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【制作秘話!】GIRLFRIEND 2ndアルバム『HOUSE』へのこだわりに迫る

2020.04.24
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音楽
インタビュー
大阪発の4人組ガールズバンドGIRLFRIENDが、2ndアルバム『HOUSE』を配信リリース!(CDの発売日は延期になっています) 約2年ぶりのアルバムとなる今作には、清水翔太楽曲提供&プロデュースで話題となった「それだけ。」をはじめとして、GIRLFRIENDらしさあり、また新たに加わった魅力もありの全14曲が収録されている。メンバー自身で作詞・作曲もこなし、演奏や音作りにも定評がある彼女たちに、特に音楽面から切り込んで話を聞いてみました!


メンバー各自の音楽的ルーツとは?


──最新作『HOUSE』、聴かせていただきました! めちゃくちゃ多彩なアルバムに仕上がっていますね。
 
一同 ありがとうございます!
 
──私ももともとバンドをやっていた身なので、あまりに皆さんの演奏スキルが高すぎて驚きました……。まずはGIRLFRIENDの皆さんの音楽的ルーツやバンド結成のいきさつについて伺っていいですか?


(左から MINA、MIREI、SAKIKA、NAGISA)

SAKIKA(Vo,Gt) もともと私たちはみんな同じダンスボーカルスクールにいて、そこでバンドをやってみようという話になってバンドに興味があるメンバーで集まったんですけど、初めてバンドをやるってなった時に聴いていたのがチャットモンチーさんで。私はそこからバンドのギター、ベース、ドラムのアレンジの大変さや素晴らしさみたいなものを学んだというか。そこからバンドサウンドを聴くようになって、結構イギリス系のロックが好きやなって気付いてからはOASISとかTHE BEATLESが好きで聴いています。
 
NAGISA(Gt,Cho) 私は3人がやっているバンドに後から加入した形だったので、特にバンドの世界をよく知らなくて。最初はメンバーからこんなバンドがあるよーって教えてもらっていました。それこそチャットモンチーさん、SCANDALさん、KANA-BOONさんだったり。そこからは色々な音楽に寄り道しつつ、今は韓国のHYUKOHとか面白いアプローチをしているバンドが好きですね。
 
MINA(Ba,Cho) 小さい時からピアノをやっていて、楽器に触れるのが好きだったんですよ。ダンスや歌もやっていたんですけど、バンドを始めた時にすごくハマってしまって。ベースがすごく楽しくて、そこから沢山バンドを聴いていきました。ベースがとにかく好きなのでレッチリとか、最近だったらVulfpeck(ヴルフペック)とか。レッチリのフリーとVulfpeckのジョー・ダートはめちゃくちゃベースヒーロー感あるし、自分がベースやっていてかっこいいなーと思う象徴みたいな人たちなのですごく憧れますね。
 
MIREI(Dr,Cho) 私はもともとめちゃめちゃダンスっ子やって、どっちかというとダンスミュージックの方しか聴いてこなかった人でした。で、バンドを始めるってなった時に最初はみんなギターやったんですけど、私的にはずっとダンスやってきたし、ギターが一向に覚えられへんくて(笑)。動く方が自分向いてるわ!って思ってドラムを選んで。ドラムを始めてから最初にハマったのはボカロでした。ボカロ系のドラムって人が叩いてなさそうなフレーズが多くて、逆にそこに惹かれて。これ叩けたらかっこいいんちゃうかな?って感じで(笑)。まぁ当時始めてから1年ぐらいだったので叩けるわけもなく……最初は無理やり「わー!」ってやってたけど徐々にちゃんと練習するようになっていきましたね。その後BLUE ENCOUNTさんを初めて聴いた時にこれが日本のロックバンドかーって思って。
 
MINA あー、皆で聴いたの覚えてる。
 
MIREI そうそう。そこからJ-ROCKのバンドを聴くようになっていったって感じです。
 
──けっこうそれぞれバラバラなんですね。全員が作曲をする上にそれぞれのバックグラウンドが違うという点は楽曲の多彩さに直結していそうですね。YouTubeにアップされている演奏動画も視聴させていただきましたが、皆さんずっと同じサオを使用されているのはこだわりからですか?
 
