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【BuZZ】“ちょうどいい”がちょうどいいチームと創り上げたEP『MOOD』

2022.11.21
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音楽
インタビュー
11月23日に1年ぶりのEP『MOOD』をリリースするBuZZ。体制が大きく変わり、2人になって初めてのリリースとなる今回は、新たなクリエイティブ・チームを入れて、制作面でもさまざまなチャレンジをしているとのこと。各曲にそれがどう反映されているのか、そしてこれからの活動をどうしていきたいかなどについて、Yujiさんとüsayさんのお2人にいろいろとお聞きしました!
 

新体制で方向性も新たに。合い言葉は“創作料理”!




──11月23日に1年ぶりのEP『MOOD』がリリースされます。今作のコンセプトは?
 
Yuji 今回、僕らが2人体勢になって初のリリースになるんですが、今の編成になる前はブラック・ミュージックとか80年代のリバイバルを目指してやってたんですね。でも2人体勢になってから、ブラック・ミュージック的な香りはほんのり漂わせるぐらいに抑えて、歌詞を含めてもうちょっと身近にあるようなスタイルにシフトチェンジしてきたんです。だから方向性という意味では、今までとは思いっきり変わっているかもしれないです。
 
──全体的なサウンドとしては、「シティ・ポップ」というとまた個別のジャンルの名前になってしまいますが、「シティ感のあるポップ」さが感じられました。
 
Yuji それはあります。僕たちのクリエイティブ・チームとも話したんですけど、僕らは見た目も含めて、「どこの国の出身か分からないシティボーイ感」みたいなものがあるなと。サウンド的にもそういうところを目指していこうということで、今おっしゃったように曲によってはシティ・ポップの要素も入れつつ、いろいろな“創作料理”を作りたいなと思ってたんです。そこが2人体勢になって一番変わったところで、以前は、例えばファンクならファンク、ロックならロックというように、ジャンルとして分かりやすく提示してたんですけど、それを全部“創作料理”に移行していこうと。何のジャンルなのかはパッとは分からないけど、心地いいよね、というところに焦点を当ててます。
 
──今のお2人は、制作においてはどのような役割分担になっているんですか?
 


Yuji いつもはüsayの家で制作をすることが多いんですよ。僕の部屋にあった機材も全部移したので。基本、歌詞に関してはテーマを決めて、目の前にいながらLINEで送り合って作ってます。メロディに関しては……この体制になってから多いのは、ビートだけもらってフリースタイルでひたすら歌って作曲をしてから歌詞を作る、という形かな。
 
üsay もともとYujiさんはそういう作り方をしていて。BuZZが4人体制だった頃も、トラック先行で作ることが多かったんですけど、そこは今も変わらず。遊びの延長みたいな感じで、何回か連続で録ってから、後で聴いて「ここよくない?」みたいな感じでいいところをつなげて遊びながら作ったりっていうのの延長でやっている感じですね。
 
──今回収録されている3曲の内、作曲のクレジットは1曲が「BuZZ」、もう1曲は「BuZZ/Shu Inui(ONEly Inc.)」という名義ですよね。お2人の間では、どちらが主体でということもなく?
 
Yuji 今回はそうなりましたね。たぶん、僕はメロディを作るのが得意な方ではあるんですけど、今回は「洋楽になりすぎないように」という思いもあったので、üsayのJ-POPライクなテイストも意識して取り入れるようにしてました。だから今回、クレジットが「BuZZ」になっているのはそういう理由です。今までのBuZZの曲では、僕はほぼほぼ作曲に入ってたんですけど、それは洋楽的なメロディにしたいという意識があったからなんですね。今回は“創作料理”という気持ちが強かったので。
 
──そうすると、作曲にはギターとかピアノを使ったりはしていないということですね。
 
Yuji はい。楽器はこれから始めたいと思ってるんですけど。ライブにギターを入れたいなと思ってるので、チャレンジしたいなと。曲を考える時は、鍵盤をちょっとだけ使いますけど、基本はラッパーみたいにフリースタイルでずっとやってます。
 


