昨年デビュー10周年を迎えたSUPER☆GiRLS。その活躍を支え続けた5代目リーダー・渡邉幸愛さんが卒業を昨年末のライブで卒業を発表しました。スパガでは7年、その前の活動も含めればアイドル歴は15年。その締めくくりとなる26枚目のシングル『はじまりエール』が4月21日に発売されます。
その全身から放つポジティブなパワーと圧倒的なパフォーマンス力でスパガを引っ張ってきた彼女の最後のセンター曲であり、卒業シングルとなる『はじまりエール』。曲や歌詞、振り付けや衣装に至るまで彼女の意見を反映された、まさに集大成の一曲。あらためて自身の卒業について、残り3ヶ月でメンバーに受け継ぎたいもの、そして後輩たちの思いを渡邉幸愛さんと阿部夢梨さん・坂林佳奈さん・樋口なづなさんの4人に伺いました。
今のスパガならわたしが卒業してもまかせられる
──まず幸愛さんの卒業についてうかがいたいんですが、いつぐらいから卒業を考えはじめたんですか?
渡邉幸愛 2年半前くらいにメンバー5人が卒業するタイミングがあって、その時に自分も卒業を考えたんですけど、まだ「新しい子たちと新しい時代を築きたい」という気持ちがあったので、グループを残らせていただいたんです。それからリーダーも経験させてもらって、去年の自粛期間中くらいに本当にアイドル人生で初めてくらいにゆっくり休む時間を持てて。それであらためて自分のこととか将来のことを考えるようになって、自分はこれからどうしていきたい? って考えた時に、新しくチャレンジしたいこともあって。そういうことを考えてメンバーを見ても、今のスパガならわたしが卒業してもまかせられるなと思ったし、一歩踏み出してみて他のことをやってみようと思いました。
──「自分たちの下の世代を育てないと卒業できないな」というのはありましたか。
渡邉 これは勝手にわたしが「見守りたい」って思って決めたことなんですけど、もともと自分が途中加入した身だったので、メンバーの加入した時の大変さも知っているし、自分が先輩になってみて知ったこともいっぱいあったんですね。そんな中で3期は突然先輩になるから大変だろうなって思ったし、新しく入る4期はスパガ第3章を見て「スパガになりたい」「アイドルになりたい」って夢を持って来てくれた子なわけじゃないですか。そんな子たちがオーディション中に先輩たちの卒業発表を知って一緒に活動できないのは大変なことだなって思ったんです。それで自分も続ける決意をしたんですけど、今思えばみんなの成長を見守らせていただいてよかったなって思っています。
──スパガで7年、アイドルとして15年。長いですよね。
渡邉 ですよね(笑)。ここまで続けられたのは、シンプルにわたしがこの職業が好きだったってことと、誇りを持ってやっていたからだと思っています。コロナ禍もあって卒業シングルが出せないアイドルもいる中、こうやってリリース出来ることが本当に嬉しいし、そのありがたみを感じながら撮影やレコーディングに臨みましたね。
──12月のライブで卒業発表しましたけど、その時はどんな心境でした?
渡邉 「いよいよわたしにもこの時が来たんだな」というのがあったんですけど、コロナの影響でライブ自体が開催できるかも危うくなっていて、前日までは違うハラハラもあって。だから発表した後にはじめて卒業を実感しました。言葉にしてようやく、ですね。
──半年後にはもうこの場にいないんだな、てことですよね。
渡邉 ずっとスパガのメンバーでいることがわたしの日常というか当たり前だったので、そこから離れるのは勇気がいるし、逆にそのグループの存在に甘えてきたところもあると思うんです。このグループがわたしにとって大切だったというのもあるんですけど、グループ活動があることで自分の自信にも繋がっていたし、自分のやりがいも感じていたんです。そんなすごく大切な場所だったんですけど、今度は自分の足でやってみたいって気持ちがあって。新しく挑戦したいこともあるし。自分の足でしっかりと自分らしさを忘れずに頑張りたいなと今は思っています。
──同じ卒業でも、学校の卒業は3年や6年と節目がありますけど、アイドルは自分で辞めるタイミングを決めなきゃいけないから本当に悩みますよね。
渡邉 そうですよね……。本当にそこが難しいところで。自分で決められるからこそ難しい。アイドルを好きでやっているから続けたいって思っていた自分がいたし、そこが楽しかった自分もいて……伝えるのは勇気がいりました。
──「卒業を伝えるならファンがいる前で」というのは考えてました?
