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【絢香】新天地で曲を書き上げた、ポジティヴな風を感じるアルバム『Funtale』

絢香

【絢香】新天地で曲を書き上げた、ポジティヴな風を感じるアルバム『Funtale』

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絢香の最新アルバム『Funtale』(読み:ファンテイル)は、本来の絢香らしさと新たな絢香が200%ギュッと詰まっていて、「チャレンジ精神旺盛な子供だった」というその性格を示すかのように、環境を変えることで生まれたフレッシュな作品だ。何度も訪れてきたという大好きなニュージーランドで、家族と共に生活しながら曲作りに臨み、精神面でも音楽面でもポジティブで成長著しい楽曲が勢揃いした。まさに、リスナーの背中を押してくれる嬉しい1枚になっている。

思い切って環境を変えて、ニュージーランドで感じるままに曲作りを開始。

――『Funtale』が完成して、これが最初のインタビューになるそうですが、今感じていることを教えてください。

絢香 大好きなアルバムができました。今の私がグッと詰まったアルバム。一番に思うのは、思い切って環境を変えて良かったな、ということですね。

――というと?

絢香 今年はデビューして17年になりますが、15周年を終えたあたりから、同じ環境のままでずーっと曲を作り続けていくことへの限界というか、大きな変化が必要だと感じていたんです。それで、もっともっと自分自身がいろんな面で成長していきたいという欲を叶えるためには、思い切った動きが必要だなと思い、今回、曲を書く場所をガラッと変えました。10年以上も前から大好きだったニュージーランドという国に自分の身を置いて、そこでゆっくりと生活をしながら、感じるままに曲を書いていったんですね。完成した曲を今聴いてみると、前と比べて気持ちが外に向いているというか、自分がニュージーランドで感じていた良いエネルギーがグッと詰まった作品になったなぁと思って。風通しがいいアルバムというか、聴いていて気分がいいです。

――ニュージーランドでは曲作りを行い、レコーディングは日本で?

絢香 そうです。作詞と作曲、曲をゼロから生み出す作業をニュージーランドで生活をしながら行いました。

――ニュージーランドに惹かれた部分というのは?

絢香 今から12年くらい前に初めて行ったんですよ。いい空気を吸って、身体に良いものを取り入れて、身体の根本から良くしたいという思いで訪れたんです。そうしたら、あまりにも気が良くて、降り立って数日過ごしただけで身体の中の空気が全部入れ替わるような感覚があって。自然が豊かなのはもちろん、空気も良くて、人も穏やかで優しくて、あと、みんな“自分は自分”というありのままの姿でいるのが印象的でした。人の目とか気にしていない気楽さがあって、日本とは違う魅力を感じた世界だったんです。そこからは毎年のように時間が取れる時は訪れて、観光するというよりも、そこで普通の暮らしをして過ごしていました。

――ニュージーランドには、ロードのような著名なミュージシャンもいますが、音楽的に刺激を受けることはありますか?

絢香 ニュージーランドにもいろいろなアーティストはいるけど、私にとっては音というよりも本質的な大切なことをたくさん気づかせてくれる場所かな。アーティストとして刺激を受けたかったらきっとロンドンに行きたかったりするんだろうけど、今回はそういうことではなくて、本当にひとりの人間として身体の中の空気をあらためて一度入れ替えたかった。そこに身を置いたときに自分がどんなことを感じるかなぁって。ニュージーランドで曲作りをした意味はそこにあったんです。

――確かに、発声や歌い方も軽やかで、エアリーに変わってきた気がしました。レコーディングの音質そのものもとても良いですよね。

絢香 嬉しい!ありがとうございます。歌い方に関しては、ここ数年すごく言われることなんですけど、以前の声を張り上げて高音で歌いたいという欲よりも、何かスッと人の心に寄り添える音域があるんじゃないのかなって思っていて。なので、低音域や中音域で優しく淡々と歌いながら、そこにどれだけ思いを込められるかなぁと、意識しながら曲構成をしています。曲を作るキーの設定や、歌の入り口をこのあたりの音域から始めたいな、といったこだわりもそうですね。最近はその音域が自分の持ち味だと思えているからかもしれない。