SAKIKA ギターとベースはSagoさんとエンドースでやらせていただいていて、デビュー前かな?に一本オリジナルカスタムギターを作らせていただいて。それぞれギターもベースも好きな形と音も反映してもらって、デザインも自分たちでやらせていただいたので愛着があるというか。
 
MIREI 太鼓はddrumを使わせてもらっていて、スティックはwincentを使わせてもらっています。
 
──皆さんかなりいい機材を使っていますね。今回の『HOUSE』レコーディングで新たに導入した機材はありますか?
 
NAGISA ギターは今回マルチエフェクターをけっこう活用していて。いつもSAKIKAと二人でギターのレコーディングをするんですけど、LINE6のM7を共同でいろんな曲に使いました。
 
──ギター2本の音作りはSAKIKAさんとNAGISAさんの二人で?

NAGISA そうですね。曲がかなりバラエティ豊富なので、この曲ではロック寄りの歪みにしようとか、意識的に曲ごとで音を変えるようにしていますね。
 
──なるほど。GIRLFRIENDはメンバー全員でガンガンやるコーラスが印象的ですが、誰がどこを歌うかはどうやって決めていますか?
 
MIREI 私が上で、MINA(Ba,Cho)が下ハモです。
 
MINA 基本そんな感じですね。で、NAGISAがオクターブでたまにいるっていう。
 
──今作ではそれぞれがリードボーカルを取る場面もありますが、その割り振りはどうやって決めていますか?
 
SAKIKA この曲はメンバーで割り振ってみようとかってなったら、この歌詞はNAGISAが歌ってそうやなーって決めたり、あとはバランスとかも含めてメンバーで考えるって感じですね。
 
NAGISA 声質も皆全然違うから面白いかなと。
 
SAKIKA 聴いている人は誰が誰か分かってんのかなーなんて思ったりもしますけど(笑)。
 
──私はYouTubeにアップされている動画を見ながら声の判別をしました(笑)。それにしても裏であれだけいろんなプレイをしながらバンバン歌うのは本当にすごい。
 
MINA 難しいです(笑)。
 
──それぞれのプレイも結構難しいことやっていますけど、皆さんけっこう家で練習とかされますか?
 
MINA みんな、けっこうやってきますね。
 
──その上でバンド練習もあるんですよね?
 
MIREI ワンマン前はめっちゃ入れますね。
 
一同 うんうん。
 
MIREI もう詰めて詰めて…(笑)。
 
一同 (笑)
 
NAGISA 一日中スタジオにいますね。
 
SAKIKA 基本的には定期練っていうのを毎週水曜日に3時間入れていて、ライブがない時でも曲作りに当てたりとかしていますね。まぁ、ぺちゃくちゃ喋っているだけの時もありますけど(笑)。
 
一同 (笑)。
 

 お風呂は格好の作曲空間!?


──そういう時間も必要ですよね(笑)。GIRLFRIENDはメンバー全員が作曲をされていますが、作った楽曲の自分以外のパートのフレーズは作曲者が考えるスタイルですか?

MINA けっこういろいろですね。私はLogic(音楽制作ソフト)を使ってギター、ドラム、ベースと全部打ち込んで、出来上がったものを皆に送って「こういう雰囲気で弾いてもらえたら」っていう時もあるし、いっぱい変えてください♡って投げる時もあるし。みんなそれぞれいろいろですね。
 
──それこそスタジオでワンフレーズから曲作りに発展したりすることも…?
 
MINA 全然ありますね。
 
──ちなみに皆さんが曲を作るときのきっかけって何かあったりしますか?
 
MINA めちゃくちゃいろいろで……それこそ映像作品から派生して思いついたりもするし、ベースのフレーズ先行の時もあるし、ギターとかピアノとか…あとお風呂で考えるのがすごく好きで、ワンフレーズ思いついたところをサビにしよう!ってなって作る曲もあったりします。
 
──お風呂で作ると上がる頃には忘れちゃいそうですね。
 
MINA スマホ持っていくんですよ! ジップロックに入れてその場でボイスレコーダーに歌を入れて。歌詞も書けるからパーッと書いてしまって上がってからまとめるみたいな。
 
SAKIKA 私は曲によりけり…歌詞から書く時もあるし、デモ固めてから歌詞書く時もあるし。それこそお風呂パターンもありますね(笑)
 
NAGISA お風呂あるなー。
 
──意外とお風呂派が多い!(笑)
 
SAKIKA お風呂入っている時って考えることないじゃないですか。鼻歌とか歌ってて「あ、これいいな」って思うことが多いですね。
 
MIREI え、お風呂やったことないわ。
 
NAGISA 嘘!?
 
