6月6日にスタートした猫好きのためのプロジェクト「ファントムベイビー」。虹の橋を渡った猫たちが楽しく暮らす様子を、ほっこりとした絵柄とストーリー展開で描いた4コマ漫画を中心に、SNSから発信されています。このプロジェクトがどういうもので、どういう経緯でスタートしたのか、今後どう展開していくのかなどについて、このプロジェクトを生み出している「何よりも猫を愛する一人のプロデューサーが会社の枠にとらわれず、強力な猫好きを集めたプロジェクトチーム」『チェルシーマフィン』の皆さんに、お話を伺いました!
ペットとお別れした方たちが少しでも気持ちが楽になるような物語を
──まずは皆さんの自己紹介をお願いします。このプロジェクトの中での役割と仕事の内容、そして皆さんの猫との関わりを教えていただけますか?
ゆうか
私は「ファントムベイビー」というプロジェクトのプロデューサーで、プロジェクト全体を統括している立場です。私自身、猫歴はけっこう長くて、25年以上なんですけど、今は保護猫1匹と暮らしています。
まり
私は「ファントムベイビー」のイラストとストーリーを描いています。保護猫3匹と暮らしています。もともとはいわゆる犬派で実家には常に犬がいる家庭でした。一人暮らしを始めると、たまたま周りに保護猫を放っておけない知人が多くて。「里親を探しているんだけど…」と話が来たので引き取らせていただきました。今はこどもが2人いるので、猫3匹とこども2人、全部で5匹じゃないですけど(笑)、関わり合いながらお互いに成長していく姿を見るのは面白いですね。猫との生活は12年になります。
たけし
このプロジェクトに関してはPRを担当していまして、ウェブ戦略を考えたり先日は初となるXスペースの生配信を行ったりしています。猫に関しては通算で9匹、今は6匹と暮らしています。保護猫については、シェルター(保護した猫を一時的に預かる施設)というものの存在を友人から教わって、「路頭に迷っている猫がいるから、一時的な里親だけでいいので引き取ってくれないか」と言われたのが最初ですね。それも13年ぐらい前なんですけど、そこから1匹、2匹、3匹……と増えていって、常時3~5匹いるという状況でした。保護猫をきっかけに、ペットショップの問題点であるとか、猫との関わり方とか色々なことを日々考えながら暮らしてます。
──この「ファントムベイビー」というプロジェクトが始まったきっかけというのは?
ゆうか
私は昨年までずっとアーティスト周りの仕事をしていたんですが、過去に累計8匹の猫と暮らしてきて、何匹か猫を看取るという経験もして。そのたびに悲しみのどん底に突き落とされまして、中にはたった数ヶ月で虹の橋を渡ってしまった子猫もいたんですね。毎回その悲しみから何とか立ち直りたくてたくさんの本を読んで、少しずつ立ち直っていった経験から、虹の橋を渡ってもみんなが楽しくやっているような物語があったら、少しは気持ちが楽になるんじゃないかなと思い立って、「ファントムベイビー」の制作を開始しました。
──そのスタートから今の形になるまでには、どんな経緯があったんですか?
