5/31(日)、日差しの強い初夏。COLUMN編集部はあるマンスリーワンマンライヴへ取材に訪れました。
そのライヴの名は『ウラスジ』…。
サブタイトルは「スカートの中へ ようこそ」。
主催するのは2014/8/6に『無添加ガール』でメジャーデビューした「杉恵ゆりか」。
彼女は ―スカートの中 こもった熱 どうしよう(「skirt」より)― など、ドキッとさせる歌詞が特徴のアーティストです。
会場は【北参道ストロボカフェ】
まずは杉恵ゆりかさんに「マンスリーワンマンライヴ『ウラスジ』とは何か」インタビューを行った。
― どうしても気になるので、早速『ウラスジ』というタイトルをどういう意味で付けられたのかを聞かせて下さい。
気になりますよね(笑)
実は「裏・スージー」、私の愛称である「SUGiE(スージー)」の裏側という意味なんです。
普段のライヴでは見せない私の裏側や内面、深い所を見せられたらなぁと思って。
― そうだったのですね。マンスリーワンマンならではのコンセプトですね。
もちろん、下○タ的な意味も…。
― はい。そうですよね。
いや、真面目な顔で「はい。そうですよね」って、流さないで下さい(笑)
― 編集部として、その方向性はあまり取り上げたくなくて(笑)
ということは、サブタイトル「スカートの中へ ようこそ」も御自身の内面を見てほしいという意味合いでしょうか。
そうですね。「私の内面を見て」という意味と「私と来てくれた方だけの空間」。「シェルター」というか「来てくれた方にも、この中では自分を出してもいいんだよ」というメッセージもあります。
― なるほど。楽曲中の「ドキッとさせる歌詞」にも通じるところがありそうですね。
はい。色々、考えて作詞をしています。
ドキッとする「女性が言えない本音」は悩む女性への真摯な想い!?
― 楽曲をお聴きしている限り、聴いてくれる女性目線の歌詞が多いように思いましたが…。
はい。聴いてくれる方に寄り添うというか、共感してもらえるような言葉を選んで書いています。
― 妄想がお好きと伺っているのですが(笑)楽曲の主人公は御自身ではなく、聴いてくれる女性をイメージして作られているのでしょうか。
確かに妄想は好きなんですけど(笑)楽曲の主人公は私自身ですね。
自分が「こういう時にどんな言葉を言われたら、しんどいのが楽になるのか」という発想から書いています。
「誰かのために何かをしよう」という出発点ではなく、「自分の立場から考えること」をスゴく大事にしています。そうすることで、自分自身で歌う意味でも出てくると思っています。
― 歌い方も御自身の心境等を意識していますか。
そうですね。嬉しい時は嬉しいし、哀しい時は哀しいので、自分の感情そのまんまです。
好きな人には嘘をついたり、意地を張っちゃったりするんですけど(笑)自分の感情を歌にすると、嘘がつけなくなりますね。
― 以前から御自身を素直に出す曲作りだったんですか。
昔は「可愛く思われたい」とか、「良い子だと思われたい」とか考えて作っていたんですけど、ある恩人に「つまんない歌だな。お前にしか歌えない歌は歌えないのか」って言われて変わりました。
その出来事がなかったら、今もきれい事だけを並べた「届かない歌」を歌っていたかもしれません。
― 『ウラスジ vol.2』の「わたしでいいの? わたしがいいの?」というサブタイトルにも通じていますか。
そうですね。アルバム『無添加ガール』に「『都合のいい女』で終わりたくない」というキャッチコピーを付けたんですけど、「都合のいい女」になってしまって悩んでいる女性に向けています。
自分が持てず、男性に全てを預けてしまう女性が多いと私は感じていて。
私自身もそういうタイプで、男性には「わたしがいい」という理由を求めたい気持ちになります。私の歌にはそういう歌も多いから。
― 今日は御自身で撮られた写真が展示されていますが。
私が撮った写真にも私自身の感情が詰まっていると考えていて、私自身も悩んでいる1人で、同じように傷を持った女性が「あぁ、私もそういう思う!!」みたいな共感を抱いてくれると良いなと思っています。
『vol.2』では写真家の大村祐里子さんとコラボして、写真の方もパワーアップして届けようと思っています。
― ライヴ前にインタビューありがとうございました。
ライヴ楽しんで下さい。そして、スゴく良く書いて下さい(笑)
