7月のメジャーデビュー以来、精力的に新曲をリリースし続けているラッパー、Elle Teresa。BAPE®️ 21AW LOOKBOOKのキャンペーンモデルや10月末に発表された新曲「baD bitch」も注目を集めています。来年には待望のデビューアルバムも発売予定の彼女に「baD bitch」を含めたこれまで発表した曲について、そしてこれからの活動についてお聞きしました!
自分とは違う“妹キャラ”をテーマにした「Bby girlll」
──7月7日にメジャーデビューして、4ヶ月経ちました。環境や心境の変化はありましたか?
Elle Teresa うーん…エル自体に変わったところはないと思うけど、こうやって取材とか増えたり、ジャケとかビデオとか自分で決めなきゃいけないことが結構多かったり、思ってたより忙しくなったってのは間違いないかな。
──デビューシングルの「Bby girlll(ベイビー・ガール)」、2ndシングル「on my side(オンマイサイド)」、そして3作目となる「baD bitch(バッド・ビッチ)」と怒涛の連続リリースが続いているので、制作面でも忙しいのでは?
Elle Teresa 確かに怒涛(笑)。特にビデオにはすごくこだわってるから、時間もかかるんだけど、アルバムに向けてどんどんいい感じの曲が出来上がっていっててすごく楽しい!
──「Bby girlll」は、“窮屈な日常から飛び出したい!”というテーマを含め、とにかくピンク!なElle Teresaの世界観が凝縮されていますよね。
Elle Teresa 曲自体は2年前に作って、ビデオは今年になって撮ったんだけど、やっぱりメジャーでのデビュー曲ってこともあってすごく思い入れがあります。この曲は自分の中で“妹キャラ”がテーマで、自分のキャラとは全然違うんだけど、ヌメっとした生々しい質感とか、浮いてる時の髪のディティールとか、絶対これが着たい! って思って選んだアレッサンドラ・リッチのドレスとか、全部イメージ通り!
──いつも曲作りはどんな感じでやっているのですか?
Elle Teresa 「Bby girlll」はニューヨークで録ったんだけど、ライティングキャンプっていってスタジオに入って、いくつかトラックを聴かせてもらって直感でピンと来たものを選んだら、その場でリリックを書いてすぐRECするって感じです。
──事前にビートを聴いてリリックを準備していくのかと思っていましたが、それは本当に大変ですね! 瞬発力を伴う実力がないとできない。
Elle Teresa でも向こう(海外)のラッパーやアーティストはみんなそれでやってるし、このやり方が合ってると思う。「Bby girlll」は特に1日目のセッションだったから、プレッシャーがすごかった。いいもの作らなきゃ!って気合いと、いきなりかよ!っていう緊張で(笑)。
──その背景を聞くと、「ちょクソな大人の助けなんていらない」というリリックがさらに刺さります。
Elle Teresa アハハ! リリックはほんとにその瞬間思ってることや、その時起きたことを書いてるから。自分が考えて書いたリリックって、人に伝わらないと思うんですよ。自分が考えなきゃいけないのに、人に伝わるかって言ったら絶対伝わんないなって。もちろん色んな人とかがサポートしてくれるけど、基本的にはスタジオにも一人で行ってるし、あ、でもセカンドシングルの「on my Side」はパリで録ったんだけど、その時は親友と二人で行って、ロンドンからパリに渡ってって旅をしながらですっごい楽しかったな。
──友達への思いを綴った「on my Side」そのままですね。MVも、ちょっといなたいリアルなシスターフッド感がとても素敵です。
Elle Teresa いなたい! そこ伝わっててうれしい! パリに行った子とは別だけど、ビデオに出演してくれてる子も友達なんです。だから、嘘じゃない。ちょっと田舎の女の子二人が夏休みに何にもやることがなくて、毎日二人でずっと一緒にいるって感じをどうリアルに見せるか、すごくこだわって作ったんです。ちょっとやんちゃな中学生の夏休み。ビキニのチョイスもそうだし、ガリガリでペロンペロンみたいな体型が絶対いいな!って。ムチムチの女の子じゃイメージが全然違うから、撮影日まで何日も食べずに頑張ってすっごい痩せて臨みました(笑)。「Bby girlll」のヌメっとした感じとは違う、汗かいてて、サマータイム感はあるんだけど、全体的に乾いた感じの仕上がりにできてこれも超気に入ってます。
どの曲も自信作!
──新曲「baD bitch」もMVが楽しみですが、この曲はどんなイメージで作られたのですか?
