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【平 美乃理】初めて「これから役者を10年20年とずっと続けていきたいな」って思えた。【映画『太陽がしょっぱい』】

平 美乃理

【平 美乃理】初めて「これから役者を10年20年とずっと続けていきたいな」って思えた。【映画『太陽がしょっぱい』】

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モデルから出発して、テレビドラマ、舞台と、着実にキャリアの幅を広げている平 美乃理さん。そんな彼女が初出演する映画『太陽がしょっぱい』が、11月16日より公開されます。「整形」や「ルッキズム」をテーマにしたストーリーの中で、平さんが演じる役柄とは? またこの役を通して、彼女が感じたこととは? 映画の見どころも含めて、いろいろと伺いました!

「明るくてあっけらかんとした美人」……キララは自分に似ている? 似ていない?

──今回演じられている「彦坂キララ」は、主人公・「河合美波」の友人という立ち位置ですね。この役柄について、最初はどう感じましたか?

 物語の主人公、重松りささん演じる美波は、キララに対して「羨ましいな」とかそういう思いがあって、自分も可愛くなりたい、整形したいとか、けっこう重たい考え方を持っています。それに対してキララは「いや、美波は美波のままでいいよ」みたいな感じで、軽くてあっけらかんとした感じの役だなと。だから主人公の美波につられて重たくなりすぎないように演じようと、最初に思いました。

──確かにあっけらかんとしたキャラクターですが、裏読みしようと思えばいろいろ勘繰れるキャラクターかなとも思うんですが……。

 私も、設定的に台本には書かれてない部分が気になって監督に聞いたんです。そしたら「いや、そこまで深く考えなくていいから。美波に対して、キララは学校でも人気者で美少女で元気な感じで、美波から相談されたことに対してもそこまで重たく考えてないようなキャラクターだから、本当に重く考えすぎなくていいよ」って言われたので、自分でもそうならないように気をつけました。

──重く考えすぎるところでした(笑)。

 だから、“ゆる重コメディ”なこの映画の重い部分は美波で、軽い部分はキララが担ってるというか、そういう部分もあるのかなと思いました。

──あっけらかんとして楽しそうで、いい役だなあと思いながら見ていたんですが、ラストでよーく見ると……というシーンがありますね。

 詳しくは見て確認していただきたいんですけど、あれもキララは、本当に何も考えずに軽い気持ちでということだと思うんです。実際、撮影した最後のカットがあの場面で、私もちょっとビックリしました(笑)。

──そんなキララですが、自分と照らし合わせるとどうですか?

 自分と照らし合わせると……あそこまで何も考えてなかったり、「学校で一番の美女」とかって思ったことはなくて(笑)、私も美波みたいに、見た目に悩んでいた時期もありましたし。でも、キララのちょっとユルい感じは自分の中にあるのかなとは思うんですけど、似てはいないかなと思います。


──では、共感はそんなにできる人物ではない?

 共感はそんなにはないんですけど、でもキララの役作りをしっかりやったという感じではなくて、「そのままの自分でもいいよ」って監督にも言われたし、自分もそうしようと思っていたので……だから、似てるとも似てないとも、どっちとも言えないです。どっちでもある感じというか。

──今作もそうですし、これまでのドラマや今年の「ACTORS STAND」の舞台も含め、女子高生役が多いですよね。

 そうですね。何でなんでしょう?(笑) ほとんど全部制服なんです。MBSドラマ特区『彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる』(2024年)は大学生でしたけど。「制服が似合う」とはよく言われますし、雰囲気的にはカッコよくてクールで、大人っぽいイメージもあるけど、「けっこうナチュラルな感じも似合う」って言われるので、だからかな~?みたいな(笑)。

──今20歳ということで、制服を着て女子高生役というのも楽しくやれている感じですね。

 そうですね。楽しいですし、まだまだ制服いっぱい着たいなって思ってます(笑)。

──自分の高校生時代は、キララみたいな感じでしたか?

