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羽多野渉、ニューシングル「Breakers」と “自分の知らなかった愛すべき自分”が増えた10年間のアーティスト活動を語る

2021.12.22
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音楽
インタビュー
12月21日に、めでたくアーティストデビュー10周年を迎えた声優・羽多野渉さん。この10年間を振り返りつつ、11月24日にリリースした11thシングル「Breakers」など様々な話題について、たっぷり語って頂きました!


タイトルどおり“Thanks”の念がさらに深まった、誕生日当日のワンマンライブ


──まずはアーティストデビュー10周年を迎えるにあたり、今年1年間の音楽活動のなかで、特に印象深かったことからお聞きしたいのですが。

羽多野
 今年1年間だと、39歳の誕生日当日に開催したアコースティックライブですね。本当にスタッフさん方が準備に尽力してくださいましたし、当日サプライズで実家の家族からの手紙もありまして、しかもそのお手紙を読んだ直後に歌った曲が、家族に向けて自分で作詞したものだったので、まんまとスタッフさんの策略にハマってしまいました……(笑)。
 
──こらえきれずに。
 
羽多野 はい。「こんなに人間って泣けるんだな」というぐらい、涙が流れてきてしまったんです。手紙の文字も手書きだったので、温度も伝わりましたし……。準備してくださった方がいるからこそ実現したわけなので、まさに“Thanks”というライブタイトルどおり、改めて感謝だなぁと思いました。
ライブ後にも家族と電話で話して直接お礼も伝えまして、配信を観て喜んでくれていたことも聞けてうれしかったですし、自分でも知らなかった自分に会えたという意味でも印象的な出来事でした。
 
──そんな10年間のなかで、ご自身の音楽活動に携わる気持ちへの変化が起きた瞬間も、多々ありましたか?
 
羽多野 あったと思います。そもそも音楽の世界に飛び込んだときには、その作法も何もわからない状態で、そこから音楽のスペシャリストたちにいろんなことを教えて頂きながら、“アーティスト像”みたいなものを一緒に考える……ということから始めたんです。だから最初の頃は、“声優・羽多野渉”と“アーティスト・羽多野渉”がちょっと離れ気味だったんですよ。でも、役者として自分が出演する作品のタイアップの楽曲に出会って、歌の側から作品を俯瞰で見たとき、「“アーティスト”と“声優”って分ける必要は全然ないな」と感じまして。その距離感こそ、自分だけが表現できるアーティスト像なんじゃないかということに、そのとき気づいたんです。
 
──それはいつ頃のことでしたか?
 
羽多野 時期的には、たしか1stアルバム『W』の頃ですかね。このアルバムにはヒャダインさんに作ってもらった「I'm a Voice Actor」という、自己紹介ソングみたいな曲が収録されていまして、この曲をライブで毎回歌わせてもらうと、そのたびにアーティストと声優っていうのは大きな“表現者”というくくりの中では同一のものだなと思うんです。音楽活動をやるなかでそういう考え方に変わっていったのが、活動の序盤から中盤ぐらいのところだったのかもしれませんね。
 
──『W』は2014年リリースなので、まさにその時期に変化があった。
 
羽多野 そうですね。ライブの途中で歌えなくなり泣いてしまうところも、MV撮影で寒すぎて顔がひきつってしまうようなことも全部含めて(笑)、自分だけのものというか。「自分自身のままでいいんだ」というか、ある種自分を許すみたいな気持ちになれたんです。
 
──さて、アーティスト・役者の両方の側面から携わられている作品といえば、最新シングル「Breakers」がEDテーマとなっているTVアニメ『さんかく窓の外側は夜』もですが、まず作品や、羽多野さん演じる冷川理人についての印象をお聞きしたいです。
 
羽多野 『さんかく窓の外側は夜』は、人には見えない霊だったり人外が見えてしまうという主人公の三角康介くんと、私が演じさせてもらっている冷川理人のふたりを中心にした作品で。元々除霊師として活動していた冷川が、普通の書店員だった三角くんと出会って勝手に「君が私の運命だ!」と告げるところから始まる物語なんです。ホラーの要素もありますし、男性同士の想いの通じ合いや絆も描かれたり、話が進んでいくと家族愛などヒューマンな要素もたくさんある作品です。
 
──そのなかで冷川は、かなり特殊な生い立ちのキャラクターですが。
 
羽多野 はい。なので収録のときには監督から、「人との会話に使う日本語という言語の、意味や由来をまったく知らない人です。だから会話をしているけどどこかズレている、という人間を演じてください」という要望をいただいたんですが……これがなかなかに役者泣かせでして。
今こうやってお話しているようなこの距離感や温度感を一切出さないためには、普段の掛け合いとは真逆のことを心掛けなければいけないんですよね。
 