まり
最初は、私があるイベントでクリエイターとして出展していまして、自分の好きなことを仕事にしたいという気持ちが強かったので、猫の絵をメインにした出展の仕方をしていたんですね。そこで「今、こういうプロジェクトがあるから、もしよかったら」と声をかけていただきました。
ゆうか
すごくセンスのいい絵を描いてらしたので、ぜひご一緒したいなというところから、声をかけさせていただきました。
まり
そのプロジェクトの概要を聞いて、そこに焦点を当てる物語ってなかなかないと思ったんですね。私自身、絵本を描いたり物語を描くのが好きですが、猫と暮らしたその先の部分を物語にするという発想は一切なかったので、興味を持ち、この子たちがどういう風になっていくのか知りたいなという気持ちで参加させていただきました。
ゆうか
それ以前に、そもそも私にはキャラクター事業についての知識が全くなかったので、キャラクターを立ち上げるにあたって、プロの方にお知恵をいただきたいなと思ったんです。今日の取材には来られなかったんですけど、私たち「チェルシーマフィン」のメンバーには、もう1人「けん」さんという方がいらっしゃるんですね。その方はいくつものキャラクターを長く愛されるキャラクターにしたいと育てている方で、けんさんにジョインしていただいて、「キャラクターとは」ということをいろいろ教えていただいたところからスタートしてるんです。
──なるほど。
ゆうか
最初は「チェルシーマフィン」に入っていただくという構想ではなかったんですけど、途中から「一緒にやりませんか」というお声がけをさせていただいて、一緒にジョインすることになりました。最初から関わっていたのはけんさんなんですけど、ジョインしたのは途中からという、ちょっと不思議な流れになりまして(笑)。本当にキャラクターの知識ゼロというところから始まって、ようやくここまで来たという感じですね。
──そこにたけしさんが加わるわけですか。
ゆうか
「ファントムベイビー」を世の中に広める仲間を探していた時に、奇跡的に再会しまして……。
たけし
けっこう最近でしたよね。もともと、ゆうかさんは完全に音楽業界の人で、僕もキャラクター畑では全然なく同じく音楽業界で、アーティストといろいろクリエイティブを作っていく会社を経営しているんですね。それである大物アーティストの現場で数年お仕事をご一緒していたんですけど、今年の春ぐらいに久しぶりに会ったところ、ふとした会話から「今度、猫の案件やるんですよ」という話が出て、僕も猫好きなので「内容は分かんないですけど、一緒にやりましょう」ってまず言って。その上で詳しい話を聞いたらすごく意義のある、かつユニークな視点だなと思ったんです。虹の橋の向こうの世界という、誰も扱ってなかったユニークな視点でクリエーションされていたので、面白いなと思いながら話を聞いていて、「ぜひご一緒に」と。
──内容は分からないけど、猫のことだったらやりますというところからのスタートだったんですね(笑)。
たけし
もともとゆうかさんへの信頼感が絶大だったので、最初は「今度ちょっと新しい案件があるので、ざっくばらんに話しませんか」という感じだったと思うんですけど、そこで僕もだんだん興味が出てきて。
──ではお2人はもともと、猫で繋がっていたわけではなくて……。
ゆうか
某大物アーティストで繋がってたんです(笑)。だから最初は、たけしさんがたくさんの猫ちゃんと暮らしているというのを全然知らなくて、共通の知人の方が、「実はたけしさんは、いま保護猫5匹と生活していて…」と、その他にもたけしさんの近況をとても詳しく教えてくださって…。
──では、「こういうことをしたい」というビジョンは、最初からゆうかさんの構想にある程度あったという感じなんでしょうか。
ゆうか
そうですね。「キャラクターを作る」という大枠はあったんですけど、とにかくキャラクター事業については全然知識がなくて、キャラクターを作ったらそれでおしまいなのかと思ってたんです。全然見えていなかったというか。そこからけんさんに、キャラクターを展開していくためには、こういうストーリーとかいろんなものが必要なんだということを教わって、これは壮大な一大事業なんだなと。かなり「どうしよう」となって、たくさんの壁にぶち当たりました(笑)。
──単体のキャラクターを作ればいいのかと思っていたら……と。
ゆうか
そうなんです。最初が全然甘かったもので、フタを開けてみたら大変なことでした(笑)。そこから構想を整理し始めたんですが、まずはキャラクターとして、かわいいことが絶対に必要だろうなというので、猫の種類をどうするかとか、男の子にするか女の子にするかとか、そういうところからまず固めていって。その時点では別のイラストレーターさんと話しながらだったんですけど、メインの4体を創っていったという感じでしたね。
──それがある程度できてから、まりさんにお話がいったわけですね。
ゆうか
はい。4体のだいたいのビジュアルとか性格の設定や名前とかコンセプトを全部決めた後でまりさんと出会ったので、まりさんがそこからさらに可愛らしくして、息を吹き込んでくださったという感じです。
まり
そのような経緯だったので、私としてはやりやすい面もありつつ、正直複雑なところもあって(笑)。私もイラストを描くので、「こうしたいな」という思いも出てくるんですよね。でも、自分でキャラクターを動かすというか、ストーリーをつけていくうちに、だんだんカッタくんたちが本当に生きてるように思えてきて、愛着が湧いてきました。
──現在はその4匹を中心とした4コマ漫画が公式サイトと各種SNSで展開されていますよね。
まり
4コマという形は最初のご依頼の時から決まっていたのですが、4コマ漫画を描くことは経験上初めてだったので、いろんな4コマ本を読んだりして描き方を勉強するところから始めました。中には一緒に暮らしている猫たちの動きを観察して描いている部分もあり、以前より猫と関わる時間が増えたように思います。
毎週ゆうかさんとミーティングをしているのですが、初めてのオンラインミーティングではお互いの猫を紹介しあった記憶があり、ほっこりとした時間でした。
Xのスペースでは、しょこたんをはじめとするゲスト陣の猫愛が炸裂!
