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【Natural Lag】これから20年、30年とやっていけるバンドにしたい

Natural Lag

【Natural Lag】これから20年、30年とやっていけるバンドにしたい

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1月26日、ニューミニアルバム『Natural Awake』をリリースするNatural Lag。Da-iCEの花村想太をボーカルに、4人のメンバーからなるバンドの約2年ぶりのミニアルバムです。「花村想太のソロ」ではなく、あくまでバンドという形態にこだわった理由とは? そしてミニアルバムの話からも伝わってくる、メンバー間の信頼関係とは?

今作はメンバー全員で表現しているので、かなりパワーアップしています。

──まずは「avex portal」初登場ということで、バンド結成の経緯とバンド名の由来について伺えますか?
 
花村想太(Vo.) Da-iCEのメンバーがソロ活動をするようになって、自分自身もソロで活動することになったんですけど、どう想像しても、一人で活動するというのは難しいなというのが、一番最初にきてしまっていたんですね。なので、仲間がほしいなというところからバンドを結成しました。その中で、「Natural Lag」というバンド名は僕が考えたんですけど、人とナチュラルにズレ(ラグ)が生じることってすごくあるなと思って。そのズレが功を奏することもあれば、マイナスになることもあるんですけど、ただ、人を好きになるタイミングとか人を嫌いになるタイミングって、絶対にナチュラルなラグが生まれてる時だよなあと思って、それを音楽で表現したいということで、これに決めました。
 
──メンバーはどのように決まったんでしょうか。
 
花村 当時、僕が信頼していたスタッフさんに「バンドをやりたいです」とお願いして、そこからその人が見つけてきてくださった方たちです。「どんな人がいい?」と聞かれて、僕は「仲間感があれば何でもいい」って言ったんですけど(笑)、結局は「顔がよくてプレイがうまい人」という前提で見つけてくれました。
 
アベノブユキ(Ba.) ありがとうございます!(笑)
 
──その話が来た時、どう思いましたか?
 

福田智樹(Gt.) すごくうれしかったです。声をかけてくださった時は「僕にですか? ぜひ!」という感じで。その時に、すでにバンドをやっているとか、どこかに所属しているということがなかったので、二つ返事ですぐに「やります!」という感じでした。
 

アベ 僕も率直に、うれしかったですね。ベースなのもあって、基本的に「呼んでもらって、そこで弾いて、喜んでもらう」というのがすごく好きなんですけど、バンドとなると、決まったメンバーで楽曲を詰めていくとか、ライブをやっていくという深い作業になっていくので、それができるのはうれしいし、やりがいがあるな、と思いました。
 

Louis(Dr.) 声がかかる以前は、スタジオミュージシャンとかサポート業をメインにやっていて、言われたことを100%こなさなければいけないという仕事ばかりだったんですね。だからあまり自分というのが出せなくて。でも30代あたりで、もっと自分を出せる場所がほしいなと思っていたタイミングで、声をかけていただいたんです。「これはもう、そういうことだな」とじぶんのなかでいろいろつながって、僕も即決でした。新しいことにチャレンジできるというワクワク感を感じたのを、すごく覚えています。
 
──花村さんはDa-iCEという「グループ」に所属されていますが、やっぱり「バンド」とは違うものですか?
 

花村 そうですね、全然違います。結成当時の自分は、バンドというのはもっともっとパーソナルなことを伝えられる場なのかなという捉え方をしていて。「この楽曲はこう聴いてほしい」とか「この楽曲はこういう意味なんだ」というのを、Da-iCEのメンバーがいる中で言うのは野暮というか、一人一人が違う表現の仕方をしている可能性があるじゃないですか。例えば僕が書いた歌詞でも、雄大君はそうは思ってないかもしれないし、そういう中で曲を語るのって、すごく難しかったんです。当時は、曲を作って歌うのは僕一人だと思ってたので、その中で一緒に表現してくれる仲間ができたらいいな、同じ気持ちで曲を作り上げるメンバーが、バンドという形になればいいなと思っていて。ライブでもっと語れたりとか、曲に対する熱い想いをもっと言えるような場所ができたらいいなという意味で、最初は組みました。
でも、みんなが言っていたように、メンバーはすごく控え目にしてくれるんですよ。オンラインライブの時も、けっこう控えてくれているんだろうなと思って見ていたんですけど、今回ツアーをやっていくにあたって、ぜひ、もっと前に出てアピールしてほしいなと思います。
 
