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i☆Ris × Blue Bird's Nest

【i☆Ris × Blue Bird's Nest】10周年記念ベストアルバム対談

2022.10.28
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11月7日に10周年記念ベストアルバム『10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~』をリリースするi☆Ris。もちろんこのベストの中には、i☆Risを語るに欠かせないプリパラの楽曲も含まれています。そこで今回は、i☆Risから若井友希さんと茜屋日海夏さん、そしてi☆Risの楽曲に関わっているクリエイター集団「Blue Bird's Nest」の渡辺徹さんと丸山真由子さんの4人にお集まりいただき、10周年ベストのことからプリパラ楽曲のことなど、いろいろと語り合っていただきました!


限定版ではファンクラブ会員が選ぶベスト10も収録!


──11月7日にi☆Risの10周年記念ベストがリリースされて、その中に渡辺さんと丸山さん、お2人の曲も入っているということで、4人でお話ししていただくということになりました。まず10周年記念ベストについてご説明いただければと思うんですが。
 


若井 デビューして10年経っているので、とにかくどう考えてもボリューミーにはなるんですが、どの曲を入れたらいいんだろうってなるじゃないですか。私たちとしてもこの10年間の中でいろんなターニングポイントがあってやっぱり外せない曲もあれば、ファンだからこそ好きな、隠れた名曲とかもいっぱいあって。また10年間の中で、デビューから知っていてくださった方と、最近見つけてくれた方だとやっぱり全然層が違っているので、全部のファンの方が「これがやっぱりベストだよね」って思ってもらえる内容にしたいなという思いがあって、いっぱい考えました。その結果、ベストアルバムとしては「シングル曲&MV曲」、そして限定版の方に「ファンクラブ会員が選ぶベスト10」を入れるという形にして。
 
──限定版の3枚目がファン投票ベストですね。
 
若井 はい。私たちとしても「あ、それが入るんだ!」みたいな驚きがあったりして、面白かったですね。
 
──ではこの収録曲の中から、特に思い出深い曲を挙げていただけますか?
 

茜屋 私は「ドリームパレード」ですね。やっぱり、プリパラの時期にたくさんターニングポイントがあったりして、思い出深いんですよ。私は普段、あんまりセトリについて「こうしたい」とか自分から言わないタイプなんですけど、4周年の武道館ライブのときに唯一、「これはこの順番でやりたい」って言ったのが「ドリームパレード」で。自分的には「今、自分の意見言った!」みたいなのがちょっと思い出深くて、かつ『Mステ』のランキングコーナーにちょこっと出たりして、ありがたいことに世の中に知ってもらうきっかけにもなったりしたので、この曲は一つ、自分の中ではターニングポイントかなって思います。

若井 もちろんその時期なので「ドリームパレード」は必ず入る曲ではあるんですけど、どのタイミングで歌う?ってなった時に、ひみちゃんが「アンコールの一番最後がいい」って言って。そこにこの曲を持ってきたことが今までなかったんですけど、歌詞の内容的にも「これから始めるよ」「まだまだ私たち止まらないよ」っていう気持ちがあって、やっぱりその時の私たちの「これからまだまだ上に行くよ」っていう気持ちとすごくリンクして。
 
──そのタイミングに歌う曲って、そこで締めるか次につながる感じにするか、分かれますからね。若井さんはどうですか?
 
若井 いやあ、私はですね……ファン投票ベストに確実に入るであろうと思ってたのが「Happy New World☆」なんですけど……たぶんファンの方も、この曲はA面シングルと勘違いしてるんじゃないかっていうぐらい、i☆Risの中では王道になってて。今までライブで歌わなかったことがなかったぐらいなんですけど、カップリング曲がそんなに成り上がっていったっていう(笑)。そんなことあるんだ!って思った曲が「Happy New World☆」ですね。渡辺さんに作っていただいて。
 
渡辺 光栄です!(笑)

若井 あの曲は私たちがプリパラを始める前だったんですけど、それまで私たちが歌ってた曲って、わりと当時の私たちの年齢からしたらちょっと曲調が大人だったんですよ。でもその中で「Happy New World☆」がポン!ってライブのセトリに追加されて、アイドルの活動が多かった当時の私たちにとって、すごく腑に落ちるぐらいにキャッチーで、「今私たち、アイドルの曲を歌ってるんだな」っていうのをライブやりながらも感じたし、ファンの方もその時に「こういうの待ってた!」って直接耳にした曲で、そこから一気にファンが増えたんですよね。カップリングなのに、すごく大事な曲になったんです。だからこの曲はこのベストにも入るべくして入った曲だと思います。

──渡辺さん、自分の楽曲についてのこういう話を目の前で聞くことって、なかなかないんじゃないですか?