渡邉 それはずっとそう思っていました。卒業発表は自分の口からお客さんの前でやりたかったし、そこから卒業までの期間もある程度ほしかったんです。心の準備と、みんなと大切に出来る時間が必要と思っていたので。本当ライブ出来るかギリギリのタイミングだったんですけど、それが叶ったのは嬉しいですね。
残り三ヶ月で幸愛さんに恩返しをしたい
──最初に卒業についてメンバーに伝えたのはいつ頃ですか?
渡邉 スタッフさんが時間を作ってくださって、昨年の11月ごろにメンバーには伝えました。あらためて「グループを卒業させていただくことにしました」って言うのはこみあげてくるものがありましたね。泣きそうになったんですけど、ちゃんと自分の言葉で伝えたかったので。
──みなさんは最初それを聞いてどう思われました?
阿部夢梨 「幸愛さんが卒業される日がいつかは来るだろうな」という心構えはほんと第4章が始まるころからしていて、ずっと幸愛さんに甘えていられないなと思っていたんです。でも幸愛さん自らの声で決断したって伝えられた時は悲しいし、不安が最初にきましたね。
──3期は一番長く一緒にいたわけですからね。
阿部 幸愛さんはグループの大黒柱だと思っているので、そういった柱が抜けるとこの先どうなるのかな、私達以上にファンの皆さんも心配するだろうなと思いましたね。
坂林佳奈 幸愛にはずっとスパガ第4章のリーダーとして支え続けてもらっていたので、卒業を決めたのは幸愛自身「わたしがいなくてもいける」って思ってくれたのかなって気持ちと、やっぱり抜けてしまうことにはさみしい気持ちもあるんですけど、今までずっとグループの活動を人生かけて支えてくれたので、今度は恩返しをしたいと思っています。
樋口なづな なんとなく「次に卒業されるのは幸愛さんかな」って気持ちはあったんですけど、いざ卒業しますって言われると「さみしい、どうしよう」と感じて。ただ卒業までに時間もあったので、それまでにたくさんのことを吸収しようって思いましたし、幸愛さんはアイドルを長い期間やられてきてグループのため、ファンのみなさんのために生きてきたと思うので、これから先は幸愛さんのために幸愛さんが生きて欲しいなと思っています。
──あらためて幸愛さんがいなくなった後のスパガについて真剣に考えたと思いますが、みなさんどうしていきたいと思いますか?
阿部 今は幸愛さんが抜けたグループがまったく想像つかないんですけど、私達がそのままでいるとファンのみなさんを不安な気持ちにさせてしまうと思うので、いちはやく心を整理して次に向けてやっていきたいなと思っています。とにかく10年間続いてきた偉大なグループを未来に繋いでいきたいって気持ちは全員一致していて、これまでも何度も「新生」って言葉を使ってきたんですけど、これからが本当に一番のスパガが生まれ変わるタイミングなのかなと思っています。フレッシュなグループとしてゼロベースから組み立てていきたいなと思っています。
坂林 メンバーが抜けるタイミングというのは、ファンの皆さんから見てもグループががたつく時で心配かけると思うんですけど、自分もグループの土台になれる人間でありたいなと思うので、今までになかった新しいスパガの一面を見せていければなと思っています。
樋口 アイドルグループの卒業があるたびにナーバスになったり、ネガティブな言葉を聞くというのはアイドルではよくあると思うんです。でもそういう言葉をかき消すくらい、「幸愛さんが抜けてもスパガはまだまだやっていけるな!」と思えるパフォーマンスや立ち居振る舞いをしていけたらいいなと思っています。
──幸愛さんの卒業が決まって、心構えとか変わりましたか? 今のうちにこういうところを見習おう、とか。
阿部 心構えは変わったと思います。この先どうなっていくかまだわからないですけど、どんな形になっても柔軟に対応できるように、MCだったりスタッフさんに対する対応といったものを今のうちに吸収しておきたいなと思って、日頃から観察するようになりましたね。
──阿部さんら3期にとっては最後の先輩がいなくなるわけですからね。
阿部 やっぱり幸愛さんがいるのってほんとに心強いんです。この前幸愛さんと長尾しおりちゃんが別仕事で、その他の7人でライブをする機会があったんです。幸愛さんがいない状態でライブだったんですけど、あらためてその存在の大きさを感じました。偉大です!
