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RAGE 2018 Winter

【11/23開催!】RAGEの関係者にeスポーツとは?から『RAGE 2018 Winter』の楽しみ方を聞いてきた

2018.11.21
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話題
eスポーツ
最近、特に耳にする機会が多くなった「eスポーツ」という言葉。「よく聞くけど、一体何なの? TVゲームじゃないの?」という方も、まだまだ多いかもしれません。ですが「eスポーツ」はもはや世界的な現象となりつつあって、日本でも最大級のイベント『RAGE 2018 Winter』が明後日、11月23日(金・祝)に千葉・幕張メッセで開催されます。そこで! 大会の関係者に集まっていただいて、「そもそもeスポーツって何なの?」というところから、『RAGE 2018 Winter』の見どころまでを語っていただきました!


そもそもeスポーツって、“スポーツ”なの?

──まずはお一人ずつ、eスポーツ、そして『RAGE』との関わり方についてご説明いただけますか?



大友 株式会社CyberZの大友真吾と申します。現在は『RAGE』のプロデューサーとして、2015年末の『RAGE』立ち上げ以来、eスポーツに関わらせていただいています。
 


平岩 株式会社オデッセイの平岩康佑と申します。7年間、朝日放送でアナウンサーとして活動し、今年退社してeスポーツ専門のキャスターになりました。オデッセイという会社を設立してアナウンサーを集め、eスポーツ・キャスターのマネージメント事業を軸として運営しています。今春の『RAGE 2018 Spring』からは『RAGE』でも実況させていただいています。僕は初めてeスポーツの実況をしたのは『RAGE』の舞台だったので、そこからキャリアをスタートしたと思っています。
 
──eスポーツ専門キャスターというのは、平岩さんが日本で第1号ですか?
 
平岩 そうですね。もともとアナウンサーという、しゃべりのプロとして始めたというのは日本で初めてです。
 


坂本 エイベックス・エンタテインメント株式会社イベント事業グループ・ゼネラルマネージャーの坂本茂義です。僕は会社の新しいエンタテインメント・ビジネス事業の責任者として、『RAGE』に携わらせていただいています。
 
──近年、「eスポーツ」という言葉を聞く機会が増えてきて、「それは一体何?」と思っている人も多いかと思います。関わられている中で説明するとなると、いかがでしょう?
 
大友 一般的に言われているところでは、PCゲーム・コンシューマーゲーム・モバイルゲームなどのコンピューターゲームを用いて対戦する競技を総称してeスポーツと呼ばれると思うんですが、僕らの定義としては対戦するプレイヤーもそうですし、観戦するというシーンも含めて、「eスポーツ」としてとらえています。
 
坂本 僕らから見ると、エンタテインメントとしての新しい領域というか。スポーツ・エンタテインメントというのは古くからの歴史があって、いろんな立場や役回りの人たちがいて、今は事業として成り立っていますよね。プロ野球にしても大相撲にしても。その中で僕らとしては、今からでも参入できるスポーツ領域として非常に魅力的なのかなととらえていますね。
 
平岩 この1年で本当にeスポーツ自体が日本で盛り上がってきました。
ゲームをする人をファンの母数と考えると、いつの日かは分からないですが、日本のプロ野球よりも大きい興行になるんじゃないかと思っています。
 
──「これは“スポーツ”なのか?」という声も根強くあると思うんですが。
 
大友 一括りに「スポーツ」と括ると、おっしゃる通り、フィジカルな野球やサッカーなどと比べたらギャップがある部分も多いとは思います。とはいえ、僕もeスポーツを初めて観戦したときには、本当にスポーツ観戦と変わらない熱気や歓声の出方も含めて、率直に「ああ、eスポーツと言われる由縁が分かった」と思ったぐらいなんですよ。ですから僕は、「スポーツ」と言ってもいいんじゃないかなと思っています。



平岩 その人たちにとっての「スポーツ」の定義が、野球やサッカーといったフィジカルを存分に生かした体と体のぶつかり合いをイメージしているならば、そうではないかもしれないですが……。例えば、これはあくまで個人的な考えなんですが、射撃もどうなんだということになりませんか? 射撃も極端に言えば、動かしているのは人差し指だけで、前述のスポーツの定義とは大きく離れている気がします。僕は、eスポーツが盛り上がれば、それが「スポーツ」として認められようがそうでなかろうが、どちらでもいいと思っています。
 