──そうやって形ができてきたものを、世の中に広める役割がたけしさんということですね。
たけし
そうですね、皆さんと話しながらやってるんですけど。僕もゆうかさんも完全に音楽畑だったので、キャラクターについてはけんさんからいろいろ知見を得つつ、いろいろトライアルをしていこうと思っています。先日は猫といえば音楽業界では第一人者である中川翔子さん、猫作家として成功されているオキエイコさん、中川さんのBEAMSとのコラボブランド「mmts(マミタス)」のディレクターの廣町愛子さんをお招きして、Xのスペースをやらせていただきました。面白い布陣が揃ったかなと思いますし、そこで「ファントムベイビー」を核にしつつ、「猫愛を語る」みたいな、ある程度ユルい作りにしたんですね。
──聞かせていただきましたが、皆さんの猫愛は確かにすごかったですね。
たけし
そうなんですよ。結果的には予想よりかなり多くの方が来てくださって、リアルタイムで2000人ぐらい、通算で6500人ぐらいの方に聞いていただきました。出演者の皆さんはそれぞれのバックグラウンドとストーリーをお持ちですので、「ファントムベイビー」というものをきっかけに、保護猫のことだったり、猫と人間の関係であったりと、様々なテーマを語っていただきました。
中川さんは長いキャリアに渡ったライフワークとしての猫に関わる多くの活動をされていたり、オキさんは「もし自分が万が一の事故に遭ってしまった時、自分の家族である猫はどうするのか」というテーマでいろいろな活動をされていたり、廣町さんは中川さんと一緒にファッションというメディアを使って、猫についての啓蒙活動をされていたり。皆さん、自分の言葉で説得力のあるメッセージを、愛情を持って語ってくださったので、すごくいい感じで、第1回にして神回になりました。やはりこういうキャラクター、特に新しいキャラクターなので、どう世に広まっていくのかというのは、なかなか読みにくいところがあるんですよね。そんな中で、いろんなところでいろんなことをしている方も巻き込んで、広くメッセージを伝えていくのが基本的な方針かなと思って、面白い試みをこれからも仕掛けていこうと思っています。
──確かに、「ファントムベイビー」の話がメインなのかなと思いきや、中川さんをはじめ参加者の皆さんが涙ながらに猫への思いを語っていて、聞いてるこっちも思わずもらい泣きしてしまうような内容でしたよね。あれで「ファントムベイビー」に関わる方々の気持ちというか意気込みというか、そういうものがすごく伝わってきました。
たけし
そう受け取っていただけたら、こちらもすごく「伝わったんだな」という感じがして、うれしいです。はい。
ゆうか
中川さんが今回のように語られることってあまりなかったようでして、中川さんのファンの方からも「今まで聞いたことのない翔子さんの猫エピソードに心奪われて、興味深いお話が多かったので、またぜひ次回もやってほしいです」というお声もいただきました。
──ここまでの形になったこのプロジェクトが目指すところというのは、どういうところなんでしょうか?
