高野洸が9枚目のシングル「君という奇跡」をリリース。この楽曲は主演するドラマ「過保護な若旦那様の甘やかし婚」のエンディングソングで、8枚目のシングル「ex-Doll」のインタビュー時に語っていた「主演ドラマの主題歌をやりたい」という夢が早くも叶った形だ。昨年は7ヵ所11公演を巡ったツアーを完走し、ドラマ出演も続いている。アーティストとしても、俳優としても全力で挑戦を続ける彼に、9枚目のシングル「君という奇跡」について語ってもらった。
頂いたDEMO段階の歌詞がドラマの内容とバッチリ重なっていたという「奇跡」!
──9枚目のシングル「君という奇跡」がリリースされました。今回は主演ドラマ「過保護な若旦那様の甘やかし婚」のエンディングソングですが、どんな曲になりましたか?軽やかなメロディと甘い歌詞がドラマの内容にもマッチしていると思いますが、高野さん自身が好きなポイントは?
高野 ドラマ主題歌ということもあり、明るくてキャッチーな曲になったと思います。サビのメロディも素敵だし、リズム感が特徴的で、バランスのいい曲だなっていうのを感じています。サビでは久しぶりにと言ってもいいぐらいレコーディングで声を張りました。気持ちよく聴いてほしいからこそ、自分も気持ちよく歌いたいなという気持ちでやりましたね。
──ドラマは5月23日から放送されていますが、どんな内容ですか? 「君という奇跡」にからめて、どの歌詞がドラマのどんなシーンとリンクしているかなど、内容について教えてください。
高野 実はDEMOを1コーラス分頂いた際にもともとこの曲にこの歌詞がついていたんですよ。なので、奇跡的にドラマの内容とバッチリ重なってたっていう(笑)。でも2番以降はこのドラマに充てた歌詞を作詞家さんにお願いして書いていただいたので、ドラマの内容に寄せた部分もあります。ただ、僕としては「過保護な若旦那様の甘やかし婚」のためだけの曲ではなく、“理想的な幸せの形”という、より抽象的なものを踏まえて作っていただけたので、そこがすごくよかったですね。
──完全にドラマありきの曲ではない、ということですね。
高野 そうですね。だけど、歌詞は不思議と全部、リンクしてるんですよね。特に、「足りないところは2人で補っていこう」という歌詞はドラマの内容的にもすごく合ってると思います。
──「君がいた奇跡」は歌詞がすごくピュアで眩しいですが、高野さんが歌っていて一番共感した、憧れたポイントはどこですか?
高野 「僕ら不器用だけど 曲がりなりに愛しあう」という歌詞は、必然的にそうなってしまうかな、僕はっていう感じもするので、そこはすごく共感できますね。僕自身も不器用なので人とすれ違うこともあったりするんですけど、それでも好きという思いは変わらず、気持ちの部分が強いっていうところが歌詞にしっかり出ていて、そこもいいですよね。
──前回のインタビューでドラマの主題歌をやりたいという話がありましたが、早くも夢が叶ってしまいました。
高野 とても光栄です。目標のひとつだったので、本当にありがたいです。演じてて楽しかったのは、景色がずっとよかったんですよね。旅館が舞台だったり、桜が咲いていたり、浅草のデートのシーンも実際に浅草で撮らせていただいてるんですよ。
──ビジュアルイメージも拝見したんですけど、和装がすごく似合ってましたよね。
高野 ありがとうございます。あの時は袴を身に着けたんですけど、たぶん結婚式のイメージなんですかね。和装は全然慣れてなかったんですけど、今回でやっと馴染んだかなって思ってます。撮影が始まって2、3日ぐらいは変な筋肉というか、今まで使ったことがない筋が疲労してるのを感じてたんですけど、途中から痛くなくなったので、やっとしっくりきたなって(笑)。
──和装を身に着けたことで、より役に入り込めた部分もありますか?
