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【Beverly】世界に向けて発信したい!2年半ぶりのアルバム『from JPN』

2022.06.15
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インタビュー
6月17日、2年半ぶりのアルバム『from JPN』をリリースするBeverlyさん。フィリピン出身で、日本でシンガーとして活動する彼女にとって、このタイトルはどういう意味があるのでしょうか。また、小室哲哉さんとの共作「One Vision」など、アルバムのほぼ全曲の作詞を手がけた彼女が、それぞれの曲に込めた思いとは?いろいろとお聞きしました!


『from JPN』というアルバム・タイトルの意味とは?




──今日、この取材日は5月31日です。何の日か、覚えていますか?
 
Beverly 今日は私のデビューアルバム『AWESOME』がリリースされた日です。
 
──そうですよね。2017年のリリースだったので、ちょうど5周年になります。
 
Beverly 私も、すごく早いなあと感じています。いろんな経験をしたり、いろんなことを学んだので、素晴らしい5年間になりました。
 
──日本に来られてデビューして、その頃はどんな感じでしたか?

Beverly 私は2016年に日本に来て、日本語も全く分からないし、本当にゼロの状態でしたね。いろんなことに慣れましたが、今でも日本の冬は苦手です(笑)。

──そうなんですね(笑)。
 
Beverly あと、日本語は私のファースト・ランゲージではないので難しいんですが、すごく美しい言葉がたくさんありますね。でもイントネーションと発音をちゃんとしないと理解できない言葉がたくさんあるので、難しいなと今も思っています。
 
──でも5年でそれだけ話せるというのは、すごいことですよね。
 
Beverly ありがとうございます。でもスタッフの皆さんに聞いたら違うと言われると思いますよ(笑)。
 
──ちなみにフィリピンにはしばらく里帰りできていないのでは?
 
Beverly はい。コロナで2年ぐらい帰れていなくて、ちょっと寂しいです。最近はだんだん状況がよくなっているので、今年は帰りたいなと思っています。
 
──というところで、6月17日にニューアルバム『from JPN』がリリースされます。アルバムは2年半ぶりになりますね。
 
Beverly はい。久しぶりなので、すっごく楽しみにしてました。この2年の中でいろんな曲をレコーディングしたり、歌詞を書いたりしていたので、今回のアルバムについてはたくさん準備できたなと思っています。

──『from JPN』というタイトルについては?
 


Beverly 私は日本人ではないですけど、日本は私のセカンド・ホームで、今回のアルバムに入っているのは日本で作られた楽曲です。日本に来てから音楽について多くのことを学んだと思っていて、その幸せとか困難だったこと、どちらもが今の私へと導いてくれました。私のゴールは日本だけじゃなくて、世界に向けて発信することなので、そういう思いを込めて『from JPN』というタイトルにしました。

──収録曲について、1曲ずつお聞きしたいと思います。1曲目は「Butterfly」ですね。
 
Beverly この曲は、2016年に初めてレコーディングした曲で(EP「Tell Me Baby」収録)、今ではすっごく昔に感じるんですけど(笑)、その時と今では歌い方が変わったと思います。フィリピンではだいたいバラードの曲を歌っていたんですけど、「Butterfly」は激しくてアップビートな曲なので、当時はその部分が少し難しかったです。今はそういう曲もけっこう歌っているので、だいぶ慣れてきました。
 
──フィリピンではバラードが人気というお話は、デビュー当時のインタビューでもされていましたね。日本のJ-POPとの違いに戸惑ったのでは?

Beverly そうですね。日本の曲は、激しくてかわいくてカッコいい曲が多いなというイメージなので、フィリピンの曲とはだいぶ違います。
 
──5年経って歌い方が変わったというお話でしたが、自分ではどこが一番変わったと思いますか?
 
Beverly リズムの取り方とか、タイミングですね。フィリピンのバラードはスローな曲が多くて、それに慣れていたので以前はそんなに意識していなかったんですけど、今はとても意識するようになりました。あと昔のビデオとかを見ると、高い声は出せているんですが、ピッチが不安定だったんです。今はそこも意識して、よくなったと思います。

──同じ曲だけに、自分の成長を実感できたのでは?
 
