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I Don’t Like Mondays.

avex移籍の理由からニューアルバム『FUTURE』まで I Don’t Like Mondays.インタビュー

2019.08.21
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音楽
インタビュー
「月曜日の憂鬱を吹き飛ばすスタイリッシュ・ロックバンド」ことI Don’t Like Mondays.(通称アイドラ)が、2019年からavexのレーベルrhythm zoneに移籍。4月の第1弾「DO YA?」を皮切りに4ヵ月連続で新曲が配信されてきた彼らが、いよいよ約3年ぶりのニューアルバム『FUTURE』をリリース! メンバー4人に、avex移籍の理由、ニューアルバムとツアーのこと、その他、「この際聞きたいこと」をトコトン聞いてみました!
 
 
ズバリ! avex移籍の理由とは?
 
 
──最初にズバリお聞きしますが、今回avexに移籍を決めた理由は何だったんでしょう?
 
SHUKI 僕らはデビュー当時から「踊れる音楽」という方向性を中心に目指してきたんですが、avexで活動されてるアーティストさんとは、リスナー層がすごく近いところにいるなと思ったんです。僕らは洋楽にすごく影響を受けていて、洋楽を聴く耳を持っている人たちだったり、流行に敏感な人だったり、そういう人たちに向けて活動した方が僕らの目指してるところには近いかなと考えていた中で、分かりやすく言うとブルーノ・マーズと全世界音楽出版管理契約を結んだりとか、この会社が一番近いところにいたっていうのが一番の理由ですね。
 
YU 音楽はもちろん、ファッション面なども打ち出していきたいなと常々思っているんですが、たくさんあるレコード会社の中でavexさんが一番カラーが合うなと。あと僕らはただロックバンドというだけではなくて、いろんな音楽に影響を受けていろんなジャンルにトライしていて、ジャンルの垣根を越えた楽曲やパフォーマンスをいつも心がけているんです。avexさんは「ULTRA JAPAN」みたいに大きなトレンドになるようなフェスも主催しているので、、バンドとしてそういうところに絡んでいけたら面白そうだというのが、僕らの夢と重なったので。それが一番強いですね。
 
SHUKI バンドの枠にとらわれないバンドを、僕らは目指してるので。そういった意味では王道のレコード会社に所属するのもアリですけど、「普通」の枠に収まらない活動をしたい僕らとしては、逆にavexさんみたいな会社の方が面白いことができるんじゃないかと。
 
──相乗効果を狙ったと。では、もともとavexに対して持っていたイメージはどういうものでしたか?
 


YU 僕は20歳ぐらいの時から、avexさんの社員の方と遊ぶ機会が多くて、いろんなイベントとかに連れて行ってもらったりしてたんですよ。そこで出会った社員さんたちはみんな、自分たちの仕事を楽しんでるというイメージがすごく強くて。それこそ松浦会長が「遊びは仕事、仕事は遊び」ということをいつも言われてますけど、そういうことがすごく社員に伝わってる会社だなというイメージを持ってましたね。
 
SHUKI 僕もYUの紹介で社員の方たちとお話しする機会があって、自分たちの目標とか大きいことを言っても応えてくれる器があるなと。しかも純粋にいい人たちばかりだったので、「この人たちと仕事したいな」と思いました。
 
KENJI もともとavexには、「ダンスグループが多い」という印象を持ってたんですよ。だからバンドのイメージはあまりなさそうだったので、あえてそこに飛び込むことで、面白いことができるんじゃないかと思ったのはありますね。もちろん、バンド系が強いレコード会社もあるんですけど、そういうところが持ってない別の角度でプロモーションしていただいたりとか、当たり前のルートを辿るよりも面白いことができるんじゃないかなと感じてます。
 
CHOJI 僕もKENJIと同じでavexイコール・ダンスグループというイメージが強くて、正直僕らがここに行ってどうなるかという不安も、もちろんありました。でも同時に、時代ごとに枠組みを壊してきた会社という印象もあったので。僕らが目指してるのは、あくまで既存のバンドさんたちがやっていないところで新しいことをしたいということなんです。そういった意味で、一番化学反応が起こせそうな会社がここかなと、入る前から感じてました。
 
YU いつもワクワクさせることを日本の社会に対して提示してますよね。僕らも自分たちのファンの方々とか、これからファンになってくれる方々にエンターテイナーとしてそういうものを提示していきたいと思っていて、そういう点で目指すところは一緒なので、入る時からすごくワクワクしました。「何ができるんだろう?」って。
 
──では、「avexと言えばこの人(たち)」と、パッと浮かぶアーティストを挙げていただけますか?
 