MINA お風呂すごくいいよ!
 
MIREI マジ?
 
──じゃあ次回作ではMIREIさんがお風呂作した曲に期待ですね(笑)。
 
MIREI やってみます(笑)。
 
──様々な手法で作られた幅広い楽曲を詰め込んだNEWアルバム『HOUSE』ですが、いきなり「ブラッククローバー」のアニメタイアップ曲である「sky&blue」が一曲目ですね。


一同 (拍手)
 
──今の世代のバンドマンってアニソンタイアップに憧れが強い人も多いと思いますが、自分たちの楽曲がアニメーションに乗っているのを見てどう感じました?
 
SAKIKA MINAがアニメめっちゃ好きで…。
 
MINA そうなんですよ! すごいアニメ好きで! 何か…え、私が話していいの!?
 
一同 いいよ!(笑)



MINA 小学生の時からずっとアニメが好きで、最初は「HUNTER×HUNTER」を見てすごく衝撃を受けて。そこからジャンプ作品が基本的に好きで。なので少年ジャンプの! ブラッククローバー! しかもオープニングテーマ! アニメ好きやからこそオープニングテーマの大事さって痛いほど分かるんですよ! そんなところに抜擢してもらえたのもすごくうれしかったし。エンディングは一度「双星の陰陽師」でやらせていただいたことがあったけど、やっぱりオープニングのクレジットに自分たちのバンド名が出て来た時はとにかくうれしかったですね。…喋りすぎました、すいません…。
 
一同 (笑)
 
──この曲の作曲は別の方ですが、メンバー作曲じゃない時はどういう流れで完成まで至るのかお伺いしてもいいですか?
 
SAKIKA この曲に関しては楽器も割と入っているデモをいただいて、そこからそれぞれ自分なりに解釈して、プレイしやすいようにフレーズをいじったりしました。歌詞の部分は作詞者の方とやり取りさせてもらって、もともとのデモは恋愛一本な感じだったんですけど、「青春ってもっと友情とかもあるから、こういう言葉にした方が今の世代感を出せるような気がする」みたいな話をして今の歌詞になりました。
 
──メンバー以外作曲のものでも結構手を加えると。
 
SAKIKA そうですね。その方が気持ちも乗るし、自分のものにできるというか。
 
 
「それだけ。」制作秘話!



──「それだけ。」は清水翔太さん作曲ということですが、こういったビッグネームから楽曲提供していただいた上で手を加えるというのは…結構ビビっちゃいませんか?(笑)
 
一同 (笑)
 
SAKIKA そうですね。緊張しました(笑)。
 
──それでもやっぱり曲には手を加えたと(笑)。
 
SAKIKA この曲はデモ段階になかったイントロを足したり、逆にけっこうアレンジしていった感じですね。
 
──すごいですね(笑)。スケール感の大きいミドルテンポの楽曲ですが、演奏はいろいろ気を遣う部分が多いのではないですか?
 
MINA この曲はベースがすごく歌う曲ではないかなっていう気がして。メロディやったり、雰囲気の波に乗れるかを意識しながらベースを弾いたんですよね。特にAメロ、Bメロ、サビはそんな感じで。で、インターでちょっと遊んだり、最後のアウトロでドラムと一緒に暴れてみたり。楽曲を持ち上げる……本当の意味での”ベース”みたいな部分を意識してフレーズを考えましたね。
 
──聴いていて本当に楽曲を活かすベースラインだなと思います。ドラムもけっこう意識する部分がありましたか?
 