渡辺 緊張しました(笑)。「Happy New World☆」は、僕がアイドルに曲を提供する時の素の曲調というか、わりと自分の中での王道なんですよね。プリパラ曲に関してはちょっと手法を変えていたんですけど、「Happy New World☆」に関してはど真ん中という感じで。あと、この頃はまだきちんとi☆Risさんのことを理解できてなかったというのもあるんですよね。

若井 私たちのことをですか? でもそれって逆に正解だったのかもしれないですよね。私たちはアイドルっぽくなかったので。王道アイドルをやってたわけじゃなかったので、逆にそこを理解して合わせてくださってたら、たぶん違ったと思うから、そこは本当によかったなと思います。
 
渡辺 だったら狙い通りです(笑)。
 
──今の話を伺うと誰も狙ってはいなかったように聞こえたんですが(笑)。でもふだんは、やっぱり提供するアーティストのことを考えながらイメージして作るわけですよね。

渡辺 はい。でもそこでど真ん中を行くのか、あえてちょっと外すのかというところが我々の腕の見せ所であるんですけど。実はi☆Risさんの「Happy New World☆」の前に、若井さんのソロの「Last Moment」も手がけさせていただいてたんですよ。

若井 あ、そうだ! あの曲はまた全然違いますよね!
 
茜屋 面白~い! 全然違うよね!
 
──10周年の思いということでは、お2人はいかがですか?
 


茜屋 そうですね、10周年ライブも近づいてきたので、さすがに実感は湧いてきたんですけど、10周年イヤーに入ったばっかりの頃はいろいろ生配信とかやっててもまだ実感がそんなになくて。今までやってきた時も、8周年とか7周年とかの時は「まだひと桁か~」っていう感覚でやってたんですよ。私の友達のアイドルさんも10年活動されてきて、「10年アイドルやってらんないでしょ」っていう曲を出して(笑)。やっぱりそれぐらい経ったのかって思うと、今までいろいろ苦労したりとか、「これ、やってて意味あるのかな?」と思ったこととかもあるんですけど、今思うと全部無駄じゃなかったって思いますね。たぶん、これから11年目を迎えても、まだ11年かって思いながら、どんどん続けていくんだろうな自分はって思います。
 
──確かに一つの区切りであり、一方で通過点でもあるわけですからね。

若井 「『10』っていう数字がつくことによって一つ、「我が人生に悔いなし」みたいなとこはありますね(笑)。やっぱり「9」とかで終わってたら「あと1年頑張れば!」みたいな、煮え切らない自分がいたと思うので。その中で「一応私、10年やったんだな」誇らしく思える自分もいるんですけど、ただその10年間で、デビューのときに思い描いてた自分とはまたちょっと違うっていうところもあるので、そういう意味でまだ私は夢を追いかけて、10年以降も頑張らなきゃなって思うというのと、二つの思いがありますね。
 
──この10年やってきた中で見た、一番いい景色、一番印象に残ってる景色って何ですか。
 
若井 うわー、難しい質問だなあ(笑)。いい景色って言われると全部いい景色なんですけど……個人的には、武道館で「Goin'on」を歌った時はいい景色でしたね。2番の歌詞で「憧れてた大好きな場所に今立ってる」って歌った瞬間に、めっちゃ景色とリンクしてて。しかもその時はダンスとかしてなくて、練り歩いてたんですね。だからその景色を堪能しながら、もう客席の端から端まで見渡しながら歌って、すごく心にくるものがあって、それは忘れられないですね。
 