YU やっぱり浜崎あゆみさんじゃないですかね。
 
KENJI 僕もそうですね。世代がたぶん一番ピッタリというか。
 
SHUKI 僕も一番パッと出てきたのは同じかな。
 
KENJI あとは倖田來未さんとか。聴いてたのはそのへんですね。
 
YU ホントに世代だよね。
 
CHOJI バンドではMOON CHILDとかJanne Da Arcとかも聴いてたので、そういう人たちもいるというのは認識してました。
 

ファンを驚かせるのが、アイドラなんです!
 
 
──移籍が決まる前に約1年ほど、所属せずに自分たちで活動されていた時期がありましたよね。その時期に気付いたこと、分かったことというのは?
 
SHUKI どこかに所属して、一つの枠組みの中でやるべきことが日々ある中では、流れを変えようという動きはしづらいんですよね。やらなきゃいけないことに日々追われ過ぎちゃうと、その少し先のことを考えにくいというか。そういった意味で、改めて僕らの目標とかキャラクターをどういう人たちに届けるかというのを、立ち止まって考える時間ができたのはよかったですね。
 
YU ちょうど音楽業界自体が転換期というか、例えば今までリリースと言えばCDだったのが、配信だったりストリーミングに変わっていったりしてて、今までレコード会社でキャリアを積んできた方々でも、どうしたらいいか分からなくなっているというのが現状ですよね。僕らもリリースの時にCDで出すべきなのか、それとも配信でいいのかとか、そういうところもかなり話し合ったりして、試行錯誤した1年でした。
 
──そういう時期を経てavexの所属になって、変化したところ、それまで持っていたavexのイメージが変わった部分などは?



KENJI 環境が変わったなというのはすごく実感してますね。アーティストには「できること」と「できないこと」があると思うんですけど、できない部分をしっかり補ってもらいつつ、会社からのパワーもすごくもらって、いろんなところに出て行けるという強みもすごく感じています。
 
YU 変わったというか再認識した部分なんですが、もともとガッツとか熱量の高い人たちが集まっている会社というイメージがあったんですよね。で、実際そこに入ってみて、ライブの後の打ち上げで飲みに行ったりすると、ファミリー感みたいなものが、どの会社よりも強いなと。そういう時に、「あ、この会社に入ってすごくよかったな」と思いました。
 
──avex移籍を発表した時、ファンの方々の反応はどうだったんですか?
 
YU まずは不安そうだったよね(笑)。
 
SHUKI そこは予想通りだったね(笑)。まあ、僕らも思ってたことですけど。僕らもここに入って担当の方と話をしていく中で、特にクリエイティブに関して、僕らがやりたいことと向こうがやりたいことのすり合わせってどこまでできるんだろう?というのが正直あったんですよ。ファンの人たちからすると、作品が出るまではそれがどうなるか分からないですよね。極端な話、avexの中でも僕らとは一番かけ離れたアーティストをイメージして、「あんな風になるんじゃないか」みたいに想像された人もいっぱいいましたし。
 
YU 僕らは今まで自由にやってきたので、何にも縛られずやってきた活動が、いろんな人と関わることによって制限されちゃうんじゃないかというのがあって。でも実際は、全然自由にやらせていただいてます(笑)。その部分は作品で、特にアルバム以前に4月から配信した新曲の段階で、けっこう提示できたかなと思ってます。
 
SHUKI 僕らも入る前から、avexのブランドに乗っかるというよりも、僕ら自身が新しい道を作りたいという気持ちだったんです。僕らの中では方向性での不安はなかったですし、ファンの方にも「大丈夫だよ」というのを伝えられたかなと思いますね。
 
──それこそ先ほど出たような、「バンド系が強い会社」への移籍だったらファンの反応ももっとスムーズだったんでしょうけど、そこをあえて驚かせたいという気持ちもあったのでは?
 
YU それが我々アイドラなんです(笑)。
 
KENJI うん、俺たちはそういうバンドだと思います。
 
──「avexだからこそ、こういうことをしてみたい」ということは?
 