──なるほど。
 
花村 「グループ感」って、引いて作るよりも、出して作る方が絶対カッコいいと思うんですよ。ステージ上では「おお、アイツ目立ってんな! じゃあ俺も!」ってなっていけたらなと思っていて、場面場面で「ここはこの人が主役だよね」というのを意識してやっていけたら、めっちゃカッコいいバンドになる気がしてるんですよ。そういうところでツアーに向けてワクワクしてますね。
 
──ともすれば、「花村想太とメンバー3人」みたいな見られ方をしてしまうかもしれないですけど、そうではないということですよね。
 
花村 そうです、そうです。ホントに初期、1枚目のミニアルバムを出した時は、僕が一人で作った曲をアレンジャーさんにアレンジしてもらったり、1曲はメンバーにアレンジしてもらったりもしたんですけど、僕がやりたいことを、100%僕がやりたいようにしてくれてたんです。でも今回のアルバムからはそのやり方をやめて、もっともっとメンバーと話して、なるべく全員の意見を取り入れるということを意識しました。僕一人でしか表現してなかったNatural Lagが、本当にメンバー全員で表現しているNatural Lagになっているので、かなりパワーアップしてると思います。それを経た上でのツアーは、ちょっとビックリするんじゃないかというぐらい、テンションが上がりそうな気がします。
 
 
メンバーが感じている「バンド感」とは?
 

──ただ、パーマネントなバンドともちょっと違いますよね。活動にブランクもありましたし。
 
花村 僕もDa-iCEをやっていたり、UPSTARTというユニットを始めたり、ミュージカルもやったりしている中で、Natural Lagに時間を割くことができなかった、なかなかそこにたどり着かなかったんですね。でも、皆さんはNatural Lagも企画の一つとして捉えている可能性があるなと思ってるんですけど、僕はこのバンドこそ、これから20年、30年とやっていけるバンドにしたいなと思ってるんです。それこそ、僕のナチュラルな音楽活動の根底になり得るバンドだと思っていて。逆にいうとUPSTARTはもっとエンターテインメントな企画性が強い感じがするんですけど、そことは若干違っていて、Da-iCEの結成当初に近いものを感じてるんです。
 
──おお、そうですか!

花村 Da-iCEの結成当初もメチャクチャみんなが意見を出し合っていたというわけではなくて、その中から俺が俺がと出てきた感じが、似てると思うんですよね。ここから作り上げていくバンド感というものを楽しみにしています。

福田 バンドを始めて、「ここから!」というタイミングで残念ながらコロナ禍になってしまったこともあったので、「本来だったらきっとこういうことができただろうな」というような、最初の初々しさの中でできただろうと思うこともたくさんあったんですよね。でも、逆に今の状況の中で、デビューしてからの2年で僕らなりにやってきた連係の仕方なんかも、いい意味で次のツアーに生かせそうな感じもしていて。本当はもっとやりたいこともあるんですけど、ご時世的に許されないこともありますからね。逆に、ここから先にそういうのがたくさん待ってると思うと、楽しみで仕方ないですね。
 

アベ 「バンド感」というところでいくと、僕はもともと、それがちょっと狂ってるかもなというところがあるんです。バンドって、「一つじゃなきゃいけない」みたいな価値観が、90年代とか2000年代の初頭にはあったと思うんです。でも、Natural Lagの何がよかったかって、Da-iCEがあったりUPSTARTがあったりとか、(福田、Louisの)2人は制作の仕事があったりとか、他にちゃんと柱がある中でやるということが、けっこう大事だと思っていて。僕も実際、他でバンドをやったり、サポートをやったりというのもあるんですけど、その中でやるNatural Lagって、各々がアンテナを広く張った状態で抽出した技術だったり音楽性だったりを持ち寄ってやれるので、すごく贅沢なんですよ。なので、僕はバンドをいくつ持っていても、他に仕事があっても全然いいと思っているタイプなんです。狂っていると言ったのはそういう話なんですけど(笑)。
 
