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【ビッケブランカ】世界各国、行くことでしか知れない人間性がテーマ【EP『Worldfly』】

ビッケブランカ

【ビッケブランカ】世界各国、行くことでしか知れない人間性がテーマ【EP『Worldfly』】

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6曲入りEP『Worldfly』をリリースしたビッケブランカさん。映画の主題歌として制作された「Bitter」を筆頭に、世界各国での活動からインスパイアされた楽曲が詰め込まれています。各曲の背景や制作意図をたっぷり伺うとともに、年末に行われるスペシャルイベント「RAINBOW ROAD」の第2弾についてもお聞きしました!

ビッケブランカの人生は「Bitter」!?

──さっそくEP『Worldfly』の収録曲についてお聞きします。1曲目の「Bitter」は映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』の主題歌ということですが、かなりテーマが具体的な映画ですよね。その主題歌を依頼されて作るというのはどういう感覚なんでしょう?

ビッケ 映画は具体的ですけど、どこを抽出するかですよね。アットホームな家族の雰囲気なのか、お金が絡むと人の死すらもそっちのけになっちゃうみたいな、人間の本質的なところなのか。どこの部分にシンクロしていくかということなので、映画がどれだけ複雑でも自分とシンクロしてる部分は切り取れるんですよ。今回は「家族を愛する」という要素が、一つ近いものがあったかなという感じですね。

──タイアップはこれまでもたくさんやられていますが、今回、先方からの要望はどんな感じだったんでしょう?

ビッケ 今回は要望はそんなに多くなくて、「ハートフルにしてくれ」と。「ビッケが思うハートフルでいいよ」ということだったから、いい感じに狭めてくれたなと。その中で自由に泳げましたね。

──メロディーや曲進行は、軽快に軽快にしようとしているように感じられました。

ビッケ そうですね、僕としては軽快さが「ハートフル」なのかなと思います。リズムがあるということが、「ハートフル」なのかもしれないですね。気持ちよくノれることがそれにつながるのかなと。

──映画の中では最後の流れるものだと思うんですが、そこを意識は……。

ビッケ しました。曲を作る前に映画を見させてもらって、音のないエンドロールを見て、「ここに入るべきものは?」という思考で入りました。

──歌詞の中では「Life is bitter」と歌われていますが、ご自身の人生もBitterなんでしょうか?

ビッケ まあ……Bitterなんじゃないですか。全員Bitterなんだと思いますよ、人生なんてものは。

──Bitterだと思ってない人もいるのでは?

ビッケ いやぁ、そんなフリしてるだけですよ。Bitterじゃないってフリをしてるだけで、自分の人生が苦くつらいものであるということから目を背けるだけの空元気でしかないんですよ。人間はみんな人生に苦しんでるし、人生を苦く思ってるはずです。

──そう思って生きてるんですか。

ビッケ 思ってる、思ってる。で、死ぬ間際ぐらいにやっと「苦くていい人生だった」「苦いけどよかった」って言えるかどうかが決まるんですよ。そのためにみんな必死こいて生きてるんだと思います。

──なるほど。今回のミニアルバム『Worldfly』は“世界”がテーマということで、2曲目以降は海外の国々からインスパイアされた楽曲が並んでいますが、「Bitter」は映画主題歌ということもあって、別扱いなんですか?

ビッケ いや、これは「日本」なんですよ。「日本」がテーマの楽曲です。

──ああ、そういうことですか! ここから旅が始まってるわけですね。この曲を作る時点でそういう意識はあったんですか?

ビッケ 「こういう曲を作ろう」という時に、海外の公演も決まってたところから「世界で吸収できるものをEPにしてみようか」という着想はあったんですよね。で、「Bitter」はどうしようかなとなった時に、日本の一番キレイな海を描いてるから日本の曲だなっていうのはありました。

──では、曲調の軽快感もそこに関連しているんでしょうか?