MIREI ドラムはこう…身体の感覚で(笑)。
 
一同 (笑)
 
MIREI 一番音が繊細に聴こえてくる楽器だし、ダイレクトに届くと思っているのでハイハットの開き具合とか、スネアの鳴り方、リム鳴らすか鳴らさんのか、シンバルの叩き具合とか。全部が全部”具合”って感じなので、こういうゆっくりな曲とかはとりあえず身体で踊るように叩くような意識はしているというか。速い曲とかはそんな暇もないので(笑)、ゆっくりな曲ほどドラムはやりがいを感じられますね。
 
──やはりダンスがバックグラウンドにあるのが大きいですね。
 
MIREI もう、こんな感じで…(ジェスチャー)
 
──いや、ジェスチャーは文字に起こせない……(笑)。
 
一同 (笑)
 
──歌に関してはどうですか? デモ段階ですでに仮歌が入っていたり?



SAKIKA そうです、仮歌があって、しかも仮歌の人がすっごいうまくて。これまで疾走感のあるロック曲しか歌ってこなくて。こういう恋愛もののしっとりしたバラードを歌うことがなかったので、デモを聴いた時にそれをマネするようなイメージで練習していたんですけど、デモ段階のレコーディングの時に清水翔太さんにディレクションしていただきました。その時に楽曲のストーリーや感情を教えていただいて、「こういう感情だからこういう風に歌って」とか、技術的に言われるよりも感情を説明された方が声に乗りやすくて。自分的には新たな引出しを教えていただいた曲でした。
 
──ギターはどうですか?
 
NAGISA バラードでギターを弾くとなると右手の強弱で音が変わるので、そこは意識しましたね。もともとイントロがなかったのでフレーズを考えるときにすごく緊張して…かなり神経をそこに注いで20個ぐらいフレーズ考えたりしたんですけど、今の形に落ち着いたときはかなりほっとしましたね(笑)。
 
──無事に、という感じですね(笑)。「FULL HOUSE」は一転してカッティングもスラップもあり、言葉の語数も多くいろいろ詰め込んだ難易度が高めな曲ですね。
 
MINA この曲はそういうのを狙った曲で、あくまで自分たちがやっているのはバンドやし、まだ10代20代の境目の年代だからこそ、こういった曲が引き立つのかなと思って。とにかくこれでもかってくらい各パートがアレンジを入れる、ライブ映えをするような曲を作りたくてデモを私が作りました。その後数回しかスタジオでこの曲やってなくて、けっこうレコーディングの時にバッと弾いて合わせて、微調整をその場その場でして、最後の最後まで新鮮なままできた曲です。
 
──勢いのまま行った曲というか。
 
MINA 今作の中で一番最後にできたんですよ。
 
MIREI めっちゃギリギリやったな。
 
MINA 本当にギリギリで(笑)。今作はけっこうスケジュールが短くて。短いスパンの中で作った曲やけど、皆すごく集中してめちゃくちゃ作り込みましたね。
 
──各パートの殴り合いみたいなアレンジですもんね。
 
一同 (笑)
 
NAGISA いい意味で思春期感出てるかな(笑)。
 
──それこそそれぞれのスキルの高さもバンバン出ていますよね。
 
NAGISA レコーディングの時に、この曲は勢いとニュアンス重視で、プレイもちょっとガサツ感が残るぐらいがいいなと思って。二人のギターもちゃんと聴くと面白い構成になっています。
 
──じゃあこの曲はみんな「私のプレイを聴け!」くらいの強気な感じで(笑)。
 
SAKIKA オイコラ!みたいな感じですね(笑)。
 
MINA ライブでやるのが楽しみです!

MIREI 緊張する…私が初めて2番のAメロで主メロ歌うんですよ。
 
MINA あ、そうなんですよ! 作ったんです。たしかMIREIの主メロは初めてだよね?
 
MIREI うん、初めて。
 
MINA ライブ映えする曲やからこそMIREIが歌うパートを作りたいなと思って。2番のAメロやったらドラムもそんなに激しいことしてないし、立ちながらMIREIが歌うっていう前提で歌詞を考えたところなんで。ライブを観に来る方は楽しみにしていてください。
 
MIREI 超緊張します…立ち上がった後ドラムに戻れるか不安になります…。
 
SAKIKA 楽しみやな(笑)。
 



「レコーディングではヤンキーが現れるんですよ」!?


