7月にもこのコラムコーナーにご登場いただいた「ミリオン再生合唱団」が、フジテレビ系『オールスター合唱バトル』で、またやりました! 29日のオンエアを見ていただいた方はお分かりの通り、前回「ミュージカル合唱団」と同点優勝だった彼らが、今回は見事に単独優勝! 喜びに溢れる彼らから、6名のメンバーにいろいろと伺いました!
前回優勝者だからこそ感じたプレッシャーと変化とは?
──まずはお一人ずつ、お名前と活動内容を教えていただけますか?
はつみ はつみといいます。普段は「Rabbit Cat」というアカペラグループで活動しています。今回、ミリオン再生合唱団にはRabbit Catから4人で参加させていただきました。組んで3年くらいになるんですけど、主にSNS、YouTubeとかTikTokを中心に活動しております。今年は海外とかにもお呼びいただいて、香港のアカペラ・フェスティバルとか、あとは日本のアカペラの大会で、去年優勝させていただいたりとかしております。
財部亮治 財部亮治でございます。YouTube歴がもう少しで13年ぐらい前になるんですけど、シンガーソングライター兼YouTuberをやってまして、気がついたら去年ぐらいから顔が白かったり、黄色かったり赤かったり、いろんな色になっております。衣装ケースの中には全身タイツが全色あるみたいな感じになっちゃってるんですけど、最近はアニソンを中心に歌ったりしてる感じです。
──前回、7月にご登場いただいた時は白かったですよね(笑)。
財部 はい。今回も収録では白かったんですけど、今日は素顔で。何ならこの感じで出るのは初めてなので、よろしくお願いします(笑)。
杉本琢弥 シンガーソングライターをやっております熊本県出身の杉本琢弥といいます。シンガーソングライターとは別に、主にTikTokで「熊本の彼氏」っていう動画をやって、エンタメ中心でやらせていただいてます。
KAREN 見てます!
杉本 ありがとうございます!
KAREN 私たちは「LUV K RAFT」のボーカル、KARENと、こちらがMishuです。3人組のグループなんですけど、ミリオン再生合唱団にはボーカル2人だけで出させていただいてまして、もう1人、Day After Tomorrowのギタリストがリーダーでやらせてもらっています。私たちは『秘密のケンミンSHOW極』のエンドテーマをやらせていただいたり、2025年1月からBS-TBSのドラマオープニング主題歌も担当させていただくことになりました。ハーモニーをメインで皆さんに聴いていただいて、リーダーのギターも楽しんでいただけるような、そんなグループになってます。
まるり 福岡県出身でシンガーソングライターしてます、まるりです。本名です。上京してから、もともとは男女ユニットを組んでたんですけど、ちょっと相方が喉を壊してしまったことにより、急きょソロでデビューすることになって、まるりとして活動してます。歌をメインに活動して、あとはTikTokとかもやらせてもらってます。
──ありがとうございます。この中で、前回から連続で「ミリオン再生合唱団」に参加されているという方は……。
(財部、Mishu、KARENが挙手)
──3人ですね。その皆さんは前回出場して、ミュージカル合唱団と同点優勝という結果でしたよね。あの結果を踏まえて、今回こうしようみたいに考えたことは?
財部 前回はある種、ミリオン再生合唱団っていうチーム自体に対して、ちょっとハードルが下がってたと思うんですよ。芸能界の方々の中に、急にSNSのヤツらが入ってきて、「何か入ってきたぞ」みたいな感じでちょっとハードルが低くて。しかも、顔が白いワケ分かんないヤツもいるし。それで1回戦歌ったら、みんなビックリしたと思うんですよ。「意外とメッチャ歌う!」みたいな。そこから勢いが出て、みんなも頑張れ頑張れっていう空気感の中で優勝できたんですよね。
──確かに前回はそういう空気もありましたね。
財部 でも2回目は、1回優勝してしまってるし、周りからの見え方もかなり変わってくるから、今回また優勝するのは正直厳しくねえかって、最初は思ってたんですよ。またメンバーも変わりましたし。ただやっぱり、メンバーを見ると「いや、優勝できるっしょ」みたいな感じになるんですけど、そしたら収録の時に、スタジオの廊下で偶然すれ違う方々のすごい顔触れを見て、僕は(頭を抱えて)「やべえ、マジ今回はヤバいかも……」みたいになって。
──前回も今回も、周りは錚々たるメンバーでしたからね。
財部 だから前回よりも、僕的にはプレッシャーもかなり高かったですね。あと練習していく中で、前回と空気感が違ったりもしてて。楽しさだけじゃなくて、何とも言えない勢いみたいなものが前回はすごくあったんですね。でも今回は、その勢いが途中ぐらいまであまりなくて。みんなメッチャ考え込んじゃう時間とかがかなり多かったんですよ。「これで大丈夫かな?」ってすごく心配になりつつやっていったので、メンバーが変わっただけでこんなにも雰囲気が変わるのかとも思いましたね。2回連続優勝はもちろん目指したいけど、果たして本当にできるのかっていう葛藤の中、何とか本番を乗り越えて。意外と本番になったら、やっぱり皆さん、個々のポテンシャルが高すぎるので、グッと勢いで何とか優勝できたなという感覚でした。
──なるほど。今回来ていただいた中では新メンバーは3人ですが、全体としてはどういう割合だったんですか?
