ミニアルバム『petit fours(プチフール)』をリリースした崎山つばささん。今作では全曲の作詞に挑み、前作までにも増してジャンル的にも幅広い楽曲が収録されています。舞台や映画、TVでも活躍の場を広げながら、アーティストとしても新たな表現に挑み続けている崎山さんに、収録楽曲のことはもちろん、いろいろとこちらも幅広くお聞きしました!
『petit fours』は前作『latte』との組み合わせで……
──今回のタイトル『petit fours』には、どんな意味が込められていますか?
崎山 去年の前作、『latte』にはいろんな曲が入っていて、苦々しいダークな曲だったり、ミルクのような甘い曲だったりが合わさっているので、『latte』だったんですね。今回はそれと一緒に楽しんでもらえる、コーヒーとスイーツという意味合いにしたんです。『petit fours』はスイーツの詰め合わせということで、今作もジャンルレスないろいろな曲の詰め合わせになっているので、このタイトルにしました。
──『latte』もそうですが、発想がいいですよね
崎山 お、褒められた! 大きく書いてください(笑)。今回のリード曲である「(i + i )」もそうなんですけど、オリジナリティ溢れるものが作りたいという気持ちが強いというか、どうせタイトルをつけるなら面白いものがいいなと思っていて、今回もそういう風に考えました。
──1曲目の「正偽」は昨年の映画「クロガラス3」公開のときに発表された曲ですよね。このタイトルからして造語で、かなりハードな曲調ですよね。
崎山 前回の「クロガラス」の時に書いた「リクエスト」という曲があるんですけど、あれと同じぐらいハードですよね。ロックテイストという意味ではわりと近いものがありますね。
──今作の収録曲は全部、ご自身で作詞されていますが、映画の内容に沿って書かれたんですか?
崎山 そうですね。画を撮り終わってから、作り始めました。自分が実際に演じてみて、何を主題歌として伝えたいかなと思って。映画のテーマが「正義」だったので、それに寄り添うような形で。
──日常生活の中でこの歌の内容みたいに、人によって正義が違うことで何か憤りを感じたりとかというのはあってという感じですか?
崎山 いえ、この作品に出会って改めて考えるきっかけになったっていうのがあって。今まで生きてきて、「正義とは何だ」って考えたことって、ほぼほぼなかったし、自分が正しいと思っていたことが本当に正しいのかっていうこと自体、考える時間ってそんなにないと思うんですよ。で、この作品に出会ったときに、これをテーマとして曲を書こうというのがまず自分の中であって。なので、何かに憤りを感じたから書いたというわけではなく、作品と出会ったことによって、それを考えさせられるきっかけを、逆に僕がこの曲で誰かに同じように感じてもらえたらいいなっていうメッセージを込めて。
──語りのパートもありますが、「語り」と指定されたところにはめた感じだったんですか?
崎山 最初は語りではなく普通のメロディーがあったんですよ。でも、より伝えられる表現として何があるだろうって考えたときに、尾崎豊さんじゃないですけど、突然曲中に語り出すっていうのは面白いなと思って。それを今までやったことがなかったので、やってみたら採用され、CDとなったという感じです。
──完成して改めて聴いてみると、ご自分としてはどんな感じを受けましたか?
崎山 やっぱり違和感を感じるので、それはそれでアリだったのかなというのはすごくありますね。そこで、何も知らないで聞いてる人が「お、何だろう?」ってなった瞬間に勝ちだなと思うので。それを狙ったって言っちゃうとアレですけど、より曲の世界観をぶつけるためには、語りがいいのかなと思いました。
──この曲では、一番印象的なところが語りのパートになったと思うんですが、いろんな形でちょっと「おっ」と思うところを作りたいという感じですか。
崎山 そうですね。なかなかそれって難しいと思うんですけど、根本的にはちょっとオリジナリティが感じられるような、作品作りとして、そういうところを大切にしたいなとは思ってますね。
──これだけハードな曲は久しぶりですよね。ご自身の個人的な好みとしてはどうですか?
崎山 たぶん僕の空気感や生き方としては「ロック」ではないと思うんですけど、でもそれを表現できるのは音楽でしかないんですよね。もちろんロックを聞いたりもするし、カラオケとかで歌ったりもしますけど。でも、自分の声質とかにはバラードが合ってるのかなとは思います。ただ、今までいろんな曲をやらせていただいた中で、ロックの曲は「挑戦」としてできるところがいいのかなと思いますね。
──ちなみに、崎山さんの音楽的なルーツというと、どういうあたりになるんですか?
