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【BRIDEAR】アルバム『AEGIS OF ATHENA』全曲解説!jbstyle.に送ったジャケットの下絵も初公開!

2022.04.15
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音楽
インタビュー
4月20日にニューアルバム『AEGIS OF ATHENA』をリリースするBRIDEAR。現メンバーで3枚目となるこのアルバムは、各メンバーが作詞・作曲にも加わり、バンドとしての表現の幅をより広げた作品となっています。昨年秋にはヨーロッパツアーも敢行し、この後にはイベント出演やワンマンライブも控える彼女たちに、アルバム全曲解説やライブのことなど、いろいろお聞きしました!


コロナとの戦いを歌った大曲「Side of a Bullet」!


──さっそくアルバム収録曲について、1曲目からお聞きしたいと思います。「Side of a Bullet」はものすごく壮大な曲になってますね。
 


MISAKI はい、壮大な幕開けにしました。最初はここまで壮大になる予定ではなかったんですけど、戦いとか、現状を覆すぞというテーマを持って作りました。
 
──曲を作ったのはいつ頃なんですか?
 
MISAKI 元になったのは1年ぐらい前で、前のアルバムの時にも提出してはいたんですけど、その時はバランスの問題なのか何かで入らなくて、今回改めて出し直しました。その時に、現状のコロナ禍をテーマにして手を加えました。コロナ禍になって、いろんな夢を追いかけてた人が夢を追うことすらできなくなったりした中で、そこと戦っていくという部分を表現しました。ただ、聴いてる皆さんが感情移入してくださるのであれば、どう解釈されてもいいとは思います 。

──長い曲で展開も複雑ですが、全体の流れは自然ですよね。曲全体はどうやって作っていったんですか?
 
MISAKI ぶっちゃけると、最初と最後のバラードっぽい部分と、途中の戦争シーンみたいなところは後から付け加えてもらったもので、私が作ったのはそれ以外の部分なんです。だから、頭とお尻と真ん中の部分をアレンジャーさんが入れてくださって、うまいこと物語風にまとめてくださったという感じです。なので、完成版を聴いた時は感心しました(笑)。
 
──今回、アルバム全体で長尺の曲が増えてますよね。
 
KIMI 技術的に、私たちができること、一人ひとりのポテンシャルを以前よりも示していこうという気持ちがあったので、それが曲に反映された結果なのかなと、勝手に思ってます。
 
──今回のアルバムでは英詞の曲がかなり増えていますが、この「Side of a Bullet」では特に、英語のボーカルが自然になっているように感じました。
 
KIMI ホントですか? 日常的に英会話のレッスンに行ったり、歌う時にも英語の先生が来てくださったりして、ある程度「英語として聞こえる」というラインはジャッジしてもらいながら歌っていったので、そのへんが出ているのかもしれないです。ただ、英会話に通う頻度が上がったとかではないんですよ。単純に蓄積されたものということだと思います。
 
──「Side of a Bullet」、演奏面ではどうですか?
 
MISAKI 各楽器のパートがものすごく凝ってるんですよ。この曲と「BRAVE NEW WORLD REVISITED」は、どちらも長い曲なんですけど、テクニカルで聴きどころ満載になってます。
 
──2曲目の「Preference」は一転してストレートなナンバーですね。
 


KIMI 私はそんなに器用じゃなくて、「こういう曲を作りたい」という表現に作曲技術が追いつけてない部分があるので、出てきたものをそのまま形にしたっていう感じです。たまたま寝る前に倖田來未さんの曲を聴いていて、ベッドに入ったら曲のフレーズが浮かんできたんですね。偶然かもしれないんですけど、倖田來未さんからの贈り物なのかなと(笑)。avexつながりだし。
 
──そんなエピソードが(笑)。
 
KIMI 20歳になった時にも、「経験として」ということで、みんなでパチンコに行ったことがあって。そこで倖田來未さんのパチンコ台を打ったら、勝ったんですよ。そのお金で、生まれて初めてマイ・マイクを買ったんです。私の人生の節目にはちょいちょい倖田來未さんがいるっていう(笑)。
 
