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新生kolme制作のツボを刺激するRAM RIDERとのクリエイティブ対談

2019.01.30
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音楽
インタビュー
“callme”から“kolme”に改名し、プレイリストアルバムや4ヶ月連続配信シングル、そして、2019年1月30日には改名後初となる3rd ALBUM『Hello kolme』をリリース。2年半ぶりとなるアルバムは、その間の3人の進化と深化を見せつけるもので、「改めまして、kolmeです!」という心機一転の1枚。
今回は新たなスタイルのダンスミュージックを志向する3人と、世界を股にかけたライブ活動を行いながら数多くの大物アーティストのリミックス・プロデュースを手がけるアーティストRAM RIDERとの対談が実現。


振り付けから曲を作れるのは面白い



──RAM RIDERさんには先にkolmeのニューアルバムを聴いてもらったんですが、まずはその感想を聞かせてもらえますか?
 
RAM RIDER 素直にかっこいいなと思いました。曲の幅が広いですよね。最初の3曲くらい聴いた時と、アルバム全体通して聴いた時の印象が違いますよね。最初はSuchmosみたいな感じで、シティポップの要素なんかもあって面白いなって思ったんですけど、全体でとらえるともっと幅広い。大変勉強になりました。これだけ音楽的なベースをしっかりつくった上でダンス的なパフォーマンスもやるっていうのはすごいなと思います。
 
3人 いえいえいえ……。
 
RAM RIDER 3人はバンドみたいでもあり、ルックスもいいのでアイドルグループのようでもあり、ボーカルグループとも言えると思うんですけど、自分たちではどういう位置づけで楽曲制作をしてるんですか?



MIMORI 曲は主にわたしが作ってるんですけど、トラックを作る時の考えとしてはダンスミュージック作りたいなというのがあって。ステージで歌って踊るのをメインとしてやってるので、ダンスが映える曲がいい。でも歌をないがしろにはできないし、どっちも兼ね備えたダンスミュージックがいちばんいいのかなって。わたしがブラックミュージックが好きなので「暗い曲が多い」って言われちゃうんですけど(笑)。
 
RAM RIDER 暗いって言われるんだ(笑)。
 
MIMORI 「3人組のポップスとしては暗いよね」って。そこで自分たちのポップセンスを追求していった形が出てるのかなという感じがします。
 
RAM RIDER ステージ上ではどんなパフォーマンスなんですか。
 
RUUNA 基本的には、音を身体で取る感じですね。リズムを体現してる感じです。
 
RAM RIDER それで自分たちで曲も作って、ってなかなか珍しいですね。
 
RUUNA でもそんなに気にしたことないんですよね。逆にダンスが先に浮かんで、あとから音でリズムをつけることもあるんですよ。踊りを先にやってみて、それを見てアレンジャーさんが鍵盤弾いてくれるとか。
 
KOUMI 振り付けはわたしがダンスの先生と一緒に考えてます。
 
RAM RIDER 「こういう動きすればステージで映えるから、こういう音楽を」ってことですよね。振り付けから考えることはないなあ、面白い作り方ですよね。


まだ22歳、どんどん歌詞変わっていきそう



RAM RIDER 曲は3人で作ってるんですよね。どんな過程で作ってるんですか?
 
MIMORI 曲作りのはじめは、みんなでごはん食べながら「こういう曲ほしいよね」「こういう感じ最近流行ってるよね」ってそれぞれ好きな音楽の話してる時に「じゃあ次はこういうのやろうか」って生れてくるんです。その意見を持ち帰って、DTMで作ってみたりしてデモ作って、一回出来たデモのメロディーをアレンジャーさんが手加えてくださって、そこで3人で詞を作ります。
 
RAM RIDER 歌詞は3人で?
 
RUUNA 歌詞はひとりずつ書きますね。皆それぞれ得意分野があるんです。
 
KOUMI 出来上がった曲が書きたいムードだったら「はい!」って挙手制で(笑)。
 
RUUNA わたしはJ POP寄りが多いですね。日本語歌詞が多いので明るい曲が多いです。
 
MIMORI わたしはジャジーな曲とか、癖が強い、コード感の強い曲が多い。
 
KOUMI わたしはヒップホップ要素の強い、英詞のラップとかですね。
 
MIMORI ただ、いままでのアルバムは曲先(曲を先に作って、それに詞をつける)だったんですよ。ただ今回のアルバムから詞先(詞を先に作って、それに曲をつける)でもないんですけど、仮の歌詞を他のアーティストから引用したりして仮歌を作ってみたりしたんです。いろんなやり方あるんだなって思いましたね。
 
──詞のテーマみたいなものは変化したりしてますか。
 
RAM RIDER 昔はフィクションで考えた恋の話を書こうとかしてたんですけど、最近は過去の自分の実体験を入れるようにしたりとかしてて、そうしたら「今回の詞、いいね」とか言われるようになって。入れてますか、実体験?
 