崎山 たどっていくと、家族みんなが音楽に関わっていたというか、父が若かりし頃にバンドをやっていて、矢沢永吉さんが好きで、よく車の中でどっか行くときとか矢沢さんがかかっていたりとかして。で、母はBOØWYやクイーンが好きで、それも車の中で流れてたりして。兄もバンドをやっていて、祖父もよくカラオケ大会とかで歌を歌ってたんですよ。そう考えると、僕の周りには常に音楽が流れていたんですよね。だから、ルーツで言うと家族の存在。曲で言うと、一つには絞れないですけど、クイーンだったり、BOØWYだったり矢沢永吉さんだったりというのが、少なからず耳に残ってるというのはあるかもしれないです。
──そういう環境で育って、「僕はこれだ!」みたいなものは?
崎山 いや、まだないですね。学生時代も、バンドの曲とかロック聞いたり、洋楽など、いろいろ幅広く聞いていった感じで。
──それが今回、作品に表れている感じはしますね。この曲は映画の映像を使ったリリックビデオが出てるじゃないですか。こうしてご本人を前にすると、改めて普段の様子とは全然違うなと思いますね。それだけに、リリックビデオとして曲とすごく合ってるなと思いましたし。
崎山 ありがとうございます。映画初主演というものであったからこそ、続いたらいいなあと思っていたら、ありがたいことに3作プラス「0」とシリーズ化することができて、これから先も続いたらいいなと思いますし、そのためにもっともっと頑張らないといけないなと思いますし。自分の中ではやっぱりライフワークのようなものにしていけたらいいなという気持ちでいます。
──ご自身と、主人公の「黒斗」の間にはだいぶギャップがありそうですね。
崎山 全然違いますね。机蹴らないですし(笑)。
──ですよね(笑)。生活圏からして全然違いそうですよね。
崎山 そうですね。確かに、何食べてるのか想像できないっていうのもありますし。
──たぶん、黒斗にも崎山さんの生活は想像できないでしょう。
崎山 なるほど、確かにそうかもしれないですね(笑)。同じ世界線にいないかもしれない。
──でもそれだけに、演じる楽しみというのはあるんじゃないですか?
崎山 最初はやっぱり、自分とかけ離れてるところで難しさもありましたし、分からない部分も多いからこそ、それを探っていく楽しさもありましたけど、やっぱ最初は課題の方が多かったですね。
──今はだいぶできてきましたか?
崎山 どうなんですかね。また黒斗自身がまだ謎が多い人ですから、これからいろんな顔を見せてくれるんじゃないかなと思ってますけど。
「(i + i )」での、「日本ポップ界に残る発明」とは?
──そこも楽しみですね。で、2曲目が「(i + i )」。これはドラマ「パティシエさんとお嬢さん」の主題歌ですが、最初、このタイトルはどう読めばいいんだろうと思って。「アイたすアイ」でいいんですね。絵文字ですよね?
崎山 そうです。読み方が分からないというのも、狙いだったんです。最初にまず「何て読むんだ?」っていうことから興味を持ってもらうのと、それが分かった時に、より楽曲に対してイメージが変わるというか。タイトルって、僕にとっては子供に名前をつけるぐらい大切なことだと思ってるんですね。その曲の顔でもあるし。だからこそこの曲に関しては、ドラマの主題歌でもあるし、今までにないような楽曲だから、ちょっと変わった名前をつけてあげたいなっていう気持ちもあって。それで最初は「記号はタイトルにできません」って言われて、別のタイトルを考えたりしたんですけど、何か急に「いけました!」っていう連絡が来て、このタイトルで大丈夫になりました。
──でも本当にポップですよね、この曲。しかも、「Oh」と「凹」をかけるところは本当に感心しました。この発想はどこから出てくるんですか!
