Dream5のボーカルメンバーとしてデビューし、現在は女優として映画・舞台で活動し続けている日比美思。彼女にとってキャリア初となる写真展『MIKOTO PHOTOEXHIBITION』をtokyoarts galleryで開催します。
この一年をかけて、写真家·木下昂一さんと「“日比美思”と共に“季節を”感じる」をコンセプトに撮影してきた日比さん。各シーズンでオンライン写真展を開催してきましたが、今回は待望の会場での写真展となります。
また最新の音声合成技術を用いて日比さんの声をデジタル化するプロジェクト「MIKOTO’S VOICE PROJECT」も始動。今回の撮影コンセプトからクラウドファンディングに至るまで日比さん自らのプロデュースによるもの。本人も思い入れたっぷりのこれらの企画と、公演を終えたばかりの『陽だまりの樹』をはじめ近況をうかがいました。
一年をかけた“日比美思プロデュース”の写真展
――オンラインでの写真展はこの一年届けてきましたが、ついに実際のギャラリーでの写真展の開催ですね。
日比 この企画自体は去年の5月くらいから考えだして、本当にゼロからマネージャーさんと立ち上げた企画なんです。去年の夏からオンライン写真展をお届けしてきたんですけど、実際の写真展を開催することが出来ることを夢見ていたので、本当に嬉しいです!
――自分でもフィルムのカメラで撮影するのが趣味で、しかも今回がキャリア初の写真展だけに思い入れはたっぷりですよね。
日比 撮るのも撮られるのも好きなんですけど、まるっと一年写真家の木下さんとご一緒させてもらうなんて、そんな贅沢なかなかないと思います。本当に貴重な体験させていただきました。
――一年かけて撮る、というのは最初からコンセプトにあったんですか?
日比 もともと「“日比美思”と共に“季節を”感じる」写真展というのがコンセプトで、というのもこのご時世、季節を感じられる瞬間ってなかなか少なかったんじゃないかと思うんです。今だって花見なんかも出来ないし、桜なんて満足に見られませんしね……。思うように出来ないこともたくさんあるけれど、一緒に写真を見ながら四季折々の景色を写真展で感じてもらえたらいいな、と思っていたので、春夏秋冬一年をかけてやることにしたんです。
――日比さん自身がかなり企画やアイデアも出したそうですね。
日比 そうですね。コンセプトにはじまって、撮影場所や写真選び、今回の会場の展示についてなども含めたプロデュースも自分でやらせていただきました。最初のコンセプト作る段階とか、マネージャーさんとリモートで毎日何時間も会議したりして。とっても大変でしたけど楽しいですね!
――そこまで制作に関わるのははじめてですか?
日比 はじめてでした。自分で企画を立ち上げて、撮影はもちろん写真展もどんな場所でやりたいか、グッズはどうしようかとか、いろんなアイデア出しや宣伝なども自分でやるのはとてもわくわくしましたね(笑)。
――春夏秋冬4シーズンの撮影をされてきたわけですが、その中で印象的な写真というとどんなものがありますか?
日比 うわー、なんだろう? それを言ったら全部なんですけど! ファーストカットの夏も印象的ですし、秋の朝日が出る瞬間を収めたくて撮ったカットとかは夜中2時集合で撮影しに行ったのですごく思い出に残ってます。それに冬はわたしがいちばん好きな季節なのでコンセプトからすごく考えて撮影したし、春はとにかく季節の花と一緒に撮りたいという気持ちもあって場所選びからこだわって、当日も天気に恵まれて本の中の世界みたいな写真が撮れたんですよね……。やっぱり選べませんね(笑)。
カメラマンとの距離が近づいていく変化も見て欲しい
――この一年の撮影を共にした写真家·木下昂一さんの写真の魅力はどういうところだと思いますか?
日比 とにかく色彩がほんとに美しくて、今回のメインカットが唯一移動中からずっと晴れだった日なんですけど、砂浜と海とサーッと透き通った空、それに白いドレスっていう色がほんとうにとっても綺麗で。ロケーションも素敵だったんですけど、やっぱり木下さんのなせる技というか、色彩もそうですし写真撮る時も緊張しない雰囲気を作ってくださってたのでリラックスして撮影に臨めました。
――いちばん最初の撮影した時とか覚えてますか。
日比 いちばん最初の夏の撮影はファーストカットが喫茶店だったんですけど、わたしが撮影の前の仕事が押してしまって、着くのが遅れてしまったんです。3時間くらい待たせてしまって。
――3時間はけっこう待たせましたね!