坂林 幸愛は人間性もそうなんですけど、どんな人とでも仲良くなれるところに魅力を感じていて、どうしたらそれは受け継げるんだろう、って思いますね。ポイントは?(笑)
渡邉 ええー、なんだろう? 人が好きなので、シンプルに人を愛すことです(笑)。
坂林 それを目標として頑張りたいと思います、人をより愛せるように……。
樋口 いままでは幸愛さんが先頭を走ってくださって、3期生のお二人がそれを支えて、私達4期がとにかくついていくって状況だったんですけど、これから3期生がいちばん上で、わたしたちはその下になるので支える役割を自分たちがなっていけたらいいな。
──支えると言わず上げていってもいいですよ!
樋口 そうですね。4期はほとんどがアイドル未経験で歌もダンスもやったことない、右も左もわからない子が大半だったので、今までついていくのが精一杯だったんです。でもこれからはついていくというよりは引っ張っていく立場になれればいいな!
幸愛さんに恩返しする残り三ヶ月
──あらためて3人に聞きたいですが、幸愛さんはどんなリーダーでしたか?
阿部 言葉で表すのはすごく難しいんですけど、グループの精神安定剤だと思います。ライブで幸愛さんがいない時に改めて偉大さに気づいたってのもそうですし、幸愛さんがいるだけでグループの周りみんなが笑顔になるし、安心する。幸愛さんがいるから大丈夫だって思えるんですね。大丈夫じゃなくても錯覚するくらい(笑)。
──そのくらいデカい存在だったと。
阿部 幸愛さんにそれだけ甘えていたというのもあるんですけど、安心感と信頼がありました。
──では坂林さんはいかがでしょう。
坂林 ママですね(笑)。すごく温かくグループのことを見守ってくれる、かつたまに天然が炸裂するんですが、いつもメンバーを笑顔にしてくれて和ませてくれる。グループにいるだけでその場が華やかになる人。温かい空間を作ってくれるリーダーです。
樋口 幸愛さんはすごくおだやかでした。4期が入ってきた時は何もできなくて、怒りたくなったと思うんですけど、そういう時でもわたしたちが落ち込まないように言葉をかけてくれたり、ちょっと失敗しちゃった時のアドバイスも傷つけない言葉選びをしてくれて、どんな時も怒ったりしないんですね。
──そんなリーダーだから続けられた。
樋口 感情がおだやかで、幸愛さんがいるだけで場が和むんです。リーダーっていうと、わたし的にプンプン! ってイメージなんですけど、幸愛さんは真逆で天使のようなリーダーでした。
──実際、幸愛さんはキレたことなかったんですか?
渡邉 えー!(笑)
坂林 注意する点があっても、感情的に言うんじゃなくて、その子にどういう言葉がいいかなってちゃんと考えてくれて、その後のケアもしてくれる……そんなリーダーですね。
渡邉 そうですかね~?(笑)でも最初の合宿のときは厳しいことも言っちゃったんで。あとは自分ももっと自信を持てていたら厳しいことも言ったのかもしれないけど、強く言えるほど自分に自信もなかったのかもしれないです。
──でもしっかり成長してきたわけで「この子たちならもうまかせられるな、大丈夫だ」って思った瞬間あります?
