2017年にTEEDAとKENJI03の2人体制となってから3作目となるミニアルバム『rebirth』をリリースしたBACK-ON。デビュー15周年という節目の年に「再生」を意味するタイトルを掲げたのはどういう意図なのか? そして各楽曲に2人が込めた思いとは? 全曲解説を含め、ガッチリ語ってもらいました!
「過去を引きずらず生まれ変わる」決意を込めた新作!
──新作の『rebirth』というタイトルはどういう意味合いでしょう?
TEEDA 2人体制になってから『NEW ERA』、『Chop Kick Turn』という2枚のミニアルバムを出して、これが3作目なんですが、『NEW ERA』が2人でやっていくという決意表明で、『Chop Kick Turn』ではカバー曲を入れたりして2人のルーツを表現したところがあって。そこからこの『rebirth』は「過去を引きずらずに生まれ変わろう」という意味でつけました。で、ミニアルバムを作るんだったら映像も1曲1曲作りたいよねという話になったんです。1曲のMVを撮るんじゃなくて、1曲ずつのティザーMVみたいなものを作りたいねと。
じゃあ、作品として「生まれ変わろう」というミニアルバムとどうリンクしていこうかというところで、カタカナでは同じ「リバース」でもこちらは「reverse」にしようということで、逆再生という共通点を持たせて一つの作品に仕上げました。
──『rebirth』というテーマの元で、音としても新しい要素をどんどん入れていこうと?
TEEDA そうですね。僕らの根底にある音楽観とかルーツというのはずっとあるもので、そこに新しいものも取り込んでいって、その中でルーツと新しいものが融合したようなものをやりたいよねというところで。
KENJI03 今回はギリギリまで試行錯誤して、全部を新しく生み出すような感覚で作っていきましたね。映像をYouTubeで先行配信して、そこからサビとかテンポ感を何度も聴き直して変えたりもしたんですが、そういう過程というのは今までになかったもので。手こずったりもしたんですけど、いろいろ変えてみて新しく見えたものもあって、僕としてはけっこうよかったかなと思います。
TEEDA けっこうギリまで作業してたなっていうイメージがありますね。今までの作品では詞とかラップもわりと早い段階でできて、商品になるまでに時間があることも多かったですが、今回は本当にギリギリまで、こうでもない、ああでもないというのを繰り返したんです。そういうやり方は初めてだったし、計画的にというより、感覚的に作れたかなという部分があって。今まではすでに決まったものがあって、「じゃあリリースまで、アレンジとかキレイにする作業をしましょう」という感じだったんですが、今回は「響き的にこうじゃないよね」とか「いや、やっぱこっちの方がいいんじゃないか?」とか、いろいろ試行錯誤しました。その意味でも感覚的にやれたかなというのはありますね。
──そうなんですね。
TEEDA サビがない曲とかもあって、それもギリギリまで「いや、サビあった方がいいんじゃない?」と話して構成を作り直したりとかもしてました。
KENJI03 今回収録された曲に関しては、デモ自体は2年前ぐらいからあったんですよ。4人体制で最後のライブから1週間ぐらいでできた曲もあるし。それを最終構築するのにけっこう時間がかかりました。
──制作過程をお聞きしたところで、『rebirth』の収録曲を1曲ずつ解説していただけますか? まずは「Good morning」。
TEEDA ライブの1曲目らしい曲がすごくほしくて、イグニッション・ソングというか、点火するような楽曲にしたかったんです。ラウド感もありつつ、自分たちが影響を受けたバンドのサウンドも意識しました。スタイルとしては、思いっきりヒップホップっぽいビートの上でラップをやるというのが初めてで。イベントでライブすることも多いので、初めて見た人に「けっこうラウドだね」「激しいね」と思ってほしいし、その中でヒップホップやラップが入ってきたりして「ん? 何、このバンド?」とか「奇っ怪だな」って思ってもらえたらいいなというのがありますね。
KENJI03 僕の中では、今回「この体制での1stアルバム」というテーマがあったんです。そういう初期衝動の中で、自分たちが影響を受けたサウンドを今の自分たちのスキルで構築したいなと思って。僕の中でこの曲のサウンド感はナイン・インチ・ネイルズの初期とか、hideがやってたZilchっていうバンドとか、そういう影響を受けたギターサウンドを作ってみたらどうなるのかなってやっていた時にできた楽曲ですね。
