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しゅはまはるみ

RIZAPのCMで話題の“しゅはまはるみ”に14.7キロ減の裏側から『カメ止め』の裏側まで聞いてみた

2020.06.24
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女優
インタビュー
一昨年に公開され、異例の大ヒットとなった映画『カメラを止めるな!』で監督の妻・晴美を演じ、そのぶっ飛んだ演技で大きく活躍の場を広げたしゅはまはるみさん。その彼女がRIZAPのCMに登場し、4ヵ月で14.7kg落としたというダイエットの成果を披露して、大きな話題になっています。こりゃ大変!ということで急きょインタビューをお願いし、ダイエットのこと、これまでの活動のことなど、いろいろお聞きしました!


驚異のダイエットは、意外にも全然しんどくなかった!?




──昨日(取材日=6月23日)は、『カメラを止めるな!』(以下『カメ止め』の公開からちょうど2周年に当たる日なんですね。偶然とは言え、そんな日にお話を伺えて光栄です。
 
しゅはま そうなんですよ! RIZAPのCM公開も今日だったんですけど、もしかしたらそこに合わせてくれたのかなと思って。


──いろいろとうれしいことが重なっている日なんですね。そのRIZAPなんですが、画像が公開された時点で衝撃を呼んでますよね(笑)。反響はいかがですか?
 
しゅはま WEBで先行公開されたんですけど、すでに相当いろんな人に見てもらっていて、LINEとかメッセンジャーとかで「すごい!」「見たよ!」っていう連絡をいっぱいもらってます。「みんなけっこうWEBを見てるんだな」と思いました(笑)。
 
──女性と男性で反響に違いってありましたか?
 
しゅはま そこの違いはそんなに感じなかったですかね。ただ男性の中で、たまーに「前の方がよかった」っていう人がいるのがビックリってぐらいで(笑)。
 
──そうですか(笑)。4ヵ月で14.7kgのダイエットに成功されたとのことですが、いつからいつまでだったんでしょうか?
 
しゅはま 去年の11月から始めて、CMのアフターを撮ったのは今年3月の頭ですね。
 
──ということは、『カメラを止めるな! リモート大作戦』(以下『リモ止め』)の撮影は、全て終わってからだったんですか?
 
しゅはま そうですね、『リモ止め』を撮ったのは4月でしたから。もともとは、CMも3月に放送開始の予定だったんですよ。でも、世の中がこのような状況だったので、「ジムに行こう」っていうCMを流すのは難しいという判断で。だから放送開始がどんどん後ろ倒しになってしまったんです。
 
──『リモ止め』が公開されたとき、「しゅはまさんがキレイになっている!」という反応がけっこうあったんですが、あの当時はそれがなぜかは明らかにできなかったわけですね(笑)。
 
しゅはま 2月の上旬ぐらいから、「あれ、何か痩せたね」って言われるようになっていて、「まあ、うん……」なんてごまかしてたんです。あと1ヵ月ぐらいで言えるようになると思っていたので。そこから言えないまま4ヵ月…5ヵ月近く過ごしてました(笑)。


──しかも、CMが解禁になるまでの間にリバウンドするわけにもいかないと。
 
しゅはま そうなんです! コロナ太りしているわけにいかないので(笑)。実際はちょっとコロナ太りしちゃったんですけど、外に出られるようになる頃には戻そうと思って頑張りました(笑)。
 
──自粛期間でジムに行けない間は、体型維持はどのように?
 
しゅはま 普通に自重トレーニングとか、母が使わなくなっていたヨガマットをもらって、その上で腹筋とかスクワットとかやってました。さらにはトレーニング用のチューブやダンベルを買ったりして、そういうもので重さもつけてやってました。
 
──RIZAP以前にもいろんなダイエットを試されていたというお話でしたが、例えばどんなダイエットの経験があるんですか?
 