渡邉 やっぱりライブを見た時なんですけど、正直最初に4章になりたての頃はパフォーマンスも歌の面もひどいよねって瞬間が多かったんですけど、そういう瞬間もいつのまにか無くなったりしていて、これって「みんなナチュラルにスパガになっているんだ」って思ったんです。ライブ映像とか完成した曲、MVひとつ見てもみんなの成長を感じたんです。目に見えぬものなんですけど、新しい世代のスパガを見たいなって自分でも思えてきたんですね。
──自分がいなくなったスパガはどうあってほしいですか。
渡邉 やっぱりわたしがいた期間7年って長いので、いなくなった時は良い意味で新しいものを見せられると思うんです。大きな変化をつけて見せていったら、この時代にも打ち勝っていけるような良いグループになるのかなと思うので、頑張ってほしいなと思っています。
──次世代のスパガ、どういうグループになるんでしょうね。
渡邉 わたしがいなくなって、歌割ひとつでも違う子が歌ったらぜんぜんイメージが違ってくると思うんです。あみたさん(前島亜美・スパガ1期生)が卒業された時に、最後の決めのパートとかもいただいたんです。そうなると声質とかも全然変わるんですよね。だから新しいスパガでわたしが歌っていた場所を違う子が歌ったら、別物になると思うんです。そういう変化も不安に感じるより楽しんでほしい。ファンの人も楽しいところに行きたいわけなので、良い空間になったら自然とみんなついてくると思っています。
知り合って意外な面は「楽屋の床で寝始める」!?
──3人は幸愛さんと最初にあった時のこと覚えてますか?
坂林 オーディションの時にMBSラジオの廊下ですれ違ったんです。
渡邉 よく覚えているなあ! そうかあ、かなぽんはそこだったもんね。懐かしい!
坂林 その時に「この人とは仲良くなれるな!」って思いました。
渡邉 一度会っただけなのに(笑)。
樋口 わたしは『超オーディション!!!!』SHOWROOMルートのオーディションで入ったんですけど、その最終審査でしたね。レッスンをしている時にお会いしたんですけど、幸愛さんと夢梨さんがレッスン見に来てくださって、「鏡ごしに先生を見ないで、先生の方をしっかり見てお話聞いた方がいいよ」って教えていただいたんです。それがわたしがアイドルとしてはじめて教えていただいたことで。今でもそれは気をつけるようにしてます。
阿部 わたしは幸愛さんと初めて会ったのはアイストカーニバルですね。わたしがストリート生のときで、カーニバルに選抜していただいて全体リハーサルがあったんですけど、その時に幸愛さんが全体のセンターでダンスパートを踊ってらっしゃったんです。
渡邉 へ~!
阿部 堂々と踊っている姿を見て「本当にダンスが上手な方なんだな」と思ったのが一番最初に見た思い出ですね。一方的にですけど。お話したのだと、幸愛さんが舞台をやるって時に研修生の自分が観劇させていただいて、スタッフさんとご挨拶に行ったんです。出演されていたアイストメンバーに挨拶させてもらって、梅のお菓子をお渡ししました。
渡邉 めっちゃ美味しかったです。
──そこは覚えてるんだ。
阿部 「いい子ー!」って言われました(笑)。
──わかりやすい! ではあらためてスパガで仲良くなってみて、幸愛さんが意外だった面ってありますか? 「こんな顔もあるんだ」みたいな。
阿部 普段から一緒にいすぎてって感じなんですけど「変顔とかするタイプなんだな」って思いました。加入した時から他のメンバーと変顔撮ったりしていて、それも結構なすごいやつ(笑)おしとやかな感じなのかなって思ったら、こういう面白い系のネタにも乗れる人なんだなって振り幅にびっくりしました。
坂林 考えたら変なことしか思いつかなくて……MVでタイに行った時、みんな日焼け止めを塗るんですけど幸愛の手だけ日焼け止めの塗り過ぎで黒光りしていて「この人の手って光るんだ!」って思った記憶があります。
渡邉 違うわ!(笑)キラキラしたのが入った日焼け止め塗っていて、ずっと塗っていたら手がいちばんキラキラになっちゃって。
樋口 意外とプライベートでは大雑把なんだなって思うことがあって、すごい印象に残っているのが楽屋の床で寝始めるっていう。(笑)
渡邉 あ~!
