昨年12月に新メンバーのHinaとTaki加え、5人組の新体制となったFAKYが待望の新曲「GIRLS GOTTA LIVE」を配信リリースした。
ガールズパワーをテーマにしたダンスシングル三部作の第一弾となった今回の楽曲は90sリバイバルがコンセプト。Takiの太めのカーゴパンツやAkinaのバンダナ、Lil’ Fangのスパンデックスパンツなどは90年代を象徴するアイテムだし、MVの幾何学的なロゴやブラウン管TVのような映像の質感もそう。楽曲はFAKYの最大の持ち味であるポップさ/パワフルさ/セクシーさをハイブリッドしており、90年代ガールズグループを彷彿させるキラキラしたキャッチーさも備えている。
さらに今回は超豪華なクリエイティブ陣が集結。MV監督にはビリー・アイリッシュやBLACKPINKなどのスチールを手掛けるアレクサンドラ・ギャビレットを迎え、コレオグラフはジャネット・ジャクソンやアッシャーなどのダンサーを務めたゲイレン・フックスが担当。ヘアメイクやスタイリストも辣腕の女性スタッフで固め、文字通りガールズパワーを注入した渾身作となった。「フェイクなフリして、とことんリアルに」。そんなスローガンを掲げ、ピュアに自分たちのやりたいことを追い求め続けるFAKYは、本物になろうとする意志がある分だけ、本物よりも本物だ。
──昨年12月にFAKYの新シーズンが始まりました。TakiさんはFAKYへの加入が決まったとき、どのような気持ちでしたか?
Taki FAKYは15歳くらいのときに存在を知って、可愛いなぁと思ってYouTubeで「Bad Things (English Version)」とか「P.O.V.」とかをメチャクチャ聞いていたんです。フィリピンではタレントや女優として活動しながら、ずっとダンスとヴォーカルを続けていたからFAKYに加入できると聞いたときは「え?メンバーになれるの!?」ってメチャクチャ嬉しかったです。
──Hinaさんは以前FAKYと同じダンスボーカルグループに所属していたので、FAKYへの加入にはプレッシャーもあったんじゃないですか?
Hina プレッシャーはありました。FAKYとは何回かライブイベントで一緒になったこともあったし、同じ事務所の先輩グループという認識で、憧れの存在だったんです。いつも格好良いことをやってるなと思っていたグループだったので最初は不安がありました。だけど、ライブをどんどんやって、今回の新曲を準備して行く間に楽しい気持ちとか頑張りたいとうい気持ちの方が強くなっていって、今は毎日がめちゃくちゃ楽しいです。
──Akinaさんは2015年に途中加入しているので、FAKYに新しく加わる2人の気持ちがわかるところもあるんじゃないでしょうか?
Akina そうですね。プレッシャーもあるだろうなと思っていたから、なるべく優しく接してました。
Taki だからだ、最初あんな優しかったのは(笑)。
Akina あはは。だから、なるべく助けてあげたいと思うんですけど、2人からも新しいパワーをもらえるから、これから一緒にお互いを高め合いながらFAKYとしてひとつになって頑張っていきたいです。
──オリジナルメンバーのMikakoさんとLil’ Fangさんは、FAKYのリスタートをどう受けとめていますか?
Mikako 過去に2回メンバーチェンジを経験しているんですけど、毎回違うFAKYに出会ってきたという感覚があって。でも、メンバーが変わっても、自分たちのやりたいことや自分たちの表現したいことをブレずにやってきたという自負はあるんです。しかも、このタイミングで、それをナチュラルにやれるようになってきた実感があるので、素直に今は楽しいです。
Lil’ Fang 新しく2人が入ったことによって、ファーストシーズンやセカンドシーズンではできなかったことが今はできるようになってきてるんです。私たちが今までやってきたことを2人に分け与えることもできるし、反対に2人からは「FAKYでもっとこうしたい」っていう思いをすごく感じてるし、それが2人が入った意味だと思うから。人数が増えただけじゃないパワーアップができてますし、この5人でやっていく意味が見つかってきたなと思っています。
──FAKYは「フェイクなフリして、とことんリアルに。」というスローガンを掲げて活動を続けています。改めてその意味を教えてください。
Lil’ Fang さっきMikakoが言ったように、今自分たちがやりたいこと、自分にとってリアルなものをやってきたのは間違いないんです。今日の衣装も今の自分たちが好きなモノを着てますし、私たちは普通の10代、20代と変わらない生活を送っているんです。そういうプライベートもかなり表に出しているグループだと思うから、そういう意味でもリアルな5人なんです。その中でフェイクでもいいから、自分たちの中で格好良いものとかやりたいことを追い求めて行ってるっていう先が、FAKYなんです。今は背伸びでもいいんです。背伸びしていないと成長もできないだろうから。
──フェイクという言葉を未完成とかふぞろいというふうに意訳すると、さらにわかりやすくなりそうですね。ルーツも年齢も背格好もバラバラで、今はまだ背伸びしていて未完成だけど、そんな5人が集まって支え合うことで強力なパワーが生まれてくるっていう。
Lil’ Fang まさに、そうですね。今はまだ未完成でも、ずっと挑戦し続けていくことで、いずれリアルになる、完成するっていう。その闘いはずっと続けていきたいです。「アイツらフェイクじゃん」と言われてもそんなことは気にせずに自分たちがやりたいことをやっていく。その強さを改めてFAKYで表現していきたいなと思っています。
──8月23日に新生FAKYの1発目のシングル「GIRLS GOTTA LIVE」がリリースされました。楽曲リリースをどんな気持ちで迎えましたか?
