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大森靖子

【ナナ週連続インタビュー第ナナ弾!】愛情を作品化する【「GIRL ZONE」(雨ノ森 川海)】

2021.07.02
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音楽
インタビュー
大森靖子さんデビューナナ周年記念ナナ週連続インタビュー、ついに最終回の第ナナ回! ラストに来たのは、BEYOOOOONDSのグループ内ユニット、雨ノ森 川海に提供された「GIRL ZONE」。今やハロプロ・メンバーにとっての“卒業アンセム”となったこの曲に込めた思いとは? さらに最終回ということで、後半は改めて「曲を提供すること」について総括的に伺っています!


「『GIRL ZONE』は完全に『GIRL'S GIRL』の中学生バージョンです(笑)」



──ナナ週連続インタビュー、ついに最終回となりました。配信曲は、雨ノ森 川海に提供した「GIRL ZONE」です。ハロプロのアイドルグループ・BEYOOOOONDSのグループ内ユニットですね。
 
大森 BEYOOOOONDSはハロプロでも新しいグループで、ディレクターさんがわりと自由にコンセプトを立ててる感じがあるんです。そのグループ内ユニットとして、雨ノ森 川海さんができて、彼女たちの初めての楽曲の依頼が私のもとにきました。

──オファーの内容はどんなものだったんですか。
 
大森 「大森靖子感バッキバキの曲をつくってください」っていう(笑)。といってもハロプロですから、そこはいつもの大森靖子感を出しつつも、年齢層を少し下げて、「女の子の尖ったり、歪んだりしているところがかわいいよね」っていうのを見せられる楽曲にしました。
 
──大森さんにはいくつかガールズ・アンセム的な曲がありますよね。例えば「絶対彼女」とか「GIRL'S GIRL」とか。それらの楽曲に連なるものを感じます。
 
大森 はい、完全に「GIRL'S GIRL」の中学生バージョンです(笑)。この曲、卒業が決まったメンバーが歌ってくれたり、ソロのライブでも歌ってくれる機会も多いんです。たぶん自分で選曲してくれているんだと思います。歌詞に「卒業」っていう言葉があるのも大きいんでしょうけど。
 
──「踏み出したのは/私が心を決めたから/誰にも譲らない/はよ卒業して見返したい!」っていう。

大森 それで言うと、雨ノ森 川海さん以外でも、こぶしファクトリーさんや、船木結ちゃんとか、宮本佳林ちゃんとか、みんな卒業前にこの曲を選んでくれてるんですよね。

──まさに卒業アンセムですね。
 
大森 険しい道だとしても自分はこの道を選ぶっていうときって、「こっちで正しい」って思いたいじゃないですか。そういうタイミングにマッチするのかもしれない。ただ、どの道が正しいとかってないと思うんです。たとえどんな道でも、やりきることがいちばん大事で。グループに在籍することも、辞めることも、どちらにしても「やりきれるかどうか」が重要ですよね。
 
──やりきった先に「卒業」があるのが理想ですね。
 
大森 なので、卒業はちゃんとしたほうがいい、っていうのが私の考えです。ある枠組みで、ルールを守ってやりきって、きれいに卒業する。そのプロセスがないと、その先の活動なんてなにもなくないですか? っていう。その点、私はわりとガチガチに古風なタイプです(笑)。
 
──歌詞に「“なんか”のニュアンスわかってよ」とありますが、こういう言語化の難しい領域を大森さんはうまくニュアンスまで拾ってくれると思っているリスナーは多い気がします。
 
大森 私たちの世代って、表現においてだいたいのことは言い尽くされてしまった、とか言われがちで。でも、「だったら、なんで私はこんなにもモヤモヤして暮らしてるんだよ!」とか思ってたんです。漫画を読んでも、映画を見ても、何に触れてもしっくりとこない。「じゃあ、自分でつくらなきゃ!」と。それってなにも私だけの話でもないでしょうけどね。あと、そういうモヤモヤって、時代によって変わったり、どんどん生まれていくものだよな、っていうのも思います。
 
──そこに光を当てようという意識は強いですよね。
 
大森 誰もが知ってる世界や、知ってる感情ばかりだと、つまらないじゃないですか。そこからこぼれるものに耳を傾けないと、世の中が平和にならないと思って。
  

「大森靖子にとっての曲提供とは」を総括!
 