樋口 生誕祭が大阪であったんですけど、「ちょっと寝るわ」っていって床で寝はじめてびっくりしました。
渡邉 一応ふかふかのカーペットぽい床ですけどね! マネージャーさんにもよく怒られます(笑)。洋服一枚はさんでいるから大丈夫だろうって思うんです!
『はじまりエール』は私が卒業した後も歌われてほしい
──そして今回の新曲『はじまりエール』ですけど、幸愛さんの卒業シングルということでデモ曲の選曲や歌詞の内容に衣装・振り付けなど、かなりの部分で関わられたとか。
渡邉 曲選びからさせていただきました。しんみりさせるのがいやなので、明るく楽しく、わたしが卒業した後も歌ってほしいし、みんなに愛される曲になってほしいなということでこのアップテンポな曲を選ばせてもらいました。
──歌詞も作詞の人にいろんな意見を出されてるのだとか。
渡邉 まずどんな言葉を使って欲しいか聞かれたんですけど難しくて、卒業に関して感じている思いを文章で送らせていただいて、それを元に作詞家のLitzさんが歌にしてくれました。
──歌詞で特にこの辺りが好きってところはありますか。
渡邉 自分の言葉がしっかり入っているのが、いきなりなんですけど「夢を追いかけココまで来たの 飛び込んだ世界は眩しくて」ってところが、お送りした文章で「夢を追いかけて飛び込んだ世界はキラキラ輝いていました」って書いていたんですけど、そのワードを入れてくださったり、「はじまりから今日まですべてが宝石なの」というあたりも入れてもらいましたね。あとは「泣き空だった 飽きれ傘だった 始まりを告げるように涙」って歌詞はLitzさんが最初に歌詞を書いてくれた時に「飽きれ傘ってのは幸愛を象徴していて、実際にある言葉ではないんだけど、長くアイドル人生送ってきた中でつらかったこと、頑張ったこといっぱいあったと思うけど、この歌詞につめこんできたよ」って言われたんです。飽きれ傘って最初はピンとこなかったんですけど、その文章見た時にネガティブに感じそうだけど愛のある言葉だなって感じで、自分に刺さりますね。
──真っ赤な衣装も幸愛さんの要望だそうで。
渡邉 いろんな衣装をこれまで着てきたんですけど、最後の衣装だしアイドルは可愛いってのが一番だと思っているので! ブリブリ系をリクエストして、最後ということでみんな赤色に染まってほしいなと思って、図々しいんですけど全員赤で。それにこだわりとしてリボンが銀色なんですけど、もともとのメンバーカラーがシルバーだったのでそれも取り入れていただきました。
──振り付けとかも過去の曲の要素があったり、幸愛さんのキャリアの集大成を感じさせます。
渡邉 CRE8BOYさんはいつも素敵な振り付けしてくださるんですけど、特に印象的な振り付けになりました。ほんとに集大成のような曲ですね……。メインで歌わせてもらっているんですけど、ユニゾンにしてみたりとかパートを変えるだけでぜんぜん違う曲に聞こえてくると思うんです。シンプルにみなさんの背中を押すように聞こえたり、『はじまりエール』ってタイトルどおりグループのはじまりとしても聴こえる。これからも歌い続けてほしいなと思います。
──幸愛さんも自分の卒業後もどう歌い継がれるか楽しみですね。
渡邉 そうですね、自分にとってお守りみたいな曲。新たな一歩を踏み出す自分としては、ついきっと卒業後も聞いちゃうんだろうなって一曲です。
──では3人のこの曲で気に入ってるところを教えてもらえますか?
