YOSHIKIプロデュースのオーディションを乗り越えて、バンド5人+ダンスボーカル8人という独特の形式でスタートしたXY。そして、ビジュアル系の中で長く活躍し、ビジュアル系アーティストが一堂に会した都市型フェス『バグサミ』も成功させたBugLug。形態もジャンルもキャリアも全く違うこの2組が、10月5日、吉祥寺CLUB SEATAで2マンライブを行う。なぜこの組み合わせになったのか、そして当日、両バンドは何を見せようとしているのか。BugLugの一聖さん(ボーカル)と悠介さん(ドラム)、XYのKARMAさん(ボーカル)とKYOHEYさん(ドラム)の4人に、たっぷり語っていただきました!
「XYを最初に見た時から面白いと思って、真正面から2マンをやったらもっとよく知れるなと」(一聖)
──今回、10月5日に吉祥寺CLUB SEATAでの「DAIGOFEST制作委員会Pre. CLUB SEATA 15TH ANNIVERSARY「BugLug vs XY」で2マンライブが行われるということですが、両バンドともこのサイトには初登場ということになるので、まずはそれぞれのバンドの自己紹介をお願いできますか?
一聖 BugLugというビジュアル系バンドをやってます。2010年から活動し始めて、今年で14年目になっります。ビジュアル系はもちろんですけど、いろんなジャンルのバンドと一緒にいろんな活動をしているので、今回XYとやれるのはすごくうれしいなと思ってます。
KYOHEY XYです。YOSHIKIさんのプロデュースされていた「YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X」というオーディション番組から、去年の3月に結成して、2023年3月6月に「Crazy Love」という曲でメジャーデビューさせていただきました。僕たちは全部で13人で、バンド5人とダンスボーカル8人っていう組み合わせでやらせてもらってます。5人と8人は同じグループだけど、別に動くこともあるという形でずっとやってたんですけど、実はそれをやれるようになってきたのは最近のことで、ここ最近はそのバンドだけでイベントに出演したりとか、ダンスボーカルだけで出たりとかということが増えてきてます。だから実は、まだバンド5人での活動って、本当に始まって半年も経ってないぐらいで、まだ間もないんですよ。
──なるほど。今回の2マンをこの組み合わせで開催するに至った理由というのは?
KYOHEY 今回はBugLugさんから、実はマネージャー繋がりで「こういうイベントをやりたいっていう話があるんだよね」というお声がけをいただいて、「ぜひ!」っていうことで実現した感じです。だから今日もすごく緊張してます(笑)。バンドだけでの活動だし、大先輩だと思ってますし、もともと知ってましたし。だからそういう意味でこういう2マンをやらせていただけるというのは僕らもすごくうれしいなと思います。
──バンドとしての大先輩から見て、XYのこういう形態っていかがですか?
一聖 最初は「不思議!」って思いました。変幻自在というか、ダンスもあるし、そっちはそっちでボーカルがいて、バンドの方はもちろんバンドとしてちゃんとパートも成り立ってるし。だから面白いなって思って見てましたね。
悠介 こっちの業界だとダンスグループとかはあまり馴染みがないので、いまだにあんまりよく分かってないんですよ(笑)。MVとかも見させていただいて、曲も聴かせていただいたりしたんですけど、さっきおっしゃってたように別々になったのが最近ということで、それまでは同じ持ち時間でやってたのかなとか、疑問が尽きないというか興味が尽きないというか。今はまだ不思議です(笑)。
KYOHEY 実はライブ活動を始めたのが、去年の11月からなんですよ。それまでは製作期間というか、ライブに向けて曲を増やしたりとかっていう作業がけっこうあって。イベントとかライブに出る時は、持ち時間の中で基本的に13人で同じグループとして、入れ替わりながらやってます。
KARMA だから、僕らバンドとしては、同じグループではあるんですけど、常に対バンしながらやってるみたいな感覚ですね。
KYOHEY それもウチらにしかないというか、普通はあり得ないと思うんですよ。ダンスボーカルがパフォーマンスしてる時は、僕たちは舞台袖にはけていて。最初13人全員で始まって、そこからメンバーが抜けたり出たりして、バンドだけでやる時間もあれば、バンドの楽器3人とダンス3人だけでインスト曲をやるという編成もあったりして、ステージ上の行き来がけっこう激しいんですよ。
KARMA アメーバのように流動的な編成をやっていくのが特徴のグループなので、30分の持ち時間があったら、その間でお互いを見せたり、時には一緒にやったりという感じです。
──その中で、今回みたいにバンドとしてガッチリ対バン、みたいなこともあって、それができるようになったのが、わりと最近のことだと。このように2マンというのは初めてということですが。
KYOHEY 今年の4月に3マンをやらせてもらったことはあったんですけど、完全に2マンというのはこれが初めてなんですよ。だから僕らは本当にすごいくうれしいです。僕はXYに入る前からもずっとバンドをやってきていて、BugLugさんのことは知ってたんですよ。高校生の時とか、周りの友達とかで聴いてる子もいましたし。で、実は8月に「バグサミ」というBugLugさん主催の大きいフェスでライブを見に行かせていただいて、けっこう感動したんですよね。生でライブを見るのは初めてだったんですけど、生で見れて、「この人たちと同じステージで対バンできるのかと思ったら、『昔の自分が知ったらすごく喜ぶんだろうな』って思えて。
──BugLugからすると、2マンの経験もたくさんあると思いますが、これだけキャリアが離れてる組み合わせって、なかなかないですよね?