しゅはま ごはんに混ぜて炊くダイエット食品を大量買いして、そのごはんを毎日食べたりとか。それと、パーソナル・トレーニングに通ったこともありました。その時は、メッチャ必死に筋トレをやらされたんですよ。息が詰まるような感じで筋トレさせるトレーナーさんで。それは向いてないというか、「しんどくてイヤだな」と思って、2ヵ月ぐらいで行かなくなっちゃいましたね。何となく足が遠のいたというか。
 
──いろいろ経験したけど、「これ!」と思えるようなものはなかった?
 
しゅはま 「自分に合ってるから、これで継続していきたい」と思えるようなものには出会えなかったですね。筋トレ自体は以前からそんなに嫌いじゃなくて、「マシンを使ってやるのは楽しいな」と思ってたんですけど、しんどい思いをするのはやっぱりイヤじゃないですか(笑)。
 
──分かります(笑)。
 
しゅはま でも、RIZAPで私についてくれたトレーナーさんはつらいことを全然要求してこなくて、むしろ「これ、重さ上げますか?」って私からたまに言うぐらいでした(笑)。でも、私の体のバランスはちゃんと見ていてくれて、最終的な結果には確実に導いてくれるトレーナーさんでした。
 
──14.7kg落ちたとなると、生活の中でも違いを体感する場面があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか?
 
しゅはま 重さに関しては、「歩くのが楽になった」とか「階段を上るのが苦にならなくなった」とか、一般に痩せた方が感じるとおりだと思うんですけど、それよりも筋肉がついたことの方が実感することが多いですね。「あー! 今、こんな動きができてる!」みたいなことに、ふと気づいたりします。
 
──というと?
 
しゅはま この前も「痛快TV スカッとジャパン」の再現ドラマ収録があったんですけど、アドリブで自由にやれるタイミングなんかもあるんですね。その時、何の気なしに床に寝そべって体を動かしたんですよ。でも、よくよく考えたら「これって、メチャメチャ腹筋使う動きじゃない?」っていうことに後で気づいて(笑)。腹筋が苦しいとか全然思わずに動けてたんですよ。そういうことにビックリしますね。
 
──『カメ止め』で演じられている「晴美」さんは、護身術だったり『リモ止め』では英会話だったり、「いろいろ手を出すけど、やり始めたらとことん凝る」という性格ですよね。今回、ダイエットに臨んだしゅはまさんは似ていますか?
 
しゅはま 似てますね(笑)。やりたいことがいっぱいあって、タイミングが合えば何でもすぐ始めちゃうんですけど、すぐ飽きるというか(笑)。そういうとこはメッチャ似てると思います。
 
──でも今回は、結果までしっかりたどり着いたわけで。
 
しゅはま そうですね。1人でやってたら、「飽きたな」と思ったらすぐやめられるわけじゃないですか。でも誰かと一緒にやってるというか、サポートしてくれる人がいると、こんなに続けられるんだなって思いましたね。自分のためでもあるんですけど、ある意味トレーナーさんのためでもあったりして、トレーナーさんも成果を出せないとイヤじゃないですか。「私のためでもあるけど、私の結果が出ないとトレーナーとしての成績も認められないから、かわいそうだな」とか思って頑張ったりもしますから(笑)。
 
──それだけ成果が上がると、日常の生活や食事に対する意識もガラリと変わってくると思いますが。
 
しゅはま 食生活の部分が一番ですね。食事に気をつけないと、ここまで変われなかったと思いますし、これからも永遠に気をつけていかないといけないんだな……と思うと、ちょっとしんどいですけどね(笑)。
 
──CMでは、以前は「ぐうたら」という言葉で表現されていましたよね。
 
しゅはま ホントにコンビニでバカ買いして食べたいものを食べて、しかも食べるのは夜中の12時過ぎみたいな。まさにCMのあの感じです。12時過ぎにTV見ながらポテチ食べて、そのまま寝落ちするみたいな(笑)。
 
