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佐橋俊彦

祝え!【仮面ライダージオウ「逢魔降臨暦」型CDボックスセット】載せ切れなかった豪華インタビュー大公開!

2019.09.04
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仮面ライダー
平成ライダー20番目にして最後のライダー、ジオウのCDボックスが発売された。絶賛公開中の劇場版『仮面ライダージオウOver Quartzer』のサウンドトラックを含む超豪華5枚組で、外装は豪華「逢魔降臨暦」仕様というファン垂涎のお宝アイテム! 



付属のブックレットには平成最初のライダークウガからアギト、響鬼、電王、そしてジオウと歴代ライダーのサウンドトラックを手がけた佐橋俊彦氏のインタビューも掲載されている。今回は、そこにスペースの都合上入れられなかった話を大公開! 祝え!これが平成ライダーのドラマを飾る重要な音楽を生み出した偉大なる音楽家である!


ジオウの音楽はカレー風味でファンタジック

──最初にジオウを見たときの印象はどうだったんでしょう?
 
佐橋 あのビジュアルには驚いたけど。顔に「カメンライダー」とか足の裏に「キック」とか書いているし(笑)。ウォズは未来から来ているのに衣装もそうだけど、王様の従者というクレオパトラの時代のような人だし、ツクヨミも現代人にはない不思議な格好をしているし。とてもファンタジー色が強いなと思いました。



──サウンドトラックを作るにあたってコンセプトやテーマはあったのでしょうか?
 
佐橋 白倉(伸一郎プロデューサー)さんとの打ち合わせに行ったとき、ちょうど彼がインド映画に凝っていたみたいで、インド王朝の話が出たんだよね。そしてあれこれ話しているうちに、ジオウは「王様」だしインド音楽がいいかもしれないと。それに白倉さんから「カレー風味でお願いします」と言われたんだよね(笑)。あと「ファンタジックなもの」とも言われたから余計にインド音楽を意識して作ろうと思いました。最初にウォズが出てくるシーンで持っている本(逢魔降臨暦)も魔法書のようでおとぎ話の始まりをイメージさせるし。彼自身狂言廻しのような役割だから、あの音楽は特にファンタジックな音を意識しました。他にオーマジオウはキンピカでインド王朝っぽいなと感じたし。でもそこから大変で(笑)。
 
──これまでにインド風の曲を作られたことはありますか?
 
佐橋 いやいや(笑)。もうインド音楽なんて作ったことないから、まずはインド音楽の研究から始まりました。スケールについて調べていくと、それぞれに意味を持つことが分かっだんだよね。このスケールは「緊張感の高い」という意味があるとか。あとはシタールやタブラ(インドの打楽器)などインドの楽器の音をとにかく弄っていました。まずジオウの周りは全てインド風味にしているんだよね。クジゴジ堂や初めに通っていた学校でのシーン、ゲイツやツクヨミとのやりとりも含め、ソウゴ、ジオウが出ているときは全てインド(笑)。一見インド風味に聞こえない音楽にもシタールなどインド楽器の音を必ず加えていてトータルで聞くとインド音楽の印象がつくようにしています。そのせいかトラックダウンのときはなぜかいつもみんなでカレーを食べてますね(笑)。
 
──では最初に作った曲はインド音楽的なジオウのテーマだったり、ウォズが逢魔降臨暦を手に語るシーンの音楽だったりするんですか?
 
佐橋 実は今回一番最初に作って監督に送ったのがタイムマジーンの曲。元々僕がメカ好きというのもあるんだけど、あのビジュアルを見たときに「モジュラーシンセサイザーみたいだな」と。未来的でカラフルで。そこからタイムマジーンの音楽はメカニカルなモジュラーシンセのフレーズとインド音楽をミックスして作っているんだよね。
 
 
過去の楽器が未来を連想させる!?