HARU それは知らなかった(笑)。
 
──そうでしたか(笑)。この曲はサビのシンガロングも印象的ですね。

KIMI 倖田さんきっかけでサビメロが浮かんで(笑)、その後に「シンガロングを入れたい!」と思ったんですね。だからまずそこを考えて、それからAメロ・Bメロを作ったという感じです。
 

──3曲目、「Greed」はJanne Da Arcの元メンバーのkiyoさんの作曲によるものですね。すごく力強い一方でメロディアスなナンバーですが。

HARU この曲自体は、前作でyouさんに楽曲提供いただいた時に、そのデモの中に一緒に入っていた曲なんです。前作ではyouさんの曲(「Fake World」)が採用されたんですけど、その時からずっとこの曲がやりたくてやりたくて、スタッフにずっと言ってたんですよ。そしたら実現できたんですけど、メンバーは1年前にもらった時からずっと練習済みだったので、すごくいい形でレコーディングできました。今回のアルバムは英詞が多いので、その英詞に合わせてメロディを当てていったりして、そこもいい感じにできたなと思います。
 
──1年間で練り上げられたわけですね。
 
HARU その練り上げがあったからこそ、MVも爆発した感じにできたかなと思ってます。
 
──MVは各自の演奏する様子を強調した作りでしたね。
 
HARU kiyoさんのアレンジが、楽器同士の絡み合いがすごく絶妙で、これ以上ないぐらい最高に絡んでいるので、MVでも各パートの演奏シーンを切り抜いていただいた感じがすごく絡み合っていて、そこもすごくいい感じで表現していただけたなと思います。


 
──4曲目の「With Me」はKIMIさんの作品で、パワーバラードですよね。
 
KIMI 前作に入っていた「Starlight」みたいなバラードを作りたいと思って作ったんですけど、もともとはもっとシンプルな感じだったんです。それをアレンジャーさんにお願いして、返ってきたら変拍子が入っていたり、細かいフレーズが足されていたりして、私が想像していたバラードよりもちょっと変態的な曲になっていて、「これは面白いな」と思ったんです。もともとはもっと穏やかな内容の歌詞を書こうと思っていたんですけど、アレンジが変態的になっていたので、歌詞も変態的な感じにして、あとは皆さんの技術にお任せしました。
 
──特に最後の展開のリズムが面白いなと思ったんですが、あれこそが変拍子ですよね?
 
NATSUMI はい。メッチャ難しかったです(笑)。練習もですけど、ライブでやるのもけっこう苦労しました。そこだけ何回もループして練習して。何回かやれば染みついてきて、体も勝手に動くようになるんですけど、そこに行くまでがちょっと大変で。
 
 
メンバーの個性がより強く出たアルバム曲
 

──5曲目は「Determination」。最初、何となく聴いていて、「ちょっとELLEGARDENみたいな感じだな」と思ったんですよ。



AYUMI ヤバい! メッチャ趣味が出てる(笑)。
 
──そうなんです、そう思った時に「あれ? アンケートの『好きなアーティスト』でELLEGARDENを挙げてたメンバーがいたよな?」と(笑)。
 
AYUMI そうなんですよ(笑)。本当に自分の得意なところをやらせてもらった感じがあって。でも一応、プロデューサーから「こういう曲がほしい」というリクエストがあって作ったものなんですけど、例としてもらった曲が、意外とザ・メタル!という感じではなく、ギターリフがしっかりしていたので、「これはもしかして、自分の好きなものをやってもいいのかも!」と思って、調子に乗って好きなものを入れたら、そういうことになったんだと思います(笑)。
 
──なるほど(笑)。6曲目の「Ray of Chaos」もAYUMIさんの作品が続きますが、この2曲はメロディの方向性が他の曲とはちょっと違う感じがします。
 
AYUMI どっちもサビメロからできたんですけど、どちらもけっこう印象強い感じのメロディができて、そこを中心としてストーリー的なものをうまく付け加えられたなとは思ってます。構成とかも自分で考えて、そのまま採用してもらったので、そこがいい作品になったなと。
 
──この2曲もそうですが、前作にも増して、アルバム全体に作った方の個性がより出てるなと思いました。個性がすごく強く出た曲が出てきた時は、どんな反応になるんですか?
 
