日本発、世界初のダンスのプロリーグであるD.LEAGUEで活躍するavex ROYALBRATS。ダンス業界の最前線で活躍するメンバーのSuGuRu、Kanta、チームディレクターを務めるYuta Nakamuraの3名に、D.LEAGUEの魅力や楽しみ方、プロダンサーとしての在り方を聞いてみました。
D.LEAGUEってどんなリーグなの?
──D.LEAGUEという名前は最近よく耳にしますが、どんなリーグなのでしょうか?
Kanta 簡単にいうとサッカーのJリーグやプロ野球のセパリーグのダンスバージョンみたいなイメージですね。それぞれのチームにスポンサーがついていて、僕らはエイベックスのチームとして活動しています。
Yuta Nakamura ルールとしては、2分15秒の持ち時間でダンス作品を作って、他のチームと対戦方式で作品の良し悪しを競う形式です。ダンス作品に関わる音源や衣装、照明なども自分たちで考えて作ります。1シーズンは8ヶ月程度かけて14回の対戦があり、全ての対戦で獲得した勝ち点の合計で上位の6チームが決勝戦にいけます。2週間に1回くらいの頻度でラウンド(対戦)があります。
──プロダンサーの方々にとっては、その頻度でダンス作品を作るのは簡単なことですか?
Yuta Nakamura 全然簡単ではないですね。他の一般的なダンスコンテストとの違いでいうと、音源から自分たちで作らなければならないことが大きいかなと思います。曲を与えられた上でのダンスの振り付けなどは、これまでもたくさん経験しているし、テーマが与えられた上での作品作りならばやりやすいですが、テーマを決めた上で、どういう曲にしようかというところから考えなければならないし、音楽のプロでもない限り、2週間に1回という頻度で楽曲を作っていくことは難しいのかなと思います。
──勝敗はどのように決まるのですか?
Kanta 毎回、ダンスに知見のあるジャッジが5名いらっしゃって、それぞれ1票ずつの5票と、それに来場しているお客さんや配信を見ている視聴者の投票で決まる1票を加えて、合わせて6票で勝敗を決める仕組みです。
SuGuRu 優勝すると人気者になれると思います!
Yuta Nakamura 優勝すると賞金が3千万円もらえますね(笑)。でも一番はお金じゃないと思っていて、1年間かけて高い水準のダンサーたちの中で競っているし、これまで取り組んできたことが報われる瞬間だと思うので、僕たちにとっては”D.LEAGUEでの優勝”ということ自体が一番嬉しいことですね。
プロダンサーの生活とは?
──チームのメンバーは普段どんな生活を送っているのですか?
Kanta 僕はチームの中で典型的なタイプの生活をしてると思うのですが、D.LEAGUEの本番に向けたリハーサルが、大体週5日程度あって朝10時~16時、試合の直前になってくると一日中、スタジオにこもって練習していますね。リハーサル後は個人で受け持っているダンスレッスンをしたりしています。休みの日は不定期ですが、思いっきり休息を取るか、遊びに出かけたりします。普段動きっぱなしなので、総じて心身のケアに使っているというイメージです。
Yuta Nakamura 僕の場合は、メンバーと一緒のリハーサルスケジュールですが、リハーサルが終わった後に、楽曲の制作や衣装のミーティングをしたりしています。ディレクターという立場で、リハーサルをどう回していくかということに頭を使っているので、休みはあまり取れていないのが正直なところですね。チームのリハーサルの休みを見つけては、自分でダンスレッスンを開催したりしているので、本当に動きっぱなしな感じです。
SuGuRu 僕の場合は子供がいるので、朝は基本7時くらいに始まって子供と一緒に準備を始めます。子供を着替えさせて歯を磨かせて、保育園に送ってからリハーサルに向かうという生活です。リハーサル後は、一度家に帰って子供をお風呂に入れてから、夜のダンスレッスンに向かうことが多いです。チームで子供がいるメンバーは自分だけなので、僕の場合はダンサーというモードとパパというモードがある感じです。
──多忙ですね。今の生活リズムで体調などに支障はないですか?
SuGuRu そうですね、僕はアホなおかげで今のところ大丈夫ですね。全然体調崩さず、まだコロナの検査も陰性しか出たことがないです(笑)。朝が早いこともあって、生活リズムは整っている方だと思います。
Yuta Nakamura 僕の場合は、基本的に不調ベースですね(笑)。
──チームとして体のケアなどで取り組んでいることはありますか?
