待望のメジャー1stアルバム『まめジャー!』をリリースした豆柴の大群。その内容などについて話を聞きたいと思っていたところ、思い出したのが昨年10月、「AAA」リリース時のインタビューでメンバーのナオ・オブ・ナオさんが言っていた言葉。「私、ラーメンが本当に好きで、ラーメンのお仕事がしたいんです!」。じゃあ食べてもらいましょう!ということで、豪華ラーメンを堪能してもらいつつ、アルバムのことをお聞きしました!
初のラーメン食レポにチャレンジ! その成果は……?
今回、ナオ・オブ・ナオさんに来てもらったのは表参道ヒルズ3Fにある「蔭山樓」。中華料理店かと思いきや、そうは名乗らず「FUKAHIRE RESTAURANT」と銘打たれています。フカヒレと鳥白湯スープにこだわって独自の味を探求し、このコラムコーナーにもたびたび登場していただいている「ラーメン女子博」プロデューサー、森本聡子さんもオススメのお店です。到着するなり、「今日はホントにうれしいです!」と目を輝かせているナオさん。セッティングの間に話をしていても、思わず表情がほころんでしまっています(笑)。
ナオさんに食べてもらうのは自慢メニューの一つ、「フカヒレ姿煮込みあんかけそば」(3600円)。やっぱりお店の看板であるフカヒレを味わっていただかないと、ですよね。テーブルについて髪を結び、準備万端のナオさん、ラーメンの出来上がりを待つ間もワクワクが止まらない様子でしたが、丼が運ばれてくると「うわー!」とさらに表情が明るくなりました。「フカヒレラーメンは初めてなんです。チョーうれしい!」と、さっそくトライ!
食べ始めるとすぐに「おいしいです!」。フカヒレの姿煮を持ち上げてみると、その大きさに「すごい!」。もう感嘆の言葉しか出てきません(笑)。熱中しているところを無理やり感想を聞いてみると、「スープは中華系で、くどくなくてあっさりしてるんですけど、でも濃厚ですね。ゆずの皮が入っていて、いい風味が出ているし、とろみがついててアツアツです。麺は太麺で、あんかけスープがよく絡みます」と、さすがラーメンマニア!
フカヒレの方はどうでしょう? 「フカヒレの姿煮自体あんまり食べたことなかったんですけど……プルプルですね。もっとコリコリしてるのかと思ってたら、予想より柔らかくて。家でよく食べていた『かすべ』の姿煮に食感が似てますね」。ん、「かすべ」? すみません、分からないんですけど……と思って調べたら、北海道では親しまれているエイのことだそうで。どおりでフカヒレと似た感じがするはずです。北海道出身のナオさん、自宅ではよくこの「かすべ」の姿煮、要はエイひれの煮付けをよく食べていたそう。ご本人は「エイとは知りませんでした! でも的外れなことを言ってなくてよかったです(笑)」と安心してました。
ラーメンを食べるところを撮影されるのも初めてのナオさん。でも箸の持ち方もちゃんとしてるし、持ち上げた麺をレンゲで受けてすする様子も何というか、すごくキレイな食べ方です。感想も詳しいし、食レポ仕事もバッチリじゃないですか!
だいぶ食べ進めたところで出されたのがお酢。味変アイテムですね。これをかけると、「麻婆豆腐みたいな風味になりますね。これは好きかも!」とさらに食が進みます。やがて麺は完食! あとはスープですが、「いつまでも飲んでいられますね」と、レンゲが止まらず。
ラーメンを食べる際にいつも問題になるのが「スープをどこまで飲むか問題」。ラーメンマニアのナオさんとしてはもちろん完飲! といきたいところですが、「全部飲むとむくんでしまうので、翌日に仕事がある時は途中でやめてるんです」とのこと。やっぱりアイドルはそういう部分が大変ですよね。でも、「明日はサイン書きと練習だけの予定なので、今日は飲めます!」と力強く宣言し、結局完飲(笑)。素晴らしい食べっぷりでした!