MIMORI 入れてますね。わたしは自分の心情を入れることが多いですね。家族や上京したときの気持ちとか身近なテーマが多いです。
 
KOUMI わたしは自分のこれまで歩んできた人生とか、けっこうしっかり起承転結で書くことが多いです。
 
MIMORI これまで恋愛したことがなくって。今22歳なんですけど好きな人もできたことなくて、現在進行系で彼氏がいないんですよ。『Hello No Buddy』はそういう気持ちをさらけ出して書いた曲ですね(笑)。
 
RAM RIDER いいですね。皆さん22歳だとまだ変化があるから楽しみですね。どんどん変わると思います。


kolmeの共同制作スタイルは世界に近い?!



KOUMI RAM RIDERさんは詞と曲、どっちを先に作られるんですか?
 
RAM RIDER ものによるけど、同時がいちばんいいかな。メロディにハマる言葉、ハマらない言葉があるじゃないですか。普段喋る言葉とかけ離れすぎてもよくないかなって思うし。曲のテーマとフレーズを決めて、そこから作ること多いですね。
 
RUUNA フレーズ、ですか。
 
RAM RIDER こないだ声優の田村ゆかりさん…に似てる人にプロデュースした曲(スイミィスイミィ「SECRET EYES」)でいえば、田村さんってめちゃくちゃ忙しいじゃないですか。彼女と同じくらい忙しい男の人とつきあってると仮定して、サビを「君はいつも忙しい」って言葉に決めて、それがメロに乗るまでいろいろ作るんです。
 
MIMORI そういう作り方もあるんですね。
 
RAM RIDER そこができたら次のところを作っていく。いちばん聞かせたいフレーズがハマったら次作る、みたいな同時でやるのが多いですね。ほんとに曲の作り方はいろいろあって、海外とかだと共同作業みたいなのも多いし、kolmeはそこに近いとこありますよね。ただ3人で作ってるんだったらお金とかどうしてるのかなって思っちゃうんだけどね、『ボヘミアン・ラプソディ』見たばっかりだから(笑)。皆で作って三等分が長く続くんじゃないかって。
 
RUUNA わたしたちは三等分です(笑)。
 
RAM RIDER それはいいですね。バンドだと曲書く人と書かない人で揉めたりってことあるから。曲作ってる時にインスタでメンバーが美味しいごはんアップしてたらイラッとするんじゃないかって(笑)。
 
MIMORI  職業がらSNSも仕事にしなきゃいけないんですけど、わたしはSNSが苦手なのでその分曲作ってるときは2人が多めにやってくれたりして、分担出来てるんじゃないかと思います。美味しいの食べてても、お土産買ってきてくれたりするから嬉しいです(笑)。
 
RAM RIDER なるほど。そういう風に意識が共有できてたらいいですね。


お金出さなくても世界中で聴けるようにしたい

──お互いのクリエイティブな仕事をするきっかけをうかがいたいんですが、kolmeは2014年の年末から活動開始してますよね。
 
RUUNA 高校を卒業するタイミングで、MIMORIがもともと曲作っていたのもあって、卒業制作ってテーマで何か形にしてみようって話になったのがきっかけですね。最初から丸投げでした(笑)。それで自分たちで音楽つくりを始めたらすごく楽しくて、もっと作りたいって思ってそこからkolmeが始まりましたね。
 
MIMORI RAM RIDERさんは最初に音楽やろうときっかけは何だったんですか?
 
RUUNA 気になる!



RAM RIDER もともとDJは高校生のときからやっていたんですけど、97~98年くらいって当時クラブで日本語の曲ってかかってなくて。その頃サンプラーが安くなりだして、みんな曲を作り始めたんですよ。勝手にJ-POPの曲をサンプリングして4つ打ちをのせて、そういう海賊版のレコードを渋谷のレコード屋さんに卸したりしてたんですよ。
 
──まあ、あんまり細かい話は出来ないやつですね(笑)
 
RAM RIDER それで逃げ回りながら…バンクシーみたいな感じですね(笑)。そしたらある日、avexのある人から「これで曲作ってみない?」って送られてきたのが浜崎あゆみさんのアカペラで。
 
3人 えー!
 
