韓国を拠点に各国でアートと音楽の領域を横断して活動を展開するFeeldog とJinwoon(2AM)が、東京のWALL_alternativeで日本国内初個展初個展「強迫観念 : ターニングポイント(강박 : 터닝포인트)」を開催する。2人の共作作品を含めた20点以上の新作や大型作品が展示される本イベントで、初日には2人によるDrawing performanceも実施された。
展示会初日、160人のファンが集まる中、Jinwoonがこの展示会のために作った音楽に合わせてFeeldogが絵を完成させるというリアルタイムのライブペインティングを、来場者は固唾を呑んで見守った。そんな中、2人は終始リラックスしたムードでFeeldogは自由にくるくると舞い踊りながら、Jinwoonはギターを弾きながらペンキを操り、およそ30分ほどで2人のコラボ作品が完成。青空に浮かぶ女神像と、天使が空から見守るような絵画が誕生した。
イベント直前、2人にはこの展示会に向けてインタビューを敢行。もともと高校以来の友人同士でもあったという彼らに、アーティストとしてのおたがいの魅力を存分に語ってもらった。なぜ2人が写真と絵画という表現を選び、一緒に作品づくりをするに至ったのか。K-POPアーティストにとどまらず、アートに真摯に向き合う姿勢とおたがいをリスペクトしている様子が伺えるインタビューとなった。
「僕自身が何かを作る時、ここにFeeldogのセンスが加わったらいいのにな、と思うようになった」(Jinwoon)
──日本で2人の展示会をすることになった経緯を教えてください。
Feeldog Jinwoonさんが今、写真作家として活動していて、僕も絵画の作家として活動をしていて、昨年10月には東京・天王洲運河一帯で開催された『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「NEW ERA」』という展示で2人で参加したんですよ。今回は、Jinwoonさんが誘ってくれて一緒に日本で展示会をしようということになり、僕も参加することになりました。
Jinwoon 僕たちのコラボはニューヨークが最初でした。韓国では僕たち2人とも芸能人として活動しているので、僕たちの作品を紹介したくて海外で展示をしたり、作品をお見せする機会が多いんです。なので、仕事で海外に行く時、滞在を伸ばして作品を作ったり、展示をしたりする機会をできるだけ設けようとしています。実は僕たちは高校生の時からの友人同士なんですけど、海外に出て展示会をしつつ、友人としての思い出も作れたらという希望もあって、こうして海外で積極的に展示会を行っています。
──高校からの友人であり、同じく芸能界で活動し、さらに今はアートの世界に足を踏み入れている仲間として、おたがいのことをどのように見ていますか?
Feeldog 僕はすべては繋がってると思うんですよね。演技をしているJinwoonも写真を撮っているJinwoonもあまり変わりはありません。Jinwoonは自分の思うように創作活動をしているし、俳優という仕事に対してもそうなので。でもたまに笑いが出る時があります。なぜかというと、高校生の時から知っている仲のいい友人だったのが、今では写真について真剣に語り、写真作家として活動しているから。僕も知らない写真にまつわる専門用語を交えて熱弁をふるっている時、今、目の前にいるのは僕の友人であるチョン・ジヌンではあるけれど、かっこいいなと思うし、おかしくもあり……。
Jinwoon 僕もそうだったよ。初めて展示を観に行った時、はじめは友人オ・グァンソクの作品を見に行ったつもりだったのに、彼が描いた絵を見た時にFeeldogとオ・グァンソクという人間の内面をこんなにもストレートに表現できるメディアがあるんだなと感じて、その時に彼の作品に一目惚れしたんです。それ以来、ただの友人ではなく、それ以上にリスペクトを持つようになりましたし、僕自身が何かを作る時、ここにFeeldogのセンスが加わったらいいのにな、と思うようになったんです。僕が彼の絵を見た時に感じる、エネルギーを感じさせるFeeldogの絵が僕の写真にプラスされたらいいなと思って、がんばって口説き落としました(笑)。
