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NINJA、XR エイベックスの次世代ショーコンテンツを体感!

NINJA PROJECT

NINJA、XR エイベックスの次世代ショーコンテンツを体感!

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関東近郊某所に“忍者”が出現する!? そんな噂を聞きつけて現場に向かうと、そこは「NINJA PROJECT」と「AR LIVE」のテクリハ(テクニカル・リハーサル)会場!? そもそもそれって何? ということで、とにかく潜入取材してまいりました!

足元を! 頭上を! NINJAが疾走!

5月某日。関東全域は天気もよく、気温も上がって外出にはうってつけ。そんな中、関東近郊の某所では忍者が出現し、大暴れしているらしいという噂をキャッチしました。いや、忍者だから大暴れはしないか。でもこの現代に、なぜ忍者? そんな疑問を胸に指定された場所に到着すると、まず通された前室で簡単な説明を受け、「それでは会場にご案内します!」ということで移動。
 
「足元が暗いので、お気を付けください!」という声の中を、言われるがままに歩いていき、階段を上り、その先の部屋へ…… 部屋を囲んでいる足場や柱は見えるんですが、他は闇に包まれています。一体この先、ここで何が?
 
何が起きるのか分からず、息を呑んで待っていると、部屋の外の柱が点滅しだす。えっ、この部屋って、四方の壁も床も天井も透明なんですけど?床の下のフロアにスモークが! いよいよ高まる謎感! すると、スモークの中から人影が! 赤い衣装に身を包んだ人物が2人います! 彼らは敵同士? 味方同士? 向かい合って間合いを探り合ったりもしつつ、いきなり疾走! その途中にはバック転などのアクロバティックなアクションも! 何だ何だ!

気づけば、部屋の側面にも忍者が出現! ん? 飛び上がって側面の壁に平行に走ってませんか! そして反対側にはまた2人の忍者が、足場のシャフトに掴まって……こっちは地面と水平になってますけど! さらには頭上の透明な板上を、また2人の忍者が走る! しかもクルクル飛んだりしています!
 
おおっ、よく見ると忍者たちのアクションには、「トリッキング」や「パルクール」などの動きが盛り込まれていますね。……なんてことに気づいたのは、もう終盤に差し掛かってからの話。最中はもう、とにかく「忍者スゲー!」のひと言! アナウンスとか説明とか一切ないんですが、それだけに「スゲー!」「スゲー!」ばかりが頭に浮かんできます。そもそもこの部屋にいると、下も上も360度を見られるので、それだけでも不思議な感覚に襲われるんですが。

忍者たちが消え去ると、奥の壁が空いて次の部屋へ移動。やがて正面にまた一人、忍者が出現! 手を開くたびにポッ、ポッと、光る球が現れます。簡単にやってるけど、それもどうなってるの? という疑問もつかの間、奥のスクリーンに現れた忍者が、水になったり火になったりと、変幻自在に形を変えていきます。また床から別の忍者たちがせり出したり、次から次に予想もしない事態が!
 
さらに、今いろんなことが展開されていたステージに移動し、逆側を向くように言われて振り向くと、そちらも立体的なステージのようになっています。あー、さっきいた部屋を中心に、ステップや段差が作られているわけですね。ということは……

そう、その空間をまた、縦横無尽に忍者たちが駆け巡るわけです! 最終的にはすごい人数がそれぞれにアクションを決めていたりして、またしても「スゲー!」を連発! もちろんその間も音と光による演出がバッキバキに施されていて、脳がついていけないぐらい。ショーが終了するまで、もう口あんぐりして見てました!
 
NINJA PROJECT MAY 2019

超没入型ライブのド迫力にア然!

再び場所を移動して、先ほどのステージを見る形に。ここからは、「XR LIVE」のコーナーです。


「初音ミク」


「響木アオ」


「りんな」


「まりなすチャンネル(仮)」

4アーティストが1曲ずつ披露してくれました! 
それぞれの個性が引き立つステージングで、目の前で展開される迫力にはア然!
最先端のビジュアルモーションコントロールシステム「Kinesys」やレーザー、照明の演出もそれぞれのアーティストの雰囲気に変化して、まさに未来のステージ!


最後はARイケメンダンスボーカルグループ「ARP」のダイヤとレイジによる2人組ユニット「REBEL CROSS」が1曲披露。

歌い終わって挨拶すると、我々と会話も。「どこから来たの?」なんて聞かれたりして、スムーズなリアルタイムのやりとりが可能なんですね。話には聞いてましたが、初体験するとやっぱり驚きです!
 