撮影中は、ラーメン好きが揃った取材スタッフと会話しながらだったんですが、これもナオさんには楽しかった様子。「ラーメン屋さんに行く時、一人では行けないのでメンバーの誰かを連れて行くことが多いんですけど、みんなそこまでラーメン好きというわけではないので、ラーメンの話をこんなにできるってだけでうれしいです!」と。いろんな麺で、じゃなかった面で満足してもらえてこちらもよかったです。
「ごちそうさま」して満足に終了……ではありません(笑)。アルバムのことを聞くのが本題なのです。ということで、すっかりご機嫌のナオさんに改めてインタビューしてみましょう。
奈良でのプロモーションで鹿に追いかけられ……
──お疲れ様でした……で、いいんですかね?(笑) ではまず、改めてラーメンの感想を。
ナオ・オブ・ナオ 一杯3600円もするラーメンって初めて食べたので、すごくうれしかったです(笑)。
──まずそこ?(笑)
ナオ (笑) あと、ラーメン屋さんでフカヒレの入ったラーメンってあんまりないじゃないですか。中華料理店ならではのメニューなので、食べられてよかったです。普段、「ラーメン屋さん」に行くことがほとんどなので、こんな感じでメインメニューではないところにラーメンがあるというお店に行くのもいいなと、改めて思いました。
──念願の「ラーメン仕事」もこれが初ということですが。
ナオ ホントに、メチャメチャうれしかったです! お話をいただいた時は飛び跳ねました(笑)。これをきっかけにいろんなラーメンのお仕事ができたらいいなと思います。
──ラーメンを食べる姿を撮影されて、さらに感想も言わないといけないわけですが。
ナオ ちょっと恥ずかしかったです(笑)。普段は人に見られることを意識しないで食べているので、自分がどんな顔をして食べているかとか分からないじゃないですか。だけど、楽しかったしおいしかったから、いいかなと(笑)。
──でも食べ方は本当にキレイでしたよ。
ナオ ホントですか? うれしいです!
──さて、いよいよデビューアルバムについてお聞きするんですが……少し前になりますけど、年末にメンバー全員でダイソー巡りをしてましたよね。今回のアルバムを販売していたということですが……?
ナオ 私もあんまり分かってなかったんですけど(笑)、「ダイソーさんでニューアルバムのCDを100円で売るから、全国に散らばるよ」って言われて、家からサンタのコスプレで早朝に出かけました。
──家から!
ナオ あ、着くまではコートで隠してましたけどね(笑)。一緒に行動するスタッフさんもみんなコスプレで、豆柴からのクリスマス・プレゼントということで。私は関西地方担当で、大阪の心斎橋と、奈良と、三重県の桑名の3店舗を回りました。メンバー全員が全国に散らばって、自費でCDを買って、写真を撮ってツイッターに載せるというのがミッションだったんです。最後の桑名の店舗ではもう完売していて、お礼を言って写真だけ撮りました。
──しかしまた貴重な体験ですね(笑)。
ナオ 100円ショップでCDが売られるのって見たことないですよね。斬新なアイデアで話題になって、ツイッターのトレンドにもハッシュタグが載ったりしていたので、すごくうれしかったです。しかも数量限定で最速先行発売だったので、みんなビックリしたと思います。
──それを購入した人が、一番早くアルバムを聴けたわけですね。
ナオ 豆粒さん(※豆柴の大群のファンのこと)たちからも「聴いたよ!」という声をいただいて、それもうれしかったですね。アルバム収録曲はクロちゃんが歌った音源しか公開されていなかったので、初めて私たちの声のバージョンを聴いてもらえたので。
──奈良では、鹿に追いかけられた様子を投稿されてましたね(笑)。
ナオ そうなんですよ! 「奈良らしいところで写真を撮ろう」ということになって、鹿せんべいを買ったら鹿に追いかけられまして……怖かったです!(笑) 本当は1枚ずつあげるつもりだったんですけど、鹿の大群が追いかけてくるので、全部いっぺんに渡してしまいました。
──そういえば、コロナの影響で観光客が減っているので、奈良の鹿がお腹が減って貪欲になっているというニュースを見かけましたね。
ナオ そうみたいです。だから鹿せんべいを持ってなくても近寄ってきたりしてました。かわいいんですけど、鹿せんべいを持ってると豹変しちゃって走ってくるんです(笑)。
今回も全員で作詞! ラップにも挑戦!
──さて、やっと(笑)メジャー1stアルバム『まめジャー!』の話なんですが……今回、制作作業はどうでしたか?
