今回から4回にわたり、LIVESTARで行われた「avex portal掲載権獲得イベント」で見事勝ち抜いたライバーさんたちのインタビューをお届けします。初回はAブロック1位の「Hey.Siori」さん。自らの配信だけでなく、代理店としてライバーをスカウトしてマネジメントする立場でもある彼女がトップライバーの一角にい続けられている理由とは?
「これと決めたら100%」で「負けず嫌い」だからこそ、ここまで来れた!
──見事Aブロック1位、おめでとうございます! 1位を取るのは大変でしたか?
Hey.Siori(以下HS) ありがとうございます! そうですね、事務所イベントに出るのが初めてだったので、どんな感じかが全く分からなくて、怖かったです。
──リスナーさんたちとはどんな感じで?
HS LIVESTARさんに移籍してすぐだったので、「名前を覚えてほしいから頑張りたい」ってみんなに言って、配信のイベントと一緒に「じゃあやるか」と。期間中は前日までの結果をツイッターで見る感じだったので、ドキドキしながらやってました。
──1位と決まった時はどう思いましたか?
HS 配信してない時に1人で見たので、「あー、よかったー……」と思いました(笑)。
──そもそもなんですが、この「Hey.Siori」という名前はどこから?
HS もともとは「Hey.siri」だったんですよ。覚えてもらいやすい名前だったからずっと使ってたんですけど、Pocochaのイベントで入賞した時に、商標登録されてるからアウトだって言われて。「Hey」か「siri」かどっちかだったらOKですよって言われたんですけど、もしかしたら今後もこうやって外に出て行くこともあるかもしれないから、本名から取った「Siori」にしちゃおうということで、こうなりました。
──そうなんですね。
HS 最初は「有名になりたい」とか全く思ってなかったので、別に名前が表に出るとかも想像もしてなかったから、商標登録とかも全く気にしてなかったんです(笑)。
──最初に配信を始めたきっかけは?
HS 20歳の頃から「経営者になりたい」という人生の目標を持っていて、いろいろなことをやってくる中で友達から「こういうのがあるからやってみないか」って誘われたんですね。そんな、表に出るようなことは苦手だから無理だって断ってたんですけど、「時給が出るよ」って言われたので、「じゃあやるか」ぐらいの気持ちで始めました(笑)。
──経営者になりたいんですか。
HS 「社長」っていう肩書きがカッコいいので、「将来は社長になろう」と思ってました。そのために会社員をやりながら夜も働いたりという感じで、あまり遊ばないで頑張ってきました。20代はガムシャラに働いて、とにかくお金を稼ごうという感じでしたね。
──ただ、「社長」になるだけだったらけっこう簡単じゃないですか。
HS 後からそれに気付いたんですよね(笑)。20代の頃は体力もあったし、使える時間は全部働くことに使おうという感じでガムシャラにやってきたんですよ。エステを自分で開いてみたりもして、うまくいかなくて今はやってないんですけど、その時に「こんなに時間を使ったのに、このぐらいなのか」と思って、「仕事だけじゃなくてもっと人生を考えよう」となって、今は目標もちょっと変わってきました。
──一生懸命やれば必ず成功するというわけでもないですからね。そんな中で配信を始めて、今回イベントに参加した理由は?
HS LIVESTARさんの名前は以前から知ってたんですけど、9月末からお世話になることになって、こちらでも名前を覚えてもらいたいと思って参加しました。
──「表に出るのは苦手」と思っていた頃からするとかなりの変化ですよね。それは意識の変化ですか?
HS 意識も変わったんですけど、昔から「何事もやるなら一生懸命やろう」という気持ちが強くて、ライブ配信でも成績を上げたいとか知名度を上げたいという考えになったんだと思います。
──今はみんなの憧れのS帯にいますよね。
HS そうですね、もちろんS帯をキープしたいとは思ってるんですけど、それが目標というよりは、その時その時の自分の状況で最大限やるというのが一番かなと思います。だからS帯にこだわっているわけじゃなくて、どうせやるんだったら最高ランクにいたいなという気持ちです。
──ここまでの話を総合すると、「頑張り屋さん」なんですね。
HS というか、「負けず嫌い」ですかね(笑)。何をやるにも夢中でやっちゃうというか。昔から、自分が「これ!」と決めたものには100%で、関心ないものには0、みたいな性格なんだと思います。
──これまでに没頭したものは?
HS バレーボールとかですかね。あと高校受験までは、勉強も「負けたくない!」という気持ちがすごくありました。
──勉強も運動も頑張ってたんですね。
HS バレーボールは、何か部活に入らないといけなかったから始めたんですけど、やるならレギュラーから落ちたくないという気持ちでやってました。
──そして今は配信を頑張っていると。配信を始めてから分かってきたことは?