というわけで、一通りのプログラムが終了。今回、我々が目の当たりにしたのは、“最先端のテクノロジーと日本の伝統・文化が融合した次世代ショーコンテンツ”「ADIRECTOR」の一部。そのテクリハ(テクニカル・リハーサル)に潜入させてもらったというわけなのです。
 
このショーコンテンツは「NINJA PROJECT」と「AR LIVE SOLUTION」の2つを合わせた総称で、前者はパフォーマンス集団として、後者はXR(サイバー空間)領域のプラットフォームとして様々に展開される予定だ。特に海外での認知度も人気も高い「忍者」「MANGA(漫画・アニメ・ゲームの総称)」を中心に展開することで、インバウンド市場に適したコンテンツとしても期待されている。

「結局どういうこと?」と思っている読者も多いと思うので(汗)、ちょっと生の話も聞いてみましょう。ということで、このプロジェクトのプロデューサーを務める中前省吾さんにお話をお聞きしました!
 

「エイベックスは“ムーブメント”を作ってきた会社なんです」

──忍者たちのショーは、まさに「目くるめく」という言葉がピッタリでした! このショーのコンセプトはどういったものなのでしょうか?
 
中前 「NINJA PROJECT」は、日本忍者協議会とタッグを組んで進めさせていただいているプロジェクトです。忍者の認知度というのは海外でも非常に高いんですが、そこにもっと、僕らにしかできないタッチポイントがあるんじゃないかと思って、ファッションとか音楽、映像、ダンス、パルクールやトリッキングといったエクストリーム・スポーツのカルチャーを取り込んだ形で展開できればと。もちろん、トラディショナルな忍者もカッコいいとは思うんですが、エイベックスらしい「新しい形の忍者」というものを提示させてもらっています。
 
──そもそもなぜこのようなプロジェクトを?
 
中前 エイベックスは多くの人に「音楽の会社でしょ?」と思われているでしょうけど、一般に認識されているよりも、「新たなカルチャーを創造する」ことに力を注いでいる会社なんです。実は我々が作っているのは、“ムーブメント”なんじゃないかと思ったりします。もちろん、エイベックスだけではなく一端として、色々な方との協働で、ギャル文化だったり、ディスコなどに代表されるクラブ・カルチャー、海外のフェスを日本に持ってきてEDMのムーブメントを仕掛けたり。そういうことをやってきたのが、偶然レコード会社だったのかなと。
 
──なるほど。
 
中前 そうやって作ってきたムーブメントを、今回は「忍者」に拡大解釈して使えるんじゃないかということなんです。それを様々な国の方々に楽しんでいただけるように、言葉を使わない、ノンバーバルのエンターテインメントとして構築しているというところですね。それによって、今まで誰も見たことのない忍者を提示することができると思います。
 
──確かに理屈抜きで楽しめるものでしたね。その後は、ARのライブも見せていただきました。
 
中前 実はエイベックスにおけるAR/VRの歴史は古いんですよ。Oculus Rift(オキュラス・リフト=VR用ヘッドマウント・ディスプレイ)を使用したVRのミュージックビデオは、クリエイターのYKBXさんと一緒に、世界初と言っても過言ではない時期にエイベックスのアーティストで制作をしていて、2013年にはホログラムを使ったARのライブも行いました。今、VRやARというのは“技術”の名称のように扱われていますよね。でも本当は、それは“体験”の名称だと思っています。
 
──“体験”の名称、ですか。
 
中前 例えば、「魔法」というものは誰も見たことがないですよね? でも、先ほどのショーでもあったように、手のひらにポッと光る球を出すと、「魔法みたいだ」で通じるんですよ。魔法というものは本来この世にないものだから、それはおかしな話ですよね。
 
──確かに。
 
中前 僕らは「魔法」という言葉をどこかで覚えていて、その言葉と概念が、僕らの現実生活を拡張してくれているわけです。だから光る球が出てきたときに、「光る球が出てきて不思議ですね」と言わなければならなかったところを、「魔法ですね」で通じるんですよね。概念が現実を拡張している、これがAR。だからキャラクターの世界観を中心に据えた遊園地なんかは、完全にARそのものですよ(笑)。それがテクノロジーの進化によって、より身近になってきている。「では、それは何を作るためにあるのか」ということを僕らは常に考えていて、「想像の中にしかないものを、みんなで共有する」ということなんだろうなと。ジュール・ベルヌが書いた「海底二万哩」などのSF小説だってそういうことだろうし、それをやればいいんだろうなと。
 