――普通のイヤホンで聴いていても、その歌声はもちろん、「突き破る本能」のドラム、特にスネアの音がとても特徴的で音質の良さにも魅了されました。

絢香 嬉しいです。歌の聞こえ方、自分の声がこう聞こえてほしいという理想はずっとあって、どうしたらその通りの音になるんだろう、と長い間模索していた中で出会ったエンジニアのD.O.I.さんに数年前からやっていただいています。打ち込み系が得意な方なので、私との親和性って一見低いかなと思うんですけど、ヴォーカルの聴かせ方が私はすごく好きで、お世話になっています。私も聴いていて気持ちいいです。

「Home」と「夢幻花火」は大事な曲で、どちらをシングルにするか迷いました。

――では、1曲目の「To The Moon」から順に伺っていきます。私は最近の曲では「Blue Moon」がすごく好きで、もちろん「三日月」のような名曲もありますが、なんとなく絢香さんにとって月や空といったものはスペシャルなもののように感じます。どうでしょう?

絢香 昔から空が大好きで、空や月、星って、今近くにいない人を思う象徴のものであったり、力をくれる存在なんです。ニュージーランドにいると、本当に空が大きい。高いビルがないから、虹だって端から端まで全部見えるし、雲も迫力があって美しいし、青と白のコントラストがくっきりしていて、あの空を毎日見られるだけで心が整う。空や空にあるものは私にとって欠かせないもので、毎日見るものだから自然と歌詞の中にも盛り込まれるんだと思います。

――「To The Moon」はスズキ「ソリオ バンディット」CMソングでもありますが、自分やみんなへの応援歌のように感じました。

絢香 聴く人を笑顔にできて、この歌が流れる空間がどんどんいいエナジーで満たされるようなそういう曲を作りたかったんです。私はいつもメロディの構成を作った上で、そこから歌詞、言葉を探していくんですけど、これはどう聴いてもポジティヴなエネルギーに溢れたメロディだったんですよね。「気分が上がらないなぁ」って元気が出ない時に、聴いたら無条件に元気になれる曲、聴いている時だけは自分が主役になれるっていう、そういう曲にしたいと思いました。UTAさんが創ってくれたアレンジもとにかく気分が上がる!凄く気に入ってます。

――次の「Home」は、故郷を離れたからこそ想いが募り、歌いたくなったナンバーなのでしょうか。また2人のお子さんの母親になったからこそ、気づくことも多くなったと思います。どのようなことに気を配りながら書いたのでしょう?

絢香 ニュージーランドで毎日、朝日が昇るのを眺めるたびに、遠くに住む自分の大切な家族の健康や幸せを願う自分がいることに気づいて書いた曲なんです。自分が生まれ育ったHomeを離れてからもう随分経つけど、どれだけ遠く離れていても、どんな時でも背中を押してくれる、温かくて大切な存在なんですよね。そんなHomeがあったからここまで歩いて来れた。そんなことを思いながら書きました。

――すごく伝わってきます。それにしても早起きなんですね。

絢香 朝5時半には毎日起きています(笑)。

――「夢幻花火」は、情景がそのまま浮かぶような歌。繊細な音遣いも素敵ですし、後半のハーモニーも神秘的で引き込まれます。新しい絢香さんを見つけた気持ちになって聴いていました。

絢香 凄く嬉しいです。これは本当に特別な曲で、最後まで「Home」とどっちの曲でミュージックビデオを作ろうかと迷ったくらい、私にとって大事な曲なんです。音色も、昔の色褪せたホームビデオのような質感の音にしたくて、アレンジもオーダーしたんです。

――曲を作るきっかけは何だったの?

絢香 何かの時に、娘から「ねぇねぇ、ママが小さい時ってどんなところに住んでいたの?」って聞かれたんです。それでGoogleマップで昔住んでいた家や通学路や学校などを一緒に見ていたら、何かその時代にタイムスリップしたような気持ちになって、ここ歩いてこんなことを思っていたなぁとか、当時の自分のことを思い出したのが、曲を作るきっかけですね。この曲では、今の自分と小さい頃の自分が対峙していて、想像の世界ではあるんだけど、小さい頃の自分の瞳には今よりずっと若くて元気な家族の笑顔が映っていて…、懐かしくて、ちょっと切なくて、優しい……、そんな夢の中にいるような曲です。

――私はこのアルバムの中で、今のところ一番好きで繰り返し聴いています。花火って、その一瞬でしかないので、それが美しかったり儚かったりもするんですけど、それをすでに曲名が表していて夏にぴったりだと思いました。

絢香 実はシングルを決めるにあたり、「Home」も大事な曲なんですけど、「夢幻花火」も相当迷ったんですよね。思い入れのある曲だから。

――わかります。ところで2人姉妹を見ていて、子供の頃の自分を思い出したり、ここの性格は自分に似ている!と思ったりすることはありますか?

