今回のコラムは肌寒くなった季節にはめずらしいアーティストに登場いただきました。
サーフカルチャーをこよなく愛する“平井 大(ひらい だい)”です。
過去“平井 大”をご紹介した時は…。
【2015/5/6:あのディズニーとコラボした平井 大の登場で実は今アツい!? 知ってるようで意外と知らないハワイアン・ミュージック】
http://avexnet.jp/column_detail.php?id=1000042
【2016/6/8:【ファッション連載】アーティスト“平井 大”と行く代官山ショップ巡り】
http://avexnet.jp/column_detail.php?id=1000102
と、初夏が多かったのですが、深まっていく秋に登場いただいた理由。
それは…、「初めて秋にリリースが決定した」から(笑)
こちらが11/9、本日発売のカヴァーアルバム。
『Love is Beautiful』
品番:AVCD-93512
価格:1,944円(本体価格)+税
収録曲
1. It don’t matter with Donavon Frankenreiter
2. Change the world
3. Beautiful (English version)
4. I don’t want to miss a thing
5. If I ain’t got you
6. Life is Beautiful (English version)
ということで、「意外な秋リリースの真相」と「全曲の解説」をお聞きすべく、ライヴが行われる東京工学院専門学校の「TECHNOS祭」へうかがってきました。
–ご無沙汰しております。
平井)久しぶりですね!! たしか、あの時は初夏でしたけど、今日は寒いですからね…(笑)
–はい、あの時は逆に暑いぐらいでしたね。
平井)あの時は楽しかったです。今日も宜しくお願いします。
–さっそく、カヴァーアルバム『Love is Beautiful』を制作するキッカケを教えてください。
平井)実は最初、リリースをする予定がなかったんです。でも、“Donavon Frankenreiter (ドノヴァン・フランケンレイター)”のライヴを見に行ったら、「ライヴやろうよ」ということになって。
–そんなことが!!
平井)そうなんですよ。初対面にも関わらず。そして、今年に入って2本ライヴをご一緒した流れで夏にレコーディングしたんです。
ただ、その時点ではまだリリースするつもりはなかったんですが、「カヴァーアルバムを出そうか」という話になって、リリースとなりました。
–今、MVが公開されていますが、このMVはその時に収録されたものなのでしょうか。
平井)そうです。そのレコーディングで撮ったものです。その時のやり取りがリアルに入っているのが良いなと思っています。
–「It don’t matter with Donavon Frankenreiter」以外の曲は、どのようなお考えでチョイスされたものでしょうか。
平井)基本的に「この時期のリリース」って、自分の中では新鮮で。自分自身も「夏のイメージ」だと思ってますから(笑)寒くなってくる季節に聞いてもらいたいような「心の温まるような曲を入れたい」そう思って選びました。
–楽曲のアレンジに関してはどのような考えがあったのでしょうか。
平井)自分自身では前作『Life is Beautiful』の続きという考えだったり、前作で表現しきれなかった部分であったり、「より探求したい」という気持ちを出して制作しました。
それが曲の中でのダイナミクスに繋がったと思います。特に、「ダイナミクス豊かなバラードに挑戦しよう」という意識などもありましたね。
–なるほど。では、1曲ずつお話を聞かせてください。まずは「It don’t matter with Donavon Frankenreiter」から。
平井)どの楽曲もそうなのですが、スタジオセッションしながら、アレンジを詰めてゆくという感じです。この曲はフィーチャリングなので、アレンジすり合わせが難しかったりするんですが、ドノヴァンとのすり合わせは全く大変ではなかったです。
彼のライフスタイルや音楽に対する考え方で近しい部分があって、自然な流れで出来たのが良かったです。「君の好きなようにやっていいよ」とドノヴァンさんに言っていただけたのも良かったんだと思いますね。
-MVでも「昔から知っている関係」というか、ドノヴァンさんが平井さんのアニキ的な立ち位置で進められたのかなと感じました。
平井)そうですね(笑)本当にスムースなコミュニケーションが出来ましたね。
–続いて、“Eric Clapton(エリック・クラプトン)”の「Change the world」はいかがでしょうか。
平井)自分自身がClaptonは大好きなんですけど、それ以前に父がClaptonを好きで車で聞いていたりとかしていたんでとても耳馴染のある曲でした。特にClaptonが持っているブルースというルーツへの共感もありますね。
今年行ったツアーでも全箇所で「Change the world」を演奏したんですね。なので、バンドメンバー全員にも「思い入れの強い曲」となりましたから、ライヴでのアレンジに近い形でレコーディングしました。
この曲の持つポップスとブルースの融合がとても気に入っています。
-3曲目はご自身の「Beautiful(English Version)」ですね。
平井)「Beautiful」という曲は自分としては前に作った曲なので、「今の自分」が作ったらどうなるか。そんなことを意識しましたね。「生音にこだわる」とか、「バラードとしてのダイナミクスさにこだわる」とかですね。
-4曲目は“Aerosmith(エアロスミス)”の「I don’t want to miss a thing」ですね。このチョイスは…。
平井)小学校の時に映画「アルマゲドン」を見まして、男の生き様的なものを学んだんです(笑)で、幼いながら「こういう風に生きたい」なんて思いました。
なかなか、地球を救うなんてことはないでしょうけど(笑)
–一同爆笑。
平井)そんな映画イメージと、もともとAerosmithが大好きだったのもあって入れてみました。家などでは自分で弾いて歌ったりしていた1曲です。
–一見すると“平井 大”っぽくないかも、と思ったりしますが…。
平井)自分としては、そんなこともないんですよ(笑)彼らのルーツはカントリーにあって、ハワイアンもカントリーがルーツだったり、ブルースもそうですよね。
なので、「ジャンルとして分けない」で聞いてもらいたいですかね。
–そして、“ Alicia Keys (アリシア・キーズ)”の「If I ain’t got you」!!