ビッケ いや、「国」がテーマというのはその国民がテーマという感じで、サウンドに引っ張られる感じではないので。ここでは「日本人」がテーマで、日本人の考え方として人生をつらいつらいと言っている、ということですね。イタリア人はそんなこと言ってないから、別の「Luca」って曲では別のことを歌ってるんですけど、マインドがテーマということですかね。

──では、先ほどの「人生はBitterだ」というのは日本人の人生、ということですね。

ビッケ そうです。海外に行けば行くほどそう思います。ただその中でも、僕が違えばいいのかなとも思いますし、もっと楽にすりゃいいのにな、そんなに生真面目にしなくても、と思う時はありますけど、まあ僕のひと言で何百年って作り上げてきた国の人格が変わるわけもないので、思ってるだけですけど。でも、僕の曲を聴いてくれたり、ライブに来てくれる人たちは、ちょっとずつでもそこから解放されたらいいなと思うし、それはできているような気もしているので、そこに意味はあるかなと思いますね。

──2曲目が「Snake」。欧州で現地の音楽に触れて得たインスピレーションから作られた楽曲ということですが、具体的には何を感じてどう作られたんでしょう?

ビッケ 自分で作曲してオケを作って、ある程度仕上げてからフランスでMVを録って、実際に現地で5~6日間過ごした感覚を持って、最後は日本で仕上げました。歌を録って、シンセサイザーにメチャこだわって、という感じで。

──なぜそうお聞きしたかというと、この曲が一番、主人公の像が掴みづらかったというか、ミステリアスな感じがしたんです。

ビッケ なるほど。パリに初めて行った時の印象が、「スリが多い」というものだったんですよ。まず「泥棒」という着想が一つあって、プラス、じゃあ自分の中に泥棒気質があるのかというと、歌詞にもありますが「悪気がなきゃいい」と本当に思っちゃってて。というような、いろんなものが絡んでいきますよね。同時にパリの街の、キレイでブルガリやヴィトンの店があるんだけど、すぐそばのセーヌ川近くには粗悪なものがあるみたいな、そういう異質さとかをサウンドに落としていった感じですね。自分の人間性とパリのロケーションが混ざった感じで。

──その補助線があると分かりやすいし、タイトルの「Snake」のイメージも見えてきますね。

ビッケ もともとは「Beautiful Pickpocket」、“美しきスリ”という仮タイトルでしたから。そこから変わっていって「Snake」になりました。この曲って意外と、女性は歌詞の意味が分かるんですよ。「こういうクソ男いるよね」ってイメージできるらしいんです。女性からは「ひどーい!」「サイテー!」っていう感想が出るんですよ。だから男には分からないのかもしれないですね。

サウジアラビアとシチリアで感じたこととは?

──で、3曲目が「Sad In Saudi Arabia」。この曲ができるに至ったサウジアラビアの印象というのは、どういうものだったんですか?

ビッケ サウジには今年2回行ってるんですけど、ホントに楽しくて。リヤドとジェッタという街に行ったんですけど。

──歌詞に出てくる街ですね。

ビッケ そうです。ひたすら暑くて、寂しげだけど熱気があって、ノンアルコールだからみんなピュアで、大人も少年少女のようなんですよ。でも街はどんどん進化していって、とんでもない建物が建っていくっていう、国民と国の方針の乖離みたいなものが面白いんですよ。まあいずれ混ざっていくんだと思うんですけど。そういう異質な雰囲気だったり、あまりにも日本から遠すぎて孤独感を感じたりっていうのを曲にしました。これは一番、当時のサウジでのイメージを曲に出来た感じがします。

──現地の音楽シーンについて感じたことは何かありましたか?