絢香 ありますね。言われて3秒で忘れるところ、とかね(笑)。もう笑っちゃうくらい自分に似ている時があるので、娘に注意しながらも、自分も気をつけようって思う(笑)。

――とはいえ、自分の好きなところと似ている部分もありますよね?

絢香 そうですね。短所が長所というか、言われて忘れちゃうもんだから、全然引き摺らないんです。何か嫌なことがあったり、自分が失敗して怒られたりしても、気持ちを切り替えて、次の日にはなんなら忘れちゃってる(笑)。明るくてポジティヴなのは、とてもいいところ。 

変化は大人になればなるほど怖いことだけど、見たい景色を常に探していたい。

――そうですよね。次の「Joyful Change」はこれまでだったら、もうちょっと強く歌うスタイルもあったとは思うんですけど、それは“リズムまわるJoy”、“予想外のムーブ”といった1フレーズだけに思いを込めていて、歌詞は“ルールを壊し”などメッセージは強いんですけど、全体に軽やかに背中を押す感じ、その力の入りすぎていないところがいいなと思いました。

絢香 わぁ、嬉しい。

――さっき絢香さんが話していたように、本来だったら熱く歌ってもいいはずなのに、この歌唱法の変化は絢香さんの変化であり、それこそ歌詞にある“新しいキミ”そのものなのかなと思って聞いていました。

絢香 歌唱法は全曲に通じるんですけど、その熱く歌って聞かせるところって、バランスによって生きてくるんだなって年を重ねて気づけたことですね。今の気持ち的には、たとえば、10あれば2か3くらいあればちょうどいいのかな、って思っていて。自分が選んで曲を聴くときに、10のうち5以上熱いと、1回聴いたらもう満足しちゃって何回も聴けないんです。だから何度も聞ける軽やかさがほしいと思って、アルバム全体のバランスを見ながら意識して作ったところですね。

――アレンジもいいですよね。

絢香 そうなんです! 私が一緒にやるアレンジャーの方ってピアノをメインに弾く方が多かったんですけど、この曲ができた時に、ギターがメインでいろんなことができる人がいないかなと思って探していたら、Shin Sakiuraさんを見つけて。たくさんアレンジのやり取りをして仕上げていきましたが、私の希望を柔軟に受け入れて提案してくれるのがありがたかったです。今までの私の曲にない新しいサウンドになって、歌っていても新鮮でした。音の隙間がたくさんあってサウンドが軽やかだから、何度も聴ける良さがありますね。

――この歌詞、“新しいキミ”に込めた思いは?

絢香 まさに今回環境を変えたこともそうですけど、思い切った変化が必要な時って必ずあると思うんです。変化って大人になればなるほど怖いけど、でもその不安や怖さまでも楽しんじゃう、「見たい景色を探しに行く」っていうことは、やっぱり常にやっていきたいことだと改めて思いましたね。

――絢香さんは子供の頃からチャレンジャーだったの?

絢香 結構恐れずにいくタイプでしたね(笑)。“ルールを壊す”という歌詞に関しても、ルールを壊すことは日本では特に大変なことで、「みんな同じじゃないといけない」という空気がありますよね。それは時によって窮屈に感じてしまう部分でもあって。今回海外に出て、生活しながらその中で曲を作ろうとしたこともそうだけど、「いろんなことを考えて動けなくなるよりも、思い切って動く」、その行動力や決断力は必要だなって再認識しました。一気に世界が開けたし、こういうアルバムを作れたし。

――人生一度きりですからね。いろいろ楽しまないとね。

絢香 本当にそうなんですよ。「これをやると誰かがどう思うかな」とか、そんなことを何十個も考えていたら動けるわけもなくて、結果的には「自分がどうしたいか」、「自分がどこにいたいか」というところに耳を傾けないと、どんどん時間は流れていきますからね。