──ナイン・インチ・ネイルズと聞くと、エフェクトの感じなどが確かにそうですね。
KENJI03 はい。1stとか特に好きで、その感じを僕らなりに作ってみたいなと思って。今までのBACK-ONには、メロディーよりもサウンドで引っ張るような楽曲ってなかったと思うので、その意味ではこれが1曲目というのもチャレンジな楽曲になったのかなと思います。
──次は「Switch」ですね。
TEEDA これはすごく好きな曲なんです。RAGE AGAINST THE MACHINEみたいな90年代ミクスチャーらしい、リフで引っ張る感じのサウンド感があって。ただRAGEだとそこに社会的なメッセージ性の強いラップを乗せたりしますよね。僕らの場合はそこじゃなくて、J-POPが好きというのもあるので、もっとキャッチーでいたいし、ポップでいたいという思いもあって、「きっかけがあれば誰でも変われるんだぜ」というメッセージを入れてます。自分の経験談というか、「高身長・高収入・高学歴になりたかった、コンプレックスの塊だったけど、マイク持ってステージに立ってみたら意外によかった」とか、「そのままやってたらただのラッパーだったけど、バンドに入ってみたらいい化学反応が起きた」とか、そういうきっかけみたいなものを歌った曲で。ライブでも以前からちょこちょこやってた曲なんですけど、ファンからも「いつ音源になるの?」って言われてて、すごく盛り上がる楽曲なので、お気に入りですね。
──自分の経験でありつつ、メッセージでもあると。
TEEDA そうですね。以前はラップでも歌詞にしても、「詩的」にすることにこだわりすぎてたんです。でも、ちょっと汚い言葉とか、自分の育った感じをもっと出しちゃってもいいのかなと思って。「ロックバンドのラッパー」というより、「ラッパー」でありたいし「バンドマン」でありたいというような。けっこう今回、楽曲の歌詞とかラップはすごく変わったと思います。
KENJI03 シンガロングできる曲が今まであまりなかったので、ライブをイメージして作りました。最初にトラックを作って仮歌を入れた段階で「Switch Switch」っていうところは鼻歌でできてたので、そこから派生して「Switchというテーマにしよう」とTEEDAと話して。ライブでは1年半前から定番の曲になっていて、だんだん手応えを感じてきていたので、やっと音源にして届けられるなという感じです。
──次がタイトルチューンの『rebirth』ですね。
TEEDA さっきも話した通り、『NEW ERA』が決意、『Chop Kick Turn』がルーツ、そしてこの『rebirth』がここからリスタートというところで、それこそ『NEW ERA』と同じく、ここも自分たちの決意表明的な曲になってます。メッセージというか、自分たちが思っていること……「どうせだったら生まれ変わってアップデートしていこうよ」という思いを、僕たちのファンだったり、これから新しくファンになってくれる方たちに向けて作りました。あとはBACK-ONとしてアニメの主題歌などもよくやらせていただいてたんですけど、正統派J-ROCKとしての今の形に、自分たちで挑戦したくて。キャッチーでタイアップになり得るような楽曲を、今の自分たちが作ったらどうなるんだろうなというのも含めて、自分たちなりのJ-ROCK感をいかに出せるかというのを意識しましたね。あとは「Good morning」や「Switch」もそうですけど、ライブで盛り上がるであろう楽曲に仕上げました。
KENJI03 他の曲に比べると、以前の4人体制の時に近い作り方で作った曲なんです。というのも、2人体制になって新しいことを始めてる中で、やっぱり過去を否定しながら生きるのもイヤなので。その頃あっての今の活動でもあるし、今回のミニアルバムの中では過去と今をつなぐハブ的な存在の曲になってますね。だからどちらかというと、聴いてくれてるファンのために作ったという思いが強いです。
──「再生」を歌った曲が、過去とのハブになっているというのは面白いですね。
KENJI03 結局、生まれ変わることができるのも、過去があって、ずっと支えてくれてるファンがいるからでもあるので、そういった気持ちを込めて。あまりにも自分たちのサウンドだけを求めていくと、今BACK-ONで活動していく定義もなくなってしまうので。自分たち2人が残ってやっていこうとなったのも、もちろん新しく進んでいくというのもありますし、過去の楽曲を捨てたくなかったという思いもあるので、そういった意味で過去と今をつなぐ楽曲を作りたいなと思って、今回入れました。この曲が最後にできた曲なんです。
「一番ボツにしたかった曲」が収録されたのは一体なぜ?