Yuta Nakamura トレーナーさんがチームについていてくれて、週に1回程度、ダンスのパフォーマンスを上げるためにメニューを組んでくれています。体づくりから、体力アップなど、それぞれのメンバーに合ったトレーニングをしています。あとはD.LEAGUEに整体の企業さんが入っているので、マッサージなどで体のケアをしてもらっています。
──D.LEAGUEの活動以外で、チームで取り組んでいる活動は何かありますか?
Yuta Nakamura 昨年のオフシーズンでは豊洲の会場でワンマンライブを開催しましたね。D.LEAGUEのシーズンが終わって、次はワンマンライブに向けてのリハーサルが始まってという感じでした。
Kanta あとは地方にもファンの方がいてくださるので、ダンスのワークショップツアーをしました。基本的にチーム活動が東京になってしまうので、いろんなところに行ってワークショップを行って、僕らのことも知ってもらいつつ、ファンの皆様に会いにいく活動をしていました。それ以外にもファンミーティングを別で開催してファンの皆様と交流できる機会も作りました。なので、けっこうオフシーズンも忙しいですね。
Yuta Nakamura オフシーズンって何だっけ?ってなったよね(笑)。シーズン中はスタメン以外で地方に行く活動などもしていますが、オフシーズンにはD.LEAGUEではできないことをワンマンライブでできたりするので、自分たちにとってはとても重要な活動だと思っています。そういうところで、D.LEAGUEでは分からない魅力を感じてもらえたらいいですね。自分たちにとってはオフシーズンの活動の方が、よりアーティスト活動に近いイメージでできています。
avex ROYALBRATSの魅力とは?
──avex ROYALBRATSはどんなチームだと思いますか?
SuGuRu 一番面白いチームだなと思います。ダンスのテーマに身近な出来事などを選ぶことが多くて、それをエンタメとして具現化できるチームだと思います。クスッと笑ってしまうような出来事をダンスで全力で表現しているから、テーマに共感して笑えるような作品を作るチームなのかなと思いますね。
Kanta チーム全体の雰囲気は部活みたいな雰囲気で常に全力で楽しんでいる感じなのですが、ダンス面でいうと、古くからあるダンススタイルを貫くというよりは、最近の流行りやアーティスティックなダンスが得意なチームかと思います。日常の一部を切り取るダンスを取り入れたりしているので、ダンスをやっている人もやっていない人も楽しめるダンスができるチームという感じですね。今シーズンのROUND.9の作品では日常でよく耳にする、ポテトが揚がる時の音を使って作品を作ったのですが、それが分かりやすい例だと思います。
──チームのダンスジャンルは何ですか?
Yuta Nakamura 「コレオグラフ」と言われる、LA発祥のダンススタイルがベースになっています。もともと、昔からあるHipHopダンスなどのスタイルを元にして発展させたものなのですが、HipHopダンスはリズムキープが大切だったり、決まっている技やステップも多い一方、コレオグラフはその自由度が高く、決まり事が少ないダンススタイルというイメージです。なので技の名前といったようなものがあまりないですね。特に特徴的なのは、歌詞の意味を表現したり、歌詞のメロディーラインをスタイリッシュに表現することです。分かりやすくいうと、三浦大地さんがやっているダンスがそれに近いものかなと思います。彼はアーティストとしての表現に近いかと思いますが、自分たちはテーマに向けての表現をしている感覚に近いですね。
うちのチームはこのコレオグラフというダンススタイルを元に、ダンススタイルの可能性をどんどん広げていきたいし、自分たちならではの、ダンススタイルとテーマを掛け合わせて表現していきたいと思っています。
プロダンサーの定義って?