üsay そういう反射的な作り方がすごくうまくて。今回は違うチームとも一緒に作ったりしてたんですけど、「何個か歌ってみて」って言われた内の、本当に最初の3つからメロを作ってみたりしてるんですね。僕もトラックに対して考えないで、ファースト・インプレッションでできたメロディをそのまま使ってみるという感じでやってます。今回は僕ら以外のクリエイティブ・チームが新しく入ったことで、テンションがガッと上がったりガッと下がったりしない、ちょうどいいテンション感が保てたと思います。
 
Yuji 今までずっと、それができるチームを探してたんですよ。楽曲に関しては、今まではセルフプロデュースということで、ずっと僕らで作って僕らで完結する感じだったんですけど、そこに新しい血を入れたくて。なおかつ音楽性の合うBuZZのクリエイティブ・チームを今回見つけることができて、全曲で入ってもらってます。客観的に見て、今回は特に面白いものができたので、これは続けていきたいなと思いますね。今回、この『MOOD』をきっかけに新しいチームが見つかったのが、何よりうれしいですね。
 
──それが理由なのか、今作は音数の面でもけっこう凝った作りになっていますよね。
 
Yuji そうです! その方向性とかテーマ感については何度も話し合って、そこからズレないようにピントを合わせるという作業をずっとやっていました。ミックス一つ取ってもそうで、分かりやすく言えば「音数が少ないからヒップホップ的にLo-Fiにして強く出せばいい」というわけじゃなく、ちょうどいい塩梅のところを探して。今回、この“ちょうどいい”もテーマの一つかもしれないですね。“ちょうどいい”感覚って人によって違うと思うんですけど、今回のチームではその感覚が何となく同じだったので。ミックスとか歌詞のテンションとかメロディとかも、「美しいメロディにしすぎないちょうどよさ」とか、歌詞も「クサいこと言わないけど、ちょうどいいぐらいにキュンとくる」とか、そのラインを合わせてやってました。
 
üsay このチームが見つかったのは本当に大きいですね。
 
Yuji そうだね。普段はバンドをつけてやってるんですけど、前回、『YELLOW VACATION』っていうEPを作った時は、ベーシストがトラックメイキングを担当して、僕らが作曲をしてたんです。今回、「Chandelier」という楽曲には彼が入っていて、そこに新しいチームも加わっているので、今までのBuZZチームだけじゃない「新BuZZチーム」としていろいろとやれていて、そういった意味でも進化を感じてもらえるんじゃないかなと思います。
 
 
3年間温めた素材を、ガラリと変えて初音源化した「Chandelier」
 


 
──では、その「Chandelier」についてお聞きしたいんですが、まず歌詞で描かれているのが、付き合い始めて一番楽しい時期ですよね。
 
Yuji そうです、そうです! この歌詞は3年前にできてたんですよ。
 
──あ、そうなんですか!
 
Yuji アレンジは全然違ってたんですけど、ずっと温めていて。いつも制作が終わった後にüsayと「作り溜めていたデモを聴く会」みたいなのをやっていて、朝方に「いいなあ……」なんて言ってる、完全な自己満タイムなんですけど(笑)。その時に、過去に作った曲も聴くんですけど、「アレ聴かせてよ!」っていつも言うのが「Chandelier」だったんです。リリースはしてないけど、この曲はいつ聴いてもいいよね、っていうのがあって。歌詞も、üsayと「愛とは何か」みたいなことをずっと話した末に出来上がったもので。
 
üsay アレはヒドいよね!
 
──ヒドい話なんですか?(笑)
 
üsay ヒドいというか、痛いというか(笑)。「愛ってさあ……」って、マジなテンションでそういう話をしてたんです。
 
Yuji 目がギンギンな感じでね(笑)。でもその時にできた歌詞なんですけど、今回リリースするにあたって、尺とかもチョー変えたんです。もともとは4分50秒ぐらいものを3分以内に収めて。それによって構成とか歌詞の内容も変えたんですが、サビもそのままだし、テーマには何も手をつけてなくて。
 
üsay サウンドもガラリと変えたよね。ドップリ名曲感があった音のアレンジを、サクッと聴けるけど「いい曲だな」ってなる温度感に変えて、その点では全然違う曲になってます。歌い方も違うしね。
 
Yuji そうそう、歌い方も。
 
üsay 変な話、デモでは「歌うま」っぽくライブのように歌ってたんですけど、ディレクションしてもらってささやくように歌うようにしたら、やっぱり全然違うんだなってなりました。ある意味、今までとのギャップが一番よく表れた曲かもしれないですね。
 