Beverly そうですね。聴き比べるとすごくよくなったなと思うので、日本のプロデューサーさんとかスタッフの皆さんに感謝しています。
 
──「Butterfly」はオープニングらしい勢いがありますね。
 
Beverly 皆さんにビックリしてほしいです(笑)。この曲で最初から盛り上がってほしいと思って、これを1曲目にしました。
 

日本とフィリピンの恋愛観の違いで大激論!?


──次は3月に配信リリースされていた「Ride your way」です。この歌詞はメッセージ性もある一方で、自分に言い聞かせているようにも聞こえます。
 

Beverly そう思って書きました。コロナの2年間で、いいこと、悪いこと、凹むこととかたくさんのことがあって、モチベーションが下がる時もありました。家族に会いたい気持ちもありましたし。その中で、これは自分のモチベーションになる曲ですね。
 
──聴く人と自分の両方に向けている?
 
Beverly 両方ですね。私と同じように迷っている人もたくさんいると思うんですけど、この曲を聴いて、皆さんも「よし、自分の道を進もう」という気持ちになってほしいです。
 
──3曲目は4月に配信された「I think I like you」。バラードですね。
 

Beverly この曲は、恋の進め方というイメージだったんです。実際に、昔恋をした時のことをイメージして書きました。でもYouTubeライブをした時に「私にとって、この曲はキュンキュンする曲です」と紹介したら、見てくれた皆さんから「キュンキュンというより、大変だなと思った」って言われて。好きな気持ちはあるのにすれ違っているみたいに思えたらしくて。フィリピンと日本の恋の進め方の違いがあるんだと知りました。
 
──そんなに違うんですね。
 
Beverly フィリピンの人はアグレッシブにいくのではなくて、少しずつ進めるんです。好きだから努力したり、付き合う前からお花をあげたり、家に行って家族に挨拶したりするのが普通なんですよ。お互いに好きだと思っていても、付き合い始めるまでの期間が長いんです。
 
──なるほど。
 
Beverly 男の子は、付き合うまでにたくさんアピールするんです。そして女の子は、「ハイ」というまでに時間がかかります。その時間が一番キュンキュンするんですけど、日本の人たちにはなかなか分かってもらえなくて、スタッフの人たちとも議論になりました(笑)。それがフィリピンのカルチャーだし、カトリックなので考え方がコンサバティブなんですね。
 
──アピールするのは男性の方からなんですね。
 
Beverly だいたいそうですね。その議論の時に日本の恋の進め方も聞きましたけど、やっぱり違うなあと思いますね。どちらもいいところはありますし、私は中立でいたいと思うんですけど、やっぱり少しフィリピン寄りになっちゃうところはありますね(笑)。

──それに慣れていたわけだから仕方ないですよね。でも最初に詞を書いた時は、こんなに議論になるとは思っていなかった?
 
Beverly 思ってませんでした(笑)。曲を聴いて、そういうイメージだなと思って書いて、レコーディングまでは問題なかったんですけど、翻訳してくれたスタッフの人から「この歌詞ってどういう意味?」って聞かれて。私はずっと「この曲はキュンキュンする曲です」って言ってたら、「どこがキュンキュンなの?」って(笑)。
 
──次は「VOWS」。これは5月の配信ですね。

 
Beverly 「誓い」という意味で、ウェディングソングとして書きました。私はまだ結婚してないんですけど、姉や妹は結婚していて、そのイメージを改めて思い出して、この曲を作りました。YouTubeライブで歌った時に、「これから結婚式を挙げる人がいれば、私がその式で歌いますから、予定がある人はぜひぜひコメントしてください」って言ったんですけど、その時はコメントがなくて。1回は、結婚式で歌ってみたいと思っています。

──では引き続き募集中ということで(笑)。この曲ではハイトーン・ボイスが印象的です。本領発揮!という感じで。
 
Beverly ありがとうございます。ハイトーン・ボイスはデビューの頃からの特徴なんですけど、今はもっとコントロールして出したいなと思ってます。全部「ギャー(と高音で表現)」じゃなくて、ファルセットも入れたりしていて、この曲でもチャレンジしています。プロデューサーさんなど、私にとっては「ザ・プロミュージシャン」という方たちがいろいろアドバイスしてくださって、本当に感謝しています。そのアドバイスの中で、いつも「Beverlyの高い声は素晴らしい」って言っていただけるんですが、まだ声のフレーバーが足りないということも言われてきたんですね。家に帰って言われたことを思い出して確かにそうだと思って、ファルセットとかたくさん練習して、この曲でもいろいろと出しています。
 