ゆうか
「チェルシーマフィン」のメンバーも、保護猫ちゃんたちを飼っている強力な猫好き集団なので、「ファントムベイビー」を通して、保護猫活動のお役に立てるようなプロジェクトにしていきたいなと思っています。まずは漫画からスタートしていますが、これが浸透していくことで人の心も癒えて、1匹でも多くの猫ちゃんたちが幸せになったらいいなと。そして、その売り上げでまた保護猫活動の支援ができるところまでいけるようになりたいと思っています。
──一般公開がスタートしたのは6月6日でしたが、これには何か意味があったんですか?
ゆうか
今年はその日が大安吉日だったのと、本当に僭越なんですが、私の誕生日でありまして(笑)。
──なるほど。「6月6日に雨ザーザー」ということで、雨の後には虹が出るからかと(笑)。
ゆうか
あ、なるほど!
まり
本当は「猫の日」に始めようとしていたんですよね(笑)。
ゆうか
そうなんです。2月22日の「猫の日」にスタートできれば一番よかったんですが、プロジェクトが走り出したタイミングなどから、そこには間に合わなくて(苦笑)。来年の猫の日までは待てないということで、この日になりました。
まり
整うまでにちょっと時間がかかってしまったんですけど、始めるには区切りとして何かの記念日がいいというところで、ちょうどゆうかさんの誕生日があったので、「ここしかない」ぐらいの感じで、私はそこを推しました。
ゆうか
恐縮です(笑)。
──6月6日にスタートしてから、ここまでの反響についてはいかがですか?
まり
今まで猫について語る場所というのがなくて。「あ、猫飼ってるの? 一緒一緒!」みたいな感じで、そこまで深く話をすることはなかったんですよね。でもこの話を描いて、知り合いの方とかと猫についてお話する機会が増えました。4コマ漫画を見て、猫あるあるに共感したり、どの回が面白かったとか報告してくれたりします。
──猫好き同士の話のきっかけにもなりやすいですよね。
まり
意外と猫ちゃんと一緒に暮らしている方が多く、新たなコミュニティが出来つつあります。ファッションも猫好きなら!とmmtsの話をするとあのアイテム持ってるよ!今度着てくるね。という会話になったり。楽しいです。
ゲストキャラも登場! 今後もさまざまな展開が!
──作品のメインキャラクターとして、「ライくん」「ゴイくん」「リコちゃん」「カッタくん」の4匹が登場しますよね。
ゆうか
この4匹は虹の橋にやってきて、生きていた時によく飼い主さんから声掛けされていた言葉を、自分の名前と勘違いするというところから物語が始まるんですね。4匹はそれぞれ生まれた時代背景が違っていまして、例えば今回、「にゃかがわしょこにゃん」「サンニャイン猫崎さん」というゲストキャラクターがストーリーに出てきてるんですけど、生きていた時代的にリコちゃんとライくんは2人を知ってるけどゴイくんとカッタくんは知らなかったりとかして。時代設定が昭和から令和まで幅広い感じになっているというのが特徴的だと思います。あと彼らは歌って踊るアイドルなので、ミュージックビデオも制作しておりまして。このあと、音楽も出てくる形になっています。
──先日のスペースで生の中でも、「音源も作るらしいよ」という話はチラッと出ていましたね。
ゆうか
それも、「歌って踊るアイドル」というコンセプトが先だったもので、曲の方が先に仕上がってたんです(笑)。彼らの楽曲がいつ、どういう形でお披露目されるかというところについては、現時点では今後のお楽しみとしか言えないんですけど。
──キャラクターたちの造形や特徴づけみたいなところに関しては、どういう感じだったんでしょうか?
