福岡を拠点に活動を続ける4人組コーラスグループ、FREAK。2月20日にリリースされるニューアルバム『THE FREAK』は4作目にして自身の名前を冠したセルフタイトル作となりました。彼らがこのアルバムに込めた自信と覚悟とは? そして彼らが福岡を拠点とする理由、福岡の魅力とは? メンバーのお気に入りだという福岡市内のカフェで、タップリ語っていただきました!
「博多バリカタスタイル」とは?
──今回、取材場所に指定していただいた「Pin Coffee & Bar」は「Anthem」のMVにも登場していたお店ですよね。店員さんも登場していましたが、よく来られるんですか?
中垣悟(以下中垣) 僕はよく来ます。もともとコーヒーは好きなんですけど、ここのコーヒーは本当においしくて。夜はバー営業もしていて、落ち着けるお店ですね。
森岡大地(以下森岡) このお店のシーンは僕が出てるんですけど、僕は実はそのロケの時が初めてだったんですよ(笑)。普段は缶コーヒーばっかりなんですけど、ここのコーヒーはおいしいです(笑)。
──なるほど(笑)。さて、2月20日にリリースされるニューアルバムは4作目にして『THE FREAK』という、自分たちのグループ名をつけたタイトルになりました。これはどういう意図で?
伊藤勇樹(以下勇樹) 今まで6年活動してきて培ってきたもの、そこから来る自信とか覚悟があって、「これが俺たちだと言える作品を作ろう」というところから、4人で目線を合わせてアルバムを作り始めたので、「THE FREAK」と名付けられる作品になりました。ベスト盤ではないんですが、「これがベスト」と言えるアルバムです。
──最初からこのタイトルで作るという前提だったんですね。
勇樹 はい。そういうコンセプトの元でアルバムを作ろうという話し合いから入りました。今までのアルバムでは、曲を作っていく過程でコンセプトが見えてきたんですけど、今回は先に、曲を作る前にいっぱい話し合ったので、制作もスムーズに進んでゴール地点も見えたので、いい感じに進みました。
──そうしてできたアルバムは、実際に『THE FREAK』の名前で出せる自信作になったと。
全員 (口々にうなずきながら)はい!
──全体を通して聞くと、メリハリが効いた作品だという印象を強く持ちました。「The Intro」~「Antem」は「まさにバリカタ!」という感じで始まりつつ、その後はメロウな曲も多くて。で、終盤「Oh Yeah!!!!」「FREAKY DISCO feat. TARO SOUL,KEN THE 390」でガッチリ盛り上がって、最後は「君の言う新しい幸せなんてどこにもない」でしっとり締めるという。
勇樹 自分たちがやりたい音楽、影響を受けたものをより多く取り入れようと思っていたので、バリカタスタイルでガッツリとコーラスする曲もあるんですけど、メロウな曲も好きだし、コーラスワークが映えるような曲も作りたいねと話していたので、いいバランスで入れられたなと思います。
──その、FREAKの掲げる「博多バリカタスタイル」というものを、改めて言葉で説明すると?
勇樹 ひと言で言うと「男らしさ」ですかね。
伊藤元樹(以下元樹) そうですね、意志の強さというか、ブレない芯の強さを持っているというか。
森岡 硬派な感じですかね。
──ちなみに、皆さんがラーメンを食べる時は……
元樹 僕はバリカタですね。
勇樹 僕はカタで。
中垣 僕は普通です。
森岡 僕はヤワで。
──見事に分かれた!(笑)
勇樹 音楽の部分はみんなバリカタでということで(笑)。
──なるほど(笑)。アルバムの中で、新しいチャレンジをした部分はありますか?
中垣 けっこうやりましたね。「Anthem」などでは、バンドの生音を入れました。「Anthem」は全部フルバンドで、そこにサンプリングの打ち込みを混ぜて。普通のヒップホップみたいに作りたくなくて、かなりオールドスクールな、汚した感じのサウンドを作れたと思います。そういうのは最近、あまり見ないので。あえて流行りの逆を行くというか、FREAKらしさってそこかなと思うんですよね。R&Bが本当に好きなんですけど、USのR&Bをベースに90年代とか60年代の音も入れたりしていて、そこにストロングスタイルの強い歌……がなるところがあったり、ファルセットの高いところがあったり、というのを乗せてみたりもして。
勇樹 そうだね。
中垣 俺たちはメロウだけに限らないR&Bもできるなというのを、これまでの活動で感じてきたんです。それでヒップホップのトラックに乗せてソウルっぽく歌うのなんかはFREAKにしかできないところなんじゃないかなと。「FREAKY DISCO feat. TARO SOUL,KEN THE 390」ではラップも入れたんですけど、昔の音楽を昔のディスコっぽくやるんじゃなくて、ちゃんとそこにフューチャーファンクっぽい音も入れて、新しいトレンドも取り込めたんじゃないかなと思います。
勇樹 声のエフェクトも今回はいろいろ入れたりしましたね。
──バンドサウンドの話がありましたが、それはやはりバンドとの活動があったからこそ?