Yuji 確かに。歌詞については、先ほど言われた「付き合って一番楽しい時期」というのはホントに間違いないと思ってるんで、僕の理想としては、カラオケで好きな子を前にして男性が歌う曲ナンバー1に成長してくれたらいいなと思ってます。やっぱり「Joyful love 今君と 過ごす毎日がシャンデリア」って、面と向かっては言えないじゃないですか。
 
üsay 歌じゃないと言えないよね(笑)。
 
Yuji そうそう、そこまで育てていけたらなと。
 
üsay 僕ら、クサいとこあるんで。そういう温度感の調節もチームといろいろ話して、「ここはパンチが続き過ぎてる」とか言われたんですよ。「愛とは何か」を練り込み過ぎちゃって。情景とか景色をいかに見させるかというテクニックもそこですごく勉強しました。
 
──お聞きしていると、元のバージョンはかなり壮大な感じだったみたいですね。
 


Yuji 「月9」感がすごくある曲調でしたね。ストリングスがバーッと入った、「ザ・よさそうな曲」という感じで。それも好きなんですけど、「10年前の曲をそのまま持ってきた」と思われてもおかしくないなというところもあったし、歌詞としては10代や20代にフォーカスしたものだったので、そこを考えた時に「果たしてこのアレンジでいいのか」というのがすごくあって。時代……って言うと、自分が年取った感じがしちゃうんですけど(笑)、4歳下のüsayともすごく年の差を感じますし。ただ同世代だけじゃなくて、僕らより上の世代の方、下の世代の方たちにも刺さるようなものを作っていきたいと考えた時に、意識するところはいろいろ変わってきたなあと思いますね。
 
üsay 変わったよね。
 
Yuji 前は好き勝手やってたんですよ。パイソン柄というか、本物の蛇皮のパンツを履いて、すごい柄シャツ着て。
 
üsay 僕も頭をヒョウ柄の坊主にしてたりして。
 
Yuji それでラブソング歌ってたからね(笑)。今はもうちょっと落ち着いてやろうかなと思ってます。
 
──「時代」ということで言うと、「シャンデリア」ってちょっと古い時代のものですよね。そこが面白いなと思って。
 
Yuji そこは外したくない部分だったんですよね。古くてもいまだにあって、それだけ美しいものとして認められてるということじゃないですか。古き良きもの、みたいな。今はなかなかシャンデリアを見かける機会もないと思うので、もし知らなかったら調べてほしいですし。
 
──今の家庭にあるものじゃないですよね。
 
Yuji ですよね。たまにホテルのロビーとかで見かけて、「うわー、シャンデリアだ……」と思ってますけど。
 
üsay それぐらいのテンションだよね。「おお、シャンデリア……」みたいな(笑)。それと日常的なラブソングには、ちょっと近しいところがあるかなと思って。
 
──この曲は9月23日に先行配信されていますよね。その反響は?
 
Yuji メッチャありました! まずSpotifyでの反応がすごくよくて。今回はサブスクにすごく力を入れていたというのもありまして、その成果が見えたというのがすごくうれしかったですね。それと、女性からの反応が多かったのもうれしかったです。僕たちはこれまで何回かリリースしてきたんですけど、この「Chandelier」はテンション的にインスタのストーリーとかに上げやすいんだろうなという感じで。これまでは「ファンキー・パーティー! バーン!」「ダイナマイト! バーン!」みたいな感じだったので、ストーリーに上げるには若干アレで(笑)。
 
üsay 「気合い入ってんな!」みたいなね(笑)。
 
Yuji そうそう(笑)。二郎系ラーメンみたいな感じだったと思うんですけど、今はサラッといける感じになったので。友達からも今までで一番というぐらい連絡が来ましたし、新しい人たちにも刺さってるなっていう手応えがありますね。
 
──狙い通りにハマっていると。
 
Yuji 大当たりですよ。このリリースでもっとプロモーションしていきたいと思ってます。
 
──この曲はリリックビデオも出ていますよね。お2人で東京の街を歩いていますが……これ、アングルとかがめまぐるしく変わってますが、実は移動距離は短いですよね?(笑)


