「エンタメ業界で働きたい」という人々のために、エイベックス・グループが展開する「エイベックス・エンタテインメントビジネスマスター(EB)」は、音楽やライヴ、映画、アニメといったエンタメ業界で活躍するために必要なビジネススキルを1年間の講義と実践的なインターン活動を通じて学べるエンタテインメントビジネススクール。大学でも専門学校でもない、「好きを仕事にしたい」を叶える場として2001年に開講し、これまでに2,000名以上の卒業生を輩出。 業界未経験だった受講生たちが、卒業後にエンタテインメント業界の第一線で活躍しています。
エンタメ業界の最前線で活躍するプロフェショナルによる実践的な講義と、インターンシップをはじめとした実践を伴う活動の経験が、受講生たちを大きな成長に導きます。
今回はEBから実際にエイベックス・グループの社員となって働いている方々に、EBの特徴や利点、経験談を伺いました。エンタメ業界に飛び込みたい人、集まれ!
CADオペレーター、厨房機器メーカーのサービスマンからの転職!
──まずはお名前と肩書きをお願いします。
森 エイベックス・エンタテインメント株式会社 事業開発グループ 事業開発
ユニットのチーフプロデューサー、森 一徳です。
松岡 エイベックス・アライアンス&パートナーズ株式会社の第1アライアンス営業グループ第1アライアンス営業ユニットの松岡華子です。
榮野川 エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ株式会社クリエイターズグループ レコーディング・コーディネーター・ユニットの榮野川尚子(えのかわ・しょうこ)です。
──松岡さんと榮野川さんは、エイベックス・エンタテインメントビジネスマスター(以下、EB)を受講した上で、エイベックス・グループの会社に中途入社されたということですね。それぞれ前職と、エンターテインメント業界への志望動機を教えていただけますか?
松岡 私は前職でCADオペレーターとして図面を描いていたんですが、心身的な負荷が大きくなっていったのがきっかけで働き方を変えました。アウトソーシングの会社に務めていた関係で、派遣元に移って契約書をチェックする仕事を主にやっていました。ただ、日々に刺激がなくて、自分的には成長できないところが気になって、転職を考え始めました。その時に自分の好きだったものを考えたら、昔から仮面ライダーが好きだなと。
──仮面ライダー!
松岡 はい。小さい頃に仮面ライダーが好きで、いつか誰かにとっての仮面ライダーになれたらって思った時に、メンタルヘルス的なことが気になったんです。自分にとっては音楽がメンタルヘルスだった事と、常に生活の中に音楽があった事がきっかけで、音楽業界を選びました。ただ、「何ができるのか」とか「何がしたいのか」というのが明確に分からなかったので、どこかで学ぶ機会が欲しいと思って調べたところ、このEBというところが出てきて。調べていくうちに、エイベックスという会社そのものが面白くて、音楽だけではなくていろんな方向性で展開していくところが、よりたくさんの人に様々なエンタメを届けられる可能性に繋がっていたり、部署内で異動がしやすいような環境だったり、風通しのいい会社が素敵だなと思って、エイベックスに入る目的でEBでより学んだという感じです。
──救いだった「音楽」というのも、やはり仮面ライダー関連ですか?