──なるほど。
 
平岩 だいたい、「それ、スポーツじゃないでしょ」と言う人は、ゲームをちゃんとやったことがない人、eスポーツをちゃんと見たことがない人が多いんですよね。最初はそういう反応もあるとは思うんですけど、だんだんとマイノリティ的な見方になってくるだろうなとは思ってますね。
 
坂本 既存のスポーツイベントはベンチマーク(指標、目標)という形でとらえていて、それは別に「スポーツ」という一つのカテゴリーでとらえているつもりでもないんですね。おそらく「eスポーツ」という言葉は、すごく熟考して「これだったらマーケットに浸透するよね」ということで生み出されたものなんじゃないかなと思っていて、それが僕の中でのeスポーツの概念なので。先ほど、大友さんから「フィジカルなものでなくてもいいんじゃないの」という言葉が出ましたが、僕らとしてはある意味、観客に向けては「スポーツに参加している」という方向での見せ方もできるでしょうし、そういう上っ面というか体裁的なところでとらえているというか(笑)。


「何だか派手でカッコいい」。それが『RAGE』!


(RAGE 2018 Autumnより)

──そのeスポーツのいち大会として『RAGE』というものが存在するわけですが、初めて見に行った人でも楽しめるものでしょうか?
 
大友 もちろん、そのゲームをやったことがあったり、経験がある方がより楽しめるだろうとは思いますが、僕が初めて観戦に行った当時はゲームの知識がほぼゼロでしたが、見ているうちに何となく分かってくるというか(笑)。あとはどんなスポーツでも同じだと思うんですが、みんなと一緒になってワーッと盛り上がってると、何か楽しいですよね。そういうことが楽しめる人ならば、新しいエンタテインメントとしては楽しめるだろうなとは思います。当然、僕らもイベントとして、単純に競技を見せるだけではなくて、そこで戦う選手たちのバックグラウンドを中心に1試合1試合に映像を作っています。例えるとすると、昔で言うK-1やPRIDEのアオリ映像みたいなものです。これを私たちは毎回用意しているので、そういうのを見ながら、「あ、この選手はこういう特徴があるんだ」とかキャラクターに惹かれて見るという楽しみ方もできると思うので、初めてでも、楽しさは見つけられるんじゃないかと思います。
 
平岩 僕は、大会によってどういう人が見ているのかとか、ディレクターがどういう人たちをターゲットにしているのかというのは、毎回聞くようにしているんですが、『RAGE』の場合はより、eスポーツの入口になるような、間口が広いところを目指してますよね。だから、コアなファンなら分かりきってるというようなことでも配信中には言います。今もeスポーツ・イベントの中では、『RAGE』は初めての人でも楽しみやすいイベントだとは思うんですが、最終的にはもっともっと楽しめるイベントにしたいと思っていて、結局そうならないと、友達や知り合いを誘いづらいんですよね。
 
坂本 ああ、それはそうだね。
 
平岩 「今日、野球を見に行こうよ」って言ったら、だいたいのイメージが湧くじゃないですか。「eスポーツのイベントに行こうよ」って言った時に、誘う方も「この人、楽しめるかな?」と思うのもイヤですし、そのぐらい間口の広いものにするのが最終的な目標かなと。でも野球だって、仕事帰りに見に来ている女の子も、メチャクチャ詳細にルールを分かっているわけじゃないですよね? インフィールドフライとか分からないわけですよ。でも彼女たちは全然楽しめてるんです。それは男性も同じなんですよ。でもホームラン打ったら立ち上がってワーッと盛り上がるし、応援歌もあってビールも飲めて、おいしい料理も出てきて何となくみんなが楽しいっていうのが今のプロ野球の姿だと思いますし。サッカーもワールドカップで盛り上がったりするじゃないですか。そういうところで、全然ゲームをしない子でも誘えるというのが一つの目標だと思いますね。
 


坂本 僕らが思ってるのもそこですよね。一般のマーケットにどれだけ浸透させられるかというのが、僕らエイベックスが加わってる意義かなというのをすごく意識していて。スポーツのルールが分からないと楽しめないというのも、現実的に見るとやっぱり一理あるんですよ。僕は大友さんと反対で、初めて見た時にゲームが全く分からなくて(笑)。「何やってんのかな~?」みたいな(笑)。「これって、ゲームに興味のないお客さんを巻き込めるのかな?」と思って、その点ではまだまだ足りてないところはあると思うんですよ。でも一般のメディアにも取り上げていただいて、ようやく広がってきたら次のアクションにも展開できるのかなと。リアル・エンタテインメントでは「シェアできる」ということがすごく大事で、喜びを分かち合ったりとか、スター選手の存在とか。そういうのが生まれてくると、より加速していくだろうなと思うので、僕は今、それを頑張って作っているところですね。
 