──“真逆”ですか。
 
羽多野 はい。我々の仕事はリアルには存在しないキャラクターたちに対して、適切な距離感と適切な温度で声をレコーディングしていくというものなんですけど、冷川はそれを逆転させなければいけなかった。適切ではない距離感で「なんでその言葉を使うのかわからない」というお芝居をしなきゃいけなかったので、いまだかつてない挑戦でしたね。ただの棒読みではなくて心が通じ合っている瞬間は確かにあるんですけど、そのコミュニケーションに使っている言語が全然理解できていない……という、面白いキャラクターなんです。
 
──一見会話が噛み合っていないように感じられるシーンは、序盤からかなりありましたよね。
 
羽多野 そうなんですよね。だから冷川が心の奥で何を考えているのかわからない……という怖さも、幽霊などから出るホラー味とは違う人間の怖さとして感じていただけていたらうれしいなと思いながら、勇気を持ってチャレンジさせて頂きました。
 
 
歌声の面でも、アニメ本編とリンクした表現を意識した「Breakers」
 
 

──そんな作品のEDを飾る「Breakers」ですが、楽曲に最初に触れたときにまずどんなイメージが浮かびましたか?
 
羽多野 「美しい曲だなぁ……!」という印象でした。ただ、僕はどちらかというと低音が響きやすい声質なので、「え、こんなきれいなピアノのソロから始まる曲、どうやって歌えばいいんだろう?」とも思いましたね。
 
──その美しさを活かすために、歌う際に取り組まれたことはありましたか?
 
羽多野 出だしの歌声をファルセットにするというアイデアは、自分からディレクターさんに相談してトライさせてもらいました。作品を観てくださった方や原作ファンの方には、この作品が非常に閉塞的な空気から始まって、仲間が次第に増えていったり登場人物がそれぞれ自分の過去や未来と向き合うなかで、心が解放されていく……という流れを感じられると思うんですよ。そういう要素も1曲の中で表現したかったので、最初はわざと不安定なファルセットの音でスタートすることにしたんです。
 
──一方、2番のAメロは地声で歌われていますが。
 
羽多野 その部分は、だんだん自分の足でしっかり歩き始めている姿を感じられるよう、地声で歌わせて頂きました。でもこれはどちらかというとアーティストとしてではなく、役者的な発想から来たものでしたね。
 
──その他にも、歌われるなかでこだわられたポイントはありましたか?
 
羽多野 これは声優とアーティストを一緒にやっている人間ならではの感覚かなとも思うんですけど、「冷川が歌っているように聴こえないようにするところ」でしょうか。冷川を演じているのもEDを歌っているのも自分ではありますけど、冷川としてこの歌詞を解釈して歌っているわけではありませんから。ただこれはこだわったというよりも、自然とそうなったらいいなというところなんですけどね。
 
──キャラソンではないですからね。
 
羽多野 そうなんです。僕は、もしこの曲を冷川が歌ったとしたら、もっと淡々と歌うと思うんです(笑)。たぶん歌詞を解釈できないでしょうから。作品全体をやや俯瞰で見たような楽曲にできたら……という意識で歌っていきました。
 
──それはきっと、この曲以外にも出演作の主題歌を歌われる際には自然とそうなるというか。
 
羽多野 はい。声は羽多野渉なんですけど、キャラクターソングのときは不思議とキャラクターが歌っている形になりますし。もはや自然なことになっていますけど、気をつける点ではあるかもしれないですね。


──そして今回も、表題曲のMVを制作されていますが。
 
羽多野 実は今回のMVについては、自分で「こういう映像を撮ってほしいんです! 登場人物はこれで!」みたいな企画書を書きまして……。
 
──企画書からですか!?
 
羽多野 そうなんです。今回は一般的なMVのようなリップシンクのシーンもありつつ、自分以外にも自分と同じ衣装を着た少年が閉鎖的な空間でちょっと憂いを帯びた表情をしていたり、ふたりのまわりに黒ずくめの怪しげな存在がいたり……これは観る方に自由に解釈して頂きたかったんですけど、自分の中では作品との親和性という面では、冷川というキャラクターの生い立ちをイメージさせる場所やキャスティングをして頂いたんです。MVで描きたいものを、監督さんに説明している時間も面白かったですね。「三角のアイテムをいっぱい集めて欲しいんです」「三角……?」みたいに(笑)。
 