──エイベックスにはダンスが上手いアーティストさんがたくさんいる中で、「プロダンサー」であるという定義を教えてください。
Yuta Nakamura これはとても難しいところだと思うのですが、自分にとってはダンスというパフォーマンスが仕事になっていればプロダンサーであるとは思います。もともとボーカルとダンスは切り離せない関係であったと思うし、ダンスボーカルとして完成したパフォーマンスとしてあると思うのですが、ダンスだけで楽しませる、楽しんでもらえるダンスを作るというところが難しいことだったのかなと思っています。そこをダンスだけで表現することに挑戦しているのがプロダンサーだと思うし、心の中ではプロダンサーはアーティストだと思っています。ダンスへの向き合い方は、ダンスボーカルグループのアーティストさんも同じくらい本気だと思うので、表現方法が単純にダンスだったというだけだと思います。
Kanta でもダンスボーカルグループの方と、プロダンサーが一緒かと言われると、それもちょっと違う気がしますよね。
Yuta Nakamura まだ確立していないプロダンサーという職業だからこそ、それを確立するために、みんなD.LEAGUEで頑張っているんだと思います。ダンスボーカルに比べて、プロダンスってこうだよね、って分かるところまでダンスの界隈を確立できたらいいなと思います。
ダンスの楽しみ方をプロダンサーに聞いてみた
──ダンスの良し悪しや、楽しみ方が分からない人に向けて、楽しみ方を教えてください。
Yuta Nakamura 楽しみ方はたくさんあって、ダンス自体が面白いっていう人もいれば、使っている曲が良いっていう楽しみ方もあると思うし、推しているダンサーが作品に出ているとか成長したっていう楽しみ方も、「このダンサーもいいな」って推しが変わったりする楽しみ方もあると思います。D.LEAGUEには所属のチーム数も多い(現在は13チーム)ので、各チームの色があって、自分の好きなチームやダンサーを見つけたりするのも面白いし、対戦の中でのドラマなども楽しめると思います。プロリーグという形式なのでチーム同士の戦いや勝ち負けなどを楽しめる反面、アーティストのファンに近いような楽しみ方もできるのがD.LEAGUEの良いところなのかなと思います。
SuGuRu D.LEAGUEの大会を見るのは、歌番組を見ている感じに近いかもしれません。好きなチームはあるけど、見てみたらいろいろなスタイルのチームが多様な作品を披露してくるので、対戦方式の歌番組みたいな感じで気楽に見れるんじゃないかなと思います。
Yuta Nakamura 楽しみ方はそれぞれあって良いのかなと思います。お客さんの好きな楽しみ方を好きにしてもらえるだけで良いと思っています。
──今行われている23-24シーズンは6月9日のチャンピオンシップに向けて後半戦に入っていますが、avex ROYALBRATSの見てほしいポイントを教えてください。
Yuta Nakamura もちろん作品自体は本気で作っているので、作品を見てほしいですね。幅広くいろいろな音楽のジャンルも、ダンスのジャンルも取り入れて作品を作っているし、他のチームとも被らない、自分たちのカラーをたくさん持っているチームだと思っているので、飽きないで見てもらえるのではないかと思います。「aRBのダンスを見て救われました」とコメントをいただくこともあるのですが、そのように人の心に触れられたり、動かしたりするような作品もあると思うので、見てもらえたら嬉しいですね。
あとはメンバーの内面が、プロリーガーらしからぬ動物園のような個性があることが推しポイントです。自分たちは一番自由なプロリーガーであり、個性がなくならないようなチームを目指しているし、キャラクターがたくさんあるチームだと思います。そんなメンバーが、ステージに立つ時は本気の顔になって挑戦している姿を見てもらえたら嬉しいです。ディレクターがディレクターっぽくなかったり、情に厚いイケメン(Kanta)がいたりアホなパパ(SuGuRu)がいたり(笑)。
SuGuRu 全部に全力な自分たちを見てほしいです。作品に関してもそうですが、チーム内で何かする時もふざける時も全力で妥協しないのがaRBの良さかなと思います。我が強くて泥臭い感じがして、人間臭いんじゃないですかね。
Kanta 分かりやすいたとえでいうと、「テーマパーク」みたいなチームかなと思います。テーマパークが好きじゃない人ってあんまりいないと思うし、初めて行く人もいれば、好きで何回も行く人もいるじゃないですか。ダンス作品がアトラクションで、待ち時間が僕たちのプライベートの時間みたいな感覚ですかね。アトラクションって次に何が来るか分からないドキドキがあったり、その世界にいるから待ち時間すら楽しいと思うんですけど、それと同じような感覚で、ダンスを見たことない人も楽しめるような作品を作っているし、作品以外の日常を見てもらっても、また違う面白さを見つけて楽しんでもらえるのではないかと思います。
ROUND.11
2024年3月21日
ROUND.12
2024年4月7日
ROUND.13
2024年5月3日
ROUND.14
2024年5月19日
【D.LEAGUE WEBSITE】
https://home.dleague.co.jp/
【avex ROYALBRATS Instagram】
https://www.instagram.com/avex_royalbrats/
【avex ROYALBRATS TikTok】
https://www.tiktok.com/@avexroyalbrats
【avex ROYALBRATS YouTube】
https://www.youtube.com/c/aRB_JAPAN/videos
ライター
roto
株式会社duep代表。ダンサー/クリエイター/DJとして、様々な領域で活動している。ダンス関連の企画や運営に多く携わっている。SNS総フォロワーは200万人超。