HARU 「ここがいいよね」を言い合う時はたまにあります。今話してた曲についても、AYUMIちゃんが「ベース、メッチャよかったよ!」ってLINEをくれたりとか(笑)。そういうのは、いろんな曲に関してチョイチョイあります。
 
──メンバーの個性が出るのはもちろんいいことだと思いますが、そこと「BRIDEARらしさ」みたいなものとの整合性というのはどう考えているのかなと。
 
MISAKI 全部が全部じゃないというか……BRIDEARらしい曲を書こうという意識はもちろんあるんですけど、そこに自分の個性が混ざってもいいんじゃないかなと思っていて。この曲で言うと、AYUMIちゃんのよさが初めて出たんじゃないかなと思ってて、むしろよかったなと思います。
 
AYUMI (笑)
 
──ただ「Ray of Chaos」の方は、イントロもグルーブ感があって、ちょっとアメリカン・ラウド的な印象も受けました。
 
AYUMI 2作前のアルバムの「MIRROR」という曲もそうなんですけど、たぶん、これぐらいのテンポがすごく自分の中から出てくることが多いんですね。「MIRROR」の時は自分のリフは採用されなかったんですけど、今回はそのまま使ってもらっていて、それによってより自分らしいものになったというか。ギターの録り方も、他の曲とは違うやり方をしたので、そこでも他の曲とは変わった感じになったと思います。
 
──違う録り方というと?
 
MISAKI ほとんどの曲はラインから直接録音してるんですけど、この曲は一度アンプを通して出力したものを録ってますね。
 
──よりライブに近い感じなんですね。この曲の歌詞のイメージはどこから来たものなんですか?
 
AYUMI もともとは「BRIDEARが全員ぶっ倒していくぞ!」という感じのことを書きたくて、それが中心にあるんですけど、そこに「AEGIS OF ATHENA」に絡めて海での戦いを比喩として入れた感じです。「最後に笑うのは私だ」というフレーズなどは、バンドがこれから上に行くぞという気持ちを書いたものです。
 
──7曲目の「The Bathtub」で、今作では初めて日本語の歌詞が出てきますよね。このタイミングで出たので逆に新鮮に感じたんですが、英詞と日本語詞の使い分けについてはどういう考えがありますか?
 


MISAKI 「Side of a Bullet」は、マネージャーから「英語で書いてほしい」と言われたんですね。あれは海外を意識して作った曲だったので、詞も英語の方がいいだろうなと思って作ったんですけど、「The Bathtub」の方は日本語で書きたかったという感じです。どう使い分けるかとかはあんまり考えてないんですけど、英語の方が内容的に多くのことを入れ込めた感じはします。英語って、言いたいことがいっぱい言えるなと思って(笑)。
 
──この歌詞はどこから発想したものなんですか?
 
MISAKI もともとはお風呂が発想の元で(笑)。私は、モチーフを一つ決めて、そこから作っていくというやり方をよくするんですけど、この曲はラスサビの前までは、狭いバスルームから抜け出せなくて、溺れて苦しいというところから、ラスサビで解放されて、私は飛び立つんだ、という感じを表現しました。私の場合はモチーフを一つ決めると、物語ができちゃうんですよ。
 
──なるほど。歌詞の作り方にもいろいろ個性がありますね。例えばKIMIさんの場合は、どういう感じなんですか?
 
KIMI 私はアレンジが上がるまで書かないんですけど、アレンジされたものを聞くと浮かぶ情景みたいなものがあるので、それで書くようにしています。
 
──AYUMIさんの場合は?

AYUMI さっきの「Ray of Chaos」なんかもそうなんですけど、中心になる気持ちがあって、そこから書いていくことが多い気がします。英語だと、日本語と違って音数とか語感とか気を使うことも多くて、内容よりもそっちを重視してしまうこともありますけど。
 
──HARUさんとNATSUMIさんは、今回は作詞でのクレジットはないですが、普段は作詞はされてるんですか?
 
