7枚目のシングル「zOne」をリリースした高野洸さん。10月からは5周年YEAR突入を記念したLIVEツアー『高野洸 5th Anniversary Live Tour「mile」-1st mile-』の開催も決定しています。舞台、ドラマだけでなく、アーティストとしても成長著しい彼がこのシングルで見せた新境地と、LIVEツアーに向けた意気込みについて語ってもらいました!
新曲「zOne」の作詞イメージ、きっかけは意外にも……!?
──お久しぶりです! 最近はどう過ごしてましたか?
高野 昨年、2ndアルバム『2LDK』をリリースしてから舞台を2本ぐらいやりました。特に長かったのが舞台『キングダム』で、稽古も含めると半年ぐらい作品に携わってましたね。ロングランだったので終わった時の達成感はすごかったです。実は、今回のシングルは制作を始めてから1年弱くらい経ってるんですよ。曲を集めだしたのが去年の秋ぐらいだったので、時間をかけて作ったという感じですね。その間に舞台『キングダム』やドラマ「美しい彼」、「明日、私は誰かのカノジョ」もあったし、合間にアーティスト活動もやってましたけど、時間が足りないかもということでだいぶ早めに作り出したのがこのシングルなんです。焦って作りたくなかったから(制作のための)時間がほしいと予め伝えて、時間を確保して制作して、リリースはいろんなことが一段落した段階で、ということで6月になりました。
──今回、「zOne」の歌詞を高野さんが書かれてますよね。作詞に取り掛かったのはいつくらいからなんですか?
高野 作詞は去年の11月ぐらいから始めました。ただ、その時はまだまだリリースまで時間があったので、ゆっくり作ろうと思ってはいたんですけど、なかなか進まず(笑)。12月に入ったくらいには書き終えてましたけど、舞台『キングダム』に向けて原作漫画を読んでいたところだったので、インスピレーションは受けていますね。
──前作に比べると今回の3曲はかなり大人というか、イメージが大きく変わった感じを受けたんですけど、何かきっかけはありましたか?
高野 今回は曲を集める段階でこういうジャンルやテイストの曲がいい、というのをある程度リファレンスした上で曲を集めたんですよ。それでも200曲ぐらいありましたけど、その中で、僕の好みで決めさせていただきました。もちろん、スタッフさんと話し合って決めたんですけど、特に「zOne」に関しては聴いた瞬間に「これがいいです!」と、すぐ決まりました。初めて聴いた時からすごくカッコいい曲だなと思ったんですよ。扱っている音色とか、ちょっとゆったりしたリズムなのも好きだし、R&Bとも言える曲ですよね。この1曲にいろんなカラーが入っていて面白いんだけど、僕的にはターコイズが思い浮かびました。この曲のカラーがすごく好きで、こういう曲をやれるようなアーティストでありたいなと思ったので、ぜひにという感じでやらせてもらいました。
──曲をイメージする時、色が思い浮かぶタイプなんですね。
高野 人によって違うと思うんですけど、僕は色が浮かびますね。
──「zOne」を作詞をする時に思い浮かべていたことはありますか?
高野 この曲を聴いた時、“冷静なんだけど集中している状態”というか、研ぎ澄まされた感じがしたんですよね。それを歌詞にできないかなと思って、サビのメロディにもパッとハマる「zOne」という言葉を選びました。いわゆるゾーン状態というものを表現しようと思って書いた歌詞です。
──ゾーン状態は人間が危機的状況に陥ったり、スポーツ選手がたまに経験する、驚くべき集中力を発揮して周りの動きがゆっくりに見えたりすることだそうですが、高野さんはゾーン状態を経験したことはありますか?