──ああ、なるほど。
 
アベ 誘っていただいたタイミングとかもあって、「この年齢からやるちょっと特殊な環境のバンド」という感じだし、みんな人間ができているので(笑)、ここから10年、20年やっていける要素というのは、実際もう揃ってるんじゃないかとは思ってます。そこが実際、本当にいいところだと思います。今はやっていく楽しみのほうが多いと思います。
 
Louis みんなが今言ったように、それぞれの畑がある上での新人バンドなんですけど、ただ、10代とかではないから、ある程度のタイムリミットとかを意識した方がいいかなと個人的には思っているので、寄り道してる時間はないと思うんですよね。だからバンドとして最短で、バッと上り詰めたくて。それはたぶん、みんな共通して思っていることなんですけどね。ただ、始まったのが「Da-iCEの花村想太を中心にして集まったバンドメンバー」なのは確かなので、その関係性はどうにもできないと思うんです。普通に、高校の同級生が集まって組んだバンドとは違いますから。
 
──確かにそうですね。


 
Louis Da-iCEがより世の中に知られるようになってきて、その中でやっていくプロジェクトという環境の中で、最短のルートを行くために、今あるものは全部使おうと思ってるんです。「Da-iCEの花村想太」とか、それぞれが今まで培った制作の技術とかをフルで集めて進まないといけないだろうし、そのポテンシャルがこのバンドにはあると思っていて。ちょっと普通じゃないんですよ。でもそれはみんな分かっていることでもあるんですね。だからこそできることもあるし、前例がなくて雑草だらけだから、自分たちで道を作っていかないといけないし。その厳しさもあるんですけど、それができる技術もポテンシャルもあるので、やっぱり楽しみがすごく勝ってますね。これからこうなっていくんだというイメージもできるし、世間が持っている「Da-iCEの花村想太のバンドだよね」というイメージをどう裏切っていけるかというのがテーマでもあるんです。それが次のツアーでできれば、一つバンドとしての答えが見つかるんじゃないかと思ってます。

──音源を聴かせていただいて思ったのは、自分のバンドのボーカルに“この声”の持ち主がいるって、すごいことなんじゃないかということでした。それこそ大学の軽音部でバンドを組んで、この声が見つかったら、「やったー!」という感じなんじゃないかと(笑)。そのあたり、皆さんはどう感じていますか?
 
Louis 最強ですよね(笑)。
 

福田 全く同感です(笑)。“最強”がフロントにいる安心感というのが自分たちの自信にもつながりますし、僕も若い頃からいろいろバンドをやってたんですけど、どうしても観客の目が行くのはフロントなんですよ。なので、一番のフロントのクオリティーというのが、どうしても影響力が強すぎちゃって。そういう意味では幸せモード過ぎますよね。
 
アベ 遠慮しなくていいなっていうのがありますよね。フロントにこれだけドシッと強い人がいてくれると、こっちが遠慮せずにやっても、パフォーマンスが成立するなと。
 
Louis 確かに。“つおい”もんね(笑)。
 
アベ 立ち位置的にちょっと前に行こうが、全然大丈夫だろうなっていう。だから本当にライブがやりたいですね(笑)。
 
Louis よりバンド感があればあるほど、フロントの持つパワーもプッシュされると思うんですよね。だから、このすごいフロントマンのパワーをどれだけ生かせるかというのを、バンドとしては意識してます。
 
──一方でそのフロントマンからの、バンドへの信頼はいかがですか?
 