ナオ 今回もメンバー全員が作詞をしていて、その中から選ばれたものがアルバムのラインナップになってるんですけど、「スタート」よりも作詞曲が増えていて、そこはちょっと成長できた部分なんじゃないかと思います。あと、5人全員で作詞した「MOTiON」という曲もあって、これはそれぞれが書いた詞から部分部分を切り取って一つの詞にしたものなんです。みんな、他のメンバーがどんな詞を書いているのかも知らなくて、出来上がったものを見た時に、「あ、みんな同じ方向性で書いてたんだな」と思って、気持ちが一緒なんだなということが確認できました。それと、今までなかった曲調もたくさん入っているので、メンバーの個性が強く現れたアルバムなんじゃないかなと思います。
──アルバム全体を通して聴くと、前半に勢いのある曲が多くてガンガン押して、終盤はしっとりした曲が続きますよね。
ナオ そうですね。「スタート」は波があって、最後に「大丈夫サンライズ」でしっとり終わる感じだったんですけど、今回は前半のにぎやかさから後半はエモめになって終わるというグラデーションが特徴になってます。そういう流れもすごく大事なんじゃないかなと思うし、この曲順がベストだったんだと思います。
──制作過程で一番大事だったことは?
ナオ 一番はやっぱり作詞ですかね。あとは、譜割りが難しいところもけっこうあったし、「I need you」という曲ではAメロで初めてラップに挑戦しました。正解かどうかは分からないんですけど、すごく新鮮な気持ちで挑めました。
──ラップはやってみてどうでした?
ナオ 難しかったです(笑)。普通に言うと平坦になってしまうので、リズムをつけるのが大事というアドバイスをいただいたので、そこは意識してやりました。
──アルバムの中で、個人的な推し曲はどれですか?
ナオ やっぱり「MOTiON」ですね。みんなで作詞したというのもありますし、曲調もガンガン系なんですよね。今までこんなに突っ走った曲はなかったし、個人的にロックが好きなので、カッコいい系に振り切ったガンガン系のこの曲は推しですね。なので、この曲は振り付けも私が担当してるんですよ。
──あ、そうなんですね。
ナオ いつもはハナエモンスターと2人で担当するんですけど、この曲は1人で作りました。歌詞とかが決まる前の段階で「この曲好きだ!」と思って、「この曲は私にやらせてほしい」って前もって言ったんですよ。やっぱりロック系の曲は感情を出してぶつかっていけるので、すごく好きです。ただ、かわいい系の曲も大事だし、そういう曲が好きと言ってくださる方も多いので、両方バランスを取れた構成になっているのはありがたいですね。
──アルバム全体で、自分の歌で一番の聴きどころは?
ナオ 自分の歌ですよね? 他のメンバーのことならすぐ浮かぶんですけど(笑)。
──では、先に他のメンバーについて話していただきましょうか。
ナオ 今回、けっこう歌い方を変えてる子も多いんですよ。例えばミユキエンジェルは、これまでは吉川晃司さんを意識して歌ってたんですけど、このアルバムの「まめのうた」では「魔女になれ!」って言われたらしくて、いつもと声が全然違うんですよ。そこはまた新たな道を開いたなと思って、うれしくなりました。ハナエモンスターもかわいい声とカッコいい声を使い分けていて、一番、二面性がある声かなと思います。かわいい曲ではかわいい声で引っ張ってくれるので、頼もしい存在ですね。アイカ・ザ・スパイとカエデフェニックスは、今回のアルバムでは歌割りがすごく増えてます。WACK(豆柴の大群の所属事務所)では全員が全部歌ってから歌割りが決まるんですけど、その2人は今回、落ちサビとか大事な部分を任されたりしているので、うれしいなと思いました。
──なるほど。ではご自分はどうでしょう?
ナオ 私……何を頑張ったかなあ?(笑) 全部頑張ったんですけど……あ! 「I need you」という曲のサビは、いつもとは違う私で歌ってる気がします。「あなたに届け」っていう歌詞なんですけど、アルバム制作がコロナ禍の真っ最中で、届けられない状況だったので、本当に「あなたに届け」という気持ちで歌いました。そこが聴いてほしいポイントです。よかった、言えて(笑)。
──他のメンバーのはたくさん出てきたのに(笑)。
ナオ そうなんですよ。他の人のはいくらでも言えるんですけど、自分のだと分からなくなっちゃって(笑)。
今年もたくさんの人に豆粒になってほしい!
──全体としては、ズバリ自信作ですね?