Hina これまでのライブって、4人のFAKYで完成されていたものをやってきたんです。でも、新曲は5人でゼロから作りあげたものだし、それをやっとFAKYとして出せることが今は、素直に嬉しいです。やっと始まったなっていう。
Akina 私はずっと待ってくれていたファンの皆さんに作品を届けられるのが何より嬉しいです。今年はブラジルとカナダでライブをさせてもらいましたけど、海外のファンの方が観たり聴いたりできる環境ができたことも嬉しいです。
Mikako 「GIRLS GOTTA LIVE」を初めて披露したのがブラジルのライブで、それ以降のライブではa-nationの青森含めて、毎回やってるんですけど、この曲をセットリストに入れてから他の曲のフリも揃うようになったんです。それが自分的にはすごく嬉しくて。新体制でスタートしたときは、ひとつひとつの曲に対して「これはこういう気持ちでいこう」「これはこういうテーマの曲だから」って新メンバーと確かめ合いながらやってきたんです。それがやっとこのタイミングで揃ってきたというか、みんなの気持ちが1つになってきたなって実感するんです。なので、このあとに続く三部作の第2弾・第3弾でもまだまだいろんな意味で成長できそうな気がしていて、それが楽しみです。
──今回はダンスシングル三部作と打ち出していますが、楽曲制作はどのように始まったんですか?
Lil’ Fang 5人にどんな曲が合うのか?っていうことから探っていったんです。そのときにこの5人でまず見せるべきはダンスだし、海外のファンの方が多いということもあるので、全世界の人が乗れるような曲調がいいねと。そんな話をしながら5人でデモトラックを聞いていく中で、「これ、いいね」となったのがこの3曲で。スタッフの方も含め、みんなで良いと思うものが3曲出たんだから、じゃあ三部作にしようと。
──「GIRLS GOTTA LOVE」のデモを聞いたときの第一印象は?
Taki メチャクチャ印象が強い曲でした。特にサビはすぐに覚えられるなって。CMソングみたいな感じで、頭にずっと残るなって。
Hina 初めて聴いたときからFAKYがライブでパフォーマンスしている姿が浮かんだ曲でした。私はFAKYを近くで見ていたから、第三者的に見られるところがあって。この曲はFAKYっぽいというか、FAKYのイメージに合う曲だなって。直感で。
Mikako 今回の三部作は女性の強さを大事にしているんですけど、私たちって強い部分がみんな違うんです。内から出る強さも、見た目の強さも全然違う。「GIRLS GOTTA LIVE」のトラックを聞いたとき、ひとりひとりの強さを違う表現で出したとしても、5人でひとつになれるような曲だなと思いました。これから行くぞ!っていう今のFAKYに見合うサウンドだなって。
──「GIRLS GOTTA LIVE」はLil’ FangさんとAkinaさんが作詞に初挑戦しました。作業はどのように進めていったんですか?
Akina まずは私が全部英語でベースになるものを書きました。私たちが今回歌いたかったのは自分らしく生きていく女性の強さだったので、「GIRLS GOTTA LIVE」というコンセプトで歌詞を書いて、そのあとLilと話し合いながら日本語のリリックをつくっていきました。
Lil’ Fang Akinaがどんなことを伝えたいのか、実際にAkinaと会って擦り合わせていったんですけど、そのときに「ドライブ」っていうキーワードが2人の中でひらめいたんです。
Akina Driveには、車を運転するっていう意味と、モチベーションをあげるとかやる気を出すっていう2つの意味があるんです。なので、歌詞の1行目の「You Know a girl’s got the drive if she’s making deals」は、仕事ができる女性は絶対にモチベーションが高いっていう意味でのDriveなんですけど、次は違うDriveの使い方をしようと。
Lil’ Fang 日本人はドライブと聞くと車を思い浮かべると思うから、次のフレーズを「ここでRideしてくれれば見せてあげる」にしたんです。モチベーションが高い女性の人生を車のドライブに例えて、ここで私たちのモチベーションに乗っかってくれれば、良い景色を見せてやるぜ!っていうふうにしようと。
──今回の歌詞を通して伝えたかったことは?