花村 信頼はすごくありますよ。普通だと、バンドを組んだ当初って、演奏がまとまらないらしいんですよ。でもウチはみんな超ベテランの超凄腕なので、やっぱり安心して歌えますよね。リズムが狂うこともないし、失敗することもないし。普通はこんなことないらしいと、周りからメチャクチャ聞くので、それでなおさら思いますね。「え、10年ぐらいやってた?」みたいな阿吽の呼吸ができるし、回を重ねるごとにアイコンタクトも増えていってるので、このツアーを通してもっとそれが進んでいくと思います。そしてお客さんとシンパシーを感じる場面がもっと増えれば、バンドとしてもっともっとよくなっていくと思いますね。
 
──そこは楽しみですよね。
 
花村 それと、僕はフリースタイルの動きをずっとやってきたわけじゃないので、もっと動きをカッコよく見せるためにいろんなレッスンとかもしてるんですね。そういう成果も出たらいいなと思ってます。
 
──それこそ、同じ「動きながら歌う」にしても、Da-iCEでやるのとは全然違うわけですよね。
 
花村 全然違いますね。だからNatural Lag用のダンスの先生を新しく紹介してもらって、ファンクの動きだったりを教わっています。ちょっとした仕草でカッコよくなるような、それこそちょっと肩を上げるだけでカッコよく見えるような動きとかを練習してます。Da-iCEでそんなことやってたら「オイ、早よ動けよ!」ってなりますから(笑)。

メンバーそれぞれが、他のメンバーを紹介!

──ではここで、お一人ずつ他のメンバーの誰かを選んで、紹介していただけますか?
 
Louis 僕はアベさんを紹介すると……メチャメチャ癒やし系ですね。みんな大人で優しいんですけど、我は強いんですよ。ただ、それをいい意味で、我がある状態でまとめてくれているのがアベさんなんです。そうやってまとまってる4人が、本当にバランスがいいなと感じることがよくあります。
 
花村 プレイはどんな感じなんですか?
 
Louis メッチャうまいんですよ! ……って、言ってることが小学生みたいだな(笑)。いやでも本当にうまくて、多少はトチったとしても、全然ブレないので、曲が安定して聞こえるんですよね。ベースって、あんまり音楽をやってない人にはけっこう分かりづらいんですけど、やっている人間からすると本当にドシッといてくれるので、すごく信頼できるプレイヤーだなと毎回思いますね。

アベ ありがとうございます!(笑)
 
Louis あと、レコーディングが速いです。音がいいし、声もいいし、本当にいいとこばっかりです。コワモテなんですけど(笑)。
 
花村 コワモテなんですよね。
 
Louis コワモテですけど、空気清浄機みたいな、常にマイナスイオンを発しているベーシストです。
 
花村 ウチの空気清浄機ですね。
 
アベ 顔が怖いって、母親にも言われるんですよ。「お前の子だぞ!」って(笑)。
 
──(笑)。ありがとうございます。次はアベさんから。
 
アベ じゃあ僕は(福田)智くんを。みんな芸達者なんですけど、彼は特に、ギター以外のことも何でもできるんです。制作やったりアレンジをやったりもあるんですけど、動画の収録がある時に、自分で収録用の機材を持ち込んで、PCをいじっていろいろやったりとか。そういう裏方さんみたいなことまで、ひと通りできるんです。一人雇っておけば、だいたい何でもできるみたいな(笑)。
 
Louis マルチですよね。
 
花村 ラッキーやなあ~!(笑)
 
アベ エレキも弾けるしアコギも弾けるし、マイクとかも自分で持ってるんですよ。ホントにお得です!
 
花村 いちバンドに一台!
 