日比 でも「本読んで待ってました~、美味しいもんでも頼みましょう」って、そのまま自然に撮影がはじまる感じで。
――それから一年やるだけに、最初つまづいたら結構しんどいですよね(笑)。
日比 そうなんですよ~。ファーストカットの時に「ここから一年始まるんだ……」って気持ちもありつつ、自分が遅れてしまって申し訳ない思いもありで(笑)。でも、とても優しい雰囲気を作っていただいてやりやすかったです。
――最初と最後ではカメラマンとの距離感も違ったんじゃないですか。
日比 ぜんぜん違いましたね。オンライン写真展という形でずっとお届けはしてたんですけど、今回写真展やるっていうのであらためて写真を選び直したんです。そうすると夏から春、丸一年があっという間で、短かったけどちゃんと時間経ってたんだなというのを実感しました。そして、一番最初の頃の夏はやっぱりすましてるんですよ(笑)。
――まだ会ってすぐですからね。
日比 「良いとこ見せたい!」みたいなのが表情に見えてるんですよね。それが冬の撮影くらいから、グッと距離が縮まっているなって目に見えてわかるからびっくりしました。そういう心境の変化も、一年分の写真が一箇所に集まっているので楽しんでいただけるんじゃないかな。
――先日オンライン写真展もやった春のカットが最後ですが、最後撮り終えた時の充実感は凄かったんじゃないですか? 一年ごしだけに。
日比 最後の写真撮り終えて、「これで終了です」ってなった時は達成感ももちろんありましたけど、こうやって集まることもなくなるんだなって思うさみしさもあったりして……ほんとにいろんな気持ちになりながら皆で海鮮丼を食べました(笑)。
――その集大成としての今回の写真展なわけですが、こういうとこをお客さん見て欲しいというのはありますか?
日比 そうですね、木下さんの写真が素敵なのはもちろんなんですけど、一年間をまるまる撮ってもらうなんてなかなかないことで、表情の変わり方とか楽しんでもらえると思うんです。何より今回のコンセプトは「季節を感じる写真展」で、四季折々の鮮やかで美しい写真ばかりが揃っているので、みなさんもこの一年の季節を感じ取ってくれたら嬉しいなという気持ちです。
――これまでのオンライン写真展見てきた人も、この一年のストーリーとして見るとまた違った魅力を感じれそうです。
日比 今回の写真展で展示するのは、オンライン写真展では公開してない写真なんです。だからオンラインで見てきた人もぜひ楽しんでほしいです。入場も無料なのでふらっと立ち寄って見ていただければ!
デジタルボイスは私自身より滑舌がいいかもしれない!?
――そして今回の写真展に関連して「MIKOTO’S VOICE PROJECT」も動いています。「最新音声合成技術によるデジタルボイス制作」に向けての日比さん初のクラウドファンディングですが、デジタルボイスとはいったい何なんでしょう?
日比 デジタルボイスというのはAIにわたしの声を読み取って、その声質や癖なんかを覚えてもらうことで、そのAIに文章を打ち込むとわたしのデジタルボイスで喋ってくれるというシステムです。
――そんな新しい音声合成の技術がデジタルボイス。AIで作られた自分の声は聞いてみました?
日比 はい。すごい不思議な感じでした。声も似てるんですけど、ちょっと息が漏れる感じとかそういう癖も似てるんですよね。再現度がすごい。あとちょっと本人より滑舌がいいなって(笑)。わたしより聞き取りやすいかもしれないです。
――その日比さんの声の録音というか、声質や癖を覚えさせるにはどんなことをしたんですか?
日比 AIに覚えさせるための色々な文章があって、それをずっと読み上げていくんです。「こんにちは」「おはようございます」みたいな普通の文章から、しっちゃかめっちゃかな文章とかを2時間くらいどんどん読んでいって。あまりない体験で楽しかったです。
――しかも今回それが写真展『MIKOTO PHOTOEXHIBITION』のガイダンスとして収録されてるんですよね。
日比 はい、クラウドファンディングご協力いただければ、どのプランの方でも今回の写真展の副音声デジタルボイスがついてるんです。要は音声ガイドですね。その文章もこの間考えて、送らせていただいて絶賛制作中です。
――日比さんのデジタルボイスで、日比さんの文章を読み上げてるわけですね。最新技術でどんな雰囲気なのか、聞いてみたいですね。ちなみにこの技術を使って、自分のデジタルボイスをどんなところで聞いてみたいですか?