一聖 そうですね。ただ、キャリア云々というよりは、XYを最初に見た時から、「何か面白いな」という印象がまずあって。6月にワンマンライブにも行かせていただいて、確かに変幻自在、アメーバという感じで流動的にいろんなことをやっていたから、「このアーティストに答えはないな」と思ったんですよ。そうなったときに、もう真正面から2マンをやったらXYのことをもっと知れるんじゃないかなと思って、個人的にすごい楽しみになって。それを見てくださるお客さんたちがどう思うかっていうのはその方々次第ですけど、絶対面白くなるだろうなっていうイメージありました。
KYOHEY ワンマンを見に来てくださってたんですね、ありがとうございます。
──お互いに生でライブを見た時に、どういう点に興味を惹かれましたか?
KYOHEY もちろん1曲1曲がいいんですけど、ライブ全体が何ていうか、エンターテインメントとしてのショーになってるという感じがすごくしましたね。一つ一つの曲の繋ぎだったり、ちょっとしたアクシデントが起こった時の回収の仕方が、やっぱりうまいなっていうのがあって。
一聖 お恥ずかしい(笑)。
KYOHEY ビジュアル系にもいろいろあると思うんですけど、BugLugさんはフレンドリーというか、とっつきやすいイメージがあって。ライブを普通に見てて、やっぱり普通にいいなと思ったんですよね。クオリティとかはもちろんだと思うんですけど、曲もいいし、音源で聴くよりライブで見たいと思えるバンドが好きなので、そういうバンドだなって、ライブを見てさらに思いましたね。楽しかったです。何か、普通に「お客さん」になっちゃったっていうか。一応、関係者という気持ちではいたんですけど、ライブが終わったら普通に「楽しかった!」って思えるぐらいのライブで、メチャメチャ楽しかったです。僕もフロアに出て暴れたいなと思いながら見てました(笑)。
一聖 僕はネットとかSNSでしか、XYの情報を見てなかったんですよ。MVとかは見てましたけど、ライブってどうなるんだろうと。しかもその時は初のワンマンだったので、余計にどうなんだろうなと思いながら見ていたんですけど、全然その裏返しって感じでめっちゃガッツあるし、MCとかもちゃんといいこと言ってるし、ちゃんと一体感があって、バンドだけじゃなくてお客さんと共有できてるなというのを見て、初めてのワンマンなのにすごいなと思って、面白く感じましたね。しかも、ダンスチームが入ってきたりとか、流動的な感じでライブをやってたので、新しいなと思って。BugLugでこれやるとしたら、どうやってやるんだろうって考えましたから。新しいメンバー入れるしかないかなみたいな。
悠介 そうだよね(笑)。
一聖 マネージャーを入れ込んだりスタッフを呼び込んだりして。
悠介 ダンスしてもらってね。
一聖 そうそう、賑やかしみたいな感じで(笑)。数が多ければ強いだろみたいな。
悠介 入れ替わるメンバーいないもんね。
「BugLugには邪道な曲が多いので、ウチにないものがあるXYとの対バンは楽しそう」(悠介)
──悠介さんとKARMAさんは、お互いのライブはまだということですが、楽曲やMVでの印象はいかがですか?