 いやあ、全然(笑)。でも今回の映画で、美波と昔から仲がいい友達というところと、田舎の町の学校というところは、自分の高校の時とすごく環境が似てるなって思ってて。私も幼稚園から高校までずっと一緒だった友達も多いので、そこに関してはすごくやりやすかったです。

──中学時代の同級生だった「花怜ちゃん」が、東京に行ってだいぶイメージが変わって……という点も、ストーリーの中で重要な要素ですが、高校時代、東京に対して持っていた気持ちも同じような感じでしたか?

 確かに東京に対しては、すごくキラキラしてて、先に進んでるようなイメージがありました。でも、私が高校の時も、整形とか見た目に対することに対して、みんなけっこう受け入れてるというか……整形することが別に特別なことじゃなくて、二重にする埋没手術とか当たり前にやってる子がけっこういたんです。私たちの時代は、けっこう身近でしたね。

──高校時代って、3~4年前ですよね。確かに世の中はかなり寛容になってきていますね。

 韓国アイドルとかもすごく流行っていて、好きな子がいたから、TikTokとかSNSとかを見て、「こうなりたい」とか、「これぐらいかわいくなきゃいけない」という考えがすごくあって。今回の『太陽がしょっぱい』は、そういうルッキズムにとらわれないように、「自分はありのままの姿でいいんだよ」っていうことを優しく教えてくれるような映画だと思うので、整形に対する考え方も以前と比べると少しずつ変わっていってるのかなって思います。

──「え、この人が?」という人が整形しますしね(笑)。

 あれ、面白いですよね! 私、あの場面で笑っちゃいました(笑)。あれは東京でのシーンなんですけど、私の出演は地元の場面だけで、そのシーンは撮影の時に見たことなくて、完成版で初めて見たんです。その部分もすごく面白いシーンばっかりで、重たくなりすぎず、いい具合のユルさと重さが掛け合わさっていて、全体にとても面白いなと思いました。

「初の映画撮影は、直前の初ドラマの経験を生かすことができました!」

──地元の場面は愛知県豊橋市が舞台になっていましたが、ロケはほとんど豊橋だったんですか?

 そうですね、私の撮影は全部豊橋でした。2週間ぐらいでした。

──駅周辺の街並みと、学校や家の周りののどかな風景のギャップが、まさに「地方都市」という感じでしたね。

 私の地元、岡山もそんな感じなんです。岡山市の方に行けばけっこう栄えてるんですけど、ちょっと自分の地元の日生(ひなせ)とかに行くと、もう海と山、森、みたいな感じで(笑)。豊橋で撮影した場所も、学校の周りは山が多くて、海に行って浜辺で撮影したシーンもあって、少し車で行くとすごくキレイな海も広がっていて、素敵な場所でした。

──そもそも映画出演自体、今回が初めてですよね。これまでテレビドラマがあって舞台があって、という感じですが、映画の撮影はまた違いますよね。

 やっぱり違います。この『太陽がしょっぱい』の撮影をしたのは去年の8月頃なんですけど、初めてドラマ撮影をした次の月だったんです。

──ああ、そうか。映画は撮影から完成までに時間がかかるから、そういうタイミングだったんですね。

 だから、よりギャップを感じました。ドラマ撮影で「あ、ドラマってこんな感じなんだ!」っていうのを経験した後、すぐに映画の撮影だったので、「またすごく違うな」と思って。

──一番違いを感じたのは、どういうところでしたか?

平 映画は、「チーム一体」な感じで、ゆったりと、時間にとらわれずに撮影してる感じだったので、けっこう落ち着いてやれていました。でもドラマは、初めての撮影だったこともあって、すごく不安で、ガチガチに緊張していました。もともと緊張しやすいんですけど、あの時にメチャクチャ緊張していたのをすごく後悔していて。だから、次の映画の撮影は絶対緊張しないように、万全の準備でいこうと思って臨んだので、よりリラックスしてできたのかなというのはあります。

──ドラマは後悔することになったかもですけど、映画で考えると、前にドラマがあったことがよかったわけですね。

 はい、私が初めてのドラマ出演ということを監督が知ってくれていて、アドバイスとかをすごくくださったので、そこですごく勉強になりました。それが、今回の映画でもすぐに生かすことができたと思います。

──ドラマでの経験が映画撮影に生きた部分というと?