財部 全体では……3分の1ぐらい代わってた気がします。20人のうち、7人ぐらいですかね。半分とは言わないけど、3分の1は確実に代わったなと思います。それだけ代われば、雰囲気もガラッと変わるよなと。
──でも番組内の紹介映像で、メンバーのずまさんが練習に遅刻して、その理由を歌で表現するところとかが流れていて、超楽しげでしたよ。
Mishu 楽しさは全然ありました。前回はミリオン再生合唱団が初めてできた回だったので。さっき財部さんがおっしゃった通り「新人」でいけたんですけど、今回は前回優勝した身で行ったので、それこそ最初から期待もされてたんですよね。正直、ホンマに勝ちたかったんですけど、青春感がすごくいいグループやったっていうのは、悪く言えば、そこがなかったらアカンチームやと思ってたんですよ。でもそれが2回目も通用するかっていうところが、すごくシビアというか、分からないところがあったんですね。
──それは本番にならないと分からないですもんね。
Mishu はい。だから今回、ガラッとメンバーが変わった時に、「次はもっと音楽的なところを中心にしないといけない」っていうのを、リーダーをはじめみんなが思ったので、それで詰めていったんです。でもそれだと、自分たちの色がなくなったので、そこにプラスして青春感もないとなっていうことで、この塩梅がめっちゃ難しかったですね。
KAREN 確かに。衣装とかでも、ちょっとドレッシーにしすぎたら青春感が出ないとかがあったり、学生服に戻すか、でもやっぱり個々の色を見せないと……っていうので、衣装についても話し合いとかがあったりしたんですよね。前回は優勝できたんですけど、今回優勝できなかったらビギナーズラックで終わるっていう思いがみんなにあって。「あの時だったからよかったんだよね」「会場の雰囲気のおかげで勝ったんだよね」って言われがちなところが、たぶんみんなの中ですごくプレッシャーになってたんですよ。
──勝てたのはその部分だったんだと思われると。
KAREN でも、さすがクリエイターやなって思ったのが、合唱の1曲1曲をちゃんと「コンテンツ」として見ているというか、自分が目立ちたいからとかじゃなく、「この1曲をうまく見せるには、やっぱりメインで声を張れる人を持ってきて、その前にLUV K RAFTはここでハーモニーを効かせてね」とか、1つの動画を作る感覚で、リーダーも考えてくれてたのかなっていうのがありましたね。だからたぶん、今回も優勝できたのは、そのおかげなのかなと思います。
テーマの「青春感」を出すために、どう考えて、どう練習したのか?
──1回目に参加された方々にはそういうプレッシャーがある一方で、今回が初めての方々は、「前回優勝した、“あの”ミリオン再生合唱団に加わる」という状況じゃないですか。そこはどうでしたか?
KAREN&Mishu それ、聞きたい!