阿部 ぜんぶ気に入っているんですけど、曲調がなにより好きかな。卒業というとバラード、しっとりした曲で卒業していくアイドルさんって多いのかなって印象なんですけど、幸愛さんらしく明るい楽曲で。今はなかなかライブとか声出せないんですけど、夏フェスとか声が出せる状況になったら絶対みんな楽しんで合いの手いれてくださるような人気曲になっていると思うんですね。もう既に人気なんですけど。だから、そういったファンの皆さんと声が出せる、ジャンプ出来る状況になってからも何度もこの曲は披露していきたいと思います。
坂林 この曲の歌詞がすごく好きなんですけど、特に好きなところは「はじまりから今日まですべてが宝石なの」ってわたしたちにも響く言葉で、幸愛の卒業ソングだから幸愛だけフィーチャーって歌詞ではなく、わたしたちにも共感できる詞として作ってくれているのがありがたいです。それと振りをつけてくださったCRE8BOYさんから「あえてここは笑顔で踊ってください」って言われていて、MV中も笑顔を意識して明るい気持ちで踊るようにしていたんです。走る振り付けだったり、ファンのみなさんも出来るものが多いので、どんどんリリースイベントとか積み重ねていって皆さんと曲が進化させていくのが楽しみです。
樋口 わたしは振り付けなんですけど「ゴールを切った」って歌詞がサビ前にあってそこで夢梨さんとしおりさん(長尾しおり)がゴールテープを作っていて幸愛さんが走り出しているんです。そして4期がその背中を押している振り付けになっていて、みんなで幸愛さんの背中を押している風景を作れるのが楽しくって好きです!
──そしてカップリング曲『Bloom』は幸愛さんが作詞、坂林さんが作曲というふたりで作り上げた一曲ですよね。
坂林 もともと高校生の時に少し作詞作曲をしてたってのがあって、作曲にチャレンジしてみないかって感じで話はいただいていて。じゃあどうしよう、って時にスパガの中でいままでメンバーのことを思って作った曲がないなって話になって、メンバーに対する感謝の思いなどを曲で伝えたらいいなって
──経験者といっても簡単には曲も書けないですよね。
坂林 卒業のタイミングの曲になって、本当に自分で大丈夫か? というのはあったんですけど、なるべくメンバーをやわらかく包むようなメロディーを心がけて作らせていただきました。曲が先だったので、メロディーが決まっているので作詞する幸愛も大変だったと思うんです。でも書いては消しを繰り返し、すごく粘ってみんなのことを思って書いてくれているんだな、って感じて「さすがリーダー!」と思いました。
渡邉 作詞はずっとやってみたかったことなので、ここで機会をもらえてすごく嬉しかったです。でも最初に書いた時から残っている言葉ってほぼほぼ無くって、何度も何度も書き直しをして「こう伝えたいんだけどいい言葉が出てこない!」みたいな事の繰り返しでしたね。プロの方に教えてもらったり、途中でかなぽんに相談して「これはどう?」って新しいワード出してもらったり、作るのは難しいけど楽しかったし、何よりメンバーへの思いを書いたので、言葉にしやすい部分はありましたね。
──新しいチャレンジを最後にやれて、その辺もさすがって感じです。
渡邉 はい。最後のレコーディングもこの曲だったので思い出深い曲になりました。自分が作った曲で最後のレコーディングって幸せだなと思いましたね。
この卒業シングルで1位を取りたい!