松岡 いえ、学生の頃に色々悩んでいた時期があって、ドラマのサウンドトラックに助けられました。父が昔バンドをやっていたこともあり家には楽器やレコード・CDがたくさんあって、家族で麻雀をやってる時も、ドライブする時にも常に音楽が流れていたりして、身近にずっと音楽があったんです。自分の人生と音楽はどうしても切り離せないものです。
──びっくりエピソードが次々に出てきますね(笑)。
松岡 よく「変」とは言われるかもしれないです。やりたいことがあるうちが一番旬だと思って、思い立ったら動くようにしています。高校は料理が好きだったことがきっかけで野菜や果物を自分で作りたくて農芸高校に行きました。専門学校では建築を学びました。ティム・バートンの世界観が好きで、「日本にああいう建築あったら楽しくね?」って思って建築を勉強しました。就職のタイミングで自分が好きなCGか図面か迷って、面接のときに「ここで働くと神社の図面が書けるかもしれないよ」という言葉に惹かれて図面書きになりました。エイベックスに転職するって考えた時も、自分がCADオペレーターという肩書きしかないと、強味がないと思ったので、資格で学んだことも強味になるよねって思いで、チョコレート検定の資格と照明コンサルタントの資格を取りました。
榮野川 私は前職で業務用厨房機器メーカーのサービスエンジニアとして定期点検、故障診断、修理などを行っていました。4年程働いて行く中で、私も心身的負担が大きくなってきていたことと、女性サービスとして今後仕事を続けて行く上での不安などがあり転職を考えるようになっていました。そんな時あるミュージカルを見る機会があり観劇したのですが、すごい衝撃を受けたんです。観ている間中「何で自分はずっと観客側にいるのかな」、「私も絶対、作る側に行きたい」とずっと思ってたんですよ。見終わった時にはもう「絶対転職して私も作る側に行く」と思って、そこでスパッと転職を決めて半年後に仕事を辞めました。
──スパッと。
榮野川 その時に音楽に一番助けられてたのもあって、音楽方面に行きたいなと。いろいろと転職先を探してたんですけど、これまで音楽に関して何もしてなかったので、すぐに音楽業界に転職というのも難しいんだなと感じたんです。エイベックスに興味があって、エイベックスのサイトとかもいろいろ見ていたら、「先輩社員の声」みたいな記事を見つけて、その中で、銀行員からEBに通って音楽業界に転職したという方がいて、こういう手もあるのかと思って。音楽業界にはどんな仕事があって、何が自分のやりたい仕事なのか、自分のできる仕事なのかが分からない状態だったので、EBに入って学んで、自分の夢をちゃんと決めて、音楽業界への道が作れたらいいなと思って入学を決めました。
──差し支えなければ、救われたという音楽の中身は?
榮野川 一番はアイドルですね。前の仕事がサービスエンジニアで男性中心の職種だったから、女性だといろいろ言われることとかナメられることが多くて、そこでポキッと心が折れた時期もあったんですね。その時にちょうどアイドルに出会って元気をもらって、音楽を聴いていると今日も一日頑張ろうと思えたんです。そこから他の音楽も聴くようになって、応援する系の歌詞にすごく救われていました。
──エイベックスもアイドル多いですからね(笑)。
榮野川 きっかけになったミュージカルも、人生で初めてのミュージカルだったこともあって、生の人たちが目の前でその瞬間の自分をさらけ出して演じている空間にものすごい衝撃を受けて。こういう世界で、見る側じゃなくてやっぱり裏方に行きたいなと思ったのがきっかけでした。
──では、EBに出会った時に、「エイベックスだからちょうどいい」みたいなところもあったんですか?
榮野川 そうですね。最初に転職したいと思ったのがエイベックスだったので、その時にエイベックスが運営しているEBを見つけて「ここに入りたい!」って思いました。
入学して3ヵ月でインターン開始、そこから社員契約へ
──そうやってEBに辿り着いたお2人と、森さんの関わりというのは?
森 僕は入社以来ずっとEBを担当しているのですが、役割的には担任の先生という感じです。2人は同じ時期に入学してきて、まさに就職する前にもいろいろ相談に乗ったりとか、ある意味就職のサポートをやるのが主な業務なので。今回の座談会で2人に声をかけたのは、入学したその日ぐらいから友達になっていたというか、仲がよかった印象がすごくあって。その同期で入ってきた2人が、本当に2人ともそれぞれエイベックスに就職を決めたので、今回はぜひ2人の話を聞きたかったんです。
──森さんの全体的な業務内容を、もう少し詳しくご説明いただけますか?
森 このエイベックス・エンタテインメントビジネスマスターの運営全般を管理・担当しています。エイベックスをはじめエンタメ業界で仕事をしたい、エンタメ好きから入って自分で仕事としてやりたいという方向けの育成・教育プログラムの運営と、就職サポートというのが役割です。
──講師役でもあるんですか?
森 講師は各部門の社員がやっていて、僕は彼らをアサインしてカリキュラムを組み立てる方ですね。自分が話すこともありますけど、講師というわけではないです。
──森さんのように受講生のサポート役の方というのは、何人ぐらいいらっしゃるんですか?