──「ダーリンダーリン」もサウンドはめちゃくちゃ渋い曲ですが、歌詞やタイトルは直球に恋やフレッシュなイメージで、サウンドと対極に感じるのですが、これは狙ってやっている感じですか?
 
MIREI 大正解です! 私はデモ段階でドラムと歌しかいないものを作るんですよ。で、みんなにコード勝手につけていいよーって(笑)。
 
SAKIKA それで3人とも違うパターンを持ってきて、MIREIちゃんが選ぶという(笑)。
 
MIREI Aメロはこれ、Bメロはこれってな(笑)。
 
SAKIKA オーディション形式なんですよ(笑)。
 
MIREI それでこの曲はあんまりかわいい感じにはしたくないっていうのがあって、サウンドは重めなロックな感じ、反対に歌詞はド直球に分かりやすいものにしようと思ってたんで、目で見てすぐ分かる感じの歌詞にしました。
 
──ではもともと歌詞と音でコントラストをはっきりさせようって決めていた曲だったんですね。
 
MIREI ただサオ隊のことはよく分からないので、気づいたら「え、やばっ! 音渋くない?」って感じでした(笑)。
 
──サウンドだけ聴くと、こんなに若くてかわいい女の子たちが鳴らしているとは思わないですもんね(笑)。
 
SAKIKA うれしいです!(笑)
 
──サウンドメイクに関しては「あのバンドのこの曲みたいな音にしたい!」みたいな案の出し方をしますか?
 
NAGISA この曲に関してはイメージが固まってて、アヴリル・ラヴィーンの「Girlfriend」のギターがすぐに浮かんだんですよ。ああいうドストレートなロックの音でオクターブ奏法とかもいっぱい入れてーみたいな。なのでイメージ通り曲が仕上がったみたいな感じです。
 
──「ラブソングが聴きたくなった」も疾走感があってライブ映えしそうな曲です。
 
SAKIKA 私たちが歌ってそうな曲を作りたい!ライブハウスでかき鳴らせるような曲を作りたい!みたいなところから作った曲で、皆にアレンジを投げたというか、スタジオでワンコーラスしかないものからメンバーで考えていった曲です。
 
MINA 楽しかったねー。
 
──皆で作ったからこそのバンド感が音に出ていますね。
 
MIREI この曲めっちゃ速い…地獄(笑)。
 
一同 (笑)
 
SAKIKA 間奏でダークなゾーンがあるんですけど…
 
NAGISA あそこめっちゃ大好き!(笑) 順番にソロっぽいことをやる展開なんですけど、レコーディングとかスタジオでもヤンキーが現れるんですよ(笑)。最初にベースヤンキー、次にSAKIKAがヤンキー、最後に「お前行け!」みたいな感じで私がヤンキーみたいな構成になっていて(笑)。
 
SAKIKA ミックスチェックの時もブンブン言いながら「もっと音出て来いよ!」とか言って音量上げたりとか(笑)。なのでこの曲はヤンキー感が…「ラブソングが聴きたくなった」っていうタイトルには似合わず(笑)。
 
一同 (笑)
 
──「striky girl」は逆に楽曲全体でエフェクトを多用してふわっとした空気感ですよね。
 
MINA ベースはZOOMのマルチエフェクターからオートワウを間奏だけ使っています。



NAGISA Dメロは夢の中に入ったみたいな世界観を作りたくて、ふわっとした私のイメージをみんながはっきりと描いてくれました。
 
──この曲はNAGISAさんがリードボーカルですよね?
 
NAGISA そうですね。歌割りを決めているときに、「この曲はNAGISAが歌ったほうが世界観を壊さなくていいんじゃないか」という風にメンバーが言ってくれたので、私が歌うか!みたいな(笑)。
 
──曲に対してのベストを選択するために歌う人も変えてしまえるのはバンドの強みですね。「ノスタルジック」はMINAさんがリードボーカルですね?
 