ビッケ 音楽シーンはあまりないですね。イスラム教の人は1日に何回か、その場に絨毯を敷いてメッカに向かってお祈りをするんですけど、その時に街中に音楽が流れるんですよ。いかにも中東風の。それが流れたらお祈りの時間なんですよね。それがあったから、ひと昔前までは何となく、メロディーは作っちゃダメみたいなルールがあったっぽいんですよ。「歌はそれのみである」みたいな。そこからちょっとずつ崩れて、最近ようやく音楽が出始めているんで、サウジの明確な音楽性というのはまだないんです。この曲はそういうのも含めた感覚、「サウジアラビア人」を歌っているものです。

──例えばサウジアラビアを歌う時に、今出たような中東風な旋律に引っ張られる場合もありますよね。

ビッケ それをやってたら意味がないですからね。その曲はYouTubeで聴けるわけだから。向こうに行くことでしか知れないことって、向こうの人間性ですから、そこにフォーカスしてます。というか、自然とフォーカスされていきましたね。それが特徴だったから。

──サウジアラビア人の人間性というのは?

ビッケ とにかく純粋。ピュアなんです。悪意がなくて、治安が異常にいい。イスラム法においては殺人とか強盗はすごく重大な犯罪だからやらないというのもあるのかもしれないけど、それにしてもノンアルコールで、みーんな子供のように楽しんでるんですよ。夜中の2時3時まで、屋外でレーザー光線ビューン!みたいな感じでパーティーやってるんですけど、子供が遊んでるみたいなんですよ。酒飲んでウェーイ!ってなってるヤツもいないし、はしゃぐことが恥ずかしいというニュアンスで楽しんでるのが、すごくよかったですね。

──ノンアルコールでそれはすごいですね。

ビッケ 僕もノンアル派だから、僕からすると全くもって普通なんですけど、酒飲みからすると「あり得ない」って言いますね(笑)。それで十分楽しいことを僕たちは知ってるんですけど。

──そのピュアさは衝撃でしたか?

ビッケ そうですね。国全体でそれというのは、やっぱり衝撃でした。みんな本来の人間のまんまでいるから。酒飲んでぶっ壊れてるヤツもいないし、瞬間的に一過性でアガってるヤツとかもいないから、すごくいいですよ。

──すごく雑なイメージで、イスラム国家というのは閉鎖的な印象があったりしますが……。

ビッケ 全然! 今はもう全くもって時代が変わってます。特に最近のサウジアラビアは国際化が進んでいて、頭に巻いていたターバンなんかもしなくていいという風にどんどん緩和されていってるし、普通にジーパン履いてる女の人がいるぐらいで、どんどん変わっていってますね。「サウジアラビアが世界を引っ張る」って本当に思ってるし、その力があるから、彼らのマインドは僕を含めて日本人ごときには分からないところがあります。彼らは、この小っちゃーい島国からは分からない感覚を持ってます。そんなことを含めて表現したのがこの曲です。

──4曲目は「Luca」。イタリアのシチリア島がテーマですね。ノンビリとしたチルな曲になっていますが。

ビッケ シチリアはそういうところなんですよ。ホントにみんなユルくて、これが本当の「ユルい」ってヤツなんだなと。日本人の真似事なんてとうてい追い着かないぐらい、心からユルい。「シチリア島から出る? 何で?」「ニューヨークに行って夢を追う? 何で?」って心底思ってるんですよ。しかも、それに足る魅力を持った島だから。

──そんなにですか。

ビッケ 野ウサギが普通にいるんですよ。「マジか!」と思って(笑)。ホントに人間もいいし、地元の仲間と最後まで生きていくことに何の疑問も持たない、一番豊かな人間性だと思いますね。

──よそ者に対しては?