森 現状、業務委託を含めて4人です。受講生は4月と10月に入ってきて、それぞれ1年間のコースです。一時期に在籍しているのはだいたい100人超、それが半年ごとに新しく入ってくる感じです。
──その人数を4人で対応というのは、けっこう大変なのでは?
森 1人1人のサポートも行いますので、それなりには時間も必要ですが、夢を叶えるサポートを担っていますので、とてもやりがいを感じています。
──松岡さんも榮野川さんも、入学前は全く違う職種にいたわけですが、音楽業界、エンタメ業界に対してはどういうイメージを持っていましたか?
松岡 夢はそこまで抱いてなかったです。「現実は甘くない」というのを前職で理解してるので、1%の輝きのために、99%の努力部分がある、みたいなところは承知していて、そこに対して「うわ、思ったよりつらかったからやめよう」みたいなことにはならなかったし、キラキラしただけの業界を期待して入るところではないかなと個人的には思っていました。何か素敵なものを作り上げたり、うまくいかなかったとしてもそこから得られる何かみたいなところが大事だと思っていました。
榮野川 私は正直、キラキラしたイメージもあったんですけど、マネージャーとかをイメージすると、すごく忙しそうだし、人間関係とか複雑そうだし、自分の時間もなくなるんだろうなという感じで想像はしていました。でも、好きなことに関わるんだったら頑張れるかなと思って。前職は自分の好きを仕事にできたわけではなかったんですが、それでもつらくても頑張ってこれたので、好きなことにかかわれる仕事ならつらくても、絶対頑張っていけると思って決めました。
森 この2人はこんな感じですけど、学生はもっと夢を持ってる感じの子も多いですね。「就活時期が迫ってきた、どうしよう」という時に、音楽が好きで、エンタメ関連で仕事がしたいなという感じで。例えば「マネージャーがやりたい」とか、そこまで明確なものはないんだけど、でもどんなものなのか知りたいという方がわりと多いです。そこで入って学びながら、方向性を見定めていくという方が多いので、憧れの要素が強い方もいます。でもエンタメに対する思いはあった方がいいので、そういうところを僕たちが何か形にするというか、いろんな機会を提示しながら、その人たちがそれぞれ見つけてもらえるといいのかなという感じですね。
──「キラキラしたイメージを持ってるかもしれないけど、現実はそうじゃないんだぞ」と叩き込むばかりではないと。
森 講義としては「そうじゃないんだぞ」というメッセージも伝えていきます。実際、光を浴びるのは1%しかなくて、その裏側の努力がどれだけ大変か、みたいなことはちゃんと知らないといけないですし、マインドとして教育しなければいけないですから。現実を知ることはもちろん大事で、ブラックな側面を見せるわけじゃないんですけど、それでもやっぱりやりたいという子たちが、この2人みたいに就職を勝ち取ってるというところもありますからね。
──実際に入って受講し始めてから思ったこと、感じたことというのは?
松岡 興味ある分野を学ばせてもらっているので、正直、何を聞いても面白かったですし、榮野川さんとはよく、講義終わりとか講義が休みの時間に講師のところに行って、「我々、何でもやるので、仕事させてください!」って売り込みに行ってました。
榮野川 名前を売りに(笑)。
森 2人一緒に、よく行ってたよね(笑)。それはけっこう印象深いな。
──そこから何か仕事につながったことは?
榮野川 「じゃあこれやってみる?」みたいなことにはならなかったですけど……。でも講師の方とコミュニケーションが取れたり、授業では話していなかった部分に切り込めたりと情報を得ることができました。
森 でも、前のめりになって講師と積極的にコミュニケーションをとって、いろいろ学んでくれるのは、僕としてはすごくうれしいですね。みんながみんなそれが出来るわけでもないので。正直、そんな風にちょっと勇気を出して一歩踏み出せるのは、1割ぐらいしかいないので、この2人は一歩前に自分で歩ける子たちだったのかなと思います。
──スペシャル・セミナーだったりとか、定期の講義以外のプログラムもいろいろと用意されていますが、その中で印象深いことは?