―そういう意味でも、このアルバムはメッセージ性の強い、本当にいい一枚になりましたね。

絢香 そうですね、自然とそうなりましたね。自分もまた忘れそうになった時に、きっとこの『Funtale』を聴いて思い出せるでしょうし。

――次の「Only Star」は自然と身体を揺らしてしまう心地よいナンバーですね。 

絢香 この前にも後ろにもズラせる絶妙なテンポ感、グルーヴ感というのが、歌っていて一番心地いいところなんですよね。この曲ができた時に、大人っぽいアレンジ、ちょっと色気のあるサウンドにしたくて、最初に浮かんだアレンジャーがKan Sanoさんでした。アレンジも素敵な上に今回はコーラスにも参加してもらったんですが、私が4、5本重ねた上にKanさんにも1本入れてもらって、Kanさんの柔らかい包み込むような声の成分が足されて、サビがすごく良くなりました。

――「突き破る本能」は、これまでの曲でいえば「Woman」などと同じ方向性の女性のアンセムのように感じました。これこそ打ち込み、リズム隊など、演奏だけ聴いていても楽しめます。スネアの音が面白いですよね。アレンジがめちゃ面白かったです。

絢香 アレンジ、最高ですよね!アレンジャーは河野圭さんで、「にじいろ」をアレンジした人だと思えないくらいのこの振り幅が彼の天才的なところで。私はアレンジの幅を狭めたくないし、私が思いもよらなかったものを皆さんには出してほしいから、基本、好きなように楽しんでアレンジしてほしいということを前提にオーダーするんです。そして、河野さんは毎回最高の形で返してくれるんです。曲としてもヴォーカル的にも、このアルバムの中で1番パワー感がある曲ですね。

――そうですね。それぞれのパートで何が起こっているんだろうと思って、ヘッドホンを押さえながら、楽しく聴いていました(笑)。

絢香 (笑)。

――「AoRaki」は、曲名からニュージーランドにある山、アオラキに登った印象から書いた曲なのかな、と思いました。

絢香 登ったことはないんです(笑)。アオラキは、マオリ語で「雲を突き抜ける山」という意味で、12年前に初めてニュージーランドを訪れた後に、うちに迎えたの双子の犬の名前を、双子だから一つの言葉を二つに分けて名前をつけたいという経緯もあって、アオ、ラキと名付けました。。曲名は、まさにこれはニュージーランド産という風が感じられる楽曲なのと、愛犬たちの名前から、表記はAoとRakiとして付けました。

――リズムもマオリ族の音楽に関係があったりするのですか?

絢香 全然ないです(笑)。最初はもっとシンプルなリズムをイメージしてたんですけど、このリズムがハマると面白いんじゃないかなと思いついて河野さんに提案してみたら、いいね!となり、ライヴでも映えるサウンドになりました。歌詞の世界観もそうだけど、歌っていて私の中ではニュージーランドを感じられる曲になったし、心をオープンにして自分の声に耳を傾けて生きていくことは気持ちのいいことなんだなと再認識できるきっかけとなった曲です。

――私は勝手に山に登ったことで生まれた曲だとイメージを膨らませていたので、お子さんたちが大きくなってから、ぜひご家族で登ってください(笑)。

絢香 もう少し大きくなって、抱っこがなくなったらかな(笑)。 

「さよなら Mr.」で、これまで蓋をしていた複雑な思いを解放したいと思って書きました。 

――「さよならMr.」はアコーステイック・ギターやバイオリンなど弦楽器をメインに伴奏された、プライヴェートな楽曲に思えました。

絢香 Mr.というのは自分の父のことです。もうずっとずっと会っていない疎遠の父がいて、いろんなことがあって今があるんですけど、自分の心の傷を見ないように、蓋をして隠すように片隅にしまっていて、でもニュージーランドで心が解放された時に、「曲にして区切りをつけないといけないな」と初めて思えたんです。赦すとか解決するとかそういう事ではなくて、歌詞の中で“心の底に仕舞い込んでた思い出の 蓋を開けて空に放つ”とありますが、この状況も、悲しみも、寂しさも、複雑な思い全部を解放して手放す、そんな気持ちで書いた曲です。不思議と、言葉にして形にできたことで、心がすーっとしたんですよね。私にとって曲を書くということは、時にセラピーのようなものでもあるんだなって思いました。誰もが、あえて言わないだけで、家族だったり、友達だったり、恋愛の相手かもしれないけど、複雑な思いが残る別れってあると思うんです。私もあえて話すことはなかったし、話す必要もなかったけれど、でもやっぱり自分が親になったからこそ感じることもあって、この曲が生まれる自然なタイミングだったんだと思います。

――そうなんですね。ニュージーランドという大地が、ある意味、心の支えになっているように思えます。次の「未来へ」はNTTドコモ「ドコモ未来ミュージアム」のCMソングのお話があってから書いたのですか? 