──次は4曲目、「three two one」です。
TEEDA 僕らは今年15周年になるんですが、先ほども言った通り、楽曲はけっこう早くできてしまって、その後の作り方に関しても慣れの部分がかなりあったんですね。末期にはそんな“慣れ”にまみれてしまって、僕ら自身が点火してない瞬間があったりしてて。それもあって「Blaze me up」という歌詞、「俺を燃やしてくれ」って意味のフレーズを入れたんですけど、ラウドなロックサウンドにレゲエ調というかダブっぽいラップを混ぜて、僕ららしい「普通のロックバンドっぽくない部分」を出しつつ、これもライブを強く意識して作りました。「ライブで熱くなりたいんだよ!」というメッセージが込められてますね。
KENJI03 ぶっちゃけ、一番ボツにしたかった曲なんですよ。
──えっ、そうなんですか?
KENJI03 実は(笑)。YouTubeで7ヵ月連続ティザーMVを公開しようとなった時に最初に作った曲で、去年の8月に第2弾で公開してるんですが、今見てもらうと分かる通り、サビもテンポ感も全然今と違うんですよ。この曲が一番悩んでて、車の中でずっと好きなリンキン・パークとかリンプ・ビズキットとかを聴いてた時に、知り合いから「好きなのに、何でBACK-ONにはこういう曲がないの?」って言われて、ああ、確かにそういう曲って、過去も今もないなあと思って。それで一回トライしてみようかなと思った中で、トラックを一度グチャグチャに消してビートだけ残して再構築したら、こんな感じで出来がよくなったんです。逆に今回、自分の中で一番ビックリした楽曲になってます。
TEEDA 聴いてると、3つサビがあるんですよ。ラップ終わりで「Blaze me up! Blaze me up!」って言ってるところをサビだと思う人もいれば、僕は「You ready? Three two one」からギターのリフに入るところがサビだと思ってるんです。でも、最後の「破裂しそうだ 限界へのCountdown ~」の部分もサビととらえられるし、意外と人によって分かれそうで。
KENJI03 逆に言うと、サビを無視して作った楽曲でもあるんですよね。どちらかというと、聴いているうちに高揚感も心拍数も上がっていく感じをイメージしたというか。
TEEDA サウンドとしてはギターのザクザク感も影響を受けたところで気持ちいいですし、早くライブでやりたいと思ってますね。
KENJI03 今回の楽曲って、聴いてくれる人にとっては「新しいものへのチャレンジ」という印象が強いと思うんですけど、結果的には自分たちの聴いてきたもの、影響を受けた音楽を、今のフィルターを通して出してるという感じなので、結局自分たちの中にあるものを自分たちのスキルで吐き出してるだけなんですよね。そういう意味では、自然な出来というか。
──新しいことをやろうとする中で、ルーツ的なものを再認識するに至ったという感じですか?
TEEDA そうなんです。以前はオリジナリティーを出そうとしすぎて、その幅が狭くなって面白みがなくなってしまってたんですよ。今はもっと自然に「こんな音楽があったらいいのにな」と思って作れるようになったので、今はすごく楽しいですし、聴いてても「面白いな、この曲」と再確認できるというか。
KENJI03 昔よりも今の方が、作り方が細かくなりましたね。以前はザックリしてたイメージがあります。一個一個、乗っけてくる音の音色であったり、ビート感にしても、細かく考えて作ったという感じですね、今回は。
TEEDA 「three two one」っていうのも、いつの間にか音楽に対して事務的になってた自分に、ルーツの音楽で火をつけたいというところでできてるのかなと思いますね。
タイトルの由来はまさかの……!
