まずはこちらの映像をご覧下さい。
カッコいいピアノを弾く女性。そして、音楽以上に気になるビジュアル。見たことのある方は多いのではないでしょうか。
そう。2015年に行われた「東京JAZZ Tokyo Jazz Festival」にて、水着を着て演奏したことで話題になった高木里代子さんです。
某番組に出演して司会の有吉弘行さんに「ぱいぱいジャズ美」と名付けられたことで、世間へ一気に知られるようになりましたね。
どうしてもビジュアルに目が言ってしまいがちな高木さんですが、彼女は超一流のジャズピアニスト!!
ぜひ、彼女のピアノを生で聴きたいところ。
ですが…。
「ジャズってちゃんと聞いたことないんだよなぁ」、「どこで、どう盛り上がれば良いのか分からない」、「ビシッと決めた大人が多い中で自分が行っても恥ずかしい目にあわないだろうか」
そんな不安を持つ方も多いことでしょう。私もその1人です。
ということで、今回は超一流のジャズピアニスト高木里代子さんに「ジャズの先生」となっていただき、超初心者向けにジャズのイロハを教えていただくことにしました!!
それでは高木先生、宜しくお願いします!!!
高木里代子先生のジャズ超初心者講座、開講!!
──このコラムではジャズ超初心者の素朴な疑問に答えていただこうと思います。
「ジャズクラブに行ってみたいけど、敷居が高い」とか思って、お店に入るのを躊躇する人が多いと思います。ジャズクラブはどんな格好で行ったらいいんでしょうか?
高木 まず、ジャズクラブに入るための格好で言うと、ブルーノートやコットンクラブ等の老舗のお店はジャケットを着たり綺麗目にする方がいいとは思います。
でも、重要なのはそんなことよりも「行って楽しもう」という気持ちの方が大事だと思います。だから服装をそこまで気にする必要はありませんよ。
──行ったことがないと、そのあたりの感覚も分かりませんね。
高木 普通のジャズクラブでは、ジーンズでも問題ないんですよ(笑)
特に女性はどんな格好でもいいですよ(笑)
──観客の方が途中で拍手されたりするのを見たことがありますが、どのタイミングで拍手すれば良いのでしょうか。
高木 そういうところも不安ですよね。ジャズには数小節の「テーマ」というものがあって、
【イントロ~テーマ~アドリブ(ソロ)→テーマ→エンディング】
という流れになっています。
曲が終わった時や、各パートのアドリブが終わった時に「よかった!!」と思ったら拍手すればOKです。
──テーマを知るにはどうすれば良いでしょうか。
高木 ジャズのスタンダードを集めたコンピレーションアルバム『ベスト・ジャズ100』という音源シリーズがあります。赤はピアノで、緑がヴォーカルなのですが、それをコッソリ聞いておくと良いと思います。
──「ジャズのスタンダード」という言葉を聞きますが、これはどういうことなのでしょうか。知らないと一緒に盛り上がれないのでしょうか。
高木 スタンダードを知らないと盛り上がれないこともないですが、知っていると確かに盛り上がりやすいと思います。
「青本」や「黒本」と言われる楽譜のハンドブックがあるので、それを読むとどういうアレンジをしているのかも分かっていいかも。
──事前に曲目を調べて読んでから行けば、拍手もしやすいですね。
先程、「自由に楽しんで」とおっしゃっていましたが、逆にタブーはありますか。
高木 演奏中に大きい音を立てる。話をする。派手にフラッシュを炊かないという程度です。最低限の「人としてのマナー」があれば問題ないですよ。
──だいぶ、ジャズが近いものになった気がします!!
高木里代子先生のルーツはダンスミュージック!??
