LUNA SEAのボーカルRYUICHIとギターINORAN、そしてキーボード&コンポーザーのH.Hayamaからなるユニット、Tourbillon(トゥールビヨン)が久しぶりに活動を再開、9年ぶりのアルバム『BOUNDLESS』をリリース。再始動の経緯やアルバム収録曲、7月から始まるツアーについてなどについて、3人にお聞きしました!
「曲を作り始めると止まらなくて『ヤバイ、ここらへんで止めておかなきゃ』と思うくらいでした(笑)」(H.Hayama)
──3月にINORANさんのファンクラブイベントで再始動が発表されたわけですが、それ以前から動き始めていたんですか?
RYUICHI そうですね。INORANとは当然LUNA SEAで一緒にいますし、Hayamaくんとも僕のソロ活動のライブでよくご一緒しているので。会えば「いつTourbillonやる?」とか「こんなことをやったらどうかな」という会話をしていたんです。話しながら、いつの間にか2年経っちゃった……みたいなこともあるんだけど、今回はデビュー20周年だし、やっぱりLUNA SEAとして東京ドームのグランドファイナルでひとつの物語を打ち上げたあとだったので。いろんなことがTourbillonをやる未来につながっていったのかなと思います。
──ライブをやるだけではく、音源も作ろうという?
INORAN 曲作りは去年頃から始めていて。やっぱり20周年という大きな節目だし、ミュージシャンとして、待ってくれているファンの方たちにお土産を用意したうえでライブをしたいという想いがありました。
──『BOUNDLESS』は全曲Hayamaさんが作曲を担当していますが、そういう動きを受けて曲作りを進めていったんですか。
H.Hayama いや、特に具体的な話が出る前から、僕のなかで「いずれ来るだろうな」という予感があったんですよね。去年、LUNA SEAのステージを通して今現在のRYUICHIさんとINORANさんを観させていただきながら、そこに自分が加わった3人をイメージして作り始めていました。
──Hayamaさんはお二人のソロ作品に参加されたりすることもありますけど、TourbillonにはTourbillonのイメージが別にあるんですか?
H.Hayama それはあります。具体的に「ここが違う」みたいな答えはないですけど、意識が違うというか、思い浮かべているもの、情景が違う感じですね。
──それは3人のなかで共有されているんでしょうか。
INORAN うーん……3人でやれば絶対に素晴らしいものができるという約束はあるけど。共有しているというよりは、それぞれがTourbillonの未来へのアイデアを持ち寄って決めることも多いです。
RYUICHI 僕とINORANは10代の頃から一緒に音楽を作ってきたけど、LUNA SEAには鍵盤がいないので。20年前に「HEAVEN」で一緒にやり始めたときから、Hayamaくんの持っている音楽の世界、景色が、僕らにとってすごく新しいものだったんですよね。そういう意味で、Hayamaくんの存在がLUNA SEAと違う扉を開けてくれるところがあると思います。さらに、前回2023年にライブをやったとき、なんとなく新しい創作意欲が僕らのなかに生まれていたような気がする。
INORAN それは絶対にあるね。ライブは7年ぶりだったけど、7年というブランクがあっても褪せない信頼感や、絆みたいなものを感じられたので。それをかたちにして表現するのが僕らの仕事だなって。
──RYUICHIさんとINORANさんは、2023年にLUNA SEAの『MOTHER』『STYLE』再録アルバムを出して以降、過去の曲と向き合うモードでしたよね。ソロでのリリースも少し間が空いているので、完全に新譜を作る作業は久しぶりだったのでは?
RYUICHI そうですね。だから、制作作業はすごく楽しかったです。Hayamaくんが書いてくれた楽曲やINORANのギターを聴きながらイメージする世界は、やっぱりこの20年の足取りや軌跡がないと生まれなかった世界なんだろうなと思って。大人になったというとつまらない表現になってしまうけど、やっぱりいろんな経験をしてここに辿り着いたTourbillonという感じがしました。
INORAN 思い起こすと、2019年にLUNA SEAの『CROSS』を出したあとにコロナ禍に入って……それ以降も本当に人間として考えることがたくさんあったんですよね。だからこそ、いろいろなことを経て生まれ変わったものを表現するのは楽しみでしかなかったです。ワインと同じように、20年ものと12年ものでは全然味わいが違うと思うんですよ。その味わいをみんなに楽しんでもらえるアルバムになればいいなあと思いながら作っていました。
──Hayamaさんは、実際に曲を作っていくなかで意識したことはありましたか?