Feeldog ものすごく言われましたよ、「一緒にやろう」って(笑)。
Jinwoon でも最初の頃は呆れた感じで、頷いてくれなかったよね。
Feeldog 僕も誰かと一緒に新しいものを作る作業が好きなので、コラボしてももいいかなとは思ったんですけど、遊びでやりたくはなかったんですよね。でもJinwoonの作品を見たら本気で写真をやっているのが伝わってきて、一緒にやったら面白そうだなという情熱が湧いてきました。でもその代わり、僕とコラボするならその前に個展をやってみせろと言ったんです。趣味で写真をやるのではなく、本気でやれと。それができたら一緒にやると伝えたところ、ものすごく悩んでいましたね。個展を開くような作家になるというのは容易なことではないですから。たった1回、展示会をして終わりというわけにはいかないですし、その後も作家としての活動は続けていかなくちゃいけないので。でも彼はその決断をして、個展を開くと言ったので、僕も一緒にコラボすることにしました。
Jinwoon だからもしFeeldogに僕と一緒にやってもいいという気持ちが少しもなかったり、逆に気軽にコラボすると言ってくれていたら、おそらく展示会をすることはなかったと思いますし、少なくとも僕が写真作家として活動したり、展示会をする機会はかなり遅くなっていたのではないかと思います。もちろん、今回のような機会もなかったでしょうし……。
Feeldog その時、Jinwoonさんが写真を撮ることをもっと軽く考えていたり、ストレス解消くらいのつもりで写真を撮っていたとしたら、僕はこの道をすすめなかったと思います。でも、本当に真剣に写真をやっていたので、彼の才能が埋もれるのは惜しいなと思ったんですよ。彼が発散するエネルギーをたくさんの人に見てほしいと願うようになりました。もちろん、たくさんの作品を生み出す活動をしている方たちはたくさんいますし、みなさん素晴らしいですが、僕たちのように芸能活動をしている人がこういったアートという手段を用いて表現するということには、とても多くの意味が込められていると思うんです。ただいい写真、いい絵で終わるのではなく、その人の素顔だったり、その人が抱える内面を垣間見られる瞬間だとも思っていて、積極的にすすめました。
──展示会のタイトル「強迫観念 : ターニングポイント(강박 : 터닝포인트)」にはどういう意味が込められていますか?
Jinwoon 2人とも音楽からスタートしましたが、僕は演技と楽器演奏、そして写真の道を歩みはじめて、Feeldogは振り付けとダンスとパフォーマンス、そして絵の道を進んでいますよね。その中で、少しずつ“強迫”という感情が溜まっていき、現在の作品につながっているんだと思います。僕のスタイルはこうだ、僕は必ずこういうことをする人だ、こういうことをしてはいけない、そんな考えがいつも僕たちを縛り付け、身動きが取れないように仕向けてきました。もちろん、そういった“強迫”が僕たちを成長させてくれた一因ではあると思うのですが、それらが溜まりに溜まって今の僕たちになり、ある意味でターニングポイントになったのではないか、という意味が込められています。僕の場合、Feeldogと一緒に作品を作っていく過程で僕自身が撮る写真も変わりましたし、新しい挑戦をするようになりました。今回、展示されている新作以外にも、違うスタイルの写真にいろいろ挑戦しているんですが、それはすべて彼と交流しながら生まれたターニングポイントのおかげなのではないかと思い、この展示会のテーマにしてみました。
Feeldog 僕たちは性格があまりにも違うので、一緒にいる時にバランスを取ろうとして生じる“強迫”もあります。Jinwoonさんは規則性がある構図の写真を撮るのが好きだけど、僕は逆に規則性のある構図とかバランスを崩すのが好き。そんな2人だからこそ今のようなパフォーマンスや写真の上にペインティングするコラボが生まれたんだと思います。