茜屋 私はデビューしたばっかりの時に、受験勉強のために1人だけ活動休止してた時期があったんですよ。その時期って本当は仕事の方がしたいのにみんなと一緒にできなくて、「どんどん置いてかれる……」とか「このままいなくなってもファンの人は待ってくれてるのかな」とかって不安になりながら、1人で勉強してたんです。でも活動を再開する時に、本編じゃなくてアンコールで、ちゃっかりポジションに入ってるみたいな感じで復活したんですよ。その時、サイリュームが久々にバーッと見えた瞬間、「みんな待ってくれてたんだ!」っていう安心感とうれしさがあって。それが一番、今でもうれしくて印象に残ってます。


プリパラ楽曲はこんな過程で作られている!


──ちなみに渡辺さんと丸山さんは、10年前って何してらっしゃいました?

渡辺 ピンポイントで思い出すのはなかなか難しいですね(笑)。たぶん自分のスタジオを作って制作環境が大きく変わって、時間と関係ない作り方ができるようになって、制作の幅が大きく変わった時期だったかなと思います。
 
丸山 10年前……作曲してました(笑)。ちょうど作曲家を始めて1年ぐらい経ったタイミングで、少しずつ活動に慣れてきた頃だと思います。i☆Risさんと出会ったのもそれぐらいのタイミングだったんじゃないかと思います。
 
若井 渡辺さんと丸山さんは私たちからすると「2大巨頭」みたいな感じだったんですよね。プリパラに出演していた頃に、やっぱり女児向けアニメっていうのもあるし、渡辺さんは女の子のキラキラを詰め込んだ私たちのアイドル像っていうのを描いてくれて。一方で丸山さんは私たちのもっと本来の姿というか、何か心理的に悩む自分もいるし、なんかちょっと健気な姿だったりっていう、ちょっとしおらしい楽曲をたくさん書いてくださってて、そのお2人の曲のコントラストっていうのが、本当に当時の私たちらしい感じだったと思うんです。私はどっちも好きで、今回のファン投票ベストでも「鏡のLabyrinth」とか、よくぞ入れてくれたな!って思って(笑)。メチャメチャ好きなので、ファンの方もやっぱり分かってるなって思いましたよね(笑)。まさに当時の私たちの心の中って感じの曲なので。
 
──お聞きしたところでは、クリエイター集団「Blue Bird's Nest」が関わったi☆Risさんの曲が20曲ぐらいある内、約半分が丸山さんの曲だとか。



丸山 そうですね。10代の終わりから20代はじめぐらいの女の子たちの、戦ってる時期、みたいな歌が多くて。Blue Bird's Nest所属のMio Aoyamaさんという作詞家の方と「カタカナソング」というシリーズで作っていただいたりして。
 
茜屋 あー! 全部葛藤の歌ですね(笑)。
 
──今のお話にも出ていたように、i☆Risの活動の中ではプリパラが大きな要素を占めているし、そこに特に渡辺さんが大きく関わられていますよね。例えばプリパラ曲ではない「Happy New World☆」とかとプリパラ曲では、作り方から違うんでしょうか?
 
渡辺 発注をいただいた段階でオープニング主題歌になるという話を聞いていたので、オープニングの絵にハマった時に映える音作りを意識しました。あとイントロ3秒が命だと思ってて。イントロは毎回何かしら特徴あることをしようというのはありましたね。僕はキーボーディストなので、鍵盤楽器の音が多いんですけど、例えば「Make it!」はギターリフがメインで展開してて、そこから出てくるメロディーを大事にしてたりして。結果論なんですけど、これがけっこうYouTubeで「弾いてみた」動画が上がっていたりとかするんですよ。普段のキーボード・メインの曲だと、あんまり鍵盤で「弾いてみた」やる人はいないんですけど、ギターとかベースではけっこうやってる人がいて、新しい経験になりましたね。


──渡辺さんが関わったプリパラ曲4曲は、作った側からするとどういう違いがあるんですか?

