じる。
もうひとつ注目したいポイントは、タイアップなしの両A面であるということ。通常、両A面シングルというのはタイアップ曲が重なった場合にリリースされることが多いのは周知の事実だろう。しかし今回は「新たなキスマイの多様性を見せたい」「両A面にすることで、一度に2つの面を披露することができるのでは?」というメンバー発信のアイデアでこの形になっているのだ。それだけ、今回の楽曲に彼らは自信を持っている。
メンバー全員で何度も話し合いを重ね決定した2曲。洗練された大人となった彼らだからこその余裕と遊びを感じさせるものであることが、素直にかっこいい。デビューしてからは13年目で迎える変化だ。今回のリリースにあたって「#キスマイ_あらたな魅力へ」というハッシュタグが使われているが、その言葉どおり、今作品はアイドルでありアーティストとなったKis-My-Ft2の新境地そのものなのだ。
「カモン!」と彼らが誘ってくれる先に広がる新たな世界
「HEARTBREAKER」は、小気味いいギターリフから始まるグルーヴィーな曲だ。少ない音数に乗せて、まずは藤ヶ谷太輔が色気を漂わせた声で歌い出す。続く千賀健永が憂いのある歌声を聴かせ、サビの始まりに極限まで音数を減らすことでその後の高まりを際立たせるサウンドと6人の歌声の絡みはエモーショナルだ。2コーラス目の二階堂高嗣の硬派なラップ調の歌声、そして玉森裕太の透明感と切なさが混在した歌い上げと、声と音で伝わってくる感情は多い。それもそのはず、この曲の歌詞は恋愛に翻弄される男性の弱音と強がりと困惑を描いている。新たな一歩の一発目にこれだけ複雑な感情の曲を持ってくるのも挑戦的だ。それができるのも、彼らにエンターテイナーとしての経験値の高さがあってのことだろう。そして、弱音と強がりの両方を開示できるのは大人の余裕があってこそだと感じる。
「HEARTBREAKER」はすでにYouTubeでMVが公開されていて、彼らの表情とともに曲を聴くとさらに味わい深い。MVは雨音から始まる。そして車に乗っている玉森は1人泣いている。そこだけでこの楽曲のストーリーをいろいろと想像してしまいたくなる印象的なシーン。そこから音楽とともに紡がれるメンバーの表情は、ハッとさせられる瞬間ばかりだ。ダンスシーンも入っているが、ガシガシと踊るのではなく、抜け感のある振りの中で印象的なポイントを残すダンスになっていてインパクトがある。
「C’monova」は日常を飛び越えて、「ここへおいで、本物のSHOWを見せてあげるよ」というメッセージを込めた曲。こちらもすでにMVが公開されていて、オールブラックな衣装にサングラスというメンバーの姿にキスマイらしいオラオラ感を感じつつ、スタイリッシュな貫禄も醸し出した登場シーンにワクワクさせられる内容だ。暗闇からラグジュアリーなホテルのロビーへとやってきた6人はサングラスを外しながら誰かを探すように歩き出し、マフィアや超能力が飛び出す見ごたえのあるストーリーが展開されていく。そんな映画のような世界観に主題歌のように流れる「C’monova」は、気品と危険な香りを兼ね備えた藤ヶ谷の歌声、二階堂のキレのあるラップ、宮田俊哉と横尾渉の柔らかなファルセットなど、彼らの豊かな歌声を存分に発揮した楽曲だ。キャッチーなサビにはユニゾンでのファルセットが多用され、耳馴染みのよさと突き抜けるノリの良さがあって自然とテンションが上がる。重めのギターリフはフックとなり、後半に少しだけ披露されるダンスの音のハマり方も面白く、何度でも再生したくなるMVであり楽曲だ。
「C’monova」には「Come on over(ここへおいで)」と「nova(新星)」の2つの意味を含んでいるという。新たなキスマイの世界に飛び込んできてほしいと「Come on!」と誘う楽曲。奇しくもデビュー曲「Everybody Go」でも彼らは「Come on!」とファンを勢いよくキスマイの世界へと連れていってくれた。時を経て彼らが開いた新しい扉の向こうにもたくさんのワクワクが用意されているのだろう。