──より強く自分たちの「好き」を押し出した結果ということですね。次は「TOKYO BE-BOP」です。
TEEDA これは2人になってすぐぐらいにできた楽曲なんですけど、ビースティ・ボーイズみたいな2MCスタイルの曲にしたかったんです。オケができてKENJI03 がメロディを作ってきた時に、「TOKYO TOKYO BE-BOP!」のところがずっと繰り返しになってたので、「ここに何て入れようか」ってずっと考えてて。何か誰でも知ってる、パワーのある言葉をずーっと探してたんですよ。それで、海外でもライブをやらせてもらってる中で、「TOKYO」ってワードは強いなと。でもそれだけじゃ足りないなと思ってるところで、僕が「ビー・バップ・ハイスクール」が好きで。
──あの不良コンビが主人公の漫画ですね。
TEEDA そこから「ビー・バップって何なんだろう? 響きが面白いな」と思い至ったんです。ハメてみたらメチャメチャよかったんで、「ビー・バップ」の意味は分からないまま、響きだけで決めちゃって。それで、東京のここが面白いとか、こうなってほしいねっていうのを歌ってみようよと、2MCっぽく作ってみたんです。僕らは足立区の出身なんですけど、これからも下町で粋に育っていきたいよねっていう思いも込めつつ。そしたら後々になって、「BE-BOP」っていうモダンジャズの用語に、「粋にカッコよく生きる」という意味が含まれていることを知って、「これでつながった!」と思って(笑)。
──うまい具合に(笑)。
TEEDA 響き的にもカッコいいし、育ち的なルーツも入れた中で、「こんな東京がいいな」っていうのも歌えたかなと思いますね。
KENJI03 これも思うがままに形ができて、「でも何か一つ物足りないな」って話してるところで、プロデューサーから「サビだと思われそうな『TOKYO SAY TOKYO』の部分の後に大サビを作ってみたら」って言われて。最初、それはダサいかなと思ったんですけど、やってみたらいい感じにできて。だからこれも「three two one」と同じで、途中から化けた曲ですね。
TEEDA これもギリギリまでかかりましたね。大サビにどういうメッセージを乗せるかもけっこう悩みましたし、歌の録り方も変えてみたりして。やってみたらすごく面白いサウンドになって、ライブでも映えそうな曲になりましたね。
──ちなみに、この2020年に「TOKYO」というのは……。
KENJI03 そうなんです(笑)。曲を作ってる時、すでに東京オリンピックは決まっていて、あまりにもタイミングが近すぎるから「TOKYO」っていうフレーズを変えようかっていう話も出たんですよ。下心丸出しみたいだと。でも結局、響きもいいし、このまま残そうかということになりました。
──6曲目、「Shall we dance」ですね。
KENJI03 僕が久しぶりに歌詞を書いた曲ですね。僕らがBACK-ONを組んだ時に最初に仲良くなったバンドのボーカルが、今は音楽をやめていて、でも僕らは今も親友なんですね。その彼が結婚するというタイミングで、1曲プレゼントしたいなと思って作った楽曲です。お相手の女性がダンサーだったんですけど、結婚のタイミングで引退するっていうのを聞いてたので、「今度は僕が支えるよ」という意味で、このタイトルにしました。この曲も2年ぐらい前にできてたんですけど、当時新しく開拓してたサウンドと合わないなと思って、しばらく寝かせてたんですよ。でも今回、タイミング的には今かなということで、再構築して入れました。この曲を入れたことによって、振り幅的にこのアルバムのコンセプトも決まったのかなと思って。
──というと?
KENJI03 前半の曲はサウンド的にエッジが立ってる曲が多いんですが、僕の中では「ポップス」の部分を大事にしたくて。そんな中で、エッジが立ってる曲もあれば、「Shall we dance」みたいな、いろんな人に支持してもらえそうな曲も入ることによって、いい振り幅が作れたかなと。
TEEDA 最初、アルバムに入れるという話になった時に、「ちょっとどうなのかな?」と思ったりもしたんですよ。でもKENJI03 がこの曲の立ち位置を「フーバスタンクで言う『THE REASON』みたいなポジションに持っていきたい」って言ってくれて、ああなるほど、と。
──2003年の大ヒット曲ですね。
TEEDA バンド全体ではロックサウンドですけど、この曲でグッと聴かせると。でもロック過ぎずポップ過ぎず、バンドのサウンドとマッチングするような。でも際立つような形で置きたい、と説明してくれて、すごく腑に落ちました。
KENJI03 曲調は違うけど、昔から聴いてくれてる人は納得してくれると思うんですよ。1stアルバムの頃から、楽曲は違っても「振り幅」という点では今と変わらないので。
「一番納得のいく作品」を引っさげて記念イヤーに!