 まず、もう緊張しないように、とにかくセリフをひたすら覚えて、自然に出るようにしたことと、あとはカメラを意識しすぎないようにしたところです(笑)。あとは、現場の人たちとたくさんお話しして、リラックスできるような状態にするっていうことです。

──劇中でも一番絡みが多かったのは、重松りささんですよね。

 そうですね。ただ学校での撮影がけっこうあったので、重松さんと、重松さんの彼氏「石川晴人」役の斉藤天鼓さん、それと私の彼氏「夏目龍星」役の松尾潤さんの4人で移動することが多かったです。ですが、基本は重松さんと一緒にいました。物語的には、斉藤さんと重松さんの絡みはけっこう気まずい感じだったのですが、撮影以外では全然そんなことなくて、みんなで仲良く、楽しくできました。本当に学校みたいな感じで、青春でした。

──美波と彼氏のコンビと比べたら、キララとはその彼氏のコンビも、あっけらかんとした感じでしたよね。

 美波と晴人のことを、キララと龍星がよく分かんないけど応援してるみたいな感じも面白かったです。美波に晴人が告白するシーンでも、キララと龍星で後ろの方で「頑張れ!」みたいな感じでコソコソ応援してるのも、実際やっていて面白かったです。

全世代に刺さる作品だと思うので、たくさんの人に見てほしい!

──2週間のロケ中に、何かエピソードはありましたか?

 美波が整形資金を稼ぐためにバイトをするキッチンカーのシーンで、ちくわパンが出てくるんですけど、撮影の空き時間には実際にちくわパンをいっぱい食べてました(笑)。

──ストーリー上でもきっかけになるちくわパンを!(笑)

 美波が「キララは美人だから、ちくわパンを何個か得できるのに」って言ってました。私は、整形したらそんな感じで得できるっていう考え方を持ってるんだなって、不思議に思ってました。

──しかしお聞きしていると、撮影は楽しかったみたいですね。

平 はい、本当に楽しかったです。もう楽しいことしかなくて。ドラマの撮影をした時は、「向いてないかも……」とか思っちゃってたんですけど、映画の撮影では初めて「これから役者を10年20年とずっと続けていきたいな」って思えたんです。だからすごくいい経験でした。

──これまでの経験としてはドラマ、映画ときて、またドラマが何本かありましたが、その後に今年、「ACTORS STAND」の舞台では初主演でしたよね。ドラマや映画の経験が、舞台に生きた部分は?

 台本には物語が全部文章で書かれていて、その文章を読む力っていうのもちょっとついたし、その人物について、台本に書かれていないことまで想像して、常に考えるということは、自然とやってました。舞台もまた初めてだったので、またドラマとも映画とも全く違っていて、悩むことも多くて。でもその初めての経験で、また舞台に生かせたことはいっぱいありました。

──その意味では、いい流れの経験を積めていますよね。

 そうですね。この1年はけっこう経験が多かったというか、学ぶことが今まで以上に多かったなって、すごく思います。

──完成版を見て、どう感じましたか?

 整形というテーマだったから、私も最初はすごく重たい映画なのかなって思って見たんですけど、ちょっとクスッと笑えるような部分があったり、家族の温かみとか、友達の良さを感じられるところがあったりして、また美波が悩んでいるように、自分の中で誰にも言えない悩みを持ってるけど、それを抱えて一歩ずつ一歩ずつ進んでいくっていうか、ありのままの自分の姿で進んでいくことが大事だよっていうことを、優しく伝えてくれた映画だなというのは、すごく思いました。

──なるほど。そういえば、映画の一番最初、キララの声で始まりますよね。そこはどうでしたか?