──次は6月1日にリリースされたばかりの「Never going back」。かなりグルービーな曲になっています。
 

Beverly この曲は、私のツアー・ベーシストもしてくれたTakuma君と一緒に作りました。ゼロから作った曲なので、「こういうグルービーな感じにしたい」「高い声でもグルービーな感じがほしい」という話をして、こういう曲になりました。アルバムのジャケット撮影の後にその打ち合わせをしたんですが、その時に歌詞の内容についても話したので、今回のアルバムの中では一番、「自分が入っている」という感じがする曲ですね。
 
──歌詞の内容は、強い決意を押し出したものになっていますね。

Beverly 「もう戻らない」という強い気持ちですね。この曲はアルバムで唯一、メロディーも私が考えたんです。これからは曲作りにも挑戦していきたいと思っているので、シンガーとしてもミュージシャンとしても成長できた曲だなと思っています。
 
──6曲目は「Slay the day!」。5ヵ月連続の最初、2月にリリースされたもので、すごく開放感がある曲ですよね。
 

Beverly はい。休みがない人とかすごく忙しい人に聴いてほしいなと思ってます。
 
──タイトルの「Slay the day!」というのはどういう意味なんですか?
 
Beverly 「楽しくていい1日になりますように」というような感じです。歌詞の内容もそういう感じで書きました。平日はすごく忙しくても、土曜日に「Slay the day!」をやればリセットできるし、もっと幸せになれるだろうなと思って。
 
──Slayという単語は日本人には少し馴染みがないような気がします。たぶん、一番知られているのは「ドラゴンスレイヤー」とかの使われ方で、「ぶっ倒す」とか「退治する」みたいな意味ですよね。
 
Beverly そうなんですよね。でもアメリカではSlayという単語にはポジティブな意味もあるので、それを紹介したいなと思って書きました。アメリカ人はすごくオシャレな人に「ワーオ、Slay!」と言ったりするんですよ。
 

「One Vision」でのコラボで小室哲哉さんのレジェンドぶりを再認識




──7曲目は「One Vision」。小室哲哉さんとの共作ですね。
 
Beverly この曲が出来るまでに、けっこういろいろなことがあったんです。小室さんの誕生日とかクリスマスの時に、インスタに「誕生日おめでとうございます!」とか「メリー・クリスマス!」っていうメッセージを送っていて、それがきっかけでコミュニケーションできるようになったんです。小室さんがすごく優しくて、オンラインサロンに出演させていただいたんですね。お話しさせていただいた時に「1曲作っていただけたらうれしいです!」って言ってたら実現して、この曲が生まれました。小室さんは本当にすごい方で、この曲もマスターピースだと思っています。
 
──そんな経緯だったんですね。他の曲では、一人の人の気持ちなどが歌われていることが多いですが、この曲の詞はもっと大きい視点から書かれていますよね。
 
Beverly この詞を書く時はすごく迷ってたんですけど、プロデューサーさんにテーマについて相談して「One Vision」のイメージができました。ニュースを見ていると、世界では悲しいこととかよくない出来事もたくさんありますけど、みんなが一つのビジョンを持って愛を忘れずにいれば、世界がもっとよくなるという願いを込めています。
 
──小室さんとのお仕事はいかがでしたか?
 
Beverly 濃いですよね。今までにも「Be The One」とか「Guardian」でのコラボはあったんですけど、その時はゆっくりお話する時間がなかったんですね。今回は初めて直接お話ができて、私からいろんな質問をさせてもらって、その答えを聞くと「ああ、だからレジェンドなんだな」と改めて思いました。私はこれからのアーティストなんですけど、そんなレジェンドと一緒にお仕事をさせていただいて、すごく光栄ですね。これからもコラボをさせていただければと思います。
 
──次の「My Love, Goodbye...」は、これもバラードですね。
 

Beverly これはBeverlyのコンフォート・ゾーン(心地よい空間)というか、フィリピンの影響を受けたバラードですね。タイトルにもある通り、別れの曲です。悲しいけど、さよなら、という。フィリピンのバラードも失恋の曲が多くて、人気があるんですよ。何でですかね?(笑)

──フィリピンの人々の気持ちに合うんですかね。
 
Beverly 私の家族も、この曲と「VOWS」はすごく好きだと言ってくれました。
 
──9曲目は「Do That」はすごくファンキーな曲ですね。
 
Beverly これもEP「Tell Me Baby」に収録されていた曲です。ファンキーな曲調で、歌詞も前向きで気に入っています。
 
──それに加えて、「Disc1」には過去曲の英語バージョンが6曲、そして「Disc2」には日本語バージョンが4曲収録されています。同じ曲でも日本語で歌うのと英語で歌うのでは、いろいろと違いますよね?
 