──で、最後の7曲目が「Chain 2020」ですね。
TEEDA 「Chain」というのは僕らのデビュー曲で、今回、僕はこの曲を入れたいとメチャメチャ思ったんです。なぜかというと、2006年にレコーディングしたこの曲の元データをすでに紛失してしまっていて、海外で2MCスタイルでライブをやる時にこの曲が入れられないんですよ。特にアンコールの時に、「Chainをやってくれ!」ってすごくたくさんの人から言われて、こっちもすごくやってあげたいけど、データがないからできないんだよと。バンド形態だったらやれるんですけどね。自分たちの曲で、聴きたいって言ってくれる人もたくさんいるのに、できないということがすごく悔しくて。今回、『rebirth』ということでもあるので、僕らのデビューシングルをもう一度しっかり作って、元の形を壊さずに再現したいなということで入れました。
──実用的な目的もあったんですね。
KENJI03 『rebirth』と同じで、昔から聴いてくれているファンのためにもう一度作りたいという思いと、僕らの最初の代表曲でもあり海外でもすごくみんなが支持してくれるこの曲を、今の自分たちでもう一度サウンドを構築したいなという思いもあって。サウンド面で言ったらわりと苦戦した曲でもあるんですけど、結果的にはあんまり今の俺たちらしすぎず、絶妙な感じでアレンジできたと思いますね。
TEEDA それこそ、生まれ変わった感じがすごくしますね。KENJI03 とすごく相談しながら作ったんですけど、もともとこの曲が好きだった人たちにも気に入ってほしいし、初めて聴く人にも「この曲、カッコいいね!」って思ってほしいし。
KENJI03 そもそも、僕は再レコーディングというのが好きじゃないんですよ。そりゃあ時間が経って、当たり前にスキルも上がるし、当たり前に演奏力も上がってるんですけど、初期衝動みたいなものは薄れてしまう気がして。でもこれは絶妙に、あまりいじらずに、どちらかというと今、ライブでやってる「Chain」のイメージに近いものにできたかなと。
──これも過去を再確認する作業だったんですね。
KENJI03 本当にそうですね。元曲も好きなんですけど、キーが高くて僕は歌えてないんですよ。でもそれを勢いとか熱量でカバーしていて、それはそれで当時のものとしてはいいのかなと。
──15年経ったからこそできるリメイクだったわけですね。この15年間の間には取り巻く状況も制作環境も劇的に変わったと思いますが。
KENJI03 いろんなものが進化して、それこそ今は世界中のどこにいてもラップトップ一つあれば楽曲も構築できる時代じゃないですか。だからこそ、本当にいいものだけが評価される時代になってると思いますね。そういう中で、苦しみもしましたけど(笑)、正直今までの中で一番納得いく作品になったと思います。
TEEDA こういう時代に、僕らの衝動とか勢いとかが楽曲で伝わったらいいなと思いますね。2000年代に結成して、ライブをバンバンやってた頃の感じも込めたので、それも感じてもらえればいいなと。
──2人になって、改めて勢いを感じられている部分もあるのでは?
KENJI03 それが2人体制のテーマでもありますからね。今までは人数も多かったし、スタッフも多かったので、いろんな人たちの意見も取り入れて作ってたんですけど、今は2人でサウンドとかリリックにも責任を持って初期衝動感も出せたらなと思ってます。
TEEDA バンドはどこもそうだと思うんですけど、みんなで作ってると、トゲがあるザクザクした部分が取れて丸くなっていっちゃうんですよね。今はそんなことがなくて、お互いに「これがいい!」と「これがいい!」をぶつけて、そのままザクザクのままで行けるんですよね。そこがけっこう楽しいですね。
KENJI03 それに今はいろいろ便利になって、洋楽っぽいものでもそれなりのものを誰でも作れる時代じゃないですか。だからこそ、その中でしっかりと自分たちらしいものを作っていかないといけない。それがこの作品ではできたと思うんですよね。サウンドも、自分たちの音を追求して作ったという自信はあります。
──それを引っさげて、2月には東名阪のツアーもありますね。
TEEDA はい。まあ『rebirth』の7曲だけでは足りないわけで、2人体制になってからの曲だけでもセットリストは組めるだろうし、だけどそれ以前の曲も含めて、演出とかメッセージを込めながら構築していけたらなと思ってます。
KENJI03 この体制が始まってから、今まで応援してくれてたファンの中にも「?」はあったと思うんですよ。「正直、何がしたいんだろう?」みたいな。そういった中で『rebirth』を聴いてもらえれば、「ああなるほど、こういうことがやりたいんだな」ってことが分かってもらえるんじゃないかと思うんです。それプラス過去の楽曲も入れて、今のBACK-ONを最大限に発揮できたらなと思います。
──それも含めて、今年はどうしたいですか?
TEEDA 15周年の年なので、フルアルバムも作りたいですし、また周年ライブもやりたいなと思いますね。
KENJI03 僕が今もBACK-ONを続けているのは、常にメインストリームで必要とされている音楽だというのを確信してるからなんですね。今年はそれを表現するために、サブスクリプションとか今の環境の中で多くの人に楽曲を届けて、いろんな人たちの前で演奏したり、メインストリームでガッツリ名を残せるような年にしたいなと思ってます。
BACK-ON
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配信Mini AL『rebirth』
2020.01.22 on sale
“rebirth TOUR”
2/11(火) 大阪FANJ twice(大阪府)
2/16(日) 名古屋ハートランド(愛知県)
2/22(土) 渋谷O-WEST(東京都)
詳細:https://www.back-on.com/live/tour.php?id=1001522
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。