HARU 私は前作ではチラッと参加しました(笑)。私が日本語で書いたものを英訳してもらって、やりとりをしながら仕上げていったので。私は基本的には、実際に歌うKIMIちゃんにやってもらうのが一番いいかなという考え方なので、そこまでたくさん作りはしないんですけど、ただ書きたいものがあったら書くという感じです。
 
──NATSUMIさんは?



NATSUMI 私も作ったことはあるんですけど、小学生の作文みたいになっちゃって(笑)。
 
KIMI 逆に見たいけどね(笑)。
 
NATSUMI いつかはやってみたいとは思ってるんですけど、今は曲を作り始めたばかりなので、そっちがちゃんとできるようになってからかなと思ってます。(KIMIの方に視線をやりながら)いつかは書いてみたいですけどね……。
 
KIMI 何でこっち見るの?(笑)
 
NATSUMI 私が書いた歌詞をKIMIちゃんに歌わせるのは恥ずかしいなと思って。顔が熱くなっちゃうというか。
 
HARU 何を書くんだろう?(笑)
 
NATSUMI 歌詞って、普段はあまり言葉に出さないようなことをさらけ出す感じがあって、まだ恥ずかしいなと思っちゃうので。今後はやっていきたいです。
 
 
ヨーロッパでも大好評!「BRAVE NEW WORLD REVISITED」
 
 
──8曲目の「Lodestar」はHARUさんの作品ですね。前作でもそうでしたが、HARUさんの曲が一番ヘビーな印象があります。

 

HARU リフとかがザクザクした感じだから、そう聞こえるんだと思います。でもサビはキャッチーにしたいなと意識していて。ただ、一番こだわったのはメロディーなので、そこは聴いていただきたいなと思います。
 
──この曲の歌詞はKIMIさんですが、ちょっとビジュアル系っぽいなと思いました。
 

KIMI カタカナを多用していたりするからだと思うんですけど、これには理由があって。この曲は、歌詞の内容的には前作のタイトル曲「Bloody Bride」の続編になってるんです。ジャケットに描かれていた「Brideちゃん」っていうキャラクターがいるんですけど、そのBrideちゃんには公式のツイッターアカウントもあって(笑)。(Mrs.Bride / Brideちゃん(22years old) https://twitter.com/Im_BloodyBride
 
一同 (笑)
 
KIMI Brideちゃんは外国出身なので、ツイートする時は必ずカタカナなんですよ。だからこの歌詞でも、カタカナの部分はBrideちゃんの思いとか言葉なんですね。
 
AYUMI そうだったのか(笑)。
 
KIMI ただ、聴くだけではカタカナかどうかは分からないので、歌詞を読んでいただくことをオススメします(笑)。

──9曲目は「Past in Emerald」ですね。



KIMI これは、私なりに「J-POPとハードロックの中間みたいな曲を作りたいな」と思って作り始めました。アレンジもロックだけど爽快感がある感じになっていたので、そこから思い浮かべて、若々しい緑のイメージだったので「そうだ、青春について書こう」と思って。青春時代って、人間的に成長していく時なので、感情の波が大きいじゃないですか。そこでの葛藤だったり他人への嫉妬だったりという、ちょっとモヤッとした感情について書きたくて。タイトルの通り、過去の輝かしい時という感じで、「青春」というのは、私の中では「青臭い」というよりはもっとキラキラしたイメージだったので、エメラルドにしました。
 
──この曲はツインギターが印象的ですよね。
 
MISAKI 美しいですよね。
 
一同 (笑)
 
MISAKI 曲が爽やかで、かつ疾走感がすごかったので、ソロとかもそうなるように意識しました。作曲の時とかもツインギターは生かしていこうと考えて作ってるんですけど、今回のアルバムではちょっと少なめになっちゃいました。
 
──だから、この曲での演奏が印象に強いんでしょうね。
 
AYUMI MISAKIちゃんの曲では、リードだけじゃなくバッキングでも、セクション変わりのタイミングで出てくる細かいフレーズとかで、ハモるフレーズを作ってくれる印象があります。
 