──たとえば、三角錐状のルービックキューブとか……。
 
羽多野 あれ、僕も初めて見ました! 子供が持っているものと僕が持っているものとふたつ登場するので、それを通じて時間の経過とかの解釈もしてもらえたらいいのかなと思いますし。他には小さな羅針盤など、様々なアイテムをすごく上手に使って歌詞の世界を映像で表現していただけて……自分のイメージに向けてちょっとずつパーツが集まっていって1本のMVになったときには感動しました。
あと、子役の冨田和希くんがものすごーく元気で! 本番になると憂いのあるすごく美しい姿をみせてくれるんですが、撮影の合間は「こんなに子供って元気なの!?」というぐらいだったんです(笑)。
 
──そんなにですか(笑)。
 
羽多野 だから僕も空き時間に一緒に遊んだりと、途中から保護者みたいになってしまい(笑)。子役だから和希くんは早く帰してあげなきゃいけなかったんですけど、和希くんから「渉くん、一緒に帰ろうよ!」とまで言ってくれて。「ごめん! 渉くんはまだ、もうちょっと仕事があるんだ」ってお別れしましたけど(笑)、最後まで楽しく撮影したこともすごく記憶に刻まれています。
 
 
自分の武器を活かそうと臨んだカップリング曲のレコーディングで、起きた想定外とは?
 
 

──そしてカップリング曲として、ミドルテンポの弾むようなリズムが印象的な「Heart To Heart」も収録されています。
 
羽多野 表題曲がタイアップ曲のときは、「タイアップの曲はアニメ作品のためにあるべきだ」と考えているので、逆にカップリングには自分の願望などを詰め込ませて頂きます。なので最初に歌いたい楽曲の方向性についてお話して、ありがたいことにコンペティションをさせていただいて。集まった曲の中からイントロを聴いて「これです!」となったのが、「Heart To Heart」でした。歌詞についても、作詞の岩城由美さんに「こういう意味合いにしてほしい」とお願いして書いていただけたことが、すごくうれしかったですね。
 
──頑張る力をもらえる曲だと感じたのですが、歌詞の面ではどんな希望を出されましたか?
 
羽多野 自分で自分を愛することの素晴らしさといいますか……「自分が好きなことは、誰から何を言われようがそれでいいんだよ」ということですね。これから世界中で大切にしていこうという意識の中には、「多様性を認める社会」というものがあると思うんです。それを羽多野渉というフィルターを通して、「“好き”という感情が自分の未来を作っていくエネルギーになるんだよね」というメッセージを、岩城さんにオシャレに書いて頂きました。
 
──そのメッセージを届けるために、歌う際には何をポイントにされましたか?
 
羽多野 この曲は主メロの音幅が非常に広いうえに、低い音の部分だけではなくサビの中で音が高くなってファルセットになる部分にも、伝えたい強いメッセージが込められているんですよ。なので、ファルセットでも弱々しくならないようには意識しました。ただ、テイクを重ねながら「こんな声の出し方もアリだな」と気づけた部分もあったので、「最初からこだわった」というよりも「結果的にそうなった」という感覚のほうが近いように思います。
 
──その他にも、レコーディングで印象深かったことはありましたか?
 
羽多野 ありました。最初にデモを聴きながら音楽を細かく分析していく中で、まずたくさんパートがあることに気づきまして。この曲は主メロをサンドするようにハモリが寄り添っていて、さらにオクターブ上とオクターブ下の音でもサンドされているので、3オクターブぐらい音幅があるんです。だから作曲してくださった堤博明さんは「主メロや目立つパートだけを歌ってもらえれば」と思っていたようですけど、僕自身は全部歌いたくて(笑)。
 
──全パートを?
 
羽多野 というのも僕の声質って、アニメで言ったら唯一無二の主人公みたいなものではなく色々なサブキャラクターを演じる声質なんです。それを音楽でも活かしたくて。1曲の中に流れる様々な自分の声質がハーモニーを作ったときの魅力を、皆さんに聴いて頂きたいんです。なので「Heart To Heart」も、低音から高音まで自分のその武器を存分に伝えられる楽しいレコーディングになるな……なんて、前日までは思っていたんですけど……。
 
──「前日までは」ですか(笑)。
 
羽多野 そうなんですよ。現場に行ったら、まぁ難しくてですね(笑)。特に、元々ファルセットを使うのは得意というか好きで、今までもファルセットを使う曲をたくさん歌わせてもらってきてはいたんですけど、今回は類を見ない高さでして、そもそも主メロが高いので、そのオクターブ上となるともうひっくり返るような高さだったんですよ。
 
──たしかに、サビには主メロがファルセットのような部分もありますから。
 
羽多野 なのでそこは、限界に挑戦するつもりで取り組みましたね。レコーディングには堤さんもいらしてくれまして。トークバックで「よく出ますねぇ」と言われて僕が「あなたが作ったんだよ!」って返す……みたいに笑い合いながら、楽しくレコーディングしていきました。
終わってブースから出たとき、思わず「マライア・キャリーさんってすごいですね!」と言ってしまったぐらい(笑)、改めてアーティストさんへの尊敬の念を持った、いろいろな気づきを頂けたレコーディングになりましたね。
 
──その気づきの中には、他の曲でも活かせそうなものもありましたか?
 