渡辺 どうですかね?「Make it!」と「ドリームパレード」はわりと同じ路線上にいるような気がしますね。「ミラクル☆パラダイス」は作曲は同じくBlue Bird's Nest所属の桑谷実沙さんで僕は編曲だけなんですけど、その2曲に比べるとちょっとテンポ感が落ち着いてるかなと。ギターでガンガン引っ張るというよりは、ピアノのバッキングとギターをイーブンで出してキラキラ感を演出したという感じで。「Memorial」に関しては、作る時に「最後の主題歌」という話が来ていて、集大成として感動的なものをというオーダーがあったんですよね。振り返ると「Make it!」から数えたら4年ぐらい時が経っていて、そんな事も考えながら、キャピキャピ感だけじゃなくて、メロディーに切なさを入れたりとか、意外とバラードでもいけるんじゃないかっていうメロディーだったりして。で、Dメロで今までのプリパラ名シーンの回想みたいなイメージで1人ずつ歌っていくというイメージで作りましたね。

──なるほど。
 
渡辺 あと「Make it!」は、プリパラ1stシーズンの最終回直前ですごく感動的な演出で使っていただいたんですよ。そういうところでどんどん広がりを感じていくよねっていう話をよくしてましたね。
 
丸山 テレビとかで「Make it!」が流れるとツイッターのトレンドに入ったりしてましたよね。
 
茜屋 あー、ありましたね!
 
──丸山さんは、プリパラ曲としては「Shining Star」1曲ですよね。


丸山 はい。私はプリパラ楽曲の収録された作品のカップリング曲を担当させていただくことが多くて、サマーソングだったりとかいろんなパターンの楽曲があるんですが。表題曲はいつも聴いていましたし、i☆Risの活動や音楽をずっと見守ってる人みたいな感じで(笑)。プリパラ楽曲にはいろんなバリエーションの曲があって、切ない曲だったり、“明る切ない”曲だったり。そうやって聴きながら、i☆Risの表現力だったり、魅力を認識していた感じだったので、プリパラ楽曲として「Shining Star」を作れた時は嬉しかったですね。
 
渡辺 プリパラの場合、発注の時にすごい量の資料が来るんですよ。コンテみたいなものとかもあって、そういったものも元にして作ってたりはしますね。そういうところに制作側の熱量を感じるんですよ。
 
若井 確かに!
 
渡辺 僕の曲だとサビの最後にキメのメロディーがあるものが多いんですけど、そういうのも資料をたくさんいただき目を通せた事でイメージを膨らませられて出来たものかもしれません。あとプリパラはゲームもあったので、そういうのは要所要所にキメがあった方が楽しめるのかなとか。



クリエイター陣が語るi☆Risの魅力とは?
 

──そもそもなんですが、お2人がi☆Risに対して持っているイメージって、どんな感じなんですか?
 


渡辺 最初は、アイドルなのか声優なのか、いろんな顔があってどこに焦点をあわせて曲を作るのが良いのかなと悩んでしまうくらい多才能な方達という印象で。でも僕は基本的にプリパラで関わらせていただくことが多かったので、そこはもう振り切って「キラキラ系の方たち」という設定にして、そういうイメージでやってました。でもライブの映像とかいただいて見ると、すごくカッコよくて。作り手の創作意欲をどんどん刺激してくれますね。

丸山 私は最初聴いた時に「歌唱力がすごい」というのをまず感じたんです。声の強さも。あとは「変幻自在」みたいなイメージですね。いろんな楽曲を表現できるチームだなって感じていました。以前のライブで私が作曲をさせていただいた「Defy the fate」をポエトリーリーディングの形でパフォーマンスされていた時があって、作詞のAoyamaさんが歌詞を書いてくださった流れで物語を作ってくださったのですが、すごく印象に残ってるんですよね。声優としての凄さと、歌を聞かせるところのアーティストとしての凄さの両方を感じる事が出来て物語と共にとても感動的でした。
 
若井 最初のツアーの時ですよね。
 
丸山 そうだと思います。感極まって泣いちゃってからの、曲の流れや感情の込め方も全員すごくて。感情の込め方という部分も、i☆Risの魅力のひとつだと思ってますね。役者の部分で機微を伝えるのがうまいというか、人に感じ取らせるのがうまいなって。歌だけじゃなくて、総合的な表現力がすごいんですよ。