──どれも、今は絶対やっちゃいけないヤツですね(笑)。
 
しゅはま 絶対アウトです(笑)。今は低カロリー低糖質の昆布を食べたりしてます(笑)。私の場合はおなかが空くというより、口寂しくて何か食べたくなっちゃうんですよね。しかもそれが延々続くので、おなかいっぱいになっても食べ続けちゃうんです。だから、おなかいっぱいになっても食べていいぐらい低カロリー低糖質で、しかも固ーいものを口の中に入れてると、食べてる気分になってごまかせてるみたいです(笑)。
 



『カメ止め』のおかげで新しい人生が始まりました。


──さて、『カメ止め』を含めたこれまでのキャリアについてお聞きしたいと思います。『カメ止め』は有料のワークショップからスタートしたということですが、最初はどういうお気持ちで参加されたんですか? それと、「ワンカットで」というコンセプトについては?
 
しゅはま 映像のお仕事をするきっかけにとは思ってましたけど、「受講料15万円を払うのはキツイな」って思ってました(笑)。「ワンカットで」っていう作品のコンセプトは最初から上田慎一郎監督の中にあったわけではなくて、ワークショップが終わってから出てきたものだったんですけど、私はずっと舞台をやっていたから、止めずに芝居をするということに対しては、そんなに深くは考えませんでした。でも、実際にやってみたら全然違いましたけどね。
 
──やっぱりそうですか。
 
しゅはま 舞台は練習通りにやればいいだけなんですけど、ワンカットはカメラが自分の方向を向いているときに、カメラの画角に入る位置で演技をしないと全く意味がないんですよ。だから「あ、今カメラがこっちを向いてるな」ってときにセリフを言わなきゃいけないとか、走って追いかけているシーンでも、追いついちゃいけないから頑張っているテイで動いて、カメラが向いたときに走って転ぶぞ、とか、そういうのを計算しないといけないのが、役でもありながら冷静に自分を保ってもいないといけなくて、大変でしたね。それと、舞台と違ってゲネプロ(本番同様に行う通し稽古)がなかったということが、私の中では相当な驚きでした。
 
──通しようがないということですか?
 
しゅはま そうですね。通してやってみたところで、37分間の長回しの中で誰か一人が失敗したらもう「失敗」なので、それだったらもうカメラを回しちゃって、「もしうまくいったらそれを本番に使えばいいじゃん」みたいな感じだったんですよ。あと、血のりをかぶってしまうと、そこから体を洗って衣装を洗って……というのにかなりな時間がかかってしまうので、それのゲネプロも当然省きたいじゃないですか。「だったら一発本番でやりましょう」みたいな感じで始まったから、それが一番緊張しました。
 
──いつも以上にチームワークが問われる現場ですよね。
 
しゅはま 本当にアドリブでつながないといけないシーンとかもあるんですよ。その時はカメラマンさんと写ってる俳優さんたちのあうんの呼吸が必要で。「あ、アイツ出てこないね。どうする?」ってなった時に、カメラマンさんも私を撮って誰かを撮って、また誰かを撮って……という感じで画が単調にならないようにしていたら、やっと出てくるはずだった人が出てくる、みたいな。そこのつなぎとかは、すごいチームワークだったなと思いますね。
 
──それって、劇中で起きてる場面そのものじゃないですか(笑)。
 
しゅはま そうなんです! 台本に「アドリブでつなぐ」って書かれているところで、本当にアドリブでつながないといけないときもありました。
 
──それって、役者さんやスタッフそれぞれの力がすごく要求されますよね?
 
しゅはま そうですねえ。本番に入る前のリハーサルは、都内の稽古場でしっかり重ねてたんですよ。「芝居はここでしっかり固めていこうね」っていう形で練習はしてました。
 
──なるほど。劇中では「チームワークがしっちゃかめっちゃかだからいろんなことが起きてしまう」というお話でしたが、実際の現場ではチームワークはバッチリでしたか?
 