崎山 そこを注目してもらえたのは、すごくうれしいです(笑)。今の時代って、歌詞を見ない人が多いと思うんですよね。そんな中で、自分が耳で聞いてるものと歌詞を見比べたときに、「あ、こんな歌詞だったんだ!」と二度喜べるみたいな。そういう遊び心というかトリックみたいな、そこのポップさもちょっと表現したくて。
──なるほど。
崎山 最初は普通に「Oh」だったんですよ。でも何か違うなあと思って。曲のイメージもそうだし、この主題歌となったドラマで僕が演じた奥野丈士という人物がいるんですけど、その人のイメージもいろいろあったりして。よく凹んでるんですよね、気になる人の名前が聞けなくて。そこから考えて、「凹み」……「凸」……「凹(おう)」……あ、こりゃいいな!と。
──これって、大げさかもしれないですけど、日本ポップ界に残せる発明じゃないかと思いますよ。
崎山 それはすごい(笑)。いろんなとこで言ってください(笑)。
──語り継ぎます(笑)。その後の掛け合いとかもすごく計算された感がありますよね。これは時間がかかったんじゃないですか。
崎山 これはかけましたね。この歌詞が全部出来上がるまでに一つ一つの積み木を重ねていくような……
言うなればジェンガみたいな作業ですよね。「ここ取ったらいけるか?」「ここを取ったらちょっと崩れちゃうか-」って。何かそういう作業をしていって、やっとできました。
──曲もポップだし、またMVがまたかなりポップで。
崎山 そうですね。今までMVで「演じる」ということがなかったので、今回はちょっと挑戦してみようというか。ドラマとは逆パターンで、僕がパティシエさんにもどかしい気持ちを抱いてるという、ドラマとのリンクを楽しみたいなということで、ああいうMVになりました。
──ドラマを見た人には、ちょっと番外編みたいな感じで楽しめますよね。ところで、ドラマも曲も恋愛をテーマにしたものですが、ご自身の恋愛観というと? 簡単に、攻めるかどうかで言うとどうですか?
崎山 うーん……時と場合によりますけど、あまり積極的な方ではないですね。わりと消極的というか、受身な方ではありますね。
──わりと相手に合わせる方だったりしますか。
崎山 そうですね。本当に相手も消極的で、それ以上進まないって分かったら自分が進むというか、積極的になることもあると思うんですけど、基本的には、あんまり自分からガツガツしていくタイプではないですね。
──ということは、この歌詞の主人公とは……。
崎山 ここまでではないかなって感じですかね。けっこう大げさに書いてるとこもあるので。例えば「いつまでたっても変わらない」という歌詞があるんですけど、それはけっこうキラーワードというか。このドラマの原作の主人公が、1年も名前を聞けないような男だったので、自分が中学生とか小学生の時の恋愛というか好きな人ができたときのことを思い出して書いたんですよね。その時に、いつになったら自分が変われるか、告白できるかみたいな、そういう時のことを思い出して。だから今の自分とは、また別の自分のことかもしれないですね。
──全然ないものを創作したわけではないけど、今のリアルな自分でもないと。面白いですね。この曲のポップさって、また新しい世界が開けてきた感じがするんじゃないですか?
崎山 それはありますね。今までになかったので、またこれをライブでやったら、また違う曲になるのかなっていう楽しみもありますし。どんどんどんどん変わっていくんだろうなと楽しみにしてます。
──3曲目が「地図(ルート)」。J-POPらしいというか、前向きな明るさをすごく感じる曲でした。
崎山 最初に曲をいただいたときに、それこそJ-POPな、恋愛ドラマの主題歌みたいだなというイメージが沸いたんです。でも、恋愛の曲は「(i + i )」で書いたしなと思った時に、ちょっと疾走感があると思ったんですよ。同時に今まで書いてこなかったような曲にしたいというのもあって、応援歌かなと思って。しかもそれが、僕が自分を応援しているっていうこともそうですし、聴いた人がその聴いた人、自分を応援している曲にもなったらいいなってのもあって、そういう意味を込めてこの曲にしました。
──それがすごく曲にマッチしたわけですね。この曲では、歌い方の工夫というのは何かありましたか?
崎山 この曲に関してはとにかく、最初に思った疾走感、背中を押すっていうよりも、雲一つない青空の下、グラウンドを駆け抜けるみたいな。屋上でギターをかき鳴らすみたいな、そういうイメージがずっとあったので、そういう表現の仕方を探ったという感じですかね。
──「疾走感」だけで言うなら、「正偽」もかなり疾走感のある曲ですが、また違いますよね。
崎山 そうですね。どっちかっていうと「陽」ですよね、こっちは。「正偽」はどっちかというと「陰」を感じるというか。
「Raise」はライブで自分を解放してもらうための曲!