はつみ 私たちはアカペラ・グループで、合唱も人間の声で作る音楽ですけど、アカペラっていうのは私たち5人グループでそれぞれ、個人個人が別々のパートを持っていて、その声だけで音楽を作るグループなんですね。それで今回、出演をオファーしていただいて、その時にリーダーから言ってもらったのが、「音をすごく細かく見る人たちだから、この合唱全体のレベルを見てほしい」っていう、すごく大きな期待を寄せてくれていたんです。
──それは皆さんにしかできないと。
はつみ それはメチャクチャありがたいと思うし、私たちも、自分たちの音が一つでもズレたらすぐにバレてしまうっていう精密な和音を気にするグループなので、合唱自体のレベルを上げる担当として頑張らなきゃなのかなっていう気持ちはありつつ、やっぱり前回優勝しているグループの中で、私たちが入った時に前回とどう雰囲気が変わったんだろうとか、私たちが入ったことによってちょっと真面目過ぎになっちゃわないだろうかとか、音に厳しすぎないようにしなきゃかなとか、いろいろ思って。リーダーが寄せてくれている期待にどこまで応えられるんだろうか、みたいなプレッシャーもありつつですけどね。
でもプラスの面もあって。私たちは少人数のグループとして、いつもすごく精密に精密にやってるんですけど、今回は20人っていう大人数で、しかも自分のパートと同じ音を歌う人が何人かいるという中での「合唱」という単位で音楽を作っていたので、複数人で歌を歌うという点は同じなんですけど、大勢で大きな音楽をバーン!って作り上げるみたいなことがすごく新鮮で、とっても楽しかったんです。それが一番の感想かもしれないですね。結果、メチャクチャ楽しかったので。
杉本 僕は普段シンガーソングライターとして活動していて、1人で活動してるからこそ、こんな大人数で1つの音楽を作るっていう経験が、この10年ぐらいなかったんですね。僕自身も専門学校時代にゴスペルのクワイアの中でずっと歌っていて、それこそLAの教会でのミサに行ったりといった経験もあったので、今回は懐かしさというか、「青春感」というテーマとすごく合致してるなって思いました。ただ何が違うって、前回の優勝という実績があるからこそ、1回目も出ていた方々のプレッシャーもあったと思うんですけど、初参加組の全員には、「優勝するしかない」というのが共通のプレッシャーとしてのしかかってたと思うんですよ。
まるり 確かに!
杉本 でもそれを、全員の明るさだったり、1人1人が持つ温かさみたいなので乗り越えてきたと思うし、「前回と違って今回はこうした方がいいんじゃないか」みたいにみんなが試行錯誤する熱量みたいなものを、結局「青春」として出せたのが、本番のステージだと思うんですね。だからこそ、たぶん僕らが勝手に作り上げたわけじゃない「青春」みたいなものが本番で出たと思うんです。あと、Rabbit Catさんとは違って僕は今コーラスをやってる身ではなかったので、テナー・チームとしてメロディーラインとかを一番に覚えようと思ったんです。正確に、精密に、僕もできるようにして、足を引っ張らないようにというか。突出はせずとも、ちゃんとキレイに、クリアにできるようにしようと思ってやっていました。そういう気持ちを持ってやれたから、ちゃんと1個のピースになれて、普段は1人でシンガーソングライターとしてやっているからこそ、1人じゃなくて全員で一緒に作れて、1位になれたのかなって、すごく感じました。
まるり 私はもともと、6歳から18歳まで習い事として合唱団をやっていて、それが歌手を目指すきっかけにもなったりしていて、みんなでハーモニーを歌うのが、もともと大好きだったんですよ。唯一続いた習い事だったぐらいで。だから、前回の『オールスター合唱バトル』を見た時に、「メッチャいいな!」って、すごい憧れを持ったんです。「メッチャ出たい! どうしよ、ヤバ!」ってずっと思ってたので、自分がオファーもらった時は「え、ウソやろ!」ってすごくうれしかったんです。最初はその気持ちがあったし、あそこに加われるんだったら楽しもうという気持ちで行ったんですけど、本当にみんなが言ってる通りプレッシャーもあって。やっぱり結果が出る番組なので、楽しいだけではきっと勝てないんだろうなっていうのは、もう一発目の練習の空気感でも思いましたね。
──そんな空気感だったんですね。
まるり 私って、声量があんまりないタイプだと思っていたんですけど、練習中にいろんな発見もあったり、みんなと歌うこととか先生の指示とかで、今まで出たことがない声が、この歳になって出せたりとかしたんですよ!
──おお!
まるり それをみんなが一緒に喜んでくれたりする瞬間もあって、「大人が20人も集まって、こんなに全員いい人ってこと、ある?」って思って(笑)。普通に活動してたら会えなかった皆さんと一緒に歌えたっていうことが人生の財産になったというか、マジで忘れられない出来事になりました。だから、「絶対優勝したいけど、最悪、結果がどうであれ、本当に楽しかった!」って2曲目を歌った後に思って、すごく涙が出てきたんですよ。同時に、優勝っていう結果も出て、「こんなことって、今後起きるんかな?」っていうぐらい、すごい奇跡をみんなで起こせたような感じがして、ものすごく楽しかったですね。
KAREN 練習から泣いてたもんな(笑)。しかも、本番3日前ぐらいの練習から泣いてたから(笑)。
Mishu 「まだ早い」って言ってて(笑)。
まるり 「どうして泣いてるんだろう?」ってぐらい、何か幸せだったんですよ、ずっと! 私もユニットをやってたんですけど、相方が歌えなくなっちゃったんですね。本当に声が出なくなっちゃって。もうずっとやりたかったのに、ユニットとしては活動休止してソロで歌ってるので、1人の孤独とかもメッチャ感じてて。「1人で歌うって楽しいけど、大変さもあるな」とか思うこともあったので、久しぶりにみんなでハーモニーを奏でて「やっぱり大好きやな」って、すごく思いました。
──ただ、合唱だから感情の起伏があっても困るのでは?