日比 えー!? なんでしょうね……。アナウンスとかナレーションとかいろんな使われ方がありそうですよね。新幹線の車内アナウンスとか聞いてみたいかな(笑)。あと本が好きなので、物語の読み聞かせとかに使われたら嬉しいですね。いろんなところで自分のデジタルボイスを聞いてみたいです。
クラウドファンディングの結果次第では第2回写真展も
――ちなみに「MIKOTO’S VOICE PROJECT」で行っているクラウドファンディングも日比さんは初挑戦だとか。
日比 そうなんです。デジタルボイスを作るにあたって、いろんな新しい事に挑戦出来たらいいなと思っていて。そこにお声がけいただいたので、これもご縁だなと思って挑戦することにしました。まだ途中ですけど、すごい楽しいですね、クラウドファンディングって。基本的にいろんなリターンがあるんですけど、「漢気プラン」「姉御プラン」っていう何の見返りもないけど応援するぜ、って方のプランもあって、そこにも着々と希望者が集まっててくれて、すごい嬉しいです。でもデジタルボイスもぜひよろしくお願いします(笑)。
――いろんな応援の形があるんだな、って思いますよね。
日比 今回自分でも色々なプランを考えて、色々なメッセージのデジタルボイスももちろんありますし、実際にわたしが電話をかけさせていただく生の声を届けるプランもあって、今から楽しみです。あとZOOMで写真展を見ながら鑑賞会をするプランもあって、これは現地に来れない地方の方も参加出来るし、実際に見た方は感想をお話したり出来るし、それも楽しみですね。
――初クラウドファンディングへの日比さんの意気込みがわかりますね。
日比 今まで新しい技術やサービスというのに疎くてやってこなかったんですけど、いろいろ魅力的なものがあるんだなとわかりましたし、これから楽しみです。クラウドファンディングは4月25日まで参加出来るので、成功できたら嬉しいですね。
――「目標額を上回ったら第2回写真展に向けた制作費に充てさせていただきます」とありますね。
日比 そうなったらいいですね。木下さんとも「新しい企画したいですね」って話もしていて、未来に向けた新しい可能性につながれば嬉しいです。この一年を撮影した写真でも、もちろんまだ使ってないものもありますし。たとえば、基本的に木下さんはデジタルで撮影してるんですけど、少しフィルムで撮ったものもあって、それがまた他と違う質感でいいんですよね。そういうのもいつかお出ししたいな、と迷ってるところではあるんですけど、いろんな機会を作っていきたいです。
――このコロナ禍の中で作り上げたものが形になるのは、これまでとは違う満足感あるでしょうね。
日比 今回の企画について一年前にリモートで会議してる時は、本当にお家にいる時間が長くて、その時も色々考えることがたくさんあって。考えて考えて、そして最終的に「もう考える前に新しい挑戦しちゃおうじゃないか」って結論に至って、今回の挑戦に繋がってるんです。それが実って、さらに広がりがあるのが嬉しいですし、ちょっとでも応援していただける方にありがとうが言える機会があるのもすごく嬉しいことだなと思います。
初の時代劇出演、千秋楽のスタンディングオベーションに感動
――あと日比さんの近況もうかがいたいんですが、今月はこの写真展やクラウドファンディングの準備をしながら、3月5日から27日まで東京·大阪で舞台『陽だまりの樹』に出演されてましたよね。
日比 昔から時代劇に出てみたかったので、すごく嬉しかったです。着物とかつらが当たり前になって、特にお着物を来ながらお芝居することも初めてだったんですけど、必死に毎日お稽古についていくうちに、気がついたら内股で歩くようになってました(笑)。
――このコロナ禍で、生でお客さんに見ていただく機会も減っただけに演者としても幸せだったんじゃないですか。
日比 そうですね。東京公演と大阪公演の千秋楽はスタンディングオベーションで拍手していただいて、それが嬉しかったし、ジンとしましたね。わたしたちもお客さんもいろんな対策してるけど、笑い声は出しづらいとかあるだろうなと思ってましたし、そう自分に言いきかせてどんな反応であってもしっかり演じきろうと思ってたんですけど、本当にお客さまが温かくて、お客様に育てていただいた作品だなと思います。
――舞台裏の思い出って何かありますか?
日比 本当に忙しい時期で、大阪公演も時間なくてドアトゥドアって感じだったんですけど、みんな時間ない中でも大阪を意地でも楽しんでやろうと、たこ焼きをテイクアウトして食べたり、帰りの新幹線で551の豚まん食べたり、いろんな思い出が出来ましたね。
――でもその合間にも今回の写真展も考えなきゃいけなかったり、大変な3月だったんじゃないですか。
日比 そうなんです! 舞台をやりながら写真展のことを考えて、さらに次の新しい台本も覚えなきゃって(笑)。
――さらに出演した映画も続々公開されますし、今後の活躍に期待してます! ちなみに日比さんがこの春やりたいことってなんですか?
日比 えーなんだろう~? 最近はありがたいことにお仕事しかしてなくて息抜けないんですけど、やっぱりお花見とかしたかったですね……。ちょっとお花屋さんでお花を買って、おうちで三色団子食べたりとかそれくらいはしたいですね(笑)。
写真展「MIKOTO PHOTOEXHIBITION」
日程:4月7日~4月11日 12:00-20:00(⼀般公開 4/8 – 4/11)
入場無料
※入場特典は無くなり次第終了となります。
※4月7日(水)は、オンライン写真展購入者のみご入場頂けるプレオープンとなります。
会場:tokyoarts gallery
〒150-0011 東京都渋⾕区東2-23-8
「MIKOTO’S VOICE PROJECT」
癒しの声を持つ、女優・日比美思が最新の音声合成技術によるデジタルボイス制作をクラウドファンディング「Bridge」を通して目指すプロジェクト。
応援の受付 4/25(日)0:00迄
https://bridg-e.jp/projects/mikotosvoice-project
【日比美思instagram】
https://www.instagram.com/hibi_mikoto/
【日比美思Twitter】
https://twitter.com/mikoto__hibi
ライター
大坪ケムタ(オオツボケムタ)
アイドル・プロレス・B級グルメから大人方面と一見幅広いようで狭いジャンルを手がけるフリーライター。著作にゆるめるモ!田家大知Pとの共著「ゼロからでも始められるアイドル運営」(コア新書)、「SKE48裏ヒストリーファン公式教本」(白夜書房)など。