MINA 「歌いなよ」って言ってくれたので…もうビートルズみたいなイメージですよね(笑)。
 
──しかもこの曲に関しては歌詞も強烈ですね…。
 
MINA めっちゃ“バカ”って言いました(笑)。それこそこの曲はお風呂曲だと思うんですよ。“ノスタルジックだバカ”っていうワンフレーズだけすっごい前に思いついて、去年あたりから他の部分が少しずつ湧いてきてワンコーラスまで形になったんですよ。それで今回のアルバムを作るにあたって他に似たような曲もないしこういう曲いいんじゃない?ってなってからが大変でした。
 
──難産的な。
 
MINA そうですね。構成もすごく悩みましたし、ワンコーラスあるものの他のところどうしようって感じで。
 
MIREI しかもめっちゃムズイです。
 
MINA リズム隊はけっこう…ドラムはデモ段階でかなりかっちり打ち込んで送ったんですけど、その通りに叩いてくれていてめっちゃかっこいいです。
 
MIREI 最初「できないよこれ」って愚痴りましたよ(笑)。
 
──打ち込みだとつい人体の限界を超えてしまうというやつですか(笑)。
 
MIREI 物理的にシンバル叩けへんところで鳴ってたり(笑)。この曲が一番練習しました、私。


将来、絶対に立ちたい舞台は……


──なるほど。ちなみに「Figure」のアコギなど、メンバーが担当するパート以外の楽器はどのタイミングで入れるものですか?
 
MINA 後から入れる方が多いですが、この曲は先行して入れました。
 
──後から音を足す場合、こんな音を入れようって発案するアイデアマンがいたり?
 
MIREI MINAかな?
 
SAKIKA 確かに。コード感とか一番分かっているのがMINAなので。
 
MINA 曲がよりよくなるようにというのは常に思っているので、思いついたら言いますね。
 
──意見がずれて揉めたりはしませんか?
 
MINA あー、意見がずれた時は話し合って解決するので、取っ組み合いみたいなのはないですね(笑)。
 
SAKIKA みんな「曲をよくしよう」が大前提にあるから。
 
MINA その一心で言ってるから、ぶつかったとしてもちゃんと収束するんですよね。
 
SAKIKA いいぶつかり方だよね。
 
──では「LIFE」のストリングスは後から乗せたような感じですか?

SAKIKA そうですね。この曲は最初すごくシンプルなバンドアレンジの曲で、ライブでやったりもしていて。この曲自体がけっこう長めなところもあってもう少しバージョンアップしたいなーと思って、アレンジをお願いしてみようと。そしたらストリングスが入って戻ってきて。イントロのフレーズはNAGISAが考えてくれたりとか、周りの力でどんどんバージョンアップしていきました。前作までは自分たちの曲は自分たちで完結してっていうスタイルだったんですけど、今回はいろんな人の意見を聴いたり力を借りたりしていく中で、自分たちの曲がどう変わっていくのかも見ていて楽しかったし、本当にありがたい環境で音楽やらせてもらえてるなって感じました。
 
──そういった刺激を受けると次回作にもいい影響を生みそうですね。
 
SAKIKA 今まで気を遣えなかったところまで意識が回るようになったなとは思いますね。
 
──バンドの成長という点で言うと、「ナミダの飛ばし方」はホール映えしそうな楽曲で、バンドのステージ感が大きく感じられますね。やはりホールでライブやりたいとかはありますか?
 
一同 やりたい!
 
SAKIKA ホールはオープニングアクトでちょっと出させてもらったことはあるけど、ワンマンはなくて。ライブハウスでいろんなバンドさんと対バンしているときに、このバンドさんはホール映えしそうやなとか、そういう楽曲の持つ性質ってあるじゃないですか。私達もホール映えする曲を作っていきたいなという気持ちはもともとありますね。
 
──ちなみに目標のステージはあったりしますか?
 
MINA せーので言ってみようか。せーの!
 


一同 大阪城ホール!
 
──おおー! 皆さん大阪の出身ですもんね。やはり関西の方は大阪城ホールに憧れるものですか?
 
SAKIKA いやーそりゃそうですねー…。
 
MINA 武道館とか横浜アリーナとかにも立ちたいけど、やっぱり地元の大阪城ホールは絶対立ちたいです。
 
──『HOUSE』発売でグッと大阪城ホールまでの距離が縮まったように思います。今作も曲順はけっこう悩みました?
 
一同 めっちゃ考えた…!
 