RAM RIDER それからリミックスとか曲作るのを仕事にするようになって。だから18か19歳くらいでavexさんにお世話になるようになって、それで途中から片瀬那奈さんとかV6に曲を提供した時にデモの仮歌をぼくが歌ってたんですよね。それ聴いた人が「自分で歌ってみてもいいんじゃない?」って言ってくれて、それで25歳かそこらでデビュー。そういう感じです。悪いことしてたら大人に見つかって、怒られるかなと思ったらチャンスだったって感じですね。
 
KOUMI すごいですね(笑)。
 
RAM RIDER でも最近のミュージシャンで成功してる人たちも、かつてはYouTubeとかニコニコ動画とかあげて叩かれたりしてたし、やったもん勝ちですね。やったところで怒られるくらい目立つ方が難しいし。怒られること気にしてやんないよりも、目立ってトラブル起きるくらいのことやんないと才能ある人に負けちゃうんで。
 
──この10年でYouTubeとかニコニコ動画出身のアーティストやクリエイターが当たり前に出てくるようになって、アーティストも時代のスピード感みたいなのについていかなくてはいけないところありますよね。
 
RUUNA アルバムに入った「Why not me」って曲はもっと早く出したかったというのは正直あるんですよね。去年はプレイリストアルバムとかもリリースして、配信の重要性やタイミングみたいなのは勉強になりました。
 
RAM RIDER ぼくも耳が痛い話なんですけど、大きいレコード会社にいると出したい時に出すのが難しいんですよね。ただ逆説的に、リリースが決まってるならギリギリまで新しいことを詰め込むことは必要かなと。
 
──一昔前は盤で出る方がステイタスで配信限定というとマイナスなイメージでしたけど、今はもう配信もポジティブですよね。それなりの大変さはあると思いますが。
 
RAM RIDER 今はみんながどうやって音楽を聞いてるかわからないよね、バラバラすぎて。CDなのかサブスクなのかYouTubeなのか。今ぼくがやろうとしてるのは、発表する曲全部に映像をつけてYouTubeやサブスクリプションで再生回数を増やしていきたい。海外とか行ったときに現地の人が知ってるのが理想なので、お金出さなくても世界中で聴けるようにしたいし、できるだけ広がるやり方をしたいと思ってますね。
 
MIMORI 聴くきっかけは本当に多い方がいいですよね。
 
RAM RIDER ぼく自身は配信で買うことの方がだんだん増えてきたんだけど、昔からのファンの方はCDで出るのを待っていてくれたりするので作りたいと思ってます。お金を出したいという人にはお金を出すだけのものを作りつつ、聞きたいだけの人にも届けられる努力が必要かなと。

RUUNA CDは作品としてファンの方に届けたいとは思っていて、やっぱり好きな人が買ってくれるわけなので特典映像とかしっかりしたものをつけるようにしてます。どんなふうにわたしたちが制作してるかを知りたいのかなと思って、映像にもこだわりました。


ブレイクの瞬間、日本とアメリカで反応が違う



KOUMI ライブについての相談なんですけど、他のアーティストさんと対バンの時って、初めて見るファンの方を取り込みたいじゃないですか。そういう時はかける曲とか他に寄せたりしますか?
 
RAM RIDER 普段一緒にやらないタイプの出演者が多いところだと、YouTubeにあがってるとか、古くてもタイアップとかで知られてそうな曲を入れていくことはありますね。アレンジ変えたりはするけど。
 
KOUMI 対バンの時、自分たちらしく行ったほうがいいのか、他のアーティストさんに寄ったほうがいいか悩んだりするので。
 
RAM RIDER 他のアーティストに寄せることはないと思うけど、セットリストは迷いますね。歌ってて自分が気持ちいいか、とか、見ててインパクトあるとか、どっちを優先するべきかなって。踊ってて身体的に気持ちいいっていうのと、お客さんが見てて楽しいってのは順位が違うかもしれないし。ただ自分たちが絶対楽しいと思えるなら、そっちを選んでもいいんじゃないかな。難しいね。
 
MIMORI あと私たちトラック込みで作らせてもらってて、実際ライブでかけてみると自分が考えてたところで盛り上がらないってのがあって。
 
RAM RIDER 日本だとお客さんがこっちずっと見てたりして、トラックそのものの機能的なもので盛り上げたいんだけどなかなかジレンマがあるよね。
 
RUUNA 日本は振り付けで盛り上がる曲が多いですね。ブレイクのタイミングだと、静止して急に踊りだすとかそういうのが盛り上がる。去年フランスで開催されたジャパンエキスポに出演させてもらったんですけど、そこだと振り付けよりトラックで盛り上がるんですよね。
 