しゅはま うーん……チームワークというよりは、何かみんな必死でした。それと、ワンカット部分に出てこない俳優たちが、のちのち裏方役として出てくるじゃないですか。その人たちは、ワンカットを撮ってるときに本当に裏で手伝ったりしてたんで、本当に虚実がない交ぜになっている現場であり作品だったんだなっていう感じはしますね。
 
──では、出来上がったときの感慨は余計に大きかったんじゃないですか?
 
しゅはま 「大きかったですね」って言いたいところなんですけど、実際は「出来上がってみてやっと話の内容が分かった」っていう感じだったので(笑)。台本を読んでも、大まかには分かるんですけど、「あれ、ここはさっき言ったセリフをもう一回言うの?」「そこは外側から撮ってる場面なので」「ふーん……」みたいな感じなんですよ。現場に入っても「どのカメラが本当のカメラ?」「このカメラを見て話せばいいのね?」って感じで、よく分からないままやってたところもあって。だから完成したのを見てようやく「ああ~、こういう話だったんだ」みたいな(笑)。
 
──それは大変ですね(笑)。公開されたら、小さい規模での上映からどんどんヒットを駆け上がっていったわけですが、それを見聞きしての心境はどうでしたか?
 
しゅはま 毎日が驚きの連続でしたね。まさか、本当にそんな風になるなんて思ってもいなくて。最初はミニシアターで2館しかやってなかったんですけど、「チケットが売り切れた」と聞いて「えっ、すごい!」ってなって。それが毎日毎日続いていくんですよ。10日も続くと「いや、さすがに11日目はないだろう」「今日はないよ」「えっ、また満席?」みたいな。どういう気持ちでいたら平穏に過ごせるのか分からなくなるぐらい、ずーっとソワソワソワソワしてましたね。
 
──想定外の事態に。
 
しゅはま ツイッターでずっと劇場のチケット情報を見て、「あーっ、また売り切れた!」みたいな(笑)。私は見てくれた人の感想ツイート全部に反応しようと思ってたんですよ。でも毎日、どんどんどんどん人数が増えていくわけですよ。たぶん毎日400人ぐらいが見てくれていて、そのうちの半分から3分の1ぐらいがつぶやいてくれるので、反応する時間がどんどんなくなっていっちゃって。しかも毎日、全上映で舞台挨拶をしていたので、家に帰るのが夜の12時とかなんですよ。帰ったらツイッターを開いて、つぶやいてくれてる人にお礼をしてリツイートしてたら、朝の4時とかになっちゃって(笑)。それで午前中だけバイトに行ってたから、眠い目をこすりながら出かけて。という日々を3週間やってたら、ヘトヘトになりました(笑)。
 
──うれしいけど、ヘトヘト(笑)。
 
しゅはま そうそう(笑)。うれしいんですけど、「そろそろ見るのやめてくれないかな」なんて思ったりして(笑)。
 
──しかも、それはミニシアターで上映していた頃の話ですよね。そこから上映館が拡大して、ついには全国公開になっていったわけで。
 
しゅはま そうですねえ、その後は何だかよく分からなかったですね。現実とは思えない感じでした。その頃には、普段映画を見ないような知り合いから「見たよ!」って連絡が来たり、逆に映画好きな人から「何にも知らないで、話題だから見に行ったらしゅはまが出ててビックリした!」っていうのもあって。私の中で「やったな!」って思ったのは、母方の親戚が福島県にいっぱいいるんですけど、今まで福島でお芝居を上演したことはなかったので、私が俳優をやってるって言っても、見たこともなかったおばちゃん連中がいたんですよ。そのおばちゃんたちにようやく、私が芝居している姿と、舞台挨拶にも行ったので、それを生で見てもらうということがようやく叶ったことですね。
 
──特にしゅはまさんの場合、「ポン!」が代名詞になりましたよね。いろんなところで「やってくれ」と言われたのでは?
 