KAREN 確かに、普通は合唱っていうと、そこまでクセをつけすぎると、1人の声が出すぎたりしてグチャグチャになってしまうっていうのがあるんですね。でも、もしかしたらミリオン再生合唱団だけかもしれないんですけど、先生が「自分の声で歌ってください」って言うんですよ。「自分が、今まで1人1人個人で培ってきて、自分で見つけた歌声を、その場で見せてください」って言ってくださったんです。それでも合わせられる力量が全員にあったんですよね。逆に、みんなに合わせようとしてるとパンチもないし……
まるり キレイすぎる感じよね。
KAREN だから「ちょっと1回、みんな自由に歌って」っていう時間もあって。音符の長さもバラバラやったりする時もあるんですけど、そういう感じでやった方が何か色が出て、すごいフックになったのかなって思いますね。
──確かにミュージカル合唱団は、審査員の方のコメントで「キレイだけど遊びがない」みたいなことを言われてましたよね。
はつみ 「熱すぎる」みたいなこともありましたよね。
Mishu 「熱すぎる」っていうのもあったし、「作り込まれすぎてて遊びがない」とも言われてたし。
──それを聞いていると、塩梅が難しいんだなと思いますね。
Mishu それぞれの良さなんですよね。チームによって全然カラーが違ってて。
KAREN 悪いとかではないんですよね。
Mishu 全部いい!
練習で全員がパニック! 「正解が分からない!」
──でもそうすると、「こうすればいい」という「基準」とか「正解」みたいなものが見えないですよね。
Mishu 一応、私たちがもらった「審査基準」の説明で、「審査員の心にどれだけ響いたか」と書かれていたんですよ。うまい・下手とか、派手さ、とかではなく、どれだけ伝えられるかというところなので、たぶん私たちのチームは一番「歌が好き」っていうところが伝わったんだと思います。
──でも、「『どれだけ刺さるか』が審査基準です」って言われたら、自分だったら途方に暮れそうな気がするんですけど。
財部 前回、それこそ勢いだったりの力で優勝できて、ある種自分たちの中で「優勝までの最短距離」みたいなものが見えた気になったんですよ。「きっと優勝って、こういうことができたらできるんでしょ?」みたいな感じになって。でも2回目になった瞬間に、1回優勝してるというところで、1回自分たちの手の内を見せてるということになるわけですよ。さらにそれを、ミュージカル合唱団とかがものすごく意識してそこを潰すというか、その部分がかき消されるぐらいの対策を、きっと練ってきてるだろうと。だからみんなで、Rabbit Catも入ってきて、さっき言ったような音の正確さとかを重視して。でも僕らの中では「やっぱり自分たちの感情を出して歌った、あの時の感動ヤバいよな」っていうある種の成功体験があるのが、逆に悪いことなのかなって思っちゃうぐらい混乱したんです。
──難しいところですよね。
財部 ただ、先生が「それはあくまでも前回の話で、審査基準は変わるかもしれないからね」って毎回言うから、もうマジでわかんなくなって。
KAREN 途中からそうなったよね(笑)。
杉本 そこは一番、みんなでメチャクチャ話し合ったよね。
財部 それこそ、さっき言ってたように「ここでハーモニーを効かせて、ここで見て、この人が歌って……」っていうのを、それぞれみんなで考えて。自分たちが出るところの見せ方とかも、みんな考えたと思うんですよ。「自分がいかに目立つか」よりも、「チームとして、この楽曲をどうするか」と考えて。みんなそれぞれソロも含めて考えるけど、けど……、「本当にこれで正解?」みたいな感じになっちゃって。
──いつまで行っても正解にたどり着く気がしないみたいな?