H.Hayama 特にテーマみたいなものはなかったです。というか、作り始めると止まらなくて、無限にできちゃうから「ヤバイ、ここらへんで止めておかなきゃ」と思うくらいでした(笑)。具体的に何を考えていたのかは思い出せないですけど、きっとお二人のステージを観て、何か強烈に感じるものがあったんでしょうね。次から次にどんどん出てきて。
INORAN Hayamaくんから届いたデモは30曲近くあったかな。どれかを選べないくらい素敵な曲ばっかりで。
RYUICHI そうそう。よくライブのMCで、僕とINORANが「もうそろそろアルバムを作らなくちゃいけないから、Hayamaくん30曲くらい書いといて」みたいな冗談を言うんだけど(笑)、まさにそれが体現されました。
──しかも、頑張って書いたのではなく、どんどん生まれてくるって素晴らしいですね。
H.Hayama 本当に、全然無理せずでした。
RYUICHI みんなそうだと思うんだけど、何かものを作るとき、コンセプトをガチガチに固めて書く場合もあれば、今回みたいに今感じている空気や時間をメロディに移し替える場合もあって。今は、たぶん後者の時期だったんだろうね。始めた頃のTourbillonを思い出すと、僕としてはむしろコンセプトが欲しかったし、「何をやればいいんだろう」と悩む部分があったので。また変化するかもしれないけど、今はもう少し生きている人生感が滲み出て、それがメロディやアレンジになっているのかなと思います。
INORAN うんうん。テーマを考えるか考えないかは、そのときの自分が決めることだから、どっちが正しいとかはないんですよ。でも、やっぱりこの歳になると、むりやり天気をコントロールするような表現は違うかなって。それが成熟ということなのかなと思います。
「RYUちゃんの歌詞はすごいなと。見ただけでいい旋律が浮かぶというか、リズムがあって美しいんです」(INORAN)
──作詞はすべてRYUICHIさんですが、最初から全部書くと決めていたんですか。
RYUICHI そうですね。僕自身、ここ数年は発声が部分的に難しいところがあったりして、今どんな言葉が歌えるんだろうか、届くんだろうかということをすごく考えていて。どういう発音が適しているのかを自分でチョイスしていけたらいいなと思って、詞は書かせてもらっていいですか?というところから始まったんです。でも、結論から言うと、意外と大丈夫だったんですよね。Hayamaくんからデモをもらってラララで歌っていくなかで、「あ、そこまで考えなくても歌えそうだな」って。LUNA SEAの東京ドームもあったし、今回のHayamaくんの曲のおかげもあると思う。だから、喉への負荷とかは考えず、ナチュラルにレコーディングに向き合えました。
──それはすごく嬉しい誤算ですね!
RYUICHI うまくいかないときは、天使と悪魔じゃないけど、やっぱりいろんな囁きが聞こえるんですよね。そういうものに不安を煽られても絶望することはなかったのは、やっぱりINORANを始めLUNA SEAのメンバー、スタッフ、ファンのみんなが支えてくれたから。こうしてHayamaくんもいい楽曲を作ってくれて、未来を感じることができたんです。だからこそバカになりきれるというか、少しくらい楽に構えてみてもいいのかなと思えるようになった。今は、夢から覚めたような……あれは夢だったのかなと思う瞬間もあるくらい、本当に自由に歌えるようになってきています。
──その言葉に安心する人はたくさんいると思います。そういう経験を経て新曲の作詞をするにあたって、今だからこその言葉が生まれてくるような感覚はありましたか。
RYUICHI 映画にもいろいろな作風があるように、詞も、不思議なものからリアルなもの、肉体的な美しさやしなやかさを感じるものまでいろいろありますよね。LUNA SEAでも、このアルバムはアナザーワールドを描いているけど、このアルバムはリアルだとか、熱い作品からクールな作品までいろいろな扉を開けたり閉めたりしてきたわけです。そのなかで、ある時期には、超自然的な言葉や自分で理解できないものに蓋をする傾向があった。だけど、今は誰かがそばにいてくれるだけで心が優しくなれたりするように、はっきりわからないことのなかにもリアルなものがあって、その道を否定する必要はないというところに戻ってきているような気がします。かと言ってファンタジーのようにまくしたてるつもりもないんだけど、リアルなものの先に道が見えているというか……それが今の自分の作詞なのかなと思う。誰かがそばにいることが自分の心の色を変えていく、景色を変えてくいくことを経験したからこそ。少なくとも、この3人で作っていなかったらこういう歌詞にはならなかったです。本当に。
──INORANさんは、歌詞が届いてどんな印象を受けましたか?