──そういう方がいると、やりたいことの幅も増えますよね。制約もなくなるでしょうし。
 
花村 ウチ、制約はないですね、本当に。「こういうのが作りたいです」って言ったら、1週間ぐらいでトラックが上がってくるんで(笑)。

福田 では、僕は想太くんを。これはいつも言ってるんですけど、すごく丁寧な方ですね。僕らのこともすごく気を使ってくれるし、ちゃんとタイミングを見てベストなことを言ってくれるんですよ。Natural Lagっていうのは想太くんのパーソナルな面を出していく場なので、想太くんのちょっと弱いところとか、「あれはちょっとイヤなんだよな」ということも、僕らにも隠さずに言ってくれるんです。キレイなところばかり見てると、人って分からないと思うんですけど、そういう部分もちゃんと見せてくれるので、僕らとしてはすごくうれしいです。最初に出会った時は「Da-iCEの花村想太」として会ったから「おお~」という感じだったんですけど、今、一緒にやる機会がどんどん増えている中で、パーソナルなところを出してくれるところがすごいなって思いますね。あとは、締めたい時にちゃんと締めてくれるというか。
 
──どんな時ですか?
 
福田 作業が進むと、僕はけっこうディテールの部分に気が行っちゃって、そこしか見えなくなるんですね。そういう時に想太くんは全体をちゃんと見てくれていて、優しく見守ってくれるというか。そういうところが素晴らしいですね。
 
──では花村さん、お願いします。
 
花村 Louisくんですね。僕はたぶん、去年Louisくんと一番曲作りをしたんですけど、智くんとやる曲も多いんですけど、Louisくんとやる曲もいっぱいあったんですね。その中で、すごく速くてクォリティーが高いんです。あと、ムチャ振りをいっぱいしちゃうんです。今も3件ぐらいむちゃぶりしてるのがあって。
 
アベ ムチャ振り3件は多いですね(笑)。
 
花村 僕も一緒にムチャしてるんですよ。制作の方に全てを任せることってなかなかできないじゃないですか。制作の方が集めた曲がもう一つしっくりこないとなると、2人でとか3人で曲を作ることになったりするんですけど、その時に、的確でかつ作業が速くて。僕が作ったトップラインに対する変更もメチャクチャ速くて、一度変更して戻してもらったら、ほぼそのまま行ける時がほとんどなんですよ。送られてきたメロだけ聴いてるとピンと来なくても、歌ってみたら一瞬で理解できるぐらい分かりやすい楽曲に変わるんです。トップラインは一人で作ることが多かったんですけど、今は「Louisくんと作った方がいいや」と思えるし、一緒にいると自分も成長できているのがよく分かります。
 
──いいことですね。
 
花村 僕らのリーダーなので。でも、メッチャ天然です。たまに、返事が5秒ぐらい遅れて、「なるほど~」って言う時があるんですよ。もしかしたら本人はブラジルにいて、ここで見えてるのは3Dホログラムかもしれないです(笑)。
 
──ラグがあるわけですね(笑)。
 
Louis ライブだとそれがよく見られるので、ぜひ見に来てください(笑)。
 
 
歌詞とサウンド面から、収録曲を全曲解説!
 

──ではここから、今回のミニアルバム『Natural Awake』の収録曲についてお聞きしたいと思います。まずは1曲目、「Wake Up」ですが、すごくゴージャスなサウンドから始まりますね。
 
花村 MVもゴージャスなんですよ。当初、僕はこの曲にMVはいらないんじゃないかと思ってたんですけど、楽曲の制作にあたってMVは絶対必要だし、MVがある前提で作ってよかったなと思うぐらい、満足する一曲に仕上がりました。初めて4人で一から制作したし、なかなかシビれるスケジューリングで(笑)。3週間ぐらいしか時間がなくて、1週間でトラックを作って、1~2日でトップラインを作って、まとめて……みたいな。
 
Louis レコーディング中もまだアレンジしてましたからね(笑)。「ここ、決まってないけどどうしようか?」とか言いながら。
 
花村 僕は自分の声のレコーディング前に、だいたい家でプリプロを録るんですよ。それをやったら楽曲のだいたいのディテールがわかって、楽曲のイメージもできるんですけど、それを録る時間もなくて。レコーディングもぶっつけ本番だったので、この曲だけダントツで時間がかかりましたね。メインのレコーディングで3時間かかったのって、この曲が初めてですね。僕はふだんメチャクチャ速いので、3時間でもものすごくかかった方なんです。ちょっと衝撃でした。一瞬のつもりだったんですけど、ブースから出て来たら実は3時間が過ぎてて。
 