財部 これは僕だけの話なんですけど、一番最後の練習の時、僕だけいなかったんですよ。ブラジルで仕事があって。何だか白塗りにしてたら、ブラジルに呼ばれたんです(笑)。で、一番最後の練習があって、僕が戻ってきたらすぐリハ、本番という流れで。その最後の練習の直前まで、みんなで話し合ってるんですよね。「優勝するためにはこうやって、こうやって……」って、みんなの意見がバチバチしてて、けっこうピリついてる状況がずっと続いてたんですよ。その中で僕だけブラジルに行って。それで帰ってきたら、何だかみんな清々しく「ウェーイ!」って歌ってて(笑)。(握り拳を作って)「これや~!」みたいになってるんですよ! 「俺がおらん間、何があったん?」と思って。
(一同・爆笑)
財部 僕の勝手な憶測なんですけど、最後の練習の直前までは、みんなが必死にいろんな必勝方法を考えて、全力でそれをやってて、でも最後には、いい意味で「いやもう、全力出すしかないじゃん!」っていう吹っ切れになったのかなって思ったんですよ。それをブラジルから帰ってきてすごく感じて、「うん、優勝できるかも」みたいな感じになりました。
──実際は、財部さんがいない間に何があったんですか?
まるり 「前回にあって今回にないもの」は何かということに、LUV K RAFTの2人が気づいて、みんなに話してくれたんですよ。
杉本 そうそう、あった!
まるり 前日じゃなかった?
KAREN 確かに、1回話しました。今回、「暗譜してきて!」とか「絶対みんなミスったらアカン」「間違えたら周りから怒られる」みたいな空気があって、みんな「間違えへんように」とか、「ちゃんと歌えるかな」って思いながら歌ってたんですね。でももう最後の練習やから、「これはミリオン再生合唱団の良さじゃない」って言って。間違える、間違えへんで言ったら、もう盛大に間違えて、笑って「楽しいよね!」って言えるのがミリオン再生合唱団だと思うから、今からは楽譜のこととか間違えないとかは一回忘れて、もう楽しもう!っていう話をしたんです。それもあって、その後にみんなで円になって合わせた時が一番よくて。
はつみ いつも、みんなで並んで練習してたんですよ。先生のいる方向に向かって、みんなで歌ってたんですけど、その時に初めて、みんなの顔を見て歌おうということで、円になって歌ったんです。しかも、強弱を綿密にやろうねとか決めてたのを1回忘れて、全身で爆発しながら歌おう!みたいな感じで、いったん思い切りやってみた回があって、それが一番よかったっていう。
KAREN 一番よかったよね!(笑)びっくりしましたもん、Mishuが「これや~!」って言って(笑)。
まるり 言ってた!(笑)
Mishu やっぱりライブ感が大事だなっていうのはすごく思ってたんですよ。結局私たちも、ライブはかなりたくさんやらせてもらってるんですけど、最終的にライブ前に言ってることは「とりあえず楽しもうぜ!」っていう感じなので。
KAREN うまい・下手とかどうでもいいですよ。
Mishu たぶん、響く・響かないって。うまい・下手とかではなくて、それこそ本人たちがどれだけ楽しんでるかっていうところが、一番カラーとしてみんなに合ってるし、絶対伝わるだろうなって思ったので、それが出た時はメッチャ興奮しました。あの瞬間、一瞬ノドをやっちゃいましたね。
財部 治ってよかったよ!
KAREN でも難しいんですよね。テレビを通したら声だけしか聞こえないので、観客席の熱とかが全然伝わらないんですよ。会場ではめっちゃカッコいいけど、お茶の間で平常心で見てる人からしたら、「ここズレたな」とかメチャクチャあると思うんですよ。私たちも、見返したら「うわ、ここヘタクソやな!」ってことはメチャクチャあるんですけど、やっぱり会場に来ないと絶対分からない良さっていうのが『合唱バトル』にはあるので、そこは難しいところですよね。音程が全てじゃないみたいな。
──ただ、1回目に「Let It Go」を歌って、高得点が出ましたよね。あそこで1回、安心しましたか?
(全員、口々に「いやいやいや!」)
財部 全然しなかったよね?
杉本 逆だよね。
はつみ リーダーが、「両曲とも満点を目指そう」っていうのを目標に置いてくれていたので、もう最初の時点で満点じゃなかったっていうことに対して、みんな「え、ヤバい……?」みたいな(笑)。
KAREN 「もうちょっと、いかなアカンかった……」みたいになりました。
財部 「うわー、98点出ちゃった!」みたいな。
KAREN しかもミュージカル合唱団と同点でね、頭を抱えました。
1曲目、2曲目……メンバーたちの手応えはどうだった?
──では、1曲目の「Let It Go」で、よかった部分というと?
Mishu それで言うと、一番ははっちゃん(はつみ)でしょ!
KAREN 「私の歌い出しがよかったから、みんなうまくいったんやで」ぐらい言ってもいいんちゃう?