ビッケ 疎外感は全くないです。でもそれは俺だからなのかもしれないですね。向こうが歓迎してくれてるから。とはいえ、ないな。よそ者を疎外したりとかはないです。

──では、サウジアラビアで「Sad」を感じたのとは全く違う感覚だったんですね。

ビッケ そうですね。シチリアでは頑張ることの馬鹿馬鹿しさを教えてもらいました。頑張ってるとは思うけど、地元で仲間たちと好きなことをやる週末のためにそれぞれが働いて、それで十分な幸せを得られる。一生懸命やることの美徳なんてなくて、徹夜で何か作業をやるなんて考えたこともないんですよ。そんな必要ないというのが彼らだから、日本人とかからしたら特にうらやましいと思いますよ。

──それが歌詞にある「No Winner or Loser」という。

ビッケ そうそう。向こうでコラボしたバンドのメンバーが、最後にワインを飲みながらポロッと言った言葉が印象的だったんですよ。Lucaっていうのはそのバンドのギタリストの名前だし、Valeriっていうのはドラマーの名前です。Vinzenzoは英語がヘタだし、Matteoはずっとくだらんジョークを言ってるし、という歌です。彼らの、「本当に頑張る必要はなくて、好きなことだけやってれば幸せになれるからいいじゃない?」っていうマインドを入れたことで、オケはドラムとピアノとベースのみ。この3個で十分。頑張って音楽を構築する必要なんてある? そうしなくたって、いい曲じゃない!というマインドをやろうとしてる曲です。

──曲自体が、彼らへの手紙というか。

ビッケ そう、思い出を回顧して歌ってるんです。「よかったよね、アレ」っていう。その彼らの発言、全体の雰囲気、歌詞の内容や楽器の少なさ、楽器の頑張らなさが、この曲のテーマになってます。

タイトル曲「Worldfly」はどうして「クイーンっぽい曲」になったのか?

──それと比較すると、次の「革命」はすごく頑張った感のある曲ですね。

ビッケ そうですね、これはフランス革命の歌だから。「Snake」とこの「革命」はフランスがテーマになってます。

──曲もそうですが、この歌詞を書くビッケさん、そしてこの歌詞が当てられている誰かが、ともに「若いな」というイメージを感じたんですが。

ビッケ ん? 分かんない。どういうことですか?

──そもそもこの歌詞が書けるビッケさんが、若くないですか?と思ったんですが。

ビッケ あー、なるほどね。まあ確かにそうなのかなあ……無条件にそれを信じるというね。「信じればできる!」っていうのは戯れ言感がありますからね(笑)。

──戯れ言かどうかは置いといて(笑)。

ビッケ でもそれを「やれる!」と思ってやりきった、フランス革命の当事者たちがいるわけですからね。ここではそのマインドを楽曲に落とし込むということをやりました。

──そのマインドに対して、ビッケさんはどういう感情を持ったんですか?

ビッケ すごいじゃないですか。大それたことを描いて、いろんな力を借りて長い時間をかけて成し遂げたというのは、偉大なことですよね。その偉大さを曲に込めました。

──例えば若い世代が、この曲を聴くとすごく励まされると思うんです。そういう曲にもしたかった?

ビッケ そういうところもありましたね。いろんなものを作る時に、とりあえずベクトルは「前へ前へ」「上へ上へ」というとを心がけてはいました。それがちょっと出来上がると、自分の心がもう勝手にそうなっていくんですよ。自然に生まれるものがそういうアイデアになっていくんで、それで作り上げたという感じですね。途中のテンポチェンジも楽しいし、勢いよくいけるし。

──最後は「Worldfly」。ミニアルバムのタイトルでもある曲名ですよね。最初パッと見て「ああ、造語だな」と思ったんですが……歌詞の中で「I go to see a worldfly」というフレーズがあるのを見て、「あ、こういう単語があるんだな」と思って、辞書で調べたんです。そしたらやっぱりそんな単語は載ってなくて(笑)。

ビッケ ハハハハ! 振り回されてるやん(笑)。

──だって、本当にそんな単語があるかのように歌うからですよ! この「Worldfly」は、「世界を飛び回る」というような意味合いですか?

ビッケ そうですね。「Dragonfly」がトンボで、「Firefly」がホタルだから、「Worldfly」は世界を飛び回る昆虫ってことです。

──この曲はピアノと歌がフレディー・マーキュリーっぽいなと思ったら、バルセロナのことを歌っていると知って「なるほど!」と。

ビッケ バルセロナで何かありましたっけ?