 
Yuji いいとこに気づきましたね!(笑) 半径30メートルぐらいしか動いてないです(笑)。
 
üsay 横断歩道を4往復したぐらいで撮影が終わったイメージがありますね。
 
Yuji 新しいクリエイティブ・チームで好きなことがあるんですよ。例えばこれだけの予算があります、という時に、豪華なMVを1本作るのか、リリックビデオを細かく作ったり楽曲を増やしたりするのか、っていう選択肢ってあるじゃないですか。この曲はもともとリリックビデオを出す予定はなかったんですけど、アー写の撮影の後に時間が空いたので、「ちょっと動画撮りに行こうぜ」って軽いノリで撮ったんですよ。そういうのが楽しくて、こういうリリックビデオはこれからもコンスタントに出てくるんじゃないかなと思いますね。いわゆる「MV」っていうのは、次の作品の時に出せればいいかなと思ってて。
 
──全体的にフットワークが軽くなった感じがしますね。
 
üsay ライブもそうなんですよ。今まではフル編成が基本だったんですけど、リズム隊だけにしてみたり、これからはもっとミニマムな編成にもチャレンジしてみたいなと思ってるし。ライブ現場のノリももっとフットワーク軽くいきたいなというのもあるし。自分たちでプロモーションのためにSNSに上げる素材とかも、チームで作れるものは作れるので。そういう、「出せるものは出していっていいんじゃない?」みたいなノリが、最近ちょっとずつ軽くなってきてて。でっかい会議を通さなくても、素材としてポンポン出せる感じがやりやすいですね。
 
──みんなでガッチリ作り込む一方で、そういうのも楽しいですよね。
 
Yuji 楽しいです。僕はもともとガッチリ作り込む系だったので、「手を抜く」わけじゃなくて、30%ぐらいの軽さで出すよさというのに最近気づいてきたので、みんなでフットワーク軽くやっていけたらなと思ってます。もちろん、ガッチリ作り込んだものも時によっては出していって、それでよりコントラストがつけられれば。
 
 
新チームの影響が一番色濃く出た「Mint & Co.」にはBuZZの未来が!
 


 
──続いて2曲目「Mint & Co.」なんですが、この読み方は……
 
Yuji 「ミント&コー」です。
 
──それでいいんですよね。曲の中でも「ミント&コー」って歌ってますよね?
 
Yuji はい、歌ってますね。この歌詞に関しては、パターンを死ぬほど作ったんですよ。最初は「SPACE TAXI」ってタイトルで。
 
──また全然違いますね。

Yuji いろいろやったんですけどなかなか形にならなくて、ただ「ドライブ」というテーマはずっとあって。それを新しいチームの方がうまーくまとめてくれて、「Mint & Co.」というのが出てきた時は「うぉ、すげえ!」と思いました(笑)。新しいチームを入れて、ホントに勉強になりました。歌詞の作り方もそうだし、パンチフレーズの置き方とかも、やってるテーマは同じなのに、こんなに違うのかと。プロデューサーすげえな!と思って、今は頑張って吸収してます。作曲に関しては、さっき言ったようにスタジオで即興で録ったヤツがメロになって、っていうところは変わらずやってるんですけど、BuZZではなかったぐらい低いキーからスタートするので、特にこの曲はボーカルとしてのアプローチにもいろんな種類があって、すごく聴き応えがあるなあと思います。



üsay この歌詞は作ってる時に散らかりすぎて、「何回やっても『SPACE TAXI』にしか戻らない事件」というのがあってですね。3週間ぐらいそれで悩んでたんですけど、プロデューサーと話ながらふいに「Mint & Co.」がポッと出てきて、響きなどよかったのでそれで決めました。
ドライブで、「ミントの香りの髪が~」とか、何かいいじゃん、でいいんだと。歌って、考えさせられるものも好きですし、何かを伝えるものでもあると思うんですけど、「何かいいじゃん」っていう音楽も確かにあって、そういうのを作りたかったんだけど作れなかったんですよね、今までは。