HS 最初は本当に、こう言うとアレなんですけど「時給さえもらえればいい」という感じで、リスナーさんにも「もったいないから投げなくていいよ」って言ってたんです(笑)。でもその時にリスナーさんから「1回、イベントに出てみなよ」って言われて、その時に初めて配信を頑張ってみたんですね。そこでは1位を取れなかったんですけど、そこで「頑張ろう!」と思った時に、もっと時間を取らなくちゃいけないんだとか、新規のリスナーさんを獲得しないといけないんだとか分かって、そこから、何をやらないといけないかが分かってきたという感じですね。
──でも、やるべきことが分かっていても、なかなか上に行けない人もたくさんいますよね。Sioriさんが今上位にいるのは、その中でも何がよかったんだと思いますか?
HS 何だろう? 私って、特技とか一切ないんですよ。人としゃべることも、本当は嫌いなぐらいなので(笑)。
──苦手とかじゃなくて、「嫌い」!
HS 家にずっといるタイプなので、普段も誰かと対面で会うこととかもほとんどなくて。歌や楽器も一切できないし、唯一できるのは、「続ける」っていうことなのかなと。最初、「上に行こう!」と思い始めた時は、「何も特技がないから、人よりも時間を多くしよう」という感じで、ずっとやってましたね。
──それがだんだん実を結んできた?
HS そうですね。出会う数が違うと思うので。今でも、配信時間がちょっと取れなくて成績があまりよくなかったりすると、「やってなかったもんな」って思います。
──Pocochaを選んだのは、LIVESTARに来てからですか?
HS いえ、もっと前からですね。以前は別の配信アプリで少しやっていたんですけど、仲がよかった前の事務所の社長さんから「新しいサービスを立ち上げるから、移動しないか」と言われたのが、Pocochaを始めたきっかけでした。
──別のサービスも知っている中で、Pocochaのよさとは?
HS 他のサービスだと、もちろん努力も大事なんですけど、知名度とか「運」の要素も強いなと感じていて。Pocochaは、自分がやった分が成績になるなと感じていて、一番自分に向いているんだろうなと思ってずっと続けてます。努力が報われる感じが一番あるというか。
──LIVESTARに来てよかったことは?
HS まだ来て少しなんですけど……やっぱり、歌がうまいわけでもないのにこうやってエイベックスさんと関われたりというのは、普通ならあり得ないことですよね。そういうところがすごいなと思いました。
マネジメントもするからこそ感じる、「上に行く秘訣」とは?
──先ほどから「歌もできない」と何回か言われていますが、歌ったりもされてますよね。歌リストも拝見しました(笑)。
HS そうなんですけど(笑)……雑談だけでは長時間の配信がもたなくなったりするので、、ヒマになったら歌ったりもしてるという感じです。まあ、ずっと聞いてくれているリスナーさんなので、ワーッと盛り上がってくれるという程度で(笑)。
──では、歌を伸ばしていこうという考えはない?
HS まあ、せっかくエイベックスさんの系列だし、Pocochaでも歌イベントなんかもあるので、せっかくだからボイトレとかも行ったりして、1曲ぐらい勝ち獲ってみたりしたいなという気持ちも出てきました。ただ、歌はすごい方がたくさんいるので、そこはどれだけ努力しても難しいところだろうなと思うんですけど。
──働きながらということでしたが、配信以外ではどういう活動をされてるんですか?
HS 所属人数は少ないんですけど、LIVESTARさんに入る前に一応、ライバーの事務所を立ち上げていて。今は傘下という形でやらせていただいています。でも始めてみたら、自分が配信するのと、人をスカウトして育成していくのは全く別物で、大変なんだなと日々思ってますけど(笑)。
──例えばどんなところが大変ですか?
HS スカウト一つにしても、私が成績を持っているからということで他から紹介されてマネジメントし始めますよね。「私はこうしてきた」というのを教えようとするんですけど、私はけっこう熱量高くやってきたので、同じぐらいの熱量でやる人っていないんですよ。「成績を上げたい」という子に、私の感覚で「じゃあここまでやってね」という感じで教えてしまっていたから、「そこまでは頑張れないです」って言ってやめちゃうという人が何人かいて。あれは凹みましたね。
──分かります。
HS 最初は「何で!?」って思って人のせいばっかりにしてたんですけど、自分が忙しい状況とかも経験して、「あ、そうだよね。こんな状況で、分かんないことを『頑張れ』って言われても無理だよね」というのは気付かされました。
──ただ、よかれと思って教えているのに、というのもあって。
HS そうなんです。「そんなにはやれません」とか「やってもSioriさんみたいにはいきません」とか言われて、最初は「頑張ろう!」って言ってた人が180度変わって敵になる瞬間があって。それはけっこう食らいましたね。
──そういう経験をされてるというのも珍しいですよね。毎日忙しそうですが、日々のスケジュールはどんな感じなんですか?