高野 そうですね、和装はやっぱり姿勢が自然と正しくなる感じがしましたね。本読みの時みたいに、和装をまとっていない時とは全然違いました。着物を着たり、足袋を履いたり、諸々含めてドラマの世界観に入り込めた感じがありました。
──ドラマの主演とエンディングソングの両方に抜擢されたことで、より作品の世界観への理解度が高まったり、といった面はありました?
高野 どっちも盛り上がってくれたらいいなという気持ちですね。ドラマはドラマで全力を尽くしたし、楽曲も全力で作ったので。それぞれ独立した作品として成立しているので、それでいておたがいの要素がいい感じに溶け合ってくれたら、というのはあります。ドラマに出ている人間が歌っている曲、というよりは、全然違う感じ方をしてもらったほうがいいと思いましたし。
──「君という奇跡」というタイトルにちなんで、高野さんが最近奇跡を感じた瞬間はなんですか?
高野 僕は些細なことでも奇跡だなって思えるほうだと思いますけど、今パッとは思いつかないですね(苦笑)。最近ではないけど、今までの人生で一番の奇跡は4、5歳の頃からダンスさせてもらって、小6から芸能の世界に入ることができて、それがずっと続いてソロになって、役者もやらせてもらって、今こうしてドラマの主演と主題歌をやらせてもらってるっていうこと自体が奇跡だなと思いますね。一つひとつの奇跡が積み重なって、今こうしてここにいるということがもう奇跡です。ありがたい環境にいさせてもらってるなって、ずっと思ってます。
──2曲目の「UFO」はまた表題曲とまったく違うジャンルのタイトルが意味深ですが、どんな曲ですか?
高野 SF系の曲で、宇宙空間にいるようなサウンドと、1人でいる時に男の子が妄想するような、世界が広がる感じが歌詞に出ていて、すごく素敵だなって思いますね。
──高野さんの曲には他にもSFっぽい世界観というかスペーシーな曲があったりしますが、宇宙的なものはけっこうお好きなんですか?
高野 そうですね、好きですね。SFには全然詳しくないんですけど、世界観が好きです。テーマパークのアトラクションでもそういう宇宙っぽい世界観のものが好きだし、宇宙そのものにたぶん興味があるんだと思います。星を見るのも好きで。もちろん、宇宙に関しては僕よりもっと熱く好きな方はたくさんいると思うんですけど、僕も好きです。
──こちらの歌詞は「君という奇跡」とはかけ離れた主人公感というか、ちょっとオレサマ系なテイストがありますが、どちらが歌いやすいというのはありますか?
高野 そうですか? 僕はかわいいなって感じですけど。どっちも気持ちを歌ってる曲なんですけど、「君という奇跡」は現実に即した曲だとしたら、「UFO」は妄想なんですよね。1人でいて、眠くなってきた頃とかにふわふわしはじめて、好きな子に対してちょっと強気になっちゃうみたいな(笑)。UFOゲットしたら迎えに行っちゃうけど、みたいな(笑)。
──「UFO」っていわゆる未確認飛行物体ですが、高野さんはそういったUFOだったりUMAを見たとか、不思議な体験をしたことはありますか?
高野 ないですね。宇宙人はいるんじゃないかなとは思っていますけど、でも「宇宙人がいたんだ!」って言われたら、ちょっと疑ってしまうかもしれません(笑)。SNSで「これUFOじゃない?」っていう動画を見ても、「めっちゃCGやん」って思うタイプ。でも「UFO」は、UFOを手に入れた状態を想像して、妄想を繰り広げてるんです。
──高野さん自身、妄想はするタイプですか?
高野 「UFO」ほどSFに寄ることはないんですけど、いろいろ妄想して「いや、実際には違うよな」とか、「今のは過度」みたいなことを思うことは多少あるかもしれないです。でも歌詞はいくらでも妄想していいし、普段言えないようなセリフとか、人にかけられない言葉も、歌詞だったら言える気がするんです。それこそSFというか、世界線が違ってもいいんじゃないかなって思っていますね。歌詞とか音楽に乗せるんだったら。
ドラマもアーティスト活動も、もっとたくさんやりたい!