 
──最終回なので少し全体的な話もしたいんですが、ナナ週連続で提供曲について聞いて、相手の当時の状況であったり、シーンの空気を、見事に曲に落とし込んでいるのを感じました。
 
大森 歌をうたうのって、歌に導かれていくことでもあるので、ある程度方向性を示さなければっていうのは、いつも考えます。聞く側も含めて、その歌の持つ広がりってある程度わかるじゃないですか。そこでどういう景色が見られるようにすればいいのかっていうことですね。そのためには、その人の良さとか、尖ったところを魅力的に見せる必要があって、そういうタイミングで私に依頼が来るんだろうなと思っています。
 
──それが大森靖子の作家性だと。
 
大森 それ以外だったら、もっと上手い人はたくさんいますからね。だからこそ、その部分については誰にも負けないようにしたいですね。
 
──作詞作曲がセットなのも大きいですよね。
 
大森 メロディーと言葉の運びだけで表現できること、については追求しています。そこで答えを出すことにスキルを全振りしてますから。なので、編曲には手を出さずに、すべてお任せするようにしています。曲を書くスピードも大事にしたいし。
 
──編曲の大久保薫さんをそれだけ信頼しているということでもありますね。
 
大森 大久保さん、大好き! もともと私が大久保さんのめちゃくちゃファンなので、大久保さんのこれまでのお仕事が身に沁み込んでいるのもありますけど、それにしても、ずば抜けて仕事がしやすい(笑)。親切だし、一緒にやってて楽しいし。提供曲のときでも「(デモの)仮歌はぜったい靖子ちゃんがいい!」っていつも言ってくれて。
 
──仮歌はどんなふうに入れるんですか?
 
大森 自分で入れるときは、きっちりと歌いますね。相手の方が音程を捉えやすいようにきれいに歌って、それをデモとしてお渡しします。
 
──提供曲をつくるときは、お相手の歌い方やクセも計算に入れると言ってましたね。
 
大森 そこまでやらせてもらえるときと、そこはおまかせのときとあるんですけど、そこを考えるのがけっこう好きですね。上手に歌うことと、歌に感情を乗せることって、別の技術なんですよ。上手に歌う方法ならボイトレとか、いろんなところで教えてもらえるけど、感情の乗せ方っていうのは、それぞれ独自のものがあるんですね。例えば、ある女の子が、女の子の全力を出せるっていうボーカルディレクションとかもあって。そういうことを意識した曲の書き方はしていますね。
 
──提供曲は、大森さんの創作活動にとってはどういう位置づけになりますか。



大森 自分のオリジナルだと、曲を書いてCDを買っていただくことで制作費が生まれるけど、提供曲は人のプロジェクトの制作費で曲をつくらせてもらえます(笑)。……と言ったら身もフタもないですけど、でも、その両方の循環があるのが重要なんです。オリジナルだけだと、どんどん深くなって、沼にはまっていく感覚があるんですね。それも美しいんですけど、同時に、フラットにいろんな方向へベクトルを伸ばしたいっていうのもあって。
 
──そこを人様の制作費でやらせてもらえると(笑)
 
大森 ありがたいと思いますよ(笑)。自分に究極まで向かうベクトルと、さまざまな方向へ拡がる提供のベクトルとが合わさることで、総体的に「大森靖子」というものになるんじゃないかと。
 
──ペルソナ(『PERSONA #1』)というアルバム名はぴったりですね。
 
大森 他人を通して自分をもらう、という感覚ですよね。それって、私はたまたま音楽なだけで、みんなそうなんだろうなって思うんです。社会の中で、「あ、こういう自分がいてもいいんだ!」ってこと、あるじゃないですか。「自分らしさ」とか自分ではよくわからないけど、今日の自分は好きだったなとか、そういう感じですよね。
 
──『PERSONA #1』の「#1」っていうナンバリングには意図があるんですか?
 