悠介 ウチにはない要素を持ってるバンドだなと思いますね。ダンスグループがあるのも然りですけど、『YG』を聴かせていただいたんですけど、楽曲的にも正統派なラウドっぽい音に、ちょっとダンスの要素も入ったような感じで。ウチは正統派な曲ってあんまりなくて、けっこうオールジャンルに手は出してるんですよ。ラウドとかポップとかの正統派をやって「ウチはこれ!」っていう括りにはしてない分、例えば「BugLugがポップスをやったら」「ラウドをやったら」っていう感じの邪道な曲が多いので、やっぱりウチにないものがあるっていうところで、対バンは楽しいかなと思います。
KARMA 僕はこのグループに入ったのが初めての音楽活動で、本当に何も知らずに未経験でもいきなりぶっ込んで始まったので、「いろんな音楽を詳しく知ってる」とか、「めっちゃバンドやってました!」とか、「メチャメチャいろんなライブに行ってました!」とかがないんですよ。だからこそ、ビジュアル系で初めて触れたのがBugLugだったので、楽曲を聴いてメチャクチャ「え! こんな感じなんだ!」と思って。ビジュアル系って、バンギャとかけっこう怖いイメージがあったから、実際にMVとかも見て、ワクワクしましたね。こういう人たちと一緒にやるっていうのは絶対に今までの人生ではなかったから、本当に今回の2マンで、BugLugさんにビジュアル系というものを教えてもらいたいなって、すごく思います。
一聖 頑張ります。 ビジュアル系のシーンがどういうものか、教えてあげますよ。
KARMA 僕はビジュアル系の入口がBugLugですから。
──BugLugは長いキャリアがあって、もちろん対バンも多いですよね。対バンライブって、もちろん気心の知れたバンド同士でやることが多いと思いますが、ある種「勝負」の側面もありますよね。お2人はどういう感覚で対バンに望まれてますか?
一聖 昔は、対バン相手は敵だと思って、もう本当に「やっつけたろう」みたいな感覚だったんですけど、今となっては長年やってる以上、相手と戦うとかじゃなくて、2マンとはいえ自分との戦いと思ってますね。自分がより良いものを見せたい、でもそれは、今回だったらXYより楽しく見せたいかっていうことではなくて、BugLugとしてもっと良く見せたいっていう戦いだと思うんですよ。だから誰と当たろうが、僕は関係ないっていう感じですね。今回はXYが初めてビジュアル系と当たるというところもあって、より一層楽しみだなというのは感じました。
悠介 僕もそんなに「倒そう!」とかそういうバトルの精神とかはあんまりなくて。ただやっぱり対バンとなると、ワンマンより短い尺になるので、そこのエネルギーの使い方だけ違いますね。ワンマンだと尺も長いし、お客さんがBugLugだけを見に来てくれてるって部分でも、対バンよりはラフにというか、ちょっと力を抜いてできる部分があるんですよ。対バンだと時間も短い分、そこで全部を見せようと思って臨むので、そこのエネルギーの使い方が違うぐらいかなと思います。
──「相手のお客さんを根こそぎ奪ってやる!」みたいな気持ちはないですか?
一聖 ちょっとだけ(笑)。
悠介 気持ちはね。こっちのパフォーマンスは、別にそれで変えるとかはないので、最大限やれたらというだけで。
一聖 もし機会があれば、次は僕らのライブにも……っていう気持ちはほんの少しだけ(笑)。
──XYからすると、BugLugは長いキャリアがあって、それだけガッチリとしたお客さんもついていて、そういう人たちもいある中でやるというのは、フェスとかイベントともまた違いますよね。その点、どういう気持ちで臨もうとしてますか?
KYOHEY お2人のメチャクチャ大人な意見を聞いた上でこう言うのはアレなんですけど、僕はやっぱり対バンってなったら、どこか「負けたくない!」っていう気持ちがあって。別に「潰してやろう」とかそういうのはもう全く思ってないんですけど、やっぱり来てくれるお客さんの心をどれだけ掴めるかっていうのが対バンの醍醐味かなと思うんですよね。たぶん、BugLugのお客さんがXYのことをすごく知ってるかっていったら、そんなことないと思うんですよ。逆にウチのお客さんもBugLugのことはそんなに知らないでしょうし。ある意味、異文化交流というか、そこを共有できるのはすごく楽しみですね。
一聖 そうだね。
KYOHEY 別に奪ってやろうというか……結果的にそうなっちゃうかもしれないですけど、BugLugのお客さんに「僕たちは今、これが一番カッコいいと思ってる」ということを提示できたらいいなと思ってますね。勝ち負けではないと思うし、正直勝てるとも、あんまり僕は思ってないので、今の段階でBugLugと一緒にライブをやることで、僕たちも今の実力を最大限出すというところで、育ててもらうというか、教えてほしいなという気持ちもありますよね。見て学びたいっていうか、僕たちはバンドとして活動して本当にまだ1年も経ってないですし、まだまだライブの作り方とかはやっぱり浅いと思うので、そういった意味で、いろんなものを盗めたらいいなと思ってます。
KARMA 俺もKYOHEYと同じで、もうブチ当たってブチ砕ければいいやと思ってて。僕は本当に業界が初めてなので、いい意味でも悪い意味でも何も分かってないので(笑)。でもそれをいい意味に捉えて、言ってしまえば今、一緒にやってくれてる人たちって対バンもそうだしメンバーもそうだし、みんな俺より歴が長いから、どこに行っても僕って一番新米なんですよ。だからこそ、新米の時にしか出せない目線だったりエネルギーで全部ぶっ壊してやって、あとはたぶん他の人たちがまとめてくれると思ってるので、俺はもう最大限やれることをやってブチ当たるだけかなと思ってますね。それで逆に、BugLugのライブの見せ方とか、めっちゃカッコいいところを奪ってやりたいです。
──BugLugのお2人は、やっぱりキャリアの最初の頃ってこうだったなとか思い出しますか?