中垣 そうですね。前作がカバーアルバムでフルバンドと一緒にやったんですが、「Anthem」のアレンジはその時点からできてたんです。そのアレンジをバンドメンバーに聞いてもらって、「生音を入れたいんです」と話して素材をずっと録っていて。だからかなり温めていた曲です。
自分の身を削った曲が詰まったアルバム!
──本当に満を持してのリリースというわけですね。ではお一人ずつ、今回のアルバムの聴きどころと、「俺のオススメはこの1曲!」というのをお願いします。
森岡 本当にタイトル通り、FREAKにしかできないことを突き詰めたアルバムだと思います。俺たちは作詞作曲もすればトラックも作るし、コーラスグループだけど悟はラップもしたりとか、そういうのは他のグループにない特徴だと思うんです。確かにR&Bというものを軸に動いてるんですけど、その軸を中心に何を作れるかというせめぎ合いをいっぱいやったんですね。シングルで出した「Oh Yeah!!!!」なんかもそうだし、「初雪」は一見普通のバラードですけど、FREAKにしかできないコーラスがあったり、そういうところはすごく新鮮に感じてもらえると思います。俺の1曲は……自分が作った「初雪」で。
元樹 「Anthem」にしても「One Of A Kind」にしても、普段4人が持ってるリアルな思い、28歳の男4人が普段どういうことを考えているかとか、夢に向かってる気持ちとかが、歌詞に詰まっているので、夢を追いかけている人、何かを頑張っている人には刺さると思います。そういうところを聴いてほしいですね。俺の1曲は……何やろう……「Anthem」ですかね。
勇樹 僕は「One Of A Kind」と「Can’t Stop Lovin’ You」の歌詞を書いたんですが、元樹も言ってくれた通り、何もフィルターを通さずに書いた歌詞なんです。いいことを書こうとかじゃなくて、リアルに出てきた言葉を歌詞に乗せられたので、自分をさらけ出した充実感がすごくありますね。1曲を選ぶとすれば、「One Of A Kind」を聴いてほしいです。
中垣 今回は全員が歌詞を書いているんですが、曲を作ったというよりは「身を削った」という感じなんです。「ここをさらけ出しちゃっていいの?」というか、本当に自分の何かを削って作ったという印象があって。日々の中で本当に絶望することもあれば、ファンの人が増えてくれる中での喜びもあれば、「俺たちはどうして音楽をやっているんだろう?」という思いもあるし、その中でも一喜一憂しているし。メッチャ落ち込むこともたくさんあったし、でもそこから這い上がったという思いもあって、そういうところを本当に削って切り取れたと思う曲たちがいっぱいできたなと。俺の中で一番削ったと思う曲、「もうこのテーマでは書けないな」という曲は、「Fallin’」と一番最後の「君の言う新しい幸せなんてどこにもない」という長いタイトルの曲ですね。
勇樹 略して『君言う』ね。
中垣 あれはホント、メチャメチャ削りました。自分の本当に経験したエピソードから書いたので。もう出ないです!
元樹 出してよ(笑)。
──皆さんの言葉を聞いていても自信のほどがうかがえますね。リリースが待ち遠しいのでは?
勇樹 ホントそうですね。
中垣 今の時点ではまだ4曲しか世に出てないので、出てからの反応が楽しみですね。
──一部は配信されていたり、リリースイベントで披露されてもいますが、ファンの反応はいかがですか?
中垣 いいですね!