──現実にないもの、誰かの想像の中にしかなかったものを、誰もが思い浮かべられるようにするということですね。
 
中前 はい。それを延長して、今まで皆さんが見たことのなかったような音楽ライブ体験や演劇体験といったエンターテインメント全般をやっていきたいなというところで、今回に関しては「こういう体験がありますよ」という一端、演出方法の一例をご提示したというところですね。

「『NINJA PROJECT』のアーティストたちは、これから全国にどんどん出ていきます!」

──こういったショーや技術を、インバウンドも含めた多方面に展開していくということなんですか?
 
中前 クリエーションの意図という面では、ここまでお話ししたようなことになるんですが、ビジネスという視点で言いますと、結果としてこういうコンテンツは非常にインバウンド向きだなあと。ただ、主要なファクターではあるんですが、あくまで一部分としてです。ノンバーバルという点もそうですし、AR/VRでは、日本という枠を超えたアーティストを作れるんじゃないかと。例えば葛飾北斎が描いたキャラクターというのは、彼が想像したものを絵にして残してもらってるわけですよね。それをデビューさせられないのかな、とか。いろんな技術によって、そういう見方もできるようになっているということだと思います。
 
──例えば、今回見せていただいたような忍者のプログラムを見せていくには、常設の会場が必要になると思いますが、それも含めてのビジネスということでしょうか?
 
中前 ビジネスとして常設にするかどうかは、まだわからないです。あくまで今回に関しては、「こういうクリエーションがあります」というのを提示させていただいているということです。例えば僕らは、今回登場してもらっているトリッキングやパルクールのプレイヤーたちを、現代版の忍者だと思っています。彼らがパフォーマンスをするのに、ステージはいらないんですよ。「ステージのないところでもショーのできるアーティストを見つけた!」って感じなんです(笑)。
 
──ステージがいらないということは、より多彩な場所でパフォーマンスできるということですね。
 
中前 そのアーティストに対して、僕らは音楽やファッションを提供し、「ミュージックビデオ」ではない「プロモーションビデオ」を作ることで訴求することができると思ってます。今回、お見せしたショーがたまたまこういう形だっただけで、常設かどうかということは決めていない……というより、「どうとでもなる」というのが正直なところですね。今回はあくまで、「忍者というものをウチが展開するとこうなります」というビジョンを形にした、ということです。
 
──今後はどのように進む予定なんでしょうか?
 
中前 まずは知っていただくというのが一番大事なので、例えば「NINJA PROJECT」では「DARKEST BEFORE DAWN」と「BLOOD WILL TELL」という2組のアーティストをすでにデビューさせていて、彼らは昨年の「a-nation」にも出演しています。彼らは歌を歌うわけではなく、あくまでパフォーマーのみの集団なんですが、今後認知を高めていきたいなと。全国津々浦々、行けるところには身一つでどんどん行っちゃいたいなと思ってます。それこそ、地方のお祭りなんかで、見てもらえる機会をどんどん増やしていきたいなと。それからXRの方では、9月にXRの技術を用いたフェスを企画していて、目下いろいろと動いているところです。
 
DARKEST BEFORE DAWN – BRGHTST BLCK feat. Mas from NOTHING TO DECLARE (Music Video)

 
BLOOD WILL TELL – HOKAGE feat. Leon Fanourakis & Awich (Music Video)

「NINJA PROJECT」と「AR LIVE SOLUTION」を軸とするコンテンツの数々が、これから様々な形で多くの人々の目に触れていく予定だという。この日に見せてもらったテクリハの内容からしても、これが本格化すれば、すんごいことになるのは間違いナシ! 今後の展開に期待です!
 
 
【NINJA PROJECT Official Web Site】
https://www.ninja-project.jp
 
【ARP】
https://arp-fc.yukes.co.jp/
 
【初音ミク】
https://piapro.net/
 
【響木アオ】
https://www.youtube.com/channel/UCNwo7eikmX5HPs7NedWVBgw
 
【まりなすチャンネル(仮) 】
https://www.youtube.com/channel/UCDgH-CfHO85D0rxtXnXeN2w
 
【りんな】
https://www.rinna.jp/

 
 

記事情報

高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。