Beverly 違いますね。やっぱり、日本語で歌うのは私にとって難しい部分があります。ちゃんと発音しないと、伝わってはいるけど少し変に聞こえてしまうので。プロデューサーさんに言われるんですけど、例えば私の「キ」や「イ」の発音は、母音が少し曖昧に聞こえるらしいんです。舌が少し巻いてしまうからそう聞こえるみたいなんですけど。そこが今の私の課題で、いろいろ練習しています。
 
──日本語バージョンでも歌詞の意味をちゃんと分かっていないと、音を区切る場所とかも分からないですよね。
 
Beverly そうなんですよね。だからそういうところもディレクションを受けていて、日本語の曲ではレコーディングを何回もやることもあります。
 
──この日本語バージョンの歌詞は、Beverlyさんの元の英語詞をどなたかが訳されたものなんですか?
 
Beverly そうですね。実は私も頑張って訳してみようとしたんですけど、難しくて(笑)。

──歌詞だから、普通の文章の翻訳ともまた全然違いますからね。
 
Beverly 英語で詞を書くのはだいぶ慣れたんですけど、日本語は難しいです(笑)。同じ英単語やフレーズでも、日本語では複数の言葉に訳すことができますが、それは日本語をよく知らないとできないですからね。いつかは日本語でも作詞できるようになりたいですけど、それは遠い未来だと思います(笑)。まずは日本語がペラペラにならないといけないと思っていて、それができたら作詞は次の段階ですね。
 
──頑張ってください! ここまでにも、歌とか声、作詞などいろんな面で頑張っていると思いますが、もっと伸ばしたいと思っているのはどういうところですか?
 
Beverly 日本語の歌い方ですね。もっと上手になりたいです。日本語の発音がもっとうまくなれば、すごくよくなると思うので、そこはもっと褒められるように頑張りたいです。あとライブの時にはまだ緊張したりいろんなことが心配になったりするので、そういう部分を直して、もっと自由にやりたいですね。
 
──6月19日には、2年ぶりのワンマンライブがありますね。
 


Beverly 楽しみです! たぶんアーティストの皆さんは誰でも、ライブが一番楽しみですよね。この2年間はほとんどオンラインライブで、それも楽しかったんですけど、いつも応援してくれる皆さんと一緒に楽しい時間を過ごしたいという気持ちが本当に強くて、早くライブがしたいです。あと、私は普段、気になることとか心配なことがたくさんあるんですけど、ステージに上がるとそれが全部消えて、自由になれるので、早くステージに立ちたいです。
 
──まだお客さんが声を出すことはできないですが、それでも無観客ライブと実際にお客さんがいるライブでは全然違いますよね。
 
Beverly 本当に違いますね。声を出せなくても、どうやったら皆さんに楽しんでいただけるか、今考えているところです。当日を楽しみにしてほしいです。
 
──その先はどうしたいですか?
 
Beverly 『from JPN』というアルバムをいろんなイベントなどで届けたいと思っていますし、世界のいろんな国で、このアルバムの曲を歌いたいなと思っています。ライブもたくさんやりたいし、私自身ももっと成長したいです。デビューから5年経って、ここまでは成長できていると思いますが、その成長できた部分はキープして、まだ足りない部分を伸ばしていきたいと思っています。そして早く皆さんと会いたいです。
 
──ありがとうございました!
 
撮影 長谷英史


『from JPN』
2022.6.17 ON SALE

 
 


「Beverly LIVE from JPN ~B. Avenue~」
公演日:2022年6月19日(日)
会場:渋谷ストリームホール
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-21-3
TEL:03-6419-9500
http://stream-hall.jp/
開場/開演: 開場16:30 / 開演17:00
 
★一般販売★
受付URL:https://eplus.jp/beverly/
★ライブ配信★
<視聴券受付>
~6/25(土)21:00
https://eplus.jp/beverly-s/
※アーカイブ期間 ~6/25(土)23:59まで
 
 
 
【Beverly OFFICIAL WEB】
http://avex.jp/beverly/
 
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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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