まるり スタートダッシュでね。
はつみ そうですね、「Let It Go」の一番ド頭のソロを私がいただいてたんですけど、「あそこで私が失敗したら終わりだ」って思っていたので。
まるり すごいプレッシャーやね。
はつみ なので、「ここを成功させなきゃもう意味がない」っていうのは確かにあったので、そこを成功させたっていう面では、プレッシャーに打ち勝った自分、よくやったって思ってます。(一同・拍手)
──他に、1曲目でここがよかったという点はありますか?
財部 (すごい勢いで手を挙げて)ハイ! 言えます! 前回、みんなから「財部見たら緊張がなくなる」って、メッチャ言われたんですよ。白いヤツがいることが、意外とよかったみたいな。だから、僕はバスだったんですけど、自分が歌わないパートになったらできる限り、こうして(周囲を見回す)、すぐ誰かの目を見て「いけるっしょ!」っていう顔をずっとやってました。
はつみ そうだったんだ!
──自分の顔をみんなに見させてたんですね。
財部 もう見させてました、メッチャ! もうメッチャ目配せして、「もう最高だよね!」「楽しいね!」「これ始まったよ、このまま優勝行こうよ!」みたいな顔をずっとしてて。歌の部分じゃないんですけど。
Mishu 本当に、このチームで一番安心感を与えてくれる存在でした。
財部 あと、ソロは杉本君と2人で一緒に歌って。
KAREN あそこね! 確かに素敵やった! メッチャ青春やった!
──2人で顔を合わせる場面は、あんな白塗りで大丈夫だったんですか?
杉本 「何でもできる~」って歌ってるところなので、「何でもできそうだな」と思ってました(笑)。(一同・爆笑)
財部 2曲目ははつみさんとソロが一緒だったんですけど、(はつみ、杉本の)2人にはずっと「いやホント、当日は白いんでゴメンね!」って毎回毎回言ってました。
杉本 でも意外と、「オモロ!」っていうよりは、安心できたかな(笑)。
はつみ 「周りを見て安心させる」っておっしゃってたんですけど、見た目だけじゃなくて、人柄の安心感がすごいんですよ。もう隣にいて「あ、大丈夫だ」と思って見たら、真っ白いんですけど(笑)。
財部 メチャメチャ白いけどね!
はつみ だから財部さんが隣にいる安心感のおかげで、すごくうまくできたっていう記憶がありますね。
財部 そこは頑張りました!
──そこから2曲目、Mrs. GREEN APPLEの「僕のこと」に行きました。2曲目の手応えはどうだったんですか?
まるり あの時は、「もう大丈夫ですね!」ってなってましたね。「いけるぞ!」って。
Mishu どちらかというと2曲目の方が、いけそうな感じがありましたね。
まるり 1曲目の時は、みんな不安だったと思うんですよね。でも2曲目は、これが歌えたらもう絶対大丈夫だっていう自信があって。他のグループの皆さんを見ると、みんなメッチャすごかったし、合唱だけじゃなくてパフォーマンスとかもすごくて。ウチらはそこまでやってなくて、ずっと立って歌ってるだけだけど、逆に「これが合唱だよね」っていうのを一番やったんじゃないかなっていう自信があったので、それでいけば大丈夫だって信じてやった感じでした。
KAREN それこそ「僕のこと」の歌詞は、完全に私たちのことを代弁してくれてるような感じだったんですよ。今までやってきて、見つけてもらえなかった時、数字がなかった時っていうのを経て、「僕はここにいるよ」っていうのを示せる曲やったと思うので、「それぞれの物語が目に見えた」って審査員の方もおっしゃっていて。やっぱりすごく感情移入できる曲なので、これは絶対勝てるっていうのはありました。
ミリオン再生合唱団が、これからやりたいこととは?
──実際、前回と違って、単独優勝ができました。その瞬間、何を思いましたか?
まるり 「やった!」って。(一同・爆笑)
はつみ 「Let It Go」も「僕のこと」も、私たちを示すような歌だったんですよね。「Let It Go」は「ありのままの自分で勝負を挑みます」みたいなことで、「僕のこと」はさっきKARENちゃんが言ってくれたように、自分たちの弱い部分も大事にしつつ、今日は何て素敵な日だって歌う、その場にすごくピッタリな歌だったっていうのがあって、やっぱ感情移入が、それぞれの曲にすごく強かったっていう部分があったので、「私たちは本当に頑張ってきてるよね」っていう気持ちで歌っていた結果が優勝だった時に、完全に「何か報われたかも……」っていう喜びがありましたね。
──2度目の優勝となった方々はどうでしたか?
Mishu 今回は単独優勝を目標として掲げてたので、ホンマに「ヨシ!」って感じですね。でも逆に、感動しすぎてあんまり泣けてないかもしれない。(KARENに)泣いてました?