SHUKI さっき出たULTRA JAPANなんかが、まさにそうですよね。
 
YU 今まで他のバンドが“見てなかった”ところですね。あとはアジアに進出したりとか。avexの所属アーティストの多くが、海外でのライブもやられてるので。例えばK-POPのアーティストさんのツアーとかもやられてるので、そういうところとも積極的にコラボしていったりとか。そういう風に、垣根を越えた活動をしていきたいなというのが一番ですね。
 
 
90'sヒップホップ、70'sソウル……ニューアルバムのコンセプトは「時代感」
 
 
──というところで、ニューアルバムのお話に……
 
YU ここまで入社面接みたいでしたね(笑)。
 
KENJI avexのことをこんなにまとまって話すの初めてだしね。
 
SHUKI 面白かった(笑)。
 
──そうですよね(笑)、ファンの方も知りたいところだろうと思いまして。では改めて、ニューアルバム「FUTURE」のお話に移りたいと思います。それぞれ曲調やタイプは違うんですが、「オシャレ」という一本の柱で貫かれているというか、形を変えつつもオシャレな楽曲が次々に飛び出してくるアルバムという印象を受けました。制作にあたってのコンセプトは?



YU アルバムのコンセプトは、全体の半分行かないぐらいのところでしっかり固めようかと話していました。今回は“再デビュー”という形になるし、先ほども出たようにファンの方の不安もあったので、まず僕らが再出発にあたってどういう活動をしていくべきなのか、どういうキャラクターを見せていくべきなのか、そっちをメインに考えていたんです。それで何曲か出していく中で、「ああ、この感じで行くんだったら、この曲たちが全部入るアルバムっていうのはこういうコンセプトでいいんじゃないか」っていうのを再度話し合って、決めていったという感じですね。
 
──では4ヵ月連続リリースが始まった当初は、「アルバムを見据えて」というわけでもなかった?
 
YU その曲たちが収録されることは決まってましたから、全然意識していなかったわけではないんです。ただ、まずは第一発目になるのがどういう曲がいいのか。アルバムに入ることは前提ですが、それよりはその曲単体がどう見えるのかということを重要視したという感じです。
 
──それで最終的に決まったコンセプトというのは?
 
YU avexで再デビューということを含めて総合的に考えて、どういう曲を作ったらいいんだろうと。avexさんには「近代的」というイメージがあって、僕らも「踊れる曲」という意味でダンスというのは目指すところでもあって。それで、最も僕らが「踊れる」と感じるビート感やサウンド感はどういうものなのか、そこを突き詰めてみようというのが第一弾で。また、そこにあえてavexっぽくない部分も入れてみようということで、僕らがテーマにしたのは90年代のヒップホップでした。せっかく転換期だったので、それも込みで曲作りをしてみようとトライしてできたのが、第1弾の「DO YA?」という曲だったんです。
 
──なるほど。
 
YU そこからの流れで作っていく中で、次の「ZERO GRAVITY」という曲をリリースしたんですけど、ここでのテーマは70'sソウル。さらに次の「Up to U」では80年代のものをリバイブして。そうやって時代感をテーマにする曲が、僕らの中でトレンドなんだなっていうものを掴み始めたんですね。じゃあ他の曲にも時代に影響受けたものを存分に取り込んで、アルバム全体を作り込んでみようというのが、今回のコンセプトですね。
 
──今までのお話をお聞きした上で……なんですが、そもそも皆さんの自己認識は、「ロックバンド」なんでしょうか?
 
YU まあ正直、「ロックバンド」って言った方が分かりやすいからそう言ってる、っていうのはありますね(笑)。じゃあ今、「ロックって何か?」と聞いたとして、98%の女の子は答えられないと思うんですよ。あと今はジャンルというものがなくなってきている時代ですよね。僕らも結成当初、「一つの音楽性に絞った方がいいんじゃないか」って悩んだ時期があるんですよ。でも、僕ら4人とも飽き性なんで、すぐ飽きちゃってそれぞれがソロバンドを組み始めるだろうと。だったらせっかく4人集まってるのにもったいないので、このバンドでどんな曲でもできるようにしようと話したんです。逆に言うと、「それをできるスキルがあるんだったら、生かしたほうがいいんじゃないか」と割り切ってやり始めて、今やそれがカラーになってきたんですね。だから「ザ・ロックバンド」ではないですけど、そのへんのロックバンドよりはロックな曲もあると思ってます。



SHUKI 音楽性だけのロックというよりは、概念としての「ロックバンド」でいたいというのがあるんですよ。既存の枠にとらわれないというか、やっていてもすごく自由なバンドだと思うので、そういう意味ではすごく「ロックバンド」かなと思うんですけど。
 
 
メンバー4人、それぞれのイチ押し曲を語る!
 