Lil’ Fang 人生ひとりで生きているわけじゃないけど、でも、自分の力で生きていきたいって思うんです。世界を見るとやっぱりまだまだ女性の立場が弱い地域や国もあるし、そういう人たちに、自分の力で生きていくことはとても難しいけど、そんなに難しく考えないでって。自分のやりたいことを口にするだけでも強くなれる部分があると思うんです。普段そういうことを言えない人たちも、この曲を聞いて、言った気持ちになって、どんどんトライしていって欲しいなって。強くなろう、強くなろう!って気張るんじゃなく、今自分が持ってるものを素直に出せばいいだけだよ!っていうことをこの歌詞を通して伝えたいです。
──そうしたガールズパワーが今回の三部作のテーマになっているそうですね。
Lil’ Fang もともとFAKYにはガールズパワーというコンセプトがあるんです。それを結成当初から言ってきたんですけど、でも、そこにグッとフォーカスしたことは意外となくて。
──これまでのFAKYって、タフネスやクールネスをテーマにしていたように思います。
Lil’ Fang ファーストシーズンは、「男なんて要らない」シーズンだったんです。ひとりで強く生きていくぜっていう方向の女性の強さだった。セカンドシーズンはもう少しレイドバックした感じというか、ガールズパワーというより男も女も関係ないじゃんっていうフェーズで、どちらかというと人生とか生き方にフォーカスして歌うことが多かったんです。だから「Who we are」とかも歌えた。でも、ここからのサードシーズンは女性同士で支え合ったり助け合っていくsisterhoodな感じを改めて見直して、それをFAKYに落とし込んで伝えたいなって。女性として生まれてきて、女性なりの強さがあることを実感しているし、女性にしかできないものも絶対あると思うから、それを打ち出していこうっていうことなんです。
──リリースと同時に公開されたMVには海外からもたくさんのコメントが寄せられていますが、どのようなコンセプトで作ったんですか?
Mikako 今回は90sリバイバルを意識した楽曲なので、ミュージックビデオもそれをコンセプトにしました。なので、映像はちょっとざらつきのある質感になってるし、衣装もロゴもちょっとレトロポップな感じになってるんです。振付も当時のような大ぶりな動きで、わかりやすい繰り返しのフリになってるんです。
──振付は、ジャネット・ジャクソンやアッシャー、ブリトニー・スピアーズなど世界のトップスターを手掛けてきたゲイレン・フックスさんが担当されていますね。
Akina 私たちは前から彼女の大・大・大ファンで。彼女に振り付けしてもらえることがすごく嬉しかったです。絶対に格好良いものにしてくれるはずって思ってました。
Lil’ Fang 今回ゲイレンにお願いできそうだってスタッフから伝えられたときにAkinaは「ギャーッ!」って叫んで立ち上がってましたから(笑)。それくらいエキサイトしちゃう憧れの方なんです。
──Akinaさんは彼女のどんなところが好きなんですか?
Akina YouTubeにBishop Briggsの「River」っていう曲を使ってヒールで踊っているダンス動画があるんです。それはメンバーに何回も見せるほど好きですね。彼女のすごいところは、あまりフリで動かなくても全体の雰囲気で格好良く見せられるんです。
Taki そんなに難しいステップをやってないんですけど、テクニックはちゃんと入ってて、顔の表情も抜群に上手くて、全体的に格好良く見えるんです。ダンサーはよく難しい振付をやることがありますけど、ゲイレンはシンプルなんだけどハイクオリティーで格好良い。ハイファッションという言葉がありますけど、ゲイレンはハイダンスっていう感じ。
Lil’ Fang シンプルだからこそ、彼女のパーソナリティや彼女の持ってる強さがとてもダンスに出るんです。それが今回の「GIRLS GOTTA LIVE」のテーマともすごくマッチしてるんです。
Akina 正直に言うと、今回の振付はそんなに難しくないんです。だけど、やり切らないと格好良くならない。そういうパワフルさが大事な振付なんです。
──シンプルなぶん、表現力も問われるでしょうしね。
Mikako そう。だから最初は難しかったです。どう見せるかっていうのが難しい。
──手をグルグルとお尻フリフリをどう見せるかっていうことですよね。足を開く角度がどうなればいちばん格好良いか、腰をどこまで落とせば格好良いかっていう。
Mikako そうなんです。シンプルだからこそ出る格好良さ、シンプルだからこそ出る強さがあるんです。まずは5人の動きを揃えたいっていうのがいちばんにあったんですけど、どんどん揃っていくうちに、今度はひとりひとりの違う強さが前面に出てきて。今まで、ここまでシンプルなフリってFAKYにないんです。ほぼほぼ繰り返しだし、フォーメーションチェンジもそれほどない。だからこそ見えてくるひとりひとりの強さがあって、私は今回のフリが大好きです。
Taki でも、この曲で右腕が1個大きくなっちゃった(笑)。
Lil’ Fang 振付をもらってから毎日というくらい練習してたたらTakiが「このままやってたら右腕だけ大きくなっちゃう」って言いだして(笑)。「そんなことはないよ」って。でも、右腕のグルグルは結構大変なんですよ。あと、お尻をスナップさせる動きも結構大変。たぶん今までの中でいちばんキツイ踊りなんじゃないかな。1曲通して踊りきると、みんなハァハァ息を切らしてます。
──ずばり、MVの見どころは?
