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宇野実彩子(AAA)

宇野実彩子(AAA)ソロ・1stミニアルバム『Sweet Hug』から2020年の活動をまとめてみた

2021.01.06
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音楽
1月6日、ソロ・1stミニアルバム『Sweet Hug』をリリースした宇野実彩子。山田裕貴との共演MVも話題となった「最低な君にさっきフラれました」をはじめ、バラエティに富んだ楽曲は彼女の創作意欲が反映されたものとなっている。この作品について、またその制作も含めた2020年の活動についてまとめてみた。
 

楽曲ごとにさまざまな表情を見せるミニアルバム
 
 
1月6日、宇野実彩子(AAA)のソロ名義の1stミニアルバム『Sweet Hug』がリリースされた。
 
2005年にAAAの一員としてCDデビューし、現在までに57枚のシングルや12枚のオリジナルアルバムを発表。その一方でさまざまなアーティストの楽曲・ライブで客演し、またNHK総合「連続テレビ小説『梅ちゃん先生』」や清水崇監督の映画『呪怨 パンデミック』に出演するなど、女優としても活躍する宇野だが、ソロ名義で本格的に音楽活動を開始したのは2018年のこと。ユーロビートやトランス、ハイエナジー系の印象の強いAAA楽曲からは一転、ピアノとストリングスをフィーチャーした、スケール感のある1stシングル曲「どうして恋してこんな」で多くの音楽リスナーを驚かせてみせた。


そしてその後は3枚のCDシングルと1枚のオリジナルアルバム、8曲の配信シングルをドロップ。その内容はトライバルなダンスチューン「Summer Mermaid」や、EDMナンバー「mint」、オーガニックなスローナンバー「ヨルソラ」、音の響きの気持ちよさを強調した符割が特徴的な「#one_love_pop」など、おそらくその時々の自身の嗜好をモロに反映させたのであろう、色とりどりの楽曲群で構成されている。
 
そしてそれらの楽曲に言葉を与えているのは宇野自身。〈そう どうして恋してこんな 泣けるほどに抱いて すべてが欲しくなってふたりは 傷つけたよね Just say goodbye〉(「どうして恋してこんな」)といった恋愛模様を“オトナ”の女性ならではの視点で切なくも優しく切り取るリリックはもちろん、〈グシャグシャ頭のまま「おはよう」って不意打ちハグ ほんとズルいな ラブコメみたいなワンシーン〉(「Honey Story」)のようなファニーな言葉も紡いでみせている。また2020年11月の配信シングル曲「最低な君にさっきフラれました」のようにタイトルからして強い言葉を聴く者に投げかけることもある。
 

特に「最低な君にさっきフラれました」はMVも大きな話題に。この作品で初のドラマ仕立てのMVに挑戦した宇野は映画『新聞記者』などで知られる藤井道人を監督に迎え、俳優・山田裕貴と共演。恋人たちの出会いから別れまでの模様を時間を巻き戻すかのように見せていく映像と、その冒頭の彼女と山田の鬼気迫るケンカのシーンは公開当時注目が集まった。楽曲配信当時のインタビューによると、その逆再生のような構成やケンカのシーンのプロットには彼女自身のアイデアも多く盛り込まれているという。
過去記事 https://avexnet.jp/column/detail.php?id=1000407
 

そのほか配信ライブを開催し、香水「BRING ME.」をプロデュース。さらに自身のYouTube公式チャンネルでLiSA「炎」の“歌ってみた動画”を公開するなど、新型コロナ禍にあっても精力的な活動を続けている宇野。


そんな彼女がこのたび発表した『Sweet Hug』はストレートで爽快なギターロック「Sweet Hug」で幕を開けたかと思えば、ブーミーなベースが唸るアッパーチューン「Stand UP!」、現在の世界標準ともいえるアレンジが冴えるセクシーなR&Bナンバー「BLACK CHERRY -black honey mix-」とアルバムは時間が進むたびにさまざまな表情を見せてくれる。
 