 
──よく分かりました!(笑) ではアルバムの話に戻って、セルフカバーの曲が2曲入っていますよね。今、このタイミングでというのは?
 
YU 正直にお話すると、せっかくavexさんから再デビューするということだったら、今回を機にまた新たなリスナーの方に聴いてもらえる機会が増えるだろうということで、だったら今までのI Don’t Like Mondays. で一番分かりやすい、僕らの中でも一番自信のある曲を入れた方がいいんじゃないかということをかなり話し合って。それは僕らにとってもいい機会だったんです。作曲してレコーディングしたのがデビュー直後ぐらいだったので、ライブでやり続けて曲も成長しているし、当時のレコーディングではできなかったことをここでやって、再デビューという形で出してもいいなということで、満場一致で入れさせてもらえました。



CHOJI 過去に作った曲なんですけど、現在進行形みたいな感じですね。ギターなんかはやっぱり、ライブとかでは違うことをやってるんで、そういうのも入れたいなっていうことで。
 
SHUKI でもある意味リスクもあって、せっかく作っても「昔のバージョンの方がよかった」って言って聴かれないのはもったいないので、自分たちの中で「やり過ぎないようにしよう」って決めたんです。それこそリマスターぐらいの感じで原型は留めつつというところで。難しかったのは、過去の楽曲って僕らの中でも「ここを直したい」っていうところが出てくるのが普通なんですけど、それをどこまでやるかっていうのはチャレンジでもありました。でも結果、今の僕らを少しだけ“音質”で表現したみたいな完成度になって(笑)、そういうチャレンジができたのもいい経験になりましたね。
 
YU 今回はバージョンアップっていうことで、一つ一つの音を差し替えたりとか、ドラムを打ち込みにしたりとか、さらに耳あたりを重視したセルフカバーになりました。
 
CHOJI まあ、もう何百回もやってるんでね、何も考えずに。
 
──それではアルバムの収録曲から、それぞれイチ押しの曲を1曲選んで、語っていただきたいんですけども。
 
YU 僕は「CALL ME」という曲ですね。この曲はもともと全然違うアレンジで、もっとアップテンポだったんですけど、何かそれだと納得できないということでお蔵入りしそうだったんです。今回、アルバムを一緒に作ったプロデューサーのEIGOさんから「バラッドにしてみてもいいかも」っていうアイデアが出て「ちょっとやってみようかな」と思って試してみたら成功した曲なんですね。僕は全曲作詞をしてるんですけども、今までのI Don’t Like Mondays. のスタイルって日本語と英語を組み合わせて、ダンサブルで聴き心地のいいものを目指して作ってきたんですけど、この曲は僕の中ではけっこうターニングポイントになる曲で。
 
──ターニングポイント、というと?
 
YU ほとんど日本語の歌詞だし、最近自分でも聴いたことがないぐらい、ヘビーな失恋ソングができたなと(笑)。なので、僕の中では一つの成長ができた曲だと思ってます。歌詞を書く時に、普段から悩んだりもするんですけど、他の曲よりは悩まずにできた曲で、自分自身すごく気に入ってます。ボーカルとしては1番のサビ、2番のサビ、最後のサビと進む中で歌い方を変えていってます。はじめはファルセットで歌ったところを、最後は地声で張って歌っていて。あそこまで声を張って歌うことは今までならできなかったんですが、ライブを重ねていったりしてトレーニングしていく中で歌うことができるようになった曲ですね。今だからこそ歌える曲なのかなと思ってます。



SHUKI 「PLEASE」という曲です。僕らがデビューして5年ぐらいやってきて、お客さんたちの反応を見ていたり自分たちがライブをやっていて手応えを感じる曲調というのがいくつか出てきてるんですね。このアルバムには、そういう曲を何曲か集めてブラッシュアップしたものを入れたりしてるんですけど、そういった、僕らの中でも中心的な曲調の楽曲とは違うものも作りたいなっていうのもあって。それでできたのがこの曲なんです。だから一番僕らっぽくない曲ができたっていう自覚はあります。僕らは洋楽に影響を受けてきたんですが、洋楽って雰囲気モノすぎて「どこがサビ?」って分からない曲もけっこうあったりするんですよね。
 