一聖 そうですね。でも僕らからしても、まだ新米とはいえ、僕らにはないものをいっぱい持ってると思うので、どれだけ盗めるかというのは僕らにとってもあると思うんですよ。
KYOHEY 本当ですか?
一聖 本当です。嘘はつきません。
KARMA そういう感じで、今回は垣根もなくブチ当たると思うし、そうすることによって生まれる親和性もあると思うから、そういうのも最大限出してお客様を楽しませたいなって、俺は思ってます。もちろん俺たちも楽しみたいし。
「BugLugもXYも自信を持って『カッコいい』って言ってもらえるようなライブをしたい」(KYOHEY)
──この記事を読む人たちに、自分たちのライブではここを楽しんでほしい、こういうところに注目してほしいというところを、それぞれ教えていただけますか?
一聖 やっぱりライブって、日によってマジで変わると思うので、その答えって僕にとってはないんですけど、BugLugとしての面白さとなると、単純に激しさあり、でも笑いありみたいな感じで、楽しんでもらえれば一番だなっていうところぐらいですかね。メッセージ性が何か届けばいいなって思ったりもするんですけど。XYとやることの意味だったり、なんでBugLugがここに立っているのか、何で歌っているのかとかっていうのを、10月5日に全部吐き出せて、みんなに届いたら、それが一番理想かなって思ってますね。
悠介 ビジュアル系って、作り込まれた世界観で、ちょっと耽美で……みたいなイメージがあると思うんですけど、ビジュアル系の中でもいろいろジャンルがあって、ポップなバンドがいたり、それこそイメージ通りのビジュアル系がいたりもするんですけど、ウチはその中でも「ロックバンド」に近いような位置にいると思うんですよ。ライブでも世界観を作り込むより、感情の爆発がメインなので。特に一聖が、ライブ前に「こうしよう」みたいな打ち合わせもするんですけど、全然それ通りにやらないし(笑)、「ここは次の曲に続けるね」みたいなところでも全然しゃべるし。やっぱりその日の感情でライブをやるので、本当にその日にしかないものというか、その日のお客さんと一緒に作り上げるって感じなので、一般にイメージされるような、「近寄りがたいな」って感じではないと思います。
──ビジュアル系というと、「ノり方に決まりがあるんじゃないか」みたいなイメージもあると思うんですが。
一聖 ああ、ありますね。特殊な異世界みたいな感じで捉えられてると思うんですけど、それが刺激になったり、興味を持つきっかけになったりしたらいいなと思うんですよね。その場ではさすがに急にヘッドバンギングとか、「いやいやいや!」ってなると思うんですけど、まあ俺は「やれ!」とか言うんですけど……
──言うんですね(笑)。
一聖 言うけど、「まあそうだよね、急には厳しいよね」って、心のどこかで思ってます(笑)。それがまた刺激になったら面白いなって。BugLugはBugLugとしてのノり方とかもいろいろあるので、「こんなことやるんだ!」みたいなのを、BugLugの面白さとして捉えてもらえたらいいなと。
悠介 それこそ、ちょっと踊ったりする曲とかもあるからね。
一聖 そうそう。
悠介 その場で見てちょっと真似できるものがあれば、参加してもらえたら楽しいかなって思います。
KYOHEY XYの楽しみ方は……要素としてはいろいろあるんですよ。13人のグループで、5人でツインボーカルのバンドとして活動してるので、そこを楽しんでくださいっていうのも、表面上あるとは思うんですけど、僕らもそこまで賢い人種じゃないっていうか。僕たちが信じてカッコいいと思ってるものをやってるというスタイルを感じてほしいというか。今の流行り音楽とか世界の情勢とか、いろんなことに思うことって、みんなあると思うんですよ。僕はけっこうそれがあって、そういう思いでライブをやってて。抗ってるわけじゃないかもしれないですけど、今の音楽シーンに抑圧されて、カッコいいって思ってるのにカッコいいって言えないみたいな、そういうのがすごく嫌で、そういうことを全部忘れてライブ会場に来て楽しんでほしいなと思うんですよね。もしBugLugもXYもカッコいいって思ってもらえたら、自信を持って「カッコいい」って言ってもらえるようなライブをしたいなと思ってます。
──なるほど。
KYOHEY これだけサブスクとかが普及してて、音楽がスマホとかイヤホンですぐ聞けちゃうじゃないですか。その中でライブに来てくれる人たちって何を楽しみにしてるかっていったら、さっき一聖君も悠介さんも言ってくれた、その日にしかない魂というか。その日のBugLugとその日のXYっていうのを楽しみに来てると思うんですよ。だからその日にしかない僕たちをちゃんと見せたいなと。で、その日にできる全部を見せたいなと、僕は思ってます。あと、悠介さんが言ってくれた「打ち合わせと全然違うことをする」っていうのは、絶対ボーカル特有ですよね。
悠介 ドラマーは食らいますよね!