──ここからは高木さん個人への質問です。
どうしてジャズピアニストになろうと思ったんですか。
高木 両親がジャズ好きだったということと4歳からピアノの作曲やアレンジを習っていたことで、ジャズにすっと入っていきましたね。
──実際にジャズを始めたのは何歳の時ですか。
高木 17歳ぐらいです。
──想像よりも遅いのですね。それまではどのような曲を聴いていましたか。
高木 普通にJ-POPを聞いてましたよ。小学校時代はSPEEDや安室奈美恵さん、そして中学生ぐらいの時に浜崎あゆみさんを聞いてました。
──ジャズをされる方はあまりJ-POPは聞かないのだろうとイメージしていました。
高木 学校は皆さんと同じですから、J-POPだって聞きますよ(笑)
ただ、音楽教室で作曲を学んでいたので、SPEEDの曲に伴奏付けたりアレンジをしたりしていましたね。
ジャズって一言で言えば、アドリブに代表される「自由」だと思うんです。私はその楽しさを子供の頃から知っていたのだと思います。
──なるほど。アレンジする楽しさがジャズをされる礎になったということですね。
大学は慶応大学の環境情報学部(SFC)とお聞きしていますが、音楽の道に進むのは珍しくないでしょうか。
高木 SFCの先輩には一青窈さんがいますし、市川愛さんや杉山未紗さんはSFC同期だったジャズヴォーカリストなんですよ。慶応ってミュージシャン多いんです。
──そうだったんですね。で、卒業された後にハウスユニットの“Inner City Jam Orchestra”に所属されてるのですが、そのキッカケは。
高木 私はハウスミュージシャンが大好きなんですよ!以前からEMMAさん( http://www.nitelistmusic.com/djemma.html )を聞いていて、『EMMA HOUSE』にピアノを乗せてたんですよ(笑)
編集部注:EMMAは「KING OF HOUSE」とも呼ばれるハウスミュージックのDJ。2016年に活動30周年を迎える。
──ジャズミュージシャンの方がEMMA HOUSEを聞いていたというのは意外です(笑)
高木 それでたまたま“Inner City Jam Orchestra”に出逢って、やりたかったことが出来るじゃん!!と参加したんです。
──安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん、さらにはEMMA HOUSEが好きだったという高木さんがavexに所属されたのは、自然な流れだったかもしれませんね(笑)
高木 そうかもしれない!!割りとナチュラルにね(笑)
──デビューアルバムもクラブミュージックのエッセンスが強いみたいですね。
高木 デビューアルバム『THE DEBUT!』は打ち込みも9割自分で作っていて、ちょっとダンスチックでハウスもレゲエもあるんです。
逆に2015年12月に配信限定で出したのはジャズクラブで演奏する楽曲を入れていまして、よりジャズが好きな方向けになっているかな。
in WINTER!高木里代子 – EP
──では、このコラムを読んでいる方にはデビューアルバム『THE DEBUT!』が入りやすいかもしれませんね。
高木 そうですね。ジャズでどこで拍手すれば良いか分からないようであれば、なおさら『THE DEBUT!』をオススメします(笑)キャッチーなものの方が伝わりやすいだろうなと作っていますからね。
──アルバム制作で苦労したことは、どのようなところですか。
高木 ジャズってかなり長い楽曲が多いのですが、このアルバムは長くても4分半の楽曲にしてあるんです。だから、ピアノソロをどうやって短くカッコよく聴かせるかという点を苦心しました。
──高木さんにとって「ジャズ」とは何ですか。
高木 アレンジして自分から湧き出るものを指先に表現出来ること。アドリブの楽しさや人とのセッションが楽しいですね。
演奏者同士の心理戦がアドリブなので(笑)それを演奏者も聴きに来てくれた方も楽しめるのが醍醐味ですからね。その日の一期一会を楽しむ音楽だと思っています。
──最後にジャズプレイヤーの方に、どうしても聞きたいことがあります。
他の方に「ソロが長いなぁ。早く終わらせてよ!」って思うことありますか。
高木 ありますよ。しょっちゅうです(笑)もう止めてって思います(笑)
一同 爆笑
──やっぱり、そうだったんですね(笑)
高木 逆に「私もソロが長いって思われないようにしなきゃ」って頑張ってますよ(笑)
──ソロって全員の方がやりますよね。
高木 そんなことはないですよ。ソロって、回さなくても良いので。演奏していて「このパートの人、イヤだな」って思ったらソロを渡さないこともありますから(笑)
──えー!
高木 たとえば、ピアノソロで一気にテンポを上げて、そのままテンポを戻さずに続けたりしますよ(笑)
一同 爆笑
高木 でも、みんなプロだから、それに負けずと頑張ってしまって、結果楽しいセッションになったりします(笑)
──そんな心理戦が行われてたのですね(笑)超初心者の方も、その心理戦を楽しむことを目的にすれば、ジャズクラブへ行けそうです(笑)
以上、高木先生のジャズ超初心者講座でした!
JAZZピアニスト高木里代子のデビューアルバム『THE DEBUT!』は2/17本日発売です。
高木)今、ライヴの最後にお客さんから好きな曲を3曲聞いて、繋げて演奏するという試みをしています。
浜崎あゆみさんの曲なども繋げますよ。
ぜひ、デビューアルバム『THE DEBUT!』を聞いて、ジャズに興味を持った人は私のライヴに来てリクエストして下さいね!!
【高木里代子オフィシャルブログ「LOVE PIANO」】
http://ameblo.jp/riyokotakagi/
ライター
雜賀信之助(サイカシンノスケ)
プロデューサー。PRイベントや映像制作、キュレーションサイト『和食ラボ』等の運営・進行管理を担当。