― はっ、はい…。
突如、アーティスト本人からライティングにプレッシャーをかけられ、我々は戸惑いながら『ウラスジ』は開演を迎えることとなりました。
ウラスジ vol.1 開幕
会場が暗転すると、スクリーンに本人が撮った写真と壁にも貼られていた言葉が映し出され、杉恵ゆりかによる「ちょっと毒のある言えない本音」の語りが始まりました。。
その語りがスカートの生地を模したステージ袖の布を揺らすかのように、すっと「杉恵ゆりか」の空気が流れると、杉恵が登壇して「パンドラ」でライヴの幕が開けました。
MCで女性の素直な感情を伝えたくて『ウラスジ vol.1』では<喜怒哀楽>に分けて構成したことを話し、まず<喜>コーナーを「愛でいっぱいの背中」という可愛らしいけど強さを持つ楽曲で彩る。
例外的な「切(切なさ)」を表現する「skirt」を挟んで、<怒>コーナーでは ― あなたのやさしさが なんだか今日は気に入らない ― と歌う「やさしくしないで」、小柄な杉恵から発声されると思えない声量が聴く人を圧倒する「help me」と魅せてゆく。
― 感情のうねりが観客にシンクロする ―
序盤はそんな感覚を覚える展開でした。
ファンを包み込む<哀>と<楽>の空間へ
自身の母との電話でのやり取りを語り始める杉恵。
両親の想いへの感謝と、その想いに応えられているか不安になる葛藤の吐露が、一気に会場を<哀>へと引き込みます。
始まる「ごめんなさい」のイントロ。声量を抑えたAメロ、Bメロのヴォーカルと絡みつくピアノがゆっくりと聴く人の心を揺らしてゆきます。
続く未発表音源「home」では女性が秘めているであろうカレへの想いを歌い上げ、「ランデブー」では印象的な転調をサビで魅せる杉恵ゆりか。
とても時間をかけて考え構成された抑揚からは、彼女の演出への真面目な姿勢が伝わってきます。
そして、<楽>のコーナーへ。
あれだけ<哀>コーナーで落としたにもかかわらず、自身のダイエット経験(!?)を歌った「我慢の向こう側」では、杉恵自身がTwitterで、ファンから募った食べ物の写真をスクリーンへ投影する等の演出を行って、一気に会場を<楽しさ>ムード全開に持ってゆきます。
デビュー曲の「spyder」ではファンと一緒にフレーズを合唱し、更なる一体感を生んだところで本編が終了。
アンコールへ。
― 迷った時は追い風になって アナタの背中を押すの ― というサビの歌詞が優しい『風になりたい』と、自身が衝動的に髪の毛を切った体験を描いた「ジョキッ」の新曲2曲を披露。
約1時間半、全力でファンと向き合った杉恵ゆりかは「また、vlo.2でお会いしましょう」と締めくくった。
「どういう歌詞(言葉)が聴いてくれた方に伝わるのだろうか?」
「ライヴに来てくれた方を楽しませるには、どういう演出をしようか?」
「音源やライヴで伝えたかった想いは、思った通りにちゃんと伝わったのだろうか?」
楽曲を聴いてくれる方へ真摯に向き合い、全力努力する杉恵ゆりか。そんな彼女の想いと世界観が詰まったマンスリーライヴ『ウラスジ』。
そこは「彼女との交流の場」であり、「彼女と来場者とが恋愛を楽しむかのような時間」が流れる優しい空間でした。
このCOLUMNで杉恵ゆりかの世界に興味を持ったなら、ぜひ貴方も「スカートの中へ」…。
最後に杉恵ゆりかさんからの一言。
「先日リリースされたavexのアプリ『AWA(アワ)※1』では私の曲がほぼ全曲聴けます!!(3ケ月無料)
2時間で全曲聴けますよ!! そして、ぜひ『ウラスジ vol.2』にご来場下さい。お待ちしています!!」
※1 エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社と株式会社サイバーエージェントが運営する「登録無しですぐに使える公式音楽配信アプリ」
【AWA 公式サイト】
http://awa.fm/
【杉恵ゆりか 公式サイト】
http://sugieyurika.com/
【『ウラスジ Vol.2』 チケット予約サイト】
http://www.strobe-cafe.com/kitasando/schedule/2015/06/201506280.html
ライター
雜賀信之助(サイカシンノスケ)
プロデューサー。PRイベントや映像制作、キュレーションサイト『和食ラボ』等の運営・進行管理を担当。