──つぎが「Raise」なんですが、「(i + i )」から「地図」、そしてこの「Raise」と続くながれがすごくいいなと思ったんですが、この曲も開放感に溢れた感じですよね。
崎山 「Raise」には文字通り「上げる」とか「上がる」という意味もあるんですけど、「Raise your birth」になると「産声を上げる」という意味なんですね。さっきおっしゃった開放感じゃないですけど、ライブでこれを披露するというのが前提だったので、新しい自分を解放するという意味の「Raise」っていうイメージもあって。「私、こんなに叫んだことない」とか、こんなに手を上げたことない、手を回したことない」とか、ライブでそういう自分を開放してほしいなというか、産声をあげてほしいなというイメージで書きましたし、歌いました。
──そろそろお客さんも声を出したりできそうだなというところでの。
崎山 その願いも込めてやってます。しかも今、役者もやらせていただいていますが、舞台も全く同じ状況だったんですね。最初は本当に笑い声も出しちゃいけないんじゃないかっていうぐらいの雰囲気で、お客さんがマスクの下でに笑ってるのは伝わるんですけど、声は出せないという。それがだんだんと声出して笑うようになったりとか、拍手したりっていうリアクションがだんだん元に戻ってきたというか、大きくなってきたっていうのを体感で感じていたので、これをライブでもやれたらいいなと。
──次の「if u」はスローテンポで。この曲は「向いてる先が前だから」というフレーズにグッときました。印象的なフレーズを作るのがお上手ですよね。
崎山 ありがとうございます! 最初、歌詞を書き始めた頃は、本当にストレートな、まっすぐな歌詞ばかり書いていて。それはそれであると思うんですけど。その時にもうちょっと自分の言葉っぽく、造語でも何でもいいから、それこそオリジナリティのある歌詞を書いてほしいって何度も言われたんですね。そこで叩き込まれたのが、今ベースとなっているのは大きいかもしれないです。
──そうだったんですね。その過程で、何かを参考にしたりとかはしたんですか?
崎山 いや、これといってないですね。でも、いろんなアーティストさんがいる中でいろんな曲を聴いているのもあるし、その中で印象に残った歌詞とかをたぶん知らず知らずのうちにインプットしていて、それを自分の言葉でどうやって言い方を変えるかなと考えるようになったのが、一番大きいですかね。
──この「if u」は、ラブソングでいいんでしょうか?
崎山 一応僕の中では、僕を支えてくれてる人たち、周りのスタッフさんだったり家族だったり、応援してくれる人に向けて、書いた曲ですよっていうこともあるんですけど、でもそうしちゃうとそれがフィルターとなって、聴く人がそう聴いてしまうので、選択肢の一つとしてそれもあるし、その人が大切に思う持ってる人に向けた曲、っていうふうに、多面性を持っている曲ですね。
──なるほど。またこの曲のMVが印象的だったんですが、あれはどこで撮ったものなんですか?
崎山 あれは淡路島にある美術館なんです。ただMVのテーマとしては、どこか分からない場所だけど、そこでも繋がっているっていうことを伝えたかったので、雰囲気を作るためにCGを使ってるとこもありますし、だからそこでまた想像力を働かせてもらえたらと。
──円形になっている壁に囲まれているところとか、よかったですね。
崎山 美術館なので、あそこも作品になっていて、真ん中に立つと自分がマイクの前に立っているかのように声が聞こえるんですよ。反響するというか。それがすごくて感動しました。
──現地の実景も見られた上での、CGも駆使したMVの仕上がりはいかがでしたか?
崎山 そこもけっこういろいろあって、制作中にはとんでもないCGが上がってきたりとかもあったんですよ。ちょっとそれだと世界観が強すぎるっていうのもあって、もう少しこう……「ナチュラルじゃないんだけど、ナチュラルなファンタジーにしたい」っていうところがあって、結局完成版になったCGが一番しっくりきたというか。世界観に合ってるなと思って。
──というわけで全5曲について伺いましたが、今回、全曲を作詞というのは初めてですよね。作詞に関しては掴めましたか?
崎山 いやいやいや、全然まだまだですよ。もっとこう……自分的に「この歌詞、いいのできたわー」っていうのにはまだ全然たどり着いてない気はします。もっともっと面白いワード、を生み出したいなっていうのもありますし。まあ、それが全てではないんですけど、楽曲としてもっといい形に出来上がったらいいなっていうのはありますね。
──だんだんそれを考える時間が増えてきたりとかしてるんですか?
崎山 いや、例えば歌詞を書く上で、水一つに対しても「この水をどう表現できるか」と。「液体」でもいいし、「透明な物体」とかでもいいし、「渇きを潤すもの」とかでもいいし、そうやって一つのものを書くにしても、違う言い方はないかなってまず考えたりします。自分の曲を表現していく上で、自分が詞を書いた曲の方が説得力があるような気もするし、今のところ、自分の書いた言葉で楽曲を届けるっていうのが、自分に合ってるのかなとも思っているので、そう思ってる限りは、歌詞を書かせていただけるなら書きたいなと思ってます。
これからもどんどん、表現者として新しいものに挑戦していきたい!
──一方、MVではギターを持っているシーンがけっこうありました。昨年のインタビューでは、コロナ禍でギターの練習をされているというお話でしたが、もうかなり?