──確かにありますね。
 
SHUKI そこが、特に日本で洋楽が受け入れられにくい部分かなとも思うんですけど、僕らはそういうところに気をつけて、聴きやすくするためにサビを分かりやすくすることを大切にしてきたんです。でもこの曲は、あえてサビを「ここがサビです!」って感じには作っていなくて。僕らの中でも、他の曲よりも洋楽テイストを多めに入れた曲でもあるし、それこそこのアルバムの時代感で言っても、2019年に一番近いところのつもりでやりました。歌以外全部打ち込みで作ってるという点も、バンドという枠にとらわれないという意味で振り切ってやれたことがいい経験になった曲です。
 
KENJI 僕は「DO YA?」です。基本的にロックのフレーズって、先にやったもん勝ちというところがあるじゃないですか。フレーズを考えている時に、他のアーティストの曲について「こんなシンプルなフレーズなのに、何でそんなに売れてるんだよ!?」と思うこともあるんですよ。もちろん、メチャクチャいいフレーズなんですけど。リフ曲って、ずーっとそことの戦いだと思うんですよ。
 
──シンプルでありながら印象に残るものの取り合い、というか。
 
KENJI はい。その中で、「DO YA?」のベースって、弾いてるのはメチャクチャ単純なフレーズのループなんですけど、そこにちょっとした変化をつけていって、「シンプルなんだけど、いい」っていう往年のフレーズ感みたいなものを初めて自分の中で具現化できたっていう曲ですね。いろんなベーシストの人から「あのフレーズ、カッコいいね」みたいに言われることが今までで一番多いんですよ。それから、avexさんに移籍して第一弾っていうタイミングで「90'sヒップホップを楽曲の中に取り入れてみよう」という試みをやらせてもらえたことがすごくよくて、新しい化学反応という意味でも、アルバムの中でも一番「僕ららしくなくて面白い」というものができたんじゃないかと思って、気に入ってます。


CHOJI 最初は僕も「DO YA?」にしようかなと思ってたんです。あれが今回のアルバムの本当のスタートだったので。でもかぶったので(笑)、「ZERO GRAVITY」で。このアルバムは今まで3枚出した中で一番ソフトで大人なアルバムだと思っていて、その中でもこの曲が、僕の中では一番このアルバムらしい曲かなと。今までもそういう曲はやってきたし、お客さんたちが僕らに求めてるものだっていうのは分かってて。MVもバンド4人でストイックにやってる感じを見せられたし、印象的な曲ですね。
 
──CHOJIさんの中では、アルバムを象徴する1曲だと。
 
CHOJI そうですね。アルバム全体がソフトに仕上がったのも、この曲のおかげというところはあると思ってます。



30代の今だからこそできる「大人の色気」を表現
 
 
──環境が変わったり、クリエイティブ面でも新しいスタッフが入ったりという変化があったと思いますが、そのあたり制作面ではどうでしたか?
 

SHUKI 初めての試みとして、女性コーラスに参加してもらったりもしたんですが……まあでも、僕らが主導して、もちろん皆さんとの話し合いの上で僕らの「こうしたらいいんじゃないか」を具現化する手助けをしてもらったという意味では、僕らの中ではあまりやってることは変わってないんですよ。その規模感が大きくなったりとか、スキルの高い人が集まってくれたりとかというところですかね。
 
CHOJI それをすることによって、僕ら4人だけじゃない外の世界に行けたなっていうことは感じました。
 
──ジャケットやMVも含めたクリエイティブ面で、一番のこだわりは?
 
SHUKI 以前に新田桂一さんというカメラマンの方に撮っていただいた時にすごくよかったので、僕らの方からまたお願いしてオファーさせてもらいました。その方に紹介していただいて、CDのジャケット周りで竹内祥記さんというデザイナーの方にアートディレクションで入っていただいたんです。ビジュアル先行でどういうものを作ったらいいかという提案をもらって進めていって、「CD+DVD」、「CD+Blu-ray」、「CD」と3種類のアルバムジャケットがある中で、1枚はアルバムのコンセプトに沿ったものにしようということで、「ソノシート」のデザインが生まれて。竹内さんが「どういうデザインがいいか」と考える時に、「FUTURE」というタイトルに込めた概念を話したりという過程は初めてだったので、面白かったですね。
 