KAREN うん。
Mishu 泣いてたみたいです(笑)。
財部 前回は、ミュージカル合唱団が歌って、その後に僕らが歌って、同点で「ウェイ!」だったんですよ。今回は僕らが先に歌って、その後にミュージカル合唱団だったし、しかも僕は、「僕のこと」を歌って「いける!」という気持ちよりも感動が勝っちゃってたんですね。すごい感動して、「メチャメチャよかった! もうこれで優勝できなかったら、もういいや」みたいな気持ちで点数を待って、まさかの満点で「ウワー!」ってなったんですけど、とはいえこの後にミュージカル合唱団があるし、あっちは絶対すごいことをやってくるって思ってたから、もう気が気じゃなくて。「うわ、絶対今回も同点じゃん……」みたいな。で、ミュージカル合唱団が歌って、「はいはい、同点ね」ってなってたんですよ。「あー、今回も単独優勝は逃したか……」って、マジでずっと思ってて。でも意外と早めに「99点」が出て、「……え?」ってなって。「え、どういうこと? 今、何が起きてんの?」みたいな。だから全ての点数が出るまでは全然実感がなかったですね。脳がシンプルに追いついてなかったというか。感動が来て、絶望が来て、まさかのビックリが来てもうパニック!でした。あの時、メチャメチャ変な顔してたと思います。白くてわ分かりづらかったと思いますけど。
Mishu 情緒不安定になったよね。
──前回を超えたという点でも、達成感はすごかったのでは?
Mishu 達成感はありましたね……。
財部 ヤバかったですね。
KAREN 達成感と同時に、またプレッシャー来ませんでした? 2回優勝させてもらって、「三度目の正直」もあるし、「二度あることは三度ある」もあるしで、また優勝しないといけないっていうプレッシャーが同時に来ましたね、私は。「始まる!」みたいな。まだ呼ばれてないんですけど(笑)。
Mishu そう考えると、攻める方が楽ですよね。
──ボクシングなんかでも、「ベルトを奪うよりも初防衛の方が難しい」って言いますからね。さて、では最後に、皆さんがこのメンバーだったり、ミリオン再生合唱団なりで、これからどうしていきたいかというのをお聞きしたいんですが。
Mishu 個人的な話なんですけど、今、この「合唱」っていうところで出会えたメンバーで、みんなでオリジナル楽曲とか出したいなと思ってて。『合唱バトル』にとどまらず、いろんなところで、みんなと一緒にお仕事をしたいなっていうのもありつつ、次もし呼ばれるのであれば……それこそ演歌合唱団とかは3回ぐらい優勝されてると思うんですけど、そこのプレッシャーもすごく分かるからちょっと怖いなとは思うんですけど、やっぱり単独優勝、むしろ次こそ合計1000点、500、500を勝ち獲りたいなと思います。
杉本 『合唱バトル』って、視聴者の皆さんはお茶の間でオンエアを見ることしかできないじゃないですか。その臨場感だったり感動っていうのを、ライブでお客さんに味わってもらいたいなって思いますね。
(一同、口々に「うわー!」「それいい!」)
杉本 みんな最初はネットを通して音楽活動を始めて、いろんな活動をやっていく中でSNSというものに出会って、SNSを通じて自分の活動を大きくしていくという道を通ってきたと思うんですけど、でもきっと、生でお客さんに届けたいっていう気持ちは絶対全員あるんですよ。だからホールとかで、みんなに生で聴いてもらえたらいいなと思いますね。
KAREN それこそ、Zeppを借りようと思うんです、みんなで。Zepp借りて、ミリオン再生合唱団がフェスをやるみたいな。それぞれのオリジナル曲もやりながら、最後は合唱で締めて、っていうのをやりたいなと思ってます!(スタッフの方を見ながら)
財部 (挙手して)ちょっとここに来て、いいですか? 言いたかった。前回のインタビューの時に、「文化祭をやりたい」って言ってたじゃないですか。
──確かに言ってましたね。
財部 (他のメンバーに)前回のインタビューの時に、僕がずっとやりたいのは「YouTube文化祭」だっていう話をしてたんですよ。廃校みたいなところで、いろんな演者さんとかにも協力してもらって、いろいろやりたいなという話だったんですけど。それが実はもう勝手に動いてて。
一同 えーっ!
財部 もう会場のことも今いろいろやってて。で、いろいろ考えてる中で、やっぱり文化祭と、このミリオン再生合唱団の親和性が高すぎるんですよ。だから今、勝手に企画してて。前回の練習の時も、打ち上げぐらいで言おうかと思ったけど、いったんやめて。まだもうちょっと固めてからかなって。だから、今後どうしていきたいかって言ったら、こういう企画を作って、皆さんにオファーできたらいいなって思ってるんですよ。
KAREN すげー!