平岩 スポーツ観戦で一番大事なのって、まず勝敗なんですよね。勝つか負けるか。勝ちそうか負けそうか、負けてる方は何があったら逆転できるのか。もう一つは、自分の応援している選手が活躍すること。チームは負けても応援している選手が5打数4安打だったら、何となく気持ちよく帰れるじゃないですか。その2点は分かりやすく伝えたいなっていうのはありますよね。
 
──そういった部分を、演出でいかに際立たせるかというのが、『RAGE』というイベントとしての大事な部分になりますよね。
 
大友 そうですね。まさにeスポーツを文化として一般層に認知拡大させるという点が、タッグを組ませてもらっているエイベックスさんにすごく期待しているところで、逆に僕らに足りない部分だなというのがあったので。『RAGE』は、「派手で何かカッコいい」というのが一番の個性なんですよ。
 
一同 ハハハハ!
 
大友 僕が「eスポーツの大会」から最初に受けた印象は、やっぱりちょっと内向的で、ゲーセンとかで開かれてるアンダーグラウンドなものということだったんです。そんな中で、ゲームをしている子たちが「あの舞台に立ちたいな」と憧れるような、カッコいい舞台にしたいという思いがあったんです。そこは『RAGE』の最初から、ものすごく意識してやってますね。



坂本 この業界ではもともとたくさんのゲーム大会が開かれていたんですが、CyberZさんのやっていることを見させていただいた時に「こことだったら組みたいな」と思ったんですね。それは、選手をいかに輝かせるかというのをすごく意識して作られていたんです。僕らもそこはすごくアグリーで、ゲームメーカーじゃない立場で何ができるかと考えた時に、このeスポーツ業界の中で圧倒的なプラットフォーマーになろうよというのがあって。「アジアNo.1のeスポーツ・プラットフォーム!」みたいな。オンラインではいろいろと展開されていたんですが、今後はオフラインでやってるイベントに関しても、もっとすげえことをやっていかないとね、と。そこを目指しているので、大友さんの言った「派手でカッコいい」というのは、本当にキラーワードじゃないですかね。

 
eスポーツのNo.1プラットフォームに!

──『RAGE 2018 Winter』が目前に迫っていますが、来場者が“予習”のために見ておいた方がいいものなど、ありますか?
 
大友 先日、『RAGE』の直前特番『RAGE 2018 Winter 直前特番!しっかりと予習して本番にのぞむんだSP!』をAbemaTVさんとOPENREC.tvさんでやらせていただきまして(https://rage-esports.jp/2018winter/news/tokuban1116)、今もアーカイブ動画として見ることができるので、それを見ていただくのが一番手っ取り早いかと思います。



坂本 あとは会場内に体験ブースがあるので、現地で触っていただくのがいいんじゃないですかね? 予習って、やっぱりした方がいいんですかね?
 
平岩 ある程度はしておいた方が楽しめると思いますよ。
 
坂本 僕はもともと、ホントにゲームが全然ダメだったんですよ。それがeスポーツに関わるようになって、最初は「別世界のことなのかな?」と思ってたんですけど、ある時ゲームに触れてみたら、やっぱり面白くて。だいたいFPS(※ファーストパーソン・シューティングゲーム=主観視点のシューティングゲームの総称)だと30秒から1分ぐらいでGAME OVERになっちゃうんですよ(笑)。それでも面白いんですよ。触れてると競技性というか、ニュアンスが分かるというか。選手たちがどれだけすごいかも分かりますしね。だからちょっと触れるだけでもだいぶ違うと思います。

平岩 ああ、それはすごくありますね。自分でやってみて初めて、「あの選手たちのプレイって、こんなにすごいことだったんだ!」と思うという。
 
坂本 あと、ゲーミングPCの重要性もメチャクチャ分かりました(笑)。最初は「そんなの必要なの?」と思ってたんですが、コンマ何秒でどれだけ入力できるかっていう世界でやってるということは、ウチで無線回線でやってるようじゃ太刀打ちできないなと(笑)。
 
──さて、海外でも新たに大きな大会の開催発表が相次いでいたりと、eスポーツは世界的にもさらに大きな動きになってきています。その中で『RAGE』の将来とは?
 