KYOHEY 共感しかないです! ここでしゃべるって言ってないのにいきなりしゃべり出したりとか、しかもウチはボーカルがもう1人いてツインボーカルなので、もうどっちがどうやるか、2倍苦しくて! もうすごくその気持ちが分かって、メッチャ共感しました!
悠介 (次の曲の)きっかけの時に困るんですよね。
KYOHEY そうなんですよ! ここで(音源再生のボタンを)押しますっていう時に、全然違う言葉が来て「え、今やねんけど?」みたいな。
悠介 あと、「言わない」って時があるんですよ。同期(あらかじめ用意したSEなどの音源を冒頭や曲中に再生すること)があるので、タイトルコールの時にシステム的に押さないといけないので、そこを待ってるんですよ、ドラマーは。
KYOHEY そう、シンバルをシャーって鳴らしながら、待ってるんですよね。
悠介 待ってて、ボーカルがタイトルコールしたら押すから、ここで言ってねって、覚えてるんです。でもずっと立ったまま動かないとか(笑)。
KYOHEY メッチャ分かります! タイトルコールを待ってミュート(音が出ないようにすること)して待ってるのに、いつまでも来ないんですよ! で、KARMAも「え? 何してんの?」って顔してて。
KARMA こっちは、「今いいところなんだから待てよ」とか思ってるんですけど(笑)。
KYOHEY でも悠介さんとは分かり合えた気がします(笑)。
一聖 共有できたね(笑)。
悠介 パソコン操作があったりするから、ボーカルの方をチラチラ見たりして。
一聖 分からない世界だ。
──でも今、ボーカル側はボーカル側で、共有するものがあるような雰囲気でしたね(笑)。
一聖 ありますね。「いや、それはそっちの都合でしょ。こっち間違ってないから」みたいな(笑)。
KYOHEY こっちは尻をぬぐってるわけなんですよ(笑)。でもやっぱり、ボーカリストってそうであってナンボですよね。
一聖 そうだね。
「XYのギターのKAIRIは、MCでしゃべるとアホが出るタイプ。俺はそこを出させたい(笑)」(KARMA)
──さて、今日は両バンドお2人ずつにお越しいただいていますが、他のメンバーについて注目ポイントを教えていただけますか?
一聖 上手のギターの一樹っていう方は予想ができない感じです。カッコいいし、ギターも上手なんですけど、意味分かんない動きをしたりするんですよ。そこが見どころかなと。
悠介 するね!(笑) 基本的には本当にキラキラしてて、正統派イケメンって感じなんですけど……
一聖 たまに「え、何してんの?」という、よく分からない動きをするので。
KYOHEY 「よく分からない動き」は気になりますね(笑)。
一聖 俺らも、いつ発動するか分かんないから。マジで分かんないタイプなんですけど、そこが良さだったりもするんですよ。キッチリ弾いて「ドヤ!」ってされるよりも、「あんなイケメンがこんなよく分かんない動きして、何なの?」っていうのが面白いなと。
悠介 AB型を感じる瞬間というかね。
一聖 そう、ゴリゴリのAB型だからね。
KARMA メチャメチャ気になる(笑)。
KYOHEY でも、この間ライブを見させてもらった時にはあんまり思わなかったですけどね。
一聖 発動しなかったのかもしれない。あの日は主催フェスってことで朝からいて、夜にライブだったのもあって、ヘタってたのかもね。
悠介 あの日だけで3本目だったしね。サポートとかもあって。
一聖 そうか! そっちでやったかもしれない(笑)。
悠介 ベースの燕は、すごく楽しそうに演奏するんですよ。
一聖 めっちゃキャッチーで、「平和!」「常に笑顔!」って感じでね。
悠介 本当にもう、誰にでも好かれるような。
一聖 激しい曲でも、常に笑顔!みたいなね。
悠介 一番楽しそうだよね。
KARMA ウチはギターのKAIRIってヤツがいるんですけど、そいつももともとビジュアル系出身でBugLugのことも知ってましたね。
KYOHEY KAIRIはもともとビジュアル系をやってたので、どう見られるかっていうのをすごく気にしてステージングしているんですよ。メチャクチャ動きが激しかったりではないんですけど、立ち姿がスタイリッシュというか。
一聖 確かにそうだった!