大森 単純に、続けていければいいなと。
 
──他にもいっぱいありますもんね、提供曲。
 
大森 現状で「#5」ぐらいまでアルバムがつくれると思います(笑)。
 
──では、第1弾ということにして(笑)、『PERSONA #1』のカラーをあえて言うなら?
 
大森 オリジナルアルバムのときも毎回、いろんな性別、いろんな年齢層のことを歌っているんですけど、ここまで乙女心に振り切ったアルバムは初めてかも。
 
──これまでのインタビューでも何度か触れましたが、アルバム全体を通しても「愛」という言葉が、印象に残りました。
 
大森 「愛」って人と人とじゃないと生まれないことなんですよね。ただそこにあるものじゃなくて、愛するっていう作業を丁寧に行うことが「愛」だと思うので。
 
──概念ではなく、行為だと。
 
大森 概念なんて信じられないです(笑)。いくら「愛してるよ」と言われても、「お前がそう感じてるだけで、じゃあ、それで何してるっていうの?」って思う。作業としてなにをして、それがどう伝わったか、でしかないから。
 
──相手があっての提供曲だと、より強くその要素が浮き出るのかもしれないですね。
 
大森 ですね。特にライブ活動をしてる人が多いので。常に、その愛情の互換性みたいなものをお金を介するシステムとして組み込んだエンタメに携わっている、という感覚があって。提供曲の場合、その愛情の部分を作品化させてもらう、という気持ちが大きいです。
 
──愛情を作品化する、ですか。
 
大森 どういう愛情の交換を他人としているのだろうか、っていうことがすごく気になるんです。怒り、悲しみ、強く当たるでも、優しく触れるでも、なんでもいいんです。その愛情の溢れ方みたいなのが、個性となり、魅力となって、人気が出るっていう商売だと思うので。これが慣れちゃって、もう愛されてるからいいやってなった瞬間に、努力しなくなるし、こういう風に見られたいっていうのもなくなるし、かわいくもなくなってしまう。だから、ずっと愛に飢えている人たちだと思うんです、私も含めて。その理由とか、やり方に興味があるんです。
 
撮影 長谷英史


「GIRL ZONE」(雨ノ森 川海)
2021.6.30 デジタルリリース




 

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キャンペーン期間:2021年5月21日(金)~ 2021年7月7日(水)
応募締め切り 2021年7月7日(水)23:59


<7(ナナ)週連続配信情報>
5月19日(水) 「Rude」(新曲)
5月26日(水) 「うんめー」(ゆるめるモ!)
6月2日(水)  「瞬間最大me feat. の子(神聖かまってちゃん)」(相坂優歌)
6月11日(金) 「夢幻クライマックス feat. MIKEY(東京ゲゲゲイ)」(℃-ute)
6月16日(水) 「EIGAをみてよ」(道重さゆみ)
6月23日(水) 「°*。:° (*'∀`*) °:。* ぴかりんFUTURE °*。:° (*'∀`*) °:。*」(椎名ひかり)
6月30日(水) 「GIRL ZONE」(雨ノ森 川海)
 
<アルバムリリース情報>
タイトル:PERSONA #1(読み:ペルソナシャープワン)
発売日:2021年7月7日(水)
 
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九龍ジョー
WRITTEN BY九龍ジョー
ライター、編集者。大森靖子の著作『超歌手』『かけがえのないマグマ 大森靖 子激白』(最果タヒと共著)をはじめ、編集を手がけた書籍・雑誌・メディアなど多数。最近はYouTubeチャンネルの監修も。著書に『伝統芸能の革命児たち』、『メモリースティック』ほか。
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