HS 昼間はその仕事をやっているんですが、毎日出勤というわけでもなくて、日中のスケジュールは日によってまちまちですね。配信は、基本的に4時間は頑張ろうという感じでやってます。ライバーだけやっていた時は1日10時間だろうが余裕だったんですけど、今は日中に外でいろいろやって、疲れて帰ってきて……ということもあるので、4時間でも大変な時もありますね。仕事から帰ってきて、「あ、また仕事か」って時もありますね。
──そこで気持ちを切り替えるコツみたいなものはありますか?
HS コツというよりは、習慣として……という感じですかね。あとは、やらないと普通に成績が落ちるので、「上にいたいと思うんだったら、やらなきゃな」という感じですね。
──それができる人が、上位にい続けられるんでしょうね。
HS だから二分化してますよね。「好きでやる」という人と、「成績を残したい」という人と。私はやっぱり「上にいたい」と思うので、後者だと思います。
──その中で、今の目標は?
HS 有名になりたいとか、歌手になりたいという目標は今も一切ないので、いずれは裏に回りたいんですよね。でも、人に何かを教える時には、絶対にそれを経験していないと言えないと思っているので、今は、いずれ出会う人のために自分がいろんな経験、ダメな時もいい時も経験して、人に影響を与えられるように続けようと思ってます。
──そこを見据えての今、ということなんですね。
HS はい。だから私は、ちょっと他の人とは違うかもしれないですね。私は、自分のためよりも人のための方が原動力になるので。
──逆に今の課題は?
HS 私は5年前からPocochaをやってますけど、その頃に比べると今はライバーさんの数ってメッチャ増えてて、環境もその頃とは全然違うんですよね。昔、「1日10時間絶対!」とかを始めた頃からいたんですよ。でも今は、それだけやっててもなかなかリスナーさんが付かない時代になってきたから、みんなが何を求めてるかとか、トップライバーさんがどういうことをやってウケているのかとかをいろいろ研究しないと、時間がムダになっちゃうなって思います。最近は時間がないから余計にそこを感じるようになりましたね。
──でも何がウケるかって、ぶっちゃけ、分からなくないですか? というか、それが分かれば苦労はないというか。
HS 本当にそうです(笑)。それぞれの性格とかキャラもあるから、「これを真似すれば絶対成功する」というのはないですよね。でも、誰かの真似をしても、その中でよかったものが自分の個性になっていくと思うんですよ。だから同じことを毎日やるんじゃなくて、いろんな人のいいところを取り入れていけばいいんじゃないかなって思います。それを分析して考えていくことが、将来にもつながりますから。
──その中で、成功するのに最低限必要なものとは?
HS 「個性」じゃないかと思います。ある程度までは、やることをしっかりやっている人が残ると思うんですけど、そこから一つ抜け出すのは、自分の「個性」をしっかり分かっていて、それをうまく表現できる人だと思うんですよね。
──ご自身がやっている中で、最近ウケているな、好評だなと思うことは?
HS 何だろう……? 歌は絶対好評じゃないんですよ、みんないなくなっちゃうので(笑)。私の場合は雑談なので、他人と絡んだ時のことを話すのがウケはいいかなと思います。自分のことだけというより、例えば美容室に行った時のことを話したりとか。ただ、あまり外に出たくない方だから困っちゃうんですけど(笑)。
──ネタのためにも外出を増やさないとですね(笑)。
HS そうですね。家にワンちゃんがいるので、一緒にドッグカフェに行ったりはしてるんですけど。
──では最後に、Sioriさんにとってライブ配信とは?
HS 一言で言うのは難しいんですけど……私にとっては配信は“日常”で、歯磨きと変わらないものだとずっと思ってて。「普段絶対やること」みたいな感覚なんですけど、一方で、普通に生活してたら絶対に出会えない人とも出会えるし、こうしてエイベックスに来ることもできるし、非日常もあるなという、両方があるものだと思ってます。
──そんな配信の中で、一番楽しい時はどういう時ですか?
HS 日常生活の中での悩みとか気になったこととかを話して共感してもらえたりする時が楽しいですね。私が何かを与えたりとかしてることもあるとは思うんですけど、リスナーさんには人生の先輩の方が多いので、何かを教えてもらったりすることの方が多いと思うんですよね。そういう時は楽しいと思います。これからもそういうことがたくさんあるような、そんな配信を続けていきたいですね。
──分かりました。ありがとうございました!
【Hey.Siori Pococha】
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ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。