坂本 確かに海外での動きも出てきてるんですが、『RAGE』もそこに負けないように、No.1のプラットフォームとして……イベントだけじゃなくて、僕らが主体としておくべきオンラインのリーグも含めてNo.1を目指していくということしか考えてないので。



大友 ホントにこの1年で、参入する企業がメチャクチャ増えたなという印象ですね。海外では「プロスポーツチームがeスポーツに参入」というニュースは2~3年前から出てたんですが、ようやく日本でも増えてきました。あとは、一見ゲームとはほど遠い有名企業さんが、「協賛から始めてみよう」という感じで、何かしらeスポーツに関わっていこうという風潮が出てきたなというのがこの1年でした。現在、『RAGE』としては、プロリーグも今年から着手していますし、そこにつながる『RAGE』という国内最大級のイベントもあります。「日本でeスポーツ見るなら、まずは『RAGE』」というような状況にしていきたいなと思ってます。そこからアジアとか海外を視野に入れて、海外でもビジネスにできるようなプラットフォームにしていきたいですね。
 
坂本 実際、日本から1時間以内の時差にいる人口って46億人いるんですよね。日本国内だけだと1億人ちょっとなのに、アジアに目を広げれば46億人を巻き込むことができるって、ヤバくないですかと。それってeスポーツにしかできないことじゃないかと思っていて、そうなると目指すべきところはすごく壮大ですよね。また、子供たちが将来、「eスポーツの選手になりたい!」と思えるような土壌を作ることもすごく重要でしょうし。
 

『RAGE 2018 Winter』、ココに注目!

──では最後に、明後日の『RAGE 2018 Winter』ではココに注目!というポイントをそれぞれお願いします。
 
大友 今回、扱うのは3タイトルあります。


まず『Shadowverse』。今回は8800人の頂点を決めるということに加え、年末に控えた賞金約1億円の世界大会の、最後の2枠が決まるという、『Shadowverse』としても『RAGE』としても大きな大会です。高校生で2回連続ベスト8に残っているという前代未聞の選手もいるので、注目ですね。


それから、『RAGE』としては初めて『リーグ・オブ・レジェンド』のイベントも行います。そこには韓国から、世界的に有名なFaker選手とBang選手の2名が来日してユーザー参加型イベントも行われます。


それから、『ストリートファイターV』。これは来年からカプコンさんと一緒におこなうリーグにつながる大会で、その中で勝ち上がると来年のリーグに参加できるので、次につながるイベントになっています。なのでまずここを見て、そこから継続的に来ていただけるといいのかなと思います。
 
平岩 僕は当日、『Shadowverse』を実況するので、僕の実況を通してeスポーツに懸けている選手たちの姿、頑張りを見ていただければ。大友さんもおっしゃっていたように16歳の高校生が1億円を獲る可能性もあるし、日本で行われる大会としては初めての1億円プレイヤーが出るわけなので、そこはすごく楽しみに見ていただきたいですね。本当に彼らは全てを懸けていて、僕も実況としてできることはすべてしますので、ぜひ見に来ていただきたいですね。シャイにならずに立ち上がって歓声を挙げてくれれば、僕らとしてもそんなにうれしいことはないので、ぜひ当日は会場にお越しください。
 
坂本 ……もう、お2人の言葉で全てじゃないですか(笑)。デ〇ズニーランドに行くついでに来ていただければ(笑)。
 
平岩 京葉線にもうちょっとだけ乗って(笑)。
 
坂本 そんな感じで、そんなに構えずに来ていただければいいんじゃないですかね。
 
平岩 あ! 最後にこれだけは言っておきたいんですけど、Faker選手は本当にすごいんですよ! サッカーで言ったら、メッシとクリスチアーノ・ロナウドを足して2で割らない(笑)、ぐらいの存在なんです。彼を見るだけでも、来場する価値はあると思います!
 
──それは楽しみです。ありがとうございました!


RAGE 2018 Winter
https://rage-esports.jp/2018winter/
 
開催日    2018年11月23日(金・祝)
開場 / 開演 / 終演             9:00 / 9:30 / 20:30
会場        幕張メッセ 3ホール(千葉県千葉市美浜区中瀬2丁目1)
入場料    無料
自由席    無料
有料エリア             「RAGE League of Legends SUMMONER's FEVER」エリア
前売入場チケット:¥3,000
当日入場チケット:¥4,000
主催        株式会社CyberZ
エイベックス・エンタテインメント株式会社
協賛        シャープ株式会社
株式会社フォーシーズ
協力        日本エイサー株式会社
テックウインド株式会社
G-Tune
株式会社ファミリーマート
Razer
特別協力  株式会社サイバーエージェント
撮影 長谷 英史
高崎計三
WRITTEN BY高崎計三
1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。

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