絢香 そうです。「子供の未来」というテーマが決まっていたので、今の私にはとても自然に書けるタイアップのお話でした。子育て中心の生活を送る日々の中で、娘たちの成長を見守ることに注いでる今だからこそ感じるものが多くて。子供が1歩ずつ歩いていく未来を、そして1番近くで見守る私たち親の気持ちや感情を曲にしました。日々成長していく喜びと、いつか巣立っていくんだ…という寂しさが毎日入り混じってますが、だからこそ、一緒にいられる時間をどれだけ大事にして愛をたくさん伝えられるか、そのために何ができるかなって、本当に毎日思っていることです。

――この歌の低音も絢香さん?

絢香 そうです。

――こんな低音部も出るんですね!

絢香 暖かさ、包み込むような空気を表現したくて、低音もコーラスという扱いではなくしっかり聴こえるように出しています。

――歌詞の中に、“少しでもあなたの景色が広がり、空高く羽ばたけるように”とありますが、子育てで心がけていることはあれば教えてください。

絢香 可能な限り、いろいろな世界を見せてあげたいです。今回ニュージーランドへ行って、子供たちは新しい環境にすぐに順応して、お友達を作ったり、自分の居場所をあっという間に築いたりしたことに感動しました。「楽しいー!!」をたくさん感じて心がキラキラ光ってるのを見ると、涙が出るほど嬉しい。「どうしたい?」、「こういう時、どうしたら良いと思う?」と問いかけることも大切にいていますね。自分で考える力がついてくれたらなって。日々、子供達の姿に私自身たくさん学ばせてもらっています。

“旅を続けてきた私なりの道/文句はない”、このフレーズはすごく好き。 

――次の曲「あなたの世界が」に移りますが、“旅を続けてきた私なりの道/文句はない/音が流れる海を泳ぐように/地図はいらない”という歌詞が、先ほどの話にあったように、すごくカッコイイと思いました。

絢香 嬉しい!

――こう歌えてしまうような、生きる術のようなもの、ポリシーのようなものがあれば教えて下さい。

絢香 今歌っていて「幸せ」って思えること、大切な家族がそばにいること、それが全てですね。ここに来るまでいろいろなことがあったけど、「何一つ間違いじゃなかった」と思わせてくれる。“旅を続けてきた私なりの道/文句はない”、このフレーズは私もすごく好き。

――今回のアルバムで何番目くらいにできた曲ですか?

絢香 これはね、後半だった気がする。

――そんな気がしました。これまでの流れの中で締めっていう感じがしたんですよね。

絢香 そうそう。だからアルバムでも、「Beautiful World」は(映画の主題歌として先に発表していた)別物として、その前のアルバムのエンディング曲として最後に位置付けたんです。

――その映画『天間荘の三姉妹』(2022年)の主題歌「Beautiful World」は、どのような過程で玉置浩二さんと共演し、作詞と歌を担当することになったのですか?

絢香 2016年に「玉置浩二ショー」に呼んでいただいた時に、玉置さんが「いつか一緒に作品を作ろう」と言ってくださっていて。映画の主題歌の話が玉置さんにあった際に、「絢香と歌うのはどうか」と玉置さんが監督に提案してくださったと聞きました。私もずっとまたご一緒したかったので、連絡が来たとき本当に嬉しかったです。先にデモ音源をいただいたんですが、歌詞がない玉置さんの歌にはすでに壮大な景色が広がっていて、感動しました。打ち合わせで、玉置さんから「歌詞は絢香ね」と言われ、驚きましたが、嬉しかったです。 

――作詞の時にはどのあたりまで映画の内容はわかっていたの?