──そして活動も残り三ヶ月なだけに、もう全部やり尽くしたいという気持ちだと思いますが、3月17日の生誕ソロライブではスパガではやらない、ソロライブだからこその曲ばっかりやったんですよね。セトリ見てびっくりしました。
渡邉 本当にやりたい曲をつめこみました! 特にわたしも出演した映画『咲-Saki-阿知賀編』の曲『笑顔ノ花』(阿知賀女子学院)は、ライブでは一度も披露することがなくていつか歌いたかったんです。
──あと以前所属していたグループParty Rocketsの代表曲『セツナソラ』と、まさかの新曲『ハルカソラ』。
渡邉 『ハルカソラ』は、昨年3月11日に生誕ライブやる予定だった時、新しいことが何もないのは嫌だと思って『セツナソラ』を作ってくださった作曲家さんに「生誕ライブをするんで曲を作って欲しいんです」って連絡したんです。そしたら「いいよ」って快く受けてくださって。それが去年の生誕が延期になってしまったので、一年越しでやっと披露できました。『セツナソラ』の何年後かを書いた曲で、歌詞もリンクするすごくしみる一曲です。
──もう時間もないですが卒業までにやりたいことはありますか?
渡邉 わたしたち『忘れ桜』でデイリー1位をとらせていただいたんですけど、『はじまりエール』でも1位取れるように頑張りたいです。やっぱり気持ちいいじゃないですか! 難しい部分もあると思いますけど、“言霊”ということで声を大にして言っておきたいと思います。
──ファンもそこに向けて盛り上げていきたいですね。では残りの活動期間で幸愛さんからメンバーにどんなことを伝えたい?
渡邉 わたしは何回もメンバーの卒業を見てきたし、新しい体制を作るのは大変だと思います。しかも、わたしのパートを受け継ぐ人ってプレッシャーしかないと思うんですよ。やっぱり比べられるし。でも負けないで欲しい! 結果的には好きでいてくれる人はちゃんとついてきてくれると思うので、自信をもってやりきってほしいな。後悔することがないようにしてほしいと思います。残りはわたしも楽しみたいなと思います。
──3人は3ヶ月幸愛さんとどう過ごしていきたいですか。
阿部 トークでもパフォーマンスでも学べることはまだまだたくさんあるので、リハーサル期間もあると思いますし、いっぱい吸収してとにかく幸愛さんに恩返しが出来るような3ヶ月になればいいなと思っています。あとご飯を一緒に行かせていただいた時、いつもごちそうしてくださるんですよ。なのでこの3ヶ月ごはん行ったときは、全部わたしがごちそうしたいなと思います(笑)。
坂林 加入当初の頃はついていくことでいっぱいいっぱいだったんで、本人に「いつか支えになるように頑張ります」ってLINEしたら「よろしくー!」だけ返ってきたんです。その後も「ずっとついていくよ」って書いても「よろしくー!」って返ってきて(笑)。変わらず残り3ヶ月ですけど、ついていきます!
渡邉 よろしくー!(笑)。
樋口 幸愛さんは7年間スパガにいらっしゃったので、いままで積み上げてきたものやファンの方に与えてきた感情や思い出とか、たくさんのものが溢れ出るほどあると思うんです。これまで築いてきた幸愛さんの輝きに負けないように、わたしたちも盛り上げていきたいです。
──では最後に幸愛さんからAvexPortalを読んでいる方にメッセージをお願いします。
渡邉 『はじまりエール』はわたしと松本愛花ちゃんの最後のシングルで、2人はもちろんなんですけど締めくくりの一曲でもあるので、ここまで応援してくださった方に感謝の気持ちや「きっと大丈夫だよ」ってわたしたちのリンクする気持ちも込められているので、ぜひたくさん聞いて欲しいです。最後まで見守ってほしいし、
その先のスパガも見守っていただきたいと思います。よろしくお願いします!
──前のグループのファンとかいろんなファンがいらっしゃるでしょうね。
渡邉 このご時世で難しいところもあると思いますけどファンの方に直接お礼を言いたいですね。ライブとかいろんな機会で会いたいです!
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ライター
大坪ケムタ(オオツボケムタ)
アイドル・プロレス・B級グルメから大人方面と一見幅広いようで狭いジャンルを手がけるフリーライター。著作にゆるめるモ!田家大知Pとの共著「ゼロからでも始められるアイドル運営」(コア新書)、「SKE48裏ヒストリーファン公式教本」(白夜書房)など。