しゅはま もちろん、もちろん! 言われた時は全部やりました。芸人さんの気持ちが少し分かりました(笑)。
 
──一本の映画への出演で、セリフから代名詞が生まれるようなことって、そんなにはないと思いますが……。
 
しゅはま 確かに、ないと思います。私もすごく大きなフレーズをいただいたんですけど、私だけじゃなくて他のキャラクターも、けっこうみんな決めゼリフみたいなものがあったんですよね。どんぐりさんは「アツアツやで!」とか、イケメンの適当プロデューサー(大沢真一郎)は「それでいきましょう!」とか、あと秋山ゆずきちゃんは「よろしくでーす!」とか。みんなにいろんなフレーズが与えられてて、そういう作品に関われたっていうことがすごく光栄ですよね。
 
──『カメ止め』がきっかけで、いろんなメディアや作品への出演がすごく増えましたよね。
 
しゅはま いやもう、本当に! すごく増えたというか、それまでは仕事自体がほぼないに等しいような状況だったので、新しい人生が始まったみたいな感じです。
 
──そんな中の一つに『リモ止め』もあり、一方でレギュラー出演されている『家政夫のミタゾノ』でも5月末には全編リモートで制作された「特別編」が放送されました。期せずしてリモート出演が重なったわけですが、リモートでの制作というのは大変でしたか?
 
しゅはま 練習相手がいないから、やり出すまでのモチベーションみたいなものが大変だったなあとは思いますけど、やってしまうと自分で画作りをしたりとか、演出的な部分も自分で考えてやれるようになるんですよね。「ここでフレームアウトしてみよう」とか、「ここで前後の動きを入れよう」とか。自由度も高かったですし、自分で演技プランを決めて実現していける点は楽しかったですね。リモートにはリモートの楽しさとかよさもある気はしますよ。
 
──今はだんだんと通常の撮影も再開されていますが、リモートで培ったものが今後に生かされる部分もあると思いますか?
 
しゅはま うーん……それはないかな?(笑) ドラマのエピソードの中で、リモートで会議をするみたいな場面は今後も残っていくのかなとは思います。個人的には……YouTubeとか、自分で動画を撮って編集してみようかな、という「気」にはなりました(笑)。『リモ止め』のときに「ミニシアター・エイド」用の特典映像を撮ってくださいって言われたんですけど、それは実際に自分で撮って、切ってつないで……というのをやってみました。楽しかったです。制作会社でバイトしていたこともあるので、頭の中では「やればできるんだろうな」とは思ってたんですが、今まではやるきっかけ、必要性がなかったので。


「人間としての転機」だった、東日本大震災


──ではさらにさかのぼるんですが……『カメ止め』以前は舞台が主で、そこから今は映画、TVと幅が広がってますよね。舞台、映画、TV、現場だったり仕事の内容だったりは、それぞれ全然違うものなんでしょうか?
 
しゅはま TVと映画は、基本的な部分では一緒かなと思うんですけど、舞台はみんなで集まって、いっぱい練習して完成品を作って、それを毎日やる、みたいなところかなと思います。もちろん、生なので、完成したものがまた変化していくのを毎日見ていくんです。映像作品の場合はみんなで練習して作り上げるということがないので、そこが本当に違っていて、若い頃の私にとっては楽しいと感じられなかったんですよね。
 
──今の時点ではいかがですか?
 
しゅはま 今は映像が楽しいですね。
 
──それは『カメ止め』がきっかけですか?
 