高野 僕が歌詞を書いた時にイメージしていたというか、説明として一番わかりやすいなと思うのは、『THE神業チャレンジ』という番組で僕がやっている、「太鼓の達人」を画面を見ずにフルコンボするというチャレンジです(笑)。あの時ってものすごく集中してるんですよ! 曲を叩いている数分間は曲を聴くための耳も、次の動きを予測するための脳みそもフル回転なんですけど、ああいう研ぎ澄まされた感覚になることって普段なかなかないし、そういうのって素敵だなと思って。なかなか言語化できないことだからこそ、歌詞にしたら面白いんじゃないかなと思って書いてみました。「太鼓の達人」チャレンジは本当にコンマ1秒の勝負なんですけどけど、本番中は練習していた時よりも曲が遅く感じるんですよ。そういう状況を思い浮かべつつ、舞台『キングダム』からもインスピレーションを受けています。僕が演じた信は、明らかに自分より強い敵にも打ち勝つことができるんですけど、そういう信もゾーン状態に入っていたりするのかなって。信の無敵さはカッコいいなと思いますし、そういうところからいろいろ連想して歌詞にしてみました。
──2曲目の「Stay with me」はどんなイメージの曲ですか?
高野 この曲を好きだと思った理由の一つが気持ちよさなんですね。この曲を聴いて、耳に残って口ずさんじゃうのもそうですし、サビがガツンと気持ちいい感じがしたので、歌う側としてもそこは意識しました。みなさんの耳に残るようなものを歌いたいと思いつつ、感情を込め過ぎず、重くない感じで歌うのがいいかなと思いながらレコーディングしました。
──今回のシングルは3曲ともいい意味で肩の力が抜けてる感じがしたんですけど、アーティストとしての成長を実感したんじゃないですか?
高野 僕が素晴らしいと思うアーティストって、みなさん抜け感があるというか。僕は、力んでない状態での繊細さに技術があると思ってるんですね。なので、僕もそれができたらいいなと思いましたし、聴いてて心地がいいというか(笑)。日常で聴けるような、そういう曲を目指したいので、僕もそういう歌を歌えるアーティストになれたらいいなと思ってます。
5周年イヤー突入記念のライブツアーも楽しみ!
──今回の3曲はライブのどんなパートに入っても自然と聴けそうだなとも思ったんですけど、制作段階でライブで歌うことは意識していましたか?
高野 いや、ライブで歌うことを念頭に置いていたわけではなくて、いい曲を作るということが最優先ですね。だけどおっしゃる通り、ライブにも合いそうだし、他のアーティストさんの曲とシャッフルされた時にも際立って聴こえるかなと思うんですよね。3曲ともいろんなジャンルが融合して、ミックスされて入ってるんですけど、それこそが僕の目指してるところなので。ひとつのジャンルに偏ってる曲も好きなんですけど、自分がやるんだったらこっち(ミックスジャンル)かなって。いろんなものが組み合わさったもののほうがインパクトも強いと思うんですよね。例えるならRPGとクラシックを組み合わせたドラクエとか(笑)。「Stay with me」と「Vibe like lover」に関してはシティポップっぽさもありますし。
──その「Vibe like lover」ですが、この3曲の中でも一番新しさを感じつつ、2ndライブの流れも感じました。
高野 2ndライブからの流れでいうと、「Embrace」が似てるかもしれませんね。 やっぱりこういうバラードは抜け感を大事にしたいですし、聴いていてうるさくないんだけど、プレイリストに入るとすごく印象に残る曲というか。音色も少ないのに、なんか印象に残るんですよね。
──音色が少ない分、レコーディングは難しかったんじゃないですか?
高野 めちゃくちゃ難しかったですね。Bメロも難しかったんですけど、一番のAメロが全然バチンと来なくて。Aメロだけで10回以上は録ってると思います。録っては聴いて、「いや、違うな」の繰り返しで。ディレクターさんがいいと思っても僕が満足できなかったり、塩梅が難しかったですね。たぶん周波数の問題だと思うんですけど、曲に馴染まない声色が出てると「ちょっと違うな」って感じで。機械で調整しちゃうと、それもまたちょっと変わってきちゃうんですよね。「Stay with me」はオートチューンをあえて使ってるんですけど、この曲に関しては声色の加工はほぼなしです。
──「Vibe like lover」はライブで聴いてみたい曲だなと思ったんですけど、ライブで歌うのが難しそうでもありますね。
高野 レコーディングの時とライブ会場で聴くのとではまた違いますから。ライブ会場だともっと声を張らなきゃいけないかもしれないですね。
──今回のシングル3曲について、1曲ずつキーワードで言い表すとしたら何になりますか?