それはピアノ、ドラム、ベースというシンプルな編成の楽器隊をバックに〈汚い欲に 食べられて捨てられて〉〈素敵な王様にでもなったつもりなの?〉と辛辣な言葉の数々を儚げに歌う「最低な君にさっきフラれました」以降も同じこと。アルバム後半戦には壮大なロックバラード「サヨナラを選んだ私」、AAAメンバーへの感謝の言葉を彼女のボーカルとコーラスの巧みな掛け合いで伝えるミディアムナンバー「きみとぼく」が配されている。
 
これらの楽曲の歌詞ももちろん宇野の手によるもの。「最低な君にさっきフラれました」や、〈サヨナラを選んだ私、間違いかな。 胸が痛むたびに 愛は目を覚まして〉と綴る「サヨナラを選んだ私」など、彼女ならではのレトリックで女性の心の奥にあるものを描くラブソングも手がける一方で、「BLACK CHERRY -black honey mix-」では前述の宇野リリックのもうひとつの横顔を見せつける。〈手錠かける fakeなキス you can’t run away 隙だらけ 味気なく 滲むrouge she’ll never know you〉と日本語と英語を徹頭徹尾チャンポンにし、自身のボーカルをも楽器のひとつのように響かせることでリスナーを踊らせてくれる。


ライブツアーも決定! 今作の世界をどう表現するのか?



さらに今回のミニアルバムのラストにはAAAの「LOVE」のセルフカバーバージョン収録されている。
本作において彼女は「LOVE」についてはAAAの原曲に忠実なアプローチを採用。自らも所属する男女混成ユニットの楽曲の世界を宇野自身はどのように解釈しているのか? AAAファンなら聴き比べてみると面白いはずだ。
 
そして、mu-moショップ限定販売の初回生産限定盤のみのボーナストラックには、2020年最大のヒット曲・瑛人「香水」のカバーが収録。
「香水」ではオリジナル版のトーンやマナーはそのままに少しリッチな味付けを施している。アコースティックギターをシグネチャサウンドに据えているのは同様ながら、ピアノやベース、ドラムを重ねることで彼女の色が加わった「香水」に仕立て上げている。

なお現在、宇野のYouTube公式チャンネルではミニアルバム収録の「きみとぼく」のMVが公開されている。これはフーディ姿でリラックスムードをたたえながら歌う彼女を追いながら、ところどころにファンから投稿された自撮り写真や動画がカットアップされるというもの。前作「最低な君にさっきフラれました」のMVとは大きく様相を呈すが、やはり一筋縄ではいかない映像を作り上げるあたりには“宇野実彩子らしさ”が発揮されていると言えるだろう。

 

また宇野は1月29日の東京・TACHIKAWA STAGE GARDEN公演を皮切りに全国11会場を巡るライブツアー「UNO MISAKO Live Tour 2021 "Sweet Hug"」を開催する。ミニアルバムとは思えないボリューミーな今作の世界をどのようにステージで表現するのか。『Sweet Hug』とともにチェックしてみてほしい。
 
 

1st miniAL 宇野実彩子(AAA)『Sweet Hug』
2021.1.6 ON SALE

 



【宇野実彩子 YouTubeチャンネル『MISAKO UNO OFFICIAL』】
https://www.youtube.com/channel/UCTy6PjDyAduZCkmmjD_XjTQ
 
【宇野実彩子のオフィシャルサロン『MISAKO UNO Inc.】
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【Instagram】
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【Twitter】
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【宇野実彩子 official website.】
https://avex.jp/uno/

 
 
成松哲
WRITTEN BY成松哲
1974年、大分県生まれ。フリーライターから音楽ナタリー編集部を経て、再びフリーライター。著書に『バンド臨終図巻』(共著。河出書房新社/文春文庫)など。
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