羽多野 はい。思い返せば、この10年間はそういう新たな出会いや気づきの繰り返しで。自分が「役者として音楽をやろう」と決めたときに、「自分が作詞や作曲をして音楽を生み出してしまうと、自分にどんどん寄ってしまうな」と思ったんです。でも声優って、アニメの脚本を書かないじゃないですか?
 
──たしかに。
 
羽多野 自分でどのキャラを演じるかは自分で選べないし、瞬時にどんな役にもならなきゃいけない。それと同じように、僕は自分で生み出さないことによって、音楽でも楽しめているんですよね。特にタイアップが絡んでいるときは「Heart To Heart」のように自分で要望を出した曲を歌えるわけではないですよね。例えば『ユーリ!!! on ICE』のEDテーマ「You Only Live Once」を最初に聴いたときには「見たことも聴いたこともない、新しい未来の音楽かな?」と思ったりもしましたし。
 
──今まで歌われてきた曲と、ガラッ違いましたからね。
 
羽多野 でもだからこそ、知らなかった自分に出会えたんですよ。そのときディレクターさんやプロデューサーさんからは、「声優さんのボーカルを加工すると、声質の個性が強いとうまく楽曲になじまないんだけど、羽多野さんの場合は非常になじみがいい。そういうのも、音楽としてはひとつの魅力なんですよ」と教えてもらえて、自分の中の愛すべき部分を新しく見つけられたんです。そういうことを1曲ずつ積み重ねてきたのが、今までの僕の音楽活動なんですよね。
 
──自分以外にしか気づけない魅力みたいなものもありますし、そういうものが積み重なって10周年を迎えられたのかもしれないですね。
 
羽多野 その可能性の欠片を見てくださるスタッフさんに支えて頂きながら、その一つひとつに向き合って広げていくというのは、とても楽しくてありがたい経験ですよね。しかもそれをこうして続けさせてもらえているということ自体が、何よりもありがたいことだと思うんです。
 
──それも新しいものが次々積み重なるから、追いかける側も絶対飽きないですよね。
 
羽多野 そう思って頂けていたらいちばんうれしいです。「次、どんなのがくるんだろう?」って……ガチャみたいな感じで(笑)、羽多野渉の“曲ガチャ”を楽しんでもらえれば。
  

12thシングル、ワンマンライブ……早くも楽しみ目白押しな2022年に向けて
 
 

──そして早くも、年が明けて2022年2月23日には12thシングル「ナニイロ」をリリースされることが発表されました。
 
羽多野 「ナニイロ」は、『オリエント』というアニメのEDテーマとして制作させて頂きました。この作品は、武蔵と鐘巻小次郎というふたりの少年が中心となって鬼を退治しに行く冒険活劇で。そのEDとなる「ナニイロ」という楽曲には、努力や想いの強さ、諦めない心といった大切なものを持って進んでいくことで、人間は何色にでもなれる可能性があるよね……というメッセージが込められています。なので、キャラクターたちの背中を押してあげられるような楽曲になれば、という気持ちで歌唱させて頂きました。それに原作を読んでくださっている方には“色”というキーワードで、ピンとくるところもあるんじゃないかなと思います。
 
──年明けからのオンエアが、早くも待ち遠しいです。
 
羽多野 とても元気が出る作品ですし、しかもその旅の途中で出会うことや起きる出来事が非常にリアルでして。ファンタジーな架空の世界なんですけど、世界のどこかでこういうことが行なわれているんじゃないか? と思ってしまうぐらいなんです。僕も声優として小雨田英雄という役を演じさせて頂いていますが、相当クセのあるキャラクターでして。爽やかな「ナニイロ」という楽曲とは真反対に位置するような存在なので(笑)、役柄とEDテーマとのギャップを通じて、ふたつの味を楽しんでいただければありがたいですね。
 