勇樹 「Anthem」とか歌うと、「やっぱりFREAKのファンはこれを待ってたんだな」というのをすごく感じますね。反応がすごくいいので。
中垣 逆に、イベントでは発表されている曲しか歌えないので、フラストレーションもあるんですよ。
元樹 他の曲も歌いたいよね。
中垣 アルバム全体でストーリーを作り込んでいるので、ライブでもつなげて歌いたいし、それができれば自分たちの本当に伝えたいことが表現できるんじゃないかと思います。
──その絶好の機会が、5月26日に予定されているZepp Fukuokaでのワンマンということになりますね。
中垣 Zeppは作り込んでいきたいですね。今回は規模的に今までで一番大きいので、そこで何ができるかによって自分たちの成長が感じられるんじゃないかと思います。パフォーマンスはもちろん、ステージの作り込み方、フィーチャリングとかも含めたグループとしての盛り上がってる感……そういうのを見せられたら、ファンの人にはすごく成長を感じてもらえる場になる気がします。個人的には手応えも感じているので。
福岡の魅力とは……女の子がかわいいところ!?
──さて、FREAKの特徴と言えば福岡を拠点に活動している点が挙げられますが、多くのアーティストのように東京を拠点にすることは考えないですか?
全員 (口々に)ないですね。
中垣 移り住むことはないですね。
元樹 福岡大好きっすね、やっぱり。
──では福岡のいいところを改めて教えてもらえますか?
森岡 キャナルあたりに住めば、天神も博多も歩いて行けます。
全員 (笑)
──えーと、キャナルというのは、『キャナルシティ博多』というショッピングモールですね。市内の2大繁華街である天神と博多駅周辺に、両方とも近いと。
森岡 だいたい、何をするにしても天神か博多なんですよ。空港までも地下鉄ですぐ行けるというのもあるし。東京に行くと、電車移動がつらいんですよ。福岡だと飲みに行ってもすぐ帰ってこれるし。
勇樹 リアルやな(笑)。
森岡 東京だと移動で1時間かかることもザラなので、その分1時間他の仕事ができるよなとか思うんですよね。
──街がコンパクトにまとまってますよね。他の方はどうですか?
元樹 やっぱ女の子がかわいいですよね。
全員 (笑) それはあるね。
元樹 ビックリしますよ! ポテンシャルが高いんですよ。(他のメンバーに)マジでかわいい子多くない?
森岡 街を歩いててもたくさんいるしね。
元樹 「3秒に1人はかわいい子に会う」って、県外の人からは言われるよね。
──福岡の女の子を誉めすぎると、この先、全国ツアーがやりづらくなったりしませんか?(笑)
勇樹 彼、全国で「ここの女の子はかわいい」って言ってるんで(笑)。
中垣 どこでも言うよね。
元樹 全国、それぞれのよさがあるんですよ。福岡はポテンシャルと上品さがあって。
中垣 他は下品ということで。
元樹 ちゃうわ!(笑)
勇樹 話を戻してもいいすか(笑)。街もコンパクトなんですけど、人間関係も密なところがすごくいいなと思いますね。同い年の友達で、カメラマンとかアパレル関係とか美容師とか、そういうヤツらがみんなつながってて、彼らと一緒に仕事ができてるのが楽しいんですよね。これって、ポンと東京に行ったとしたらできてないことなので、より福岡に根付いて、みんなともっと楽しくできたらと思ってます。そういうところにはこだわってますね。
中垣 それと、アジアが近いところ。韓国も台湾も近くて、今、芸能事務所が福岡に注目してきてるのは、そこを見据えた部分もあるのかなと。そこからバズらないかなとか思うんですよね。自分たちはこの福岡で出会って、誰に組まされたわけでもなく自分たちで組んでここまでやってきたので、そのストーリーをすごく大事にしたいなと思ってるんです。福岡が好きということもあるけど、福岡の強みを生かす、福岡にいることに価値を見出せるような、価値があると思ってもらえるようなグループになりたいですね。だから福岡のよさも伝えていきたいし。
──地元に根差しつつ、広がっていきたいと。
中垣 沖縄のアーティストは、そういう意味ではお手本ですね。
森岡 沖縄のアーティストはみんな地元が好きだし、ああいう環境で作れるというのは強みですよね。それが俺たちにとっての福岡ですね。
中垣 福岡でしか作れない音楽というかね。
勇樹 何となくなんですけど、東京に行ったら、「音楽を作らないといけない」という感覚になってしまう気がするんですよね。音楽はやっぱり楽しんで、作りたいと思って作りたいので。それを思うと、住み慣れた環境、心地よく音楽が作れる環境にいたいなと、自分は思いますね。
中垣 幸せじゃないと死んじゃうからね。
勇樹 うさぎさんみたいなね(笑)。
──「幸せじゃないと死んじゃう」。何か名言いただきました!