MISAKI そこは確かに、ギターが2人いるのを生かしたいなと思って。
 
──次の「BRAVE NEW WORLD REVISITED」は、昨年発表されていた曲ですね。8分の楽曲に、まさにプログレッシブ・メタルのいいところが詰め込まれた感じで。
 


HARU 最初から「プログレにしよう」と思ってたんですよね。まず私の方で、「こういう要素を詰め込みたい」というのをとにかく作って、それをバーッと並べた状態で「こういう流れにしたいな」という段階でYAMATOさんにお渡しして、そこからいい感じにしていただいたのを、みんなが演奏してくれて完成したという感じです。
 
──HARUさんからYAMATOさんに渡した時点では、何%ぐらいのものだったんですか?
 
HARU その時点ではGメロぐらいまであったんですけど、完成形ではそれは全部なくなって、YAMATOさんがその雰囲気を生かして全部作り変えてくださったという感じですね。だからいったんバラしていただいたというか。今回は最初から、YAMATOさんと一緒に制作するということが決まっていて、そこは本当に信頼しているので、「きっと伝わる」ぐらいの感じで送ってました(笑)。
 
──昨年後半にはヨーロッパツアーがありましたが、どうでしたか?
 
HARU 私はよかったんじゃないかと思ってるんですけど……。その前に、この曲はコロナ禍の一番苦しかった時期に作って、MVを先に公開していたので、ツアーではそれを先に見てくださっていたお客さんがたくさん来ていたのもあると思うんですよね。この曲は、今まででも一番と言うぐらいにメッセージを詰め込んだ曲だと思うので、そのあたりもすごく感じて聴いてくれているんじゃないかなというのを、私も演奏しながら感じてました。
 
──特にヨーロッパでウケそうだなと思ったんですが、やっぱりそうですよね。
 
HARU ヨーロッパでウケるかというのも意識してはいるんですけど、何よりもこの曲については出すタイミングにしても内容にしても、本当に伝えたいことがハッキリしていて、「コロナというものと、みんなで戦っていこうよ」という曲なんですよ。だからそっちをメインに考えて作ってました。
 
──「Side of a Bullet」の話でも出ましたが、この曲も長くて複雑な展開ですよね。これはバンドの要素として、これからもっと増えていきそうですか?
 
HARU このメンバーになってから変拍子がすごく増えてるなというのを感じていて、それをウワッと詰め込んだのが、特にこの2曲なのかなという感じですね。私はもともと変拍子が好きで、デモを出した時点では自分でも覚えたくないというぐらいの弦楽器隊変拍子ユニゾンをメチャクチャ突っ込んでたんです。
 
MISAKI たぶん弦楽器隊はみんな変拍子が好きで、ちょっと変わったことがあったらすぐに取り入れがちかもしれないです(笑)。
 
HARU ユニゾンの絡み合い大好きみたいなね(笑)。前からそうだろうなとは思ってたんですけど、今のMISAKIちゃんの言葉で、みんな好きっていうことが発覚したので、これから増えると思います(笑)。
 
KIMI えっ、増えちゃうの?(笑)
 
──もう遠慮しなくていいという感じで?
 
KIMI でも、楽曲に不必要なとこだったら遠慮してほしい(笑)。
 
HARU まあ、やり過ぎると面白くないからね。一瞬そういうのが出てくるからいいのであって。
 
KIMI でもまあ、メタルは余計なことしてナンボですからね(笑)。
 
HARU じゃあこれからは余計なことしかしないかもしれない(笑)。
 
──バンドの今後を左右しそうな会話ですが……(笑)。さて、11曲目が「Road」。これが今作で唯一、NATSUMIさんの作曲ですね。確かにドラムが一番大暴れしています(笑)。
 


NATSUMI そうなっちゃいました(笑)。私も、マネージャーから「こういう感じで作ってほしい」という見本を渡されていたんですけど、けっこう構成が難しくて、自分の中で整理できなくて。それと、「英詞にしてね」とも言われてたので、英語っぽい曲を自分の中で頑張って考えてたらメロディーが浮かんだので、そこから作っていきました。
 
──そうなんですね。
NATSUMI ドラムは後からつけていったんですけど、それも「ツーバスで」という指定があったんですよね、たぶん。

KIMI たぶん?(笑)
 
NATSUMI 見本がツーバスだったので、BPMとかも気にせずツーバスで打ち込んでいってたら、出来上がって提出はしたものの、速すぎて自分が叩くのが無理だなと思って。最初BPM160で作ってたんですけど、5下げたんだっけ?
 