MIMORI ブレイクの一瞬、日本だとみんなステージを見つめるんだけど、海外だとそこでフーッ!て盛り上がって。
 
RAM RIDER たしかに海外は落とすと盛り上がるとかありますね。あと4つ打ちから音がゆったりに変化するところで盛り上がったりして。そういうのもマナーで出来上がってるだけかもしれないけど。
 
RUUNA 初めて見たお客さんは割とジッとステージ見てっていうのが多いので、どんな形で盛り上がるにしても、いろんな形を探したいなと思ってて。
 
RAM RIDER ぼくがプロデュースしてるTEMPURA KIDZとか、もともと子供のファンが多かったのもあってもう最初に振り付けとか盛り上がる練習とかしてて、やってるうちに覚えてくれるんですよね。あとアイドルと共演でDJする時は「今日はもうあなたたちはメチャクチャイケてるクラバーです! 常連のふりして頑張ってください!」って煽ってみたりとか。「この4つ打ちの後、急にゆったりするけどそこが一番盛り上がるおいしいところだから!」って全部言っちゃう。それでだんだんその気になって盛り上がってくれるんですよ。ジャンルが違うから、とすました顔してやりきるよりはコミュニケーションを取ったほうがいいよなあ、ってのはあって。
 
MIMORI そういうやり方もあるんですね。
 
RAM RIDER それに、一度楽しみ方がわかればお客さんは覚えるじゃないですか。次の場所で、その楽しみ方でやってくれるかもしれない。それを信じて。ただ、それはぼくのキャラクターだからできることで、中田ヤスタカくんとかは絶対やんない(笑)。
 
──ライブは歌とダンスと曲だけじゃないですからね。実際は煽りとかそういう要素も必要になってくる。
 
RAM RIDER 曲の前に振り付けの練習するというのをアリとするかナシとするか、アーティストの線引きとしてあるよね。でもkolmeさんスタイリッシュな感じだから難しいかな。じゃあYouTubeで曲を発表した時に振り付けこんなんやってねーみたいな啓蒙動画をアップするとか、そういうやり方がいいのかもしれないですね。
 
MIMORI 最近kolmeのスタイルとして、ライブで一緒に盛り上げるところと見せるところをはっきり分けてて、スタイルが確立してきた気はするんです。
 


RUUNA 3人で音楽をやるということが楽しくて、自分たちとしても長く作れたらいいなという気持ちだけで続けてきたんです。それでkolmeを始めたころから「こういう風になりたい」という像があって、4年間活動してきて今回のアルバムで最初の頃に感じた理想の形が出せたと思うんですよ。出来上がった時、今までにない感じの喜びを感じたんです。描いてたものが形になるってこんなにしあわせなんだ、音楽って素敵だなって。
作詞の仕方とかもなにもわからないところから始めて、最初のころは自分が考えたストーリーをただ書いていくって感じだったんですけど、今はもうハマりのチェックはMIMORIがやってくとか、自然と役割が分担されるようになって口出ししなくなりました(笑)。
 
RAM RIDER チームでそれができてるのは素晴らしいですね。
 
RUUNA 今はそこからもっと「こういうふうになりたい!」って大きい理想が出来てきてるのですが、最初のころから描いてた芯みたいなものが固まった感じが今回はします。いいタイミングのサードアルバムになったのが嬉しいです。



3rd Album『Hello kolme』2019年1月30日リリース



Type-A[CD+DVD]
AVCD-96000/B ¥5,000(税込)
Type-B[CD+DVD]
AVCD-96001/B ¥5,000(税込)
Type-C[CD]
AVCD-96002 ¥2,700(税込)
 
【kolme OFFICIAL SITE】
https://avex.jp/kolme/
【kolme Twitter】
https://twitter.com/callme_official
 
 
【RAM RIDER OFFICIAL SITE】
https://ramrider.com/
【RAM RIDER Twitter】
https://twitter.com/ram_rider


 
大坪 ケムタ(オオツボ ケムタ)
WRITTEN BY大坪 ケムタ(オオツボ ケムタ)
アイドル・プロレス・B級グルメから大人方面と一見幅広いようで狭いジャンルを手がけるフリーライター。著作にゆるめるモ!田家大知Pとの共著「ゼロからでも始められるアイドル運営」(コア新書)、「SKE48裏ヒストリーファン公式教本」(白夜書房)など。
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