元樹 「名言風」ですけどね(笑)。
──時々、歌詞に博多弁が入ることがありますよね。あれは意識して?
勇樹 そこまで「入れなきゃ」とか意識してるわけじゃないんですけどね。
中垣 ハマりがいい時とかね。
勇樹 意外とカッコいい響きになる時があるので。英語風に言ってみたらハマる時とかもあるんですよね。それで福岡のアピールにもなるし。
地元拠点のアーティストとして、ヤフオク!ドームのステージに!
──以前から、福岡は音楽が盛んな街として知られています。現在の福岡の音楽シーンはいかがですか?
中垣 俺たちがもっと作っていかないといけないと思ってますね。
勇樹 正直、俺たちが音楽を始めた頃よりは勢いがなくなってるなと思ってるんです。
元樹 最近はカッコいいバンドも出てきてはいるけどね。
中垣 俺たちと同ジャンルで考えると、縮小してるなと思うんですよ。
勇樹 ああ、歌もの、R&Bのコーラスグループとかは格段に減ったよね。
中垣 そこを俺たちの世代が引っ張っていかないといけないですね。俺たちが始めた頃、憧れたグループとかいっぱいいたんで。俺たちの下が少ないのは、俺たちのせいでもあるかなと思うんで。それで「BASE」っていう、R&Bとかブラックミュージックに特化したイベントを去年から始めたんです。それを続けて、拡大していくことで福岡も盛り上がるし、それを行政とかも巻き込んで大きなイベントにして行ければ、九州が盛り上がっていけるのかなと。
──そういう部分も含めて、現状持っている野望はありますか?
森岡 ヤフオク!ドームでやりたいですね。
全員 (うなずく)
森岡 東京とか全国区のアーティストがライブをやることはありますけど、地元発のアーティストがやることってほとんどないと思うんです。福岡に住んでいるアーティストが地元の人の応援を受けてあのステージに立って、そこから見える景色というのは見てみたいなと思います。
──いつ頃までに?
森岡 ……80歳ぐらいかな(笑)。
勇樹 80までやってんのか(笑)。
元樹 声が出んやろ(笑)。
中垣 まあ、5年じゃないですか。いつもみんなで、あそこを目指そうという話はしています。
──そこに向かうためにも今回のアルバムは重要ですね。では最後に、改めてメッセージをお願いします。
中垣 今回は命を削って作ったアルバムなので、聴いてもらえれば何かしら刺さると思うんですよ。それを感じてほしいので、まずは聴いてほしいですね。それだけです。
勇樹 音源もそうですけど、ライブにはすごく自信を持ってやってるので、4人の生の声が集まった時の厚みとか迫力っていうのはライブでしか感じられないので、ぜひライブに来てほしいです。
元樹 福岡に、こうやって自分たちで音楽をやっている4人組がいるということを知ってほしいので、とにかく曲を聴いてほしいです。そしたら、悟も言っていたように何かは刺さると思うんで。
森岡 俺たちを知っている人も、今は知らないという人も、知れば知るほど好きになってもらえると思うので、少しでも興味を持ってもらえればうれしいですね。SNSで調べるでもいいし、ライブに遊びに来てもらうのでもいいし、もっともっと俺らのことを知ってもらえたらと思います。
福岡の地に根差しながら、自分たちの世界を大きく広げていきたいというメンバーの思いが、その言葉の端々から伝わってきました。ニューアルバム、ワンマンライブ、そこから広がる彼らの活動にご注目ください!
『THE FREAK』
2019/2/20 ON SALE
『THE FREAK」SPECIAL SITE
https://avex.jp/freak/special/the_freak/
[CD+DVD] AQCD-77399/B ¥5,200(税込)
[CD] (Type-A) AQCD-77400 ¥3,000(税込)
[CD] (Type-B) AQCD-77400 ¥3,000(税込)
FREAK「Live 2019 THE FREAK」
日程:2019年5月26日(日) 開場16:00 開演17:00
会場:【福岡】Zepp Fukuoka(〒810-0065 福岡県福岡市中央区地行浜2-2-1 MARK IS 福岡ももち)
【FREAK OFFICIAL WEBSITE】
https://avex.jp/freak/
【FREAKオフィシャルアプリ[無料]】
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【FREAKオフィシャルTwitter】
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Pin Coffee & Bar
福岡市中央区高砂1-12-2
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https://www.instagram.com/pin_fukuoka/
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。