AYUMI 自分で言ったんじゃん(笑)。
 
NATSUMI アルバムの曲を全部ライブでやるとなったら、自分が死ぬなって、レコーディングの時に気付いたんですよ。だから「5落としていいですか?」ってことでみんなに了解してもらって。
 
──そうなんですか(笑)。曲全体としては、激しさの中にも明るさが感じられる曲調ですよね。
 
NATSUMI はい、明るさは出したいなと思ってました。初めて聴いた時にも耳に残るようなサビ入りを作りたいなと思って、サビもすぐ覚えられるような感じにしようと思っていたら浮かんできて。
 
──この曲がアルバムのラストですね。
 
KIMI 私が作詞した時には、アルバムの曲順がまだ決まってなかったので、そこまで歌詞に反映させてはいなかったんですけど、でも結果的にラストっぽい感じにはなったなと思います(笑)。
 
──ということで全11曲について語っていただきましたが、こうして見るとやはり作風が広がっていますよね。それも先ほど出た、各メンバーの作詞・作曲においての個性がより出たことの結果かと思うんですが。
 
KIMI 結果的にそうなっている感じはしますね。作詞に関しては、私は可能なら全部書きたい方なんですけど(笑)、それだと「私の主張」みたいになってしまうし、作曲者の意向もあるので、そこは任せるようにはしています。
 
 
まさかあの絵が……メンバーも知らなかった?ジャケット制作秘話!
 
 
──そしてアルバム・ジャケットが「jbstyle.(ジェイビースタイル)」さんによるもので、前作までとはだいぶ色合いの違うものになっていますよね。
 
KIMI 最初に見た時は「カッコいい~!」と思いました。
 
HARU LINEグループが「ヤベ!」って盛り上がってました(笑)。
 
──これは皆さんからイメージを伝えて、という感じだったんですか?
 


HARU まさかの、私が下絵を描いてまして(笑)。これ、言い訳させてほしいんですけど、その時点ではjbstyle.さんが描くって決まってなかったんですよ! そんな世界的にすごい方に、私のあの独特な絵が送られるとは思ってもみなくて。「送ったよ」っていうのを聞いて、メチャクチャ焦りました(笑)。その下絵はお見せできないんですけど……
 
NATSUMI 見たい!
 
AYUMI メンバーも見てないんですよ。
 
HARU KIMIちゃんしか見てなくて。
 
KIMI えっ、私、絵は見たけど……アレなの?
 
HARU アレなんだよ!(笑)
 
一同 (笑)
 
KIMI アレが送られてきた時点で、「これは何なんだろう?」と思ったんですよ。だから他の3人は、HARUちゃんの絵も見てないし、彼女がジャケットのコンセプトを考えたっていうことも知らなかったんですよ。
 
HARU 見せてもいいけど……もともとは、「BRAVE NEW WORLD REVISITED」がこのアルバムに入るということは一番はじめに決まってたので、アルバムのコンセプトもこの曲のイメージに近いものになるだろうというのをプロデューサーさんからお聞きして、その曲のコンセプトを私なりに描いたらどうなるかということで、「描いてみて」って言われたんですね。
 
──それで描いたと。

HARU 私に画力がないのは皆さんご存じなので、そこはいいんですけど、Brideちゃんを入れることは最初から決まってて、わかりやすいコンセプトとして、Brideちゃんを飛行機に乗せようということは分かってたんです。Brideちゃんは自分の好きな場所があって、そこを守るために戦っていると。でもその敵であるコロナって、形で表現できないじゃないですか。それとみんなの悔しい気持ちとかを、独特のガイコツとして描いて、それをjbstyle.さんに送ったら、すごいスケール感のある作品になって帰ってきたんですよ。「ヤベえな」と思ったし、出来上がりを見た瞬間、それまでのことを私はメンバーに言えなくなって。だから今言えてよかったです(笑)。

──ではせっかくなので、その絵を見せていただきましょうか(笑)。
 
HARU えーっ! やっぱりですか……。(スマホを取り出し操作して)これなんですけど……。
 

 
NATSUMI えっ、近いじゃん! すごい! (プロデューサーに)これを伝えて、ああなったんですか? (HARUに)すごいよ!
 