KYOHEY でありながら関西出身なので、MCとかしゃべらせるとすっげえアホが出るんですよ。彼はそのギャップが魅力かなと。
KARMA 本人はしゃべりたがらないけどね。俺はそこを出させたい。
悠介 MCだったら、ウチの下手ギターの優さんも、アホとはまたタイプが違うと思うけど、ちょっとニヒルなMCをするんですよ(笑)。ちょっとすれてるので(笑)。
──それは長くやってるうちにすれたんですか?
一聖 どうだろう……いや、もともとですね。普段からすれてるので(笑)。
悠介 裏笑いみたいな感じだよね(笑)。
KYOHEY 変な動き繋がりで言うと、もう1人のボーカルのGAIってヤツの動きがオモロすぎるので、そこは見てほしいですね。GAIは音域低めの、厚めの声を出すタイプのボーカルで、KARMAがハイトーンを出すタイプなので、そこのツインボーカルのうまい掛け合いを見てほしいなと思います。あとベースのFURUTATSUは、もともとバイオリニストなんですよ。5日のライブはたぶんバイオリン弾かないですけど。彼もけっこうかわいいキャラで、メッチャ激しいことをやりながら笑顔で弾いてるっていう意味では、同じ感じですね。
悠介 ベース同士だしね。
KARMA FURUTATSUはバイオリンもピアノもやってるんですよ。
KYOHEY お母さんがピアニストでお姉さんもピアニストなんですけど、なぜかアイツはバイオリンっていう。
一聖 ヤバ! 育ちがよさそう。
KARMA そんな感じで育ってきたのに、いつの間にか急にグレて、金髪ロングにしてバンドやり始めて。
KYOHEY 仲良くなってご飯とか行ったりすると、何か所作からもう、「育ちいいんやな!」っていうのが分かるんですよ。
KARMA ステーキ行った時、ガチでヤバかったよね!
KYOHEY 僕らがガッツいてるのに、彼だけコレ(背筋を伸ばし、フォークとナイフでいかにも行儀よく食べる真似)ですからね。
KARMA 脇締めてましたから(笑)。
一聖 脇締めるんだ!(笑)
KYOHEY 居酒屋とか行って唐揚げを頼んだら、「唐揚げ好きなんすよ! 実家で食べたことなくて!」みたいな。「え、揚げ物とか家で食べへんの?」って聞いたら「いや、天ぷらは食べますよ!」って。
KARMA 鶏天が家で出てくるってことだよね。
KYOHEY ちょっと天然なかわいいヤツなんです。
一聖 すげえ! 天ぷら家で食ったことない(笑)。
KYOHEY そういうちょっと変わったヤツなんですけど、でもみんないいヤツなので、仲良くしてもらえたらうれしいです。
一聖 いやいや、喜んで。
──お互いのそういう情報がたくさん入ると、打ち上げが楽しみになりますね(笑)。
一聖 メッチャ楽しみですね! ステーキ出そうかな(笑)。
悠介 メチャメチャ面白いね、それ(笑)。
一聖 ステーキ食べてるとこは見たいな。
「KYOHEYはお酒飲むと泣くタイプ。いつも泣かせて遊んでます(笑)」(KARMA)
──バンドの打ち上げというと、バカ飲みエピソードがゴロゴロしてますけど、いかがですか? あ、もちろん言える範囲、載せられる範囲で(笑)。
一聖 今のビジュアル系って、あまり打ち上げがないんですよ。
KARMA そうなんだ!
一聖 普通のバンドだったら「中打ち」って言って、ライブハウスでそのままみんなで飲むっていうのがあるんですけど、ビジュアル系はそれが一切なくて。もしあるとしても、ワンマンが終わってスタッフと一緒に行くとか、それか対バンで友達と一緒に、別の居酒屋に行ってとかっていう形なので、全員でやるということが本当にないんですよ。
悠介 ツアーとか地方だと飲んだりしますけど、東京では本当に全くと言っていいほどないですね。
KARMA ビジュアル系がそういう文化っていうことなんですか? 仲が悪いとか?
一聖 違う(笑)。
悠介 地方では行くので(笑)。
KYOHEY 悠介さんはけっこう飲まれるんですか?