YU 3年ぶりのアルバムで、我々全員30代になったんですが、30代の今だからこそできる、逆に言うと20代の時はできなかった「大人の色気」みたいな部分、等身大というか、背伸びも変な頑張りもせずに研ぎ澄ませた僕らI Don’t Like Mondays.の上澄みを、クリエイティブに落とし込んでいきたいという強い思いがあったんですね。昔みたいにキャピキャピもしていないというところはサウンド面にも、ジャケットの写真とかにも表れてるんじゃないかなと思います。
 
 

KENJI 世界的に見ても、ソロアーティストがチャートとかをどんどん占めていってると思うんですよね。そういう音楽に僕らもかなり影響を受けながら作ってるんで、ワイワイワッショイみたいなものは少なくなっていってるのかなって思います。次はまた、どうなるか分かりませんが(笑)。
 
SHUKI ビジュアルで言うと、「バンドっぽさ」を大事にしようというのは、改めて話し合いましたね。デビュー当時は、普通のバンドがやってないことをやった方が目立つんじゃないかと思って、MVにあえて楽器を持ったシーンを入れなかったりとかもしてたんですが、ここに来て、バンドにしかできないことも絶対にあるので、その強みを生かしていこうということで、意識はしていました。
 
──このアルバムを引っさげて、9月からツアーも始まりますよね。ツアーはどうなりそうですか?
 
YU これだけ新曲がドバッとできた上でツアーを回るというのがすごく久しぶりで、「FUTURE」の曲が中心になってくるとは思います。このアルバム自体、ここまでの期間にライブを重ねてきたりした経験を踏まえて、「ライブでこういう曲があった方がいいね」とか「ライブでお客さんとこういうことをやりたいね」ということを想像しながら作った楽曲の集まりなんです。だからツアーでは僕らが想像したことを具現化した光景が作り上げられたらいいなと思ってるし、ただ「はいアルバム、はいツアー」という感じではなくて、逆にツアーまで想定して作ったアルバムなので、今までよりさらに期待値が高いですね、自分たちとしても。
 
SHUKI セットリストとかはまだこれからなんですけどね(笑)。
 

各メンバーの音楽的ルーツとは?
 
 
──では、ここまでにも「洋楽に影響を受けた」という話はちょこちょこ出てきていましたが、改めて皆さんの音楽的ルーツ、一番影響を受けたアーティストをお聞きしたいんですが。
 
YU 僕が一番影響を受けたのはプリンスですね。両親がマイケル・ジャクソンとかが好きで、幼い頃からそういうものを聴いてきて影響も受けたんですが、プリンスはサウンドだけじゃなく、考え方としてのアーティスト性という部分で一番影響を受けました。他にもありとあらゆるジャンルを聴きますね。それこそ高校生時代はヘビーロック、AC/DCとかガンズ&ローゼズとかも大好きですし、最近だとヒップホップなど、ホントに何でも聴きます。
 
SHUKI ルーツで言うと、アメリカのKORNというバンドです。KORNのライブビデオを見て、「音楽を仕事にしよう」と決めました。で、今一番影響を受けているのはたぶんジャズピアニストのキース・ジャレットです。
 
──KORNからアイドラだと、だいぶ遠くに来た感がありますね(笑)。
 
SHUKI 僕も何でも聴くので(笑)。それこそKORNを聴きながら、スカコアのリール・ビッグ・フィッシュとか、ジャズもクラシックも聴いてましたし。
 
KENJI 僕も時期によって聴いてきたものはバラバラなんですが、バンドをやり始めてからしっかり聴いたアーティストはオアシスですね。コールドプレイのライブにも4人で行ったりもしますし、レディオヘッドとか、アイルランド系のシガー・ロスとかも好きで。ああいう、アンニュイなんだけど旋律が美しいという音楽に惹かれます。



CHOJI 僕はギターヒーローがいるバンド、それこそディープ・パープルとかレッド・ツェッペリンとかがルーツなんですけど、ファンクという音楽だけがずっと好きになれなくて。バンド始めた頃もそうだったんですが、ナイル・ロジャースのシックというグループにだけはロックを感じて、そこからファンクも好きになっていきました。
 