Yuji ああ、確かに。
 
üsay それが「こういうことなのか!」っていうのを思いましたね。サビは全部英語ですけど、ラブソングだってことは伝わるじゃないですか。
 
Yuji フワッとね。ミントの香りによって。
 
üsay ライブではまだ歌ってないんですけど、そういう楽しい気持ちで歌えるって意味では、この曲が一番「新BuZZ」だなって気がしますね。
 
Yuji 分かる! 確かに一番「新BuZZ」だね。
 
──この曲の2人って、ドライブデートしつつちょっと危うい感じもあるんですけど、それも何か楽しんでるという感じですよね。
 
Yuji そうなんですよ! その微妙な感情、「メッチャうまくいってる!」でも「すげえハートブレイク!」でもない、歯がゆい感情を楽しんでるみたいな。
 
üsay 「こんなもんだよな」っていうのも分からせてくれる歌詞ですよね。
 
──この曲はこれからのBuZZの方向性を開くような曲なわけですね。
 
Yuji そうですね。今回、「Chandelier」の後にこの曲を作って、それから「Candy Rain」に行ったんですけど、「Candy Rain」の歌詞を書く時にさっそく影響受けてましたからね。
 
──ではその「Candy Rain」なんですが。
 
üsay これは一番セクシーで大人っぽい曲ですよね。
 
Yuji そうだね。これは色気がある。この歌詞は2人が全く別々のテーマでそれぞれ書いていて、最初はüsayに「何か面白い歌詞ないの?」って言って持ってきてもらったんですね。
 
üsay 最初はメロも違ったしね。
 
Yuji それはそれでよかったんですけど、ちょっと暗い雰囲気だったので、もうちょっと明るくしようということで2人それぞれで書いて、ガッチャンコした感じですね。

üsay 3曲の中では、主人公が一番プレイボーイかな。うまく隠してますけど。だからというか、曲としては一番大人っぽい感じで。
 
Yuji そう、プレイボーイを美しく隠した曲なんですよ(笑)。
 
 
12月には羽田でワンマンライブ! そして来年は「戦いの年」!?
 


 
──ああ、なるほど。今回の3曲ともなんですけど、歌詞の雰囲気自体は明るいですよね。「Candy Rain」というタイトルでもしっとりとした曲というわけでもなく。
 
Yuji ああ、確かにタイトルだけ見たらそう思えますよね。しかも3曲あったら1曲はバラードとかもあるあるだと思うんですけど、今回はあえてバラードはやらなかったんですよ。この『MOOD』はジャケットがキャンドルの写真なんですけど、このキャンドルからどういう匂いが香ってくるのかは聴いてのお楽しみで、という意味合いなんですね。そういうところも全部うまくハマって、その香りが『MOOD』ということなんです。
 
──おお、そういうコンセプトなんですね。
 
Yuji そしてこの「Candy Rain」は僕らの作曲じゃないんですよ。完全に他の方が作った曲を歌って収録するのが初めてだったんですね。最初に曲をもらって歌う時に、タイミング的には自分のフレーズを足したり、部分的に変えたりとかもできたんですけど、歌ってみたら「俺にはこのメロディ作れねえな」と思って、自分たちの新しいものを引き出してもらってる感じがすごくありました。その分、2人の声の新しい温度感が出たと思います。
 
──ここでも新しい経験が。
 
Yuji 僕らは今までセルフプロデュースを打ち出してやってきましたけど、「セルフプロデュース」って、僕らだけで完結するものという意味で捉えてる方も多いと思うんですよ。でも僕らは、実はずっと言ってるんですけど、いろんなプロの方と一緒に自分たちをアップデートしていく中で、作品とかに関わること自体が「セルフプロデュース」だと思っているんです。今回、作詞にも新しい風をガッツリ入れてもらったり、お任せしたりして、その中でアップデートした僕たちをお届けできていると思うので、これからも僕たちの楽しいチームの輪を広げていって、新しい作品を作っていきたいなと思ってます。
 
üsay 2人になってから「新BuZZ」っていう言い方をしてるんですけど、今までは「アイドルみたいに見られたくないな」とか「音楽を先行して聴いてほしい」「ビジュアルから好きになってほしくない」とかいろいろ思ってたんですけど、それって僕たち自身で狭めてたのかなと感じたんですよね。自分たちの音楽が固まってきたからこそ、「好きなように見てもらっていいよ」「好きに聴いてもらっていいよ」という感じで、間口を広げられたのかなと。でも作ってる音楽性はしっかりしてきて、そこは2軸として「音楽先行でもいいよ」「ビジュアルからでもいいよ」って思えるようになって、聴いてもらえれば「おお、いいじゃん!」「BuZZ、何か好き」って言ってもらえるスタートが『MOOD』になればいいのかなって思います。
 
Yuji まだ「Chandelier」しか公開されてないので、リリースされたらいろんな人に「どの曲が好き?」って聞きたいんですよ。
 
──ちなみにお2人はそれぞれ、どの曲が一番なんですか?
 
