前作「サリー」が私自身を俯瞰し、表面を切り取った名刺代わりの一枚ならば、今作品はもう少し内側に歩み寄った一枚になるのではないでしょうか。前回のアルバムに於いて、私は私自身を断定されることのないように、そう、初対面の人に深々と頭を下げるような楽曲作りをしていたと思います。まだ敬語の段階ですね。
色で言えば限りなく白に近い作品。
今回私はその延長上にありながらも少しの欲を出してみました。人に私を伝える色を淡くではありますが意図をして乗せたのです。へたれなものですから、ナカナカ。顕著には難しい。徐々に、徐々に、私色を濃くしていきたい。不器用でごめんなさい。はは。
きっと私がこれから皆さんにお見せする作品はどんどん変わっていくと思うんです。なぜなら、私は今既に次のアルバムの構成を考えているから。そしてその構想の中に既にまだ人前に現していない私がチョコリと居を構えている。人に見せる楽しさが欲になって出てきているんでしょうね。

今作はそんな私の着火剤。
この先の私の可能性を教えてくれたような作品です。聴いてくれた人が次なる何かを予感し、期待してくれたならば本望です。

あしからず

あらかしこ
 

安藤裕子