──フレディー・マーキュリーが、ソロで「バルセロナ」という曲を歌ってるんですが……。

ビッケ あ、それは知らなかった。

──そうなんですか! てっきりそういうことかと思ったんですが(笑)。でもフレディーというか、クイーンは念頭にあったんですね。

ビッケ ピアノを弾きながら歌ってる感じが「クイーンだ!」と思って。短い曲で、コーラスを積んでピアノと歌だけで聴かせようとなったら、その代表的なのがクイーンだったから。それで3拍子で作っていくというところで、フレディーみたいな歌い方をするとピタッときましたね。僕も大好きだし、そのマインドになったら本当に2時間ぐらいで出来上がりました。バババーッとできた感じです。

──なるほど! 全6曲について伺いましたが、この6曲で一つの作品になった手応えはどんな感じですか?

ビッケ にぎやかだと思いますよ。僕も各曲ができた背景が簡単に想像できますしね。新鮮な記憶だから。それをすぐ目の前で示せたというのがうれしいし、楽しいですね。

──今回は世界中を旅したことがインスピレーションになった作品でした。これは特別なことですか?

ビッケ そうですね。普段は旅をしないから。いつもは日常を歌ってるんですが、今回はその日常が旅になったということですよね。やっぱり海を越える、大陸を越えるということはエネルギーが違うし、自分のワクワク感も違うから、それなりにパンチの効いた曲、特徴のある曲が出来上がったのも必然かなという感じですね。

年末の「RAINBOW ROAD」第2弾はどうなる?

──そして、このミニアルバムも引っさげて12月28日には「Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-」が開催されるわけですよね。昨年が第1弾でしたが、やってみてどうでしたか?

ビッケ メッチャよかったですよ。カチ上げ感があって。そこには「ここから続いていくぜ、RAINBOW ROADがな!」という心意気がありました。この「RAINBOW ROAD」の本質は「続いていくこと」だけど、まだ次が2回目だから、続いていってどうなるのかはまだ分からないじゃないですか。ただ、ワクワクはしてますよね。不思議なもので、やっぱり特別な日になるんですよね。やっぱりカチ上げるっていうのは大事だなって思いましたよ。言い切ることのすごさというか。「これが、ここから続くRAINBOW ROADの第1回目だ!」と言い切ることによって、みんなでその日を特別な日にできる。そして「その2回目だぞ!」と言うことで、またその日を特別にできるんだなと思いますね。

──なるほど。他のライブとの一番の違いはその点ですか?

ビッケ 「続いていく」ということでもあるし、僕も含めてスタッフもファンもみんなが「RAINBOW ROADは他と違う」ということで明らかに差別化されるんですよ。そこでやれることの幅も広がるだろうし、チャレンジングなことももちろんできるだろうし、普遍的なこともやるべきだし……と、いろんなことを考える余地があるんです。間違いなく特別な日になるっていう保証があるのがデカいですよね。

──今回の2回目は……。

ビッケ メチャクチャ楽しみですね、この『Worldfly』もあるし。『Worldfly』のイベントではないけど、これが今の最新の僕なので、それも出ていくとなると、かなりめまぐるしいことになるんじゃないですか。

──もういろいろアイデアはあるんですか?

ビッケ あるんだけど、方法が決まってないんですよ。

──方法?