茜屋 ありがとうございます。クリエイターの方にこんな私たちのことを評していただくなんて、貴重な経験です(笑)。
 
──そうやってお互いの持つイメージとか理解があるからこそ、これだけ曲数も重ねていけてるっていうのもありますよね。丸山さんの場合、他のアーティスト……例えばClariSなどにも曲を提供されていますが、ジャンル的に近くても、やっぱりまた全然違いますよね。



丸山 違いますね。i☆Risはメンバーの皆さんそれぞれ声質のバリエーションは違うんですけど、芯の強いというか密度が濃い声色をしているなと感じていて。声が前に飛んでくるようなイメージといいますか。だからバックの音とかもバンドサウンド寄りで作りたくなるというか、むしろ実際にバックにバンドを背負ってパフォーマンスしているんじゃないかぐらいの気持ちで作っていった記憶がありますね。そういう楽曲が合いそうだなと。そして声色がマイナーというか。
 
若井 ああ、そうですよね。

丸山 特にこのお二方から感じるちょっとした憂いの部分というか、そういうところを生かせたらいいなと、個人的には思ってました。だから「Shining Star」も、プリパラ楽曲の中ではけっこうマイナー感があると思います。

若井 確かに、イントロもけっこうマイナーだし、ちょっとザワつく感じだから、いい意味で異色で。
 
丸山 ちょっと異色ですよね。オーダーの中にも「切なさ」みたいなワードが入っていて、自分がi☆Risに対して書いてきた切ない部分のアプローチをプロデューサーの方や、ディレクターの方にプリパラ楽曲でも活かせると思っていただけたのかなと思いました。あと!「Shining Star」はMVもすごくよくて(笑)。
 
若井 あれはふざけすぎてて、すみません!(笑)
 
丸山 あのMVはメイキング映像も面白くて大好きでした。今日はそれも言いたくて。伝えられてよかったです(笑)。
 
──やっぱりi☆Risとしても、プリパラ曲にはまたちょっと違う思い入れがありますよね。

若井 もちろん、i☆Risを語るうえでは欠かせない存在ですからね。やっぱりi☆Risにとって代名詞的な作品なので。

──ちなみに、プリパラ曲の中で一番を選んでいただくなんてことは……。
 
若井 またまた難しい質問来ましたね!(笑)
 
茜屋 選べないよね(笑)。
 
若井 やっぱり「全部」ですね。その時その時での思いもあるので。


「ありがとう」の気持ちが詰まった新曲「Anniversary」


──では10周年ベストの話に戻りますが、新曲「Anniversary」が1曲目に入ってるんですよね。
 
若井 この曲は最後に入るのかなと思ってたら1曲目だったから、そのことにちょっと驚いたんですよ。でもこれはまさに、10年の間応援してくださったファンの方に向けての私たちからの感謝、「ありがとう」の気持ちの曲なので、最後まで歌って「ありがとう」じゃなくて、「ありがとう」から始めるって、素敵やんと思いました(笑)。何か、「ありがとう」の気持ちを全部これから伝えますよっていう、そういう自己紹介の曲になるんだなって解釈しました。

──そういう気持ちで、このベスト盤を聴いてほしいということでもあると。
 
若井 そうですね。でも本当に、「ありがとう」の気持ちが一番強いので。
 
──この曲の歌詞は皆さんがそれぞれ手紙を書かれたものが元になっているということですが。
 
茜屋 そうですね。その言葉の中から歌詞に取り込んで作詞してくださったので、ある意味私たちも参加させていただいていて、自分たち発信の「ありがとう」もここに含まれているので、やっぱり最初の曲でよかったかもしれないですね。

若井 ベスト盤の中には私たちの直筆のメッセージも入っているので、見ながら聴いていただくのもいいかなと思います。
 
──この流れって、作詞をする感覚ともまた全然違いますよね。手紙をそれぞれ書かれて、それから歌詞になったものを受け取ったときって、どんな印象でしたか?
 