Jinwoon 僕の写真の上にFeeldogが絵を描いたり、僕が作った音楽をベースにFeeldogが踊ったり、ただの写真や絵を展示するのではなく総合的で複合的なアートをパフォーマンスとしてお見せできるのが今回の展示会の特徴ですね。僕たちがパフォーマンスする時にかかる音楽はすべて僕が作っているんですよ。僕たちが一緒に作り上げる作品を思い浮かべながら曲を作っています。僕たちの展示会に合う音楽を 探すより、作った方が早いんじゃないかと思って(笑)。 僕が音楽を作り始めたのも、聴きたい曲がなくて自分で作り始めたのがきっかけだったんですよ。
Feeldog つまりこの展示会は、ただの写真作家と絵画作家のコラボ展という以上に、その作品の中には音楽があり、ダンスがあり、演奏があり……。とても立体的な展示会として作っていますし、そのように受け止めていただければ幸いです。僕たちもより立体的な展示ができるように、平面を越えて、どこから見ても僕たちのエネルギーを感じられるように、僕たち2人が出会った時のエネルギーをお届けしようと努力しているところです。生意気な言葉かもしれないですけど、この世界でこんなふうに立体的な展示会ができる人は、僕たち2人しかいないんじゃないかなと思いますし、それが究極的な目標でもあります。これからもその目標に向かって突き進んでいきたいとも思っています。
Jinwoon 僕が所属しているJYPエンターテインメントではアーティストという表現を使うんですよ。そこで僕が子どもの頃から習ったのは、ただ単に歌を歌ったりダンスを踊る人ではなく、常にアーティストでなければならないということでした。演技や音楽、ダンスやアートは表現方法は違うけれど、すべては1つのアートなんですよね。だからすべては1つに通じるんだと思っています。
「水色の車の絵はニューヨークで初めて2人でコラボした時に描いた作品で、印象に残っています」(Feeldog)
──お2人にとって絵とは、写真とはなんですか? なぜ絵、もしくは写真という表現手法を選んだのでしょう?
Feeldog 僕は元々、芸能の世界に入る前の中学生くらいから美術をやっていたんですが、芸能活動をはじめてからは絵をまったく描かなくなりました。でも結局、自分の感情を解消できる方法は絵を描くことしかなくて、それでまた絵を描き始めました。そうしてたくさんの作品が溜まった頃、周りの人が展示をしてみたらとすすめてくれたんですよ。そこから作家として活動をはじめました。
Jinwoon 僕は実は音楽ではなく、大学では映画演出で専攻したんですよ。俳優になりたくて、監督の視線を学びたくて映画演出を専攻したんですが、映画ポスターのような構図を考えたり、映画のとある一場面を演出するために短いシーンを撮影する機会が多かったんです。そういったことを経て写真を始めたので、僕は自分の作品を見た時、ストーリーが思い浮かべてほしいなと思って写真を撮っています。今は俳優としての仕事をしながら映画を観ることも多いですが、被写体になったことのある人として、僕がはたしてどんなストーリーを写真を通して見せることができるだろうか、ということをよく考えて撮影します。だから僕はファインダーを覗いた時、ストーリーが思い浮かばなかったら撮りません。時には僕が撮りたいと思う陽の光の量になるまで、同じ場所で数時間待つ時もあります(笑)。だから僕の写真を見た時、頭の中にとある1シーンが想像できるような写真であってほしいですね。
Feeldog 僕は絵を描く時、大それたことは考えてません。ただ、究極的には僕にとっての絵は希望なんですよね。だけど僕の絵が、見た人に大きな感動をもたらさなくてもいいから、少しでも響くものがあれば、とは思っています。いつも言っているのは、今日1日の疲れを癒やし、明日1日を歩けるような、それくらいのエネルギーを与える絵を描きたいということです。僕も絵を描いている時、その過程は大変だけど、描き終わったらその絵に励まされることが多いんですよ。僕はどんな感情も僕の絵を見た人に強要したくはないけれど、それでも少しでも希望を感じてもらえればうれしいですし、いいエネルギーをもらってほしいなと思います。
Jinwoon 僕もFeeldog同じ思いですね。僕の写真がみなさんの心を少しでも楽にすることができたらうれしいですし、僕の写真から想像されるものが美しい話の一場面であってほしいということをいつも願っています。
──写真家Jinwoonさんの撮影スタイルはどんなものですか?