絢香 映画はほとんど完成していたので、先に観ることができました。玉置さんと打ち合わせをした時に、「誰でも忘れられたくないよな」と話されていたのが印象的で、サビに「忘れないよ」という言葉を書きました。そのフレーズを歌う玉置さんの歌がまたすごいのです…。もう会えない大切な人を思う気持ちや、「今自分たちがいる世界がいかに美しいのか」、そんなことを思いながら、打ち合わせをしてから1日で書きました。

――いかがでした共演は?

絢香  もう……幸せでした。玉置さんの歌を隣で聴いていると、自分の心が忙しく動くのがわかります。ぎゅっと掴まれて涙が溢れそうになったり、嬉しくなったり。声を合わせる時の感動は凄まじいものがありますね。歌いながら鳥肌。制作のやり取りをしている中でも、本当に歌うことが大好きで、ピュアな心で音楽に向き合っている方なんだなって。大先輩のそんな背中を間近で見られたというのは貴重な体験でした。

――最後にアルバムタイトルについて教えて下さい。

絢香 ニュージーランドを象徴するFantail(ファンテイル)という鳥がいて、その鳥の名前から発想をもらって、発音はそのままに綴りを変えて、fun=楽しい、tale=物語から『Funtale』にしました。この作品を手に取ってくれる誰かにとって、共感できたり、聞くその人自身が物語の登場人物として感情移入しながら楽しめたらいいなと、そんな想いでつけたタイトルです。アルバムジャケットも実際の鳥から発想を得て、架空のカラフルなFuntaleの脚に掴まって旅に出る……そんなファンタジーな世界観の可愛いデザインに仕上がりました。

――アルバムタイトルを決めたのはいつ頃ですか?

絢香 大体全曲揃ってからですね。

――そして、もうすぐツアーが始まりますね!

絢香 はい!今回のツアーは、このアルバムを引っ提げてのツアーだからアルバム曲はもちろんなんですけど、そこに旧譜も混ぜながら初めて来てもらえる人にも楽しんでもらえる内容にしています。バンドメンバーも素晴らしいミュージシャンが集まってます!バンマスに河野圭さん、ギター西田修大さん、ベース越智俊介さん、ドラムに石若駿さんと、最高のライブになりますよー。そしてなんと言っても今回はみんなで歌えるツアーという……泣かないようにしなきゃなって今から思っているくらい、楽しみです!ぜひ全国の会場へ会いに来てもらえたら嬉しいです。最高の時間を一緒に過ごしましょう!

――私もぜひ伺いたいと思っています。

絢香 是非いらしてください。今日はありがとうございました。

――こちらこそ、ありがとうございました。


『Funtale』2023.6.21 ON SALE
  

■全国ホールツアー「Funtale Tour 2023」
https://room-ayaka.jp/news/detail.php?id=1105094
6/24(土) 千葉 松戸市森のホール21
6/30(金) 大阪 フェスティバルホール
7/01(土) 大阪 フェスティバルホール
7/08(土) 宮崎 宮崎市民文化ホール
7/09(日) 鹿児島 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1
7/14(金) 愛媛 松山市民会館
7/16(日) 高知 高知県立県民文化ホール
7/22(土) 北海道 帯広市民文化ホール
7/23(日) 北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
7/28(金) 愛知 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
7/30(日) 埼玉 大宮ソニックシティ 大ホール
8/11(祝・金) 島根 島根グラントワ
8/12(土) 福岡 福岡サンパレス ホテル & ホール
8/19(土) 静岡 磐田市民文化会館かたりあ
8/20(日) 滋賀 滋賀県立文化産業交流会館
8/26(土) 宮城 仙台サンプラザ
9/01(金) 岡山 倉敷市民会館
9/02(土) 広島 上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
9/09(土) 京都 ロームシアター京都
9/10(日) 兵庫 アクリエひめじ(姫路市文化コンベンションセンター)
9/16(土) 東京 東京国際フォーラムホールA
9/23(土) 石川 本多の森ホール
9/24(日) 群馬 高崎芸術劇場 大劇場

【チケット料金】
全席指定 8,800円(税込)
※未就学児童入場不可
https://l-tike.com/concert/mevent/?mid=375922

【絢香 OFFICIAL WEBSITE】
https://room-ayaka.jp/

【絢香 YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UC1NtXVnJ-VffY4fCmI2tLxw

【絢香 Twitter】
https://twitter.com/Ayaka_1218

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