茜屋 5人の個性がバラバラなので、たぶん10年歩んできたことで感じることも違うし、「これが一つにまとまるのかな?」って最初は思ってたんです。でもキレイに1曲にまとまっていて、最後にはやっぱりみんなで「ありがとう」っていう気持ちにまとまっていたのが、最初は驚きでした。
 
若井 私はシンガーソングライターとしても活動していて、一応、作詞もさせていただくんですけど、もし5人分の手紙を渡されて「これを一つにまとめてくれ」って言われたら、「マジかよ!」って思うんです(笑)。「そんな、難しすぎだよ!」みたいな。私だったらすごく悩むだろうなっていうのを何となく感じてた中で、全員が納得する内容にする技量が素晴らしい!と思って。私が逆に「まとめてくださってありがとう」って言いたいです(笑)。本当に、私たちメンバーって全員考えてることが違ってて、いい意味で本当にバラバラなんですよ。それをまとめてくださって、すごいですね。

──この曲のMVは、この10年間の皆さんの写真が、すごく効果的に使われてましたね。
 
若井 撮影の時は、とにかく壁に貼られてる写真を見て、みんなでいじり倒してました。「このビジュアルで大丈夫だったんだね、ウチら」とか、「めちゃめちゃイモくさいけど大丈夫? ホントかわいくなったよね、みんな!」とか(笑)。
 
茜屋 あと、初期の頃のファンの方とかも写ってて、「この人たち、全員名前言えるよね」とか。私達もあの写真を見ながら10年を振り返ってましたね。
 
──やっぱり初期の頃は今とスケールも違うから、ファンの方たちとの関わり方も違うでしょう。同じことを今やろうとしてもできないですもんね。
 
若井 今でも全然やれますけどね(笑)。ただ、今のファンの方があの距離感になるかは分かんないです。あの距離感はあの頃ならではのものがあったので。
 
茜屋 今回のMVの撮影の時、「イチャイチャしてください」っていうオーダーがあったのですが、何か難しかったです(笑)。10年も一緒にやってて、みんな個人の仕事とかもあるから、ライブとか撮影とか以外で5人で集まることって少ないんですよ。気付いたら大人になってるみんながいて、そんなみんなと久々にイチャイチャしてくださいっていうのは、難しい!って思いました(笑)。
 
若井 手を繋いで回ってくださいとか、目を合わせてニコッてしてくださいとか(笑)。私たち、ライブ中ならいくらでもできるんですよ。ライブ中ならいくらでも目を合わせるし、いくらでもくっつくし。何でか分かんないんですけど、ライブ以外だと恥ずかしいんですよ!
 
──いつもやってるじゃん!ってわけにはいかないんですね。
 
若井 ライブ中じゃなければ難しいですね。全然嫌いとかじゃなくて。


10周年記念ライブには、初期のファンにもぜひ来てほしい!


──でもまあ、恥ずかしさを乗り越えてしっかりやられたからこそMVになったわけですよね。ところで、10周年記念ライブが、リリース日の11月7日に東京国際フォーラムで行われますね。もうセットリストはできたんですか?



若井 できました。たぶん皆さんが気になっているのは、プリパラの曲をどのぐらい歌うんだろう?ってことだと思うんですけど……できるだけ余すことなく歌いたいって気持ちがあったので、プリパラファンの方にも絶対来てほしいって思うぐらいいいところに入ってますね。

茜屋 いい意味で「あ、その楽曲外してこの楽曲が入るんだ」っていうのが最初の印象でしたね。だから昔からいるファンの方にももちろん楽しんでもらえると思いますし、初めて来た方にも絶対盛り上がってもらえるし、これから先も見えそうなセットリストだなと思いました。
 
若井 確かに。デビュー10周年ってなると、1年目に通ってたファンの方にも「10年目だし行ってやろうかな」って思ってほしいんですよ(笑)。だからこそ、初期のファンが来て「うわー、あの時のあの握手会、思い出した!」っていう懐かしい気持ちにもなってほしいので、全部のファンに満足してほしいっていうセットリストを考えました。

丸山 ライブを見させてもらっていると、i☆Risの楽曲が変わってきてるのがよく分かるんですよね。プリパラ楽曲が出てきたあたりでもガラッと変わったし、初期、中期はすごくダンサブルで「踊れるんだぞi☆Ris!」ってところをすごく見せられるキラキラしたセットリストが多かったですけど、そこからまたバリエーションが変わっていって、幅がどんどん広がってるのを感じます。毎回すごく楽しいですよね。CDだけ聴いてるよりも絶対生でパフォーマンスを見た方がいいと思います。

若井 メッチャうれしいです!
 