Jinwoon 僕はスタジオで照明や小道具をセッティングをして、というスタイルではないですね。僕のは旅行が好きなので、旅行がてら写真を撮りに行くことが多いですね。撮影のために長期で海外に行くのは楽しそうと思われるかもしれないですけどけっこう大変で、カメラの機材は重いしフィルムも今はすごく高いので大変なんですよ(笑)。僕の作品はすべてフィルムで撮影していて、僕はフィルム特有の偶然性が好きなんです。もちろん、そういったラッキーは本当に稀でよくあることではないんですが、でもそういう偶発的なものが僕の作品にはあってほしいので、フィルムで撮るようにしています。なので旅行といっても完全に楽しむための旅行ではないんですよね。それに僕は仕事が好きなので、旅に出たらそこで展示をするために人に会ったりすることも多いです。今回、展示している作品もすべて海外で撮影したもので、メキシコやアメリカ、日本で撮影したものもありますね。
──今回、展示している作品の中で、特に気に入っている相手の作品はなんですか?
Jinwoon 僕はモノクロームで描かれたタンポポの種の作品ですね。タンポポの種っていろんな意味をはらんでいると思うんですよ。種そのものが始まりを意味していながら、運が悪ければ終わりにもなりかねないですよね。そしてすごく弱々しいのに、どこにでも咲くことができるという可能性を秘めている。僕は個人的にタンポポを描いた作品も好きなんですけど、この作品は個人的のもすごく欲しいと思っていて、実はほしいとお願いしたら「絶対にダメ」って断られました(笑)。
Feeldog Jinwoonにあげるなら僕の手元に置いておきます(笑)。でも、僕の思いに共感してくれる人たちが、僕の絵について自由に自分の考えを話してくれる今、この瞬間がとても幸せです。僕はJinwoonさんの今回の新作ですね。緑の壁の写真と赤い車の写真、それと四角い建物の写真がお気に入りです。彼の写真はもともとあまり色が強くはなかったんですけど、今回の新作は色がビビッドになって、それだけ、写真作家としての彼の思いや感性が前に出ていることだと思うんですね。色の強い写真からは発散されるエネルギーも濃くなるし、内面の自己が明確になったとも言えるかと。だから今回の作品の中でも色が際立つ写真を見ていると、力が湧いてくるような感じがします。
Jinwoon 僕は元々、落ち着いた色合いの写真が多かったんですよ。でもFeeldogと一緒に作業していくうちに、もっと勇気を出してもいいかなと思えるようになったんですよね。それでフィルムを変えてみたり、もっと強く色を引き出せるようにしてみたり……。構図に関しても、僕はもともと上下や左右のバランスを均等に取ろうとする強迫観念があるんですが、今回はFeeldogと話しながら感じたことを表現してみようと思って、できるだけ自分の中にあるバランスを崩してみようと試みました。
──先ほどJinwoonさんがタンポポの種を描いた作品がお気に入りだとお話していましたが、それ以外にもタンポポを描いた作品が多いですよね。
Feeldog 僕はもともとタンポポを描くことが好きなんですよ。タンポポはコンクリートにも花を咲かせるくらい生命力が強いですし、僕たちと似ているなと思って、タンポポを好んで描くことが多いです。水色の車の絵はニューヨークで初めて2人でコラボした時に描いた作品で、印象に残っていますね。
Jinwoon 車のボンネットが開いているのは、実はその中のバッテリーが取り出されているからで、車の犠牲を表現しています。そしてその犠牲の結果として、タンポポが花開いている絵が加えられています。この車は次の日にはトラックで運ばれていってしまいました。タイの田舎で撮影した写真で、この時はすごく暑かったんですが、この車バッテリーのおかげで一晩中、扇風機をつけて寝ることができたんですよ。そうやって寝た次の日の朝にこの写真を撮ったという、思い出のある1枚ですね。
「何かを作ってみたいという気持ちが少しでも生まれたらうれしい」(Feeldog)
──今回の展示会で注目してほしいポイントは?