──3曲目の「Wonderful World」は高野さんも作詞に参加されています。この曲はどんなテーマで作られたんですか?
高野 これは、「平和にのんきに生きていこうや」みたいな、そんなラフさと適当さが歌詞にも出ていて、曲調もローな感じで、落ち着く曲だなと思います。そんな適当さと「行っちゃおうぜ」的なノリがもともとついていた歌詞の雰囲気にあって、そのテーマを引き継ぎたいなと思ったので、僕もバースを作詞する時、それを元に書かせてもらいました。お酒を飲みながら聞いていたい曲だなっていうイメージがあって、歌詞に描いている時間帯は明け方なんですよ。それで、朝ってトラックが多いよねということで“2tトラック”というワードが歌詞に出てくるんですけど(笑)。ぼーっとしながら外を眺める、お酒を飲んで夜を明かしてしまった朝の気だるさというか、世界にワクワクしてる感じとかが出るといいなと思って、歌詞を書きました。
──歌詞に「いつか辿り着くだろう 自分だけのWonderful world」とありますが、Wonderful worldという単語から連想されるのはどんな世界ですか?
高野 この曲にとってのWonderful worldは、いろんなものが散りばめられてると思うんですけど、明確なものではないんじゃないかなと思いますね。だから「Wonderful World」を歌っている自分としてもどれがWonderful worldなのかはまだわかってなくて、“曖昧なLife”になっちゃってる。けど、自分なりの楽しい世界と生き方ってのがあるんじゃないかっていうのを訴えかけてきてる感じです(笑)。僕自身のWonderful worldは、いつか幸せな家庭が欲しいですね。それが僕にとってのWonderful worldかもしれないです。
──「Wonderful World」の楽曲面でこだわったポイントや、レコーディングの時に意識していたことはありますか?
高野 メロディですね。パート的な部分で言うと、「God blessで実るOlive」のパートが特にこの曲の肝だなとも思っているし、一番気持ちいいポイントなんですけど。ここが何より本当に気持ちいい。曲を聴いていた時から勝手に頭が動く、ノっちゃうところだったので、そのノリを止めずに、音の上をサーフィンしている感じでやらせてもらいました。
──ここのバースはこの曲の歌詞の中でも抜群にかっこいいところだと思うんですけど、イメージしていたことはなんですか?
高野 ここの部分はラップ独特の、自分が掲げるポリシーがあった方が絶対にいいと思っていて。この曲はとにかく平和を訴えたい、平和って素敵だなと思って、そこからオリーブというワードを思いついたんですよ。僕はその時まで知らなかったんですけど、調べてみたらオリーブって平和の象徴でもあるんですよね。それですごくいいなと思って。この部分の歌詞は、思いつくのにすごく時間がかかったんですよ。撮影が終わって帰りながらもずっと考えていたし、家に帰ってからもいろんな単語を探したりしながら、それでも1週間ぐらい全然しっくり来なくて。もうあと〆切まで3日ぐらいしかないってなった時、急にオリーブが出てましたね(笑)。このベースの韻の踏み方みたいなのはデモの時からあったので、パズルのピースは出揃ってる感じだったんですけど、でもどうしてもこのパートはかっこよく行きたくて、オリーブが出てきてくれてよかったですね。
──シングル3曲を通してラブ&ピースになってるんですね。
高野 主題歌という機会をいただけたことがあっての今回のシングルなので、華やかで甘いシングルだなと思います。
──今回のシングル収録曲は3曲ともジャンルも歌詞もバラバラで、歌詞に登場する主人公が違うという感じがしますが、3曲の中であえて自分に1番近い曲を選ぶとしたらどの曲ですか?