「C’monova」も「HEARTBREAKER」もMV公開後数日で500万回再生を記録している。リリース前にも関わらずファンの関心を集め、その期待に応えた作品に仕上がっているということだろう。さらに12月25日のクリスマスには「C’monova」のバンド・セッションVerも公開された。バンドメンバーにていねいにあいさつしながらスタジオに入ってきた6人はそれぞれ「OK?」「いける?」と確認しあい、輪になるように向かい合いながら歌い始める。イントロの「ハッハッ」という息遣いは艶めかしく、時にメンバー同士で目を合わせながら、それぞれにリズムに乗りながらパフォーマンスする姿は心地いい。
「伸るか反るかなんて全部君次第」「運命がどうした だって全部気分次第」と達観しながら「Come on over ようこそ未来へ」「Come on over ようこそリアルへ」と誘う彼らの肩の力は抜けていて、でも飛び込んできてくれたら楽しませる自信がある。そんな等身大の6人のリアルが、この曲から伝わってくる。
通常盤にはさらに2曲が収録される。「Jenga Love」は時間をかけて積み上げた曖昧な恋愛関係が一瞬で崩れそうになって焦っている様子を浮遊感のあるサウンドに乗せて歌う大人の恋愛ソング。「遊びに行こうよ」は、忙しい日常を過ごす中でもルーズでマイペースに“キミの好きな場所へ”遊びにいこうよという誘いをゆったりとしたチルソングで届ける。どの曲も“等身大でリアルな姿”と“抜け感がありながらクセになるサウンド”を根底に感じるのは偶然だろうか。
変化も初心も。等身大の姿で今を楽しむキスマイの未来に期待!
“等身大でリアルな姿”は特典でも楽しむことができる。初回盤Bには「キスマイバスケ王を決めろ!玉森カップ」を収録。玉森主催ということで玉森が珍しくMCを務めるバスケ企画で、バラエティーも得意なキスマイを楽しむことができる。楽曲でのスタイリッシュさとのギャップの大きさもみどころであり、バラエティーでファンを楽しませる一面はデビュー以来彼らが培ってきたものだ。6人体制になって本格的に始めたYou Tubeでの企画動画ではテレビのバラエティーとはまた違った素のテンションでの楽しい姿を披露していて、企画の楽しみ方の幅も広がっているのを感じる。
そしてCD全形態に封入された応募券で当選すると、キスマイ初の「Meet & Greet」に参加できる。デビュー当初からドーム規模でコンサートを開催してきた彼らと近距離で会うことができる機会が用意されているのだ。ファンのもっと近くに。そんな原点のような思いを今回のキスマイからは感じ取れる。
6人体制になって初のツアーは現在開催中で、最終地点は2月14、15日の国立代々木競技場 第一体育館。2011年2月12日に彼らのデビューが告げられた記念すべき場所でのコンサートがメンバーの希望で叶った。10周年にこの場所でコンサートをする予定が中止になって以来のリベンジでもある。
そして12月24日に発表された「Meet & Greet」の日程は2月12日。デビューを告げられた、いわゆる“茶封筒の日”なのは決して偶然ではないだろう。記念日をファンとともに過ごしたいという思いと、初心を大切にする思い。新たな一歩を歩みだすというのは決して過去との決別ではなく、これまでの歩みと経験があってこその未来なのだ。
今回のツアーが始まった当初は「まだ新しい歌割りに慣れない」と笑いながら、新たな形を楽しんでいた6人。ここから始まるKis-My-Ft2の軽やかな変貌には期待しかない。
「HEARTBREAKER / C’monova」
2024.01.03 ON SALE
【Kis-My-Ft2 OFFICIAL SITE】
https://mentrecording.jp/kismyft2/
【Kis-My-Ft2 Twitter】
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【Kis-My-Ft2 YouTube】
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ライター
加治屋真美
福岡出身エンタメ系ライター。ドラマ・アイドル・韓国エンタメ・アジア料理・ビールが好物。テレビ誌でのインタビュー記事を中心に執筆しています。