Elle Teresa これはロスで録ったので、ロスのとにかく明るい感じに仕上げたいなって。リリックにある「履いてるピンクバレンシアガ」は、日本から履いて行ったらその頃ロスでバレンシアガがめっちゃ流行ってて「みんなと同じなのまじやだ」から「買いに行く新しいプラダ」とか、これもリアルっていうか、そのまま(笑)。あとは、「bad bitch wanna be like me」って、エルの隠れキャラがみんなを挑発するっていうか、女の子同士のプライドを伝えたかったって感じ。
──TikTokやインスタライブで「生まれ変わったらえるちゃんになりたい!」というコメントをたくさん見ました。それが「みんなえるになりたい」というリリックに結実したのかな?と思ったのですが。
Elle Teresa え! マジで(笑)。そんな風に言ってもらえるのはうれしいけど、コメントとかは正直あんまり意識したことないです。もちろんファンのみんなを楽しませたいと思ってるけど、曲を作る時は“自分がいい!”と思うものが一番だから。
──ビジュアルやファッションセンスはもちろん、そうしたリアルな姿勢が、これだけ熱狂的な女性ファンからの共感を生んでいるのですね。
Elle Teresa ライブに来てくれるファンの子も、エルみたいな子がめっちゃいるんですよ。ミニえるがいっぱい! 小学生とかもいるし。すごくないですか?(笑) 最初びっくりしたけど、それってエルの好きなものが伝わってる証拠だと思うからすごくうれしいです。やっぱりファンのみんなと直接しゃべったり触れ合ったりできるチャンスってライブしかないし、一体感がハンパない。いろいろあったけど新しい曲をライブでやれるのを楽しみにしてます。
──「baD bitch」は、「我慢してる子にこそ聴いて欲しい!」というメッセージも込められているとのことですが、フィメールラッパーといえばやはり“強い女性”というパブリックイメージが求められるのでは?
Elle Teresa ミッシー・エリオットやリル・キムみたいな男勝りな女性ってことですよね? かっこいいし、全然好きだけど、イギー・アゼリアとかニッキー・ミナージュとかCLとか、フィメールラッパーもいろんなスタイルの人たちが出てきてるし、エルはエル。かっこいいのも、かわいいのも好きだし、音はゴリゴリのトラップ(※ハードコア・ヒップホップから派生したヒップホップ、ダンスミュージックのいちジャンルとして近年アメリカを中心にメインストリームとなっている)だとしても、エルトラップって演歌とか歌謡曲だと思ってて。ラッパーじゃないけど、椎名林檎さんとかも好きだし。たまに“姉さん”って言われる時あるけど、“姉さん”ってキャラじゃないから! 姉さんは姉さんでも、“友達のお姉ちゃん”を目指したいです(笑)。なんか、よくないですか?「お前の姉ちゃんイケてるよな」ってあの感じ。
──分かります(笑)。トラップが演歌、歌謡曲というのも、歌われている内容を考えると確かにそうですよね。Elle Teresaさんがワールドワイドに活躍できるのは、そのフラットさにあるのだなと腑に落ちました。
Elle Teresa エル歌下手だから演歌は歌えないけど、でもすごい上手いわけじゃないフロウ、完璧じゃないとこがエルらしさだと思うから、別に上手いことだけが大事じゃないっていうか。すっごい歌うまくてミステリアス! みたいなのももちろんかっこいいと思うけど、下手うまには下手うま的な味があって親しみやすかったりするし、「歌うま選手権」的な価値観とかぶっ壊した方がいいと思う(笑)!
──今後もシングルのリリースが続いて、その先にはアルバムも控えているのですよね?
Elle Teresa そうです…(スタッフを見ながら)よね?(笑) 「baD bitch」のビデオも早く見てもらいたいし、次のシングルはアトランタで録ったものなんですけど、これはフィーチャリングにエルが一緒に曲やりたい!って思ってたラッパーに参加してもらえたんです。東京で録った曲もあって、それは今のエルが一番表現できてると思うし、どの曲も自信を持って聴いて!って言える。
──「baD bitch」を聴きながら楽しみにしています。最後に、読者にメッセージを一言お願いします!
Elle Teresa メッセージ!? 何だろう。エルについて来たら間違いない!!!! これで!
「baD bitch」
2021.10.27 デジタルリリース
【Elle Teresa Official WebSite】
https://avex.jp/elleteresa/
【Elle Teresa Instagram】
https://www.instagram.com/elleteresa_/?hl=ja
【Elle Teresa Twitter】
https://twitter.com/elleteresa
【Elle Teresa TikTok】
https://vt.tiktok.com/ZSJQ9AoPd/
ライター
仲田舞衣
1980年、香川県生まれ。編集プロダクションにて、HIP HOP、ストリート雑誌・編集長を経て2009年よりフリーランス。カルチャー誌、週刊誌、音楽メディアなどで編集・執筆。趣味は神社仏閣、各地の祭り巡り。