INORAN Hayamaくんも僕も歌詞を書きますけど、やっぱりRYUちゃんの歌詞はすごいなと思いました。歌詞を見ただけでいい旋律が浮かぶというか、リズムがあって美しいんですよ。言葉選びも、言葉と言葉の繋げ方も絶品だなと。素晴らしいです。さすがです!
RYUICHI ありがとうございます!
H.Hayama 誇張ではなく、本当に天才だなと思いました。
RYUICHI リーダーにそんなこと言われたらうれしいですねえ。
INORAN 給料上げないと(笑)。
H.Hayama はははは! デモ音源にいわゆるガイドメロディを入れるときは、全部英詞なんですよ。それがこんなにも美しい日本語になって返ってくるとは、僕の発想では絶対に浮かんでこないので感服しました。
RYUICHI Hayamaくんの英詞版もいいから、世に出したら面白いかもしれないよね。
H.Hayama それはちょっと……(笑)。
──聴いてみたいですね。曲について触れていくと、1曲目の「In My Heart」は、まさにTourbillonらしいダークさと美しさのあるロックで。もともと1曲目として出てきた曲だったりするんですか?
H.Hayama そこまで考えてはいなかったですけど、実はデモを作り始めて1曲目にできた曲ではあります。そういう意味では、たしかに「Tourbillonってこうだよな」と思い出した1曲なのかもしれない。
INORAN 1曲目に届いて、すごくカッコいいなと思いました。ここに行くんだっていう驚きもあったかな。
──RYUICHIさんは、歌詞を書くときにどういうアプローチを?
RYUICHI 結構「これで正しいのかな? どうかな?」と迷いながら書いていたんですよね。というのも、この歌詞はすごくパーソナルな……主人公がふたりだとしたら、ふたつの個が溶け合って混じり合ってそれでもまだひとつになれない、みたいな想いを書いているんだけど。曲自体はもっと広い広い世界の歌を書いてもいい楽曲だと思うんです。こういう直線的なメッセージで大丈夫かな?と思いながら書いていたので、歌を入れたあとにHayamaくんから「よかったです」と言われてちょっとホッとしました。今は、むしろこのギャップが良かったかなとも思っていますね。
──2曲目「End of Time」は、テクノっぽく始まってロックに展開していくアレンジが面白い曲で。このアレンジは、Hayamaさんのデモの時点からあったんですか?
H.Hayama 大枠はそうですけど、やっぱりINORANさんのギターが入ってガラッとカッコよくなりました。注目ポイントとしては、おふたりで歌われているところですね。
──そうですよね。RYUICHIさんとINORANさんのかけあいのような歌割りに驚きました。どなたのアイデアだったんですか?
RYUICHI 僕からINORANにお願いしたと思います。もともと僕はINORANの声がすごく好きなんですよ。INORANのソロアルバムを聴いていても、独自の世界観を持っているし、ギターはもちろんヴォーカリストとしてもこれからいろいろなものを見せてくれるんじゃないかなと感じていて。LUNA SEAではずっと自分だけで歌っているけど、せっかくいい声をして歌える人がいるのに、どうして一緒に歌ってなかったのかなと思って(笑)、交互に歌う曲があってもいいんじゃない?ってINORANに話したんです。
INORAN そうやって自分に委ねてくれたり、信じてくれたりする人の想いに応えることってやっぱり嬉しいじゃないですか。今回はそういうチャレンジをさせてもらいました。ライブでも、一瞬ですけど分担して休憩してもらえたらいいかなと思って。まあ、隣にエベレストがいるようなものだから、僕としては大変でしたけど(笑)。
RYUICHI いやいや(笑)。
──INORANさんがRYUICHIさんの歌をずっと横で聴いてきたのもあると思うんですが、節回しやニュアンスが自然とリンクしているように感じました。
RYUICHI 僕もそう思います。こっちもずっとINORANのストロークを聴いて歌ってきたし、メンバー同士お互いに影響し合って育っていくからこそ、バンドは魅力的になっていくんだと思うので。だから、今度はHayamaくんにも歌ってもらおうかなと。
INORAN そうだね(笑)。次のアルバムではお願いします。
H.Hayama ええー!(笑)
──ムチャ振りがたくさん飛んできますね(笑)。また、「End of Time」のテクノ感や、「Parallel」のシティポップに近い雰囲気など、バンドサウンドだけではないのもTourbillonの魅力だと思います。サウンド面ではどういうことを意識していますか?