高野 「zOne」は、“感覚”。
一言で言い表すのは難しかったんですけど、曲を総括できそうな単語は感覚かなって。“集中力”も思い浮かびましたけど、一番大事なのは感覚なので。僕は絵で記憶したほうがわかりやすいので、漢字がバーっと並んでいる文章を読むと、平仮名ばかり目について、画数の多い漢字は文字が潰れて黒くなっちゃうんです(笑)。文字も画像として記憶するタイプですね。文系・理系で言うと完全に理系だと思います。でも感覚って人それぞれだし、体質によるところもあると思います。僕でいうと、色の識別能力は高いほうですね。
「Stay with me」は、“デニムのジーンズ”。
デニムは単純に曲のイメージですね。圧倒的に青系だなって感じました。ネイビーでもいいんですけど、それよりはちょっと薄みがかった印象なので、ジーンズっぽいかなと。明るいデニムっぽい感じがしますね。音色も、ちょっとダメージがあるじゃないですか。そういうレトロっぽいサウンドと、心地いい感じがぴったりだと思います。
「Vibe like lover」は、“生キャラメル”。
生キャラメルって感じです(笑)。カフェで寛ぐ時間というか、ゆったりした感覚なので、生キャラメルみたいにじっくり溶けていく感じと、トロッとした感じが合わさって、曲のイメージにぴったりじゃないかなと思って選んでみました。
──さらに今年はCDデビュー5周年イヤー突入記念として、ライブツアーも開催されます。今回が3度目のツアーですが、楽しみなところはありますか?
高野 Zeppで僕のソロライブさせていただくのは初めてなので、普段ライブハウスでバンドの方々がよくやってるような会場でライブができるということで、より密度の高いライブができるんじゃないかなと思いますし、一体感を求めたライブを作りたいですね。仙台だけZeppではないんですけど。仙台GIGSさんには前回もお世話になってますし、あたたかい会場なので、ここはやりたいなって(笑)。仙台で活動させていただいたこともあるので、仙台はやっぱり楽しみですね。今回のライブツアーは5周年イヤー突入記念ということで、「-1st mile-」というサブタイトルをあえて付けさせていただきました。5周年イヤーは他にもたくさんコンテンツを用意して、記念すべき節目を盛り上げていきたいと思っているので、このライブツアーはその第一弾です。自分の節目の年に、これまでの道のりを距離でたとえて「-1st mile-」としました。今まで築き上げてきたことを祝う5周年イヤーの第一歩、みたいな感じで捉えていただければと思います。
──5周年イヤーは忙しくなりそうですね。
高野 そうですね。音楽活動のスケジュールもガッチリ押さえられてます(笑)。去年と今年上半期はありがたいことに舞台とドラマで忙しくさせてもらっていたので、今年後半はできるだけアーティスト活動をやりたいですね。この期間に舞台やドラマで僕を知ってくれた人にも、ライブに来てもらえたら本当にうれしいです。ライブハウスはみなさんとの距離が近いので、そのよさを活かして、より音を楽しめるライブにしたいですね。もちろんダンスもありますけど、音で感動していただけるようなアーティストを目指してますし、その現場でしか味わえないことを楽しんでいただいて、帰り際に「あー楽しかった!」って言っていただけるようなライブにしたいです。今回はたぶん声出しもOKになるんじゃないかなと思ってて、それが楽しみですね。1stツアーも2ndツアーも叶わなかった声出しが今年はいよいよ解禁かもということで、より一体感を感じられるライブになることを願っています。ライブに来てくださる方はぜひ周りを気にせず、大きな声を出してください!
高野洸 5th Anniversary Live Tour「mile」-1st mile-スケジュール
2023年10月13日(金)Zepp Haneda
2023年10月17日(火)Zepp Nagoya
2023年10月19日(木)Zepp Namba
2023年10月20日(金)Zepp Namba
2023年11月5日(日)仙台GIGS
2023年11月8日(水)Zepp Fukuoka
2023年11月9日(木)Zepp Fukuoka
2023年11月15日(水)KT Zepp Yokohama
2023年11月16日(木)KT Zepp Yokohama
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ライター
尹秀姫(ゆんすひ)
出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライター。たまに韓国語の通訳・翻訳も。K-POPを中心にさまざまなアーティスト・俳優にインタビューしています。