──先ほどの紹介の時もそうですけど、「速い」という言葉がすごくよく出てきますよね。「速い」人じゃないと、このバンドにはいられなさそうですね(笑)。
 
花村 確かに、この4人は「速さ」が重要ですね。
 
Louis みんな忙しすぎますからね。

 
──では2曲目、「不機嫌な信号」。こちらはバンド全開のナンバーですが。
 
Louis これは想太くんからメロの案をもらったんだよね。それに、じゃあどんなサウンドにしようかというのを話し合って。ただ、もらった時点でメロのラインがちょっと特殊だったんですよ。「あれ、これってコードはどうつけようか」みたいな(笑)。
 
花村 そうやったんや!
 
Louis 他にも転調とかあって、「これ、どうしようかな?」ってなってけっこう苦戦した記憶がありますね。
 
アベ このアルバムの中では、一番最初にできた曲ですよね。
 
Louis そうだね。メロが特殊なので、必然的にオシャレになるっていうのも分かってて。
 
アベ すでにライブでやってる曲が、これを含めて何曲かあるんですけど、その中でもこれが一番化けたなと思って。というのも、そこからさらに管楽器が加わったりとか、目立つ部分の変化が大きかったんですよね。それもブラッシュアップされた感じが強くて、「余計なものを足したな」っていう感じにならなかったのもよかったですね。はじめからこうなるべくしてなったというのが、うまくいったなと。
 
Louis 曲の世界観もいいしね。リリックビデオとかも見てもらえると分かりやすいかと思います。
 
花村 夢に向かってる人の、目的地までの道のりで壁になってるものを信号機に見立てたんですよ。実際に信号待ちしてる時に思いついたんですけど。
 
Louis そうだったんだ(笑)。
 
花村 渋滞してる時に「これ待ってる人たちが全員同じ夢を持ってたら……例えば『歌手になりたい』っていう人って、これぐらい溢れてんのかな?」というところから作った曲です。そしたら、空飛んだ人が勝つなあとか。そういうのが一つのアイデアとして出てきたのを、曲にしました。
 

──3曲目は「I am a HERO」ですね。
 
花村 これは僕が「スパイダーマン」の映画見てる時に思いついたんです。ヒーローって、自分を犠牲にするんですけど、自分の名前は出ないじゃないですか。僕の周りにも一時期そういうヒーローがいて、このメンバーを集めてくれたAさんという人なんですけど、このタイトルはその人の名前に引っかけた語呂合わせにもなってるんです。誰にも、世に名前が出ることはないけど、自分にとってはヒーローという存在がいるんだろうなと思って作りました。
 
Louis サウンド面では、この曲はUKを意識して作ってますね。
 
福田 アルバムの中でも、この曲はちょっと変わった録り方をしてますしね。
 
アベ ドラムは特にじゃないですか?
 
Louis そうですね。短音ずつというか、シンバルだけとか、曲にあったサウンドを作ってレコーディングして、録ったものを組み合わせました。その意味では一番デジタルチックなサウンドにしてみました。
 
花村 面白い!その録り方の話は後から聞いたんですけど、この時はご一緒できなくて。時間がかかったらしいですよ。
 
Louis かかりましたね(笑)。
 

Natural Lagは花村想太のパーソナル出し過ぎ説!?
 
 
──4曲目は「Rain」、バラードです。Da-iCEでもバラード曲はありますが、Da-iCEで歌うバラードとバンドで歌うバラードはまた違うものですか?
 