YU 一緒に見に行ったしね。
 
CHOJI 僕もやっぱりいろんなものを聴きますよ。
 
──ポイントのアーティストだけ聞くと、「そんな4人がよく集まってるな」と思いますが(笑)、皆さんいろいろ幅広く聴くというところが共通してるんですね。
 
YU このバンドで、「俺はこれしか聴かない」って人はいないよね。だって、いいものはいいから。よさを理解しようとして、極力いろんなものを聴きますね。その方が、生きてて楽しいというか(笑)。この4人だからこそ化学反応も起きるし、誰かが作ったものにも全然違う角度から思いがけない要素が入ってきたりしますね。
 
──ところで、プロフィールにある「表参道で結成された」というのは、具体的には……。
 
YU 表参道の交差点で、4人が四方から歩いてきてばったり出会って結成したんです。
 
KENJI そのネタ、好きだね~!(笑)
 
YU まあ本当は、たまたま集まって作曲する部屋が表参道にあったっていうだけなんですけどね(笑)。
 
──なるほど! では最後に、アルバム、ツアー含めて今後に向けたメッセージをお願いします。
 


YU avexという強力なところに移籍させてもらって、僕らもかなりの自信作を作ることができたので、クルーとも一致団結して活動していきたいんですが、今まで僕らのことを全く知らなかった方々とか、より多くの人に届けたいというのが、今一番強い思いです。恥ずかしくないアルバムが作れたと思うので、聴いてみてください。
 
SHUKI 3年ぶりのアルバムということで、僕らの強みでもある「聴きやすさ」をすごく意識して作った作品です。だからアルバムも聴いてほしいですし、それに伴うツアーに関しても、ライブでは初めて僕らを見るお客さんでも飽きないということを常に意識してやってるので、初めてでもどんどん来てほしいです。初めて僕らを聴くという人を増やしたい年でもあるし、聴いたら意外といいって思ってもらえると思います。
 
KENJI 曲って、基本的に「最新曲が一番カッコいい」と思って出してるんですけど、今回はそれがちゃんとできたのが一番うれしいんですよね。YUもけっこう日本語詞を多めに入れてるし、聴いてくれる方のことをすごく意識して作ったアルバムになっていて、それぐらい自信のあるアルバムを引っさげてツアーに臨むんですが、ライブも楽しめるだけじゃなくて、歌える曲もすごく多いので、持って帰れるメッセージも前より多くなってると思うので、そういうところを感じ取って「また来たいな」と思ってもらえるライブができたらうれしいです。
 
CHOJI 家でも外でも、朝でも昼でも夜でも、どんなシチュエーションにも合う曲が必ず入っているので、アルバムを聴いてほしいです。またライブを見てくださった方は、僕らのことを「ロックだ」って言ってくれるので、このポップでソフトなアルバムがどんな風に化けるのかを確かめに、ぜひツアーに来てほしいです。




I Don't Like Mondays. / FUTURE
2019/08/21 Release

RZCD-86906 CD 2,800円(税抜き)
RZCD-86904/B CD+DVD 4,800円(税抜き)
RZCD-86905/B CD+Blu-ray 5,800円(税抜き)
 
 
CD購入
https://avex.lnk.to/0821_IDLMs_AL
音楽配信
https://avex.lnk.to/idlms
 
●I Don't Like Mondays. "F U T U R E" TOUR
【愛知】9月22日(日)       ボトムライン     17:15 / 18:00
【兵庫】9月28日(土) music zoo KOBE 太陽と虎  17:00 / 17:30
【大阪】9月29日(日)       梅田クラブクアトロ 17:15 / 18:00
【神奈川】10月5日(土)    横浜ベイホール          17:15 / 18:00
【茨城】10月12日(土)     水戸ライトハウス   17:00 / 17:30
【北海道】10月19日(土)  札幌DUCE        17:00 / 17:30
【埼玉】10月27日(日)     HEAVEN'S ROCK さいたま新都心        17:00 / 17:30
【福岡】11月3日(日)       福岡BEAT STATION        17:00 / 17:30
【宮城】11月16日(土)     仙台darwin      17:00 / 17:30
【千葉】11月24日(日)     柏PALOOZA     17:00 / 17:30
【新潟】12月1日(日)       新潟 CLUB RIVERST      17:00 / 17:30
【広島】12月21日(土)     広島CAVE-BE            17:00 / 17:30
【岡山】12月22日(日)     CRAZYMAMA 2nd ROOM 17:00 / 17:30
【東京】2020年2月8日(土)       TOYOSU PIT 17:00 / 18:00
 
 
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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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