丸山 最初に茜屋さんから武道館の「ドリームパレード」の話が出てたじゃないですか。私、あの時のことを覚えてて、すごく感動的で泣けたんですよ。最後の方で、たぶん皆さん感極まってましたよね。
 
茜屋 極まってましたね!

丸山 それがすごく伝わってきて、私自身もグッと来たのを覚えてます。小さなお子さんも沢山いらしてて、i☆Risのファンの方って、男女問わず幅広い年齢層の方がいらっしゃるんだなと思いましたね。あと、自分の曲の話しもしていいですか?(笑) 「鏡のLabyrinth」がメッチャよくて。
 
若井 あそこのターン、好きなんですよ。
 


丸山 歌詞がエモくて。leonnさんっていうBlue Bird's Nest所属の方が作詞されてるんですけど、女性ならではの葛藤感とかが、武道館にすごく映えてて。i☆Risって個人が際立ってるグループというイメージもあったので、歌詞の「一人きりでも みんな同じ想いで ゴールを目指している」みたいなところがすごくリンクしていて、武道館にたどり着いて、ここからどういう道を行くのかなって思ってましたね。
 
渡辺 僕ら「Blue Bird's Nest」にはi☆Risの表現力に魅力を感じているクリエイターが多いんですよ。「この人たちってすごく可能性あるね」って話をよくしてて。だから制作に対しても思いが違うんですよね。

丸山 だからけっこう熱い歌詞が多いと思うんですよ。
 
若井 あ、そうですね。情熱的な歌詞が多い気がします。
 
丸山 みんなクリエイティヴな意味でも楽しんで作ってましたね。メンバーの皆さんが合わさると音域が広いんですよ。低いところも歌える子がいて、高いところを強く歌える子がいてっていうところで、作曲家としては作りやすいというのもあって。たぶん、若井さんは曲も作られてるから分かると思いますけど。
 
若井 レンジの幅で全然違いますもんね。
 
丸山 そうなんです。使えるメロディーの幅が増えるので、自由度が高くて。いろんなジャンルに対応してもらえるので。こういう曲を出しても歌ってもらえるかなっていうチャレンジの気持ちも持てて、曲作りも楽しかったです。
 
──ぶつけ甲斐があるという感じですかね。
 
丸山 そうですね。どういうふうに返ってくるのかなと思って曲を出したら、いつも想像以上の形になるので。
 
若井 うれしいです!

渡辺 プリパラ楽曲も、パフォーマンスのクオリティーは当然どんどん上がってるんですけど、お客さんの「キター!」みたいなボルテージもどんどん上がってて、最高ですよね。あれはうれしいです。
 
茜屋 みんな「待ってました!」って感じになりますよね。
 
渡辺 i☆Risの皆さんとファンの皆さんのおかげで「Make it!」や「ドリームパレード」は僕の代表曲の一つになったので、ライブでのあの反応はうれしいですよね。
 
茜屋 ありがたいです。
 
──ちなみに渡辺さんは現場には?
 
渡辺 実はまだなんですよ。
 
若井 あ、だったら今回はぜひ!
 
渡辺 はい。しかも東京国際フォーラムは僕の好きな会場の一つなので楽しみです。

──そんな10周年記念ライブがあり、ベストアルバムも出て、この11月7日は、i☆Risのファンは幸せすぎますよね(笑)。そのライブと今後に関して、ライブをどう楽しんでほしいかというところと、今後i☆Risとしてどうしていきたいかというところをお願いします。