榮野川 私はインターンで今の部署に入って、そこから準契約社員に切り替わって、今も働かせていただいています。受講し始めた時から、長期のインターンはやりたいと思っていて、入学して1ヵ月ぐらいの頃に今のレコーディングスタジオのインターン募集があったんです。内容はレコーディングスタジオのお手伝いだったり、所属しているアーティストさんの映像関係とか周辺の雑務というところでした。レコーディング自体に興味はあったんですけど、レコーディングの中身は何も知らなかったので、そういった面も含めて面白そうだなと思って、まずは申し込みさせていただきました。
──まあ、普通はそんなに知る機会もないですよね。
榮野川 レコーディングっていうと、アーティストとエンジニアさんがいるぐらいしかイメージがなくて。私のイメージだと、アーティストが歌を歌って、それに対して「もっとこういう風に歌った方がいいよ」とかいう意見も全部、エンジニアさんが言ってると思ってたんですよ。実際にはそういうディレクションはプロデューサーさんだったり、ディレクターさんだったりという方がしていて、自分の中で思っていたものと全然違ったということも学べましたし、あとはアーティストさん関連でライブのお手伝いだったり、ライブが終わった後の映像編集だったり、グッズのお手伝いだったりをさせていただいて、今まで自分が知らなかった部分に実際に触れられたのはすごい学びになりました。その中で、今の上長に「一緒に働かない?」と言っていただいて、面接を経て今、一緒に働かせていただいているという形です。
──インターンを始めて、社員にならないかというとこまではどれぐらいの期間があったんですか?
榮野川 インターンを始めてから3ヵ月ぐらいで声をかけていただいて、ただちょっと会社の体制が変わったのがあって、実際に面接を受けるまでは、そこから3~4ヵ月待った形にはなりました。その間はEBの授業も並行して受けていました。
──インターンの募集というのは、受講生全体に対してかかるわけですね。
森 そうですね。全体に投げて希望者を募って、選考して決まるという感じです。いろいろな部署からのインターン募集が随時かかるので、現在も60~70名ぐらいがインターンとして稼働しています。榮野川さんの場合は入学して1ヵ月ほどで採用されていますが、それぐらい短い人もけっこういるんですよ。例えば1年間学んだらチャレンジできるというようにした方が、知識としては多くなるかもしれないですけど、部門によっても業務内容など覚えることはそれぞれ違うし、そこは我々が教えられるところではないので。まあ、礼儀正しくて問題なく働ければ大丈夫だろうというのは僕の中ではありますし、もちろん日々の業務については各部門の方に見ていただくので、それで問題なければ、どんどんやってもらいたいと思っています。
──臆せずチャレンジしてほしいと。
森 もっと言うと、インターンから採用に変わるというのは、実際にはそんなにないんですね。基本的には、インターンはインターンなんですけど、榮野川さんの場合はそこから採用に変わったというのは、現場から評価をいただいたということですね。
榮野川 頑張りました!(笑)
インターンや求人応募にも不安はなかった。「面白そう!」という思いが強かった。
──松岡さんはどういう経緯だったんですか?
松岡 EBに入って半年ぐらいで求人の募集案件が来て、応募しました。もともと、入学してからその応募までにいろいろな講義を受けて、いろんな講師と話した上で、自分のやりたいことは、アーティストさんやタレントさんをみんなに知ってもらってヒットさせることかなと思ったんです。とにかくヒットを生むことが、アーティストさんやタレントさんにとっては一つ必要なことだなと思って。その募集は最初から準社員の求人だったので、採用していただいて準社員になりました。
──採用にもいろんな形があって、入ってからどういう道を歩むかというのも、人によって全然違うということなんですね。先ほど、講義終わりに2人で質問に行ったというお話がありましたが、それもインターンをやりつつ、講義を受けながらという段階だったと。
榮野川 そうですね。インターンをしながら授業に行って、松岡さんと一緒に受けていたので、終わった後に講師のところに行って質問したり、ちょっと雑談したりしていました。
森 2人は運営側としても、こちらの「こうであってほしい」という思いを体現してくれている感じですね。全体で言うと学生の子がだいたい7~8割ぐらいで、その子たちは新卒採用を目指して頑張っているんですけど、2人は社会人なので、いろんな案件にチャレンジしやすいというか。求人に関しては、学生は応募できなかったりもするので。
──インターンや求人飛び込む時に、不安はなかったですか?