HARU 褒められた!(笑)
 
NATSUMI 上手だね!
 
──メンバーの皆さんも初めての事実が知れてよかったですね(笑)。先ほども出ましたが、昨年秋にはヨーロッパツアーを回ったんですよね。よくこの時期に行けましたよね。
 
KIMI ホントにそうなんですよ。あと1週間ずれてたら行けなかったので、本当によかったです。向こうは、ワクチン証明書をみんながデジタルで持っていて、係の人がそれをチェックするという形になっていて、感染対策はバッチリだったので、そこは気にせずに楽しめました。
 
──向こうのお客さんの反応はどうでしたか?
 
KIMI 私たちがしばらく行けていなかったというのもあって、どれぐらいのお客さんが待ってくれているんだろうというのは、不安なところではあったんですけど、1日目から入った瞬間に「うわ、デカ!」と驚くようなライブハウスで、それがほぼ満席に近いぐらい入ったし、どの会場でもかなり盛り上がってくれました。
 
──そして3月の3連休には、大阪、福岡、名古屋というツアーがあったんですね。
 
KIMI BRIDEAR史上、短い期間で一番移動距離の長いツアーでした。でもヨーロッパツアーを経験していたし、向こうだと移動距離も日本より長いんですよ。東京~福岡間ぐらいの距離を朝から移動してライブ、とかもあるので、その経験があったから、みんなわりと余裕で乗り越えられたかなという3日間でした。
 
──ツアーの中身については?
 
KIMI BRIDEARのもともとの地元である福岡で初めてライブをするメンバーもいて……

 

AYUMI 福岡は一番緊張しました(笑)。昔からBRIDEARを知っている人たちがたくさん見に来てくれていたはずなので、けっこうドキドキしたんですけど、「自分は自分らしく」ということで頑張りました。
 

NATSUMI 私も福岡は緊張しました。2日目ということもあって、前日の大阪からけっこう移動も長くて。ヨーロッパでも経験はしてたんですけど、ドラマーは長い間座りっぱなしだと筋肉が固まって足が動かなくなるんですよ。だから車に乗ってる間もずっとマッサージをしていて。そこは万全だったんですけど、KIMIちゃんとHARUちゃんの地元だったし、昔何回かやったというライブハウスだったので、成長した姿を見せなきゃいけないというのもあって、緊張しました。でもお客さんがみんな温かくてよかったです。
 
 
今年はライブをもっと! ヨーロッパにもまた行きたい!
 
 
──これからは4月29日の日比谷野音での『NAONのYAON2022』と、5月5日、代官山SPACE ODDでのワンマンライブがありますね。
 
AYUMI 『NAONのYAON2022』は楽しみです。私は以前に出させてもらったことがあるんですけど、自分のバンドでというのは初めてで、ワクワクしてます。
 
HARU 過去に『NAONのYAON2022』のオープニングでやったことはあって、その時に「いつか本編に出ます」と言ってたんですね。その約束を守りに行くことができて、しかもこんなに強いメンバーを携えてドーン!という形なので、すごく楽しみです。
 
KIMI 5月5日は、「LIVE AEGIS」というタイトルをつけたぐらいなので、いろんな曲をたくさんするであろうと。そして私たちは必死に練習するであろうと(笑)。これは私の信条なんですけど、「アルバムを聴いてなかったから楽しくなかった」というものには、絶対したくないんですよ。どんな状態でも楽しいものにしたいので、ニューアルバムの曲もやるけど、私たちのライブでは必ずやる曲は外さないし、耳になじんでる曲もいっぱいやるよと。誰が見ても楽しいライブにしたいと思ってます。もちろんアルバムは聴いた上で来てほしいですけどね。