──しかも来年といえば、誕生日当日・3月13日にはワンマンライブも予定されています。
 
羽多野 そうなんです。今この取材を受けている段階での未来への希望ではあるんですが、できるなら皆さんと同じ空間で音楽を一緒に楽しめるようなライブにできたらと思っています。有観客でも歓声を挙げられなかったりコール&レスポンスができなかったりという苦しさもあるかもしれませんけど、できることはあるはずなので。そういう状況であっても集まってくださった方や、配信もあればそちらでご覧になっている皆さんと、安全な形で一緒に楽しめる時間を作っていただくつもりです。
 
──具体的な内容は、これから詰められていくのでしょうか。
 
羽多野 はい。セットリストもこれから組んでいくんですが……これが大変なんですよ(笑)。バリバリのロックでヘドバンした直後に「さぁ、次はバラードです!」って歌うのも違うと思いますし(笑)。ただ、結構応援してくださるファンの方たちには「曲調によって声質が変わるから、同じアーティストのように聴こえなくて面白い」と言っていただけているみたいで。
 
──今までの活動のなかで、そういった反応が届いているんですね。
 
羽多野 そうなんです。これは自然とそういう表現になっているんですけど、たぶん自分自身としては1曲1曲違う魅力を持っているから曲に合わせて自然と声帯が反応して、本当に役を演じるように歌っているんでしょうね。それに、いろんなジャンルの曲を歌わせてもらえているから、楽しみ方もある意味無限だと思うんです。
 
──楽曲のバリエーションが豊かな分。
 
羽多野 はい。それに近年は生バンドさんとご一緒することで、元々の楽曲の尺がバンドさんとの演奏のなかで変わったり、バンドさんたちに自由な時間を少し作って頂いたりといった工夫ができるようになりまして。おかげで自分自身でも、既存の楽曲の新たな魅力を再発見しています。
 
なのでなにがしかの形で自分の音楽を使ってみんなで楽しめるようなライブを、形にできたらうれしいですね。
 
──では最後に、アーティスト活動10周年を迎えた今の、今後の活動への意気込みを改めてお聞かせください。
 
羽多野 実は、1枚目のCDを出させてもらったときからずーっと目標は同じでして。1stを出させてもらったときは「2ndを出せるように頑張ろう」、2ndのときは「3rdが出せるように頑張ろう」……ということの繰り返しで、10年活動させてもらってきました。10周年という節目でいろんな企画を用意して頂けたので、そのなかでまたしっかり結果を出して、これからもまだまだ音楽をやらせてもらえるよう頑張るのみだな……と思っています。
 
──一個一個、積み重ね続けていくというか。
 
羽多野 そうですね。声優の仕事もですけど、毎日毎日オーディションみたいなもので。結果を出し続けていないとどこかで自分の存在が消えてしまうという怖さは、きっと表現の仕事をされている方は常日頃感じているはずなんです。だから、毎回毎回積み重ねてきた過去のお仕事が今の自分を作って、今の積み重ねが未来の自分を作っていく……本当にこれに尽きるなと、歳を重ねるほど痛感しますね。自分が20代のときには「40歳の誕生日にワンマンライブができる」なんて考えたこともなかったので(笑)、今の自分って夢のような状況にいるんだと思うんです。だからこの夢がさめないように、毎日毎日一生懸命、積み重ね続けていきたいですね。
 

 
 
11th Single「Breakers」2021.11.24 ON SALE
TVアニメ「さんかく窓の外側は夜」EDテーマ
 
アーティスト盤(CD+BD) 2,530円(税込)
アニメ盤(CD) 1,320円(税込)
発売:エイベックス・ピクチャーズ
 
12th Single「ナニイロ」2022.02.23 ON SALE
TVアニメ「オリエント」EDテーマ
 
アーティスト盤(CD+BD) 2,530円(税込)
アニメ盤(CD) 1,320円(税込)
発売:エイベックス・ピクチャーズ
 
 
Wataru Hatano Live 2022(仮)
2022年3月13日(日)
14:00開場/14:45開演
18:00開場/18:45開演
中野サンプラザホール
全席指定9,800円(税込)
 
 
【羽多野渉 OFFICIAL SITE】
https://hatanowataru.dive2ent.com/
 
【羽多野渉 Twitter】
https://twitter.com/hatano_official
 
【羽多野渉 公式LINE】
https://page.line.me/996svjbo
 
須永兼次
WRITTEN BY須永兼次
1986年生まれの、アニソンシンガーや声優アーティストの分野を中心に手掛けるフリーライター。中学時代にアニソンにハマり、大学はアニソン作詞家の歌詞を語学の角度から分析した論文で卒業。数年の会社員生活を経て独立し、各種アニメ誌・アニメ音楽誌や各種WEB媒体、ライブパンフレットなどにてインタビューやライティングを担当している。
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