松岡 不安は特になかったですし、楽しみでしかなかったです。せっかく何かやるからには、吸収できることは全部吸収しておきたいと思っていましたし。自分が専門の建築を学び始めた頃から、何に対しても網を張っておくことって大事だなと思ってたんです。知らないワードでも聞いておいて網を広げておいて、何度かそのワードが引っかかると記憶に残って、そこからもっといろんなことが派生する可能性があると思ってるんです。
──なるほど。
松岡 その部署でもとにかく「何でもやりたい」って言うようにしていて。学べることを吸収して、知っておけば何となくでも全体の流れは自分に入ってくるはずだし、理解してからできる仕事はより面白いだろうし、とにかく楽しく働かさせていただいています。
──一体どこから、そんな抜け目のない理論を構築したんですか(笑)。
松岡 自分がやりたいことのためにちゃんとした行動を起こせば、できる一歩に近づくだろうとは思っていて。「やってみたけど違った」という後悔より「やらなかった」という後悔の方が勝つと思っているので、「やりたい」と思ったらいったん手つけてみて、そこから広がった網でまた何か得られるかもしれないというポジティブ思考では動いています。
──榮野川さんは、1ヵ月ぐらいでインターンに飛び込んだわけですが、不安はなかったですか?
榮野川 私もなかったですね。「面白そう!」という思いの方が強かったです。就活の時とかにやりたいことに進まなかった分、仕事をやめた時には「これからはやりたいことは全部やろう」と決めてたんです。インターンが来て内容を調べて、「レコーディングスタジオって面白そうだな」と思ったし、こういう機会がないと絶対入り込めることなんてないと思ったので、もう絶対やりたいと思って。だから飛び込むことへの不安は全然なかったです。楽しみでした。
──そこから社員になった時も、「これで行こう」と思えたわけですね。
榮野川 「入らない?」ってお話をいただいた時はまだ2~3ヵ月ぐらいで、実際の仕事内容も全部知ってるわけではなかったんですけども……今働いているレコーディングスタジオのインターンの中には、新人発掘の仕事とかも入ってたんですよ。アーティストを育てているスタジオでもあったので、自分で発掘して、そのアーティストに対してマネージャー的な仕事であったりA&R的な仕事であったりも間近で学んでいけるし、関わっていけるという部分もあったので、ぜひ入りたいと思いました。今はレコーディングに対してもすごく興味が出てきているので、すごくありがたい環境でのお話しでした。
──聞けば聞くほど、EBが「こういう人に来てほしい」という典型のようなお二人なのでは?(笑)
森 いやあ、本当にそうですね。出会ってもらえたというか。もともとはライブ制作をしたかったということで、インターンの募集がなかったら触れられなかった仕事かもしれませんし。その中で自分がやりたいと思ってもらえて、今その仕事につけているのは、僕らとしても本当に嬉しい限りです。
──お2人は、どんどん自分たちで積極的に進んでいったという感じですが、なかなか進路が定まらない受講生もいらっしゃいますよね。そういう方々へのサポートは、どういう考えで行われていますか?
森 実は過半数がそうかもしれないですね。例えば半年学んだ時点で面談した子で、「いろいろ知ったがゆえに、逆にちょっと迷ってきました」とか「どう進んでいいか分からなくなりました」という方もけっこういらっしゃるんです。そういう子に接する時の僕の想いとしては、結局答えは自分でしか見つけられないし、ヒントだったり情報っていうのはこちらから提供するから、ちゃんと自分と向き合って考えるしかないと。知ったからこそ広がっちゃったというのであれば、もともと何がやりたかったかというところに戻ることも大事なんですよ。小さい頃に見たライブでメチャメチャ感動したという原体験がすごく大きかったりする子が多いので、それをちょっと思い出してもらうとかメンター的なこともするんですけど、でも結局自分の中にしかその答えはないから、僕たちというのはそれをちょっと広げる役目でもあり、深く掘る役目であるかなと思っています。
──そういった部分では、お2人はあまり迷うことはなかった感じですか?