悠介 行きますよ。ああでも、一聖は長いんですよ。ライブ後に2人で飲んだことがあるんですけど、朝になってもう始発がもうとっくに出てるのに、「もう1軒行こうよ!」って(笑)。
一聖 そういう系なんで(笑)。
KYOHEY 5日の後はぜひ、始発が動いても。
KARMA 次の日、ちゃんと休みになってるからね。
KYOHEY 予定あっても関係ないから。
──飲んだ時のタイプも分かれますよね。説教し始める人とか、笑い上戸とか。
KYOHEY ウチのギターのKAIRIは、普段はクールな感じなんですけど、けっこうお酒好きでメッチャ強いのに、飲むと口が閉まらなくなってくるんですよ。ずっと歯が出てるみたいな。声もデカいし、「あ、何か酔ってきたな」っていう瞬間があって。帰りに「酔ってるな」って言ったら「いや、全然シラフやで」って言いながら、ずっと口が閉まらないし、たいがい何かしらの粗相をするっていう。
KARMA アレはヤバい。
KYOHEY だいたいグラスをコカすよね。そして誰かに酒をかけるという。
KARMA それが偉い人とかやったら終わるよね(笑)。
一聖 確かに!
KARMA KYOHEYはメチャクチャ泣き上戸なんすよ。
KYOHEY そう、僕はお酒飲むと泣いちゃうんです(笑)。
KARMA 何か顔を見ただけで(号泣の声マネで)「いやもう、●×▲%&……」って泣いてるし。
一聖 何で泣いてるの(笑)。
KARMA あからさまな前振りで、「俺、お前とバンドできてよかったよ!」みたいなことを言ったら「いやホンマに~●×▲%&……」って言い出して(笑)。
一聖 素晴らしい(笑)。
KYOHEY 何か年々涙腺がユルくなってきたんですよ。
KARMA それだけ戦ってるってことだよね。
一聖 いいことだよ。
KYOHEY ちょっとしたドラマのワンシーンとかでも、昔あんまりなかったんですけど、号泣したりして。
悠介 それはすげえ分かる!
KYOHEY それこそ、『ベイマックス』見て泣くと思ってなかったですから。
──いや、あれは泣く映画ですよ!(笑)
KYOHEY いやもう、号泣しすぎて。3回泣きましたからね(笑)。
悠介 『ちはやふる』って漫画、読みました?
KYOHEY いえ、読んでないです!
悠介 ただカルタを頑張る話なんですけど、毎話泣いてて(笑)。誰かが死ぬとかじゃないんですよ。ただ主人公たちが頑張るだけなんですけど、メッチャ泣けて。
KYOHEY 頑張る系って泣けますよね。な『熱闘甲子園』とか見たら毎晩泣いてましたもん。お酒飲むと、何かいろいろ思い出すこととかもあったりして泣いちゃうんですよ。それだけ周りに恵まれてるっていうことでもあるので。
KARMA それをいつも楽しんで、泣かせて遊んでます(笑)。
一聖 それは見たいな。
KYOHEY いや、さすがにBugLugとの打ち上げでは……。
一聖 いや、泣いてほしいな(笑)。
KARMA 「今日、いいライブだったよね」とか言ったら泣きますよ(笑)。
一聖 それだ(笑)。
KYOHEY まあでも、終わった後にいいお酒飲めたらいいですよね。
「全部ひっくるめて背中を押してあげられるようなライブにしたい。全力でかかってきてください」(KYOHEY)
──さて、10月5日の2マンの後も、それぞれいろいろとありますよね。BugLugは10月19日、鶯谷のダンスホール新世紀で「BugLug Halloween ONEMAN『秘密ごっこ』」。これは楽しいヤツですね。
一聖 そうですね、ハロウィーンのワンマンは毎年やってて、ひたすら楽しいです。みんなコスプレをするんですけど、当日来てくれた人が分かるって形で、基本的には暗い曲しかやらないみたいなイメージでやってます。
悠介 その日は世界観をガッチリ作り込んで。
一聖 唯一、BugLugで世界観を出す日はハロウィンしかないという。
悠介 来てくれるお客さんの方々にもコスプレしている方がけっこういたりして、楽しんでくれてます。
一聖 会場もダンスホールなんですけど、アンティークな内装で、メチャメチャ世界観あって面白いんですよ。
KARMA 俺らも行きましょうか? 何かコスプレして。
一聖 何やる? BugLugのコスプレしちゃう? 激アツなんだけど、それ(笑)。
KYOHEY 僕らもちょうど5人ですしね。
悠介 その日はちょうど衣装着ないから、貸すよ(笑)。
一聖 それは新しい!(笑)
KYOHEY ちょっと考えときます。
一聖 あとは11月から全国ツアーですね。2015年に出した2ndアルバムのリバイバルツアーという形で全国を回って、1月にZepp Shinjukuでファイナルという予定になってます。
KYOHEY XYは10月15日に、この前台風でキャンセルになったマンスリーショーの振替公演があります。実はその日がギターのKAIRIの誕生日なので、それも合わせてやっちゃおうかということで、普段やってるこのバンドとダンスとあと13人編成っていう形ではなくて、「アメーバ」ということを生かして、初めてやることをやってみようという「アメーバ企画」になってます。メンバーを入れ替えたりとか、今までやったことないことをやろうという試みです。