高野 どれにも少しずつ自分がいる感じですかね。「Wonderful World」の適当さもあるし、「UFO」みたいに妄想して強気になっちゃうところもあるし、なんならUFOに頼りたいというちょっと弱気なところもあるし。「君という奇跡」みたいなまっすぐな気持ちがあって、その幸せ感を味わっているっていうのも共感できるんで、どれか1曲とは選べないですね。
──今年はドラマ「過保護な若旦那様の甘やかし婚」の他にも「くるり~誰が私と恋をした?~」、「君とゆきて咲く~新撰組青春録~」、「ゴーストヤンキー」、「ある日、下北沢で」とドラマ出演が続いており、さらには「トラベラーズハイ」ラスベガス編の放送もありました。今年上半期だけでも大活躍ですが、振り返ってみていかがですか? 印象に残っている作品やシーンなどはありますか?
高野 おかげさまで本当に忙しくさせてもらってるんですけど、どの作品もとても刺激的で楽しいですし、やりがいもありますね。
──高野さんはどんなに忙しくても手を抜かないというか、手が抜けないというイメージがありますね。
高野 そうでなきゃいけないというか、みんなそうだと思うんですよね。そんな中でも、例えばこのシングルもドラマの撮影中に作っていく感じでしたけど、だからこそ楽しめるというか。合間で休みの日がなくなったとしても、集中していた撮影現場から離れて曲に関わる瞬間というのもすごく楽しいですし。
──演技からアーティストの振り幅があることによって、ちょっとした気分転換にもなったりするんですか?
高野 まさに本当にその通りだと思います。
──そんな中、3月には『高野洸 FAN MEETING~ド・ラフ~』もありました。サードツアーの余韻も冷めやらぬ中、ライブとは違う形でファンのみなさんとお会いしたことになりますが、どうでしたか?
高野 タイトルどおりラフにやらせてもらったので、僕も気楽にイベントを楽しませてもらいました。僕も当日が待ち遠しかったですし、みなさんと会ってゆるくお話できるっていうのがすごく楽しい空間だったなって思いますね。
──さらに3年連続でプロデューサーを務めている『ACTORS☆LEAGUE in Games 2024』
「フルパンプ!」というオリジナル・カードゲームを考案されていますが、カードゲーム好きな高野さんならではのイベントになりそうですね。
高野 カードゲームを作るのは長年の夢だったんですけど、『ACTORS☆LEAGUE in Games』というイベントを2年やらせてもらっていて、もっと心理戦があったらいいな、もっと緊張感のある読み合いをみなさんに届けられたらという思いがあって、面白いカードゲームがないかなって探してたんですけど。カードゲームって時間がかかるので、だったら自分で作ってみようかなって。なので、僕が全力で作らせてもらいました。カードゲームの販売もするので、ファンのみなさんの中でもし流行ってくれたら今後も続くかもしれないですし。
──今年の『ACTORS☆LEAGUE in Games』は心理戦が観られる、ということですね。高野さんは心理戦は得意ですか?
高野 ポーカーは得意じゃないですけど、予想するのは好きです。例えば、今までの流れから考えて相手はこの手札を持ってるんじゃないかとか考えるのが好きなんですよ。
──今年すでに前半だけでも盛りだくさんの2024年でしたが、下半期はどんなふうに過ごしたいですか?
高野 下半期も変わらずドラマをやらせてもらえたらすごくありがたいですし、アーティスト活動でも、「君という奇跡」がたくさんの方に届いてほしいですね。今、たくさんの作品に出させてもらっていますけど、そこでさらに奇跡が起きて、またいろんなお仕事に繋がっていくといいなって思っています。
9thシングル「君という奇跡」
MBSドラマ特区「過保護な若旦那様の甘やかし婚」エンディング主題歌
2024.06.12 ON SALE
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ライター
尹秀姫(ゆんすひ)
出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライター。たまに韓国語の通訳・翻訳も。K-POPを中心にさまざまなアーティスト・俳優にインタビューしています。