Jinwoon 展示されている作品全部を覚えられなくてもいいので、この展示会の雰囲気をぜひ覚えていてほしいです。人でも初めて会った時の第一印象というものがありますよね。その時の印象がよければ後になってもいい思い出としてふと思い浮かぶことがあると思うのですが、僕たちの展示を見に来た時、最初の印象がよかったらいいなと思います。「すごくきれいだった」とか、「エネルギーが感じられた」とか、「気分がよかった」とか、そういういい印象が長く残ればいいなと思いますね。
Feeldog 僕は、ただ好きに見てほしいです(笑)。僕たちの展示会は、いつも準備する過程がすごく面白いんです。もちろん、それぞれ大変なこともありますが、2人で作業する過程そのものがとても面白いんですよね。だからこういう作品が生まれるんだと思うし、こういうパフォーマンスが生まれるんだと思うし……。だからといって楽しむことを強要することはできませんが、ただ、僕たちが楽しく準備した過程と、その楽しさを表現した作品やパフォーマンスが、見る方にとって心の火種になったらうれしいです。どんなことでもいいから、自分も何かをやってみたい、作ってみたいという気持ちが少しでも生まれたらうれしいですし、僕はそれが勇気であり、希望だと思っています。絵や写真やダンスや音楽じゃなくても、ただ僕たちの作品を見ながら、以前にやりたいと思ったことを思い浮かべてもらえたらうれしいです。
Jinwoon 実は僕のファンの中でも1人、プロのカメラマンとして活動を始めた方がいるんですよ。その方はフランスで写真の勉強をしていたんですが、コロナ禍のために韓国に戻っていたところ、僕の挑戦を見て、もう一度やってみようと思ったそうなんです。その方は僕よりずっと写真について勉強をしてきた方なので、僕の写真よりはるかにいい作品を撮る方なんですけど(笑)。でも僕の展示を見て勇気をもらったと言ってくれて、うれしいですよね。
──写真と絵を組み合わせて新しい作品を作るコラボの過程について教えてください。
Feeldog まずはJinwoonさんが、自分が撮った写真の中からいくつか選んで送ってくれます。その写真を見て、アイデアが浮かんだらそこに絵を加える作業をします。
Jinwoon 僕はFeeldogのスタイルをよく知っているので、それをもとに写真を送るようにしています。送る前に、僕の写真にFeeldogの絵が加わったイメージを頭の中に描いてみるんですが、でも、彼はいつも僕の考えよりさらにいいものを作り上げてくれるんですよね。
──写真を送る時、「こんな絵を描いてほしい」というような要望は伝えないんですね。
Jinwoon 最初の頃は絶対に言わないようにしていましたね。でも最近は、たとえばお酒を飲みながら、「こんな風にしたら面白いんじゃない?」というアイデアをそれとなく伝えたりはしています(笑)。でもFeeldogは「そうだね、アイデア自体はよかった」と言って、いつも僕の想像以上の作品に仕上げてくれるんですよ。
Feeldog Jinwoonはアイデアはすごくいいんですよ。僕はちょっと頑固なところがあるんですけど、Jinwoonにとって絵は新鮮だからか発想が自由なんですよね。だから彼のアイデアに触れて、僕は知らぬまに考えの幅が狭まっていたんだなと感じることも多いです。そういった斬新なアイデアは、実現不可能なわけではなく、僕に勇気がなくてできなかったんだなと思えることも多くて……。だからたまに、知らないということは強みにもなり得るんだな思いますね。
Jinwoon 僕は絵に関する知識がないから、何でも言ってみてるだけなんですけどね(笑)。
Feeldog そうそう。逆に僕は写真のことをよく知らないから、「こうやって撮ればいいんじゃない?」と言ったことがJinwoonには新鮮だったりするんですよ。
Jinwoon 昨日も一緒に歩いていたら、「この景色がすごくいい」ってFeeldogが言うんですよ。2人とも同じ景色を見ているはずなのに、Feeldogが教えてくれたその景色が本当に美しかったんですよ。それで僕もカメラを取り出して、すごくいい写真が撮れました。こんな風に、おたがいに影響をたくさん受けています。
Feeldog ずっと一緒に作業していたから、一人でいる時にも「この場所をJinwoonが撮ったら素敵なのに」と思うことがあるんですよ。恋人でもあるまいし、どこかに行ったらJinwoonのことを思い浮かべてしまうんですよね。
Jinwoon だから僕たちは恋愛ができないんだよ!(笑)
Feeldog 1人でおいしいものを食べていても、Jinwoonと一緒に食べたらもっとおいしいのになと思ったり……。今、僕の人生にとってかなり多くの部分をJinwoonが占めていると思うと、あまり気分はよくないですね(笑)。
Jinwoon 僕も海外で写真を撮っていると、Feeldogもここに来て1~2週間くらい一緒に過ごしておいしいものを食べたらいいのに、これで絵を描いたらいいのに、と思ったりしますね。
──2人で一緒に創作旅行に出かけたりはしないんですか?