花村 違いますね。この曲は物語がハッキリしているところが、Da-iCEには不向きなのかなと思っていて。Da-iCEではもうちょっと抽象的かつ聴きやすいものがいいのかなと思ってるんですね。この「Rain」は歌詞的に、決して聴きやすいものじゃないんですよね。状況もすごく限られていて、鮮明にその場面を思い浮かべられるような歌詞を目指して書いたので。大雨で3人いて、傘は2つ……ということは、傘が足りないじゃないですか。なので、前でカップルが一つの傘を差して、自分は一歩引いてて。大雨の中なので声も届かない。2人はしゃべれるけど、自分だけしゃべれない。そういう空間って、すごくしんどいじゃないですか。それを僕一人が歌うから、その世界観がつながると思うんですよ。これをツインボーカルで歌うと、鮮明に浮かべることが難しくなるんじゃないかと。そういう部分が違うと思いますね。
 
アベ この歌詞はいいですよね。
 
福田 うん、すごくいい。
 
Louis サウンドは歌詞と連動して、ウェットな質感を意識しました。最初はアコギで弾いてみたら、ちょっとカラッとしてたので、ピックを変えたりとか。それだけで変わるんですよね。この歌詞が本当によかったので、それに沿うようにサウンドを作っていきましたね。
 

花村 バンドのレコーディングの次の日が歌入れだったので、この2番の歌詞は、その夜に書かないといけなかったんですよ。バンドのレコーディングが終わって、家に帰ってから、泣きながら歌詞を書きました。想像すると泣けてきちゃって。それぐらい鮮明に思い浮かべられる歌詞が書けたのは、アレンジを聴いた後やったからやなと思ったんですよね。そうじゃなかったら、たぶんこの歌詞は出てこなかったと思います。タイトルの「Rain」も仮だったのを、そこで正式決定しましたし。メチャクチャ感情移入して書いたので、早く聴いてもらいたいですね。
 
──本当に、元の映画やドラマがあるんじゃないかというぐらいの情景描写ですよね。
 
花村 僕は中学とか高校の時にコンプレックスがあって、友達から「遊ぼう」って誘われたことがなかったんです。別に目立つグループにもいましたし、友達ももちろんいたんですけどね。自分から誘うことしかなくて、それがコンプレックスだったんです。傘を差してる時も、隣に友達がいたことがなくて。前にはいるんですけど、2人がいて自分は一歩引いてる、みたいなことがけっこうあったんですよ。それは男女とかじゃなくて。その経験が、この歌詞に生きてるかもしれないですね。パーソナルな部分です。
 
──5曲目は「We Can」。
 
花村 この曲はKEN.(ケンドット)っていう古い友達と作ったんですけど、何でかというと、パーソナルな部分が出るかなということで。彼はパリピ代表みたいなヤツで、部分的に任せたら、すごく勢いのある、彼っぽいのを作ってきてくれるんですね。僕がやると、リズムで遊んじゃって変則リズムになったりするんですけど、彼は「1、2、3、4」ってしっかりしたものを出してくれるんで、一緒にやるとすごく共作した感じが出るんです。
 
Louis これはもう、最初から完成形に近いものが来ていたので、もう素直にこのパワーを生かす演奏をしようという話をしましたね。一番元気のある演奏になりましたね。
 
アベ ライブで一番うるさくなりそうな曲になりましたよね。
 
福田 楽しくエモい、みたいなね。ハッピーな曲になった気がします。
 
アベ タイトル通り自分たちを鼓舞する内容になっているので、演奏的にもそういうのが出せたらという感じでした。
 
花村 ホントに僕って、自己啓発なんですよ。すっげえ暑苦しい人間なので、この歌詞みたいなことをいっつも考えてるんです。次の「Determination」もそうですけど、これは……パーソナルが出過ぎてますね(笑)。
 
Louis メッセージが一貫してるよね(笑)。
 
花村 ちょっと暑苦しいですよね。
 
Louis 大丈夫だよ(笑)。
 
アベ でも自分たちで暑苦しいぐらいじゃないと、お客さんには伝わらないですからね。大げさなぐらいでちょうどいいんですよ。
 
──では、先ほどもタイトルが出た「Determination」ですが。
 
花村 これも、一昨年のオンラインライブ用に作った新曲ですね。これは僕がメロと歌詞の両方を作った上で、アレンジまでできた状態でメンバーが演奏するという流れだったんですけど。これは僕の決意というか、一歩踏み出した時に、一人じゃ怖かったんだけど、周りを見たらこのメンバーがいたよ、というようなNatural Lagに対しての想いを乗せています。そうやって一歩踏み出した時に、実は助けてくれる人がたくさんいるんだよ、というのが伝われば。
 