佐橋 タイムジャッカーの曲はインドから離れているんだよ。彼らは多分未来人なんだけど、どの時代の人間なのか、誰の味方なのか分からない部分がある。だから他と違う音を出したかった。彼らに関しては「過去の楽器だけど今聞くと未来を連想させる楽器」を使っています。1980年代初頭のシンセサイザーであるフェアライトCMIやシンクラヴィアという当時は1億を越えるような高級シンセサイザーなんだけど、その音は当時「とんでもなく未来の音」だった。これはタイムジャッカーに合うんじゃないかと。人によって「未来」は違うと思うんだよ。2000年って今はもう過去なんだけど、昔の僕らからすれば遠い未来に感じていた。それがヒントになるんだよね。そういった「過去の未来」を感じさせる音源を今回はかなり使っているんだよね。同じシタールでもソウゴの周りで使うシタールは楽器のシタールだけど、タイムマジーンで使うシタールはシンクラヴィアに入っているシタール音源を使って同じシタールでも音色が違う。そしてなぜか未来っぽく聞こえてくる。だからジオウは実はとてもマニアックな音楽なのかもしれないね。
 
──ただ、「ジオウ」は特に登場キャラクターが多い作品ですよね。
 
佐橋 ジオウは過去のライダーたちも登場している集大成の作品でしょう? だから音楽を作りながらも前のライダーを勉強しなくちゃと思って。うちの下の子がライダー好きだから、分からないライダーに関して聞くこともあったよね。
 
──過去のライダーが登場するときは、それぞれを意識して作られたんですか?
 
佐橋 それはないんだよね。1つ1つのライダーに特化して作っていくと大変っていうだけでなく、ジオウのサントラとしてバランスが悪くなってしまうから。その分アナザーライダーという「歪んだ存在」を意識して作りました。ソウゴの日常がインドだから、それとは全く異なる音、あえてメカニックなエッジがかかったシンセの音にしていて雰囲気を変えているんだよね。




──奇しくも平成ライダーの最初クウガと最後ジオウの音楽を作られてますが……
 
佐橋 感慨深いよね。僕自身仮面ライダーが大好きな小学生だったし。昭和のライダーってちょっと暗さがあるんですよ。身体を改造されているし、いろんなものを背負っていて。平成になってクウガがオダギリジョーさんで「おや?」と思ったんだよね。1号の藤岡弘.さんのような役者さんをイメージしていたら細くてカッコイイ人が出てきた。クウガはダークなヒーローでロックがコンセプトだったからオーケストラを排除したんです。僕としては初めてオーケストラを使わずに作ったサントラですね。アギトで音楽的な縛りは全くなく好きにやっていいとなったので「じゃ、オペラもやってみますか」と。
 それで響鬼はインストもので。洋物の特撮やヒーローものってインストから始まるでしょ。それみたいにやってみようよと。あれはライダー全員楽器を持っていたから毎週話にあわせてメロディを奏でる楽器を変えてみたりと凝ったことをやっていたんだよね。特に響鬼が太鼓だったから打楽器がメインの音楽にはなっているけど。1回目の放送なんて音楽はほぼ打楽器のみで演奏しているくらいだから(笑)。そして電王でまたガラリと変わったでしょ? 電車が出てくるし、ドタバタだし。あの編成は「JAZZのビッグバンド」なんだよね。僕のイメージでそうしたんだけど。あとデンライナーに乗ってタイムスリップするから「過去の音楽家が未来を想像した音楽」というのがコンセプトだった。そして今回は「カレー風味」(笑)。インド音階というのはとても明るくて、ジオウは暗くしたくなかったからという意味ではとても合った。ソウゴも明るいし。でも自分の世代的には仮面ライダーは暗いものという印象もあったのでかなり勇気がいる作業ではあったんだよね。
 
──そうお聞きするとそれぞれの作品でかなり実験的なことをされているんですね。
 
佐橋 こうして振り返ってみると仮面ライダーに関しては自分が音楽的に好きなものをかなりやっているんだよね。でも「この前と同じじゃん」って言われるのは嫌だから、毎回実験的なこともやったりして。それがすごく大変なんだけど、楽しかった。5つやっているから全部並べてきいてみると面白いかもね。
 

TVと劇場版の違いとは?



──ジオウはタイムマジーンで過去や未来に行きますが、過去や未来の音を意識して作られているのでしょうか?
 