ゆうか
頭でっかちにしようというのは、最初から決めてました(笑)。
まり
私が参加する時点で、もう性格とかもけっこう決まっていたので、そこにちょっと肉付けしたりしていって、どうやったらこの子たちにファンがつくかなというのを、こどもを育てる感覚でお話を作っています。「この子だったらこう言うだろうな」とかイメージしながらですね。
──先ほども少し出ましたが、「にゃかがわしょこにゃん」や「サンニャイン猫崎さん」といったゲストキャラも楽しいですよね。
まり
ゲストの方を描かせていただいた時に、ゆうかさんは客観的に見てくださるのでアドバイスをいただきながら調整していきました。先日のスペースで中川さんの言葉を聞いて、より、猫ちゃんとお別れすることになってしまった方々の気持ちを考えながら、表現やニュアンスを柔らかくしなくてはという気持ちになりました。「猫崎」さんは特徴がハッキリしているので、描きやすかったですね(笑)。
ゆうか
一番最初から、猫好きと言えばという代表として中川翔子さんとサンシャイン池崎さんにご登場いただきたいなという強い気持ちがありまして、それでマネジメントさんに「ぜひご出演いただけないでしょうか」とお願いしたところ、ご快諾いただきました。その流れで中川さんには今回スペースにもご出演くださったり、SNSでも応援してくださったりして、もう奇跡のようだなと思っています。
──今後もこういったキャラクターは出てくる予定なんでしょうか?
ゆうか
そうですね。ストーリーに合う猫好きの方に、ごくたまにご出演いただけたらうれしいなと思っています。「自分も出たい」とおっしゃっていただけるような猫好きの方がいらっしゃったら、ありがたいですよね。
──楽しいストーリーが展開されていく中で、何か読者の方に対して配慮とか留意されている点というのはあるんでしょうか?
ゆうか
決して悲しいストーリーにならないようにというのが一番かなと思っています。読んでる人が悲しくなるのはよくないなと思っていて、あくまでも「ほっこり楽しい」というのがモットーです。ただこの先、ちょっと壮大な展開になるところもありますよね?
まり
そうですね。そこもお楽しみにしていただければと思います。
たけし
PRに関しては、今後いろんなストーリーが展開されていくと思うんですが、基本的にはその作品に寄り添ってやっていきたいなと思っています。あくまでテーマ的には虹の橋を渡った後の世界なんですが、でもやっぱり「ほっこり楽しく」というのを伝えていければなと思っています。
──今後の展開予定はどんな感じなんでしょうか?
ゆうか
この先のことはまだまだ言えないことも多いんですけど、来年2月ぐらいが一番アツくなってくるんじゃないかなと思います。2月22日の猫の日に合わせて盛り上げていきたいと思っているので。この子たちも虹の橋を渡ったのが、全員2月22日ですし。
──猫を含めたペットや動物のこと、特に保護猫のことなどについては、行政なども含めた問題が多々あると思います。そういった点について、要望したいことなどはありますか?
たけし
とても広いテーマですけど、保護猫の周知というところで言うと、現状、日本でペットを家族に迎える人って、70%弱ぐらいがペットショップからなんです。ペットショップの問題点について語る前に、そもそもペットショップ以外でペットを手に入れる選択肢自体を知らない人が大多数なんです。ペットショップ以外にも、ブリーダーから直で買うとか、保護猫であるとか、あとは周りのコミュニティからもらうとか、いろいろあると思うんですけど、まだその保護猫という選択肢が知られてない中で、それこそしょこたんみたいにキャッチーな存在で、キャッチーな方法論で啓蒙活動してる人というのは素晴らしいなと思っていて。エンターテインメントって、楽しく注目を集めてそこからメッセージを伝えるためには最適な手段の一つだと思っているので、漫画というコンテンツだとか、そこから巻き込んだ今後のメディアミックスだとか、何かをきっかけに入ってくれた人が、現状を知った上でその選択肢をちゃんと考えてほしいなというのが、たぶんこの3人の根底にはあると思います。
──それが「ファントムベイビー」の一つの動機、目的でもありますよね。
たけし