榮野川 「やりたいことはどれなんだろう?」という迷いは、すごくありました。「あれも楽しそう」「これも楽しそう」というのもあったし、実際に自分はどれができるかという適性とかも分からなかったりする中で、迷うことはありましたね。でも私の場合は、やりたいなと思ったことを全部できるのが、たぶんマネージャーとかA&Rが一番近いのかなという答えにはなりました。
松岡 自分が何したいかは、入ってからまた分かんなくなっちゃったので、今できることをひたすら精一杯やっています。自分は現場に行かせていただくことがけっこう多いんですけど、自社にいるタレントさんやアーティストさんをしっかり目で見て学ぶことと、その彼らを担当しているマネージャーや制作側にきちんと顔を覚えていただくこととか、そういったいろんなことの巡り合わせのご縁だとか、人間関係みたいなところは常に大切にしています。自分の中にずっと常にある目標としては、常に日々1%でも何かを学ぶことが重要だと思っているので、とにかく、何か新しいことを毎日一つ知るとか、知らない人とちょっとしゃべるとか、いろんなサイトとかを見てみて、知らないことを知ってみようとか、そんな感じです。
自分の人生なんだから、やりたいならやってみればいい!
──今の具体的な業務内容はどういうところですか?
松岡 私のいる部署は、主に広告の仕事をタレントやアーティストに結びつける様なお仕事です。マネージャーさんと色んな面での調整をして、実際に現場に行って、完成してるものに不備がないかを確認して……といった感じです。他に私が携わらさせていただいてるのが、D to C事業で、アーティストさん、タレントさんがアパレルブランドを立ち上げて、グッズや服を製造して売っていくという。そういうところもやっていて。実際に先日も服の撮影で現場に行ったり、実際に販売にも行ったり、スタッフとしての稼働もあって、貴重な現場で学ばさせていただいております。
──進路を決める過程で、EBのサポートについてはどう感じましたか?
松岡 自分は話したいことによって聞く担当者を変えていました。完全に就活関連の時は森さんに頼っていました。EB担当の強みって、たくさんのEB受講生を見ているし、会社のことも知っているし、募集している部署が一体どんな人を求めているのか、会社が何を必要としているのかみたいなところをメチャメチャ強く知っているところで。自分はその行きたい部署に対して、何が足りないのか、どういう伝え方が必要なのか、履歴書はどういう書き方がいいのかみたいな細かいところを、森さんに聞いていました。もっと日常的な話をするのは、自分と少し年齢の近い、担当の方で。最近は趣味の話とか、将来の話とか、聞いていて考え方がとても尊敬できる部分がたくさんあり、話を聞くことで素敵さのエッセンスを吸収しようとしています。もう1人、女性の担当者の方がいらっしゃって、関西生まれという共通点もあって、ちょっとカジュアルな話をしたい時とか、フランクに相談したい時にお話したりしていました。
榮野川 EBって大学生の方がすごく多くて、社会人は少なかったんです。インターンの面接を受ける時に、「社会人でもインターンに受かるのかな」という心配もあって、面接の直前に森さんに少し時間を取っていただいて、面談してもらったんです。そこで「社会人だからこそ、アピールできる部分だったり、いいところもあるから」と背中を押してもらえて、それでけっこう楽になって面接に挑めました。あと、インターンが始まってからは日報を提出しないといけなかったんですが、私は日報をあんまり書いたことがなかったのもあって、内容があまりない教わったことの羅列みたいな日報になってしまっていて、その時にEB担当の方から「もっとこう書いた方がいいよ」という細かいアドバイスをいただいて、日報とか細かい部分までちゃんと見てくれてるんだなと思いました。やっぱり社会人になると、そこまでちゃんと教育してくれるという場面もあまりなかったので、それはすごくうれしかったですね。
森 今の榮野川さんの話に繋がるんですけど、現状、受講生は学生の方が多いんですね。ビジネス的な側面から言うと、社会人の方をもっと増やしたいと思っていて。新卒の採用ではエンタメ業界には入れなかったけど、でもやっぱりエンタメを諦めたくないという人たちに、EBに入ったら行けるところがあるかもしれないというところをもっと広く知ってもらえたらいいなとは思っています。サイトのキャッチコピーに「好きならあとは出会うだけだ」とあるんですが、エンタメが好きという思いがあるなら、まず飛び込んでほしいですし、僕らは手を広げて待っています。僕らスタッフや、2人のように同期の仲間にも出会えますし、講師だったり僕らスタッフだったり、EBでいろんな人や機会に出会ってもらいたいなと思っています。
──エンタメ業界に入りたい人はたくさんいると思います。その中で迷っている人も多いかと思います。そういう方々に、最後にお2人からメッセージをいただけますか?