しゅはま そうですね……『カメ止め』以前から映像が楽しいと思い始めていたので、あの作品に参加しようと思ったんですけど、「ああ、映像ってこんなに楽しいんだ!」って本格的に実感できたのは、やっぱり『カメ止め』ですね。
 
──『カメ止め』が大きな転機になったことは伺いましたが、それ以前にターニングポイントと感じられるようなことってあったんでしょうか。
 
しゅはま これは俳優としてではなくて人間としての話なんですけど、2011年に東日本大震災があって、さっきも言いましたがウチの親戚が福島なので、いろいろと精神的に大変だったんですよ。別に誰が亡くなったというわけではなかったので、そこは幸運だったんですけど、それまで私の中では「自分一人で勝手に生きて勝手に死ねばいいや」って思ってたのが、自分の大切な親戚、大好きないとこたちがとんでもない状況にいるときに、私は何一つ助けてあげられないなと思って。自分一人で生きてればいいと思ってたので、お金も大してなかったし、貯金ももちろんなくて、本当に自堕落に生きてたんですよね。それをものすごく後悔したんです。ボランティアしようと思っても、お金がないと現地にすら行けないんですよ。それに物資が足りないとなるとやっぱり買わなきゃいけないじゃないですか。「私、何にもできない」と思うと、自分がものすごくダメ人間だってことが分かって。そこから「大事なものを守るためには、自分が自立してないとダメなんだな」って気づいたんです、やっと(笑)。
 
──そこから、お仕事への取り組みも変わったと。
 
しゅはま そうです。ただ、その頃は「お仕事」と言ってもバイトですけどね。もともと鬱っぽいところがあって、なかなかバイトも続かなかったんですけど、それを何とかしようと本気で思っていろいろ調べたら、軽い睡眠障害みたいなものもあるぞということが分かって。夜に眠れなくて、朝になってようやく寝るという毎日でしたから。それをまず治して、朝起きられたらバイトに行けるぞ、とか。それでさらに調べたら、睡眠障害を治すための照明器具があったんですよ。太陽光と同じルクスが得られます、みたいな。それを即購入して試してみたら、メッチャ効いて(笑)。普通に朝起きられるようになって、バイトに行けるようになって、ちゃんとお金が貯められるようになって……みたいな。そうやって2011年以降は全ての循環が回るようになっていって、ようやく普通の人間になれました(笑)。
 
──『リモ止め』のキャストによる『セキララ座談会』でも、コロナウイルスの影響で気持ち的に大変だったというお話をされていましたよね。
 
しゅはま 私、すぐ物事をネガティブに考えちゃうんですよ。コロナの影響が大きくなってきたときも、口では「大丈夫、何とかなるよ!」って言ってるんですけど、どうしても世界の情勢が気になってしょうがなくなって。コロナについての新しい情報、「本当はこんなウイルスなんだ!」とか「こんな薬が効くかもしれない!」とかを1秒でも早く知りたくて、ずーっとスマホを持ってニュースとツイッターばっかり見てたら鬱になりました(笑)。今はもう、そこまで恐れてはいないので、やらなくなりましたけどね。


──今はだんだんといろんなことが戻ってきて、ドラマの撮影なども再開のニュースが流れてきています。ただ、フィジカルディスタンスなど難しい面もあるかとは思いますが……。
 
しゅはま そうですね。そこまで恐れすぎることもなくなったので、守るべきところはしっかりと守って、楽しく撮影させていただいております(笑)。
 
──『カメ止め』でガラリと状況が変わって、また今回、RIZAP効果でさらに大きく変わりそうですよね。これからやってみたいことはありますか?
 
しゅはま 「まさか、自分にこんなお話が来るなんて1ミリも思ってなかった!」というお仕事を実はすでにいただいていて、たぶん数日後には見ていただけるようになると思うので、それがすごく楽しみです。
 
──そうなんですか!
 
しゅはま 楽しみにしててください(笑)。これをきっかけに、「これは私の仕事じゃないんじゃない?」みたいなものまでチャレンジしていけたらなって思っています。今まではただの憧れだったものに、もしかして手が届くかもしれないと思える状況なので。
 
──これから演じてみたい役柄とかは?
 
しゅはま 役柄は……略奪愛で男を奪う役とかですかね。
 
──妙に即答でしたね(笑)。そこも楽しみにしております(笑)。今日はありがとうございました!



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高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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