ナオ はい! 自信作なので、たくさんの人に聴いてほしいと思います。
──昨年末からリリイベやライブハウスツアーも行われていて、ツアーのタイトルは「実力をしっかりとつけるツアー」。実力はしっかりついてますか?
ナオ 少しずつではあると思うんですけど、ツアーを重ねていくたびに実力がついてきてるんじゃないかなと思ってます。このツアーが終わった後に皆さんの前でパフォーマンスする時には、「前の豆柴とは違うな。実力がついてきてるんじゃないか」って思ってもらえたらうれしいです。
──一番手応えを感じる部分は?
ナオ 体力がついたことですね。今までは持ち曲が3曲しかなかった状態でWACKツアー(所属事務所の全アーティストが参加するツアー)とかを回らせてもらって、しかもそこでは1曲しか披露できなかったんです。10月に初のワンマンライブが終わってからツアーを回らせてもらって、初めて持ち曲を全部歌わせてもらったり、それから前回のアルバムのリード曲だった「豆柴の大群ーお送りするのは人生劇場―」を3回連続でやらせてもらったりしたんです。ツアー自体も1日3回公演で、最初は筋肉痛バキバキでヘロヘロになって、治ったと思ったら次の場所、という感じで大変だったんですけど、だんだんみんな体力がついてきて、ちゃんとお客様の顔を見て歌えるようになってきたし、いい意味での余裕が出てきたんじゃないかと思います。
──2020年は、世の中はコロナで大変でしたが、豆柴はメジャーデビューがあったりワンマンやツアーがあったり、東京ドームで運動会したり写真集も発売されたりと、とんでもない1年でしたね。
ナオ そうですね! 前半はワンマンライブが中止になったり、ツアーも途中から無観客になったりしたんですけど、後半は有観客でのライブができるようになったりツアーが決まったり、イベントでいろんな人たちと会うことができました。画面越しでのトークで特典会をやったり写真集も出たりで、たくさんの人たちに豆柴を知ってもらう機会ができて、前半に感じた悔しいとか淋しいっていう気持ちがなくなりました。
──しかも、メンバーも驚く発表が行われたり、先ほども出たダイソーでの発売などのサプライズも多いので、メンバーの皆さんもついていくのが大変だったりしませんか?
ナオ だから、豆粒さんたちが「何日にはこれがあるからね」ってスケジュール管理してくれたりするんですよ(笑)。それだけたくさんお仕事をいただいてるのもありがたいことだし、そんなに豆粒の皆さんに会える機会があるのも幸せなことだなと思います。
──そこで、今年はどういう年にしたいですか?
ナオ 今年もたくさんの豆粒の皆さんと会いたいし、「去年は来れなかった」という人も、もし状況がよくなったら会いに来てほしいし、私たちも全国に会いに行きたいという思いは強いので。これからの活動も頑張って、私たちのことを知らない人たちにも見ていただける機会を作っていきたいと思いますし、たくさんの方に豆粒になっていただいて、これからの成長を見守ってもらえたらうれしいです。
──ラーメンの目標は何かありますか?
ナオ 東京のラーメン屋さんのリストをスマホのメモに入れてるんですけど、全然行けてないんですよ。新しいお店に行ってみたい気持ちはあるんですけど、知ってるところにいつも行っちゃって。だから今年は新しいお店にもっと行って、開拓の年にしたいです。
──そのリスト、ちょっと見せてもらってもいいですか?
ナオ 見てください! (と、スマホ画面を見せる)
──うわ、すごく詳しいじゃないですか! しかも数がたくさんですね!
ナオ 「二郎系」とか「煮干し系」とか、ベースごとに分類してるんですよ。店ごとに駅名と特徴も入れてて。レアチャーシューがあるところは「レアチャーシュー」って入れてあります。「和え玉あり」とか(笑)。今一番行きたいところは、三鷹の「スタミナ満点ラーメンすず鬼」なんです。ここはスタミナ系とアリランラーメンと二郎系がフュージョンしたお店なんですよ。
──そっちも目標がたくさんありますね(笑)。
ナオ 急に饒舌になっちゃってすみません(笑)。豆柴の活動もラーメン活動も頑張っていきたいし、こんな風にラーメンのお仕事ももっとできたらうれしいです。ご連絡お待ちしてます!(笑)
Major 1st Album『まめジャー!』
2021.01.20 ON SALE
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。