 台本を見た時にも思ったんですけど、私の「お待たせ!」から映画が始まると思って、すごくビックリしましたし、自分でもシンプルにうれしかったです。実際、そのシーンは本当に一番最初に撮ったので、本当にシンプルにうれしいです(笑)。

──撮影の順番って、けっこうストーリーに沿ってたんですね。

 沿ってました。もっとバラバラでやるのかなって思ってたんですけど、ちゃんと終わりに向かって順番に撮ってた感じで。私は学校のシーンしか見てなかったんですけど、完成版で東京のシーンを見ると、また違う雰囲気ですごくいいなって思いました。

──さて、この作品が11月半ばに公開されて、今年は経験が積めた1年だというお話でしたが、来年はどうしたいですか?

 この先は、今年積んだ経験を、決して一つもムダにすることがないように、ちゃんとお芝居も勉強して、いろんなところに思いを込めて努力していきたいです。あとは俳優業とモデル業と、絵、アートの部分も合わせて、それぞれが劣ることなく、どれも極めていけたらいいなと思っています。だから俳優は俳優で、まだまだ経験が浅いのでいろんな役をやって、映画とかドラマってこの先ずっと残っていくものだから、一つの作品で誰かの心をちゃんと動かせるような俳優さんになりたいです。モデルはモデルでまた目標があって、ファッションショーにたくさん出たいです。ファッションショーを経験してみて、生身のお客さんが目の前にいて、すごくキラキラした、憧れるような目で見てくれるのがすごくうれしいんです。私も誰かの憧れになれるようなモデルさんになるっていう目標が、まず1つあって。アートの部門では、今年は『プレバト!!』にもたくさん出させてもらって「名人初段」まで昇格することができました。そこでたくさんの人に私の絵を見ていただけたと思います。でもまだ「この絵が平 美乃理の絵だ」」って、誰が見ても分かるような絵がまだ見つかってないので、来年はそこを見つけつつ、たくさん絵を描いて、ゆくゆくは個展を開けたらいいなと思っています。『プレバト!!』でもさらに上を狙っていけるようにっていうのも合わせて、これで全部です(笑)。

──いつも言っている「三本柱」ですね。

 はい。そこはもうずっと変わらないかもしれないです。

──では最後に『太陽がしょっぱい』の、こういうところを見てほしいというところをお願いします。


 この作品はルッキズムががテーマになっているので、たぶんどの世代の方にも刺さると思いますが、特に高校生とか私たちのZ世代の子たちは、SNSとかTikTokに結構影響されやすいと思っています。そこで「こうならなきゃいけない」っていうルッキズムの考え方にとらわれずに、ありのままの自分を受け入れて、「自分ってこういういいところがあるんだ」というのを見つけて、美波みたいに一歩一歩進んでいくことが大事なんだよっていうのを伝えてくれるような映画だと思うので、たくさんの方に見てほしいです。美波の家族も、昭和・平成・令和という感じで世代が揃っているので、お母さん世代とかおばあちゃん世代にもすごく刺さるんじゃないかなって思いました。また学生は学生で、私たちの高校生時代、美波の高校生の時の姿を見て、共感できる部分があるんじゃないかなって思うので、本当にたくさんの方に見てほしいです。

撮影 長谷英史

映画『太陽がしょっぱい』
1/16(土) 新宿 ケイズシネマ 2週間限定公開決定 全国順次公開予定
https://www.ks-cinema.com/movie/taiyoushoppai/

映画『太陽がしょっぱい』X
https://mobile.x.com/taiyofilm1116

映画『太陽がしょっぱい』Instadram
https://www.instagram.com/filmtaiyo1116

長編映画『太陽がしょっぱい』公開応援プロジェクト
https://motion-gallery.net/projects/taiyosyoppai-film



【平 美乃理 WEBSITE】
https://avex-management.jp/artists/model/tairaminori

【平 美乃理 Instagram】
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【平 美乃理 TikTok】
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【平 美乃理 X】
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記事情報

高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。