H.Hayama 3人組である、というところを逆手に取ってみてもいいんじゃないかなという気持ちはありますね。ただ、細かく言えばいろんなジャンルの要素が入っているかもしれないけど、僕のなかでは意外と一貫しているんですよ。あくまで「Tourbillonでやる曲」というイメージで作りながら、そのなかの振り幅として「こういうのもありかな」と思ってアレンジのアイデアを出していった感じですね。
「ライブの間はみんながイヤなこと全部忘れられるような、本当に楽しんでもらえる空間にできたらいいなと思います」(RYUICHI)
──「Parallel」は軽やかなポップさがありつつ、歌詞は少し毒っ気のあるワードが出てきたりして。それこそ「In My Heart」で仰っていたようなギャップが面白いなと思いました。
RYUICHI そうですね。どこまで自分の思考がはみ出していくのかを楽しみながら書いていったような気がします。生の人間の息吹を感じる曲もあれば、逆にマシンにしかない整列した美しさの曲もあるなかで、Tourbillonの持っている青白い炎のような、一見涼しげに見えるその先にあるすごく熱量の高い世界──そういうイメージは、今回作詞をするにあたってすごく影響を受けたと思います。あと、Tourbillonは、楽曲が流れるだけでその空間をオシャレにしたり、リッチに色付けるようなバンドだと思っていて。そのうえで日本語で毒づくのは難しいんですよね。オープンカフェで英詞やフランス語詞の曲が流れると、空間がキラキラするじゃないですか。日本語だと、ヘタをすると逆にいくので。
──日本語の美しさと同時に、難しさもあるわけですね。
RYUICHI そう。だからこそ日本にしかない音楽があるんだと思います。
──作詞のスタートは、ご自身のなかにある感情なんでしょうか。
RYUICHI 最初にきっかけとなる瞬間だけは、できれば日常から引っ張りたいなといつも思っていて。日常的にモチーフを蓄えながら、ひとつのモチーフに対してダーッと言葉を並べていって、クロスワードのようにハメていくこともあります。だから、最初の一歩を踏み出して、何かが靴の先に当たったときに、それが石ころなのか、空き缶なのか、人の靴にコンと当たったのか、そこで生まれる物語が大事。意外と、作詞は時間をかけてやるというより、なんならレコーディングをする歌う直前に書いていたりするんです。
──なるほど。INORANさんは、楽曲に対してどういうアプローチでギターを入れていくんですか?
INORAN デモの段階でイマジネーションをかき立てられるような世界観が出来上がっているので、それをどうやって増幅、増強できるか、ですね。曲のなかに入り込んで、その役を演じるようなギターを意識しています。Hayamaくんが考える音楽は素晴らしいので、それを楽しみながらできるんですよ。
──「(On a) Night Like This」では、重層的でキラキラしたサウンドの曲でありつつ、間奏に歪んだギターが入っているのが面白いなと。
INORAN この間奏もそうだと思うけど、曲と出会った瞬間や、何かを思いついた瞬間の感覚を大事にしていますね。サウンドだけを聴くとすごく練って構築されてると思うけど、そういう直感的な感覚を忘れないようにさせてくれるのがTourbillonの世界で。遊び心というか、ピュアでいられるところはあります。
──あえてちょっと異物感を出してみたり?