その先、来年1月に東名阪ツアーですね。17日に大阪なんばHatch、18日に名古屋ダイヤモンドホール、で26日、ファイナルがZepp DiverCityで。前回ワンマンやらせてもらったのと同じところなので、ぜひ来ていただければと思います。
──では最後に、改めて10月5日の2マンにに向けて、お一人ずつメッセージをお願いします。
KARMA さっきKYOHEYも少し言ってくれてたんですけど、今の時代って、自分はこれが好きとか、これがいいとか、そういうのが出しづらくなってるなって思うんですよね。何か「多様性」とか何だとか言ってるくせに、自分がいいって思ったものをちゃんと「いい」って言えないような生きづらい世の中だなってすごく思ってて。学校だろうと会社だろうと、どこでもそうだと思うんですけど、本当に自分が「カッコいい」って思ってるものを「カッコいい」って言えるような環境を作ってあげたいなってすごく思ってて。もう男も女も子供も大人も、もうそんなん関係なく、人種とか性別とか、そういう垣根を全部超えて、好きなことを好きな場所で一緒に楽しもうよっていうステージを作りたいなと思ってるので、もう何でも関係ないので、楽しみに来てください。
KYOHEY せっかくBugLugとXYの2マンでやらせてもらうので、非日常を提供したいんですよね。さらに、その後に前向きになれるようなライブをしたいというか。音楽に救われる人って、少なからずいると思うんですよ。そういう存在に自分たちもなりたいと思ってるし、この10月5日のライブは、いろんなことがあるこの世の中で、いいことも悪いことも全部ひっくるめて背中を押してあげられるようなライブにしたいし、そこに向けて僕たちも全力で向かっていくから、全力でかかってきてくださいと思ってます。対バンとは言いつつ、XYとBugLugでいいイベントを作れたらいいなと思っているので、僕らもすごく楽しみにしてるし、楽しみにしててほしいなって思います。
悠介 ジャンルは違えど、やっぱり音楽という部分では一緒なので。ウチのファンも、バンギャの方とかね、ビジュアル系しか行ったことないって方もいるだろうし、逆にビジュアル系は全く分かんないっていう方もいると思うんですけど、やっぱりいい/悪いしかないので、だからお客さんも何も気にせず、思いやりだけ持って楽しんでほしいなとは思います。僕らもキャリアとか関係なく、盗めるところは盗みたいし、僕らは完全にライブバンドなので、その日にしかできない、その日にしか生み出せないものを、この2バンドで作れたらいいなと思ってます。
一聖 やっぱり長々とビジュアル系としてやってきていて、ビジュアル系が好きだし、ビジュアル系は大事と思ってるからこそ、今ビジュアル系として何をやれるかっていう時に、XYとのツーマンっていうのがすごくうれしくて、そのうれしさをちゃんとライブという場所で吐き出して、みんなにとってもうれしいというものになったらいいなって思います。ビジュアル系への世間のイメージって、衰退してるとか言われてたり、昔と比べても食いつきがよくないと思うんですよ。でもこうやって、まだできたてホヤホヤのグループと一緒にやれるっていうのは僕らからしても、とってもうれしいことだし、それをみんなにも感じ取ってもらいたいなって思います。
──10月5日が楽しみですね。ありがとうございました!
CLUB SEATA 15TH ANNIVERSARY「BugLug vs XY」
日程:2024年10月5日(土)
会場:吉祥寺CLUB SEATA
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目20−3 吉祥寺パーキングプラザB1
開場 / 開演:16:00 / 17:00
出演者:BugLug , XY
【XY Web Site】
https://x-y.tokyo/
【XY Instagram】
https://www.instagram.com/xy___official/
【XY X】
https://twitter.com/xy___official
【XY YouTube】
https://www.youtube.com/@XY___official/
【XY TikTok】
https://www.tiktok.com/@xy___official
【XY Fanclub】
https://x-y.love
【BugLug Web Site】
http://buglug.jp/
【BugLug Instagram】
https://www.instagram.com/buglug_staff/
【BugLug X】
https://twitter.com/RR_BugLug
【BugLug YouTube】
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。