──今年はこれまでより開けた活動ができそうな状況でもありますが、ここからどうしていきたいか、お一人ずつお願いします。
 
HARU 今年もヨーロッパに行きたいなと思ってて、計画もしつつあるんですけど、去年行った時とはまた様子も違ってるだろうと思うので、このアルバムをどう表現できるかというのは楽しみです。それはもちろん日本でも同じで、コロナがもっと落ち着いてお客さんも声が出せるようになっててほしいですし、それによってまた表現も変わってくるだろうし。今年はそういう意味でもっといろいろできるといいなと思ってます。
 
NATSUMI 今回は『NAONのYAON2022』で、今までとは違う人たちの目に触れる機会もあるので、それをきっかけに若年層とかも、内に秘めた怒りとかもあるだろうからメタルは絶対好きになれると思うので、新しいファンをたくさん増やしたいです。
 
MISAKI 「AEGIS OF ATHENA」を機に、今までよりもたくさんの人たちにBRIDEARを知ってもらえるようにしたいです。
 
AYUMI 今年は強気にやっていきたいと思います。
 
KIMI 分かる!(笑)

AYUMI ライブでのパフォーマンスとかもそうなんですけど、「Ray of Chaos」の歌詞のように進んでいきたいです。

KIMI 今、このメンバーでのアルバムは3枚目になるんですけど、3枚目って私の中ですごく勝負だと思っていて。今、みんなの言葉をここで聞いていて、みんなの本性みたいな部分、勝ち負けじゃないとは思うんですけど『勝ち』を取りに行きたいという部分が前よりむき出しになっている気がするので、そこをもっとグイグイ出して、いろんなものを踏み倒していきたいと思います。
 
──だんだん皆さんの発言が、勇ましいというよりは物騒になってきてますが(笑)。
 
KIMI 私が言うのも何なんですけど、みんな心優しい、いい子たちなんですよ。だからこそ、いい距離を保ちつつ、仲がいいんですけど、その距離がだんだん縮まってきたことで、3枚目のアルバムにしてみんなの野心が出てきたなと感じているところなんですね。バンドって、殺気を出していくことも大事だと思っているので、AYUMIちゃんが言った強気な姿勢とか、それがだんだんギラついた感じで出てくるんじゃないかという期待を込めつつという感じです。
 
──BRIDEARの野望がよく分かりました(笑)。ありがとうございました!
 
 
撮影 長谷英史
 
 
 
『AEGIS OF ATHENA』
2022.4.20 ON SALE

AVCD-96947
¥3,300(¥3,000+税)
 
 

 
SHOW-YA PRODUCE『NAONのYAON 2022』日比谷野外大音楽堂
【日時】2022年4月29日(金・祝) 開場 14:00 / 開演 15:00
【会場】日比谷野外大音楽堂
【チケット】全席指定 8,000円(税込)
【出演】
SHOW-YA、杏子、相川七瀬、渡辺敦子(ex.PRINCESS PRINCESS)、富田京子(ex.PRINCESS PRINCESS)、NEMOPHILA、Gacharic Spin、大黒摩季、中村あゆみ、CHAI、BRIDEAR、YOYOKA、AZU、瀬川千鶴、力石理江
【オープニングアクト】
HAGANE、さくら”シエル”伊舎堂、CHERRY GIRLS PROJECT
 
 
BRIDEAR 2022『LIVE AEGIS』東京 代官山SPACE ODD
【日時】2022年5月5日(木/祝) 開場 16:30 / 開演 17:00
【会場】東京 代官山SPACE ODD
【チケット】前売¥4,000 (税込・1ドリンク代別途) 当日¥4,500 (税込・1ドリンク代別途)
 


【BRIDEAR Twitter】
https://twitter.com/Bridear_info

【BRIDEAR YouTube】
https://www.youtube.com/channel/UCqkHezzlbqWrmOhoTcZTVjg

【BRIDEAR WEBSITE】
https://bridear.jp
 
高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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