まるり 楽しそう!
KAREN これがミリオン再生合唱団の良さですよね、本当に。みんなでコラボできるところが。他のチームにはない強みだと思うので、できることは全部したいなって思うし、いい意味で利用していきたい!って、たぶん20人全員が思ってると思うんです。
はつみ 「文化祭」って聞いて思ったんですけど、以前は「はじめまして」のメンバーもいる中で雰囲気も変わって、ちょっと真面目な感じになっちゃってどうしよう、みたいなのがあったんですよね。でも今はもう一つのステージを終えた状態で、みんなの絆がより深まった状態でなので、それこそ学校で何かを作り上げた時のクラスの一体感みたいなものをちょっと感じてるところがあるので、その状態でまた大きなものを作り上げるってなったら、よりパワフルなものができるんじゃないかなと思います。
まるり この『合唱バトル』が終わって、それだけでプチン!って切りたくない絆が芽生えちゃって、今後というか、もう終わってからもみんなの活動とかをSNSとかで見てるんですよ。みんな本当にそれぞれメッチャ頑張ってて、「私も頑張ろう!」みたいな、みんなと次に会う時までに、自分も目標とかちゃんと掲げて、ちゃんと叶えていって、おじいちゃん、おばあちゃんになっても集まって歌えたらいいな、みたいな。大人になってこういう仲間に出会えることってメッチャ少ないと思うし、それを全力でやるみんなに会えたからこそ、さっきの文化祭の話もそうですけど、お互いを尊重し合って、みんなの歌声がみんな好きで、性格も好きで、人としてもずっと繋がっていたいから、本当に叶うのであれば、また同じメンバーで……皆それぞれ忙しいと思うんですけど、みんなで絶対もう1回やりたいなっていうのは密かに思ってて。
Mishu いいよね!
まるり で、本当にみんな言ってる通り、生の臨場感みたいなのも絶対に比べものにならないと思うんですよね。まだこの時点ではテレビで見れていないので、どういう感じに見えるか、聞こえるか、まだ分からないんですよ。私も正直、音外しちゃったりとかもあったなって思うし、みんなにも直後に話したりとかして、「外しちゃった、ごめん!」とかって言ってた部分が、どういう風に聞こえるか分からないんですけど、たぶん生やったらそんなに気にならないぐらい、私たちの感情だったりとかが絶対に響くと思うので、そういう場を……(財部に)絶対、どうにかしてください。お願いします!
全員 (財部に頭を下げて)お願いします!
財部 ちょっと頑張ってみます!
──その期待も膨らませつつ、いろんな展開もあるといいですし、また『合唱バトル』での雄姿も楽しみです。ありがとうございました!
撮影 長谷英史
【財部亮治】
YouTube:https://www.youtube.com/@RyojiTakarabe
X:https://x.com/Ryoji_Takarabe
Instagram:https://www.instagram.com/ryojitakarabe
TikTok:https://www.tiktok.com/@ryojitakarabe
【Rabbit Cat】
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCM0cM5fS2sr7yhEfUmfilEQ
TikTok:https://www.tiktok.com/@rabica5
X:https://x.com/RabiCa_Official
Instagram:https://www.instagram.com/rabica_official/
【杉本琢弥】
OFFICIAL SITE:https://takuyasugimoto.com/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC0ctabH6tgOF5s0iu5F5Tcg
Instagram:https://www.instagram.com/BLACKIRIS_tky
TikTok:https://www.tiktok.com/@takuyablackiris
【LUV K RAFT】
OFFICIAL SITE:https://luvkraft.net/
YouTube:https://www.youtube.com/c/LUVKRAFT
Instagram:https://www.instagram.com/luv_k_raft/
TikTok:https://www.tiktok.com/@luv_k_raft
【まるり】
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCjy9O6T3nobpVDsLfnZ7Evw
Instagram:https://www.instagram.com/maruridayo/
TikTok:https://www.tiktok.com/@maruri_0304
【avex creators labo「muchoo(ムチュー)」】
エイベックスの音楽系YouTuberに特化したエージェンシー。
音楽に”夢中”なクリエイターがより活躍できる環境を提供するとともに、彼らから生まれたコンテンツを通して、多くの人々がより一層音楽に”夢中”になれる世界を目指します。
公式サイト:https://avex.jp/muchoo/
Instagram:https://www.instagram.com/muchoo_official/
avex muchoo YouTubeチャンネル「muchoo Live Session」
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。