Yuji うーん、どれだろう? まず「Chandelier」はもう殿堂入りですね。
 
üsay 僕は「Candy Rain」かな。
 
Yuji 分かるなぁ~……。もうバンドアレンジができてるんですけど、それが超ヤバくて。俺はそれを知ってるからなあ……。音源として「BuZZの新曲聴いてよ!」ってかけたいのは「Mint & Co.」ですかね。「あんまり好きじゃない」って曲がなくてよかった(笑)。
 
──いや、3曲の中でそれがあったら困りますけどね(笑)。本当にこのEPは新しいBuZZとして自信を持って出せる感じですね。
 
Yuji ですね。まあ、肩の力を抜きながら(差し出す動作をして)「うぃっす」って感じではあるんですけど(笑)、会心の3曲ですね。いずれ新たなリード曲を足して盤にする機会があったりすれば、ちょっとだけ力を入れて「これがBuZZです!」って感じになるかもしれないですけど、今の時点では本当に「うぃっす」って感じで(笑)。
 
──そして12月11日にはワンマンライブが決定していますね。

Yuji はい。羽田空港内にある「LDH kitchen THE TOKYO HANEDA」という会場なんですが、この『MOOD』に合わせて初のディナーショー形式で行います。ギター、ベース、鍵盤、ドラム、サックスという編成で全曲ムード感漂うアレンジになる予定です。
 
──もう少しでソールドアウトらしいですね。
 
Yuji そうなんです! 昼夜の2公演あるんですけど、その会場が昼はメッチャおしゃれなカフェ風で、夜になると窓から滑走路が見えてすっごくロマンチックになるんですね。音楽って周りの雰囲気次第で聞こえ方も変わってくると思うので、それを楽しんでいただければと思います。
 
üsay ワンマンで1日2公演って、デビューしてすぐの頃以来、チョー久しぶりなんですよ。それも楽しみですね。
 
──その先となると、もう2023年ですよね。来年はどうしたいですか?
 


Yuji ここで新作をリリースしますけど、来年は僕たちの曲が何かしら話題になるような、再生回数を狙えるような曲を当てたいなと思っています。また、この1年間、僕らは新曲がない中でずっとライブをやってたんですよ。新規のお客さんが来てくださっても、今の僕たちの音楽性というものを見せられない状況だったんですが、来年になるとこの『MOOD』も全部リンクしてくるので、対バンライブにしても超アウェイなとこばっかりいっぱい出たいなと思ってます。来年は戦いの年ですね。ワンマンライブも来年はもう少し大きなところでやって、再来年にはZeppでやれるのを目標に動いているところです。
 
üsay 未リリース曲というか、ライブではやっているけど音源では聴けないという曲が多かった1年だったので、そういうものとのリンクをいっぱいできたらもっと楽しいと思うんですよね。だからそこを頑張っていきたいです。
 
──ネタはたくさんあるぞと。
 
Yuji そうですね。ライブには本当に力を入れているので、ライブと音源の2つの軸を中心にして、例えばYouTube上でのコンテンツもどんどん出していければなと思っています。来年は戦います! もし来年またお会いできたら、その時は目が違うと思います。
 
──戦いの目になっているわけですね(笑)。しかしお話を聞いていると、これからに向けてもすごく楽しそうですよね。
 
Yuji 楽しいですね。ただ、ここからもっと楽しくするためにBuZZチーム一丸となって戦っていきたいなと思っているので、そこは純粋に楽しみです。未来に恋してます(笑)。
 
──ではその未来を見守りたいと思います(笑)。 ありがとうございました!
 
撮影 長谷英史



『MOOD』
2022.11.23 ON SALE


BuZZ - Chandelier (Official Lyric Video)
https://www.youtube.com/watch?v=vUsEJ4Xfe2c


New EP Release One-Man Live“Mood"
2022/12/11(日)
LDH kitchen THE TOKYO HANEDA
・1部 OPEN 13:00/START 14:00開演
・2部 OPEN 17:30/ START18:30
一般席:6,000円(全席指定・税込)


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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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