榮野川 私はずっと作る側に行きたかったんですけど、飛び込む勇気がなくて普通に就職して、でも諦めきれなかった時に出会えたのがEBで。そこからインターンにも出会えて音楽業界に転職できました。今まで周りの人には、エンタメ系に行きたいということを言えなかったんですよ。友達とかにも言えなくて。多分姉以外に誰にも言ったことがなくて。でもEBはエンタメに関わりたい人が集まるから、「こういうのをやりたいんだよね」というのを話せる空間だし、本誰も馬鹿にしないし、頑張ろうって言い合える友達も作れる場だなと思っています。EBに入る前までは「やりたい」とは思っていても、「たぶんできないんだろうな」と思っていて。自分の手でエンタメを作りたいけど、現実になるとはちょっと信じられなかったという感じだったんですね。でもEBに入ったらどんどん道が開けて、「あれ、これやりたいことできるんじゃない?」ってなって、実際に今はできるようになってたり、確実に近づいているんですよね。本当に自分の人生を変えられたので、EBに出会えたら入ってほしいなって思います。
松岡 それに尽きるね。
森 泣ける!
松岡 伝えたいことは……「やりたいと思ったのなら、自分の人生だからやってもいいんじゃない?」です。私は、EBに入るという一歩がちょっとデカいと思ってたんです。通って受けるということと、夜に3時間の講義ボリュームと会社の両立を考えたり……でも、好きだったらそこに熱量を注げると思って。そこに熱量を注げるんだったら、次にやりたいことを決めて動くまでの一歩って、わりと動けるのかなと自分は思っていて。面白い業界なので、本当に好きなら、あんまり後悔しない気がします。学ぶこともできて、友達もできて、ごはんに行ったり、榮野川さんとも「旅行行こう」みたいな話も出るぐらいの関係になれたので。同じ熱量の友人とも関係を築けて、年代の違う大学生からのお話が聞けたりとか、刺激が多いので、入って後悔することはないと思います。
──ちなみにお2人は、入ってすぐに仲良くなったんですか?
榮野川 初回の授業を一緒のテーブルで受けて、それからずっと一緒に受講して仲良くなってみたいな感じですね。4人でいつも受けてたんですけど、年齢はすごくバラバラで、20歳の子だったり、22~23歳の方だったり、25歳とか。私は28歳ですけど、全然ごはんにも行くし、遊びにも行くし。
松岡 絶対一番前のテーブルだったね。
榮野川 そうそう(笑)。年齢が全然違っても「同期」みたいな感じなので、立ち位置はみんな一緒で話せて、いい環境です。
森 僕もエイベックスには34歳で転職で入って14年程経つんですけど、転職活動はすごく大変でした。プロダクションとか音楽業界を受けてたんですけど、50社ぐらい落ちて、本当に苦労した中でここに出会えて。僕はたまたま入れたというところがあるんですけど、前職は建築の仕事をしていて、けっこうなキャリアチェンジだったんです。空間を作る仕事をしてたんですけど、感動を作りたいという思いから、音楽と教育といった領域を志望して今の仕事に就いて……という自分のバックボーンもあって、夢を叶えたい、やりたいという方たちをサポートしたいという思いが、もともと僕にはあります。そういう意味ではすごくいい転職だったなと思います。だから、「好き」という思いがある人には、何かしら考えるきっかけとかヒントを僕たちはきっと提供できると思っているので、本当に飛び込んできてほしいですね。
──ありがとうございました!
エイベックス・エンタテインメントビジネスマスター
https://eb.avex.jp/
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。