佐橋 TVでは気にしていないけど、劇場版は完全に意識していますね。時代劇調になっています(笑)。監督の田崎さんとは以前『忍たま乱太郎(夏休み宿題大作戦!の段)』で一緒にやっていて。今回も同じ戦国時代を描いているからそのタッチで作りました。今回、信長がとてもいい味を出していますよね。これは僕も常々思っていたことなんだけど、歴史書に書かれていることが全て本当とは限らないでしょう。それを上手く描いているなと思いました。
 


──他にもTV版と劇場版の違いはありますか?
 
佐橋 TVはかなり先行して作っていますね。最初にオーダーを受けるときは一回目の台本と世界観や役者さんやライダーのビジュアルを見てイメージを膨らませて作っていく。僕が作っている段階ではどの曲がどこで使われるというのは分からないんですよ。だからタイムジャッカーやアナザーライダー、タイムマジーン、ジオウをイメージした曲をいくつか作って、それをうまくハマる場面に当ててもらうという形なんだけど……。ただ今回のジオウに関しては「カレー風味」という難しさもあったから、ある程度は先行して作りつつ、第一回分の映像は先に見せてもらって作りました。あと仮面ライダーって前の週まで違うライダーが主役でしょ? 視聴者も1年間見ていて前の印象を引きずっている。その状態で見たときに「あ、新しいライダーが始まった!」と思う、それが大事だと思うんだよね。いい意味での違和感「何か変なもの」という要素は必要だと思う。ビジュアル的にもジオウは顔に「ライダー」って書いてある時点でかなり変なんだけど。製作側も同じような思いであのライダーにしたんだろうなと思った。でも不思議なことに、ずっと見ているとあれがかっこよく見えてくるだよね。音楽も同じで最初は違和感があっても最終的にあれはジオウの音楽だったと思えるものが生まれていく。それがTVでは一番大事だと思う。でも劇場版の場合は映像が先だし、そのお話で完結するから映像に合わせた音つくりができて全体の統一感や物語性も生まれてくるよね。あとソウゴとSOUGOが対峙するときはちょっと音楽的テクニックを使っているんだよね。種明かしをするとバッハがよく使ったものなんだけど、同じ音から始まって逆の音を使う鏡のようにひっくり返して音を奏でていく、つまりドからソウゴはドレミと3つ音が上がったらSOUGOはドシラと3つ音が下がる。だから同じような曲なんだけど雰囲気が違う曲になっている。それをインド音楽でやっているからとても面白い音になっているんだよね。最初は全く違う曲も考えたんだけど、2人の間にどこか共通点も入れたかった。逆にウォズが「祝え!」ってやるときの音楽は、映画の『クレオパトラ』のような大げさなイメージもあったんだよ。やっぱり王様の従者だからね。劇場版では特にたくさん人を集めての口上を見て改めて「大げさでよかった」と思いましたね。
 
──ちょうどTV版ジオウも最終回を迎え、新たに令和初のシリーズ「仮面ライダーゼロワン」もスタートしました。
 
佐橋 今になって考えてみるとジオウは面白かったよね。「未来とはなんだろう」とあれこれ考えたりして。曲を作るにあたって深く考えないとみんな同じ音になっていくんですよ。プロが使う機械やシンセはだいたい共通しているし、音がどんどん整理されてきているから「こういう場面ではこんな音」というのがある種カテゴライズされてきている。今はシンセがとても進んでいるからかっこいいフレーズが一発で出たりする。それを使うとカッコイイんだけど、結局みんなそれを使うから同じ音になる。それは嫌だから、色々と考えたよね。あるかどうか分からないけど、またライダーの音楽を作ることになったら次がもしあったら和楽器のみとかハモンドオルガンだけとかそういうのもやってみたいね。

 
撮影 保高幸子
 



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【仮面ライダー avex SOUND WEB】
https://mv.avex.jp/rider_sound/

 
くさがわりえ
WRITTEN BYくさがわりえ
初老直前になって二次元&バーチャル男性アイドルに目覚める。ビールとアニメと特撮とプロレスがあればだいたい幸せ。
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