福田 この曲は出だしに「ウォーウォー」っていうコーラスが入っていて、ライブを意識した作りになってます。お客さんと僕らで拳を上げて、一体になれたらいいなと思いますね。


──最後、7曲目は「約束」です。
 
花村 コロナ禍になってから作った曲で、オンラインでレコーディングしたので、全員顔を合わせないでできた曲ですね。僕も家でレコーディングしました。MVというか、動画も撮ったんですけど、これもみんなに自撮りしてもらって、それをKEN.が編集してくれて。
 
Louis 時期が時期だったので、思い入れがありますね。
 
アベ 今後、このやり方をするかどうかも分からないですからね。この時はその状況があったからできたわけで。
 
──というわけで、7曲について解説していただきました。このミニアルバムがリリースされて、ツアーもあります。そこも含めて、ここからどうしていきたいですか?

花村 ツアーファイナルまでに、新しい発表ごとというか、次につながることを何かしていきたいなと思っています。ツアーが終わっても、Natural Lagが終わらないようにしたいという事で、今、スタッフさんと考えているところです。
 
福田 このツアーが終わった後も、その熱を持ったまま進んでいきたいですね。YouTubeでもコラボの企画を進めてるんですけど、とにかく僕らの露出を増やしていったり、ちゃんと続けて何かしら出ていくということに、トライしていきたいです。
 
アベ 今回はワンマンツアーなんですけど、2マンなり3マンなりの対バンツアーができたらいいなと思ってます。個々に経験のある人間が集まってはいるものの、バンドとしては新人なので、もうちょっと先輩のバンドと一緒にやってみて、そこでどこまで通用するか、じゃないですけど。イベントなりライブなりをやってみて、いいなと思ったことをパクったりとか(笑)、取り込んでいけるようなことを見つけていきたいですね。
 
Louis 今言ったように、バンドとしてはまだ新人なので、このツアーを通して、まずは素直に「バンドっていいよね!」という想いをバンドもファンも形にしたいですよね。それを土台に、その熱が冷めないようにファンと僕らでどんどん進んでいけるような企画を考えていきたいです。まあ、まずはツアーを通してひと皮むけたいというのが、当面の目標です。
 
──いろんな意味でツアーが楽しみですね。ありがとうございました!
 
 

 撮影 長谷英史


『Natural Awake』
2022.1.26 ON SALE

 
 
 
初となる有観客ライブツアー「Natural Lag Live Tour 2022 After Rain」開催
1部【Natural Lag Live Tour 2022 After Rain ~Funk it up~】
2部【Natural Lag Live Tour 2022 After Rain ~Hands up~】
兵庫公演【Natural Lag Live Tour 2022 After Rain ~Funk it Hands up~】
 
■ツアースケジュール(開場時間/開演時間)
2022年2月20日(日)【東京】Spotify O-EAST 15:00/15:30
2022年2月20日(日)【東京】Spotify O-EAST 18:00/18:30
2022年2月27日(日)【愛知】NAGOYA ReNY limited 15:00/15:30
2022年2月27日(日)【愛知】NAGOYA ReNY limited 18:00/18:30
2022年3月4日(金)【大阪】BIGCAT 15:00/15:30
2022年3月4日(金)【大阪】BIGCAT 18:00/18:30
2022年3月5日(土)【兵庫】東リ いたみホール 16:00/17:30 ※追加公演
 
 
【Natural Lag Twitter】
https://twitter.com/natural_lag
 
【Natural Lag Instagram】
https://www.instagram.com/natural_lag_official/?hl=ja
 
【Natural Lag Facebook】
https://www.facebook.com/NaturalLag
 
【Natural Lag YouTube Channel】
https://www.youtube.com/c/NaturalLag
 

記事情報

高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。