SAKIKA 曲順決めるのめっちゃ楽しみにしてて、何の打ち合わせもなしにメンバーごとに曲順案を出したんですよ。結果、メンバーの案が結構似てて。
 
MINA そう! 頭の6曲全部一緒とかね!
 
SAKIKA でも繋げて聴くと雰囲気が変わる曲とかもあって…紙に曲名書いた付箋をつけながら「この順番で一回流してもらっていいですか?」「いや、違うな」とかやって付箋貼り直して…パズルみたいな感じで決めていきました。
 
MINA 楽しかったなー!
 
SAKIKA ホントね、「ハマったー!これやこれや!」みたいな(笑)
 
NAGISA テンション上がった(笑)
 
MIREI 「ラブソングが聴きたくなった」がめっちゃ問題児やったな。
 
MINA そうそう!(笑)
 
MIREI 中盤はやたら歌始まりの曲が集まってたりな(笑)。
 
──それこそ結果は変わっちゃったけど自分の考えたこんな曲順もよかったよーとかあります?
 
一同 ないない!
 
NAGISA これがベスト!
 
SAKIKA 謎の自信やな(笑)。


ライブで「やらかした」こととは……!?


──そこまでアルバムとして一つの完成形を作れたとなるとライブのセットリスト組むのがまた楽しそうですね。
 
一同 確かに!
 
MINA 曲数多いしな今回。
 
──確かにかなりのボリュームですよね。制作にかかった期間はどれくらいですか?
 
MINA レコーディングは2カ月ぐらいで全部録ったんですよ。新曲が10曲ぐらいあったんですけど…。
 
──それけっこうしんどいですよね!?
 
MIREI めっちゃしんどい(笑)。
 
SAKIKA ホントに毎日スタジオ入って…。
 
MINA アルバムのことしか考えてなかったもんな。
 
SAKIKA 締め切りからいろいろ逆算していったら「あれ、時間なくない!?」みたいな(笑)。



MIREI 11月にワンマンがあって、それまではワンマンのことを考えつつ頭の片隅で「あーアルバムもやらなあかんなー」ぐらいに考えてたんですよ。で、1月には配信もあるからーなんて準備したりして…気づいたら1月入ってて、「え、やばない??」みたいになって(笑)。
 
NAGISA そこから焦りだして。
 
──そこからこの曲数を仕上げるのはすごいですね。
 
MINA スタッフさんには申し訳ない…(笑)。
 
──しかも今回のアルバムはこんなに曲数多いうえにDVDが付くタイプもあるんですね。
 
NAGISA ライブ7曲とMV5曲が入ってます。
 
MINA めっちゃボリューミー(笑)。
 
MIREI 絶対そっちタイプ買った方がいいよな(笑)。
 
NAGISA ぜひ買ってほしい!
 
──ライブ映像も見させていただいたんですけど、本当に皆さん演奏がうますぎて…緊張とかはしないんですか?
 
MINA 出る前が一番緊張するかな…
 
MIREI 一曲目始まる前がやばい!
 
NAGISA 私も! 緊張する!
 
MIREI 手つりそうになるよな。
 
NAGISA 分かる!
 
──ライブでやらかしたこととかは…。
 
MIREI 全然ありますよ(笑)。
 
NAGISA 逆にツイてるんか分からんけど…ワンマンとか大事な場面で弦が切れるとか。それこそソロの時に弦が切れたりとか、ホントタイミング考えてほしい(笑)。
 
一同 (笑)
 
──切れちゃったときはどうするんですか?
 
NAGISA そのまま弾き続けます! で、サオを持ち替えて…そういうトラブルがあったときはMIREIの顔を見るんですよ。
 
MIREI 大体しくじった人はこっち見てくるんですよね(笑)。
 
MINA 精神安定剤なんで(笑)。
 
NAGISA そうそう!(笑)。
 
MIREI SAKIKAも歌詞間違えて「うへー!」みたいな顔してこっち見てる時があって、いや、歌詞間違えんな!みたいな(笑)。
 
SAKIKA リキッドルームの時も歌詞が出てこなくて、同じ歌詞何回も歌ったりな。
 
MIREI あれは笑ったなー(笑)。


「バンドをやってみたい!」という人々にメッセージ!


