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【First Love is Never Returned】全公演ソールドアウト全国ツアー完走。「生活」そのものをショーへ変換した覚醒の一夜

First Love is Never Returned
First Love is Never Returned

First Love is Never Returnedは、9月27日(土)に『#FLiNR S/A TOUR 2025 [”WHAT IS “POP OUT”?]』ファイナル公演を地元札幌・ペニーレーン24で開催した。今春にはこれまでのDIY体制から「メジャーレーベルのオトナは正直嫌いだった」という衝撃的な見出しで始まるavexとの自主レーベル設立を発表した。バンド史上2度目となるワンマンツアーは、大阪、東京に続きファイナルとなる地元札幌もソールドアウトとなった。

「恋する歌声」というバンドのキャッチフレーズの通り、Kazuki Ishida(Vo./Key./Gt.)というフロントマンの歌声とポップセンスに注目が集まる彼ら。[WHAT IS “POP OUT”?]というタイトルを冠したツアーは、彼らの音楽的な深化と、サラリーマンとミュージシャンという二足の草鞋を履く自身の生活が滲み出るコンセプチャルなものとなっていた。

会場に着くとまず目に入ったのは、ステージに配置された4つのデジタルクロック。夜・深夜・朝・昼帯を指す時間に想いを巡らせていると、地元札幌らしく暖かな雰囲気が流れる満員のフロアにSEが鳴る。そこから冒頭を飾ったのは、メジャー体制後初のリリースとなった“挿入歌”。<リアルな世界に音楽は鳴らない>というある種の諦観から綴られたラインから、この日のライヴはスタートした。

そこから続く楽曲群は、明らかに「夜」を意識したもの。“夜的平成浪漫”や“シューズは脱がないで”などでは、彼らがシーンへ登場するきっかけとなったラブネバ流のナイトアーバンなシティポップを存分に鳴らし切り、“泡と文學”や“落日々”はR&Bやファンクの源泉に自然と身体が動く。

ウォーミングアップは十分に、そこからMCを挟んで突入したタームが生んだのはまさに真夜中のピークに生まれるダンスフロア。“Baby,Don’t Stop”や“ファンデーションの前に”は、Yuji Sato(Ba.)のソロプレイと共に、陰と陽のコントラストを持ちながらフロアに熱を灯し、バンドのスポークスマンでもあるKeita Kotakemori(Key./Gt./Cho)の「今日が人生で最高のライブだったと思いたくないですか?」という言葉と共に突入した“メモリーフラッグ”は、キレを増したMizuki Tsunemoto(Dr.)のリズムと共に硬質なデジタルロックの質感でフロアを煽りまくる。そして締めくくりとなったキラーチューン、“OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT”でフロアは最大点火。どの楽曲も、曲間やライヴアレンジが存分に仕込まれていて、全てを忘れ、自由を得る夜を彩るものだった。

ここでステージ上からメンバーは一度中座。豪雨から晴れ間を表すようなSEの調べが鳴る中に現れたのは、これまでも彼らの楽曲制作に参加してきたサポートキーボードの酒井拓。彼の力を得ながら放たれたのは“Twenty-Twenty”だった。コロナ禍以降のニューノーマルを提示した楽曲は、この日白眉の出来で、青空へ手を伸ばすかのように鳴り響いたArata Yamamoto(Gt./Cho)のエモーショナルなギターソロも含め、「夜明け」を迎えたステージから第ニ章がスタートした。

ここからは、ジャンルをクロスオーバーした唯一無二のポップソング群が存分に展開される。ここで顕著だったのは、“Black or White?”でメンバー全員がある種ヤケクソに叫んだというラインや、人気曲“Unlucky!!”の曲間で「仕事や学校で嫌なことがあっても大丈夫だよ!!」とIshidaが叫んだことなど、彼らが鳴らすのは普段サラリーマンとして過ごすからこそ生まれるワークマンズソングであり、誰もが過去に経験した二度と戻ってこない記憶を歌っていることだった。

そこで、このツアーで用意されたセットリストが彼らそのものであることに気づく。ステージ上のデジタルクロックが表す時間帯は、彼らの生活そのもので。仕事を終え、夜な夜なスタジオに集まって音楽を生み出し、そして朝を迎えればまた仕事へ向かい、時々はその楽曲を携えてステージという光の下に立つ。ツアーを通して「僕らはきっと皆さんとそんなに変わらなくて」とKotakemoriは話していたが、彼らの生活そのものを表現するようなセットリストは、彼らが単なるポップソングを歌うバンドではなく、聴き手と共に歩みながら寄り添うバンドとしてのスタンスであり、何よりも、生き様そのものをひとつのショーに昇華する様は見事だった。

本編ラストに披露されたのは、そんな彼らの道程を辿った“僕らの行進曲”。<眠れない夜も超えた先に待っていた>光景はとてもピースフルなもので。リアルな世界に音楽は鳴らなくても、彼らが音を鳴らし、フロアと同じ目線で笑顔を交わし合う姿がなくならない限りは、彼らとその音楽を愛する人々の行進曲はきっとこれからも続く。そんな確信を持つツアーファイナルだった。

テキスト:大畑正樹

撮影:市川実果

『#FLiNR S/A TOUR 2025 [”WHAT IS “POP OUT”?]』

9/27(土) 札幌ペニーレーン24

M1 挿入歌

M2 夜的平成浪漫 

M3 泡と文學

M4 落日々

M5 シューズは脱がないで

M6 ファンデーションの前に

M7 Baby,Don’t Stop

M8 メモリーフラッグ

M9 OKACHIMACHI FRIDAY NIGHT

M10 Twenty-Twenty

M11 バックミラー

M12 それが恋だと言ってくれ!

M13 デッドライン

M14 Black or White?

M15 プラチナ

M16 微炭酸

M17 Unlucky!!

M18 僕らの行進曲

EN People 365



LIVE INFO

Emerald × First Love is Never Returned Presents

『Re Friendship HOME TOWN TOUR 25’』

【札幌】

2025/11/1(Sat)

札幌SPIRITUAL LOUNGE

Open 17:30 / Start 18:00

Adv.¥4,500 / Door.¥5,000

【東京】

2025/11/23(Sun)

下北沢ADRIFT

Open 17:00 / Start 18:00

Adv.¥4,500 / Door.¥5,000

w)Emerald

ticket:https://eplus.jp/sf/detail/4380250001?P6=001&P1=0402&P59=1