平井)この曲は…。難しかったですね…(苦笑)
–そうですよね(笑)
平井)メロディーの幅、声域もとても広いですからね。でも、この曲こそ「この時期にピッタリな曲」なので大切な人と聞いてもらったら、2人の距離が縮まると思いますね。
「If I ain’t got you」が発売された2004年当時はR&Bが流行っていたわけですが、僕はその中でも群を抜いて良い曲だなと。ブラックミュージックの持つ「ゴスペル」や「ブルース」というルーツを感じたんです。
で、今この曲を聞き直した時に「ああ、これだな」と思いました。
–なるほど。それで「If I ain’t got you」をチョイスしたと。
平井)ま、あのー。選んだのはいいんだけど、歌うのには苦労したわけで…(笑) ちょっと、レコーディング中にくじけそうになりました(笑)
もちろん、全体として「ブルージー」な面も出せて、曲の出来はとても満足しています。
–ラストを飾るのは、前作アルバムに収録された「Life is Beautiful(English Version)」ですが、改めて収録されたお気持ちはいかがですか。
平井)これは「新鮮」の「し」の字もないですね(笑)今年、何千回とやってきた曲ですから(爆笑)
ここでもう一度レコーディングするなら「平井 大の芯をついたようなアレンジ」にしたいと考えました。メインになっているのはウクレレとギターですが、それが自分自身だし。「この曲のこれ以上でもなければ、これ以下でもない」というところへ落し込みました。
–前回もお聞きしましたが、今回のアルバムはどのようなシーンで聞いてもらいたいですか。
平井)そうですね。そこは前回のアルバム『Life is Beautiful』同様、個々に自然な形で皆さんの生活に寄り添えればと思いますね。それこそ先入観なしに聞いていただきたいです。
【リハーサル風景】
–ところで、平井さんの学生生活はどんな日々だったのでしょうか。
平井)学生当時だと、ミクスチャーにハマっていたので今の趣味趣向とは違うかな。で、それこそ音楽よりもスケボーをずっとやってました。登下校はスケボーでしたからね(笑)
–バンドは組んでいなかったんですか。
平井)高校時代バンドは組んでいたんですけど、すでに所属していた事務所の先輩方とサーフロックのバンドをやっていたんです。だから、学園祭にバンドで出たことはなかったですね。
ちなみに、僕はフロントマンになろうとは思ってなくて、当時は歌も歌っていなかったんです。自分の声を聞くのが当時は好きじゃなかったんです(笑)
歌を歌ったのは「ホノルルフェスティバル」の公式イメージソング「ONE LOVE ~Pacific Harmony~」が初めてで、プロデューサーに言われて歌ったのがキッカケなんです。
–そうだったんですか。
平井)高校の時から音楽をやっていこうとは思っていましたが、僕はシャイなのでギターやウクレレ、作曲という未来を考えていました。だから、こんな風になっている今が不思議です(笑)
–プロになってから学園祭のステージに立ってみてどうですか。
平井)今、それこそ学園祭を作っている大学生とは2、3歳しか年齢が違わないので、「ああいう学生生活を送ってたらなぁ」と、うらやましく思ったりもします(笑)
–既に数ステージを学園祭でこなされていますが、どのようなことを想って演奏されていますか。
平井)まだ僕を知らない方もいるので、一回一回のステージでしっかり盛り上がってもらえるようにしていますね。
–ライヴ前の貴重な時間をありがとうございました。今日はちょっと寒そうですが、我々もライヴも拝見します。頑張ってください。
平井)ね!! ちょっと寒すぎますよね。指動くかな(笑) 頑張ってきます。
そして、学園祭当日のメインを飾る“平井 大”のライヴは16時から。10月にしてはかなり肌寒い風を感じながらスタートした。
ステージが設置された広場には観客となる学生やファンで埋め尽くされ、彼の楽曲毎に持つルーツミュージックに包まれる。
エレキギター、アコースティックギター、ウクレレと3種類の弦楽器を楽曲毎に使い分けつつ、各楽曲では匠なソロを魅せる“平井 大”へ観客からの視線が集中した。
約45分間のライヴにてアンコールとして選ばれたのは、「今年、最も歌ってきた」と語っていた「Life is Beautiful」。
2016年の“平井 大”を代表する1曲だけあって、曲が始まった瞬間、歓声が起こる。
陽が沈み気温も下がっていたが、観客である学生達のテンションと情熱あふれる演奏で、心が暖かくなるようなステージだった。
【平井 大 OFFICIAL SITE】
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【平井 大 公式twitter】
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【平井 大 公式Instagram】
https://www.instagram.com/hirai_dai_official/
ライター
雜賀信之助(サイカシンノスケ)
プロデューサー。PRイベントや映像制作、キュレーションサイト『和食ラボ』等の運営・進行管理を担当。