約7割の人が知らないという現状の中で、保護猫などに関する啓蒙活動を、行政などシステムの側からもやってほしいという思いはありますね。加えて、これもすごく難しい問題なんですが、ペットショップをはじめとした生体販売を是とするかどうするかというのは、各国で対応が違いますよね。完璧な国というのはないんですけど、例えばヨーロッパでは、ほぼ規制されてるんですよ。イギリスやアメリカは完全に禁止で、ドイツは犬はダメだけど猫はいいとか、いろいろまちまちなんですけど、いずれにしろ世界的に見ると、ペットショップでの生体販売は基本的に悪であり、動物と共存するための他の方法を社会で考えていくという合意にはなっています。
──残念ながら、その点に関しては日本は遅れていますよね。
たけし
ものすごく後進国ですね。ペットショップ以外でペットを家族に迎えるにはどうするか。別の選択肢があるという啓蒙活動であったり、生体販売に関わる問題をどう変えていくかという取り組み、歪みが生まれた際の受け皿、制度面やセーフティネット面とかを含めた整備について、行政、システム面からも改善を求めたいというのはありますよね。
──それは急務ですよね。
たけし
みんな悪気があってペットショップから買ってるんじゃなくて、他に知らないだけなんですよ。例えば売れなくなった1歳以上の子が殺されている現状なども含めて問題点が広く周知されて、システムが変わっていけばいいなと思います。
──では最後に、「ファントムベイビー」のファンの方、これから見てみようという方に、メッセージをお願いします。
ゆうか
猫ちゃんを飼われてる方たちとか、猫ちゃんとお別れされた方たちの願いが叶うような楽しいストーリー展開にしていきたいと思っていますので、ぜひXやインスタをフォローしていただいて、猫好きの方に広めていただけるとうれしいです。
まり
こどもも大人も一緒に楽しんでもらいたいです。深いテーマとは別に、ほっこりしたり、くだらないやりとりの4コマもあったりするので、1秒でもクスッと笑って元気になれたり、隣にいる猫ちゃんをより愛せるような世界を作っていきたいと思っています。
たけし
僕も同じ気持ちなんですけど、「ファントムベイビー」の、虹の橋を渡った後、楽しく暮らしている猫たちの物語をきっかけにいろんな人に入ってきてもらって、楽しいコミュニティを作っていけたらなと思っています。
※この取材には参加できなかった「けん」さんからもメッセージをいただきました。
けん
日本だけでなく、世界の猫好きが応援してくれるコンテンツを目指していきたいと思っています。キャラクターのかわいさとともに、プロデューサーの想いを読んだ上で見ていただくと、また視点が変わってくるとてもいい作品なので、ぜひその想いとともに読んでください
──今後の展開も楽しみです。ありがとうございました!
ファントムベイビーとは
何よりも猫を愛する一人のプロデューサーが会社の枠にとらわれず、
強力な猫好きを集めたプロジェクトチーム「チェルシーマフィン」により生み出された物語。
たくさんの癒しと愛情をくれたペットを亡くし、
深い悲しみの中にいる方々の心に
何か一つでも温かいものが残せるようなそんなお話を創りたい。
長く幸せな時間があったはずなのに
思い出すのは介護と看取りの悲しい記憶。
安心してください、
あなたの猫ちゃんは今は病気や苦しみから解放され、悲しみや喧嘩もなく楽しくやっていますよ。
そんなメッセージが込められた『見た目も中身も頭でっかち』な猫たちが
虹の橋の袂で繰り広げる笑いあり哀愁ありの人(ニャン)生劇場。
飼い主みんなの願い
「ウチの子も虹の橋の袂でこんなに元気で楽しくしていてくれたらいいな」
「毛皮を着替えてまた私のところに戻ってきてほしいな」
「私が迎えに行く時には待っていてほしいな」
を叶えるそんなほっこり楽しい物語の始まりです。
【ファントムベイビー 公式サイト】
https://phantombaby.jp/
【ファントムベイビー X】
https://x.com/phantombaby0606
【ファントムベイビー Instagram】
https://www.instagram.com/phantombaby_0606/
【ファントムベイビー TikTok】
https://www.tiktok.com/@phantombaby0606
【ファントムベイビー YouTube】
https://www.youtube.com/@phantombaby0606
ライター
高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。