Jinwoon それでこうやって海外で展示会をしているわけですよ(笑)。
Feeldog Jinwoonさんのおかげですね。
──最後に、2人のこれからの野望は?
Jinwoon 世界をまわりながら展示をすることが僕の目標であり野望なので、できる限りやっていきたいですね。僕は挑戦というものを怖がるタイプではなくて、ニューヨークで初めて展示をした時もチェルシーにあるギャラリーに直接出向いて交渉して、拒否されることもありつつ展示会を実現したんです。挑戦すればなんでもできると思っているので、1歳でも若い時によりたくさんのことに挑戦したいですし、より多くのファンに出会って、たくさんの思い出を作りたいですね。
Feeldog Jinwoonがそう言うなら、僕はとことん付き合うだけです。僕は絵を描く人なので、どこかに出向いてということができないんですよね。自分のアトリエで絵を描くタイプなので。でもJinwoonのおかげでこうして海外でも展示会をすることができて、たくさんの方に僕の作品を知ってもらうこともできるので、ありがたいですよね。Jinwoonは、僕にはない習性というか、外に出かけたがるタイプの人間なんですが、僕自身は家にこもってばかりいるタイプなので、学ぶことが多いんです。「いつも家で絵を描いてばかりいないでたまには外に出てきなよ」と言って外に連れ出されることが多いですし、Jinwoonのおかげでこういう機会にも恵まれましたし……。なので、僕は自分の仕事を一生懸命やりつつ、Jinwoonの言うことをよく聞くようにしようと思っています。
Jinwoon そういう言葉は普通、恋人に言うんじゃない?(笑) でもどこかに一緒に出かけて同じものを見て、感じることで生まれるものもあるだろうし、いつかは一緒に作品を作るために出かけたいね。
Feeldog じゃあ、いつかはやってみようかな。
Jinwoon 僕たちの作品を知ってくれる人が増えれば、いつかはそんな機会も訪れると思うんですよね。僕たちは記録を残すことが好きなので、今までにも映像をたくさん残しているんですよ。そういうものが積み重なって、いつかまた新たな出会いがあると期待しています。
撮影 長谷英史
「強迫観念 : ターニングポイント(강박 : 터닝포인트)」
会期:2025年1月15日(水)-2月8日(土)
※日曜定休
時間:18:00-24:00
入場:無料・予約不要 ※15日と18日のみ事前申し込みが必要です。
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
https://avex.jp/wall/exhibition/452/
日本初個展開催を記念して、会場内ではFeeldog&Jinwoonとのコラボレーションドリンクを数量限定で販売
1月18日(土) トークセッション・ガイドツアー・Drawing performance
トークセッションでは、本展示のコンセプトやこれまでの活動を深掘りするとともに、ガイドツアーでは新作を中心とした展示作品について解説します。
<トークセッション>
時間:16:30-17:30(16:00受付開始予定)
出演:Feeldog&Jinwoon/MC
<ガイドツアー>
時間:17:45-18:15
出演:Feeldog&Jinwoon
時間:18:30-
出演:Feeldog&Jinwoon
■入場方法
入場:無料・事前申込制(ワンドリンク制)
ライター
尹秀姫(ゆんすひ)
出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライター。たまに韓国語の通訳・翻訳も。K-POPを中心にさまざまなアーティスト・俳優にインタビューしています。