INORAN そうですね。でも、昔よりは自然にできるようになりました。それこそ昔は、わざと逆にいったりしていたんですよ。対象物の前に鏡を置くようなイメージで考えていたけど、だんだん、鏡はどこにでもあるんだなということがわかってきて。鏡がなくたって、あなたの顔と向き合えばそこに映し出されるものがあると思うし、単純なカテゴリーで捉えることはなくなりました。たとえばAmazonでものを買うときに、家具とか電化製品で絞り込むんじゃなく、Amazonにあるすべてのものを楽しみながら、「今ほしいものはこれだね」と選ぶような感覚。時間を重ねるたびに、その選択肢は増えていると思います。
──Hayamaさんは、INORANさんのギターが入った音源を聴いてどう感じましたか。
H.Hayama まったく自分には想像できないものを弾いてくれるので、「なるほど、そうきたか! そういう入れ方があるんだ」と毎回びっくりしますね。RYUICHIさんの歌詞の話と同じで、僕からは絶対に出てこない発想なので。やっぱり天才と天才なんですよ。
INORAN またまたー!(笑)
──3人のかけ算で出来上がっていくんですね。そして、ラストの「All The Way」は、アルバムのなかでもスタンダードなロックで、温かみのある楽曲になっています。
H.Hayama 今後、Tourbillonがどういうかたちで、どういう場所でやっていくのか、たくさん可能性があるとしたら、どんな環境でもできる曲にしたいと思って作りました。ギターと歌だけでもできるし、3人だけでもできるし、逆にフルオーケストラでも、どんなシチュエーションでも再現できる曲。僕は日本人だからちょっと違うかもしれないけど、USで言うカントリーみたいなイメージだったかもしれないですね。
RYUICHI すごく温かくて、普遍性がある曲ですよね。だから、いつも一緒にいる人間の温もりを感じられるような歌詞を書きたいと思いました。3人でそういう絆についての話もしたし、ラブソングだけではないTourbillonの歌詞の世界を書いてみたかったんですよね。今までも決してラブソングだけではないんだけど、この曲は特に20年歩いてきてやっと生まれた楽曲なのかもしれない。
──「僕」ではなく「僕ら」と歌うのも印象的ですが、自然とそうなったんですか。
RYUICHI そうですね。どちらかというと、手紙を書くように作詞をしていったところがあると思います。
INORAN 歌詞にしても、ギターを弾くにしても、本当にパーソナルな気持ちーー俺がHayamaくんを好き、RYUちゃんを好き、みたいなリアルな感情を込めたほうが伝わるんですよね。若い頃はいろんな気持ちが上回っちゃうからさ、戦争のことも地球温暖化のことも、あの街のみんなのことも含めなきゃいけないと思ってしまっていた。もちろん今もそういう気持ちは持っているけど、もう少しパーソナルなことのほうが人の心を掴むものなのかなって。そういう意味では、さっきのRYUちゃんが話していた「In My Heart」のギャップの話もすごく素晴らしいと思った。考えてみたら、U2とかもそうじゃないですか。「With or Without You」なんて、あれだけ壮大な曲なのにパーソナルなことを歌ってる。OASISもそう。名バンドのヴォーカリストの歌詞はそういうものだし、自分のギターもそう考えてるなって腑に落ちました。
──ミュージックビデオも、3人だけのパーソナルな空間が切り取られていて素敵でした。久しぶりのミュージックビデオとしてカッコよくキメることもできたと思いますが、あの世界観が今のみなさんのモードなんだなと。
RYUICHI 本当にああいう場所があったらいいなと思いましたね。みんなで映画を観てもいいし、お酒を飲んでもいいし、誰かがソファで寝ちゃってもいい。隣にレコーディングスタジオがあるなら、ブラインドから差し込む朝日を感じて曲を書いたりね。そうやって、いろんなことがもっとリアルになると面白いんじゃないかなと、撮影中に思っていました。
──そして、今月末からツアーが始まります。どんなライブにしたいですか?
RYUICHI 今、世の中は波瀾万丈で、少し先の国を見たら戦争していたりするけど、音楽は大きな力を持ってると思うので。ライブの間はみんながイヤなこと全部忘れられるような、本当に楽しんでもらえる空間にできたらいいなと思います。
INORAN こうしてHayamaくんとRYUちゃんと一緒に取材を受けながら、改めてTourbillonの世界は僕らの人生のなかで必然だったんだなと思いました。20年前に出会って、20周年に新しい音を出せて、またこれから続いていってライブもあるーーそう考えると、フレームのないキャンバスみたいで素敵ですよね。名古屋・東京・大阪で、そのキャンバスにみんなでいろいろなものを描けるのがすごく楽しみです。
H.Hayama ライブ自体は2年ぶりですけど、新しいアルバムを持ってのライブは久しぶりです。新曲を楽しんでもらいつつ、20周年ということで、過去20年の軌跡も織り込んだライブになると思います。来てくださったみなさんに、「またもう1回観たいな」「次はいつなんだろう」と思ってもらえるようなステージにしたいと思っています。
INORAN さすがリーダー、素晴らしいシメです!
RYUICHI あははは!
H.Hayama またそういうことを……(笑)。
撮影 長谷英史
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ライター
後藤寛子
兵庫県神戸市出身。銀行員から『ROCKIN'ON JAPAN』編集部を経て、現在は音楽・エンタメ・サブカルチャー等なんでも書く雑食フリーライター兼編集。