 
若井 この日で10年か……と思うと、この日にどんな感情になるのかとかが分からなくて、それが楽しみでもあるし、でも1人1人のファンの方を全員見て、一緒に「ああ、ここまで来たね」ってしみじみ思って、人生の中で忘れられない日になったらいいなと思いますね。そのぐらい楽しみたいです。それと、これからのi☆Risがどうなっていくんだろうって……分かんないぐらいなんですよ。さっき丸山さんが私たちの可能性のことをおっしゃってくれてましたけど、私も何にでもなれるなと思っていて、i☆Risにはまだいろんな、見せてない顔があるのかもしれないと思うと、今は5人になりましたけど、5人でまたどういう楽曲を歌っていけるんだろうなっていうのも楽しみです。10年経って大人になって、みんなアラサーなんですけど(笑)、やろうと思えば大人としての魅力もあるし、これからにも期待してほしいなと思いますね。やれるまでやります。

茜屋 私も、この日どういう気持ちになるのか全然分からなくて……でも大体ライブの時ってすごく不安になっちゃうから準備していったり、「ここでどうしよう」とかって考えたりするんですけど、この日はもうあえて何も考えずにその時の感情で楽しめたらいいなと私も思ってて。自分はすごく飽き性なので、10年何かが続いたことがないんですね。でもi☆Risをこんなに続けられたのはやっぱりファンの皆さんがいてこそなので、私もちゃんと支えてくれたファンの皆さんをしっかり見て、「ありがとう」の気持ちをたくさん伝えられたらいいなと思います。これからに関しては本当に分からないんですけど、確かに友希ちゃんも言ってくれたようにいろんな可能性を秘めてる人たちが集まってるなって思うんですよね。私個人として具体的に言うと、また作品の歌だったり、主題歌だったりを歌って、何かに染まるのが好きなタイプなので、そういうふうに作品を彩ったりできたらいいなって思います。
 
──その中で、また渡辺さんや丸山さんの曲も。
 
若井 もちろん、ぜひお願いしたいです。あの当時の私たちと、今の私たちはどう見られてるんだろう?とか思うと面白そうですしね。

丸山 最近の「Queens Bluff」なんかもダンサブルで、ちょっと大人なi☆Risが見える楽曲ですよね。ご本人を目の前にして言うのは恐縮なんですけど、本当に初期の頃から見てたので、すごく大人になったなって(笑)。今は「美しい5人」みたいな、そういう新鮮な気持ちで見ています。
 
若井 丸山さんには今の私たちを見ている目線でまた楽曲を書いてほしいし、渡辺さんには作品の曲と関係なくi☆Risを見た時にどんな楽曲を書いてくれるんだろうっていうのがすごく気になります。
 
渡辺 そうですね、タイアップなど意識せず、今のi☆Risさんに曲を書くというのは面白そうですね。僕ら「Blue Bird's Nest」には他にも沢山のクリエイターがいて、みんな様々な個性を持ったクリエイターなので、その人たちの曲もまた歌ってほしいですね。「Blue Bird's Nest」一丸となってよってたかって提供しますんで(笑)。
 
──これからも楽しみですね。ありがとうございました!

 
撮影 長谷英史




『10th Anniversary Best Album ~Best i☆Rist~』
2022.11.07 ON SALE

 

■収録内容など詳細はこちら
https://iris.dive2ent.com/discography/detail.php?id=1019226
 
■『Anniversary』Music Videoはこちら
https://youtu.be/qOwXdfvZGcw
 
■『Anniversary』先行配信はこちら
https://avex.lnk.to/iRis_Best-iRist_DIGI
 
 
i☆Ris 10th Anniversary Live~a Live~
2022年11月7日(月) / 東京国際フォーラム ホールA
開場18:00/開演19:00
 
チケット一般発売中
 
チケット
〈全席指定〉¥9,900(税込)
https://iris.dive2ent.com/live/detail.php?id=1094906&c=media
 
〈配信チケット〉¥4,000(税込)
https://tixplus.jp/feature/iris_stpass202211/
 
 
【i☆Ris OFFICIAL WEBSITE】
https://iris.dive2ent.com/
 
【i☆Ris YouTubeChannel】
https://www.youtube.com/c/iRisOfficialChannel

【i☆Ris Twitter】
https://twitter.com/iris_official_



【Blue Bird's Nest Official Site】
https://bluebirdsnest.avex.jp/

 
高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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