──そんなに緊張していても高いパフォーマンス力を誇るGIRLFRIENDから、バンドに興味がある人、バンド初心者たちへ向けてアドバイスをお願いします。
 
SAKIKA どれだけ自分色に染められるかが大事かなと。技術を磨くことももちろん大事なんですけど、好きなフレーズを弾くとか自分の好みを探していくってことが、バンドをやる上で大切かなと思っていて。だから簡単なフレーズでも、それがめっちゃ気に入ってるフレーズやったら超かっこいいと思うし、アンプだけで作った音でもそれがめっちゃかっこいいと思うならそれでいいと思うし。“イイもの”っていうラインは自分で決めていいと思う。
 
NAGISA 私は今でも本当に自信がなくて。けどギターに没頭してるだけで楽しいし、安らぐし、心の支えにもなりえるので、悩みとかある人ほど音楽にチャレンジしてみてほしいなと思います。
 
MINA 今ちょうどインスタグラムの「IGTV」っていうコンテンツの中で、曜日ごとに各パートのレッスン動画を上げているので、ぜひ観てもらいたいです。私はとにかくベース弾くのが楽しくて、弦に触れる感触とかすごく好きだし、そういうのを共感できる人と一緒に頑張っていきたいなと思います。あとはこれからバンドを始める人や始めたばかりの人たちに伝えたいんですけど、バンドはメンバーありきの生き物なので、絶対にメンバーを大事にした方がいいです。ベースは一人じゃ弾けないので。
 
MIREI ドラムはもうとにかく身体を壊さないようにってところですかね。首、腰と必ずと言っていいほど痛めるので…練習に関しては最初一つ難しいフレーズさえできてしまえば、あとはもうできるよ!って感じで(笑)。あとは曲に合ったノリを考えつつ、自分が気持ちいいリズムを鳴らせればOKです!
 
──ありがとうございます。最後にGIRLFRIENDの皆さんは今後どんなバンドになっていきたいですか?



MIREI これからの時代、“ライブ”が強くなっていくと思う中で、ライブバンドになりたいし、
技術もそうやけど…生で観た時にかっこいいバンドっていうのはやっぱりいいバンドだと思うから、そこを目指していけたらなと。一聴しただけでも「いいバンドやな」って思ってもらえるようなバンドになりたいなって思います。
 
MINA デビューからこれまでの5年間、ずっと模索しながら歩んできて、今もまだまだ模索中やけどもっとバンドの魅力を高めて「ライブに行きたい!」って思ってもらえるようなバンドになりたいです。すごい満員の会場で、皆で盛り上がれるようなライブをしたいし、SNSなどを通じて身近にも感じてもらいたいなと思っています。
 
NAGISA 私たちはアーティストという職業なので、人にきっかけや影響をもっともっと与えられるようになりたいし、GIRLFRIENDの名前の由来にもなっている「人の毎日に寄り添えるような音楽」を作りたいし、発信していきたいなと思っています。
 
SAKIKA 私たちデビュー時は平均年齢15歳とかやったんですけど、今年私とMIREIが成人式を迎えまして。徐々に年を重ねていってるんですけど、その時その時に思っていることを泥臭くても発信し続けていきたいなと。特に今回の『HOUSE』はメンバーの気持ちとか伝えたい思いが乗ったアルバムになったと思っていて、そういう作品を発信し続けていくことで私たちの音楽を身近に感じてくれる人が増えてくれたらいいなと思います。あとは私たちを観て「バンドやってみたいな!」と思ってもらえるような存在でありたいなと思っています。
 
撮影 木川将史



2nd ALBUM『HOUSE』
2020.4.29 ON SALE
 

 
【GIRLFRIENDオフィシャルHP】
http://www.girlfriend.band/
 
【GIRLFRIEND STAFF Twitter】
https://twitter.com/GIRLFRIENDJAPAN
 
【GIRLFRIEND STAFF Instagram】
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【GIRLFRIEND Facebook】
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タンタンメン
WRITTEN BYタンタンメン
元V系バンドマン。自身のバンド経験を活かし、楽曲や機材面などを専門的に掘り下げたインタビュー、ライブレポートを執筆する音楽ライター。
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