Lil’ Fang それはもうダンスです。今までのMVはストーリー性があったり、いろんな場所やセットで撮影してましたけど、今回は1つのスタジオで1つの衣装で踊るっていうのも挑戦だったんです。
Mikako ダンスがメインですけど、ちょいちょいソロカットも出てくるんです。そのときにひとりひとり表情が違うし、同じ動きをしていても見せ方がまったく違うから6回は絶対見て欲しいです。最初はひとりずつに注目して、最後6回目で全体を通して見て欲しい。そういうふうに何回見ても違う発見が出てくるMVだと思います。そこを見逃さないで欲しいです。
──今年はブラジルとカナダでライブをしてきましたが、FAKYの海外人気を支える要素はどのようなところにあると考えていますか?
Hina ブラジルやカナダに行って率直に思ったのは、AkinaとTakiというグローバルなメンバーがいて、ステージ上で観客とコミュニケーションが取れることが大きいですね。私は海外でライブをすること自体が初めてだったから、どんな反応が返ってくるか不安だったんですけど、「GIRLS GOTTA LIVE」以外の曲でも英語詞の部分を一緒に歌ってくれたり、逆に日本語の部分も一緒に歌ってくれて。そもそも英語詞が多いというFAKYの音楽性が海外に強いんだろうなと思いました。
Mikako 海外でライブを何回かさせてもらって感じるのは、AkinaとTakiが英語でバンバン話せるぶん、たとえばイントロに乗せて日本語を話すと、「日本語だ」っていうことで喜んでもらえるんです。しかも、それをAkinaとTakiが「今、こういうことを言ったよ」ってすぐに訳してくれる。そのチームワークがFAKYの武器だなって思います。
Lil’ Fang あと、この5人は誰がどこ出身でもおかしくないっていう見た目もあると思います。Takiはあの見た目で静岡生まれだし、ネットでは一時期、私はタイ人になってましたから(笑)。海外で5人で街をブラついているだけで現地の人に振り返られたりしましたし、見た目で受け入れてもらえるキャッチーさがあるのかなって。
──今後は三部作の第2弾・第3弾と続きます。リリースを待ち望むファンに向けて最後にメッセージをお願いします。
Lil’ Fang 今回の「GIRLS GOTTA LIVE」には、今の私たちにできる最大限の力を注いだし、間違いなく満足してもらえる仕上がりになっているという自信があるのでぜひ世界中の多くの方に聴いてもらいたいです。しかも、第2弾、第3弾はこれをいい意味で超えていきますから。今の私たち言いたいことをリアルに詰め込んでいるし、今回とは違う切り口でガールズパワーを伝える曲になっているので期待していて欲しいです。ここからはマジで止まらずやっていくし、どんどんみなさんに新しいものを届け続けるので、応援よろしくお願いします!
FAKY/ GIRLS GOTTA LIVE
2019/08/23 Release
■ MVはこちらから
https://youtu.be/Um0Yk3ahDCA
■楽曲配信はこちらから
Spotify http://open.spotify.com/album/3vM4oRqdOmmPyXcXCTL7M9
Apple Music https://geo.itunes.apple.com/jp/album/1474791688?app=music&at=1l3v225&ct=FAKY_GIRLSGOTTALIVE
LINE MUSIC https://music.line.me/launch?target=album&item=mb0000000001947377&cc=JP&v=1
AWA https://mf.awa.fm/2WKT7nT
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ライター
猪又 孝
1970年生まれ。音楽ライターとして国産のR&B/HIPHOP/歌モノを中心に執筆。日本の著名ラッパーが作詞術を語る単行本「ラップのことば」「同2」を企画・編集・執筆。安室奈美恵、三浦大知、東方神起、ナオト・インティライミなどのオフィシャルプロダクツにも関わる。HIPHOP専門ラジオ局「WREP」に放送作家/ディレクターとして参加した他、ラジオ/TV/配信コンテンツの構成も多数手掛ける。