崎山 いやいや、まだまだ(笑)。他の仕事もあったりしますので、合間合間でギターを練習してたりはしますけど、うーん……まだまだですかね。
──作曲に興味は?
崎山 もちろんあります。いつか作曲してみたいなあとは思ってます。携帯のボイスメモとかにはちょっと入れたりはしてるんですけど。いつか披露できる日が来るといいですね(笑)。
──他のお仕事と言えば、舞台「怖い絵」を完走されたんですよね。尾上松也さん、比嘉愛未さんといった豪華キャストの中で、いかがでしたか?
崎山 いやあ、楽しかったですね。刺激的で。本当に毎日勉強させていただきました。キャストが5人しかいないので、みんなで繋いでいくっていう舞台でもあったし、コロナでいろいろ難しい中、いつ中止になるかも分からないという中で、全25公演、東京・大阪とできたことはすごくよかったなと思いますね。あの共演者の方たちと一緒にできたっていうのもすごく嬉しかったですし。作・演出の鈴木おさむさんと以前ドラマでご一緒したときに、連動して舞台もあったんですけど、それがコロナで中止になってしまって。今回はそれもあったので、絶対に最後までやりたいなっていう気持ちもあって、うれしさもひとしおでしたね。
──また、NHK BSの番組では義経の役も演じられたそうで。
崎山 そうですね。今回、「ちょっとダークサイドな義経を見せていきたい」という監督の方のイメージがあって、いろいろ調べたりとか、映像を見たりとかしたんですけど、ダークな部分ってあんまり語り継がれてないんですよね。だから、どう演じるかなっていろいろ不安もあったんですけど、まあでも、やるからには、やり切ってやろうという思いで。自分の中にダークな部分というものが、そんなにあるわけでもないと思っていたので、自分が思ってる10倍は悪い顔をしたりとか(笑)、そういう心持でやりました。
──「クロガラス」もそうですけど、そういう要求に答える場面が多いですね(笑)。
崎山 最近そういうのが多くて。血気盛んな、やんちゃな役とか、悪い言葉を使うような役とか。何ですかね、もともとの僕の中にはそういうものはないんですけど、続くんですね、そういうのって。
──「そういうのを演じてもらったらどうなるんだろう」みたいなのがあったりするんじゃないですか?
崎山 いや、でも義経に関しては、それはけっこう冒険ですよ(笑)。でもいい経験になりました。乗馬もさせていただきましたし。
──そういう活動もありつつ、アーティストの話に戻るんですが、4月29日と5月4日には、ライブがありますね。これは『petit fours』の曲が中心になるんですよね。もう演出とか構成なども?
崎山 はい、もうセットリストを決めたりとか、いろいろやっていますね。今回のコンセプトとしては、「(i + i )」っていうアルバムのリード曲にちなんで、ポップなライブにしたいっていうのが一つあるので。今までポップなライブってしてこなくて、ロックだったり、和だったり、大人しっとりだったりという感じだったので、また新しいライブになるんじゃないかなと思ってます。
──ライブもあり、ミニアルバムのリリースもありつつ、ここからはアーティストとして、さらに役者として、どうしていきたいですか?
崎山 どちらでも、本当に新しいこと、やったことがないことに挑戦していきたいという気持ちは常にあって。やったことないジャンルの仕事だったり、音楽だったりっていうのに、果敢に挑んでいきたいという気持ちもありますし。本当にジャンルにとらわれない、そして、あんまり「役者・アーティスト」っていう感じじゃなく、表現者としていろんな作品だったり、楽曲を届けていけたらなっていう気持ちですかね。
──この先もいろいろ楽しみですね。ありがとうございました!
『petit fours』
2022.04.27 ON SALE
TSUBASA SAKIYAMA PREMIUM LIVE 2022 -petit fours-
【日程・会場・開場/開演】
〈東京〉2022年4月29日 (金・祝)
品川プリンスホテルステラボール
・昼公演13:00開場 / 14:00開演
・夜公演17:00開場 / 18:00開演
〈大阪〉2022年5月4日 (水・祝)
なんばHatch
・15:00開場 / 16:00開演
【チケット料金】
全席指定:8800 (税込)
※別途ドリンク代
【崎山つばさ Official Site】
https://tsubasa-sakiyama.net/
【崎山つばさ avex Site】
https://avex.jp/sakiyama-tsubasa/
【崎山つばさ Official Twitter】
https://twitter.com/sakiyama_staff
【崎山つばさ Official Instagram】
https://www.instagram.com/sakiyamaofficial/
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。