ビッケ 例えば「Luca」の時には後ろにひまわりを映したいんだけど、それにはLEDスクリーンがいるんじゃないかとか。そうするとメチャ高くなるから、じゃあどこを減らすかとか、そういうテクニカルなところですね。

──細かい詰めの部分ですね。

ビッケ まあでも楽しみですよ。こういうのが一つあると楽しいですよね。リリースするのとはまた違って、練習をいっぱいした上で学芸会で劇をする感覚というか。その瞬間こそが全てであって。リリース作品はずーっと愛されるものだけど、その瞬間にかけるというのはロマンがありまし、ワクワクします。

──ご自身の中でも活動の柱になっているわけですね。

ビッケ なりつつありますね。スタッフと話していても、「来年どうする? この時期には『RAINBOW ROAD』があるとして……」みたいな会話をしてますから。そういう感覚か、面白いなと思いますね。

──そういうのがあると強いですよね。

ビッケ ね、強いですよ。もっと早くやればよかった(笑)。でも、タイミングとしてはよかったんですよね。デビュー当時からやってたら、「第1回から参加してた人はごく一部」みたいなことになりますけど、今だから5000人規模から始められたわけで。それはデカいですね。

──ここからは「RAINBOW ROAD」に向けて全力という感じですか?

ビッケ いやまあ、12月にはスペインにも行くし、まだ公表されてない予定もあるんですよ。それも含めて楽しく音楽ライフをという感じですね。パソコンも新調したいし。

──楽しそうですね(笑)。

ビッケ メチャクチャ楽しいですよ! ホントに楽しい。

──で、毎回お聞きしているマイブームなんですが……1年前のインタビューでは何だったか、覚えてますか?

ビッケ 去年は……コーヒーでしょ? いや、「家具を買う」だ。

──違います。

ビッケ 「パソコンを組む」はもっと前ですよね。

──それは僕がお聞きするようになるより前なのでは?

ビッケ そうですよね。じゃあ去年は?

──去年のお答えは「今はない」だったんですよ。

ビッケ ああ~! 疲れてたもんな(笑)。今は「パソコンを組む」に回帰したんですよ。毎日、どう組もうかばっかり考えてます。自分のメインPCが製作の真っ最中に壊れたんですよ。ホントに迷惑で! 「これどうする?」ということで、とりあえず古いPCを引っ張り出してどうにかやり過ごしたんだけど、新しく組むかということで、そればっかり考えてます。

──自作PCを組む時の、一番のテーマは何なんですか?

ビッケ 「最強」ですよ。どうしたら最強のスペックになるかという。チップはどうするか、CPUは何にするか、グラフィックボードはどうするのか……でもさらに上に、今最強のチップがあるんですよ。それを積むのかどうするのか。100万円のチップとかもあって、それを積むかどうか。いやホント、ワクワクする(笑)。

──それも楽しそうですね(笑)。

ビッケ そのチップって、俺みたいに曲を作るだけだったら絶対必要ないんですよ。3DCGを作る人のためみたいなものだから。完全にオーバースペックなんです。それを積んで楽しむマインドが俺にあるのかと、自分に問うわけですよ。それが楽しい。「速い~!」っていうのは感動しますからね。

──そのマイブームはしばらく続きそうなんですか?

ビッケ いや、もうけっこうメドがついてるから、もう少しで終わりそうなんですよね。いっぱい組んでいたいんですけど、パソコンって一つ最強を組んだら終わりだから。1ヵ月に1台組んでもしょうがないですからね。

──では次の機会には、間違いなくまた違うマイブームがお聞きできそうですね(笑)。それも楽しみにしつつ、ありがとうございました!

撮影 長谷英史

EP 『Worldfly』
2023.10.25 ON SALE

 

商品情報はこちら
https://vickeblanka.com/discography/

Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -翔-
読み:ビッケブランカ・プレゼンツ・レインボーロード -ショウノショウ-

日程:2023年12月28日(木)
会場:TOKYO DOME CITY HALL
OPEN / START:17:30 / 18:30
問い合わせ:ディスクガレージ https://info.diskgarage.com

チケット料金:
全席指定 前売:¥7,000(税込) ※別途ドリンク代あり
申込枚数制限:6枚
年齢制限:3歳以上よりチケット必要・3歳未満は⼊場不可
https://vickeblanka.com/live/detail.php?id=1101967

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高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。